この世のこととは思えない、とのこと

2015-05-29 00:00:18 | 市民A
先日、海上保安庁の方から職務以外の話として聞いたのだが、この1年で起きている二つのことが、ほとんど同じ場所なのに、そういう報道がされていないのが不思議ということだった。

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一つは、西之島の噴火。場所は、北緯27度14分49秒。小笠原諸島は南に二本の海底火山嶺が伸びるが、その西側の方の列の真ん中あたり(つまり、日本列島から非常に遠いわけじゃない)。ご存知のとおり、新島が旧島を飲みこみ9倍になり国土が2平方キロ増加している。

残念なことに、公海は西側にあるのに対し、溶岩が北側と東側に流れているので、排他的経済水域(EEZ)は、それほど拡がらない。

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そして、問題の二つ目は中国船の宝石サンゴ密漁事件。200隻もの密漁船が押し寄せ、取り締まる方の体制不十分でやり放題で、海底のサンゴ礁は底攫いされ、そこに住んでいた魚はいなくなってしまった。1キロ16万円という情報に群がったわけだ。

そして、この二つは、ほぼ同じ場所だったわけだ。もちろん密漁船は、あちこちに動き回るわけだが、取り締まる方は、火山の噴火を見ながら密漁船と戦うということになり、「この世のものとは思えない光景」が出現していたそうだ。

巡視艇の大きさを100とすると密漁船の大きさは10分の1の10位だが、実際に密漁船に乗りこむ小型艇のサイズはさらにその10分の1の1程度で、相手に体当たりされれば終わりだし、といって米国の警官みたいにやたらと銃器を撃ちまくるわけにはいかない。結構、怖いだろう。

その後、大至急改正された法律で、罰金が100万円から3000万円になり、密漁サンゴ1キロに対し600万円の罰金が上乗せになるということで、数人が捕まって裁判が始まったところだそうだ。それから、激減したそうだ。(案外、対中問題はあっという間に一致団結して法律ができることを考えれば、今の政権がやっている安全保障法案などあらかじめ作らない方が、「何を突然決めるかわからない国」と外国に思わせることになり、防衛上有効ではないかとも思える。


そして、同時に起きている二つのことが、バラバラに報道されるのは、報道する側の人間が、現場にいないからわかっていない、ということに尽きるのだろう。