有機化学美術館へようこそ・・

2007-07-31 00:00:11 | 書評
94491070.jpg有機化学美術館へようこそ/佐藤健太郎・技術評論社」。この本がすばらしく売れているそうだ。一体・・

有機化学が好き、という人はそう多くない。だいたい、理科が好きという人が多いわけでもないし、その中でもこの有機化学というのは特殊分野だ。溶剤の中での実験を繰り返し、目的の反応を起こし、新種の物質を作る。時に猛毒ができたり、まったく意味不明の物質になったり・・そして大半の実験は、長い忍耐の時間の末、失敗におわり、処分に困るゴミと化す。

たとえば、インフルエンザの特効薬?であるタミフルは中国産の植物、八角の中に含まれるシキミ酸を10回化合させ作る。こういう何回もごく一部を変えながら目的の化合物へと近づいていくわけだ。その回数が増えれば増えるほど収率は下がるし、複雑になる。たとえば40回も組み換えていくようなものもある。

ある意味で詰将棋の製作のようである。

そして、その分子構造を美しくヴィジュアルに見せたのが、この本である。おそらく、過去に有機化学に触れた多くの人達が、この本を買っているのだろう。ついでにホームページブログも存在する。

94491070.jpgそして、この本の中には、あちこちにノーベル賞の話が登場する。著者にノーベル賞の潜在願望があるのかもしれない。日本人である白川さん、野依さん、田中さんの発見した構造も公開されている(あまり美しくない)。


そして、余談がいくつか紹介されているのだが、そのうち二つを紹介してみる。一つはノーベル賞の話なので今回。もう一つは、なんとも得体の知れない国際政治というか近代史というか、まったく化学と違う話を自分でみつけたので別の日に。


有機化合物の中の発ガン性物質の発見

現代では数多くの発ガン性物質が発見されている。その中でも魚の焼け焦げやコールタールに含まれる「ベンゾピレン」は最も強烈な物質だ。DNAに極めて強い反応性を持ち、破壊されたDNAが異常増殖する。こうした化学物質による発ガン性を世界で最初に証明した人物こそ、日本人「山極勝三郎(東京帝大)」で、1915年のことだった。彼は、ウサギの耳にコールタールを塗ること3年で人工的な発ガン実験に成功している。

94491070.jpgところが、ほぼ同時期にデンマーク人のヨハネス=フィビゲルは寄生虫がガンの原因になるという実験結果を発表し、1926年のノーベル医学・生理学賞を受賞。

しかし、実はこの説は特殊なラットにのみ起こる現象であり、まったく一般性のない学説だった。もちろん現代の医学は、山極の説の延長線上にあり、当然、山極の方が100倍ほど重く評価されるべきなのだが、それらが判明したのは両者の死後のこと(1977年)。この件はノーベル賞史上最大級のミステークとされている。本来なら、日本人ノーベル賞第一号は山極先生であったはずなのだ。


ところで、この本にはまったく関係ないのだが、山極事件より前には、野口英世が何度もノーベル賞候補になっている。黄熱病の研究においてだ。彼は主に米国で研究活動を続け、黄熱病を病原菌説に求め、ワクチンを開発している。米国でもっとも有名な日本人であった。そして、彼がノーベル賞を受賞できなかったかのは、ただ白人でなかったから、と言われているのだが、幸か不幸か、黄熱病が細菌ではなくウイルスによるものであることがわかったのは、野口が黄熱病に罹り亡くなった後なのである。

94491070.jpgしかし、フィビゲルと野口の大きな差は、フィビゲルの説は、「単なる間違い」であるのに対し、野口の誤りは、その誤りの原因を世界中の学者がフォローし、「ウイルスの発見」につながっていったことであり、実際にノーベル賞をとっていても、後年、彼の評価が取り消されることはなかったと考えられる。「愚かなミステークではなく、偉大なミステーク」ということだ。


そしてついでに野口に関するこぼれ話だが、ちょうど野口が米国の有名人になっていた頃、詩人野口米次郎(ヨネ・ノグチ)の婚外子である日米ハーフの芸術家の卵が、「イサム・ノグチ」名を名乗ったのは、まだ無名だった彼が「野口英世の息子」と世間が誤認するようにという深慮遠謀によるものだったそうだ。(ドウス昌代・「イサム・ノグチ」による)



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水に生きる。そして名古屋

2007-07-30 00:00:36 | 美術館・博物館・工芸品
ac0db959.jpg東京ミッドタウン内にあるサントリー美術館で開催中。所蔵品のうち水に関係のある名品を期間中、3交替で展示している。全部見るには入場料をたくさん払わなければならない。広重の日本橋や琵琶湖をモティーフとした金屏風。それから、日本古来の青色を用いた薩摩切子や、鍋島など。

日本は島国で海に囲まれ、また山脈が織り成す中小の激流。そして、数々の天然植物素材による青色系の染料に恵まれる。サッカー代表チームのユニフォームも青だが、あれは現代的素材を化学染料で染めたものだろうから、夏のアジアでは見るからに暑そうで弱そうに見えてしまう。天然素材の麻の布地に、藍染でもすれば、少しは涼しげに見えるのではないだろうか。

実は、展示作品について、あまり語ることがないのが寂しいので、建物についてだが、完成間もないということで、床材が、若干、ギーッと音を立てる。もちろん、千葉市立美術館のように、施工に多くの疑問を持たざるを得ないように床のタイルが一枚ずつのけ反ってしまって工事現場のようになってしまったところもあるので、それほどのこともない。

そして、少し狭い。ミッドタウンのショッピングモールの方の3階と4階にわかれていて、順路を間違えると建物の中で行方不明になったりする。あるいは、何度も同じ場所をぐるぐる回ったりする(実際)。

よく、乃木坂の新国立美術館と六本木ヒルズの森美術館とこのサントリー美術館を「トライアングル(三角)」と呼ぶようだが、ずいぶん規模が違う。地球上の直線上以外の3点を結べば、必ず三角形ができる、という以上の意味はないだろう。


ところで、先日、名古屋に行った際、全国5番目の高層ビルであるミッドランドスクエアに行った。確か駅の近くだったはずと、2メートル差で日本5位の座を奪われた高島屋の一階から見てもよくわからないので、高島屋二階デッキに上がると、目の前に建っていた。東海大地震で一本が折れて二本共倒れになったりしないのだろうか。

実は、このミッドランドスクエアの一階に入って驚いたのだが、東京ミッドタウンと”まったく同じ”ように見える。建物の内部に中庭状の空間を作って、各階ごとに内側に回り廊下を作って、ウィンドウショップが楽しめるようになっている(基本的には表参道ヒルズも同様の作りだが、建物が長二等辺三角形で、回り廊下が螺旋になっている)。内装の色調も同じ。東京ミッドタウンは新しいブランドが多いが、ミッドランドスクエアはロエベ(LOEWE)など有名ブランドだ。厳冬のマドリードが育てた革製品の老舗ロエベが灼熱タウン名古屋で生き延びられるか興味は尽きない。

ac0db959.jpg話を元に戻すのが面倒なので、このままミッドランドスクエアの話だが、トヨタのオフィスタワー側の1階と2階がショールームになっていた。コンセプトに配慮し、最初は2階の貧乏人ルームにいって、プリウスとかアリオンとか乗ってみて、アンケートに答えて、花の種をいただく。次に金持ちルームである一階のレクサスショールームに入り、安い方のレクサスと高い方(1200万円)のレクサスに乗ってみる。座り心地がいいのは、車のせいではなく革張りシートだからだが、中から見ると、この車の値段はよくわからないかもしれない。車体の塗装は高級感がある。何回塗りなのかよくわからないが、ピカピカの光沢だ。パールとかマイカとかクリスタルとか形容詞のついた色だ。履いていた皮靴が安物に見えてしまう。車体の幅が180センチ以上あるので、一般の機械式洗車機には入らないだろう。手洗い洗車が好きな方にお勧めの一品といえる。

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国政選挙!

2007-07-29 00:00:19 | 市民A
きょう、投票日である。参院選は、政権交代のための選挙であるとかないとか、投票の前から逃げ口上を打つようでは結果は知れたものだろうが、そうマクロ的に考えずに、実際の投票は、「誰(&どの党)に一票を投じるか」というだけの選択であり、政権とか政策とかに投票するものでもない。だいたい、選択肢が揃ってないことが多い。

まず、7月25日の日経BIZに、エコノミストでもある斎藤精一郎教授が「参院選の対立軸は明快――『成長への挑戦』か『生活の安全保障』か」という題名で投稿されている。

先生の話は長いが、要は「消えた年金」とか「政治とカネ」といった論点ではなく、「デフレ脱却後の日本経済の方向の選択」といった論点で投票すべきである、ということだそうだ。

そして、自民党=『成長への挑戦・・資本主義経済』、民主党=『生活の安全保障・・混合経済』という明快な政策対立の中で日本の針路に一票を投じるべき、ということ。


ところが・・


私は斎藤先生の論にはかなりの疑問を感じている。(その前に、デフレ脱却したかどうか大いに疑問であるのだが、それは一歩譲ったとして。)

例えば、私の選挙区である神奈川は定員3に対して、有力候補は、民主2、自民1、公明1。一歩遅れて共産1である。今の新聞予想では民主1、自民1が固く、残る1を民主、公明で争うことになっているようだ。しかし、これらの候補のうち、どうみても「安全保障型」の候補は共産党の一人だけで、残る民主、自民、公明候補4人は「成長派」だ。第一、神奈川県は今なお人口流入は増加し、宅地開発は進み、企業誘致も激しい。「成長派」でないと、当選のめどはない。首都圏はだいたいそうだ。

では、ローカルではどうかというと例えば一人区ばかりの四国や九州を見ると、だいたいの場所は、自民、民主とも「安全保障型」が多い。そして、そういう人口の希薄な地区の最大の争点が「年金」になっているわけだ。

つまり、本来、民意(人口比)と少し違う形で数の決まる議員数の勝ち負けは、一人区で決まることが多く、その一人区は人口過疎地区であり、年金問題など社会主義的政策に敏感ということだ。

では、都会ではあまりいない民主党の中の「安全保障型」はどこに潜んでいるかといえば、民主党比例区の方に、労働組合系候補が大量に分布することがわかる。つまり、小沢戦略は、大票田の都市部には、受けのいい「成長派」の顔を並べ、地方では「年金問題」で自民党保守派を攻め、組織票でありながら、表に顔を出したくない社会主義支持層の投票で比例区で組織代表を懐柔する。というような巧妙な作戦になっている。

つまり、小沢民主の方は、選挙対策による合従連衡方式なので、選挙後の党としてのまとまりにどうしても疑問が残る。


一方の自民だが、斎藤先生は『成長への挑戦』というものの、安倍総理の政策は、あいも変わらず、教育再生、憲法改正、公務員制度改革。成長戦略をまじめに考えているとはとても思えない。どう考えても、民主党のトップが安倍で、自民党のトップが小沢と考えたほうがスッキリする。


そして、今回の参院選で自民党が、議席を減らすことはかなり以前から言われていたが、想像を超えた惨敗となった場合は、次の総理に替わるだろう。なぜなら、今回の惨敗の理由は、政権(政党)選択ではなく安倍総理不信任のようなものだからだ。


ところで、まだ投票には出かけていないのだが、選挙で誰に投票すべきか、なかなか迷っている。人柄で言えば、K産党の女性候補なのだが、彼女が党の中で重要に考えられているようには見えない。またK明党は元タカラヅカ。自民党は米国弁護士で松下政経卒の男性。民主党の一人は米国弁護士であり、世田谷の豪邸住まいの女性。民主党のもう一人は元脱サラ税理士で、神奈川鉄壁コンビの松沢知事と中田宏横浜市長が応援している(妙なことに応援する二人は松下政経卒)。

とりあえず、米国弁護士が議員になる違和感を感じているので、脱サラ税理士を本命候補として投票所へ行こうとは思うが、投票所は遠いので途中で気が変わる可能性も少しある。何しろ、今まで、私が、投票して、落選した候補はいないのだ(ということは、付和雷同型人間であることを公言しているようなものである)。



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地下鉄で解く詰将棋?

2007-07-28 00:00:55 | しょうぎ
8671fd63.jpg愛読ブログである「明日は明日のホラを吹く」管理人のbunさんは、名古屋地区の数少ないMacbook体験モニターをされているのだが、地下鉄内無線LANにチャレンジを始められたそうだ。名古屋市営地下鉄鶴舞線、八事駅構内で接続実験に成功。そして、栄えある公開画像に使われたのが、「おおた葉一郎のしょーとしょーとえっせい(livedoor版)」。



bunさん談では、鶴舞線の多くの駅で無線LAN可能とのことで、


これでこれからは地下鉄の駅で、おおたさんが出題する数々の詰将棋を解くことができるようになりました。

ということだそうだ。

もちろん、駅でつながるといっても走行中の地下鉄車内ではつながらないようだが、詰将棋の性格上、画像は動かないので、最初の駅で繋いでいただければ十分ともいえる。

そして、bunさんに挑発された以上、彼のために、速攻で、「地下鉄で解くための詰将棋」を作ることにした。

8671fd63.jpgこういう課題物というのは実際は平凡作になりがちだが、まあ、なるべく丁寧に仕上げてみた。どうも不動駒が多そうだ。

グレート・ヒントは、「名古屋市営地下鉄鶴舞線の上小田井駅から東山線岩塚駅まで行くにはどうしたらいいか?」。

この路線は、合計23分コースなので23分以内に解いてくだされまし。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手、手数と酷評を記入していただけば正誤判断。もちろんbunさんが一番先とは思うのだが・・


8671fd63.jpg先々週7月14日出題作の解答

▲2一角成 △同玉 ▲2三香 △1二玉 ▲2二香成 △1三玉 ▲2三歩成 △1四玉 ▲2四と △1五玉 ▲3六王 △1六玉 ▲1五飛 △同玉 ▲2五と △1六玉 ▲2六と △1七玉 ▲2七と まで19手詰

超俗手の初手を見つけると、10手目まで進む(途中図)。このまま「と金」を引いていくと、一手足りずに詰まない。

そこで、攻め方の王が3六に一つ下がる。まあ、この手が狙いの一手で、最後にと金が一つ余計に動くことができる。なお、3六王に4五香と飛車を取ると2手早く詰むため、後手は一旦1六玉と逃げるのだが、すかさず1五飛と捨てて解決。したがってよく考えると後手の4一香は不要駒なのかもしれない。

双玉問題で攻め方の玉が動くというのは、かなり好みの手なのである。










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世界的には、鉄道が元気

2007-07-27 00:00:15 | 市民A
c682555d.jpg地球に優しいという観点で言えば、飛行機、乗用車、トラックを利用するより鉄道の方がいい、というのは誰でも知っているが、飛行機よりは遅いし、クルマのように最終目的地にダイレクトで行ける訳でもない。鉄道は駅を拠点とした物流手段ということだ。皮肉なことに、日本の地方都市では、鉄道は、第三セクター化していて多くが累積赤字に苦しんでいる。

一方、アメリカでは既に多くのビッグネームの投資家が鉄道会社の株を買ったり、中国でも高速鉄道の計画が進んでいる。先日、NHK衛星でチベット地区への鉄道敷設が報じられていたが、沿海地区向けの初荷の大半がペットボトル入りのミネラルウォーターであるということが、現代中国経済の矛盾と狂乱と爆発を象徴していると思った。

ところで、欧州における高速鉄道網(計画を含む)の地図を見つけた。

じっくりと地政学的にながめてみる。

そうすると見えてくるのが、「EUの中心は、パリである」ということ。英国、オランダ、ドイツ、イタリア、スペインからの鉄道の交差点になっている。ロンドンもマドリードもその国内では中心だが国際的なハブにはなっていない。ローマなどは、単にイタリア国内の北から南への通過点。名古屋みたいなものだ。

しかし、もう少し見ていると、将来的に交差点機能(ハブステーション)になると思われる都市が見えてくる。

まず、フランクフルト。ここは、空路では欧州のハブになっていて、逆に個人旅行なら、ヒースロー空港経由で欧州各地行きの方が安く、すいているぐらいだ。鉄道もフランクフルト-ベルリン-ワルシャワというラインが見える。そしてブリュッセルからアムステルダムに向うライン。ハンブルグ-コペンハーゲン-スウェーデン方面といったラインである。

さらに、スイスとオーストリアは蚊帳の外なのだが、たぶんスイスは地形的な問題だろう。ウィーンは深い森の中に眠り続けるのだろう。

そして、もし仮に、老後に欧州に住むならと、鉄道地図を見ながら考えると、地図の左端、ポルトガルのリスボンから北に向ったポルトの周辺など、僻地感があふれていていいのではないだろうか。ポルトワインが旨そうではないか。さらに、元々、日本に西洋を最初に持ち込んだ国だ。カステラなどだ。私も文明堂のカステラは大好物だから、永住しても3時のおやつに困ることはないだろう。ただし、本当は、「カステラ」よりは「三笠山」の方が好きなのだが・・


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「水曜の朝、午前三時」は恋愛小説か?

2007-07-26 00:00:31 | 書評
6f46cc2f.jpg最近、冒険小説と恋愛小説を中心に読んでいるのだが、読んだ後、「ああ良かった」と思う作品に出会う確率は低い。現代はそういう社会なのだろう。一人一人が異なる人生、異なる価値観、そして異なる生涯の結末。

この「水曜の朝、午前三時」は、蓮見圭一2001年の作。文庫本になった時に腹に巻かれた帯には「こんな恋愛小説を待ちこがれていた」とあるのだが、それはいくらなんでも、オーバー過ぎる。「別に、誰も待ってなかった」のだが、作家の「直木賞狙いの一作」か。

ストーリーは恋愛小説にありがちな、「愛欲の深層心理」と「主人公をとりまく複雑な状況」という構造。

45歳の若さで逝った翻訳家で詩人、そしてA級戦犯の孫娘である四条直美が、娘のために遺した4巻のテープ。死を目前にしたがんセンターの病室で吹き込まれた遺言とも言うべきテープに吹き込まれていた内容をおこしたのは、その娘の夫。

舞台は1970年。大阪万博のコンパニオンとして働いていた23歳の直美と、外交官あるいは大学教授として将来を嘱望される理想の恋人、臼井との恋愛。しかし、大きすぎる障壁(白井が在日朝鮮人)が直美の前に立ちはだかり、一方的に臼井に別れを告げる。しかし、逃げるように別の男性と結婚した彼女のもとに“水曜の夜、午前3時”に起きた事件の知らせが届き、消そうとしても消せなかった彼の存在が再び目の前につきつけられる。

それから20年にわたって続く秘密の恋、友情。


まあ、すべてが1970年という年代、そして作品が発表された2001年、そして現在の2007年という時代の変化の中で、あらゆることが感覚的に変わっているのだろう。現在、読んでも感覚をともにしえないストーリーや描写も多い。在日という感覚すら、希薄になっている。「23歳の時に、もしも別れなかったら、今は・・」というような想像も、「その時に結婚しても5年後に離婚していたのではないだろうか」とか妙な現実主義が頭に浮かんでしまう。結婚とか出産というような女性にとっての(男性にとっても)重大イベントの感覚も変わっているのだろう。


ふと思うと、1970年に23歳だった直美がもし存命だったら今年、60歳。つまり団塊世代ということだ。

この小説は、恋愛小説というカテゴリではなく、「団塊世代の青春回顧小説」という筋なのかもしれないと、勝手に想像し、納得してみる。

(ところで今回の参院選では東条英機の孫娘、東条由布子さん(67)が出馬したのだが、小説の主人公である四条直美さんとは、何らかの関係があるのだろうか?あるいは単なる想像上の登場人物ということなのだろうか)

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扇子も「お気軽」

2007-07-25 00:00:24 | 市民A
京都在住の小島さまのブログで、私がささやかに進呈した将棋棋士の扇子について、1本のエントリを書いていただいた。「扇子にはセンスが必要という話」。ブログの題名にもセンスが必要なのだが、ちょっとこれは・・



実は、そう恐縮されなくても自宅にはかなり多数の扇子がある。将棋界の周縁部に生息していると、いつしか扇子が溜まってくる。実は、将棋指しの扇子というのは、商品性としては「扇子そのもののグレード」と「扇子に書かれた署名と墨文字の価値」との合計になる。

扇子そのもののグレードから言うと、いわば、松竹梅である。きわめて頑丈堅固の「骨太の扇子」を松とすれば、骨の数を間引きし、軽量化をはかった梅の扇子もある。たぶん、進呈したのは「梅」じゃなかったかと、ちょっと恥ずかしい。もちろん、大きければいいというものではなく、持ち歩くには軽量扇子の方がいいという場合もある。

そして、署名と文字だが、なかなか個性が出るものだ。



たまたま、人気棋士の扇子をさがしてみると、名人竜王谷川浩司「橘中の楽」、四段渡辺明「希望」、林葉直子「気楽に一局」、女流伊奈川愛菓「閃」。

谷川浩司九段が名人と竜王と同時に持っていた時のものだ。渡辺竜王からは新四段になった時にパーティでいただいたのだろう。美少女棋士伊奈川さんは、ちょっと変わった文字を書いている。林葉さんは肩書きなしだ。「気楽に一局」って・・「気楽な人生」には失敗しているようだ。



ところで、扇子を使う職業としては、棋士以上に扇子依存度が高い職業が「落語家(噺家)」である。噺家の歴史を考えるに、江戸時代にはパトロンに頼って禄を得ていたようである。そういう意味では多くの芸人が大名家のお抱えになっていたわけだ。

そして、大名家といっても、実は大名夫人がパトロンになっていたことが多いようだ。つまり、江戸表の大名夫人というのは、正妻なわけだ。そして参勤交代があるので、大名本人は生活の半分の時期は江戸だが、残り半分は国許の愛妾との生活である。こうして、大名夫人は自然にも出入りの各種芸人と情を通じることになっていたわけだ。不倫相手の職業として、もっとも人気が高かったのが「役者」。ついで「力士」。三四がなくて五が「噺家」ということになっていたらしい。



口の悪いスズメたちは、(差別用語あり)「お白粉こじきに砂こじき。三四がなくて扇子こじき」とささやいていたようだが、一説にはもっと大胆に(放送禁止用語あり)、「おしろいちんこにすなちんこ、三四がなくて、せんすちんこ」。とも言われていたようだ。



ところで、私は、最近は扇子を使わない。どうも、扇子に慣れているもので、バシッ、バシッ、パン、パン、パンとか激しい音を立ててしまって、商売上、威圧感あり過ぎになってしまうからだ。


この夏、天然コケッコー

2007-07-24 00:00:17 | 映画・演劇・Video
248e530a.jpg7月28日から「全国順次ロードショー」の「天然コケッコー」の試写会に行く。大満足!!

もちろん、細かな部分のアラもあるのだが、全体として素晴らしい映画だ。日本海に面した島根県の農村が舞台。全校6人の中学校に、東京から転校生の大沢君(岡田将生)がやってくる。中学2年の夏。訳ありの母親と一緒にだ。もう一人の二年生、右田そよちゃん(夏帆)との中学生らしい交際が始まっていく。

そして、夏祭り、東京への修学旅行、さらに高校受験というさまざまなステップを通して、徐々に二人の気持ちが同じ方向に向かっていく。

実は、この映画は、一見、青春物語のようなのだが、古典ギリシア劇のような、いくつかの対立軸を内在させている。「都会と農村」、「生と死」、「家族の和と不倫」。そして、うっすらと感じる「若さと老い」なのかもしれない。小さな中学校もその下の小学校も、何年か先には、無人となり廃校となるだろうことが語られる。


しかし、この映画、農村が舞台であるため、空や海、そして田畑が美しい色彩でスクリーンを彩るのだが、実は、少し油断ならないところがある。冒頭で不吉なシーンがあるわけだ。以前、飛び降り自殺のあった橋が登場し、右田そよは霊にまとわりつかれてしまう。そのシーン自体は、プロットの中で一応完結するのだが、この映画の底の方に流れる深層海流のように、結末での「悲劇性」を予感させるわけだ。特に、修学旅行で東京に上京した時に、都庁前の広場(二階)と道路面(一階)との間の手摺が、一瞬、橋の欄干のように見えるシーンがあって、「はっ」としてしまう。

私自身も、この美しい映画が「悲劇」で終わるのではないか、と一抹の不安を感じていた。どうも、パヴェーゼの「美しい夏」のようなギリシア悲劇をベースにした西洋主義に毒されていたのかもしれない。結果は、まったく「心配無用」ということだった。最終的に、中学卒業と同時に東京の高校に逃走しようとしていた大沢君は右田そよさんのフェロモン攻撃の前に、くもの糸に巻き取られてしまうわけだ(書き過ぎかな)。


ところで、この映画のロケは、このたび、めでたく世界遺産に逆転指名された石見で行われていた(映画の中では石見の地名は出てこない)。何という商魂と言うべきか、『「天然コケッコー」ロケ地巡りツアー』が始まった。「ゆこゆこおしゃれ旅」で有名な(というか知らない)旅行計画株式会社の45800円のツアー(1泊2日)だ。

もちろん、ツアーに参加しても、中学二年生と恋愛ができるわけではない。そのオカネを東京で・・・・・・(以下省略)。


しかし、大沢広海君の役を演じる助演の岡田将生君は、いかにもカッコイイ過ぎだ。どうも「おかだ」とか「おおさわ」というのはそういうカッコイイ役によく登場する名前なのだが、同じような苗字でも「おおた」というのは、たいていは「犯人役」なのだ。

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神戸・慰霊と復興

2007-07-23 00:00:41 | 市民A
a495ed3d.jpg神戸で詰将棋全国大会に顔を出した後、知人とステーキを食べる。私の舌では、高級か中級か程度はわかるが、神戸牛か米沢牛かとかの違いはわからない。東京にある神戸牛の有名店より、神戸の神戸牛の店のほうが高いというのも、どう考えればいいかよくわからないが、神戸は東京より、焼肉が比較的安くてうまいとのこと。韓国・朝鮮出身の方が多いからなのだろうか。当日の知人もその中の一人なのだが。

そして、そのあと、場所を変えてゆっくりと話してもらったのが、1995年の阪神・淡路大地震のこと。知人は、もっとも被害の多かった長田区の8階建てマンションの7階にいたそうだ。そして、その時の恐怖は、今、思い出しても体が震え出して、あっという間に様々な地獄絵を思い出すそうだ。この話をされているときも、声がふるえて視線が虚ろに宙を舞っていた。「生涯、この恐怖は忘れないだろう(地元の言葉だと、忘れへん、だったか)」とのこと。

身の回りに「生と死」が交錯し、町も人も異様な光景、匂いに満たされていたのだろう。

a495ed3d.jpgしかし、当時から言われていたことは、「多くが人災」ということ。さいわい知人が住んでいたのは、完成後間もないマンションだったそうで、結局、建物の被害はまったくなかったそうだ。一方、壊れたマンションは、あきらかに手抜き工事であっただろうに、混乱に乗じて、業者に対しては、お咎めがなかったそうだ。また、高速道路が崩れた問題も、明らかに手抜き工事だったそうだ。

それなのに、それらの実情は、中央政府に届くことなく、隠蔽。結局、震災後、マンションの設計基準が変わったものの、手抜き工事問題はそのままになってしまう。姉歯事件につながっていったのである。知人もかなり憤慨していた。


そして、翌日。朝の神戸を歩いていると、「慰霊と復興のモニュメント」を見つけた。地震で亡くなられた、多くの方の氏名が金属プレートに刻字されている。また、復興のための誓いとして、一本の炎が燃え続けている。

そして、私が、このモニュメント地下の慰霊空間で、地震の恐怖をイメージした10分後、中越沖地震が発生した。

そして、世界最大の原子力発電基地だけが火事になった。

たぶん、再起不能で、別の場所に原発を作り直すことになり、T芝だけが潤うのだろう。

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神戸の詰将棋全国大会

2007-07-22 00:00:31 | しょうぎ
5fac0104.jpg7月15日に神戸で行われた第23回詰将棋全国大会のこと。昨年の横浜大会につづいて2回目の参加。アカデミックの世界でいえば「学会」のようなもの。大会は午後1時に開始なので、東京方面から行くには、どうしても厳しい。あと1時間遅ければいいのに、と思いながら、数日前に羽田空港=神戸空港便を予約。スカイマークなのでかなり安い。問題は、この便に乗ると、10分遅刻すること。まあ、しかたない。

ところが、当日は台風4号が九州、関西方面から列島に沿って東上中。たぶん、「欠航→新幹線ノロノロ」ということになるのかな、と思いながらスカイマークのホームページをみても要領を得ない。さらに電話の予約センターは、回線不足でつながらない。結局、情報不明のまま羽田まで行ってしまう。そして、結果は新幹線の方が立ち往生で飛行機は飛んでいる。つまり、台風は関西を過ぎ、東海地方に到達しているため、ちょうど羽田から飛ぶと、台風の上を飛び越える計算になる。飛行機の方が上空を飛ぶので、すれ違いになるわけだ(結婚3年目のサラリーマンの貴方が、なんらかの事情で愛妻の待つ自宅に午後5時にフイに帰宅したら、自宅前から白塗りのBMWが走り去るのを目撃するようなものだ)。

そして、羽田の滑走路上で長々と出発待ちをしたため、結局、神戸の会場に到着したのは1時間遅れ。ちょうど第一部の各種表彰式が終わったところ。第二部のゲームから参加。谷川先生はじめ、数人のプロ棋士も着席している。

そして、三手詰、五手詰の早解き大会。一問30秒で解答の第一手を記入するのだが、苦手だ。別に詰将棋を解くのが苦手というわけではないが、30秒というのが短い。「詰みそうな筋」ではなく「詰まなそうな筋」を消していって正解にたどり着く思考法だからだ。

それに、この会場に来ている人たちは、詰将棋を「解く」方ではなく、「創る」方の人が多いのだから、少しこのゲームには違和感がある。むしろ、現場で総駒数5、6枚程度の握り詰(持ち時間30分とか)でも創って、完成作の投票でもしてみたらどうなのだろう。詰将棋名人が創作する方法なんか、もっとも知りたいところだ。

次に、詰将棋関連用語を使っての連想ゲーム・・。さらには谷川九段出題の詰将棋「縦1銀並び」(ほんとうは解けたのだが、解答中に書き間違えを繰り返し、面倒なので投票しなかった。個人的には横一金並べでも作ってみようかとヒントになった)。

それにしても谷川九段は、詰将棋界に多数登場されること自体は嬉しいのだが、それよりももっと重大な任務があるのではないだろうかと、思わないでもない。

その後、一人20秒スピーチ。昨年は変人が多かったような気がしたが、今年はそういう方は少なかったように思えたのだが、自分が変人化していて気付かないだけなのかもしれない。

そして、全員参加の記念撮影で解散。昨年の大会のときは、顔が映らないように苦心したが、今回は、結構、目立つ場所に立ってしまった。


夜の二次会は、会費から推して、旨い物が食えそうにないので、そっと現場を去り、現地の知人と、牛肉を食って、みっちり話しこむことにする。

本当は二次会で表彰のある「アマ連杯握り詰コンテスト」選考対象17題に残っていた(昨年も残っていた)のだが、パッとみた感じは10番目くらいなので表彰圏外と判断。

この握り詰も、金の代替に、と金とか成香、成桂とか使う作品は、いかがなものかとも思うが、17作中6作はそういう成駒使用作だった。私の出品作も、最後の一手に余詰(というか手伸ばし)があって、ちょっとキズがある。いずれ紹介予定。

5fac0104.jpgところで、本格的に詰将棋を創り始めたのが1年半ほど前からなので、「なぜ、詰将棋の会などが全国にいくつもあるのだろうか。本来、団体で作るものではなく個人で作るものではないだろうか」という疑問を持っていたのだが、おそらく現代はネット社会で、個人のホームページやブログで公開できるのだが、以前は、個人活動では作品発表の機会がなかったということなのだろう、と推測するのである。


さて、前々週7月6日出題作の解答。

▲1二香 △同玉 ▲2二角成 △同香 ▲1三飛成 △同玉 ▲1四香まで7手詰

初手に▲2二角成 △同香 ▲1三飛成という強烈な決め手に対しては、△1二香というさらに強烈な返し技があり、動けなくなる。チェスでいうピンだ。

その他、▲2二角成 △同香▲1三香 △2一玉 ▲1二香成は△3一玉の時に攻め方の龍が動けないので失敗する。

要するに1二の隙間を先に埋めておかなければならないわけだ。





5fac0104.jpg今週の問題は、変わった形の出題。途中で非限定ありだ。

あまり難しくない。この形にするために努力したようなものだ。

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京都三条・先斗町を歩く

2007-07-21 00:00:52 | 市民A
956e1c93.jpg神戸から京都までは、通常は「新快速」というグリーン車のついていない快速に乗る。しかし、神戸から京都に行こうとした日に限り、人身事故でJRが不通。しかたなく、「三宮」から阪急で「十三」へ。そして「十三」で乗換え、「河原町」へ(十三は「じゅうそう」と読み、13とは読まない)。まったく、予想外の展開になる。

ところが、街は祇園祭りのさなかで、歩道は大混雑。向きを変えるのも難しい。人並みの少ない路地に入ると、そこは「先斗町(ぽんとちょう)」だった。日本ではめずらしい「パ行で始まる地名だ」。ここが、今まで、文字としてのみ認識していた祇園の花街なのだが・・

確か、細い道に面して奥長の建物が並んでいて、地元の名士と若い芸妓との非合法的擬似恋愛行為が行われるところではなかったのだろうか。そういう「元花街」は、50年前の売春防止法のあと、業態転換を繰り返し、直近では、風営法という売春解禁法の店に宗旨替えしたはずなのだろうか。

956e1c93.jpgところが、細い道をいくら歩いても、両側は料理店ばかりが店を競っている。道幅は約一間(約2メートル)か。乗用車は入れないから、どんな関西系大会社の社長でも少しは歩かなければならない。それっぽい店があるかと思ったが、置屋が一つとちょっと離れたところに華やかなホテルが見えただけだ。会員制のクラブもあるが、そういう閉鎖社会のクラブに入るのが素晴らしいのかどうか、よくわからない。ミクシィが好きな人と嫌いな人がいるようなものか。

先斗町が東京の吉原のようにならなかったのは、京都が文教都市だったからなのか、既に京都郊外に雄琴温泉という巨大ピンク産業があるからなのかは、判然としない。案外、この一見、紳士気取りな町の会員制クラブで水割り一杯飲んだ後、バックドアをあけると奥に青畳の部屋があったりするのではないだろうか。


ところで、この狭い道で、仮に男女で歩いていて、雨が降ってくると、「一本の傘におさまるしかないなあ」とか考えていたら、急に雨粒が落ちてきた。どうも最近、思ったことが、そのまま現実化してしまうことが多く、困っているのだが、たいていは、嫌なことばかりが起きるものだ。


956e1c93.jpgそして、京都は歴史の街である。ただし、明治元年をもって、京都の歴史は終わり、観光都市の道をまっしぐらである。歴史が何重にも積み重なった町並みで、「ここは、何があった場所」とか考えてもしょうがないのだが、三条河原のそばに「豊臣秀次の墓」があった。おそらく、ここの河原で、豊臣秀吉による弟秀次一家皆殺しという虐殺が行われたのだろう。

そういえば、昨日、神戸で、知人と手抜きマンションの話をした時に「姉歯」という符号が出てきたが、彼の本名は姉歯秀次だった。彼の場合、本人は生き延び、妻は亡くなった。

鴨川は前日通過した台風4号の影響で、轟々轟々と濁流が流れていた。

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祭りの風景

2007-07-20 00:00:34 | 市民A
a2fb395c.jpg7月16日に京都にいた。主な目的は京都山科で当日の夜に予定されているブロガーの集まりに出席するためなのだが、7月の京都といえば、「祇園祭」である。それもメインイベントは17日の日中に京都市内で行われる山鉾巡行。さらにその前夜祭というべき前日の夜の宵山ということになる。

しかし、実際、京都のことはよくわからないのであって、色々と事前に調べると、この祭りは千年以上の歴史があるようだ。17日に行われる山鉾巡行のことを「先のまつり」といって、7月24日に行われるのを「後のまつり」と言っていたそうだ。そして「後のまつり」は「前のまつり」より規模が小さく、盛り上がらないということもあり、40年ほど前に前後統合して17日に一括して行われるようになったらしい。

したがって、いわゆる「あとのまつり」というのは「手遅れ」を意味することばのように思われているが、実際の語源からいうと、「規模の小さいこと」を意味することばであったのだろうか。たとえば、「あの二人はバツイチ同士の再婚なので、披露宴は、あとのまつりってことね。」とか・・

a2fb395c.jpgそして、今年は、16日の宵山は祝日である。深夜まで京都市内は人出で盛り上がることが予測されているのだが、私が市内にいるのは夕方まで。それでもお昼頃から続々と地下鉄の出口から浴衣姿の老若男女があふれ出してくる。もう、歩くのも渋滞である。第一、京都の地理に疎いし、地下鉄の駅のマップは、南にある京都駅が上にある地図と下にある地図の両方があり、さっぱりわからない。

四条河原町あたりから人波に任せて、流されていたら、運良く山鉾の中のキング格である「長刀鉾」の前に迷い出てしまった。どうみても木造2階建て住宅だが、一日後には、これを引っ張って街中を行進するのだろう。大変なエネルギーが必要だが、特にエンジンとかはついていないように見える。誰が引っ張るというのだろうか。封建的奴隷制度の名残なのだろう。貴族階級は奴隷階級の苦業を見て喜ぶのだろう。


ところで、関東では、このノリは、絶対に「花火大会」なのだが、「花火大会」は特定の一日の、しかもある時間にドカンとはじまり、2時間ほどで終了するのだが、祇園祭は延々と何日も朝から晩まで続いているわけだ。カップルも多数、街中に出没していたが、祭り期間中は、毎日、一緒に歩き回らなければならないのだろうか。京都の女性と付き合うのも楽じゃなさそうだ。


a2fb395c.jpgそして、どうしても浴衣の女性に眼がいってしまうのだが、1000人に3人くらいの比率なのだが、襟元に白いフリルのついた浴衣を着ている少女たちがいた。流行のハシリなのだろうか。あるいは単にカブキ者なのだろうか。

草履を素足に履くと親指と人差し指の間の皮がむけてしまうので、ソックスを履いている娘もいたが、それより、あらかじめバンドエイドで指をコーティングしている娘の方が賢いということだろうか。しかし、どうも妙なところばかりに視線がいってしまうものだ・・

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京都でブロガーパーティ

2007-07-19 00:00:06 | 市民A
e113bc7f.jpg前の週末から、関西方面にでかけていた。都合により順不同のエントリだが、京都山科を本拠地としているブロガー、小島さんを表敬訪問することにしていた。

そして、それが決まってから約1週間の間、京都に持っていく手土産について思い悩んでいたわけだ。本来、「とらやの羊羹」とか選べばいいのだが、実はとらやは元々京都の出で、京都の味を江戸に持ち込んで大当たりした歴史を持っている(あるいは、隠している)。羊羹を小島さんに見せたところ、「よう、帰ってきてくだはった」とか言われて、無知を恥じ入るのは嫌だし、ようするに日本の文化の何割かは京都産なのだから、手土産の選択は難しい。

ところが、幸い(あるいは不幸に)、小島さんは、この機会にと、京阪神地区在住の知人ブロガーに声をかけていただいたようだ。大西宏さん大峰さん中尾さんを加え、計5名となった。したがって、羊羹4人分持っていくと重過ぎるし、逆に財布も軽くなってしまうので、自宅に大量に在庫のある将棋棋士署名入り扇子4本を持っていくことにする。何しろ、軽い。

そして当日は、京都最大のイベントである祇園祭りの前日。且つ、週末の休日ということで、京都市街地は大変な混雑である。夜は「宵山」という行事があり、リオのカーニバル状態のはずだが、小島さんの本拠地「山科」は隣町であって、こちらには影響はない。

小島さんに連れて行っていただいたのは、山科の焼き鳥店。東京とかなり違うのは、たとえ焼き鳥でも「料理」という概念で調理の手が入っている。肉片の切り方だって無造作ではない。これが京都なのだろう。どんどん、飲みが進んでいって、よく覚えてないのだが、とうとう、赤ワインの在庫を飲みつくしてしまう、という営業妨害の始末。いつもながら田舎者みたいなドランカーだ。

ところで、いつブログを書いているか、ということについて、深夜派と早朝派がいることが判明し、やや驚く。結構、ブロガーだけにしかわからないテクニカルな(しかし、高度ではない)悩みについて意見交換。「毎日書くための方法」「書評に著者が登場すること」「2ちゃんねらー対策」などなどなど。



ついに記念撮影。撮影前に「日本人の欠点は、写真を写すときに”ニッ”と笑うこと」というある人の発言を考慮して、笑わない顔を作った人3人。思い切り笑い顔勝負の人1人。謎の微笑み1人だ。5人の名前と顔はなかなか一致しないかもしれないが、おそらく今週末(22日)に別の集合写真を公開するので、その二枚の写真のどちらにも登場するのが、私である。

ところで、この5人の写真だが、向かって右の二人は、「壁に映る影」が不吉ながら、薄い。



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二つのZ店

2007-07-18 00:00:01 | マーケティング
週末に近くのモールで買い物をしたのだが、後で気がつくと、Zで始まる二つの店に連続して行っていた。

まず、「ZOFF」。だいぶ前に弊ブログに書いたことあるが、メガネの店。普段はコンタクト派だが、コンタクト派もメガネを持たないでいいわけではなく、オフタイム用や、緊急用に必要だ。そして、あまり使わなくてもメガネは痛んでくるし、フレームの流行もある。そう考えると、コンタクト派(それも1DAY)は、かなり割高になるのだが、まあ、それぞれの都合がある。



そして、前のメガネは2年近く前に「ZOFF」の渋谷マークシティで購入したのだが、その後、案の定、店舗は大拡大。一時のユニクロやスタバのように、「ZOFF」が出店しているかどうかで、街の文化程度が決定されるような状況かもしれない。「ZOFFのある街、ない街」。そして、自宅近くの「ZOFF」は大繁盛になっていて、店頭で気に入ったフレームがあると、とりあえず、そのフレームを右手にキープしておいて、別のフレームを物色しないと、なくなってしまいそうだ。片手に数本のメガネを持ったまま、別のメガネを着けるのは、難易度が高い技だ。

若干、気付いたのは、この店舗の価格付けで、基本的には3プライス制で、5800円、7800円、9800円の3種類で、レンズ(ただし球面)付きで仕上がる。以前は、この3種類がほぼ同数の比率だったと思うのだが、どうも5800円レベルは、極めて数が少なくなっている。中学生が最初に買うようなデザインのものに限られている。実質的な値上げを図ったのだろう(もちろん、5800円のメガネで、本当に中学生のような若作りに見えるなら、嬉しいのだが、・・)。

結局、フレームの下側に「角がある」タイプでないとボケ顔になるので、そういうタイプにする。最近は、追加コストを払えば、非球面レンズも作れるようだが、細目型のレンズにしたので、非球面にしても効果がなさそうである。

注文してから引渡しまで45分のはずだが、お客様が多すぎて、注文までに30分、また引渡しの順番待ちに20分が余計にかかってしまった。ただし、レンズデータを持っていれば、検眼はいらない。


次に、モール内をうろついていたら、まぎれ込んだのが、「ZARA」。

そう、スペインのユニクロだ。実は、こちらは世界中に大拡大中だ。「GAP」の後追いとも言えるが、ユニクロが海外でうまくいかないのと対象的だ。「ZARAのある国、ない国」。何年か前に、スペインに行った時は、「デザイン、ダサ~」という感じであって、数年前に日本上陸した時も、「スペインのオジサン、オバサン(スペインのしまむら?)じゃあ」、と靴を向けなかったのだが、たまたま、モール内の人混みを迂回するために、すいていたZARAの店内を通り抜けようとしたのが、浪費への一歩だった。

「ZARA MAN」ブランドのビジネスバッグ2割引を思わず購入。ついでに、店内のアイテムをチェックすると、以前とデザインは大きく変わっていて、少なくとも「くすんだベネトン」的に進化している。ふと思い出したのは、以前、大野ゆり子さんが講演会で話していた「EU内の多国籍企業は、域内各地の人材を混ぜっこにしている」ということ。これが、現在のEU経済の爆発的発展の典型パターンなのだろうと納得する。

では、なぜ、日中合作のユニクロが英国や米国でうけないか、ということだが、まったくの私見だが、日中どちらも人種も、衣料品のデザインや色彩に無頓着ということではないだろうか。デザイン度で言えば、Aクラス:EU、Bクラス:USA、Cクラス:日中韓ではないだろうか。つまり、Cクラスが集まって商品を作っても、Cクラス以外にはならない、ということかもしれない。


ところで、このZOFFやZARAだが、発音が濁音で始まる。よく濁音で始まるネーミングは「覚えにくいが、忘れにくい」という。

しかし、ZARAだが、本家スペインでは「サーラ」と発音していた。濁音じゃなく清音。日本では、本当は何と読むのだろうか。実は日本法人は「(株)ザラ・ジャパン」と表示している(パンフレット)。自称「ザラ」か。「ザーラ」と伸ばして読む人が多いような気もするが、どうなのだろう。だいたいスペインでは今でもサーラなのだろうか。「トヨダ」自動車がトヨタ自動車になったようなものだろうか(ホンダは「ホンタ」にはならなかったが)。

「ZARD」は?