医療費、誰のために誰が払うのか

2005-09-30 21:28:28 | 市民A
a5629fe8.jpgよく講演会や懇談会に出席するが、「ああ良かった」ということはめったにないのだが、今回は例外的に、非常に良かった。正式な演題は「日本経済と社会保障の改革」。講師は、近藤正晃ジェームスさん。ちょっと妙な名前だが、その件は触れない。1990年に大学卒業で、現在はNPOである日本医療政策機構副代表理事で政府の社会保障改革の医療部門でのアドバイザーになっている。数日前に都内某所での講演だが、公開可能日が9月30日となっていた。


産業構造と生産性
まず、講演は妙な話から始まる。日本の産業就業動向(第1次、2次、3次産業)と、その米国との生産性の比較の話だ。まず農業を中心とした1次産業の一人当りの生産性は、米国の15%と圧倒的に不経済だが、人口比が5%と少ないので無視(よく考えると、農林水産省など不要なことがわかる)。次に第二次産業(工業)では、ほぼ米国と生産性は同じということになる。そして問題は第三次産業である。サービス業は生産性が米国の60%と極めて低い。そして、このサービス産業の中で、急に就業人員が増えているのは医療サービス部門とのことだそうだ。

最近に至る間、工業分野では雇用数が縮小しているのに、総失業者数が増加しないのは、もっとも大きい理由としては、この医療分野で新規に発生した雇用に負っているとのこと。
したがって、医療分野で生産性を上げ、従業者数を増加させることは、医療費が下がる効果があるか、あるいは、有効求人数を増やすことになる、ということになる。

一見、成功しているように見える医療制度の誤謬
次に、日本の医療制度はアメリカと比べ、一見、成功しているように見えるそうだ。GDPに占める医療費は日本は7~8%だが、アメリカは13%。それでいて平均寿命は米国(男74、女78)に対して日本は(男78、女84)と長寿だ。

しかし、近藤氏の見解では、それは日本人の方が米国人より健全な生活を送っているからだそうだ。米国の方が日本よりも、多く亡くなっている原因は、「心臓病」「殺人」「HIV」のせいだそうだから。逆にそれを補正すると、GDP対費用としては米国と同じ位の比率になるのだが、内容が違うのだそうだ。例えば、日本では余計な薬を出す。ベッド数が多い。逆に、医師が少ない。

逆に、米国の医療保障制度は、どうみても平等性に問題が多く、金持ちしか治療を受けられないという側面がある。(もちろん米国人にとって一番必要なのは、医療制度ではなく、生活習慣病の原因退治の方だろう。太りすぎだ。)

日本の医療費の無駄
次に、話題は日本の医療費になる。社会保障費と言う場合、主に「年金」と「医療費」が二大項目となるのだが、個人の立場で言えば自分の年齢の経過に伴って生じる年金問題は実感しやすいのだが、医療費問題は自分にとってその必要な金額が不確定なだけに、言いようのない不安があるわけだ。そして事実、このままにしておけば20年後には年金問題よりも医療費問題で消費税が30%台になる可能性があるとすれば、それは何とかしなければならないということに行き着く。そして問題は、非効率なシステムが生むムダ(約25%)を排除していくことが第一歩ということだそうだ。薬の乱発と過剰な入院期間の問題だ。

具体的には、薬価の引き下げはまったく効果がないそうだ。それだけ多く薬を処方するだけになるそうだ。「薬剤費不変の法則」というらしい。医薬分離の徹底と、症状による上限設定のような制度が必要ということらしい。そして、過剰入院についていえば、「包括支払い方式」を導入して、病名あたりの上限金額を決めてしまえば、医院側は逆に早く患者を退院させた方が有利になるということだそうだ。要するにベッドに横たわる患者というのはマナイタの上の鯉(あるいは鍋の前の鴨)であるということだ。

そして、小泉内閣のこの4年間で変化したのが、医療問題の意思決定メカニズムであり、従来の「厚生労働省・日本医師会・自民党」という「鉄の三角形」という構造が崩れ、厚生労働省に代わり「内閣府・財務省」、日本医師会に代わり「医療関連団体」、自民党に代わり「患者・市民団体・メディア」というように公開性が高まっていると評価している。

医療費削減の先の行き先
そして、医療費を25%削減するのが第一歩とすると、実はその先にさらに国民自体が選択しなければならない難問題が待ち構えているわけだ。医療の方向ということ。

つまり、
Option1. 平等性を強調し、北欧のように、高度の医療制度を導入し、高額消費税を導入するケース。

Option2. 公的補償は今くらいのレベルにし、高度医療は個人の負担で行うこととする。(これは現在の歯科医療のような形態。)

Option3. 医療費を徹底して抑え、政府負担を最小にして、医療の先端技術は米国等海外にに任せる。(どうしても最新治療を受けたい人は海外で治療を受けるようにする)

というようなところだそうだ。

そして各種アンケート調査によると、意外にもこのoption3を望む声が、圧倒的に多いそうだ。

実は、年金制度は、自民案も民主案もこのoption3に近く、払えるだけしか払わず、消費税の大幅アップはしないということで、税制上はかなり健全な選択であるが、医療費の場合もそういう考え方が正しいかと言われれば私見で言えば「乱暴過ぎる」と思うのであるが、やはり人口減少に伴い(日本国籍人口が減少し、日本在住人口はステイかもしれないが)、GDPの減少を防ぐのが精一杯とすると、もはやoption3しかないのかもしれない。製薬会社株は「ウリ」かな。

社会保障制度の目的の変化への対応(ここから先は完全な私見)
当初の目的は、保健所を中心とした防疫機能ということであり、伝染病や中毒の蔓延を防ぐというのが「社会的役目」であった。一方、突然の発病と、治療費負担という経済的保障という「保険的役目」の二面性がある。

「伝染病や交通事故、花粉症のように自己責任とは言えない原因による疾病」は、3割負担と言わずに、ほとんど全部を国あるいは国民同士が保障すべき範囲だと思うのである。しかし、「自己の怠慢や放蕩から発生する、生活習慣病の治療費」まで、国民全員で負担しましょう、というところに現行制度の無理があるのだろう。疾病の種類によって負担率を変えるべきだろうと考える

ただし、よく考えると、喫煙者やアルコール依存症や肥満体や運動不足、睡眠不足の人から多くの社会保障費を徴収するということは、現実的には無理と思える。私見であるが、それならタバコやアルコールやアイスクリームやキャラメルの価格に、社会保障費前払い分として目的税として徴税するのが合理的になる。

そして、もう一つの側面である「経済的負担の軽減」について言えば、保険料や投入される税金が傾斜方式になっていることから、現在の体系は合理性を維持しているが、逆進性の高い消費税に頼るのは、実質的な不平等をひきおこすものと考えられるのだ。


ただし、長期的に医師を痛めつけるようなオプションを採用した場合、医師になろうとする人材が減少することも考えられるだろう。何しろ、日本の開業医は、大学に所属している世界的な名医よりも高収入を得ている羨望の職業だからなのである。
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富士に向かって撃て!

2005-09-29 21:33:07 | スポーツ
478a0e80.jpg昨日、本間ゴルフのことを書いたので、ついでにゴルフネタをワンモア。

前の週末に台風17号の接近にもめげず、御殿場方面の山岳型ゴルフ場に行く。接待ゴルフ。大口株主様を喜ばせて損なはずがない。世は株主資本主義一色の時代、固定株主の方々からの様々な角度での相矛盾した要望を適当に処理するのが最大のオシゴトなのだ。「配当性向・ROE・ROI・PCFR・EVA・WACCにボラティリティにメザニンに・・・・・」。一言でいえば、中身が社会主義的な会社を資本主義の会社と誤認させる仕事ということだ。

まず、当日の朝、ゴルフ場に到着すると、驚くことに雨も風もない。やや薄陽まで出ている。思わず、同伴プレーヤーに、「日頃の行いが、」と言いかけるが、その後のコトバは誰の口からも出てこない。行いがいいわけないからだ。他人の夢や不幸を食って生きている獏のような会社連中だからだ。


そして、クラブの話をすれば、最近はミズノ製をずっと使っている。特段好きなわけではなく、ダンロップとかキャロウェーとか放浪の旅の結果だ。このミズノというのは、ややこしいのだが、社長一族は「水野姓」である。そして、以前のブランドは「美津濃」であり、現ブランドは「ミズノ」であり、英語では「MIZUNO」である。昨日、本間ゴルフの中国での人気が高いのは、ブランドが漢字であるという説を披露したが、その仮説を信じるなら「MIZUNO」ではなく「水野」にした方がいいかもしれないが、何となくボールを池に落としそうなイメージがあるのと、反日主義者から「中国人から搾取するためにブランド名を中国語に変えた資本主義の走狗」と、別のレーベルを張られるかもしれない。

米系ゴルフメーカーの戦略は、やさしめのクラブを作って、標準的なスウィングで打てば、なんとかなるという「汎用品戦略」なのに対して、本間ブランドは、個人個人のスウィングに合わせた「専用品戦略」である。「多品種少量生産」。しかし、そのあたりが、若い人がすぐにレッスンを受けて正しいスウィングに矯正していく、という現代の流れに乗れなくなった一因なのだろう。

以前の会社で入社数年の若手社員から「ゴルフを始めたいのだが、どんなクラブがいいのだろう」という内容の相談を受けて、注意点を何点かぺらぺら喋ったあと、後日、一緒に回った時に驚いたのは、初心者の彼が買い揃えたのが、なんと「本間」だったからだ。要するに、金持ちだったのだ。もちろん使いこなせるはずはないのだが、何発か打たせてもらうと、私が打つと素晴らしいボールが飛んでいく。「もしも手放すなら、私が10万円で買うから」と冗談を言っておいたのだが、相変わらず彼は下手なままでゴルフをやめそうな気配である。以前のジョークを忘れていることを祈るだけだ。その後、私も十分に下手になっているからだ。

478a0e80.jpg何番ホールだったか、正面に富士山が広がるコースがあった。台風接近の当日なので、さすがに頂上の方は雲がかかっていたが、絶景だ。その反面、もし富士山が噴火活動をはじめたらおしまいだ。御殿場の全ゴルフ場は倒産。会員権も紙屑。従業員は失業ということになる。

そして、富士山裾野を撮影した1分後にティーグランドから放たれた白球は、久しぶりの快心のショットではあったのだが、残念ながら左上空30度方面の空の彼方へ吸い込まれて行き、ネバーリターンということになってしまったのである。
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正義は勝つ!

2005-09-29 21:32:09 | スポーツ
阪神優勝。ついでにソフトバンクも暫定1位。両者ともおめでとうと言っておく。ファンではないが。

まず、不正義を売り物にする球団でなくてよかった。

さて、勝っているチームには関係ないが、目標未達のチームでは多く監督の交代が行われる。が、そこにはなかなかドロドロしたものが多いようだ。なぜか誰の意のままにもならず、奇妙な結果になることが多い。野村というのも何だろう。再生工場といわれる腕を使って、ロートル選手の補強をしないで使いつぶしにしようということなのだろうか。それは無理だ。既にモルヒネは今年使っている。来年は故障者だらけのはずだ。

ところで巨人の監督だが、星野に断られたあと、また原に戻るようだ。中畑も江川もお預け。それなら、楽天でもヤクルトでもオリックスでも広島でも監督になれば、いいじゃないかと思うが、そうも行かない。弱いチームの監督では再起不能になるからだ。そして、ジャイアンツ監督史を考えると、案外、2回監督をやった例は多い。
初代監督から並べると、こうなる。
藤本定義-中島治康-藤本英雄-中島-三原修-水原茂-川上哲治-長嶋茂雄-藤田元司-王貞治-藤田-長嶋-原辰徳-堀内恒夫
2回勤めたのが、中島、長嶋、藤田と既に3人もいる。(長嶋-藤田-王-藤田-長嶋という順番なんかどうみても理解できない)

ついでに昨年までの勝率を見ると、大監督と普通の監督の差は数字でわかる。
高勝率組
藤本英雄.596、中島治康.571、水原茂.586、川上哲治.590、藤田元司.588、原辰徳.575

普通勝率
藤本定義.533、三原修.538、長嶋茂雄.538、王貞治.538(含むホークス)

負け越し
堀内・・昨年は勝ち越しでプラス7だったが既に今年はマイナス18。彼には復帰のチャンスはないだろう。

ところで、三原、長嶋、王の勝率はそろって.538だが、驚くことにもう一人、星野仙一の監督勝率も.538なのである。
そして星野のもっている監督記録といえば日本シリーズでの勝率だ。2回以上出場監督の中で実は、星野は最悪だ。中日、阪神で3回登場で0勝。通算成績は5勝12敗。勝率.294だ。逆に川上は11回出場で全部優勝。そして通算44勝18敗。.710。そんなに星野がいいのだろうか。

ところで、中畑は以前から監督候補と言われていたがオリンピックでケチがついた。長嶋急病の後を受け実質的監督として采配を振るったのだが、失敗。

そこで、ジャイアンツの監督候補適任者として奇抜なアイディアを出すなら、やはり中畑を助監督にして、オリンピックのように長嶋監督というようにすればいいのではないだろうか。そして、ベンチには背番号3のユニフォームをぶらさげておけばいい。あとは携帯電話で田園調布から指示がくるのを待つだけでいいのだ。
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本間ゴルフは再生できるかなあ??

2005-09-28 21:35:23 | スポーツ
f19c20c6.jpgゴルフ用品(高級クラブ)の名門である本間ゴルフは今年6月20日に民事再生法適用の申請をし、ジャスダック市場からの上場も取り消された。そして紆余曲折を経て、とりあえず新スポンサー候補が現れたらしい。日興アントファクトリーとマイルストーンターンアラウンドという2社の再生ファンドだ。しかし、本当に民事再生法により再生プランを描くと、現経営陣がそのまま居残ることになるので、それで本当に再生できるか、と心配になる。

本間ゴルフの経営危機は、2000年頃から顕著になってきた。1997年のピークには約340億円あった売上は2003年度は163億円、2004年度は149億円と落ち込んできたにもかかわらず、山形県の最新工場に設備を増強、ロードサイドビジネス用に郊外に大型店の出店を続ける。その結果、クラブやその原料といった棚卸資産(要は「在庫」)はほぼ1年間の仕入原価(66億円)とほぼ同額の64億円分と膨らむ。毎年、何種類かの新製品を投入しなければならない業界なのに、1年分の在庫を持つということは、最初から中古品を売っているようなものだ。

そして、2003年3月末の決算では、過去の清算とばかり、「在庫評価損をはじめとするリストラ的損出し」をした結果、43億円の最終損失を出すにいたったのだ(それでもまだ1年分の在庫があるということ)。その結果、監査法人が、この決算について「意見を表明できない」という異例のコメントを発表したわけだ。そしてその監査法人とは、またしても「中央青山」だ。「決算書の魔術師」が「決算書の錬金術師」になってしまった。突然、今までの粉飾を自供したのでは「オレの顔に泥を塗った」ということだろう。それに対する法的対抗策(仕返し)が、「監査できない」という返礼だったのだろう。

こうして本間ゴルフはいったん破綻して、スポンサー探しが始まっていたのだ。6月20日の段階での債務は、約305億円。大手銀行、政策投資銀行などだ。各銀行の融資担当者は、以前の親睦ゴルフ会の賞品のゴルフクラブを既に中古ショップで売却処分していることだろう。一方、本間ゴルフへの売掛金を焦がした会社はあまりないようだ。

そしてこの会社のことを調べていくと、やはり「放漫経営」ということに尽きる。さらに言えば、ユーザーニーズの変化を表面的にしか見ていないことがわかる。クラブに新素材を使って、少し高い単価に設定すれば本間のブランドで売れると考えていたふしがある。ウッドというコトバの元になったパーシモン(柿)を素材とした技術の時代は先進的だったのだろうが、素材は変化し、米系の大資本(キャラウェー、テーラーメイド、そしてナイキ)が研究開発と広告費をつぎ込み、比較的安価なチタンクラブを、一気に大量に市場に流していく手法に対して、本間は「直営店方式」による「face-to-face」販売を指向したため、利益率は高いが(粗利率44%)、数量が落ち込んでいったと考えられる。結果として、世界最大級規模の山形県の酒田工場は逆に重荷となり、郊外店構想も土地賃借料と従業員という2つの固定費負担に沈んでしまったのである。

横浜港北地区にも郊外店があるのだが、あまり高級そうに見えない建物で、高級過ぎるクラブを並べてもまず売れない。ウッド3本で20万円、アイアンセット40万円はいかにも高い。店のそばには「アルペン」もある。また高級店舗の極みのレクサス店もオープンした。まさに本間の郊外店は、「中途半端」なのだ。また都心店は、そばに「アメリカンゴルフ」といった格安店が安売り看板とノボリを掲げ乱立状態だ。まったく苦戦。さらに直営ゴルフ場も破綻。

しかし、この本間が大好きというファンが、意外な部分で着実に増加しているということを知っている。それは、中国大陸など東アジア地域なのだ。決算書を見ても、売上の30%がアジア向けだ。残りは日本国内。

昨年、来日した中国人バイヤーの方と商談をしたのだが、夕食を誘うと、「本間ゴルフに行かなくては・・」と断られてしまった。さらに帰国前に再度昼食を誘うと、またも、「本間ゴルフに行かなくては・・」言われてしまった。要するに、中国で加速するゴルフビジネスの中で、にわかに金回りのよくなった人(いわゆる、な○きん)が、札束を握って高級クラブを買いまくるということなのである。そして、米系メーカーよりも、他の日系メーカーよりも、圧倒的に中国人に評判がいいのがこの本間ブランドなのだが、私は、その理由は簡単なところにあると見ている。つまり、ブランド名が「漢字」なのだ。

また、クラブを売るには、契約プロに活躍してもらわなければならないのだが、HPを見ると、契約10選手が記載されているが、驚くことに2人が日本人で8人がアジア系の選手だ。つまり、会社は、ターゲットを知っているにもかかわらず、顧客層の見えない郊外店を次々に増殖したことになる。

ところで、本間ゴルフは1981年に、工場を山形県酒田市郊外に竣工させ、以後1995年まで何度も工場増設を繰り返しているのだが、この酒田市と本間という組み合わせで、ピンと来るものがあった。つまり「酒田と言えば本間家」というのは。江戸時代後半から、営々と築き上げた大富豪で大地主であった本間家が、第二次大戦後、GHQが発した一枚の「農地解放令」で「一夜にして一文無しに凋落した代表例」として取り上げられるくらい有名な話なのだ。そして、少し調べてみると、本間ゴルフはまさに本間家の末裔であるらしいのだ。

実は、正統本間家の歴史には、このゴルフ一族は登場しない。正統本間家の史実では、終戦の時の当主は第10代真子(マスコ)。このあと、本間家は番頭やら遠縁やら総がかりで、家の再建に取り組み、やっと縮小均衡を得るのだが、途中で番頭による持ち逃げ事件なども起きているようだ。

一方、ゴルフ本間家の方はよくわからないが、2004年12月14日(つまり破綻の半年前)にTBS系番組(世界バリバリバリュー)の中で、酒田の大富豪として紹介されている。それによれば、自分こそ今や、本間家の代表のような話になっていて、かつて、ひいおじいさんの投機失敗で酒田を追われたというようなことが書かれている。そして、家賃65万円で600万円のスカイラインGTRに1000万円の改造費をかけ、金ぴかのゴルフバッグを部屋に飾り、皇族や総理大臣からの記念品の山の中で生活しているとなると、つぶれて当然ということになる。

そして、最初に戻るが、再建策について、この秀一社長がOKを出したかどうかである。何しろ、2つの再生ファンドを見つけてきて、再建策をまとめたのは、フランス系投資顧問会社ラザードフレールである(アルゼンチン国債の処理もこの会社が行った)。彼ら好みの再建策であるなら、「本間家の退陣」「酒田工場は他社クラブのOEM受託工場化」「直営店の全廃・従業員解雇」「アジア化の加速」といったことになるのだろうが、つまりそれはほとんど今までの経営を否定することになるからだ。ただし、それが嫌だと否定すれば、再建策は成り立たず、結果として会社更生法が適用になり、残存資産(酒田工場)が、OEM工場となり、結果は同じことなのかもしれないが、その場合は、「ホンマ」のブランドは消えてしまうだろう。
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”風味絶佳”の本(山田詠美)

2005-09-27 21:37:25 | 書評
cf00d3a4.jpgこの女性小説家に文を書かせたら、上手すぎる。実力から言えば、文学賞の1ダースでも持っていて当然なのだが、その技巧的な文章に嫉妬する審査委員なる男女同業者たちの職業的防御本能のためにかなり取り逃がしているだろう。もっとも本人の興味はそこにはないかもしれない。

そして、トークも一流だ。いつか、ゴルフ帰りで渋滞の環八をトロトロ走っていた時に、ラジオで彼女のトークを聞いた。彼女の場合、書く動機は「読者がいるから」だそうだ。小説家だから、仕事として書く、ということは、当たり前すぎて、通常面白くないのだが、それをエイミーが言うところが意外だ。結構、快調に書き飛ばしたような小説も、苦吟の末、這いつくばって、完成させているとのこと。

やっとの思いで、一作書くと、自分を祝福するために、とっておきのワインを開けるという。小説の結末が見えてくると、高級ワインを注文し、「完成したら飲もう」と自己暗示をかけながら書き連ねるとは、なんかこどもの宿題っぽい。といいながら、私もその話を聞いたあとマネしている。誰も理解者のいない仕事の重みは自分でつけるべしか・・

そして、書評が好意的な新作に「風味絶佳」がある。六作からなる短編集だ。そして、たまたま、先日ブログで取り上げた森永の黒糖キャラメルを噛みながら、短編第三話の「風味絶佳」を読んでいたら驚いてしまった。森永のキャラメルの話だったからだ。キャラメルの箱の方をよく見ると、確かに風味絶佳と書かれている。ただし、主人公のおばあさんのポケットにいつも入っているのは、黒糖キャラメルでもなければ抹茶キャラメルでもなければ松永製菓のしるこキャラメルでもないだろう。黄色の箱のミルクキャラメルであるのだろう。

さて、この連作集の筋立ては、きわめて簡単だ。それぞれ一組の男女のカップルの話であり、6作の半分以上には、食べ物が関係する。何か人生の目標は食べることと、ベッドで遊ぶことだけのような話で、せいぜい過去に別れた男女が登場するくらい。だから筋書きの詳細を書くのはマナー違反のような気がするので省略。

cf00d3a4.jpg第一話<間食>、第二話<夕餉>ともに、男の帰りを毎日待ちながら、完璧な夕食を作る女性の話ではあるが、第一話は最後に男がうまそうに西瓜を食べて終わりになる。第二話は結構シリアスな話だが、前向きなフィナーレが書かれている。筋立てとは関係がない(と思える)調理されることなく捨てられたズッキーニの行方がちょっぴり気になる。そして第三話<風味絶佳>でキャラメル婆さんが登場して、一気にこの連作集は動き出す。第四話は、なかなかセンスのいい<海の庭>という小品。もう食べ物は出てこない。第五話<アトリエ>、第6話<春眠>は、家族の文様を描いている。母、子、父親、その他・・しかし、エイミーの小説は結構親切だ。読者に対して、懇切丁寧に小説のフィナーレの後の疑問が残らないようにきちんとしたクロージングを用意する。きっちり読み終わると同時に彼女の世界も終わる。さらば次作へということ。

ところで、この本、読み終わったあと、書店で被せられた再生紙のカバーをはがしてみると、表紙が二重になっていた。本体、カバー、小さなカバー、帯ということ。さらに、よく見るとカバーにはキャラメルの絵が描かれている。ちょっと楽しい。

そして、この短編集の第一話<間食>はゴミ収集に関係があるのだが。またしてもあの魔法のコトバにお目にかかった。「モッタイナイ」だ。「3R」。山田詠美までもが、ゴミ問題か・・
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藤堂高虎、NHKに登場

2005-09-26 21:39:41 | 藤堂高虎家訓200箇条
32fc99b9.jpg9月21日夜、21時15分からのNHK総合、「その時、歴史は動いた」に城造りのスペシャリスト藤堂高虎が登場。日頃、ほとんどNHKを見ないのだが、受信料が丸損になるので、時々見ることがある。

実は、戦国の武将の中で、「藤堂高虎」はそう有名な方ではない。秀吉と同様に足軽から32万石の大大名に昇進していったのだが、時代が少しズレていた。秀吉より歴史への登場が遅いのだ。秀吉より19歳、家康より14歳若い。そのため、既に世が天下統一に向かい始めた頃に頭角をあらわしはじめた高虎は、とりあえず出世しそうな殿様の家臣として仕え、頃合を見ては、次々に主君を乗り替えていかなければならなかったわけだ。その仕えた主君は10人とのこと。浅井氏に始まり、その後、何家か渡り歩いたあと、秀吉の弟である秀長には長く仕えていたが、豊臣家の内紛に危険を感じ、高野山に潜り込み、嵐が去るのを待ったりしている。

その後、ついに豊臣秀吉の家臣になるが、秀吉が亡くなった後は、家康シンパとなる。そして、豊臣家の最期となる大坂夏の陣では、家康軍の先鋒として、派手な立ち回りを決めている。その武功もあり、伊勢伊賀32万石の大名に取り立てられたのだが、徳川家の相談役として、彼自身はほとんど江戸に住んでいたとのこと。

32fc99b9.jpgNHKはありあまる制作費で番組を作るが、私はせこく調べているのだが、「城郭」関係の本を読むと藤堂高虎の名は、非常に多数登場する。彼の域に近づくものは、いない。達人なのだ。なにしろ戦闘中であっても、夜間に自陣を抜け出し、敵の城郭の欠点を調べるというような無謀さがあり、その攻略法を封じ込めるという考え方で、無敵の城を作っていったのだ。

そして、藤堂高虎の築城とされる天守閣は約20城もあるという。さらに、その半分以上は自分が使う城ではなく、建築デザイナーとしての彼の腕を見込んでの外注仕事なのである。残念ながら、現存しているのはやや時代の古い宇和島城だけだが、再建された今治城は彼のホームグラウンドだっただけに、武骨ながら美しい。

そして、よく考えてみると、徳川御三家の一つ、紀伊徳川の和歌山城は、もともと豊臣秀長の居城であったこともあり、築城にあたっては高虎の意見が取り入れられているのだろう。そしてさらに大坂城までもが秀吉家臣であった高虎の意見が取り入れられていると思える。

さらに、家康から依頼された江戸での大仕事では、城造りではなく、江戸の町の掘割の設計図を書いているのだ。つまり、御茶ノ水や水道橋や、霞ヶ関やら飯田橋やらは全部、彼の設計図なのだ。おそらく、江戸城そのものの設計ではなく、町割りの設計をしたということは、歴史の中で城が、「戦闘用」から離れてきているのを、「家康=高虎」は感じとっていたのだろう。

さらに言うなら、彼が今治から伊賀に転勤になった時、伊賀上野城を建て直すのではなく、若干の手直しだけにしている。おそらく、攻略難解な城造りには、あきていたのかもしれない。

数え75歳で亡くなった高虎の体には、足軽時代の刀傷や、鉄砲傷が無数に刻まれていた、というのがNHKの報道であった。さすが「報道のNHK」なのだ。
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一国博覧会?それでもいいかも

2005-09-25 21:42:47 | 愛・地球博
d68da41e.jpg愛・地球博が終わった。名古屋にはつかの間の倦怠感が訪れるだろう。2005年夏、幸運にも物好きな親に恵まれたこどもたちの心には、何が残ったのだろう。それがわかるのは、まだずっと先だ。

ところで、会場で気付いていたのは、どうも万国博にしては、外国人がいないということだ。「一国博?」あるいはやはり「愛知・地球博?」。たぶん東京で開いても変わらないだろう。わざわざ、上海博に行くかといえば、たぶん行かないだろう。などと考えているうちに、万博の歴史を調べてみると、まあ、そこそこ面白い。そして、フルサイズの万博以外に、テーマ博とか特定博とか認可博とか無認可博とか色々あることがわかったが、それらは書ききれないので省略する。日本関係だけに限定すると、フル万博は1970年の大阪と2005年の名古屋だけで、1975-76年の沖縄国際海洋博、1985年のつくば国際科学技術博、1990年の大阪花博は「特別博」と認定されている。

1851年 第1回 ロンドン ハイドパークにクリスタルパレスを建てる
1853年 第2回 ニューヨーク
1855年 第3回 パリ
1862年 第4回 ロンドン
1867年 第5回 パリ   幕府、薩摩藩、佐賀藩出品(伊万里焼か?)
1873年 第6回 ウィーン 日本政府初参加 日本館建設
1876年 第7回 フィラデルフィア 米国独立100年
1878年 第8回 パリ
1880年 第9回 メルボルン 南半球唯一
1888年 第10回 バルセロナ
1889年 第11回 パリ フランス革命100周年 エッフェル塔建設
*** 私は、エッフェル塔は1900年のパリ万博と思っていたが違っていた
1893年 第12回 シカゴ アメリカ大陸発見400年
1897年 第13回 ブリュッセル
1900年 第14回 パリ
*** 日本近代史を語る上で、このパリ万博は非常に重要なのだ。寺島実郎著「1900年への旅」の中に詳しいが、多くの日本人がこの万博を訪れ、深い感銘を受け20世紀の扉を開けていくのだ。さらに欧州人の多くもそうである。
 秋山真之(海軍) 坂の上の雲の主人公
 夏目漱石 猫愛好家
 ピカソ  結婚詐欺師
 川上音二郎 サムライショーに出演
寺島実郎が書くところでは、この音二郎のサムライショーが、欧米人に対して、「日本人は劣った民族だ」という先入観を植え付けたことになっている。ギター侍が国連大使になったようなものか・・
そして、同時期に隣町のロンドンにはケインズやマルクスやその他20世紀を戦争の時代にした政治家の卵たちが保育器で育っていたのだが、日本人は誰にも気付かず、のほほんとしていたわけだ。パンドラの蓋が開きかけていたのだが。
1904年 第15回 セントルイス
1905年 第16回 リエージュ ベルギー独立75周年
1906年 第17回 ミラノ
1910年 第18回 ブリュッセル
1913年 第19回 ゲント
1915年 第20回 パナマ=サンフランシスコ
*** 何を焦ったのか万博の連発だ。
1925年 第21回 パリ アール・デコ博
1929年 第22回 バルセロナ
1933年 第23回 シカゴ ここからテーマをつけるようになる。(進歩の世紀)
1935年 第24回 ブリュッセル (民族を通じての平和)
1937年 第25回 パリ (近代生活における技巧と技術)
*** この後しばらく一般博は開かれない。理由は世界が分裂したからだ。
1958年 第26回 ブリュッセル (科学文明とヒューマニズム)
1962年 第27回 シアトル (宇宙時代の人類)
1967年 第28回 モントリオール (人間とその世界)2004年エキスポズ消滅
1970年 第29回 大阪(人類の進歩と調和) 岡本太郎のおかげで史上最多来場者
*** またしても、しばらくの空白がある。大阪の毒気にあたったのだろう。
1992年 第30回 セビリア (発見の時代) 米国大陸発見500年。
*** 400年記念はシカゴだったが500年はスペイン。ただしコロンブスはポルトガル人でスペインはスポンサーだったのだ。
2000年 第31回 ハノーヴァー (人間・自然・技術)1,200億円の赤字。
*** 名古屋でも、総コスト1900億円のうち、税金とギャンブル協会の納付金が1,350億円投入されているので、何をもって赤字とかいうのかは判定しにくいところだ。
2005年 第32回 名古屋 (自然の叡智)
2010年 第33回 上海 (より良い都市、より良い生活)

ずらっと並べてみると、テーマは「決して実現しないところに、その無限の可能性がある」ということなのだろう。
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万博会場でソニーのことを・・

2005-09-24 21:44:36 | 愛・地球博
マンモスラボへのエントランスホールとしてソニーが巨大な画面を用意していた。

最近、元気のないソニーだが、つくづく考えてみると、あくまでも映像やサウンド、そして超大画面のような分野が強みである。他の家電メーカーのように、あれこれ仕組みを作って、ものが動いたり回転したりするようなアクティブな製品は苦手だ。そして動く部分の故障が多い。ロボットは不得意分野だと思える。そして開発のシーズが枯渇してしまったように見える。

一方、会場でみかけなかったメーカーがSANYOだが、こちらはソニーと逆にシーズをたくさん持っている。太陽光発電やハイブリッド用のバッテリー。さらに古典的な製品に先端技術を組み込むのが得意で、電子レンジや炊飯器を商品活性化させている。モーターで動く製品が得意だが、現在の開発は動かないものを狙っている。しかし、逆に、半導体は弱いし、カネがない。

ということで、この2社が合併または共同化すれば、かなり強烈な会社になるだろうというのが私の読みである。両社ともリストラしようとしている部分が、相手の会社の弱みの部分のようにも見える。

ただし、その場合の社名は2社の一部をとって、「SANSON」になることだけはないだろう。
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万博はスローライフで(乗り物編)

2005-09-23 21:47:45 | 愛・地球博
万博は入場者が2000万人を超え、超満員だ。閉店直前には、もっと混雑するだろうという予想はあるが、そうなると入場できるパビリオンはより少なくなり、人気館も不人気館も例外なくどこでも待ち時間が超大になる。結果として「スローライフ」を味わうわけだが、それはみかけだけであって、ぐずぐずしていると列に割り込む人間も出てくる。

そして、この会場では、未来の乗り物ということで何種類もが動いているのだが、例外なくベリー・スローリーだ。まあ、これが人命尊重の日本だから会場内の乗り物は人の間を縫うようにゆっくり動くのだが、上海万博ではそうはいかない。自己責任と運まかせの国だからだ。もっとも、日本の後に開催して、そう大きな成功をあげるようには思えないが。

時間の関係で、全種類乗ったわけではないので、乗車感覚までのコメントができない場合もあるがご容赦を。

c294d731.jpgまず、「リニモ」。リ二アモーターカーだ。ネーミングが素朴。乗り心地は柔らかく、ゴムタイヤのような感触だが、ちょっと船に乗っているようなゆれ方をする。右に傾くとフアっとしたゆれ方で左に戻る。制御システムが効いていることは感じられるが、これで高速走行するとちょっと車酔いしそうな感じだ。ちょっと怖いのはブレーキシステムで、停電の時、きちんと止るのだろうか。そして、万博終了後も運行を続けるとのことだ。誰が乗るのだろう?

c294d731.jpg次に、「キッコロゴンドラ」。これは普通のゴンドラだ。未来とは関係ない。冷房なし。トイレなし。強風には弱い。もしかして、ロープのないゴンドラでも発明したら便利だろう。万博会場を上から鳥瞰することができるが、どこか空いたパビリオンはないかさがしても、もはやないのだ。ところで、このゴンドラという名前の語源はどこなのだろう。英語的ではない。なぜそんなことを考えたかというと、米国の国務長官、ライスさんの名前が似ているからだ、「ゴンドリーザ・ライス;通称ゴンディ」普通付けない名前だ。

c294d731.jpg3番目は「IMTS」。バスでもあり、電車でもある。天然ガス。圧縮天然ガスを制御する技術は難しいのだが、既に実用化され、都内を走っている。連結している時は列車だが、バラバラになるとバスになる。ターミナル駅までは列車として使い、そこから先は方面別のバスとして使えばよく、すぐにでも利用できそうだが、最大の難関は国土交通省に巣食う利権集団だ。


c294d731.jpgここから先は乗っていないので見ただけだが、「グローバル・トラム」。バッテリー駆動型の連結バス。夜間に充電するものと思える。できれば太陽電池を搭載してくれればよかったのだが、太陽電池メーカーはこの万博には、あまり協力しなかったようだ。この乗り物のスポンサーは日本通運なのだが、なんだか、宅配便扱いになりそうなので、ちょっとこわい。


c294d731.jpg次は「燃料電池車(FCHV)」。無料。長久手会場と瀬戸会場を結ぶ。まあ、トヨタはえらい。ところで、わざわざ、二つの会場を作るために、多大な労力と自然破壊を行ったのだが、よく考えるとメインパビリオンのある長久手会場の1/4の面積を占めるサツキとメイの家の部分には、実際にはほとんどの人は行ってないはずだ。事前予約が厳しすぎて、めったなことでは行けない。いっそのこと、ここに瀬戸会場分をビルドインしてしまえばよかったのではないかとも思えるが、何か事情があったのだろうか。


c294d731.jpgそして、乗り物シリーズの最後は、「自転車タクシー」だ。2020年になっても、燃料電池車が開発できなかったクルマメーカーは、世界中からガソリンがなくなった場合、この人力カーでも作るしかないだろう。なにしろ、私の友人たちの多くは、「ガソリンをどんどん使わないとなくなってしまう。せっかくのクルマが走れなくなるじゃないか。他人に使われる前にどんどん使ってしまわなければ損だ」と、考えているからだ。
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万博まもなく終了にあたり・・

2005-09-23 21:45:28 | 愛・地球博
06c24cb0.jpg東京ディズニーランドは毎年12月31日の深夜にはカウントダウンが行われ、1年のクライマックスが最後の最後に訪れるのだが、別にそこにいなくても翌日の元旦は「ただの元旦」であり、何事もなく営業は行われる。カウントダウンは、いわば、擬似フィナーレである。しかし愛・地球博はまもなく本当に終わってしまうのだ。そして、たぶん名古屋で行われることは100年はないだろう。本当のフィナーレである。

そして、今回の万博の象徴が、冷凍マンモスであったことは、やはり大きな意味があったのだろうと考えるのだが、いくつかの雑感をランダム(本当に雑感ランダムに)に記してみたい。

まず、マンモスを見るためにはグローバルハウスという建物に行かねばならないのだが、簡単にはお目にかかれない。マンモスへのアプローチとして、オレンジホールかブルーホールという二つのゾーンのどちらかを通ることになっている。私はブルーホールの方を通ったのだが、ここはソニーの島だ。反対側のオレンジホールはNHKの島で、どちらも大画面の映像で、地球環境を訴える。

その先がマンモスラボ。冷凍になったマンモスの頭部と1本の前足が展示されている。18,000年前にシベリアでクレバスに落ちたまま凍ってしまったわけだ。実は18,000年というのはそれほど前の話ではない。人類の歴史は100万年以上なので、大きくみれば同時代生物であるのだ。そしてマンモスは死滅し、人類は大繁殖してしまった。それでいいのだろうかというのが、我々の目の前に投げ出された問題なのであろう。だいたい、マンモスが死滅した理由もはっきりわからないのだから、人間が絶滅する理由だって、今のところ見当が付かない。

そして、今回の、マンモスの「頭と前足」というのが象徴的だ。トヨタや日立がいくら頑張ってもマンモスは複製できない。失われた遺伝子ということ。「そして、行き先を頭で考えて、前へ進め」ということなのだろう。


実は、次の話はちょっと悲しいマンモスの話だが、ブログで読んだことはない。最近、角田光代の小説を何冊も読んでいて、どうも妙なことを考えてしまう。「家族の崩壊」

マンモスは象の一種であるから、かなり知能指数は高い動物であっただろうと想像できる。そして現在の象の生態から見れば、団体生活をしていただろうと考えられる。つまり家族で仲良く集団生活ということだ。しかし、シベリアには無数のクレバスがあり、ある日突然にマンモス家族に不幸がやってくる。家族の一員がクレバスに落ちてしまうと、どうみても彼らの体型では助かる見込みがない。父親象なのか母親象なのか小象かによって不幸の図式は違うかもしれないが、かなり痛ましい事態のように思ってしまう。家族を助けるために自分も穴に落ちたものいるかもしれない。

というような家族の崩壊物語を連想してしまうのだが、考えれば、人間の社会にだってそういう悲しい話はあるのだろうから、これ以上想像するのはやめる。


ところで、こうして21世紀末の地球人口のような大混雑の中で万博は終わるのだろうが、いくつかの醜い後日譚が予測される。

1.入場者増による収益増の行方
  以前(2004年10月30日)、愛・地球博の算盤を書いたことがある。
   予定総費用1,900億円の内訳はこうだった。
    国(450億円)
    地方自治体(450億円)
    公営ギャンブル(450億円)
    出店店舗から上納(160億円)
    入場料(390億円)・・1,500万人
   要するに税金900億円、テラ銭450億円、ショバ代160億円
   そして、1,500万人の予定が約2,200万人になったという
   ことは700万人分、約200億円の収入増になったということ。
   いったい、どのように配分するのだろう???要監視だ!

2.展示品の処分・・次の万博までとっておく国はないだろう。
   ネット上でのバーゲンはかなり進んでいるが、さらに
   投売りになるだろう。

3.冷凍マンモス・・当初、万博終了後、国内数カ所を行商する
   という噂が流れたが、まったく聞こえなくなった。巡業
   するという噂が流れると、万博の方の入りが悪くなるだ
   ろうから緘口令になったのだろうか。
   せっかくのマンモスがただの象牙加工品の原料になる
   可能性がある。

4.会場・・会場は元の山林に戻す予定らしいが、どう考えても
   完全に戻すことはできない。
   さらに、この万博は、あちこちの植栽に花が植えられて
   いるのだ。
   そして、それが万博最終日の最大の懸念かと思うのだが、
   「名古屋式開店祝生花持去風習」がある。パチンコ店の
   オープンなどで店頭に飾られた生花から、無断で何本か
   の切り花を自宅に持ち帰るのが名古屋の正しい儀礼だ。

   もしや、会場内の草花をちぎったり、掘り返したりして
   持ち帰るというような「蛮行」が起きるのだろうか?
   大変楽しみだ。
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狂乱の駐車違反ビジネス

2005-09-22 21:53:47 | マーケティング
77143424.jpg9月になって、がぜん盛り上がってきたビジネスがある。「駐車違反取締り民間代行関連」である。実は、道路交通法を改正(?)し、駐車違反のクルマにシールを貼る仕事を警察が行うのでなく、民間会社に委託しようということで、来年2006年6月までに民間委託が開始される。余剰になった交通警察官が何の仕事をするかははっきりしないが、その件は省略。

これに伴って、まず、「駐車監視員」なる資格が登場。既に全国10,000人以上が資格を取得している。次に始まるのが、民間会社による業務入札だが、9月に全国で入札事前説明会が開催中である。入札の概要を見る限り、警察に人間を貸出し、労務費見合いの金額を警察から授受するという方式のようだ。したがって、1台上げたらいくらの報酬、というノルマ制(歩合制)ということはなさそうだ。(ホッ)

ところで、巷では、今はチョークを引いてから30分たってもとの場所にクルマがあると違反と認定されているのが、監視員が巡回中にみつけた違反車は猶予なく直ちに捕獲するとの情報が飛び交っているのだが、実際にはどうなのだろうかというと、これがあいまいなのだ。

まず、監視員が駐車中の違反車を見つけると、まずデジカメで写真を写し、データを携帯端末に入力し、本部のシステムへ送信するそうだ。そうするとシステムに登録され、その後、再度写真を撮影し、端末機から出力された違反証をクルマに貼り付けるということになるそうだ。そして問題はこの本部のシステムとの往復所要時間なのだが、ある県での入札説明会でのQ&Aを読むと、「取締りの詳細は、後で説明します」というような逃げが入っていた。確かに、システムで扱う以上、東京は10分で大阪が20分までOKとかは難しいだろうし、逆に何分とか公表すると、その時間は駐車していいことになる・・

そして、この話の複雑な点はいくつかあるのだが、まず必要な台数分の駐車場があるのか、ということだ。それも必要な場所にだ。警視庁が発表している都内瞬間駐車台数は約14万台で内11万台が違法駐車だろうとなっている。3万台は5分以内の荷卸(宅配便含む)とかなのだろう。しかし、違法駐車マップを見ると、千代田区の神田・秋葉原地区が最悪になっているように見えるが、それはそこに駐車場がないからなのだろう。だいたい、どこを取り締まるかとかいう問題も警察の中の閉鎖的組織で決めていたものをオープンにするということなのだろうか。規定では、あくまでも業者の方が数日前に監視計画を警察に提出し、日報及び月間報告書を警察に提出することになっていて、あれこれ警察から指示はないように書いてあるのだが・・・

次に複雑なのは、実際にビシビシと徹底的に取り締まると、駐車違反そのものがハイリスクとなり、路上から違反車がいなくなることが考えられる。現在でも札幌に行ったら、「駐車即取締り」なので駐車違反がほとんどないそうだ。つまり、厳しくすると、駐車違反がなくなり、「違反車取締り」というビジネスそのものが不要になるということになる。かといって、手を抜いて時々取り締まるようになると「不公平」の声が上がるのは目に見えている。

結局、やってみなければわからないということかもしれないし、法律改正をあてにして、あちこちに駐車場を拡大している駐車場専業会社やそのニワカ株主の思惑通りになるのか、あるいは別角度で地下鉄の利用者が増えるということになるのか、あるいは都心のデパートの売上げがさらに落ち込むというのか、予想は困難だ。すべては、その施行細則が明らかになった時に決着がつくのだろう。

ところで、早くも勇み足があったのだ。この端末から上がってきた情報を処理するシステムの一部である「標準仕様書策定システム」の入札で不当廉売があったそうだ。1番札の松下が何と4万円。2番札日立398万円。3番札NTTデータ865万円。4番手三菱電機1億4700万円。1番と2番の金額が奇妙だ。
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黒糖キャラメルは、何の味?

2005-09-21 21:55:13 | マーケティング
02a957cd.jpg以前、森永の「抹茶キャラメル」の記事をあっさり書いたら、その後、多くの方がそのエントリを見物に来ている。どうも、本人の意気込みと、エントリの客観的評価は違うのだろう。ということで、その姉妹作である「黒糖キャラメル」を買ってみたので、一筆書いてみる。

まず、パッケージの色は、「こげちゃ色」。そして「沖縄産黒糖使用」と書かれている。抹茶キャラメルでも、わざわざ「宇治の抹茶」と書かれていたので、まずは「ホンモノの黒糖感」を演出したいのだろう。しかし、キャラメル自体は、あまり黒くない。抹茶キャラメルは緑なのだが、黒糖キャラメルは見かけで驚くものは何もない。

そして一口なめると、キャラメル味ではないのだ、ある食べ物の味がするのだ。「かりんと」である。つまり「かりんと」の味であるが、噛むとパリパリではなく、ネチョネチョということになる(普通のミルクキャラメルよりもネバネバ感が多いように思えた)。

というので、何か違和感を感じるのである。むしろ商品名は「かりんときゃらめる」または「きゃらめるかりんと」の方が・・


ところで、キャラメルの正統的な食べ方は、あくまでも「なめ路線」にこだわるべきなのだろうか?あるいは、最初から、奥歯の虫歯など気にしないで、ぐちゃぐちゃと「噛み路線」でいくべきなのだろうか?

しかし、私の場合は、深く考える必要はないのだ。それがキャラメルにとどまらず、ドロップスであっても、口に入った一秒後には、コッパ微塵に噛み砕いてしまうからなのだ。
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ETC新割引制度は、値上げである

2005-09-20 21:56:03 | マーケティング
数日前、不幸のメールが届いた。

次の内容だ。

日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団から前払割引に関する重要なお知らせです。
12月20日24時をもって、前払金のお支払(積み増し)の受付を終了します。
詳しくは、専用ホームページまたは10月上旬に郵送するお知らせをご覧ください。
なお、前払金の残高は、これまで通り、ETCでご通行された料金のお支払に充てられます。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。


奇妙なのはメールの送信者だ。送信者は「ETC前払い割引サービス」となっている。なんということだろう。法人でも個人でもないのだ。怒りの返信メールが肩透かしになるように仕組んだのだろうか。土曜日のお昼という妙な時間に送信している。明細を見たいが道路公団のHPの中のPDF資料はいつまでたっても混雑で開かない。内容不明。

実は、メールを見て、最初は怒りがこみ上げてきたわけだ。割引で釣っておいてETC加入者を増やし、後で割引を取り消す。古典的な手口だ。おとり商法

しかし、少し冷静になると、民営化に伴う移行措置かなと優しく考えてみたのだ。現在の前払い方式だと、割引率は13.8%(50,000円で58,000円分使える)になるが、6分割される新会社に一律に適用になってしまうのは不合理なので、各新会社ごとの自主性を持たせるためには、ポイント制(マイレージ)を導入したほうがいい、ということなのだろうか。要は、ユーザーにとって、どちらが得かということなのだろう、ということである。

そして2日後にやっと開いたPDF資料を読むと、ほとんどの場合、割引率が縮小になる。つまり値上げだ。もったいぶって、新制度の方が有利になる人もいそうなことが書かれているが、1,000人に一人という単位ではないかな。またも怒りが湧き上がる。

では、その割引の内容。

1.現在の前払い方式の割引率
  前払いには二通りある。10,000円コース(10,500円分)ハイカの代用か
  50,000円コース(58,000円分)割引率は8000/58000=13.8%である。
   この13.8%が基本割引率になる。

2.複雑な新制度
  A.東日本、中日本、西日本
    マイレージ導入
     a.高速道路     50円で1ポイント
     b.一般有料道路  100円で1ポイント
     C.ポイント還元   100ポイント200円
                200ポイント500円
                600ポイント2500円
               1000ポイント8000円
     d.ポイント有効期間 2年間
  *高速道路と一般有料道路の差だが、簡単に言うと最高時速が100Kmが高速。
   80Kmが一般有料道路である。第三京浜、横浜新道、八王子BP、
    アクアライン、圏央道、横浜横須賀道路、小田原厚木道路など。

  B.本四架橋
     上記高速道路と同じ(50円で1ポイント)

  C.首都高速
    時間帯割引制度
     a.平日(土曜)オフピーク割引 10%(11時-15時、18時-22時)
     b.平日夜間 割引       20%(22時-6時)
     C.日曜・祝日割引       20%(0時-24時)
     d.割引なし         (平日6時-11時、15時-18時)

  D.阪神高速
    首都高に似ているが、もっと複雑なので省略。

3.割引額評価
  評価法はいくつか考えられるが、2年間で58,000円分を使った場合の
  必要金額を、カテゴリ別に計算してみる。
 A.現在方式    58,000円 → 50,000円 (13.8%引き)
 B.すべて高速   58,000円 → 49,800円 (14.1%引き)*最大16.0%
 C.すべて一般有料 58,000円 → 56,800円 ( 2.1%引き)*最大 8.0%
 D.首都高     58,000円 → 46,400~58,000円 (0%~20%)

各人どれくらいの比率で使われるのか、あてはめて考えてみればいいが、首都高は平均10%引きがいいところではないだろうか。普通に走っていると、割引はゼロになる。

そして、新制度の方が有利になるケースを考えると、こういうケースに限られる。
2年間で50,000円以上を高速道路で使い”、”一般有料道路を使わない場合”だけほんのちょっとだけ有利になる。が、”マイレージ登録を忘れてしまう”と1ポイントも付かないし、さらに、”ネット上で換金手続き”をとらないといけない。割引は自動的には行われない。

しかし、関東圏や阪神圏に住んでいると、一般有料道路を利用しないで高速道路だけを利用することは、事実上困難(一般有料道路の先に高速道路のICがつながっていることが多い)であるから、まず平均割引率は10%程度になってしまうのではないだろうか。

そして、大きな問題は、「アクアライン」だ。現在アクアラインの通行料金は、定価3,000円のところ、臨時割引で2,320円になり、ETC前払い割引制度による13.8%の割引率により、ちょうど2,000円になることになっているが、こんどの改定では一般有料道路という分類になり、うまくやっても割引額は半分になってしまう。
ところで、この問題、新聞では登場していないようだが、新聞記者はETCなど使っていないのだろう。経済観念がないのだから仕方ない。猪瀬氏の腕力に頼むしかないのだろうか?
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秘宝、鍋島焼を戸栗美術館に求める

2005-09-19 22:00:35 | 美術館・博物館・工芸品
46ca295c.jpg先日、ドレスデン美術館展に行った折、マイセンのルーツとしての伊万里焼が紹介されていた。江戸中期(17世紀)には、有田で誕生した日本初の磁器は伊万里港から国内各地へ出荷されていたこともあり、この「伊万里」という名で呼ばれ、特に素朴な味のある古伊万里や技巧的図案の勝る柿右衛門は頂点と言える。国内同様、海外にも好んで輸出されていたわけだ。

というところまでは、ごく一般的な話なのだが、実は、最近少しずつ明らかになってきた「幻の窯」があったわけだ。

「鍋島焼」と呼ばれる鍋島家門外不出の磁器である。藩内の超優秀な陶工を徴用し、人里はなれた山中に隔離して秘伝三回焼きで「墨はじき」なる技を使う。

なにしろ、鍋島家直轄の窯を用い、その製法は厳重な秘密とされ、作品の用途は、
1.将軍への献上
2.宮中への献上
3.鍋島家での使用
に限定されていたわけだ。したがって、国内にも、海外も流出することなく、明治維新を迎えたわけである。さらに鍋島家は、薩長土肥という勝ち組の一角をなし、その資産が散逸することもなかったわけだ。

しかし、この秘宝である「鍋島焼」を大量に保有している美術館がある。戸栗美術館。渋谷の奥座敷である松涛町にある小振りな美術館である。理事長、戸栗氏(名前は読めないのでHPで確認のこと)が個人的に集めた東洋の陶磁器コレクションの中から、セレクションして、展覧会を開いている。7月2日から9月25日までの間、「鍋島焼名品展」を行っているのだが、これが本当に驚いてしまうような、超レア物のクオリティなのだ。いやーーーーーーー、と果てしないため息がでてしまう。

「いい仕事してますねえ」どころではないのだ。一つや二つでもビックリというお宝が、なんと113点も同時出展!!。目から鱗が落ちるどころではなく、コンタクトレンズが100枚必要だ。そして、観覧者の誰もが心の中で思うはずだ。「どうやって集めたのだろう・・・」。まあ、品のないことを口に出す人はいないだろうが、まったく不思議だ。

つまり、これこそ、オリジナルの流通ルートは完全にクローズドである。上に書いたように、「徳川将軍」、「天皇家」、「鍋島家」だけである。財布の話はおいても、一体どうして戸栗氏の手に?

46ca295c.jpgもしかすると、将軍家などでは、家斉のように子供を多産(といっても産むのは女性の方だが)の場合、女子は諸藩の殿様のところに嫁入りしていたので、その際、持参する調度品とかの中に入っていたのだろうか。そうして、少しずつ他藩にも流出していたのだろうか。天皇家の場合でも同様のルートがあったのだろう。しかし、そういうものは数が少なく、大量に集めるとなるとなかなか難行ではないだろうか。とすれば、現在の鍋島家はどういう経済状況なのだろう、と考えてしまう。多くの旧家と同様に、苦労の多い「固定資産維持生活」なのだろうか?もちろん直ぐにわかるものではないので、宿題ということにしておく。

しかし、ということは、徳川家や宮内庁には「巨大な鍋島焼コレクション」が眠っていることになるのだ。ああ、もったいない・・
手元に、1983年版の「やきもの鑑定入門・新潮社」があるが鍋島焼の文字はない。まさに、美術史から隠されていたわけだ。

最後に、ちょっとしたオチだが、美術館の入口に禁止事項が書いてあるのだが、「写真撮影禁止」はどこでもある用語だが、もう一つの禁止事項は初めて見たコトバだ。

「鑑定禁止」だって。単に作品を見て感動するのはOKだが、心の中で、「500万円位かな?」とか思ってはいけないということだ。
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ドイツは?

2005-09-19 21:59:12 | 市民A
ドイツの下院選挙があらかた終わった。あらかたというのは選挙期間中に候補者が死亡したドレスデン選挙区の選挙が10月2日に延期になったからだ。そして、こういう手のこんだ選挙制度の結果、定員数は598なのに、実際の議席数はそれを超えることになり、既に600議席以上が確定している。

与党側の社会民主党は222議席、緑の党が51議席で合計273議席。
野党側のキリスト教民主同盟が225議席、自民党が61議席で合計286議席。
そして左派党が54議席、となっている。

わかりにくいので、これを日本の類似政党におきかえるとこうなる。
与党:民主党222 社民党51 計 273議席
野党:自民党225 公明党61 計 286議席 (この自公は逆かもしれない)
共産党:54議席
ついでに与党の党首、シュレーダーは日本式なら菅直人かな、しかしメルケルも菅直人か鳩山位かもしれないというところがドイツの出口なき混迷状態を示しているのだろうか。メルケルが旧西ドイツの出身だったら、キリスト教民主同盟の圧勝だっただろうが、選挙戦終盤に消費税のアップを打ち出したために、一気に並ばれた。こういってはなんだが、消費税率は10%を超えると歯止めがなくなってしまう。

どこの国の政治家も、GDPが増えると税率は変えずに法人税も所得税も消費税も実質的な増収になるという簡単な方式を知らないらしい。そして、ドイツの経済学はヒトラー出現前のもっとも有名なドイツ人であるカール・マルクスの影響を受けているのだろうか。

それで、与党のシュレーダーと野党のメルケルはどちらも勝利宣言をしている。

さて、どうせ何もかわらないことになった、つまらない選挙だが、一応シュレーダーが解散総選挙をしたことになっているのだが、実はドイツでは首相の解散権は認められていないのだ。ナチスドイツが次々に解散総選挙で勢力を延ばしたことの反省で、内閣不信任案が議決されたときだけ解散が認められている。今回は、どうしたかというと、所謂「自作自演型」解散である。自ら不信任案を提出し、自党の議員に欠席させて不信任を勝ち取るという手段で、戦後3回目だそうだ。

こうして、堂々と憲法違反を国民全体でやってしまうとなると、やはり憲法を少しずつ実態に合わせないと危険ではないかとよそ事ながら考えるのである。
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