自転しながら公転する(山本文緒著)

2024-07-31 00:00:08 | 書評
有名な小説というのは知っていて、文庫本で654ページ。解説は藤田香織で10ページもある。ずいぶん前だが、著者の中期までの小説(落花流水・プラナリア・アカペラなど)を読んでいて、作家を目指していた人にも勉強のために読むことを勧めていた。



読みやすい作家とか読みにくい作家というのもあり、実は読みやすいように見えてなかなか前に読み進めない作家や、読みにくいが読みだすと読み進める作家(川端とか三島とか)とかいろいろだが、山本文緒は読みやすく、また読み進めやすいという特徴がある。場面場面で主人公が変わる場面もあるが、段落の早々で読者がわかるようになっていたり、会話の場面では、それぞれに言い癖をつけたり細かいところがいい。



しかも、舞台が茨城県の牛久。今年の春にいっている。小説に出てくる牛久大仏や、関東でも有数のアウトレットや小説に登場する牛久シャトー(ワイン醸造所跡)のレストランとかリアリティがあった。



主人公の都は33~34歳の未婚女性で、母の介護や職場(アウトレットの店員)のゴタゴタで色々と疲れている。偶然知り合った謎の男、貫一と体を重ねるようになったが、結婚を考えようにも相手の正体がつかめない。といっても小説なので、少しずつ見えていくわけで、元ヤンキーで中卒で寿司屋の息子でボランティア好き。父親は養護施設にいて・・

なにしろ600頁超なので、直ぐには進まない。両者の友人たちが出てきたり、年下のベトナムの金満青年が出てきたり・・

ベトナムというと、プロローグの場面で「わたし」のベトナムでの結婚式が始まる。そして物語は主人公「都」に引き継がれる。そして、エピローグの場面で「私」の結婚式が終る。読者は「わたし」と「都」は同一人物か否かを気にしながら読み進まないといけない。

著者は25歳から少女小説を量産。5年ほどして一般小説に転進。2000年、37歳で直木賞を受賞したが、3年後の2003年、うつ病により執筆困難になるも7年で再開。さらに満を持してという形で渾身の本作を2020年に発表。翌2021年の前半は本作に対する受賞が続き、秋10月に膵臓癌で他界した。

彼女の小説群の登場人物の誰よりも劇的な人生となるとは・・

AMAZONで書評を見ると、多彩な意見がある。

小説を読むときに(あるいはドラマや映画でも)、登場人物の気持ちに入り込む読者がいる。実話漂流記とかは登場人物に没入した方が面白い。生きて帰ってきたから漂流記が書けるとか客観的に読むと面白くない。

本書でいえば、感情移入の対象は、「都」あるいは「貫一」。場合によっては「都の父親」とか「母親」ということになる。実際「都」はよくいる普通の女性なので、社会生活でも恋愛でも結婚観とか社会正義とかそういうものも打算的な考えをすることがある。「貫一」の方が純粋的だが、それでも過去の秘密があったり、「都」の父母に会う時には妥協的な態度をとる。これがこの小説が好きとか嫌いといった評価につながるわけだ。


一方、人物に入りこまないで俯瞰的に小説を味わう人も多い。たぶんミステリ好きとかには多いかもしれない。著者に騙されるからだ。本の中で動き回る登場人物とそれを観察する読者の私といった構造だ。本作はどちらかというと後者に近い立場で読んだ。そうなると多くの登場人物の絡み合いがおもしろい。自由主義社会ってこういうものだというような気持になる。長編小説だと人物に入れ込み過ぎると疲れるし、期待する行動とずれていくと違和感が始まるので。少しだけ離れた立場で読むことが多い。

厩火事(落語 演:三遊亭園輔)

2024-07-30 00:00:05 | 落語
『厩』は「うまや」と読む。馬小屋というか厩舎というか。『廓』という字に似ているが大きな違いだ。厩や廓が噺の中で火事になるということはない。喩の噺。

江戸の夫婦と仲人の話で、離婚騒動がテーマ。

髪結いで亭主を食べさせている女房が仲人を訪ねる。亭主に愛想が尽きたので別れたいと相談。仲人も女房に働かせて遊んでいる亭主とは別れてもいいのではないかと言うのだが、女房の方は、まだ決意を固めていない(決意が堅ければ相談ではなく報告ということになる)。

仲人はそれなりの人で、二つの話をする。一つ目は唐代の哲人の孔子の話。朝廷での勤めから家に帰ると、馬小屋が火事になって、愛する白馬が焼け死んだことを知ったが、馬のことは聞かずに門弟たちや家族の心配をしたこと。

二つ目は江戸の実話として、瀬戸物に凝っている屋敷持ちの旦那のこと。瀬戸物の収集が趣味なのだが、お客を集めて瀬戸物を見せた後、女房が瀬戸物を運ぶ途中に二階に登る階段で転んでしまい瀬戸物が割れてしまう。旦那の第一声が「瀬戸物の安否確認」だったということで、女房はサヨナラしたという話。

これはいい話だ、と家に戻った女房は、やはり陶器の趣味のある亭主の瀬戸物を作為的に転んで割ることにする。

もう一つの方法は「厩を焼く」だが、長屋に厩はないし、さらに火付けは重罪で、江戸市中引き回しの上、火炙りとなる。嫌な亭主と同居を続けるか鈴ヶ森の刑場に行くかの選択となる。(行くだけなら無料で、今でも罪人を立たせた円形で平らな石が残っていて、少し黒く焦げている)

そして、亭主の目の前で大切な瀬戸物を割ってみたのだが、亭主の第一声は女房の無事を喜ぶ声だったわけだ。

感激した女房が、「私の体が、そんなに大事なのかい」と再確認をしたのだが、「お前に怪我されると、飲んで遊んでいられなくなるからなあ」とオチが付く。


気になったのは、「階段」のくだり。江戸市内は二階から町人が武士を見下ろすのはいかんということで二階建て禁止だった。屋根裏部屋はあったようだ。

ところで、冒頭に書いた『厩』と『廓』のことだが、しばらくは落語のソースをNHKの「日本の話芸」にしているのだが、何か教訓的な演題が多いようで、町民用ではなく武家用の演題が多いように思う。そういうNHK的バイアスが強いようだが、TBSでも早朝に落語番組があるようなのだ。

甲府駅前の武田信玄像

2024-07-29 00:00:34 | 美術館・博物館・工芸品
甲府駅の南口を出て、すぐ右手に怖そうな体格の武田信玄像がある。三船敏郎のような顔だ。古くからあったわけでもなく昭和43年の作なので55年ほど前。



確かに駅前には甲府城(鶴舞城)があるが、武田氏の館は駅からずっと北の方。現在の甲府城は武田信玄より後の時代のもの。居心地が悪いかもしれない。

このように駅前に地元の大武将の像を置くというのもよくある現象で、令和二年には静岡駅に今川義元像もできている。駿府城の方には家康像がある。

また小田原駅前の北条早雲像は素晴らしい像だが、同じ駅に二宮尊徳像もあるのが、サイズの格差が激しい。

ところで、横浜にも銅像はある。桜木町駅から陸側に向かって丘になっているが、そこは掃部山公園(かもんやま)となっていて、かなり大型の銅像が立つ。それは井伊直弼像だ。安政の大獄などで評判が悪い。といって、どんどん開国を進めた彼が暗殺されたのだが、明治政府はそれを引き継ぎ、井伊直弼をはるかに上回る外国かぶれになっていく。

そういえば、岡山駅前には桃太郎像があった。

東京駅の近くの歴史的人物像としては、ヤン・ヨ―ステン像(たたし首上)と外国籍。

山梨県立文学館

2024-07-28 00:00:27 | 美術館・博物館・工芸品
ミレー館で有名な山梨県立美術館に行った折に同一公園内に向かい合っている山梨県立文学館にも寄った。



美術館の数に比べ文学館というのはかなり数が少ないというのは仕方ないところで、美術館は絵画や彫刻という完成品が並ぶが、文学というのは言語が書籍になっているという特徴があり、本を並べても装丁を観たところで本に書かれていることを読んでいるわけでもないわけだ。

山梨の文学館と言えば、山中湖にある三島由紀夫の文学館が有名だが、なぜ、そこに三島があるのかというのは、よくわからない。そもそも三島由紀夫の小説はほぼ全部読んでいるが、作家としてもよくわからない。



甲府の県立文学館は、山梨県に縁のある作家たちに焦点を合わせているとなっているが、少し違和感があったのは、太宰治とか芥川龍之介とか出生の地が有名なので山梨とどうゆう関係なのだろうかと考え込んだが、理由は書かれていた。パンフレットには5人の顔が並ぶが、左側の上が芥川龍之介、左の下が太宰治。右の上は旧五千円札の樋口一葉。この3人は山梨県生まれではない。太宰治は青森県の五所川原生まれで生家は斜陽館となっている。生まれた部屋に行ったこともある。妻が山梨出身。病気療養で山梨に滞在し、富岳百景という私小説を書いている。樋口一葉は両親が山梨で生まれたということ。芥川については、山梨文学館が力を入れて資料を集めているということで、特に関係ないらしい。

そして残った二人だが、左の中央は飯田蛇笏、右の下は飯田龍太。俳人親子だ。この二人は正規山梨人。

いわゆる作家で山梨県出身というと、有名なのは深沢七郎。それと山本周五郎。もう一人探し出したのが李良枝という女流作家。名前でわかるように在日の女性作家だが夭折してしまった。なぜ、公的な文学館でこれらの人物が片隅に置かれているのか。まあ、書籍の内容が反政府的だからだろうか。

持将棋や千日手を撲滅するには、

2024-07-27 00:00:38 | しょうぎ
最近、プロ棋界では一日に3局も持将棋が出たという話を読んだ。この暑いのにどうしたことだろう。罰として冷房を止めるとかしないといけないのだろうか。

チェスの場合、先手勝率がかなり高い(というか引分けが多いわけだ)そのため先手と後手と二局セットになっていて後手は引き分けに持ち込むというのが基本戦術なのだが、将棋の場合致命的になるほど先手勝率が高いわけでもないので、なるべく一局でケリをつけるべきだろう。

といっても戦術的ではなく成行きでそうなるのはしかたがないのでゼロにはならないだろうが、意図的に千日手や持将棋になるのを減少させる方法はないだろうか。

まず、千日手だが指し直しの先後交代をやめればいい。それでも後手が負けそうな時に千日手に逃げ込むことは防げないが、作戦としての千日手は意味がなくなる。

持将棋の方だが、アマチュアの場合にある27点法は決着はつくが、決着まで長過ぎる。むしろ、先に24点に達した方が勝ちとか、あるいは後手の作戦としての持将棋は先後交代なしとかすればなくなるのではないだろうか。


さて、7月13日出題作の解答。








今週の問題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

「吉田のうどん」に挑戦

2024-07-26 00:00:24 | あじ
甲府に行ってランチに何を食べようかと、ウロウロして汗が目にしみることになり、甲府駅とつながっているセレオ甲府という駅ビルの中にある。「麵‘ズ冨士山セレオ甲府店」に入る。どうも「吉田のうどん」の店のようだが、10日も経って、これを書いている時点でも「吉田のうどん」の本質が解っていない。埼玉県の非常にたくさんあるカカシのマークの「山田うどん」のようなチェーン店かと思っていたのだが、どうも富士吉田市の方になる硬いうどんの総称らしい。横浜の「家系ラーメン」のような単語のようだ。

それで、注文したのは、「冨士山うどん」。どうもよくわからないのは、通常は富士山と書き、冨士山とは書かないが、一番上の一画がない。



どうもちくわを3本を山の様に組立て、さらに油揚げの三角切で富士山のイメージを作っているようだ。

この店が、すべての「吉田のうどん」の代表ではないだろうと思ったのだが、硬いのが有名な吉田のうどんだが、そう硬くはない。もっと硬く縄を噛んでいるようなうどんを食べたことがある。

そしてうどんの出汁の中には、野菜類がたっぷりと煮込まれているのだが、「これは、ほうとうではないだろうか」との思いが湧いてきた。麺の形だけが違うのではないだろうか。ほうとうはあまり好きではなくそれだからほうとう以外を食べようと店を探したわけだが。

「ノルウェーの森」の苦い思い出

2024-07-25 00:00:06 | マーケティング
朝日新聞の連載小説『C線上のアリア(湊かなえ著)』は、ほぼ並行して進行しているNHK大河『光る君へ』と同じようにW不倫方向に進んでいる(まだ確定していないが)。NHKの方は歴史的事実から大きく逸脱できないが、小説の方は自由自在だ。いまさらSFとか妖怪方面に行くことはないと思うが、主人公の女性(おおむね50代の中頃)は学生時代の元カレと現在の夫の間で心が揺れ動く(というか、どちらも愛せないような感じだが)。

その中で、大きな意味を持っているのが村上春樹著『ノルウェーの森』。空前のベストセラーだった。上下二巻本の小説で、上巻が赤、下巻が緑というイタリア料理みたいな装丁だった。主人公の元カレは、なんと下巻だけを手に入れて読み、上巻部分は読まなくてもいいというタイプの人間で、現夫は上巻の途中でつまらないから止めてしまったということ。


実は、『ノルウェーの森』が刊行され、爆発的に売れ始めたその時、書店を出店しようとしていた。勤務していた石油会社がガソリンスタンドの多角営業を模索していて、大型スタンド開設時に書店を作ることになり、ほぼ一人で格闘していた。その前の仕事は、今はなき「エーエム・ピーエム」の出店だったがそちらはチームでやっていたのだが、書店は商圏範囲も狭いし、厄介な話ばかりで結局、適切な相棒が見つからない。

で、一番困ったのが、内装の棚の工事や店長候補者の研修まで行っていた頃に、予定していた大手取次店が取引中止を言ってきたわけだ。秘かに進行していたのだが近くの同系列の書店が聞きつけて、抗議したということ。これには困った。なにしろ当時は出版社と書店との間には取次社が入り、大手2社(TとN)が市場の9割を占有し、大手10社の残りの8社で1割を分け合うという市場末期状態だった。

といっても、今さら内装を変えるわけにもいかないし、オープンキャンペーンの日時も決まっていて、結局、ツテを頼って、残りの8社のうち1社に頼むことにしたのだが、これが、力がない。本や雑誌は、取次が勝手に送ってくるものと、店舗から注文する場合があるのだが、ほとんどは取次の押し付け。数か月後には売れ残りは返品できるが、売れない本は万引されるリスクしかないといっていい。

それでオープンキャンペーンは、1000万円をかけて豪華景品や鉄道の中に中釣り広告出したり、店の前の大通りを走る車のラジオを電波ジャックしたり、・・・

そして年末のオープン日に近付くにつれて、日本国の象徴の方の容態が悪化していき、「もしも」の時にキャンペーン張ると街宣車が来ることを想定し、・・・


話を戻すと、当時は、今よりもずっと小説が売れない時期だった。売れる作家は村上春樹、村上龍、吉本ばななの三氏だけだった。そういう本は新規開設店には送られないのだ。そして問題の「ノルウェーの森」。下巻が1冊だけ送られてきた。下巻だけ買う人はいないだろうと想定し、近くの書店に定価を払って買いにいき、並べて売ることになった(厳密に言うと古本なのかもしれないが)。さらに、書店の発注ではなく、従業員に名前を借りて、客注という形で発注してみたが成果ゼロ。

書店というのは当時よりもさらに激減しているが、書店に限らず、激減が始まる時には、その激減を加速するような事象(火に油というような)が起きていることが多い。

石川君、行け!!(2022年 映画)

2024-07-24 00:00:01 | 映画・演劇・Video
ピアフィルムフェスティバル(PFF)出品作。なんら受賞しなかったが、かなり良い出来の映画だと思った。製作費が十分にあったら役者を含めて見栄えがいい物になったような気がする。

映画の中に映画監督が登場するというのはフェリーニみたいだが、8・1/2のフェリーニは椅子に座ってばかりだったが、この映画の主役(石川)は走り回ったり敵地に潜伏したりと行動的だ。しかし、学生時代は花形監督であってもPFFと同様に映画祭で最高賞に落選。今は、カチンコを手放し、一介のサラリーマンになっている。

その彼に舞い込んだのは、郊外の過疎地のPR映画。町の良さをアピールする映画だ。もう一回映画を撮るか断るか。あれこれ悩んだ末、引き受けて田舎町に行ってみると、次々に問題が起こる。スポンサーの予定だった「森を守る会」がよそ者が参加する企画には金を出さないと資金提供を断る。

といって、今さら辞める気のない石川監督は町の過去の調査を行うが、それと同時に「森を守る会」が怪しい外国人の元、森の中で怪しいことをしていることに気が付いてしまう。ということで、PR映画は取りやめて犯罪ドキュメンタリー映画を写すことになる。

町史を読むと、40年前に森の中で、ある人間がキノコを食べて中毒になった事件があり、基本的に森は立入禁止になっているということを突き止める。そして厚労省の麻薬取締官が現れる。日頃からピストルの発射訓練をしている職業だ。

題名が「石川君」だし、監督役を演じるのが石川君でそれが石川君の本名なので、映画の監督も石川君なのかと思っていたら、そうではないわけだ。

住吉駕籠(演:桂塩鯛)

2024-07-23 00:00:02 | 落語
住吉街道というのは関西の主要街道だそうで、その街道で商売している駕籠かき二人組が、変な客に絡まれるという話。カスタマーハラスメントということ。そう考えれば、江戸の時代からの問題が、今頃やっと解決に向かったということだろうか。

枕の部分で住吉街道の説明があって、大阪から和歌山(紀州)方面に向かう道路とされる。東京でいうと第一京浜とかかな、と何気なく思い、そういえば堺市にある街道は与謝野晶子や千利休の生家もあったな、と思い出すが、もっと記憶を辿ると、住吉街道ではなく紀州街道じゃなかったかなとか思ったのだが、とりあえず何街道でも本質的に同じだろうと、後回しにする。

実際には住吉街道というのは二通りの使われ方をしていて、紀州街道のある部分を指すという場合と、南北に通る紀州街道から住吉大社の場所から東に(長居方面)に向かう短い通りを指す場合があるとのこと。

まあ、住吉大社のあたりの駕籠かきの話なので、そもそも枕で街道の話を出したのが適切じゃないのかもしれない。住吉大社構内タクシーという感じだろうか。だから大坂方面か堺方面か長居方面か行き先は三方向ということ。

それで、最初の客は超短距離。道の反対側までとか言い出す。どうしても乗ってほしいと言われたから乗っただけと言う。

次の客が大問題で酔払い。酔っぱらっても眠っていればいいが、陽気な酒で駕籠かきに話しかける。エンドレステープの様に同じ話を繰り返す。しかも、きちんと合いの手を入れないと怒る。駕籠かきとタクシーの運転員との差は二人か一人かということ。二人ならなんとかなるが、タクシーは大変だ。タクシーに翻案した落語があるかもしれない。

実際は1時間ものらしいが、NHKの日本話芸は30分尺なので、ここまでで終わり。もっと先を聞きたい方はDVDを買ってほしいとのこと。

新型桔梗信玄餅の食べ方

2024-07-22 00:00:29 | あじ
甲府に行った時に、突然に桔梗信玄餅を頂くことになった。

桔梗屋の販売所の中でも4カ所だけで販売されている「極」という商品。新型だ。ここ数年「新型」という言葉のイメージは激落してしまったが、本製品はどうだろう。



普通の信玄餅はプラ容器の中に、「餅」と「きな粉」が入っていて付属の「黒蜜」をかけて食べるのだが・・

何しろプラ容器を使うことが犯罪のような言われ方をする昨今、登場したのは、プラ容器ではなく最中の皮が使われていて、容器まで食べられるようになっている。ソフトクリームと同じ原理だ。

しかし、餅を食べた後に、空になった最中の皮を食べるのは、いかにも無粋だ。「味が悪い」という文字通りの形容がある。

最初の一個はそういうノーマルな食べ方をしてしまった。

そこで思い出したのが、桔梗屋が推薦している普通の信玄餅を美味しく食べる方法。

包みのビニールを拡げて、その上に「餅」と「きな粉」と「黒蜜」を全部出して、かき混ぜてから食べるという方法。

当然ながら、同じ方法でやってみたのだが、何しろ、「餅」と「きな粉」と「黒蜜」だけでなく「最中の皮」も砕いてから混ぜてみた。



画像を実物よりも大きく拡大すると食べ物というよりも、山の中の産廃処理場という感じになった。

そして、黒蜜の量が足りない。

最中の皮にあらかじめ味を付けておいた方が良いように思う。

それと、ビニールの部分にも味を付けて食べられるようにしたらどうだろう。さらに竹の楊枝も何とかしないといけないだろう。

山梨県立美術館、ミレー画の秘密

2024-07-21 00:00:34 | 美術館・博物館・工芸品
甲府へ所用で行ったので懸案だった山梨県立美術館までバスで行く。甲府市内のバスはなかなか乗るのは大変で、ルートは多岐だし、・・



美術館と文学館が向かい合っていて、間には彫刻がいくつか展示されている。美術館の最大の特徴は、「ミレー」。バルビゾン派の中核人物だ。バルビゾンというのは。『印象派』とか『野獣派』といった絵の技法というより、バルビゾン村という小さな村に集まっていた画家たちのことをいう。パリから60キロのところにある細長い村で、村はずれに小さな森がある。小さな森なので、熊や狼はいないので安心して描くことができた。

代表画家は、ミレー、コロー、テオドール・ルソー、デュプレなど。あえて言うとその中でミレー以外は森を光と影によって描いているが、ミレーはもっと社会派的なテーマをキャンバスに塗りこめていた。



本美術館は特にミレーに特化していて、ミレー館という別館がある。大部分がミレーで、その他のバルビゾン派の画家の作品も展示されている。



代表作の『種をまく人(1850年)』と『落ち穂拾い、夏(1853年)』の二作だが、まず『種』の方だが、実際にこんな無造作に力強く種をまく人はいないそうだ。つまり、農民による何らかの社会への不満を描いたに違いないと、画壇では非難されたそうだ。絵画に社会的主張をのせたのはピカソ『ゲルニカ』より前からあったわけだ。

つぎに『落ち穂』の方だが、前々から少し違和感があったのは、麦の収穫の時に、うっかり地面に落としてしまった麦穂を拾い集めるとか、そんなつまらない作業をなんで描くのかな、と思っていた。もっと農民たちが嬉しそうに麦刈りしているのを描く方がいいのではないかと。つまり、何も分かっていなかったわけだ。フランスでは、刈入の時に、貧しい人のために、少しだけ麦穂を畑に落としていくのが習慣だったそうだ。この絵の3人の女性は貧しかったわけだ。さらに遡ると旧約聖書にも、畑に収穫物の一部を残すように明記されているそうだ。

では、なぜ山梨県にミレーかというと、バルビゾン村と自然環境が似ているからということになっているが、似ていないと思う。暑過ぎる。

暑い甲府で詰将棋全国大会

2024-07-20 00:00:00 | しょうぎ
先週、山梨県甲府で第37回詰将棋全国大会が開かれた。

横浜からだと横浜線というのがあって八王子から特急に乗り換えると2時間位。この横浜戦だが元々は富岡製糸場で製糸された生糸を高崎から八高線で八王子に運び、さらに横浜線で横浜港まで運んで世界各地に輸出していた。一時は冴えない線になっていたが、途中の橋本駅にリニアが停車するということで、特に、静岡知事選挙の後、急速に地価が上昇している。



なぜ、高温で有名な甲府で7月中旬に大会を開催しようとしたのかわからなかったが、説明では、都内は会場費が高いからということらしい。新幹線も空港もないので、西日本の方は名古屋から中央線で来ている人も多かったようだ。

来年は、本来は大阪地区で開催の順らしいが、万博があるので、九州開催ということらしい。むしろ万博と同時に開催してもらいたかったが、・・そういう目線はないのだろう。


さて、7月6日出題作の解答。








今週の出題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

何を考えているのだろうか?

2024-07-19 00:00:01 | 市民A
先日、おそらく最も単価が安いファミレスでイタリア?料理を食べていたら、頭の後ろの方の席のおばさま方の話が聞こえてきた。

あまりにおかしいので、フォークを動かす手を止め聞いてしまったのが、新札のこと。

どうもタンス預金を新札に変えようとしたようだ。そして失敗。ATMに旧札50枚入れて新札に変えようとして旧札がでてきたらしい。



どうもタンス預金を何度にもわけて新札に変えようとしたようだ。貸金庫からATM、そして貸金庫へ。

そんなに慌てなくてもいいと思うが。日本には90兆円のタンス預金があると言われているらしいが、そもそも若い人たちはタンスを持っていないのでやはり預金を持っている人はたんすも持っているということだろうか。


次に、他人の話を耳にしたというのは、ご近所の庭の手入れに来た植木屋さんたちが昼休みに3人で話していたこと。テーマはトランプの暗殺未遂。

うち一人は、あの距離で外すとは腕が悪いと大声でしゃべっていた。2キロ離れたところも射程なのに腕が悪いというようなこと言っていた。同僚からは、いつ射撃やっていたのかと聞かれていて、嘘っぽいことを言っていた。自衛隊にいたのかな?

色々な人がいるようだ。

上永谷のリュウゼツラン

2024-07-18 00:00:12 | 市民A
一部のテレビ局が報道を続けている横浜の上永谷(かみながや)にある道路の中央分離帯に生えていて、70年以上の眠りから覚め、急激に伸び始めたリュウゼツランが咲き始めた。横浜市営地下鉄の上永谷駅からすぐのところにあるということなので、行ってみた。

横浜環状二号線という大きな道路の「上永谷駅入口」というT字型の交差点の中央分離帯に生えているということだが、多くの人が集まっている。



近付くと、かなり大きい。花の付き方も妙な感じだ。毎年、エネルギーを少しずつため込んで数十年ためこんで、急に伸びだすそうだ。動物でいうとセミのような感じかな。



花は咲き始めているようだが、上の方なので間近に見ることはできないが、この株の下からは何本もの細い茎が伸びていて、そこに花が咲いている。地表から1メートルほどの高さで咲いている花と、上空の花はほとんど同じような形状なので、それを観ればいい。



ところで、テレビ中継などでは映らないようにしていたのだろうが、この交差点の突き当り側には途方もなく横長のマンションが立っている。スマホ上の画像は六連だが、もう一棟つながっている。日本記録とか世界記録級ではないだろうか。

Mr.&Mrs.スミス(2005年 映画)

2024-07-17 00:00:00 | 映画・演劇・Video
ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーといえば、離婚した後もこどもの親権を争って泥沼裁判を行ったことで有名だが、その二人が結婚したきっかけになった共演作が『Mr.&Mrs.スミス』。2005年にアンジェリーナ・ジョリーと交際を始めたブラッド・ピットは、すぐさま妻と離婚してしまうのだが、実際に結婚したのは2014年。その間の非婚期間中に子供も生まれている。不思議なことに交際から結婚までの期間が9年なのに、2年後の2016年に離婚して泥沼に浸かった。

あらすじだが、ジョンとジェーンは実は身分を隠しているのだがそれぞれ別の組織で暗殺請負業の仕事をしている。お互いに身分を隠していたのだが、たまたま、ある人物の暗殺の仕事で二つの組織が請け負ってしまい、現場で暗殺組織同士の撃ち合いになってしまう。

そして両組織とも失敗の原因を追究していくと、配偶者が殺し屋であることをそれぞれ知ることになる。

ということで、二人にはそれぞれの組織から相手を殺すように指示が出るのだが、途中で、二人は両組織が共同で二人を始末しようとしていることに気が付き、「逃亡よりは殲滅」と過激な結論を出し、あえてコストコのようなショッピングセンターの中に誘い出し、ショッピングセンターの中で銃撃戦を行った上、組織も建物も壊滅させてしまう。

つまり二人で数百億円の物的被害と百人以上の犠牲者を積み上げてしまう。それもNYだ。

こういう映画が大ヒットしたり、高校に射撃部があったりするのだから、素晴らしい国なのだろう。