ある家系ラーメンチェーン店

2022-09-30 00:00:13 | あじ
数年前に、自宅近くに「大桜(おおさくら)」というラーメン店が開業した。いわゆる横浜の代表的な味である家系ラーメンだ。当初に行った時は、若干、味が塩っぽいので薄口で食べればよかったと、当時思ったことをすっかり忘れていた。



店頭ののぼりに「ざく丼」というのと「夏季限定 のり梅」というのがあったので、どうするか迷っていたのだが、店頭で自販機で食券を買うのではなく、着席してからメニューを見て決める方式なので、メニューを見ると「ざく丼」というのは都内でいえば「チャーシュー丼」のことのようだ。また「のり梅」というのは、普通のラーメンの上に黒ばら海苔と練り梅がトッピングされたもので、画像だけで満足ということにして、チャーシューラーメンと無難策に逃げる。「薄味」を頼むのはすっかり忘れた。



チャーシューは厚さ3.0ミリ位で5枚のっていた。

家系もかつては個性を競っていたようだが、有名店が閉店したりして、標準的な味の店がチェーン店かして増殖しているようだ。HPで数えてみると神奈川の北東部を中心に15店にもなっている。

それでメニュー価格だが、3桁の単価のラーメンは、トッピングのないラーメンと、のり梅ラーメンだけで、あとは1,000円以上。

他のジャンルの店でもそうだろうが、1000円の壁を突破すると、一気に1500円、2000円と次の壁まで上がってしまう。

もっとも海外ではラーメンは3000円から4000円らしい。もっと円安が必要なのだろうか。


現実的な話として、米ドルと統一通貨にしてしまえば、為替問題の多くは発生しないはずだ。

片づける禅の作法(桝野俊明著)

2022-09-29 00:00:26 | 書評
そろそろ終活でも始めようかと思っても、手が動かない。何もしなければ何も始まらないのはわかっているが、始めてもすぐに行き詰まるのも目に見えている。別にゴミ屋敷ではないし、とりあえず図書館で借りてきた『片づける禅の作法』の著者の枡野俊明氏よりも掃除や片付けや雑草を抜いている時間は長いかもしれない。それでも、今目の前にある机の上の筆立の中をかぞえると、ボールペン20本、シャープペン6本、はさみが4つに鉛筆も4本。ボールペンは引き出しの中にまだたくさんある。コルクボードにはメモが12枚。

メールボックスには未読メールが40000件以上。毎年1回差出人別に並べ替えて削除しているが会社役員だった時のメールは証拠として残してある。会社のアドレス分のメールも持っている。まだ10年経っていないので。



ところで本書だが、AMAZONでの解説では、

物を持たず、豊かに生きる―。「朝の5分掃除」「窓を開け、心を洗う」「靴をそろえる」「寝室は引き算」など、禅のシンプルな片づけ方を紹介。ひとつでもいいので、できることから始めましょう。少しずつ続け、習慣にすることが大切です。身のまわりを美しく整えることで、心も、そして人生も整っていくのです。

と美しい言葉で書かれているが、読んでみると、キモとなる思想があることがわかってきた。

それは、
「邪念があるから、モノが増える」
ということだろう。

といっても、自分の心の中から湧き出してくる邪念が多いわけでもなく、他人の邪念に巻き込まれているようにも思えるのだが、身の回りに邪念のない人など見あたらないようにも思える。

黄昏(1952年 映画)

2022-09-28 00:00:41 | 映画・演劇・Video
邦題が同じ映画があり、1981年にも『黄昏』という米国映画があった。81年の方はフォンダ父娘が共演。アカデミー賞主演男優賞と主演女優賞(キャサリン・ヘップバーン)を受賞している名作。原題は英語で、まったく違うのに・・

主演はローレンス・オリヴィエとジェニファー・ジョーンズ。俳優として成功し富と名声を得た二人であるにもかかわらず、この映画はドロドロW不倫がテーマで、最後には富と名声を失う男とスターダムに上っていく女という構造になっている。観たことがあるような展開だが、どの映画だったかは特定できない。

ワイラー監督は、こういう小品的作品をうまく仕上げるのが上手いのだが、その裏側に毒が隠れているような気がする。本映画の筋書きだって、「これでいいのだろうか」。W不倫はさておき、「相関関係4人の中で幸せになるのが一人だけ」というのは米国では筋立てとして許容されるのかな、とか思いながらも、シェークスピア劇では、幸せになるのが一人、あるいはゼロ人というのもあるか・・・と納得する。そういえばハードボイルド系もそんな感じかな。

ロープ(1948年 映画)

2022-09-27 00:00:52 | 映画・演劇・Video
ヒッチコック映画。舞台はNY。摩天楼の見える高層アパート(フラットというのかな)。現在なら家賃は月200万円かな。二人の青年実業家(風)が友人をロープで絞め殺す。そして遺体を大型床置きチェスト(衣装入れ)の中に隠し、そのチェストにクロスをかけてテーブルのように使ってパーティを始める。二人のうち一人は気が小さく、良心の呵責から挙動不審になる。もう一人は自己顕示欲が強く、秘密がばれないことにスリルを楽しむ。

ところが客人の一人、ある大学教授が、奇妙な場の雰囲気の原因を探し始める。

そして、あれこれとばれそうでばれない観客サービスがあったあと、パーティはお開きになるが、ほっとした二人のところに教授は戻ってきて、ついにチェストを開けてしまうわけだ。

ヒッチコックらしく、チェストの中が空で新たな展開になるかと思ったら、そうではなく真実が明らかになり、パトカーのサイレンが聞こえてくる。

題名からして、ロープがかなりの映画の中心テーマかと思ったのだがそうでもなかった。

実は私と5親等の距離に学者がいて、結び目の研究をしていた。本当の目的は電気製品などの電線のねじり方とか結線といったことなのだが、警察関係の犯罪捜査の手伝いを何度もしていたようだ。いくつかの有名事件の犯行状況の特定(職業とか利き手とか)のため足を運んでいたそうだ。つまりロープを結ぶ方面の犯罪というわけだ。

もう一つ、付け加えると、私も衣服類を春夏と秋冬と2分割して収納しているのだが、収納チェストは透明なプラケースなので、映画のようなシチュエーションでテーブルの代わり使うわけにはいかない。海や川に投棄しても水面を漂流するだけだ。

『女神』(三島由紀夫著)

2022-09-26 00:00:13 | 書評
1955年の後半から半年ほどの連載で書かれた中編小説。1955年の前半には名作といわれる『潮騒』が書かれている。『潮騒』と『女神』は題名こそ両者ともにエーゲ海の香りが漂うが、『女神』の中に書かれているのは古典的な美しさの欠片もない俗人たちのゆがんだ心である。



もっとも歪んだ心象を描くというのは小説の一つの手法で、19世紀的文豪(モーパッサンとかトルストイとか)の名作の多くがあてはまる。

最近読んだ池澤夏樹の文学論の中で、三島由紀夫の小説について、「神のような立場で、すべてのストーリーが作家の掌の中で展開される」と批判的に書かれているが、悪く言えば登場人物はロボットというかゲームキャラクターのようなものなのだろう。

もっとも登場人物に対して作家の思い入れが強すぎるのも読者の側に疎外感が生まれてしまう。

理想的なのは、『作家』『登場人物』『読者』の三要素が小説の冒頭では程よい距離感覚であって、筋の進行とともにその距離が詰まっていて一つの作品の中で凝縮されるようなのがいいのだろう。

『女神』は、最後は唐突に衝撃的な結末を迎えるのだが、書き始める前にこういう結末が考えられていたのかどうかはわからない。

バージンココナッツオイル

2022-09-25 00:00:11 | あじ
フィリピン在勤の邦人よりバラココーヒーの他にバージンココナッツオイルをいただいていた。ココナッツの中の白くドロッとしたところを熱を使わないで絞ったものをバージンココナッツオイルというそうだ。オリーブオイルと同じ命名法だ。



同じヤシ油でも、世界的に流通しているパームオイルはマーガリンの原料や化粧品のベースなどに使われているが似て非なるもので成分はかなり異なる。

植物油といえばオメガ3をイメージするだろうが、それはココナッツオイルには当てはまらない。オメガ3はエゴマ油や亜麻仁油に多く、魚の脂身(マグロ、サバ、サケなど)に含まれるDHA,EPAなどに多いそうだ。

ココナッツオイルの主な効用は、人間の体に吸収されないということで、もっぱらダイエット効果のようだ。

ということで、普段の食事に加えてココナッツオイルを摂っても何の効果もない。



ということで、朝の朝食で食べるトーストにバターを使わず、ココナッツオイルをスプーン2杯塗って摂ることにした。バターが減ってココナッツオイルが置き換わった。


ところで、2本いただいたのだが、内1本は白濁している。おそらく流動点の問題なのだろうが1本だけというのは奇妙。調べてみると摂氏25度で白濁し、20度で固体になるそうだ。

ボトルに書かれている説明を読むと、白濁した場合はlukewarmの水で温めるように書かれている「luke」の意味を知らなかったが「ぬるい」という意味のようだ。熱湯ではない。40度くらいのこと。

手数(てかず)将棋のこと

2022-09-24 00:00:05 | しょうぎ
昭和15年に出版された関根金次郎著『棋道半世紀』博文館の中に「手数(てかず)将棋」という一文がある。青空文庫で見つけた。

一言でいうと「相手と握った手数の間に王を詰ませたら勝ち」というルールで将棋の会所で行われていた。つまりハンディの一つだ。どうも金を賭けていたような感じだ。

ルールは互いに事前に手数を決めて、上手(強い方)が例えば50手ということになると100手で詰まさないといけない。最初に碁石を50個強い方に渡し、一手指すごとに碁石を一つ相手に渡していき、石がなくなれば、下手の勝ちになる。基本的に受け将棋の方が勝ちやすいだろう。

これでもせっかちな人は石を2枚わたしてしまったり、渡さない人もでてくるらしい。現代でいうと対局時計の押し忘れのようなものか。

ところで、この「棋道半世紀」だが興味深い内容のようだ。『合図将棋』という単語もあるようだが、古本では8000円以上だ、国会図書館に行けば、閲覧やコピーができるはずだ、


さて、9月10日の出題作の解答。








今週の出題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

コンビニ手作りおにぎり

2022-09-23 00:00:57 | あじ
そもそもミニストップはコンビニなのかということなのだが、イオンの子会社で物流網を共用しているわけでもなく、大手3社で使えるQUOカードは使えない。

とはいえ、近いところにあるのでよく行くのだが、地元の評判は、「おいしいアイスの店(ハロハロとかソフト)」と「おいしい手作りおにぎりの店」という分野では人気が高い。

その裏腹で、店員の作業が多くて、レジに人が並んでいるときは、ムリ過ぎて頼めないということになる。セルフレジもあるが、イオン系のアプリが重複していて何を使ったらいいのか理解できないし、神奈川県は「かながわPay」さらに横浜市は「レシ活バリュー」といった買物補助金を実施していて有人レジで対応になっている。

ということで、「手作りおにぎり」はアイス系と違って溶けてなくならないので、運よく店頭に置かれていれば、よく食べるが、1週間ほど前の暑い日に「うなぎご飯」があった。現在は夏が終わり、終売になったようでHPでは確認できなかった。



予想よりもウナギの量が多く、飯の味付けは鰻丼(重)と同じだ。

まあ、一口鰻丼といったところだろうか。

完成させるまでの作業が複雑怪奇な感じがある。たれが多すぎると握ってもまとまらないだろうし、一個ずつに平均的にウナギを混入させないといけない。一方、実際に食べる時に手が汚れるのはテリヤキバーガーの比ではない。

たぶん色々な課題を抱えているのだろう、と思いながら、来年の夏の復活を待つことにする。

猫は自ら家畜化した、という説

2022-09-22 00:00:57 | 市民A
ナショナルジオグラフィック誌(電子版)に猫の遺伝子のことが書かれていた。猫は見かけ上はいくつかの形態があるように見えるが、実際にはヤマネコを含めても遺伝子は殆ど変わっていないそうだ。過去9000年間の200匹以上の猫のDNA調査をした結果だそうだ。唯一、ぶち柄の猫が中世に現れたそうだ。

そして、イエネコの祖先は2系統あって。紀元前4400年後子に西南アジアからヨーロッパに拡大したグループと紀元前1500年前からアフリカからエジプトに伝わった猫で、このアフリカネコは人間にとって魅力的な社交性や従順性を持っていた。

ではなぜ、猫は人間に近づいたのかというと、ネズミを捕獲しているうちに人間に近づいてしまったともいえるし、ネズミを減らすために人間が猫を世界中に連れていったのかもしれない。

そして、猫が愛玩用として品種改良されたのは18世紀からのようだ。犬は人に飼われた最初から人間から品種拡大をされているのだが、猫はそのままだった。というのも、「変える必要がなかったから」ということのようだ。

猫の研究はまだ日が浅いのだが、ある音声学者がネコ語の研究を始動させたらしいニャン。

元英国女王の国葬について

2022-09-21 00:00:19 | 市民A
テレビ画像を観ていて、思ったことだが、

1.英国人は足が長い、ということ。
 ということで、『あしながおじさん(ウェブスター著)』に最後に登場する足の長いオジサンの足はどれだけ長いのだろうと調べてみた。

名前はペンドルトン氏。英国系かどうかは不明だが、有名な毛織物のペンドルトン社はオレゴンに住む英国人商人が地元のペンドルトン市の名前を社名にしたということで、小説中のオジサンも英国からの移民なのかもしれない。英国人なら普通の長さだったのかもしれない。なおペンドルトン市の市民数は16,000人だが、内一割の1,600人は市内にある刑務所の囚人だそうだ。

2.君主国の人口ランキング
 気になっていて調べてみると、単一国家としては日本のようだ。中国、インド、インドネシアなど国王は諸々いたのだが、それぞれの理由で廃止されている。もっとも日本に人口が急迫しているエチオピアには国王がいる。

英国は人口は日本の半分ぐらいだが、英国国王を元首とする英連邦王国(元首ではない国を含んだ英連邦もある)全体の人口では日本より多い。

おおざっぱなデータだが、百万人単位だと
 英国 69
 カナダ 38
 オーストラリア 26
 ニュージーランド 5
 アンティグア・バーブーダ 0
 バハマ 0
 ベリーズ 0
 グレナダ 0
 ジャマイカ 3
 パプアニューギニア 9
 セントクリストファー・ネイビス 0
 セントヴィンセント・グレナディーン 0
 ソロモン諸島 1
 ツバル 0
 合計 151>125 日本。

ただし、オーストラリアは女王から国王に変わったので、王国から離脱しようという動きがあるそうだ。そうなると日本と人口がタイになる。というか次々に離脱されるかもしれない。

3.北海油田と被る在位期間
 英国の歴史にケチをつけるつもりはないが、女王の時代は英国の衰退が食い止められ、国営企業が民営化され、金融他の重点分野で世界規模の企業が生まれ、国の地位を固めたわけだが、1960年から始まる北海油田による効果は大きく役立ったのではないかと思う。その反面、油田が枯渇に差し掛かり、収入減や海底油田の膨大な閉鎖費用が近づいていて、EUからも離脱。幸せな時代は終わりに近づいているのかもしれない

4.「女王」の国語的意味。
 まず、読み方。「じょおう」か「じょうおう」か。どうも発音的には「じょうおう」と聞こえるが正式には「じょおう」らしい。三省堂の国語辞典第四版では「じょうおう」は「じょおう」の俗名となっている。同じく第六版では「じょうおう」は辞書から追放された。

なんとなく前の女王の代で読みやすさから「じょうおう」になったのかと思えなくもない。女王といえば彼女のことで固有名詞みたいだった。

さらに「女帝」という言葉もある。意味に違いはないが、エカテリーナ女帝とか、あまり良い感じではない。女帝という言葉にはややネガティブな響きがある。職場とかサークルとか学校ならクラスの中などにいるのが女帝。これも「じょてい」とも読むし「にょてい」とも読む。

見知らぬ乗客(1951年 映画)

2022-09-20 00:00:51 | 映画・演劇・Video
ヒッチコック監督によるスリラー映画。

アマチュアテニス界の有名選手のガイ・ヘインズは浮気性の妻と離婚して上院議員の娘のアンと再婚しようとしている。ところが、妻は既にガイ以外の男性の子を妊娠しているため、離婚しないと言い始め、ガイは困ってしまっていた。そして列車で移動中にブルーノという男が現れる。ブルーノは父親を殺したがっていて、ガイに交換殺人を提案する。交換することでお互いの動機を隠してしまおうということ。

ガイは、そんな唐突の話は冗談だと取り合わないが、ブルーノは勝手にガイの妻を夜の遊園地で殺してしまう。

捜査というものは、今も昔も動機だけではなく証拠・証人・アリバイというものが重要になる。本来、ガイは犯行時間には列車に乗っていて、行きずりの大学教授と食事をしていて、教授が証言すればアリバイが完成するはずだったのだが、教授は列車に乗る前から飲み過ぎで酩酊していてすっかり記憶を飛ばしていた。大学教授らしいふるまいだ。

そして、警察はアリバイのないガイを妻殺しの犯人と推定し証拠固めを始めるのだが、一方でブルーノはガイに自分の父親を殺すようにせかすわけだ。ガイはそれを拒み、ブルーノはガイが犯人であるかのような証拠を犯行現場に置きに行こうとする。

そのあと、本映画の最高の場面が登場する。遊園地のメリーゴーラウンドの馬が暴走を始めグルグルと高速で回り始める中で、ブルーノとガイが戦うことになる。馬にしがみつく子供たちやそれを取り巻く親たち。メリーゴーラウンドの暴走を止めるべく地面をはい回る老エンジニア。

平和の象徴のような遊具が血塗られた暴力によって汚される。

昨今のスリラー系のように死者百人ということはなく、二人だけだった。


この映画で登場する上院議員だが、米国では米国連邦議会での上院議員だけではなく各州に上院議員がいる。本映画に登場するのは、おそらく州の上院議員ではないかなと思う。

海の仙人(絲山秋子著)

2022-09-19 00:00:41 | 書評
著者の『逃亡くそたわけ』を読んで、なかなか嬉しい気持ちになったので、次は『海の仙人』にする。小説だから舞台設定は著者の自由だ。日本海の海辺に住む主人公の男は東京の百貨店に勤めているときに、宝くじで大当たり。3億円を手にすると、社内の女友達にだけ事実を教え、会社を辞める。



全国の旅を続ける途中で気に入った古民家を買い、自給自足体制に入る。年に数回、女友達が遊びに来るだけのこじんまりした生活だったが、ある日を境に人生が微妙に動き出す。

その一は、どこからともなく男が現れる。男は「ファンタジー」と名乗り、仙人だと言い出す。つまり神様の仲間だ。

実際、彼は人ではなく仙人だった。しかし、「しゃばけ」シリーズに登場する貧乏神とか天狗とか猫又のような力は持ち合わせていない。ささやかな未来予測能力を持っているだけ。

すぐ近くまでやってきた訪問者の来訪を数分前に察知する程度だ。

そして、彼の直近予想通り現れた女性とこれまた断続的な交際が始まる。

そして、二つのストーリーが始まる。一つは彼が長く断絶状態だった姉を訪ねる禁断の旅。

もう一つは交際していた女性が重い病気にかかる。残された日々は僅かだ。


この小説は2004年に書かれ、前に読んだ『逃亡くそたわけ』は2005年。新人作家の頃から概ね1年1作といった感じなので吉村昭氏の作品のように「長く、かつ多い」ということではない。順をランダムに読むという方法もあるのだが、初期の作品と10年以上のちの作品がまるで変質していてがっかりするのは嫌なので、初期の方から読んでみようかなと思う。

登場人物にはなにかしらの「わけ」があるようにも思えるが、それが重大なものなのか、一見重大でも、そうでもないものかは、まだわからない。

洗足池に勝海舟をしのぶ

2022-09-18 00:00:05 | 美術館・博物館・工芸品
勝海舟記念館が洗足池の畔に建ってから3年過ぎたようだ。開館3周年記念バッジをいただける。



勝海舟については生地の両国公園にも行ったし、没地の赤坂(氷川)の旧勝邸跡にも行っている。江戸時代と明治時代をつなぐキーパーソンの一人だ。世間では西郷・勝会談で江戸が火の海となることなく明治時代が始まった時の交渉当事者という程度の評価なのだろうが、幕府最終章で唯一の知将であったといわなければならないだろう。

ただし、登場が遅すぎた。



この記念館は、勝の前半生については深く触れていない。まあ、色々あるのだが蘭学を始めて長崎にいる時に、日米修好通商条約が締結されることになり、その批准書の交換のために咸臨丸で訪米するメンバー集めがあり、無謀にも手を挙げた。

その後、幕府は強圧的に薩長を取り締まろうとするも失敗。

最終的に薩長との交渉は勝が全面的に行うことになる。



洗足池が勝海舟のお気に入りの場所になったのは2つ理由があるようだ。幕末に何回か薩長軍が本拠とした池上本門寺に勝が交渉に出向くときに、襲撃されるのを恐れ中原街道を使って洗足池経由を使っていたことと、明治時代になって、別荘をここに定めたことによる。



館内には、胸像があり、愛用の裃があり、そして屋外には夫婦の墓もある。

葛飾で将棋大会

2022-09-17 00:00:12 | しょうぎ
9月11日に葛飾区で行われた『渡辺明杯 かつしか子ども将棋大会2022』の手伝いに行った。渡辺明名人が葛飾区出身ということで、記念大会が毎年行われている。葛飾区出身の棋士としては、故関根茂九段、飯野健二八段につぐ三人目。4クラスに分かれてトーナメントが行われ、敗者慰安戦や棋士の指導対局などが行われる。



葛飾区以外からも参加可能で、横浜市で教えている子も参加していたが、特に重要な手伝いもなく、途中で失礼した。

棋士の指導将棋だが、渡辺名人は6面指ししていたが、多面指しの場合、全貌が見えていればやりやすいのだが、将棋の経験のない方がテーブルをならべると、三面指しで、前と右と左とに直角に盤を並べられると左を見ていると右の盤面が背中になり、相手が指したかどうかがわからないので大苦戦だ。いつだったか、4枚目の盤を背中側に配置されて、さすがにお断りした。(ビニール盤とプラ駒だと音が小さい)


さて、9月3日に出題した詰将棋の解答。








今週の出題。



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青砥駅の不思議

2022-09-16 00:00:21 | おさんぽ
葛飾区の青砥(あおと)駅の近くに用があって京成電車で行ったのだが、そもそも不思議なことがあった。

その前に、葛飾区の三大都市というのがあるらしい。亀有、高砂そして青砥と言われているらしい。といっても金町や新小岩の駅の周辺もほとんどが住宅地で、葛飾区全体にくまなく区民が住んでいるように思えるのに区の中の都市というのもよくわからないが。

そして不思議というのは、住所表示のこと。駅名が「青砥」なので、番地もそうかと思うだろうが、住所表示の方は「青戸」という読みやすくなっている。誰でも読める。

同じような例は、各地にある。川崎市には東急線では「溝の口」、JRでは「溝ノ口」というのがある。実際の地名は「溝口」となっていて、これも奥が深そうだ。

青砥に戻る。戦後、当用漢字に書き直したのかと思ったら、そうではなく、古くから青戸だったそうだ。現在でも近くには荒川があり、河川交通の要地だったらしく、水辺に関係のある「戸」という文字を使って少なくとも中世から青戸だったらしい。

では、なぜ青砥なのかということについて説がある。知る人ぞ知る「青砥藤綱」という鎌倉時代の武将が住んでいたとも言われる。この人は頭脳明晰だったそうで、鎌倉幕府に仕え、評定所の長だったそうだ。現代でいえば最高裁判所の判事。目先の利害に関係なく本質を突く判決をだしていたそうだ。

もっとも、有名になったのは江戸時代という説もある。大岡越前(忠相)を講談にするのは同時代ということで憚られるという理由で青砥藤綱を流用したという説もある。

それで、地元では青砥城跡なる場所が定められ、青砥藤綱の住居が推定されているが、果たして彼が住んでいたのかははっきりしていないそうだ。この青砥氏だが、もともとは伊豆に大場という氏を持っていたが、承久の乱の時に活躍して上総国の青砥荘の所領を得たそうだ。上総は千葉県だが葛飾に近い千葉は下総国。上総は今の市原市のあたりだ。なかなか繋がらない。実は青砥荘もどこにあったのかわからない(近くに同名のアパートがあるが)。


不思議な話はもう一つある。



青砥駅から北西に数分歩くと「青戸平和公園」というのがある。まとまった大きさがあるのだが、そこに原爆慰霊碑がある。さらに千羽鶴も。

一般的な話だが、「平和」という命名をする場所は往々にして平和ではないことが起きていることが多い。

とはいえ、ここに原爆関係の何かがあったのだろうか。あるいは秘かに日本も研究していたとも言われるが、まさか守秘性からいって都内ではないだろう。



石碑には、「昭和42年に品川区の寺院に設置されましたがしたが、非核平和を求める区民の皆様の願いから作られた葛飾区青戸平和公園に移設することができました・・・」
2012年(平成24年)東友会

と書かれている。


よくわからない。この平和公園の由緒と原爆慰霊碑が転居した経緯ということ。調べればわかるのかどうかだが、よその自治体の事情を調べるのも品がないように思える。