一国博覧会?それでもいいかも

2005-09-25 21:42:47 | 愛・地球博
d68da41e.jpg愛・地球博が終わった。名古屋にはつかの間の倦怠感が訪れるだろう。2005年夏、幸運にも物好きな親に恵まれたこどもたちの心には、何が残ったのだろう。それがわかるのは、まだずっと先だ。

ところで、会場で気付いていたのは、どうも万国博にしては、外国人がいないということだ。「一国博?」あるいはやはり「愛知・地球博?」。たぶん東京で開いても変わらないだろう。わざわざ、上海博に行くかといえば、たぶん行かないだろう。などと考えているうちに、万博の歴史を調べてみると、まあ、そこそこ面白い。そして、フルサイズの万博以外に、テーマ博とか特定博とか認可博とか無認可博とか色々あることがわかったが、それらは書ききれないので省略する。日本関係だけに限定すると、フル万博は1970年の大阪と2005年の名古屋だけで、1975-76年の沖縄国際海洋博、1985年のつくば国際科学技術博、1990年の大阪花博は「特別博」と認定されている。

1851年 第1回 ロンドン ハイドパークにクリスタルパレスを建てる
1853年 第2回 ニューヨーク
1855年 第3回 パリ
1862年 第4回 ロンドン
1867年 第5回 パリ   幕府、薩摩藩、佐賀藩出品(伊万里焼か?)
1873年 第6回 ウィーン 日本政府初参加 日本館建設
1876年 第7回 フィラデルフィア 米国独立100年
1878年 第8回 パリ
1880年 第9回 メルボルン 南半球唯一
1888年 第10回 バルセロナ
1889年 第11回 パリ フランス革命100周年 エッフェル塔建設
*** 私は、エッフェル塔は1900年のパリ万博と思っていたが違っていた
1893年 第12回 シカゴ アメリカ大陸発見400年
1897年 第13回 ブリュッセル
1900年 第14回 パリ
*** 日本近代史を語る上で、このパリ万博は非常に重要なのだ。寺島実郎著「1900年への旅」の中に詳しいが、多くの日本人がこの万博を訪れ、深い感銘を受け20世紀の扉を開けていくのだ。さらに欧州人の多くもそうである。
 秋山真之(海軍) 坂の上の雲の主人公
 夏目漱石 猫愛好家
 ピカソ  結婚詐欺師
 川上音二郎 サムライショーに出演
寺島実郎が書くところでは、この音二郎のサムライショーが、欧米人に対して、「日本人は劣った民族だ」という先入観を植え付けたことになっている。ギター侍が国連大使になったようなものか・・
そして、同時期に隣町のロンドンにはケインズやマルクスやその他20世紀を戦争の時代にした政治家の卵たちが保育器で育っていたのだが、日本人は誰にも気付かず、のほほんとしていたわけだ。パンドラの蓋が開きかけていたのだが。
1904年 第15回 セントルイス
1905年 第16回 リエージュ ベルギー独立75周年
1906年 第17回 ミラノ
1910年 第18回 ブリュッセル
1913年 第19回 ゲント
1915年 第20回 パナマ=サンフランシスコ
*** 何を焦ったのか万博の連発だ。
1925年 第21回 パリ アール・デコ博
1929年 第22回 バルセロナ
1933年 第23回 シカゴ ここからテーマをつけるようになる。(進歩の世紀)
1935年 第24回 ブリュッセル (民族を通じての平和)
1937年 第25回 パリ (近代生活における技巧と技術)
*** この後しばらく一般博は開かれない。理由は世界が分裂したからだ。
1958年 第26回 ブリュッセル (科学文明とヒューマニズム)
1962年 第27回 シアトル (宇宙時代の人類)
1967年 第28回 モントリオール (人間とその世界)2004年エキスポズ消滅
1970年 第29回 大阪(人類の進歩と調和) 岡本太郎のおかげで史上最多来場者
*** またしても、しばらくの空白がある。大阪の毒気にあたったのだろう。
1992年 第30回 セビリア (発見の時代) 米国大陸発見500年。
*** 400年記念はシカゴだったが500年はスペイン。ただしコロンブスはポルトガル人でスペインはスポンサーだったのだ。
2000年 第31回 ハノーヴァー (人間・自然・技術)1,200億円の赤字。
*** 名古屋でも、総コスト1900億円のうち、税金とギャンブル協会の納付金が1,350億円投入されているので、何をもって赤字とかいうのかは判定しにくいところだ。
2005年 第32回 名古屋 (自然の叡智)
2010年 第33回 上海 (より良い都市、より良い生活)

ずらっと並べてみると、テーマは「決して実現しないところに、その無限の可能性がある」ということなのだろう。

万博会場でソニーのことを・・

2005-09-24 21:44:36 | 愛・地球博
マンモスラボへのエントランスホールとしてソニーが巨大な画面を用意していた。

最近、元気のないソニーだが、つくづく考えてみると、あくまでも映像やサウンド、そして超大画面のような分野が強みである。他の家電メーカーのように、あれこれ仕組みを作って、ものが動いたり回転したりするようなアクティブな製品は苦手だ。そして動く部分の故障が多い。ロボットは不得意分野だと思える。そして開発のシーズが枯渇してしまったように見える。

一方、会場でみかけなかったメーカーがSANYOだが、こちらはソニーと逆にシーズをたくさん持っている。太陽光発電やハイブリッド用のバッテリー。さらに古典的な製品に先端技術を組み込むのが得意で、電子レンジや炊飯器を商品活性化させている。モーターで動く製品が得意だが、現在の開発は動かないものを狙っている。しかし、逆に、半導体は弱いし、カネがない。

ということで、この2社が合併または共同化すれば、かなり強烈な会社になるだろうというのが私の読みである。両社ともリストラしようとしている部分が、相手の会社の弱みの部分のようにも見える。

ただし、その場合の社名は2社の一部をとって、「SANSON」になることだけはないだろう。

万博はスローライフで(乗り物編)

2005-09-23 21:47:45 | 愛・地球博
万博は入場者が2000万人を超え、超満員だ。閉店直前には、もっと混雑するだろうという予想はあるが、そうなると入場できるパビリオンはより少なくなり、人気館も不人気館も例外なくどこでも待ち時間が超大になる。結果として「スローライフ」を味わうわけだが、それはみかけだけであって、ぐずぐずしていると列に割り込む人間も出てくる。

そして、この会場では、未来の乗り物ということで何種類もが動いているのだが、例外なくベリー・スローリーだ。まあ、これが人命尊重の日本だから会場内の乗り物は人の間を縫うようにゆっくり動くのだが、上海万博ではそうはいかない。自己責任と運まかせの国だからだ。もっとも、日本の後に開催して、そう大きな成功をあげるようには思えないが。

時間の関係で、全種類乗ったわけではないので、乗車感覚までのコメントができない場合もあるがご容赦を。

c294d731.jpgまず、「リニモ」。リ二アモーターカーだ。ネーミングが素朴。乗り心地は柔らかく、ゴムタイヤのような感触だが、ちょっと船に乗っているようなゆれ方をする。右に傾くとフアっとしたゆれ方で左に戻る。制御システムが効いていることは感じられるが、これで高速走行するとちょっと車酔いしそうな感じだ。ちょっと怖いのはブレーキシステムで、停電の時、きちんと止るのだろうか。そして、万博終了後も運行を続けるとのことだ。誰が乗るのだろう?

c294d731.jpg次に、「キッコロゴンドラ」。これは普通のゴンドラだ。未来とは関係ない。冷房なし。トイレなし。強風には弱い。もしかして、ロープのないゴンドラでも発明したら便利だろう。万博会場を上から鳥瞰することができるが、どこか空いたパビリオンはないかさがしても、もはやないのだ。ところで、このゴンドラという名前の語源はどこなのだろう。英語的ではない。なぜそんなことを考えたかというと、米国の国務長官、ライスさんの名前が似ているからだ、「ゴンドリーザ・ライス;通称ゴンディ」普通付けない名前だ。

c294d731.jpg3番目は「IMTS」。バスでもあり、電車でもある。天然ガス。圧縮天然ガスを制御する技術は難しいのだが、既に実用化され、都内を走っている。連結している時は列車だが、バラバラになるとバスになる。ターミナル駅までは列車として使い、そこから先は方面別のバスとして使えばよく、すぐにでも利用できそうだが、最大の難関は国土交通省に巣食う利権集団だ。


c294d731.jpgここから先は乗っていないので見ただけだが、「グローバル・トラム」。バッテリー駆動型の連結バス。夜間に充電するものと思える。できれば太陽電池を搭載してくれればよかったのだが、太陽電池メーカーはこの万博には、あまり協力しなかったようだ。この乗り物のスポンサーは日本通運なのだが、なんだか、宅配便扱いになりそうなので、ちょっとこわい。


c294d731.jpg次は「燃料電池車(FCHV)」。無料。長久手会場と瀬戸会場を結ぶ。まあ、トヨタはえらい。ところで、わざわざ、二つの会場を作るために、多大な労力と自然破壊を行ったのだが、よく考えるとメインパビリオンのある長久手会場の1/4の面積を占めるサツキとメイの家の部分には、実際にはほとんどの人は行ってないはずだ。事前予約が厳しすぎて、めったなことでは行けない。いっそのこと、ここに瀬戸会場分をビルドインしてしまえばよかったのではないかとも思えるが、何か事情があったのだろうか。


c294d731.jpgそして、乗り物シリーズの最後は、「自転車タクシー」だ。2020年になっても、燃料電池車が開発できなかったクルマメーカーは、世界中からガソリンがなくなった場合、この人力カーでも作るしかないだろう。なにしろ、私の友人たちの多くは、「ガソリンをどんどん使わないとなくなってしまう。せっかくのクルマが走れなくなるじゃないか。他人に使われる前にどんどん使ってしまわなければ損だ」と、考えているからだ。

万博まもなく終了にあたり・・

2005-09-23 21:45:28 | 愛・地球博
06c24cb0.jpg東京ディズニーランドは毎年12月31日の深夜にはカウントダウンが行われ、1年のクライマックスが最後の最後に訪れるのだが、別にそこにいなくても翌日の元旦は「ただの元旦」であり、何事もなく営業は行われる。カウントダウンは、いわば、擬似フィナーレである。しかし愛・地球博はまもなく本当に終わってしまうのだ。そして、たぶん名古屋で行われることは100年はないだろう。本当のフィナーレである。

そして、今回の万博の象徴が、冷凍マンモスであったことは、やはり大きな意味があったのだろうと考えるのだが、いくつかの雑感をランダム(本当に雑感ランダムに)に記してみたい。

まず、マンモスを見るためにはグローバルハウスという建物に行かねばならないのだが、簡単にはお目にかかれない。マンモスへのアプローチとして、オレンジホールかブルーホールという二つのゾーンのどちらかを通ることになっている。私はブルーホールの方を通ったのだが、ここはソニーの島だ。反対側のオレンジホールはNHKの島で、どちらも大画面の映像で、地球環境を訴える。

その先がマンモスラボ。冷凍になったマンモスの頭部と1本の前足が展示されている。18,000年前にシベリアでクレバスに落ちたまま凍ってしまったわけだ。実は18,000年というのはそれほど前の話ではない。人類の歴史は100万年以上なので、大きくみれば同時代生物であるのだ。そしてマンモスは死滅し、人類は大繁殖してしまった。それでいいのだろうかというのが、我々の目の前に投げ出された問題なのであろう。だいたい、マンモスが死滅した理由もはっきりわからないのだから、人間が絶滅する理由だって、今のところ見当が付かない。

そして、今回の、マンモスの「頭と前足」というのが象徴的だ。トヨタや日立がいくら頑張ってもマンモスは複製できない。失われた遺伝子ということ。「そして、行き先を頭で考えて、前へ進め」ということなのだろう。


実は、次の話はちょっと悲しいマンモスの話だが、ブログで読んだことはない。最近、角田光代の小説を何冊も読んでいて、どうも妙なことを考えてしまう。「家族の崩壊」

マンモスは象の一種であるから、かなり知能指数は高い動物であっただろうと想像できる。そして現在の象の生態から見れば、団体生活をしていただろうと考えられる。つまり家族で仲良く集団生活ということだ。しかし、シベリアには無数のクレバスがあり、ある日突然にマンモス家族に不幸がやってくる。家族の一員がクレバスに落ちてしまうと、どうみても彼らの体型では助かる見込みがない。父親象なのか母親象なのか小象かによって不幸の図式は違うかもしれないが、かなり痛ましい事態のように思ってしまう。家族を助けるために自分も穴に落ちたものいるかもしれない。

というような家族の崩壊物語を連想してしまうのだが、考えれば、人間の社会にだってそういう悲しい話はあるのだろうから、これ以上想像するのはやめる。


ところで、こうして21世紀末の地球人口のような大混雑の中で万博は終わるのだろうが、いくつかの醜い後日譚が予測される。

1.入場者増による収益増の行方
  以前(2004年10月30日)、愛・地球博の算盤を書いたことがある。
   予定総費用1,900億円の内訳はこうだった。
    国(450億円)
    地方自治体(450億円)
    公営ギャンブル(450億円)
    出店店舗から上納(160億円)
    入場料(390億円)・・1,500万人
   要するに税金900億円、テラ銭450億円、ショバ代160億円
   そして、1,500万人の予定が約2,200万人になったという
   ことは700万人分、約200億円の収入増になったということ。
   いったい、どのように配分するのだろう???要監視だ!

2.展示品の処分・・次の万博までとっておく国はないだろう。
   ネット上でのバーゲンはかなり進んでいるが、さらに
   投売りになるだろう。

3.冷凍マンモス・・当初、万博終了後、国内数カ所を行商する
   という噂が流れたが、まったく聞こえなくなった。巡業
   するという噂が流れると、万博の方の入りが悪くなるだ
   ろうから緘口令になったのだろうか。
   せっかくのマンモスがただの象牙加工品の原料になる
   可能性がある。

4.会場・・会場は元の山林に戻す予定らしいが、どう考えても
   完全に戻すことはできない。
   さらに、この万博は、あちこちの植栽に花が植えられて
   いるのだ。
   そして、それが万博最終日の最大の懸念かと思うのだが、
   「名古屋式開店祝生花持去風習」がある。パチンコ店の
   オープンなどで店頭に飾られた生花から、無断で何本か
   の切り花を自宅に持ち帰るのが名古屋の正しい儀礼だ。

   もしや、会場内の草花をちぎったり、掘り返したりして
   持ち帰るというような「蛮行」が起きるのだろうか?
   大変楽しみだ。

日本人が絶対にかなわない国

2005-08-24 22:39:21 | 愛・地球博
万博は、地域ゾーンごとに「グローバルコモン」というブロックを作っている。そして、その一つであるグローバルコモン3は、地中海沿岸とヨーロッパ地域からなる。実は、一つの興味は「トルコ」だった。あと数ヶ月で、EUにトルコを参加させるかどうかの討議を始めるべきかどうかについてEU委員会が検討を開始するそうだ(話が複雑だが、要するに入会までに3段階あるということだ)。お見合いクラブで、まず希望の異性のデータを検討し、次に交際を始めたらプロポーズを受けていいかどうか検討し、さらにそのプロポーズに合意するかどうか、親戚一同家族会議をして、全員賛成なら家族に迎えるというようなものだ。

トルコ側は、サッカーのワールドカップの予選で欧州ブロックに入ったり、NATOの重要なメンバー(本当は米軍基地の確保のため)になったりして、もうEUに入ったつもりだが、そうはいかないだろう。ドイツでのトルコ人移民との摩擦とか、イスラム教への嫌悪感、もうすぐドイツを抜いて域内最大人口国になるといった不気味さや所得の低さなどがあり、どうせ断るなら、早いほうがいいとこれまた縁談のような話になるかもしれないのだ。

そして、この万博で、トルコは、どの地域にいるのかというと、ここだ。そして、他にはイタリア、ギリシア、スペインなどに加え、フランス、ドイツなど。そして、困ったことにヨルダンやチュニジア、モロッコ、そしてあの大変節のリビアも一緒なのだ。つまり、それらの国もEUに入ろうと隙を狙っている。15bb324d.jpg

そして、このメンバーの中で、本気になっているのは、ヨルダンとイタリアかな。ヨルダン館の目玉は「死海体験」。といっても宗教儀式ではなく、希望者は抽選で、死海と同じ塩分濃度の人工プールに入ることができる。そして見物人は、プールの上から、水面に浮かんだ人間を観察することができる。残念ながら、海パンの男子中学生ばかりだ。見るだけなら六本木プリンスの円形透明プールの方が楽しい。

そして、注目はイタリア館。あまり人気はない。が、この国は二つの特徴がある。デパートなどでの大イタリア展などでも同じだが、イタリア国中の各県(州)ごとにバラバラに、お国自慢をすること。
そして、これでもかと美術品やファッションで攻める。まず、お国自慢の話だが、日本よりずっと地域性が残っている。日本では青森と岩手の差は僅かだし、鹿児島と宮崎だって差は僅かだ。しかしイタリアはもっと格差が激しい。(さらに一人当たり所得格差は1:3という話もある。)しかし、それでも、お国自慢の物産はそれぞれ世界水準なのだ。

そして美術品の目玉は、1998年に海底から見つかった2400年前のブロンズ像である「踊るサティロス」だ。これはすごい迫力。ミロのビーナス並だ。修復に4年かかったそうだ(そういえば、「冷静と情熱の間」も美術品の修復の話だった)。15bb324d.jpg


さらに山のような展示品の装飾品は一級品。さらにファッションの山。バブルの頃は日本人でもイタリア製のスーツとか靴とかネックレイスなどしていたりした。しかし、どうみてもイタリア人以外には似合わないのだから、今、思い出しても恥ずかしいのだが、バブルの時は、その他にも恥ずかしいことだらけだったので気にしないことにする。それにしても、イタリア人が本気でアートを始めると、誰もついていくことができなくなるということを思い知らされるわけなのだ。15bb324d.jpg

そしてトルコ館は空振り。代わりに「ドネルカバブ」というハンバーガー風の昼食を食べたのだが、すばらしく量が多い。700円。さらに、ドイツ館で特筆すべきは、付属のレストランのビールなのだが、それしかないとも言うべきなのだろう。

from A to B

2005-08-20 21:36:08 | 愛・地球博
愛・地球博の感想をいくつか。
98c9f539.jpgリニモ(リニアモーター電車)による来場を基本コースと考えると、万博会場駅の前にある北ゲートが正面玄関ということになるのだが、そこを入るとトヨタ館と日立館という二大人気パビリオンがある。さらに、電力、ガス、東芝、三菱、JRといったパビリオンがあり、自社こそが未来の先端企業だ、と主張している。もちろん、ここに出展していること自体、おカネに余裕がある(と考えている)のだから、未来企業の候補であることは間違いないが、本当の企業秘密が展示されるわけでもないので、あまり信じないほうがいい。(企業パビリオンシリーズは後日。それに、一部しか覗いてないので・・)

ということで、会場内には、普通の万博と企業広告宣伝会場が一緒になっているわけで、普通の万博の観るために西ゲートから入る。そして、右のほうへ向かう。時計で言えば9時のところから入り8時の方向へ向かう。そして、最初に入館したのは、アフリカ共同館。もちろん不人気の極みだから待ち時間は0分。まず気付くのは、参加各国が、まったく隣の国とバラバラなこと。ほとんど同じような楽器や木工品などの展示があったりするが、おかまいなし。そして言葉もバラバラ。強烈な臭いの料理を作っていたり、金細工が並んでいる。エジプトや南アフリカは別に1棟構えている。さらにリビアは全然別の地中海組の方に行ってしまって欧州のつもりだ。常任理事国問題でAUがまとまらないのもわかるような気がする。自国中心もいいところだ。そして、早くもいくつか小物のおみやげを買ってしまった。さらに、大物の木彫(3メートルの魔よけとか)などは、万博終了時に処分していきそうだ。すでに一部はネットショップに現れているらしい。もう・・

そして、広い会場に多くの国が潜り込んだため、乱雑になり、どこにどの国があるのかわからなくなってしまったのだが(まさにアフリカ大陸の地図的)、やっと、お目当ての人物に会えた。「ルーシー」さんだ。タンザニアのブースだ。特に宣伝していないのだが、とりあえず猿人ということで上野の国立科学博物館に、生前の姿が再現されている。発掘隊が掘り当てた時に、ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」を聴いていたからルーシーと名前をつけたというのだ。例の「LSD」疑惑の曲だ。余計な話だが、この話は眉唾と思っている。あんな冗長な曲をタンザニアで聴くかな?ということと、骨を発掘した段階では、まだオスかメスかわからないじゃないか。

実際350万年も前の猿人が我々の祖先かどうかはわからないが、今のチンパンジーよりも知脳が上らしい。もちろん、現在はいないのだから、なんらかの原因で絶滅したわけだ。たぶん暴力的に排除されたのだろう。

そして、次に向かったのは、その少し南、つまり時計の8時から6時の方向だ。北欧共同館。ここは5ヶ国の共同館。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークそしてアイスランド。こちらは5ヶ国が完全に融和している。展示を見てもよく読まないとどこの国のことかよくわからないほど、個性を消している。ふと、極東のことを考えると、日、韓、朝、中、台が共同館を作るような話は3000年たっても実現しないだろう。そして、見たかったのは、我々の未来を先取りしているという噂の「アイスランド」。

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だが、ちょっと空振り。先進的ということは秘密らしい。簡単には理解されないからだろう。例えば、アイスランドは全国民のDNAを登録している。遺伝子情報を国が保有することによって難病を防止するのだろうが、日本では「納税者背番号」だって理解されないのだから、とても実現しない。さらに、ありあまる水力発電や地熱発電で逆に電気で水を分解して燃料電池用の水素を大量に作って輸出しようとしている。電気の輸出というのと同じ意味になる。さらに全家庭をブロードバンド化しようとしていたりしている。直接民主主義へ向かうのだろう。

世界で2つの理解できない国といえば、アイスランドとシンガポールなのだろう。管理型高度集約社会。そしてアイスランドは、世界で最初に女性大統領を生んだ国だそうだ。なんでもすばやい。

しかし、繰り返すが、それらの「ちょっとアブナイ部分」は包み隠されている。この国は一体どこに、世界の普通の国を連れて行こうとしているのだろうか。

お土産は、超反文明的なものにした。アイスランドの溶岩。タンザニアの渓谷が人類のA点なら、火山島の溶岩の上に乗っただけのアイスランドはB点だ。われわれは、その二点間のどこかにいる。

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そして、さっそくスモーガーズボード風に盛り付けられた魚介のオードブル盛り合わせを注文し、ニシンの酢漬けをつまむ。ビールがうみゃ~。が、飲みすぎるとすぐにA点に近づいてしまう。


裏スキーバスでEXPOへ!

2005-08-19 21:38:57 | 愛・地球博
d5e661b0.jpg8月17-18日と1泊2日で愛地球博へ行っていた。ツアーを探して横浜から長久手会場までの直行バス、そしてビジネスホテル1泊。つまり、横浜-万博-ホテル-万博-横浜である。個人で普通に行こうとすると、チケットショップなど使っても35,000円程度になるが、25,000円位だ。差額の10,000円はどこから浮かすのだろう。さらに旅行代理店のもうけも必要だろう。

そして、横浜の待合せ場所に早朝あらわれたのは、何と「いわき」ナンバー車。福島県だ。まさにスキーバスのオフシーズンの活用。どうみてもバブル期以前のバスだ。推定年齢20歳?都内は古い軽油車は走れないのだが、神奈川はいいのかな?また、ドライバーの方も高齢に見える。まさか、退職後の予備兵では・・。そして、後で知ったのだが、添乗員の女性は若い方なのだが、普段は旅行代理店の内勤だそうだ。そして、1日目の深夜に到着したホテルは、やはり建て替えることをストロングリー プリファーだ。案外、万博特需が終わったら閉店か?

そして、万博の個別感想は次稿以降に譲ることにする。今帰ってきたばかりで、まだ熟成していない。そして眠い。

ただ、何回か行ったいくつかの万博と大きく違うのは、「外国人が少ない」ことだ。もっとも東アジア系は見分けがつかないのだが、アジア以外の外国人客の姿はみない。やはり「名古屋博」ということなのだろうか?と思って耳を傾けても、例の「みゃーみゃーにゃーにゃー」ということばは聞こえてこない。東京お台場のような錯覚も覚えるが、西ゲートの外には、大きな「コメダ珈琲店」の看板。

そして、なかなか企業パビリオンには入りにくい構造になっているのだが、prumざつがくさんの「blogの個人向け手紙的利用という新発見」で教わった攻略法で冷凍マンモスを堪能。例の賛否両論の代物だ。

さらに、国別(あるいは共同館)のパビリオンは「万博的」と思ったのだ。そして、どっちかというと「食の万博」という楽しみ方に徹してしまったようで、ビールとワインばかり飲んでいた。そして食のとどめは、日本代表「えびふれぇー」であるのだが、その味の方は「どえりゃーうめぇー」というほどでもにゃーでみゃー。

追記:2日ぶりにパソコンを開いて実生活の情報をみると、ホリエモンが亀井静香の選挙区に立候補しそうではないか。いつか、書いたのだが、現ニューヨーク市長のブルームバーグも、ブルームバーグ社を興したところから成功し、経済界から政界に移ったのだ。もう一人例をあげれば、堤康次郎だが・・
しかし、ホリエモンが立候補する気になった最大のポイントは、「国会のノータイ化」ではないかと思えてきたのだ。小泉の読みは深い。

弁当の持込まで口を出す首相も珍しいが

2005-04-02 20:58:20 | 愛・地球博
愛・地球博の「弁当持込問題」は「自宅製造弁当のみ」という条件付で解禁になった。「米国産牛肉は、米国内での出産が確認された場合のみ輸入解禁」というようなルールだ。コンビニ弁当を持ち込む場合は、一旦、自宅で詰め替えなければならない。「アサリ・ロンダリング」ならぬ「ロンダリング弁当」になる。

弁当解禁になって、入場者が若干増加したのは、名古屋人がケチだからではなく、レストランの前で「昼食のために2時間待つ」ことがなくなったからだろう。しかし、会期7日目の3月31日現在、入場者の累計は42万6千人。1日あたり6万1千人。期間日数185日をかけると、1,129万人になる。目標の1,500万人からは25%の落込みになる。まだマラソンで言えばスタートした競技場の中にいるようなものなので心配は早計かもしれないが、先日、名古屋に寄った時に名古屋駅周辺の方の意見を聞く機会があったのだが、予想もつかないことを言われていた。

名古屋人の言い方は、こうだ。「万博は高いが、セントレアはタダだ。」そして、セントレアには大勢の人間が押しかけ、重みで人工島が沈みそうなのに比べ、万博会場に盛り上がりがない、ということらしい。興味深い別の話もある。セントレアと万博では化粧も服装も違う。とのことだ。高級感のある方が無料で、大衆的な方が有料。そういうことなのか・・・

元々、万博と中部国際空港はパック商品と言われていた。小牧空港の方が万博会場に近いのだが、それでは「名古屋市におカネが落ちない」という理由で名古屋の南北で空港と万博を別にしたという話を聞いたことがあった。しかし、空港建設だけが目当てなら、先に人工島で万博を開催した跡地に空港をつくれば良かった。時差開催だ。森林破壊もなかった。

それにしても、セントレアに集客力があり、万博に集客力がないということでは本末転倒。民営対官営の差かな?

しかし、入場者数が少ないと発生するのが、「赤字問題」だ。ここで万博に伴う「皮算用」を確認してみる。総予算は1,900億円。これが事業費(固定費)1,350億円と運営費(変動費)550億円に分かれる。1,350億円の事業費は450億円ずつに3分割される。それぞれが国、地方自治体、公営競技(ギャンブル)収入だ。次に運営費550億円だが、事業者参加料160億円と入場者収入390億円である。要するに総経費の47%が税金、24%がテラ銭、8%がショバ代、そして21%が入場料金収入である。

そして、さらに入場料収入を分解してみると、予想入場者数1500万人で予想収入390億円を割ると、平均単価は2,600円になる。一方、大人料金は4,600円、12歳以下のこども料金は1,500円。大人とこどもの比率を求めるには、一元一次方程式(鶴亀算)が必要だ。
4600×A+1500(1-A)=2600 A=0.353
つまり大人35人に対しこども65人の比率だ。タダ券でも配っていなければこの数字は理解できない。

そして、予想入場者数が25%落ち込むと、この390億円の見込み収入も落ちることになる。残念ながら計画書には、入場者数が減少して赤字になった場合のツケ回し先は、明示されていない。

それにしても、1500万人の予定数というのもずいぶん控えめのように感じる。超ジミだった横浜博でも1200万人。大阪の花博は2300万人。そしてあの暑い暑い大阪万博には、何と6421万8770人が訪れたのだった。

そして、さらに入場者数を引っ張る要因がある。その一は「新世紀・名古屋城博」。金のしゃちほこをクレーンで下ろしたのはてっきり万博会場内での展示と思っていたら、そうではなく名古屋城内での3ヶ月の博覧会。敵対的だ。名古屋には「相乗効果」ということばはないのだろう。その上、気付いたのは「JRタワーズの繁盛振り」だ。12階、13階のレストラン街は朝の新宿駅のような混み方だ。やっとの思いで、濃厚鶏がらスープの「江南ラーメン」カウンター席に座れた。JRタワーズには弁当持参者はいないはずだ。

さらに、かすかに聞こえたのだが、万博最大の目玉商品である冷凍のユノカルマンモス。会期終了後、直ちには帰国しないという噂がある。歩くマンモス??

ただし、地球温暖化のおかげで猛烈な夏が名古屋を襲い、大停電で冷凍装置が壊れてしまったら話は別だ。そのままドロドロに溶けてなくなってしまうのかもしれないし、その逆に、長い数万年の冬眠から覚め、涼を求めて森の中に逃げ込んでしまうのかもしれない。

  夏空に高く吠えろや古代象  葉

6421万対1500万って?

2004-10-31 14:52:12 | 愛・地球博
a44c80d5.jpgあと150日弱で愛知万博が始まる。2005年3月25日から9月25日までの185日間。愛知県名古屋東部丘陵、長久手町、瀬戸市、豊田市にまたがるエリアで行われる。森林の一部を伐採してしまうのだが、会期終了後はまたもとの森林に戻すそうである。未だに推進論、反対論、懐疑論などが入り交じり、何といっていいのかよくわからないが、何となく期日になると始まるのだろう。イメージキャラクターは随分地味なのだが、キッコロとモリゾーという黄緑色と緑色の森の精である。一度切った森を元に戻すということで、うかつにも、キッコロではなくキッコリ(木を切る方)とモリゾー(木を植える方)と思っていたのだが、よく見るとキッコロが正解である。

そして、この万博に合わせて、2月17日に開港となるのが、中部国際空港だ。関西空港と同様に知多半島沖に埋め立て空港として完成。また、関西空港と同様に海上にナローパスを作り電車が走ることになる。中部国際空港連絡鉄道だ。1月29日開業。名鉄に連絡して新名古屋駅まで特急がつながる。距離は僅か4.3キロ。新名古屋駅の複雑なシステムで乗り間違いがないか心配だ。
この空港ができたからといって海外旅行者が増えることもないだろうからオールジャパンでの景気刺激としては極めて極めて限定的だろう。

ここで、多くの人が疑問をもつのは、万博会場も現名古屋空港(国際空港)も名古屋の北側にあり、万博客にとっては、新空港は逆に遠くなるだけではないかということ。この辺の事情を中京人に聞いたところ、空港も万博も名古屋の北であれば、誰も名古屋におカネを落とさないではないかとのこと。なるほど。万博が北なら空港は南ということなのか。そして名古屋で一泊し、コメダ珈琲店のモーニングサービスをトライしてから万博会場行きのバスに乗る。夕食は味噌カツ定食となる。

しかし、万博は期間限定だが、空港は永久物だ。どういう計算なのだろうかと疑問が残る。部分的な回答は聞いたことがある。「小牧空港は自衛隊と共用なので、増便に限度がある。」「トヨタ社員が海外出張する時に、名古屋-東京の新幹線代がいらなくなる。」とか・・
しかし安いものではないはずだ。と思って事業計画を調べると、空港建設費は総額、7,680億円。空港連絡鉄道は、4.3キロでも708億円だ。
一方、万博の方の計画は、事業費が1,350億円、運営費が550億円、合計1,900億円。空港の方がずっと高い。
まあ、空港は永久物なので計算は難しいが、半年間の会期の万博の方の予想損益計画を見ると面白い。

まず、事業費1,350億円の出所だが、450億円ずつ3分割していて、「国」「地方自治体」「公営競技収入」となっている。さらに運営費の550億円のうち、390億円は入場料収入、160億円は参加料とかの雑収入である。簡単にいうと、総経費の47%分は税金からの出資、24%は各種ギャンブルのテラ銭、8%がショバ代、21%が入場料収入となる。

しかし、これは計画である。支出については、まず変わらないだろう。予算いっぱい使い切るのは間違いない。そこで問題は収入なのである。予想入場者数が発表になっている。「1500万人」だそうである。この数字で予想入場者収入を割ると一人当たり2600円になる。しかし、発表されている大人料金は4,600円、12歳以下のこども料金は1,500円。大人と子供の比率をいくらでみたのだろうか。
賢明な読者はこの方程式が思いつくだろう。
4600A+1500(1-A)=2600 答え、A=0.353 
つまり大人35人対子供65人の比率だ。おかしい。結局、無料チケットとか団体格安チケットが出回っているような計算だ。私も横浜博の時は3回ぐらいタダ券で行った。まあ、良心的に考えてあげると1500万人という目標に自信がないのかもしれない。のりしろを入場料収入でサバ読みしているのかもしれない。

愛・地球博というのが愛称だそうだが、どうも地味博になりそうな予感がする。参加国は127カ国だそうである。実はその一つアメリカは国としては参加せず、各企業が自主参加するということである。そういう意味だと126カ国。それにしても1500万人とは少なすぎるような気もする。あのマイナーだった横浜博でも1300万人。大阪の花博は2300万人だった。そして1970年の暑い夏、大阪万博会場を訪れた人数は、私の家族も含め、なんと6421万8770人であったのである。

その頃、日本人は熱かったのだ。

ところで、「万博」が新空港建設のための「理由ではなく口実」であったとするなら、森を伐採しない方法があったのだ。それは完成した空港埋立地の上に、空港ではなく万博会場を設置し、小牧をそのまま国際空港で使用する。そうすれば名古屋市にもドルは落ちる。そして万博終了後に建物を取り壊してしまえばエクスポ空港が完成したはずだ。森は無傷のはずだった。手遅れ過ぎる意見だが。

最後に一言。入場料収入が予定の390億円超えた場合、山分けしないで優先的に補助金の返納をお願いしたいものだ。で、逆に穴があいたらどうなるのって?
おみゃーさん、そんなもん、にゃーごや人が全部払うんだわさ、って。