雨中の将軍塚青龍殿から京都を見下ろす

2017-10-31 00:00:48 | たび
誇り高き京都人を見下ろす場所として、かつてより有名なのは清水寺で、清水の舞台からパラシュートなしで飛び降りたつもりで都知事になった女性もいたが、この清水寺ブランドを脅かそうと整備されたのが、将軍塚青龍殿である。場所は南禅寺などのある蹴上(けあげ)から裏山を登っていくのだが公共交通機関が乏しく、今のところ外国人や東国からの田舎者には行きにくい場所である。京阪バスが週末と11月全日に細々とバスを運行しているが、京都駅付近には近づかない。

そして、10月の終わりの週末にやっと攻略の機会があったのだが、あいにく台風到来の前日であり、雨は激しく降ったり、つかの間上がったり。

ということで、雨に霞む京都を眺めることになったのだが、まず「将軍塚青龍殿」というのは、二つの単語「将軍塚」と「青龍殿」からなり、別の物である。

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青龍殿というのは、この近くにある青蓮院という天台宗延暦寺を開くために作られた住房「青蓮坊」が起源の名刹の飛び地境内に、新たに落慶したのが平成26年10月。ここからの景観や夜景がビューティフル!ということで観光地となった。(もともと、観光地にするために建てたと思われてもしょうがないだろう。)

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一方、将軍塚と言うのは、桓武天皇が奈良の寺院権威から政治的独立性を求めて、長岡京を経て新都として山城国のこの場所に遷都した際に、新都を一望できる場所に、京の守護として「将軍の姿の像に鎧兜を身に付けさせ、ここに塚を立てて埋めた」とされる。

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よく、桓武天皇と初代征夷大将軍の坂上田村麻呂が、この場所に立って軍事的観点で「ここらにしまへんか」となったとも言われるが、天皇が相談したのは和気清麻呂というのが正しいようだ。それなら、塚に入っているのは坂上田村麻呂ではないかというと、彼は塚ができた後も生存して、別の場所に墓がある。

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しかし、桓武天皇と言うのは周囲に空海も含めて様々な人を集めていて、奥様も半島の人だし同時代の中ではかなり異質な人間のような感じがある。お友達政治の元祖ということだろうか。

そして雨の中、京阪バスは予定時間を約5分遅れて、目的地に到着。眼下に広がる光景は、雨でよく見えないが、鴨川の流れが見えれば、もうそれでよしということだろう。市街の周囲は険しくはないが山に囲まれ盆地状である。72年前、米国が原爆投下候補都市5か所を選定していた時、その中に含まれていたことを思い出した。

アフリカの女王(1951年 映画)

2017-10-30 00:00:22 | 映画・演劇・Video
afiricanqueenハンフリー・ボガートがアカデミー賞の主演男優賞を獲得した有名な映画だが、助演のキャサリン・ヘップバーンがアフリカ人の女王を演じるのかと勘違いしていた。とんでもない間違い。アフリカの女王号というのは、アフリカの大河を物資輸送する焼玉エンジン付きのボートのことだった。

時は1914年のドイツ領東アジアの某国。牧師だった兄と一緒に教会で普及活動していた英国人のヘップバーンは、第一次大戦勃発によりドイツ兵の残虐な仕打ちで兄が急死し、教会に出入りしていた英領カナダ人の鉱山技師ハンフリー・ボガートとともに急遽アフリカの女王号で脱出することになった。それを待ち受ける試練は、ワニやカバ、やぶ蚊、吸血ヒル。さらにエンジン不調にプロペラの羽根の損傷。そしてドイツ軍の砲撃。しかも船には火薬が大量に積まれている。

つまり、この映画に流れる根底は、ドイツ人が残忍であるという主張であるのだが、その上にアドベンチャー7割、ラブロマンス3割という建物を建てたわけだ。

結果、二人はドイツ海軍に捕まり軍艦の上でスパイ罪つまり絞首刑を言い渡される(実際は、スパイではなく、その軍艦を爆破しようとしたのだから戦争捕虜となり処刑は国際条約違反だ)。

ということで、処刑前に結婚することを認められるのだが、そのゴタゴタやっている時間に状況が変わって、軍艦が沈没し、脱出できるわけだ。

映画の小道具としては二人の愛するドリンクだが、一人はゴードン社のドライ・ジン。もう一人はリプトンの紅茶。いずれも今でも一流ブランド力を維持している。

実はロマンスを演じるには二人とも実年齢を偽っていて、ボガートは1899年(19世紀)生まれなので51かな。ヘップバーンは1907年生まれなので43歳。しかも実際に結婚していたら6年後にボガートはジンの飲みすぎと葉巻の吸いすぎで食道がんでなくなるのでヘップバーンは長い独身の自由を味わうことができたはずだ。2003年に96歳で老衰。

1999年にアメリカ映画協会が選んだ今世紀の俳優ベスト100の男優部門と女優部門の一位を分け合っている。

アマゾンマナティ野生復帰プロジェクト

2017-10-29 00:00:53 | 美術館・博物館・工芸品
伊藤忠青山アートスクエアで開催中(10/31)の「アマゾンの今-伊藤忠商事×ナショナル ジオグラフィック」へ行き、自然を破壊する人と守る人との戦いを学ぶ。

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アマゾン流域は、世界にここしかない天候の場所であり、未知の生物が多数生息している。しかし、そこに侵入していくものは、密猟者だったり、無許可金採掘だったりする。その結果、マナティを密漁した者を捕まえたり、逃げられたりして、不幸にして人間に保護されたマナティは、容易にアマゾンの自然には戻れなくなるそうだ。

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↑スマホの方は、画像を1タップを1回または2回!↑


その保護したマナティを時間をかけて自然と融合させてから野生に帰還させる地道な仕事を、京都大学と伊藤忠商事、ナショナルジオグラフィック誌が協力して展開中だそうだ。

しかし野性に戻せるのは今は年間に3頭という。

ひふみんから引き継いだもの

2017-10-28 00:00:34 | しょうぎ
加藤一二三九段(ひふみん)が藤井四段に引き継いだものについて、ひふみんからいうと「将棋の伝統」だそうだが、実際には別のものを引き継いだような気がする。

それは、「ひふみんアイ」という秘伝の技である。

相手側に回り込んで盤を反対から見る(つまり、相手側の視線で見る)技である。

普通の棋士はやらない技である。格好悪いし、意味すらよくわからない。

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ところが、藤井四段は相当数多くやるわけだ。例えば10月19日の王位戦予選の対小林裕士七段戦。棋界屈指の体格の小林七段と指すと、「ガリバー旅行記」のようになってしまうが、終盤の問題の局面で、小林七段が席を中座しトイレに行っている間に藤井四段は何をしたかというと、立ち上がって、手前のテレビカメラの後ろを回って小林七段側の席の方から盤面をしばらく眺め、また自席に戻ったわけだ。

仮に私が小林七段だったら、藤井四段が反対側に回っているときに素早く戻ってきて、「よければ、そっちに座ってもいいよ」と一発かますような気がする。

AbemaTVで解説していた都成四段は、「私も相手側からの視点で読むことはありますが、頭の中で向きを変えています」と説明していたが、それもなかなか理解できない技だ。

ところで、ひふみんアイの創始者の加藤九段だが、先後完全同型の矢倉戦でも相手側に回って見ていたということだ。


さて、10月14日出題作の解答。

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いいところに飛車捨てが入った。最後はおおた流。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題は、大駒ビュンビュンの15手詰。中心の正方形が崩れる。

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余詰め発見されました。訂正いたします。一歩追加。

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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数(15手)とご意見をいただければ正誤判定します。

その細やかさに考えてしまう

2017-10-27 00:00:53 | あじ
先日、道を歩いていたら急に息苦しくなった。昼食を摂らなかったのでエネルギー不足になったようだ。エネルギーの在庫はかなり体内に秘蔵しているのだが、体内倉庫から引き出すための暗証番号を忘れてしまったので、いつまでも貯めたままになっている。

たまたまイオン系コンビニのミニストップがあったので、急速充電するために、季節商品の『プレミアム和栗モンブラン』を食べてみた。

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ソフトクリームに栗が混ざっていて、予想の範囲なのだが、驚いたのはメニューの写真よりも実物の方が、盛付が上手に見える。それもアルバイトの男子学生の仕事なのだが、さすがに日本は食文化の国だ。


たとえば、先日オアフ島で日本でも支店が10軒に増殖したパンケーキ店の「エッグスシング」本店で、パイナップルのパンケーキを注文したのだが、日本の支店でも同じメニューがある。比べてみると、その美観さの差に驚く。

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日本で成功するというのも大変なんだろうと思うと同時に、日本的価値観を突き進むというライフスタイルも素晴らしいと思う反面、若干の危険を感じないでもない。


ところで、細やかといえば、今回の衆院選挙。政党も細かい差で分かれているし、公約の細かさも異常だ。公約を見る限り、細かすぎて何党なのかは判断付かない。パンケーキのチョイスみたいなものなのだろうか。

確か消費税10%合意の時には、なんらかの非課税や低減税率をなんらかの商品に適用するような話だったが、みんな忘れてしまったのだろうか。政権側の党が教育無償化(でも一部だけだが)と言うのも変な話で、だれも反対していないのだから早くやればいいだけだろうに。(個人開業医が医療法人と名乗り恐るべき低減税率を甘受しているのに目をつければ財源の半分ぐらいは捻出できるだろうし、大型宗教法人とかも・・)

思えば様子が変だった株主総会

2017-10-26 00:00:21 | 市民A
N自動車の手抜き検査の件だが、内部告発だったという話が流れている。また、発表された後も同様の手続きで出荷されていたというどうもよくわからない話だ。課長クラスと係長クラスの間のコミュニケーションが悪いということがあるようだが、誰だって発覚後にそのままやったら問題があることぐらいわかるわけだろう。

ということで、思い起こせば今年の華やかな株主総会の場で、従業員の一人が株主質問をしたときの妙な感じが蘇ってきた。従業員の一人(株主)が年休を取得してわざわざ総会でゴーン会長に質問したことは、

1. ルノーの子会社として日産社員をノルマで追い詰めるのは止めてほしい。

2. ガソリンエンジン車の研究はあまりしていないが、日産はガソリン車をやめるのだろうか。是非、今後も開発してほしい。

という2点だった。

これに対し、ゴーン会長は、「子会社扱いしていない。ルノー、日産、三菱の三社はそれぞれの独立した会社である。ガソリン車ではトヨタに大きく後れを取っているので、世界一になるには電気自動車に向かうのは当然で、テスラよりもすでに電気自動車の生産台数は上だ」という回答だった。

ただ、聞いていて感じたのは、「ノルマがきつい」という部分への回答はなかったので、それでいいのかということと、電気自動車への傾倒について、そういう世界一戦略があるのなら、なぜ従業員までそういう戦略(あるいは目標)を伝えないのかという疑問だった。

とはいえ、会場の株主のほとんどは、社員や子会社や系列ディーラーを絞り上げ、仕入れ先や銀行金利を叩き、利益を積み上げてもらってから、株主配当を増やして株価も上昇を期待するという自己中心的な考えなので、なんとなく気まずい空気が漂ったわけだ。


まあ、実際に出荷前の検査は重要なのだが、そこで不具合が見つかると、完成自動車そのものが無駄になる可能性があるため、途中段階では何度も検査しているので、まあお手軽検査でも大丈夫だろうという現場判断だったのだろう。

数十年前には完成車を一台ずつ船積するときに、アルバイトのドライバーが船積のための走行中に急ブレーキのテストしていたとも聞いていたのだが、今回はそれよりもずっと安全なのではないだろうか。

おすすめ海外ツアー

2017-10-25 00:00:25 | たび
主にネット上でツアーを販売している会社から「おすすめツアー」メールが届く。成田発ソウル行きでチェジュ航空の往復とサボイ・ホテル付で3日間27,000円。関空発だと28,100円。

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確かに格安だ。3日間というのは1泊なのか2泊なのかよくわからない。1泊4日というのも以前あった。金曜の夜が仮眠所で、日曜の深夜にソウルを出て朝一の便で帰ってくる。

実際にミサイル乱射になった場合、ソウルと例えば東京と、どちらが安全なのかはよくわからない。防空壕が完備しているのがソウルでまったくないのが日本の都市。

ソウルの日本人は、とりあえず韓国人用の防空壕に入れてもらえることになっているのだが、某知事が関東大震災の時の朝鮮人虐殺事件にシラを切ったため、入れてもらえるかどうか不明だ。

ところで、いざ有事の時に当該国から脱出するには、空港へ行って帰りのオープンチケットで順番待ちしたり、関空じゃなくて羽田がいいなどということを考えてはダメなのだ。国外に飛んでいくどこの都市向けのフライトでもいいからクレジットカードで購入すること。もっとも中国崩壊ならそうだろうが、北朝崩壊の時は空港そのものが使えないだろうから、危険そのものを楽しんでもらうことになるのだろう。

中秋または仲秋の名月から三連月

2017-10-24 00:00:28 | 市民A
旧暦8月15日の夜の月を「十五夜」と呼ぶ。今年は西暦10月4日だったが、空は曇り。5日は深夜に数分間、薄雲の間から登場したがまた見えなくなった。実は本当の満月は10月6日だったそうだ。

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これを撮影しようとするのは、なかなか難しい。普通に一眼カメラに望遠レンズを付けて、AUTOモードで撮影すると、太陽のように光の塊になってしまう。このため、手動にしてしぼりやシャッター速度を調整するのだが、試行錯誤的になる。

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しかも10月5日の日は雲の間から顔を見せた時にはかなりの上空方面だったので、迎撃ミサイル発射のように上を向いての撮影になる。三脚を上向きに置くのは急には難しい。そうなると、ただでさえ手ブレ厳禁なのだが、上を向いて重たいレンズを取り付けたカメラを両手で持って体が震えないというのは至難の技術となる。体も揺れ、手も震えるということになるのが普通だ。うまくできる人は体操学校に入って五輪を狙った方がいい。しかも月が見えたのは1分間ほどに過ぎなかった。

そして、この月には「中秋の名月」と「仲秋の名月」という二つの書き方がある。「中秋」というのは「秋の真ん中」という意味で、旧暦では7、8、9の3ヵ月が秋であり、その秋の真ん中という意味。一方、仲秋というのは7、8、9月の秋を三分割し、初秋(7月)、仲秋(8月)、晩秋(9月)として、その8月のことを指す。つまり8月の月という意味だ。

さらに、うっかり見逃した人のために、再生機能が付いている。十三夜というのがある。旧暦9月13日(今年は11月1日)に見える「十三夜」。見える大きさは13/15なので9割位。

さらに、それを見逃した人には、もう一回再生チャンスがある。「十日夜(とおかんや)」といって、10月10日(今年は11月27日)の月だ。もちろん見える大きさは10/15なので6割位だが仕方ない。東日本や東北地方で冬の始まりを覚悟する夜だ。

もちろん三つの月見をすべて行えば、良いことが起こるはずだが、そもそも普段から何も努力しない人には、根拠もなく良いことが起こるはずはないのだ。

オケ老人(2016年 映画)

2017-10-23 00:00:24 | 映画・演劇・Video
オケ老人。頭にBを付けるとBOKEになってしまうが、音階の取れない老人の楽団に、不注意から入団してしまったのがバイオリンを弾く若い女性数学教師。演じるのは杏。別名は、渡辺杏または東出杏。身長は174センチとのこと。偶然、私と同じだ。体重はDATAがないのでどちらが上かわからない。

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この手の素人集団が、何かのきっかけで一流になっていくストーリーの映画は、いくつもあるのだが、だいたいが高校生集団で、野球だったり駅伝だったり相撲だったりオーケストラだったりバレーボールだったりする。そこにあらわれる教師は綾瀬はるかや夏目雅子のわけだ。

しかし、老人集団というのは初めて見るのだが、なんとなく感動できない感じが残る。その「感じ」の原因だが、たぶん「老人になるまで、何をもたもたしていたのか、もっと若いうちに必死に努力していればよかったのではないか」という客観的な分析が心に浮かんでくるからなのだろう。人間は自分のことは棚にあげて、他人には客観的になるものだ。

で、杏さんは、芸能界指折りの知識人らしいが、女優としては一流弱というところだろうか。本作では熱演するのだが、なんとなく綾瀬はるかだったら、いつまでたっても上達しないメンバーに対してもっと激しく感情を出してくるのだろうと、そこにいない女優と比較してしまう。


ところで、これから日本では老人の比率はどんどん高くなっていくのだが、老人が増えたからといって、老人が大量に出演する映画がヒットするということは、まったくないと思っている。

この映画、ホノルルから成田空港へ戻るANAの機内で観たのだが、エンジンの近くの席だったのでうるさくて俳優の声が聞きとれなかったのだが、日本映画には英語字幕が付くのだ。日本語にくらべて英語というのはずいぶん短く表現できるものだと思いながら日本映画を英語字幕で観るという奇妙なことになってしまった。

天皇陛下御在位六十年記念の品

2017-10-22 00:00:03 | 美術館・博物館・工芸品
先週書いた「鉄道資料」のこと。鉄道資料展の資料というのが、ほとんどが鉄道車両の図案のオレンジカードであったのだが、「そういえば」というので、探し出したのが「(さきの)天皇陛下のフルムーン旅行でお召列車を引っ張った機関車の図案のオレンジカード」。未使用で額面は1,000円である。JRではなく、国鉄からの発売になっている。

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御在位六十年というのは、昭和61年(1986年)ということになるのだが、実は国鉄からJR各社に経営が移管されたのは1987年4月で、オレンジカードの発売が1985年からなのでだから、かなり限られた時期に作られたカードだ。

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しかも、ED7712という機関車を調べてみると、1967年6月に三菱重工の新三原工場で作られている。そしてすぐに国鉄の福島機関区に配属される。そして、お座敷仕様のお召列車を牽引するという重要任務が待っていたわけだ。カードの画像では新品電気機関車のように見えるが19歳になっている。人間の19歳ではないので、全身整形の上、塗り直したのだろう。

どうも、磐越西線専用だったようだが、路線(路盤?)の強度により、この型に制限されていたようだ。その後、路盤改良工事が進んだ結果、1993年10月に廃車になっているそうだ。

なお、オレンジカードの発売は2013年に終了したが、有効期限の定めがないため、永久不滅カードとなっている。

一冠の思い出の一局は

2017-10-21 00:00:56 | しょうぎ
羽生一冠となった。棋聖位である。以前、いくつもタイトルを持っていた頃、あるパーティで主催紙の方が、「たくさんタイトルを持たれていると、羽生“王座”とは呼んでくれず〇冠ということになって、主催紙としては残念だ」と言われていたが、どうも「羽生棋聖」ではなく「羽生一冠」と呼ばれているような気がする。

ところで、藤井四段は、プロ入り初戦が加藤一二三九段で、その後29連勝に至るのだが、羽生一冠もプロ入り1年目、15歳で、大ベテランの小堀清一九段とC級2組順位戦で対局した。小堀九段は明治45年生まれで当時74歳。

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9月号の月刊「経団連」誌に当時のことが書かれていた。本ブログ読者の中に月刊「経団連」誌(540円)の愛読者がいるはずはないだろうから、著作権侵害にならない程度にまとめてみる。

対局は10時に始まり夕食をはさみ159手で結局0時半に終了(羽生勝)。そこから感想戦が始まる。序盤から中盤、終盤の寄せの局面まで細部にわたり、気が付いたら朝5時。疲れ果てたのは羽生少年の方で、お先に失礼をしてしまったそうだ。後で聞くと小堀九段は記録係を相手に朝8時半まで感想戦を続けたそうだ。

一冠によれば、「将棋の歴史の遺産」をその一局で授かった、とのことだ。


なお、順位戦1年目は8勝2敗で昇格を逃し、こちらも初参加の所司四段が9勝1敗で昇級している。小堀九段はその年度で引退をした。羽生四段はその後タイトル集めに専念し、所司四段はその後弟子集めに専念する。

羽生四段のプロ入り後の勝敗を並べてみた。赤丸が小堀戦である。

1985年 〇×〇×〇〇〇〇〇〇
1986年 ××〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇×〇×××〇×〇〇〇〇〇〇〇×〇×〇〇〇〇×〇〇〇〇〇×〇××〇〇×〇〇〇

本来なら歴史の遺産は羽生→藤井と渡さなければいけないのだろうが、加藤→藤井と割り込まれてしまったわけだ。こうなれば、たとえ無冠になっても75歳まで頑張って藤井四段の次に現れる後継者を待たないといけないかもだ。


さて、10月7日出題作の解答。

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8種類の駒を1枚ずつ使ってみた。単にそれだけともいえる。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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いたって詰将棋的には普通の手が続く。この一か月ほど生活に余裕がないので、軽作で失礼。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数を記していただければ正誤判定します。

政党名について

2017-10-20 00:00:01 | 市民A
今回の選挙についてだが、いまさらながら政党の名前を一つずつ考えてみた。

希望の党:名前的には幸福実現党に似ている。ある意味、今の日本に必要なのは、チャレンジ精神と元気であるのだから、新党結成まではよろしかったのではないだろうか。ただし、希望というのは、「手の届かないもの」である。「希望実現党」の方がよかったかもしれないが、一気に怪しい感じになる。なお、選挙後、当選者の構成で民進党出身者の方が多かったら、党首は前原氏になるのだろうか。あるいは、再び民進党に戻ったりしないのだろうか。

立憲民主党:かなり人気が高いようだが、党名としたら戦前の感じが漂う。憲法の上に立った民主主義を求めるのだろうが、他の7政党のすべても憲法を護らないと言っているわけではない。改憲といっている党も、憲法を変えようと言っているだけで、憲法を無視するといっているわけではない。もっとも「憲法廃止」とか「憲法停止」とか言い出す政権が現れるかもしれないので、そういう時代に備えたのかもしれない。

自由民主党:自由でもなければ民主的でもないような気がする。いまごろ高校無償化というが民主党政権の時の公約だった。ただ、高校進学率は97%なので無償化しても高校に行かない人の数は減らないだろう。そもそも、学力を維持すべき方策は、学費の低減や親の所得による不平等の是正もある程度重要だが、直接的には教師の質と数。質は一朝には解決できないが、数の不足はどうなるのだろう。学費を下げても解決しない。さらに、教員は長時間労働で追い詰められているのに、新規で先生になろうとしても超狭き門で、時々裏口採用の不正が発生する。60歳になって再雇用されても、結局過酷労働、低賃金で頭にきて辞めてしまう人が多い。

そもそも人材不足時代なのだから、原発を次々に廃炉にすれば、それに関連して多くの優秀な関連従業者が転職することになるのだから、社会の人材不足部分が解消されていくと思う。

共産党:共産党政権の国は北朝鮮と中国であるという事実をもって、ふさわしくない政党名に思えるし、社会の底辺を支える人の味方のようだが、底辺の人は底辺から脱出しようとしているのだから、少し論理矛盾があると思う。というか、矛盾の結果、共産党の国が2つだけになったのだろう。

社民党:「社」というのが社会主義を意味するということを思い出せなくなってきて「会社の社」だと思われているかもしれない。「会社の民=社畜」。案外、いいかもしれない。「社畜党」。「労働党」よりリアル感がある。

公明党:公明というのは仏教用語だと思っていたらそうではないらしい。世界を明るく照らすということだろうか。誰が?

日本のこころ:どうもよくわからない。自民党を褒めたたえる政党といえば、大日本愛国党の赤尾敏氏という方がいて有楽町でよく演説を行い、数多くの選挙に出馬していた。姪の女性が、「こころ」から、今回立候補ということだそうだ。合流?褒め殺し?

維新:江戸幕府が崩壊していく過程を明治維新というのだろうが、小池・前原連合が奇妙な方向になっていったのは、薩長連合の時に間に入った坂本龍馬がいなかったせいだろうか。桂と西郷の間に入って、両者のシナジーを見つけたのが龍馬だが、現在の日本では、ネゴシエーターを業として行うのは禁止されていて、弁護士だけの特権になっている。となれば維新には弁護士がいたはずだが、どうしたのだろうか。

二人目の「総理大臣になり損ねて自転車に乗る男性」

2017-10-19 00:00:52 | 市民A
「総理大臣になり損ねて自転車に乗る男性」の第一号は自民党の総裁または幹事長だった自転車愛好家の谷垣氏だが、第二号は、・・・

一瞬のことで、撮影チャンスを逃したのが残念なのだが、

昨日、所用で池袋のRK大学方面に行ったのだが、通称RK通りを選挙カーが走ってきた。緑ネクタイの若狭勝氏のクルマだ。

「若狭勝は、このクルマの後方に、・・・」というので、車の後部座席を見たけれど、後部座席には誰も乗っていない。

そして、車が私の横を通過したすぐ後ろで、スーツで自転車をこぐメガネの男性がいたのだが、その人物が、若狭勝候補者であった。

候補者が自転車では、支援者に手を振れないなあ、と思ったが、そのまま池袋駅方面に走っていった。「頑張って」ではなく「気を付けて」と声をかけるのがふさわしいかもしれない。


しかし、ここまでの流れを考えると、彼がもっとしっかりと政策的ヴィジョンを打ち出して、実質的な希望の党の幹事長役をこなしていれば、ここまで混迷してしまうことがなかったし、そのうえで知事が不出馬であれば、論理的には彼が総理大臣に指名されていたかもしれないわけだ(ないと思うけど)。

ほどなくして用件が済んで駅に向かって戻っていると、またも同じ選挙カーとすれ違うことになった。こんどは、候補者は助手席に乗り、不要となった自転車は文字通り運動員の運動用になっていた。

ところで、情勢は不利を伝えられるが、投票前に私が目撃した候補は、漏れなく当選しているのだ。

ハーメルンの笛吹き

2017-10-18 00:00:27 | 市民A
既に投票に行ってしまったので好き勝手書くのだが(あやうく比例代表の投票箱に裁判官の名前を入れそうになったが)、公示前の野党(か、どうかは選挙が終わらないとわからないが)のバタバタはどこかで見た光景のような気がしていたのだが、グリム童話で有名な「ハーメルンの笛吹き」ではないかと思い始めた。

ここで、「笛吹き」を復習すると、ドイツ中部の街であるハーメルン(現在人口5万人)はネズミが繁殖して町民が困り果てていた。そこに現れたのが笛吹きの男だった。町長の「金貨一袋」の好条件を信じ込み、笛を吹いて街中のネズミをおびき出して、近くの川(地図で見ると一級河川級だ)の中にそのまま沈めてしまう(ネズミは泳げるし、私だったら来年の仕事も確保したいので、数匹は残しておくが)。

ところが、一夜経って町長は、そんな約束はないと言い出す(契約書がなかったのだろう。下請法違反だ)。そして、笛吹き男は怒り狂い、何かを準備するために、ひとまず立ち去る。

そして運命の日1284年6月26日が来る(日本では弘安7年閏4月24日。蒙古襲来を防いだ北条時宗がなくなってから49日目)。

笛吹き男は街の広場で笛を吹くと、こどもたちが集まってきて、そのまま男の後を追って街を出ていき、二度と見つかることはなかった。

この話は実話とされている。ネズミの話は後付けだそうだ。男はどこからか来たのではなく町民だったのではないだろうか。ハーメルン市にはネズミ男の家が残っている。


現代日本の政界はみんな笛吹き男や笛吹き女だらけなのだが、都知事選というのが、第一次ネズミ狩りだったのだろう。笛吹き女がネズミ(都民)を投票所に連れて行ってしまったわけだ。

そして第二の笛吹き男が民主党党首。こどもたち(所属議員)を連れて笛吹の魔女のところ行ってしまったわけだ。

そして、連れて行かれたこどもはどこに行ったのか。これは諸説あって、十字軍になったとか、別の街に売られたとか、町長も実はグルだったとか。最近の研究では、郊外の洞窟の中に入り、笛吹き男が内側から岩でふさぎ、一緒に亡くなったとか。洞窟に押し込んで外から岩でふさいで生き埋めにしたとか。

童話と現代日本が決定的に違うのは、笛吹き男も笛吹きの魔女も、笛を吹いたことすら知らんぷりしてしまうことかな。与党の党首も知らんぷり問題あるし。

内部留保課税は選挙用?

2017-10-17 00:00:31 | 市民A
始めに書いておくと、特に大企業の味方でもないし、政権政党の味方ということでもないので。

自称ユリノミクスが登場した。確かアベノミクスの命名は自分で言い出したわけではなかったはずなので、経済政策に自分の名前を入れるのは新しい方法なのだろうか。もっとも、ゆり子という名前もアベという苗字も自分で付けたわけじゃないので、いいのだろうか。

その政策の中の一つが企業の内部留保課税。具体的な方法がまったく見えないが、会社の税引き前利益(経常利益から特別損益を足し引きした金額)から法人税(実効税率は30%くらい)を差引いたお金が、とりあえず税引き後利益(最終利益)。この中から株主に配当した残りが内部留保になる。

特別損益がゼロだとすると、売上高から原料代のような経費と人件費と設備費(償却年数で分割して費用計上する)などを差引いたものが税引前利益なのだから、そこから税金を取るというと結局、法人税の税率アップと同じになる。

ただ、配当前に課税すると配当が減ることになり、配当が減れば企業価値が下がるので株価も下がり様々な問題が起きる。

企業の側から見ると、まったく別のことを考えていて、利益が増えているのは海外子会社を含めた連結ベースで、国内事業の利益じゃない。本来は海外子会社の社員の給料を上げたり海外投資に資金を入れたいが、リスクもあるので、いったん日本にお金を還流して、必要な時に必要な国に投資する予定、ということなのだろう。

また企業からすればこの税を回避するためには、利益を上げなければいいのだが、そうなると法人税が下がってしまう。本当に日本から大企業がいなくなるかもしれない。

さらに中小企業が大企業に成長する過程で困るのが資金である。かならず資金が足りなくなる。成長前の実績で銀行は融資するのだから、当然貸し渋り、成長企業は資金が足りなくなる。それを補うのが内部留保のわけだ。

また、日本を代表する産業の自動車生産については、すぐにやってくるEV化により多くの部品が要らなくなったり新規になったりすると言われ、部品下請けの中小企業にとっては、これから新しい部品を作るための投資か廃業かどちらかになるわけで、そのどちらにしても現在は工場投資の時期ではない。貯めておくしかないわけだ。

というわけで、企業におカネを貯めさせたり、市場に過剰に資金を溢れさせる政策をとっても、国内投資に見合ったリターンが得られないから内部留保になってしまうわけで、アベノミクスも経済が着火しない真因を見いだせないままズレた政策を続けるということなのだろうか。やはりTPP不発が大きかったのではないかな。