逃走を続ける場合

2024-06-30 00:00:37 | 市民A
映画や小説では、「逃走」というジャンルがある。逃走形態が、潜伏する場合と逃げ回る場合。また、無実なのに罪を着せられて逃げる場合と犯罪を犯した人間が逃げる場合。さらに重要秘密を知っていて、政府から追われているケース、またスパイそのもの。徴兵から逃れたり、軍を脱走した場合と様々だ。

数日前に観た映画『旅立ちの時』は反政府テロを起こした夫妻がFBIの捜査をかいくぐっているというケースだ。

現代社会は実際には長期に逃げるのは、資金的な問題がある。ATMを使うと直ぐに足がつく。また島国だと、簡単には国外逃亡もできない。ある意味、日本は監獄国家とも言える。日本の周りには強い海流が流れている。島流しが八丈島というのは、ボートや板につかまって島を脱出すれば、黒潮に乗ってしまい北太平洋周遊になる。

大分県で大学生をひき殺した容疑者が、事故後2年にわたり姿を消していて、ついに新たな推定顔写真が公開された。6種類の変装例が公開されている。


ポイントは、前髪、後ろ髪、ひげ、メガネというところだ。容疑者の特徴は、額が広いこと、それと、目尻が細長いこと(よく海外サッカーでアジア人選手を挑発するために行う行為)。

気が付いたのは、後ろ髪が長髪のこと。確かに床屋にはいかないだろうし後ろ髪が伸びてくるのだろうか。いや、自分で切っている人もいるだろう。ペットショップで大型犬用の器具を買えば怪しまれないだろう。

そういう意味だとメガネというのも手に入れるはなかなかむずかしいのかもしれない。

たぶん前髪長め、後ろは短くし、図のメガネよりは細目、それとマスクということだろう。

以前、今治造船での強制作業の過酷さに耐えきれず、瀬戸内海を渡って、さらに自転車で逃走していた男がいたが、彼の場合、外国人研修生も嫌がる過酷な船底の溶接作業から逃げ出したわけで、戦前の北海道の囚人道路と同根で逃げたのも理解できる部分はあるのだが、ひき逃げって、逃げるかな・・

将棋A級順位戦混沌の予感

2024-06-29 00:00:15 | しょうぎ
名人戦も波乱なく終わり、来年藤井名人に挑戦する挑戦者決定リーグ(A級順位戦)が始まった。10人のリーグなので一人9局。参加者は10人だが、昨年の結果上位4人は、大方の予想ではAランクとされ挑戦権争い、残る6人がBランクとされ下位2名がB1グループへの陥落争いとされているが、一回戦はAランク4人と第5位の5人が下位の5人に全員負けるという予想外の結果になった。



そもそも持ち時間が他棋戦より長いため、長考派の棋士が有利なので、他棋戦の結果からAとかBというのもおかしいわけだ。(それを言うなら奨励会の時に挫折した方々の中にも埋もれた才能もいたはずなのだが)

例年の挑戦者は7勝2敗あたりが多く、まれに6勝3敗でプレーオフということもあるが、早くもプレーオフの匂いがある。

さらに2回戦はAランク4人が激突するという組み合わせになっていて、つまり4人の中で二人は2連敗スタートということで、一気に陥落争いに巻き込まれてしまうわけだ。

思うに、上位4人というが、4人ともタイトル戦で何度も何度も藤井名人に打ちのめされているわけで、個人的には第6位の佐藤天彦九段に注目している。何しろ名人を3期(3年)務めている。近年、多彩な棋風に宗旨替えしているため対戦相手に事前に研究される余地が少ないわけだ。(もっとも、予想が当たったことはないが)


さて、6月15日出題作の解答。







今週の出題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

旅立ちの時(1988年 映画)

2024-06-28 00:00:45 | 映画・演劇・Video
『旅立ちの〇』という映画はいくつかあり、主人公がなんらかのグループを離れて違う生活を始めるというパターンが多いのだが、本作は、そう簡単な話ではない。主人公の青年がどこかに行くというより所属していたグループの方がどこかにいくわけだ。

なぜ、そんな転倒的展開かというと、青年の父母は十数年前は反政府的なテロリストで、工場爆破の時、無関係の第三者を失明させてしまい、FBIの指名手配者だった。そのため、捜査の手が近づいてきた感じを察すると、すぐに高跳びし名前も変えてしまう。秘密を抱えたままの青年は、ある土地でピアノの腕前を高校の音楽教師に知られ、ジュリアード音楽院へ推薦されることになったが、そうなると、父母は逮捕される確率が高まるわけだ。

さらに音楽教師の娘との恋愛が始まり、さらに事態が複雑化する。このあたりは「逃げる者シリーズ」の実話集のようになる・

そして、身近に現れた元同志が銀行強盗に失敗し射殺されるに至り、逮捕の危険が迫ることを怖れ、またも一家で町を脱出することになるのだが、彼だけは町に残るわけだ。

だから旅立ちするのは逃亡者夫妻の方だ。主人公目線でいうと、旅立たない時ということになる。

なお、主演のリヴァー・フェニックスは、この映画の2年前の『スタン・バイ・ミー』の中心人物をも演じていて、期待の星であったが23歳が薬物中毒による旅立ちの時になってしまう。弟のホアキン・フェニックスは息子にリヴアーと名前を付けている。

韓国料理を食べながら考えたこと

2024-06-27 00:00:25 | あじ
お中元数個を買うために高島屋へ行った。いつもは(東京都世田谷区)二子玉川のいわゆるタマタカへ行くのだが、横浜方面に用があったので横浜高島屋へ行った。



それで配達を手配したらデパート内のレストランのドリンク券もらったので、列ができていないただ一つの店である妻家房という韓国料理店に入り、石焼ビビンバ+チャプチェにドリンク券でビールを頼む。

で、お中元の話だが、タマタカはきわどく都内と言うことで、税別で5000円、7000円、10000円の贈答品が均一にあるのだが、横浜高島屋はほとんどが税別で5000円中心で少しだけ10000円と5000円未満が並んでいる感じだ。平均価格は2000円位違う感じだ。

実は、妻家房というレストランの店名だが、入る時には気が付かなかったが、妻(オモニ)の家の秘伝料理という意味だそうだ。「料理は妻が作る」という価値観によるものだ。



一方で、韓国は絶対的夫婦別性というルールなので、進んでいるのかと勘違いしている人も多いのだが、女性は結婚しても姓を変えない。さらに子供は男でも女でも父親の姓にするのが一般的。つまり、家族の中で母親だけが別姓となる。どういうことかというと、娘は実家の父親の所有物ということ。日本よりずっと封建的だ。



そして、もう一つ考えたのは、韓国料理の辛さ。いつも思うが、理解不能だ。


横浜B級ラビリンス(山崎洋子著)

2024-06-26 00:00:30 | 市民A
横浜に関係する本を少しだけ読んでいて、今回は『横浜B級ラビリンス』。



江戸川乱歩賞受賞作家の山崎洋子氏の著(豊子ではなく洋子です)。舞台は横浜の余毛となっているが、誰がどう読んでも余毛=野毛(のげ)。野毛と書いてもいいではないかと思う。大道芸の話もあるし。野毛と言えば迷宮都市なのだからラビリンスという意味。9編の短編小説集。

野毛は桜木町駅の西側で、東側はみなとみらい地区。日本有数の観光地で、なぜか外国人はあまりいない。野毛の町だが、迷宮化したのは戦争後。横浜にあふれていた米兵や麻薬中毒患者や孤児がたくさんいて、少しずつ町らしくなってきた現在でも、かなり近寄りがたい雰囲気が漂う。

本書に描かれたのはその中でも本当に狭い地区で、よく登場する『白眉』という中華料理店もモデルは『万里』という店ではないかと言われる。

また、ミステリ作家らしく、短編の総てに謎解きが入るが、世間によくある詐欺とか不倫とかギャンブル地獄とか単発事件簿である。だいたいどの短編でも一人は死者があるが大量殺害事件ではないので安心して読める。

個人的には知人と米兵とのハーフの子を引き受けて育てた「いつか王子様が」と一流企業の女性営業課長になりすまして大道劇に出演して一時の心の安らぎを得た「芝居の時刻」の切れ味が好きだ。

まあ、あの町に住んでいれば、無数のドラマを目にしたり耳にしたりすることが多いだろうと想像できる。昭和20年から連続して時間が流れ、今日に至った町だ

かえり道(2017年 映画)

2024-06-25 00:00:29 | 映画・演劇・Video
舞台は福島県浪江町の帰宅困難区域。福島第一原発の炉心融解事故により町を出ることになった一家の家庭内ドキュメンタリー映画。



実は、当事者によるこういった記録はなかった。記録を撮影し続けたのはまだ十代だった娘。事故から5年経って、住むことのできない元の住宅の状態、墓参り、そして、家族はそれぞれの新しいポジションの都合で別居中。

ラインでの連絡で家族は繋がり、それぞれの忙しい時間に追われて、震災の記憶を捨てようとしているのだが、5年や10年で記憶がなくなることなんかないわけだ。

父親は元々原発で仕事をしていて、仕事に戻っているし、母親は一時避難した郡山に留まり、娘は大学に進学。

一家は、もう住めないと思われる自宅を解体しようかと悩み始める。家を壊すことは故郷を捨てることを意味するわけだ。

映画が公開されてから7年が経ち、やはり浪江町の大部分は帰宅困難区域のままで、娘は映画監督になった。

宿屋の仇討ち(演:桂伸治)

2024-06-24 00:00:00 | 落語
NHKの日本の話芸。NHKホールでの収録。

元々は上方落語だったそうで、話を江戸に置き換えている。場所は東海道の神奈川宿。現在の東神奈川駅のあたり。落語並みにおかしな話だが、そのあたりの現在の地名は、神奈川県神奈川区神奈川。確か、兵庫県兵庫区兵庫という地名もあると聞いたことがある。

さて、武蔵屋という宿に泊まっているのが、一人の武士。隣の部屋には威勢のいい町人衆が三人。これがうるさくてしょうがない。最初は芸者を入れて飲めや歌えや。武士は手代に文句をつけ、注意をすると、「侍を怒らせたら怖い」と静かになるが、次は相撲の話になって盛り上がり、部屋で相撲を始め、武士は手代を呼び二回目の文句を付ける。手代は再び三人衆に注意をし、再び静かになるが、今度はおとなしく色事の話を始める。そして権兵衛という男は極め付きの話を始める。

三年前に川越に行っていた時に、武家の奥方と懇ろになって通っているところを武家の弟に見つかり切られそうになったが、逆に殺してしまった。逃げようとすると奥方が、私も逃げると言い出し、秘蔵の三百両を持っていこうとしたため、それを奪った上、逃走の足手まといになると奥方も切り殺してしまい、三年経っても追っ手はこないと、自慢話を始めた。

一方、武士は手代を呼び、私は川越藩の武士で、妻と弟を三年前に殺され、賊を探す旅に出ていたが、本日、ついに仇を発見した。隣室の男と二人の友人を斬ることことにしたが、ここで決行しては宿に迷惑がかかるので、明朝、町のはずれで切ることにするので、今夜は絶対に逃がさないようにしてほしい。一人でも逃がしたら宿屋の使用人を皆殺しにすると、宣言。

慌てた手代は、店の中で血柱が立っては困るので、三人衆に事情を話したうえ縛り上げてしまった。どうも、飲屋で聞いた話に脚色して喋っただけらしいが、武士は聞く耳を持たず、朝まで高枕で爆睡。

そして運命の朝。手代が武士の部屋にいき、隣室との襖を開け、縛り上げられて泣いている三人と対面することになるが、

これらは何で縛られているのだ。ということになる。手代が昨夜の仇討ちの話をすると、あれは嘘だ。おかげで良くよく眠れた。ということになる。


落語の中で嘘をつくはなしはたまにあるが、実は難しい芸だろう。嘘には思えないように話す場合と、嘘をついて相手を騙しながら、観客には嘘をついていることがわかるような場合もある。


本演目では、武家の方は観客をも騙すような嘘をつくわけで、なんとなく、オチの後、気持ちが落ち着かない。

薄情(絲山秋子著)

2024-06-23 00:00:34 | 市民A
著者の小説、数年前から読み始めているが、5冊以上10冊以内かな。2000年代の浮遊感のある作品群が読み易いと思っていたが、順に読むのも文学部の卒論を書くわけじゃないのでそうこだわるわけでもなく、2015年の上梓で谷崎潤一郎賞受賞作の『薄情』を読んだ。



主人公は宇田川といって青年時代の終わりの頃のもやッとした感じの男。群馬(高崎)の実家で神主を引き継ぐ予定だが、代替わりまではまだ時間があって、いわゆるモラトリウム時代。そして、彼の周りには様々な女性が登場するのだが、一言で言えば、「勝手な女」というのが多い。そして、彼をもてあそんで、各自の都合により去っていく。

もちろん薄情の逆は熱情だろうが、熱情家というのは小説にはいささかなりにくい。『冷静と情熱の間』という小説(&映画)もあったが、そういいとも思わなかった。

さらに薄情といっても、単に感情の薄いロボットのようなタイプと、いつ何時も心の平静を保ちたいというタイプもいれば、単に犯罪者の様に冷徹というタイプもある。

本書の宇田川はその中の平静を装うタイプ。

そう、村上春樹の『ノルウェーの森』のワタナベ君という感じだ。

そして、最後に燃え尽きる「恋のライバルの画家の」絵画工房。これは川端康成『雪国』のラストシーンではないか。

ところで、主要登場人物の来し方行く末が定まった後、宇田川は当てもなく車を走らせ、途中ヒッチハイクの少年と長距離ドライブに出る。少年を自宅に届けたあと、なぜか山伏修行で有名な山形県の出羽三山に向かう。このくだりは川端の『伊豆の踊子』的だ。

ところで、今年の後半に出羽三山方面に行こうかと思って、調べていると、三山の一つである月山だが、車では近づけず、ほとんどが登山そのものということのようだ。山形県は全市町村に温泉が出るそうで、出羽三山ではなく、出羽百湯の旅になるかもしれない。

失冠を(内心)悲しむ人、喜ぶ人

2024-06-22 00:00:02 | しょうぎ
藤井八冠が七冠となった。以前から、「仮に失冠するなら」という話があり、
  • 五番勝負
  • 持時間が短い
  • 幸運に恵まれる
の三条件と言われていた。1,2,3は少し関連していて、名人戦や竜王戦のような二日制で持ち時間も長いタイトル戦の中に、持ち時間の少ない対局が入ってきた時の、時間の使い方に変調をきたし、長めに考え込んで終盤で複雑な局面になった時に1分将棋になっているということ。最終局も終盤で形勢が混沌となったが、正解には到達できなかった。


ところで、(内心)一番ガッカリしたのは叡王戦スポンサーの不二家だろうか、七冠をCMに起用していて、まさか八つの内、これだけを失うかと大問題になっていると思われる。

スポンサーから降りてタイトル戦を辞めれば、戦わずして全冠制覇復活ということになる。

一方、(内心)喜んでいるのが、全国の将棋講師ではないだろうか。藤井七冠が鬼のように強くなると、教わる生徒が減っていたらしい。そもそも遥かに遠い存在となっていたので、いまさら将棋を指しても・・という気持ちになって将棋熱が冷めつつあったように感じていた。これで彼が人間であることが証明され、再び生徒が増えることが期待できるだろう。


さて6月8日出題作の解答。






今週の出題。



解ったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

有罪か無罪か

2024-06-21 00:00:53 | 市民A
昨日に続いて、神奈川県警の話題。昨日は、警察車両に車上荒らしをして、別件で張り込み中の警官2人が易々と現行犯逮捕した話題。きょうは逆パターン。朝日新聞の記事で昨日の事件は新人記者が書いていたが、今回は違う記者。あまり足を使ってないというか、現場を取材してもしょうがないかな。

洗濯物を盗もうとしたとして、神奈川県警は6月19日、海老名署地域課の巡査長〇〇〇〇容疑者(38)を窃盗未遂容疑で現行犯逮捕し、発表した。「その場にはいたが、していません」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は19日午後4時半ごろ、同県秦野市のアパートで、1階に住む男性(29)の家族らの洗濯物を盗もうとしたというもの。室内にいた男性が、干されていた洗濯物に触っている宮村容疑者に「何やってんだ」と言うと、約100メートル逃走。男性が追いつき、通報を受けた秦野署員に引き渡したという。男性は〇〇容疑者と面識がないと話しているという。
県警によると、勤続約20年。交番勤務で、勤務態度に変わったところはなかったという。
神奈川県警の警察官の逮捕は今月3人目、今年5人目。昨年は5人だった。〇〇〇〇監察官室長は「短い期間の中で職員が複数逮捕され、遺憾」と述べた。(〇〇〇〇)

この事件だが、深堀りしたいポイントがいくつかある。

  • 洗濯物に触ったものの盗んではいない、と主張。→だから、窃盗未遂ということになる。他人の洗濯物に触るって、盗む以外ないかな。さらにおそらく不法侵入だろうと思う。記事から言うと軒下という感じだ。
  • 一般男性に捕まり、取り押さえられる。警察学校で格闘技の教育受けてないのだろうか。→おそらく格闘技が下手でも採用にならないということはないだろう。また格闘すると、犯人であると証明するようなものなので、無罪を訴えることにしたのだろう。
  • 県警警察官の逮捕が今月で3件、年初から2件。→6月は1週間に一人ということ。鹿児島県警のように言われないように積極的に逮捕公表しているのだろう。
  • 犯行時刻が午後4時半ということは、洗濯物の取り込みの時間帯。現場を見られる可能性が高いのに、なぜ?→見つかるスリルがやみつきになっている。あるいは単に、濡れたままでは嫌だったのか。
  • この手の犯罪では、家宅捜査をすると、自宅から大量の収穫物が見つかるものだが、そこまで調べるのだろうか。あるいは署で取り調べて一件落着とするのか。口を割りそうもないので、「罪状を認めないと、家宅捜査する!」と脅かすのだろうか。

一勝一敗か

2024-06-20 00:00:47 | 市民A
6月17日の未明、横須賀市の住宅地で一騒ぎが起きたようだ。ミニバンのドアを開けて車上あらしをしようとした中年の男が現行犯逮捕された。



車のドアを開けたところ、中に潜んでいた男がいた。警察署員が二人隠れていたわけだ。

ところが、この署員だが、そんな夜中に車上荒らしを待ち伏せしていたわけではない。付近では1週間ほど前から民家の花壇が荒らされる被害が続いていたようで、張り込んでいたわけだ。花壇あらしは、不法侵入罪と器物損壊罪にあたる。

つまり、窃盗罪で一人を逮捕したものの、花壇あらしの方はもう捕まらないだろう。1勝1敗。検挙率50%は平均以上かな。

気になる点がいくつか。

記事にある事件現場だが、二種類の犯罪が同時に起きている。少し怖い街だ。

ところで、本記事は朝日新聞の横浜支局のニュースで、入社一年目の女性記者が書いているのだが、この記事の少し前には1週間位前に横浜駅至近で起きた無差別殺人を追いかけていて、朝日新聞の有料版に記事を書いていた。

ともかく、大掛かりな事件の方は、書ける記事は少ないし、ありふれたニュースの方は大量の情報があり、記事を書くのが簡単なのだろう


移民の世界史(ロビン・コーエン著)

2024-06-19 00:00:16 | 歴史
著者は南アフリカの社会学者。人類の歴史を、人の移動という観点で捉えている。この本の現代は「Migration」となっている。この単語の前にeをつけたemigrationは国外への移住のことでimをつけたimmigrationは海外からの移住のこと。



いうまでもなく、東アフリカで誕生したホモサピエンスはアラビア半島を経て、北回りや南回りで世界中に拡がっていった。途中でネアンデルタール人とデニソワ人という近縁の人類と交配して今に至っている。

つまり、ずっと東アフリカに住み続けるほんの少しの人たちを除けば、世界中が移民ということもいえる。

まず第一部が近世に近づく前の人類の移動について、
出アフリカ、探検家たち、宗教、遊動民、ロマ、太平洋諸島、奴隷貿易、インドの年期奉公、帝国主義、巡礼

そして第二部は
 アイルランドの飢饉、南アフリカの金鉱山、オーストラリアの囚人、アメリカへ、ユダヤ人、追われたパレスティナ、英連邦内での移動、トルコからドイツへ、ベトナムのボートピープル、ソ連解体、カリブ海内での移動、華僑

第三部は現代人の移動
 中国の国内移動の禁止、インドとパキスタンがそれぞれ独立。労働力の輸出国、セックスワーカー、政治的難民、労働力不足

第四部は未来へ向けての予測として、
 留学生、結婚、リタイア後、ツーリズム、こども、国境、拘留や送還、そして気候変動。

ところで、本の表紙の地図には日本が含まれていない。最新の研究では日本人のルーツは複数のルートで日本にやってきた人たちが混じり合ったものということはわかっているようだが、本書の中に様々な移民の形態のカテゴリーが書かれているが、なぜ、日本列島にやってきたのか。ほぼわかっていない。というのも大陸と日本をつなぐリンクにあたる種族が消滅しているからだ。つまり滅亡したわけだ。日本に来るのが正解だったわけだ。

19歳(2018年 映画)

2024-06-18 00:00:49 | 映画・演劇・Video
道本咲希監督(&脚本&主演)が21歳の学生の時に制作した映画。PFFで審査員特別賞を受賞している。20日で死ぬだろうと思っていた少女が就活もしないで(もちろん終活もしないで)カメラを趣味にして、毎日を、なんとなく過ごしているうちに、他者との関係の中で、少しずつ社会の重みを感じていく姿が見えてくる。

みかけによらず重い荷物を背負っている人が多いのが見えてくるのだろう。

しかし、監督、脚本、主演を全部というのは、勉強になるだろうが、どんな感じなのだろう。映画のことならなんでもできるというのは大したものだ。

その後、ドラマやCMの仕事をしていたようだが、ついに今秋、長編映画『ほなまた明日』が公開されるそうだ。怖い映画だといやだな・・

化物つかい(演:橘屋圓太郎)

2024-06-17 00:00:40 | 落語
NHK日本の話芸で収録された『化物つかい』を鑑賞。

口入屋から奉公人を雇っても、三日も経たないうちに辞めていく、いわばブラック職場があった。使用人は武家の独り者の隠居。家督を譲ったのだろうか。給金は他所の倍としたが、一日中働かなければならず、時々、食事が抜きになったりする。

とはいえ、たまたま東北地方から出稼ぎに来ている権助という男がみつかり、過酷な職場に三年務めたのだが、主人が家の買い換えをするといって、割安な事故物件を買ってしまう。

幽霊出没という屋敷で、とうとう権助は、命が惜しいと言って暇を取る(つまり退職)。困り果てた主人は家の中が片付かず、幽霊でもいいから誰か来ないかなと思案していたところに現れたのが一つ目小僧。人間を脅かすつもりだったのが、逆に使われてしまう。そして三日が経ち、ついに元の狸の姿になって、逃げだしてしまうわけだ。

演じる点で難しいのは、ズーズー弁で話さなければならない部分があるので練習が必要だ。繰り返して練習しているうちに言語の常として、覚えた言葉をつい普段使ってしまうということがあるかもしれない。

それと、この噺、サゲているようだが、この隠居さん、これからどうなるのだろう。人使いが荒い上に、幽霊屋敷に住んでいるというのでは、採用困難だ。幽霊退治済を証明でもするのかな。

幽霊の正体見たり狸汁

家の前に皮でも吊るしておけばいいかもしれない。

六歌仙図(渡辺始興)

2024-06-16 00:00:26 | 美術館・博物館・工芸品
アーティゾン美術館でブランクーシ展を観たのち、収蔵品展を回っていると、掛け軸になっている『六歌仙図(渡辺始興)』を見つけた。江戸時代18世紀の作。



苦労して、図と六歌仙の固有名詞と突き合わしたところ。上から僧正遍照、小野小町、在原業平、大伴黒主、文屋康秀、喜撰法師となる。

六歌仙とは905年に上梓された古今和歌集の中にある序文の中に特に作者を指定して評価を受けている6名の歌人のこと。主席編者は紀貫之なので、彼の主観的選抜なのだろうが、不自然なことがある。

古今集の序文は六人を褒めていないわけだ。内容的には、和歌は、柿本人麻呂と山部赤人という二大歌人の時に発達とし、次に前述の六人を評し、その他大勢という構造だが、ほめているともいえるのは僧正遍照と小野小町(といってもシニカルな褒め方)であとの4人は、心が入っていないとか、心はあるが言葉が少ない(つまり下手?)とか、商人のような服を着ているとか、薪をかつぐ山人のようとか、どうみても六歌仙の仙の字にはふさわしくない。

さらに、その六人の他は名前を上げるほどではない、とつれない。

ところで、在原業平はプレーボーイで有名だし、僧正遍照は小野小町のボーイフレンドで文屋康秀は小町に近付こうとして失敗している。

つまり、古今集もわからないことだらけだ。