年越し蕎麦演義

2019-12-31 00:00:13 | あじ
年越し蕎麦はいつ食べるべきかという話から。

大みそかのいつでもいいということらしい。ただ、年を越して、または年をまたいで食べるのは縁起が悪いとされているようだ。つまり、いまどき男女二分割という時代遅れの歌謡ショーで、プロのシンガーの腕前をシロート審査員が採点するというわけのわからない結果が発表になる頃には食べ終わっておきたい。蕎麦を茹でた鍋や食器を洗うのも翌年にまたがってはいけないだろう。

「年の初めに起こったことは、その年に何度も起きる」という格言もある。できれば一年中、洗い物をするのは避けたいだろうか。

ところで、なぜ蕎麦を大晦日に食べるのかというと諸説ある。

長く細い形から「長く細く生きられるように」・・(うどんだと太く長く生きられそうだが。)

切れやすい特徴から「一年の厄や悪い縁を切って、次の年を迎える」。

蕎麦と傍をかけて「末永くそばにいられますように」

やせた土地でも育ち、強い雨風にも負けないので縁起が良い。

昔の金細工職人は蕎麦粉の団子で、細工中に落ちた金粉を回収していたので金運がいい。

というような説らしい。

ただし、私が知っている話は「縁起物」の話ではなく、実際の江戸の商家の話だが、大晦日まで営業を続け、午後になったら大掃除を行い、夜になったら一同で蕎麦を食べて、お開きとして、奉公人は実家に戻って1日とか数日の正月休みを過ごすことになっていたそうだ。そして月の給金の他、モチ代としていわゆるボーナスを配るのだが、店によっては、モチ代を渡すと、正月が明けても帰ってこないことがあるため、正月が終わって帰ってきた奉公人にだけモチ代を渡していたそうだ。

ラグビーのような・・

2019-12-30 00:00:29 | スポーツ
昨日、バスケットボールの試合(B1)を見に行く。横浜市にはプロ野球のチームもあるし、Jリーグは2チームがJ1だし、女子サッカーのチームもある。

そして、バスケットのプロチームが、横浜ビー・コルセアーズ。略してビーコル。ホーム・アリーナは横浜国際プール。プールでバスケットボールというと、水球のようなイメージだが、プールに蓋をしてその上で試合が行われる。中国のように蓋が壊れて選手がプールに沈むことはないだろうか。アリーナのように四方が客席に取り囲まれてはいない。



会場は、プールサイドにある一階席(1000席)と二階席(4000席)。その二階席も中央の部分が指定席で、端の方が自由席。一階と二階では入り口も異なる。「上級国民」と「アンダーグループ」別。さらに自由席はその中でも最下層シートだ。

実は、バスケットの有名コーチに教えを受けたことがある。また、以前いた会社がバスケットボールの強豪で、応援によく行っていたというか行かされていた。

それで選手だが、どのチームも半分位が外国人選手。それでもチームが勝てばなんでもいいのだが。ここ数年、低迷している。今季もあまり調子が出ていないようだ。相手は三河シーホークス。



ところが、試合が始まると、次々にコルセアーズが得点を重ねる。たちまち、シーホークスがタイムアウト。すかさず、チアガールが登場する。その後タイムアウトのつどチアガールが登場。

予想通り、ここからシーホークスが連続攻撃を行う。あっという間に逆転され、ずるずると差を拡げられる。どういう意味かというと、相手の方が強いということ。特に、ディフェンスの内側に入れない。開始二分の頃、外国人選手がディフェンスに体当たりしてオフェンスファウルを取られて、結果として、その後、外からシュートを打つが、確率は下がる。体当たりの反則の場面は、まるでラグビーのタックルと同じだ。



得点差は一時20点を超えたが、差は縮小して、67対81で終わる。今季のB1リーグの成績は、中地区で6チーム中5位で7勝18敗。勝率は.280。野球の打率みたいな数字だ。

試合後、最寄り駅に向かう人たちの声。

「一番活躍していたのは、チアガールだね。」

『港・ヨコハマの1980年代』展の先に見えるものは

2019-12-29 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
MM21地区にある「横浜みなと博物館」で行われている『港・ヨコハマの1980年代』展(~1/13)に行く。かなり広い展示スペースだが異常に閑散としている。1980年代から現在までの横浜(といっても横浜のシーサイド側)が、どのように発展したかをパネルなどで説明しているのだが、多くの市民は、同時代人として生きているのだからわざわざ展示を見る気にならないのではないだろうか。私にしても、そばにいて、さらに入場無料ということだから入ってみたわけだ。

yokohama1


では、1980年代から現在まで何が横浜に登場したのか、展示を列挙してみる(メモを乱雑に書いたので、一部、時代が前後するかもしれない)


みなとみらい計画(MM21地区)で再開発が決まる。

大桟橋が整備され、大型クルーズ船が入港することになる。

訓練船日本丸の中古品を永久係船することになる。

横浜万博が開催される。

石造り風の横浜市立美術館が完成する。

横浜港の象徴のベイブリッジが完成する。

国際会議場(パシフィコ)が完成する。

大型ホテルが林立する。

赤レンガパークが完成する。

地下鉄「みなとみらい線」が開業する。


展示はないが、近日中にさらに

市役所が高層ビルになる。

旅客用ロープウェーができる。


つまり、「最後に登場するのは、何であるべきか。」という市長から市民への問いかけなのである。これくらいのクイズなら答えは私にもわかる。「火事野」だ。

駒を磨こうと思ったものの

2019-12-28 00:00:00 | しょうぎ
年末なので、盤や駒を軽く磨こうと取り出すと、その中に古い一箱を見つけた。すでに他界している両親の家から発見した駒だ。となると、親の形見かというと、そうではない。過去の自分の形見だ。中学の頃に使っていた。親は早々に対局してくれなくなって、自分で四間飛車の研究用に使っていた。



その頃、使いすぎたため、かなり汚れている。こうなると磨くのは簡単じゃない。確か、牛乳を使うといいと言われていたように記憶する。牛乳の中のカゼインの粒子が細かいので木質を痛めないということだったと思う。

というところまではわかっているのだが、結局、来年の仕事に回してしまった。かわりに靴を磨くことにした。


さて、12月14日出題作の解答。





もったいぶって飛車を取るまでが前半部。二枚の飛車を操るのが後半部。

動く将棋盤は、こちら。(Flash)

GIF版は、



今週の出題。



銀と角の行きつ戻りつといったところだ。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

頂点を極めた焼きカレーパン

2019-12-27 00:00:06 | あじ
curri静かなブームになっているのが『焼きカレーパン』らしい。

かなり多くのパン屋さんで売られはじめているようだ。何度か妙なノボリ旗を見ている。

製品を知らない人のために、簡単に言うと、通常のカレーパンは衣が少し付いていて油で揚げてあって、運転中に食べるとハンドルや車内が汚れるようになっている。言い換えればカレーパンフライだ。

ところが焼きカレーパンは、あんパンやクリームパン、ジャムパンと同じようなもので、単にパンの中にカレーの具材が入っている。ある意味で。それこそ単に「カレーパン」と言えばいいのだが、その単語はすでに「揚げカレーパン」に座を占められているわけだ。

そして、方向としては、詰められたカレーの方にこだわりが必要になっている。

そして、最近の報道では、日本カレーパン協会主催のカレーグランプリ2019がどこかで開催され、自宅近くの「手作りパンとケーキの店パリジェンヌ(以下、「パリジェンヌ」と略)」が二種類のカレーパンで金賞を受賞したそうだ。W受賞。

curripan一つ目が、『タイカレー野菜フォカッチャ』。これが東日本焼きカレー部門の金賞。バジルやカボチャの粉末、チョリソー練り込み生地でグリーンカレーを包んでいるそうだ。

二つ目は、揚げカレー部門で、『天然酵母のWチーズカレーパン』。こちらはQBB賞揚げカレー部門の金賞。数種類のスパイスと野菜が溶けこんだカレーに2種類のチーズを加え、北海道産の小麦粉と天然酵母が使われ、もちっとした感覚だそうだ。

さっそく買いに行くも、揚げパンの方は売り切れ。フォカッチャだけを買う。

確かに、タイカレーの味である。温め直した方がいいかもしれない。

ところで、実は不思議に感じていることがある。もともと、評判は、

流しのしたの骨(江國香織著 小説)

2019-12-26 00:00:35 | 書評
hone家庭小説といっていいのかな。宮坂家は夫婦とこどもが4人。上から三人が女。一番下が男(中学生)。三姉妹の3番目のこと子の視点で書かれている。長女は、小説の途中で夫と別れることになる。ただし妊娠中。次女は感情の起伏が大きく、ついに交際相手の女性を家族に紹介。さらにその女性が産もうとしている父親の不明な胎児を自分の養子にしようとするも失敗し落ち込む。

三女は主人公だけあって、冷静な観察者であり、末っ子の男子は知的冷静で内面的には6人の家族の中で、もっとも成熟しているように書かれている。

とはいえ、子供の数を除けば、ごく普通の家族の域は出ないだろう。家を中心とした結束は固く、何かあれば集まって食事会になる。

おおざっぱにいえば、平凡な話なのだが、平凡だからこそ好き、という人が多いようだ。ある雑誌で、「精神的に苦しいときに、この本を何度も読み返す」と書く人がいて、書評を探すと、何度も読み返している人が多いこと多いこと。履歴書の趣味欄に趣味:読書(江国香織、例えば「流しのしたの骨」)と書くようなものだろうか。あるいは平凡じゃない家庭というのはかなり多いのかもしれない。

この辺で、自分の感想を書き始めるが、小説としてはそれほど感動したわけではない。筋がそれほどダイナミックではなく、小説なのだから幸せそうな夫婦は別れるに決まっているし、堅実な父母のこどもは奔放になるというのも普通の展開だし、客観的視点で物語を書く主人公より、もう少し冷静な人間(弟)が一人だけ登場するのも定石だろう。

感動今一というのには、もう一つ理由があって、登場人物たち(あるいは著者)の小説の中での行動や思考というのが、やや深みが足りないような気がする。別の言い方をすれば人間の心理が複雑とはいえない。

そういえば著者は辻仁成氏と共著で『情熱と冷静のあいだ』というベストセラーを出しているが、その小説に登場する男女(恋愛関係)の心理が揺れ動くのだが、実際の人間は心理学的に、「冷静」と「情熱」の二極間にいるのではなく、「現在か未来か」「金か名誉か」「道徳的か不純か」「捕まるか捕まらないか」「芸術かゴミか」とか、さまざまなバランスの複合の中で立ち位置を決めるはずだ。小説や映画では、そんなに複雑なことは表現できないが、少なくても二項対立みたいなことはないはず。

もっとも角田光代の家族小説のように、どんどん崩壊感覚のようにバラバラになっておさまりどころがなくなるような「なりゆき小説」よりは安定感があるように思える。いいか悪いかは好き好きだろう。

最も夜景の美しい工場の最も美しい装置から出火

2019-12-25 00:00:09 | 市民A
昨日(12月24日)午前7時過ぎに、川崎にある東亜石油の精製装置付近から出火があり、黒煙を伴う火災は約3時間で鎮火した。

最近、人気の高い京浜地区工場夜景クルーズの中でも、この東亜石油と近くの昭和電工は特に人気が高い。たまたま、直近で昭和電工の方の話を聞く機会があったが、川崎市の方から「夜景クルーズのため、夜でも照明を落とさないでほしい」と、強く要請されているということだった。(著作権に触れないように、クルーズ船のガイドから東亜石油写真)



もともと、製油所とか石化プラントとか製鉄所というのは何年に一度の定期修理の時しか止まらない。というか全設備を正常に動かし始めるのに2週間ほどはかかるため、毎日止めるわけにはいかない。夜も、照明が必要だ。

その夜景の美しい工場の中でも今回出火した重質油熱分解装置は「オバQ」といわれ、日本に二つしかない種類の大型の装置(フレキシコーカー)で、見学者を圧倒する。

上空からの画像をよく見ると、装置の脇から出火しているように見えるため、装置に入る前の加熱炉の部分からの出火に見えるため、装置自体にはそれほど大きなダメージはないのかもしれない。

実は、数十年前に、この石油会社の運営に中心的にかかわったことがあり、その時もこの装置が壊れてしまい大苦労したことがあった。今回報道されているのは、「重質油から軽油などを精製する装置」となっているのだが、嘘とは言わないが物は言いようだと思った。

名前のように重質油を熱分解するというのは正しいのだが、そもそも日本の普通の製油所では、要らない重質油が大量に出てくるわけだ(中東原油の特徴)。

ごく簡単に言うと、精製の第一段階は常圧蒸留といって、原油を熱で温めて、蒸発させて冷却することで、60%前後のガソリンや灯油や軽油の原料を取り出す。残った40%程度の重質油は、減圧蒸留装置という装置で0.1気圧程度まで空気を抜かれ絞られるとさらに半分くらいまで製品になる。

残ったものは10~20%位のベトベトとしたアスファルト状の黒い物質なのだが、これが始末に悪い。もはや日本では高速道路の大量敷設時代は終わったし、道路予算は削減され、無駄な工事は減ってしまった。さらに使われるアスファルトの過半は再生アスファルトといって、舗装道路の修理のために掘り返された道路のかけらを熱で溶かしてアスファルトも石も再利用する。また、復興事業も道路という意味では終わっている。

だからといって余ったアスファルトを捨てるわけにはいかない。軽油をまぜて柔らかくして重油として投げ売りしようにも重油を使うような企業はほとんど日本にはなくなった。

ということで、どうするかというと熱で蒸し焼きにして石油製品ではない物にするわけだ。

その一つが固形のアスファルトにして製鉄所などで燃料に使う方法。次に、コークスの粉にして製鉄所の電気炉などの原料にする方法。そして、最後の方法は、空気中の酸素を炭素と化合させ、蒸し焼きにして気体にする方法で、これが今回の装置なのだ。この気体というのは、一酸化炭素。有毒ガスの横綱みたいなものだ。発表文に軽油を精製となっているのは、この装置があると軽油とまぜて重油として安売りしなくてもすむため、という程度の意味で、嘘とは言えない。

数十年前は、このガスは近くの工場へ出荷していたのだが、現在は、自分の製油所内で使っていると聞いていた。

事故が夜中の夜景クルーズの時間だったら、クルーズ船は大混乱になったと思われる。

いっちばん(畠中恵著)

2019-12-24 00:00:08 | 書評
icchibanしゃばけシリーズ第七巻。シリーズの半分である十巻まで読んでおこうと、中途半端な目標を立ててみた。相撲の世界でいうと、横綱を目指そうと思うが、とりあえず十両が目標という感じか。最終目標のちょうど半分に目標を置く。そこに達すると、さらに目標との差の半分、そこに達すると、さらに半分先を・・

「いっちばん」は5編からなる短編集。登場人物の多くは今までのシリーズに登場している。体の弱い主人公の一太郎に妖(あやかし)たちが、何かをプレゼントしようということで競い合う。装飾品か、食べ物か春画か。ついに大人になりかけた一太郎に春画の話が登場する。となると、いずれ嫁の話になる。一太郎の祖母や妖の中でも位の高い大妖ということで、一太郎には妖怪の血が1/4混じっていて、それがために数多くの妖怪、天狗、犬神などの姿も見えれば会話もできる。結婚相手を探すのも、問題が多い。

「いっぷく」は一太郎の家、つまり長崎屋の商売の一つである物産販売において江戸での挑戦者があらわれる。近江商人である。伊藤忠商事の元も近江商人だ。撃破成功。

そして「天狗の使い魔」。まぬけな天狗の話だ。天狗の武器である葉団扇を盗まれてしまう。やったのは狐。なれぬ団扇を振り回すので、江戸市中で火事が多発する。

あとは「餡子は甘いか」。一太郎の無二の親友の菓子店の跡継ぎ(栄吉)が菓子作りの上達のための就業中に挫折を味わう。菓子作りが下手なので修業先でいじめを受ける、廃業寸前に僥倖があり菓子作りを再開することになる。ただし腕前は変わらないようだ。

最後は、「ひなの千代紙」厚塗り化粧だった知人のひなが急に薄化粧になる。火事で焼け出され急に貧乏になったからだ。となると、入婿内定者や金持ちのチャレンジャーの間に揉め事が起きる。

現代日本では嫁入り先の母親に金銭トラブルがあると事件化して、第三者である週刊誌が発行部数を増やそうと動き出す。

江戸時代なら、誰か長老か知恵者が出てきて、丸く収めるのだが、そういう文化はなくなったようだ。誰かが支援金400万円を目標にクラウドファンディングを始めればいいような気もする。パーティー無料招待券でも出せばいい。

誘拐(1997年 映画)

2019-12-23 00:00:00 | 映画・演劇・Video
yuukaiよくできた脚本だと思った。東昭物産という会社の常務が黒塗りの運転手とともに誘拐される。そして犯人から3億円の身代金の受け渡しのために会社関係者が指名される。そして、受け渡し場所はテレビ局が生放送する場所で行われるべく手配されるが、犯人側は、緑の公衆電話を使いながら次々と場所を変更し、3億円のかばんをもったまま会社関係者は走り疲れ心臓麻痺で倒れる。そして次の受け渡し者も会社関係者で同様の結果となる。

警察はベテラン刑事、津波(渡哲也)と米国研修から帰ったばかりの藤(永瀬正敏)が捜査を進めるが、手掛かりを得ることは難しいうえ、犯人に身代金を奪われてしまう。誘拐犯に有利に事が進むのは、脚本家がそう書いたためでもあるのだが、実は26年前に大勢の村民が亡くなった山奥の産廃処理事件とつながっていることがわかってくる。

決定的だったのは犯行現場に落ちていたシャツのボタンなのだが、ボタンのはずれたシャツを着ていた人物が前フリで出ていたのだが、気が付く観客はいないだろう。

当初は二人の刑事のうち、若手の藤の方が主役なのだろうと誰しも思うのだが、実際は津波の方が一人二役を演じていて、ストーリーの中心人物であることがわかってくる。

誰しも映画が終わると、よくできている脚本に感心する一方、テーマのあまりの重さに感情移入することができず、なんとなく評論家のような気分になるわけだ。また、もともと癌から生還した渡哲也に癌の患者を演じさせ、そして他界させてしまうという、限りなく不適切なキャスティングにも考えてしまうわけだ。

『海をみながら・・・』柳原良平アートミュージアム

2019-12-22 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
横浜みなと博物館内に常設されている『柳原良平アートミュージアム』で『海を見ながら・・・』展で海と船のイラスト展を観る。

もともと、尾道出身で、船が好きだったそうだ。確かに尾道というのは日本古来より有数の天然港だった。昨年は脱走犯が尾道水道の対岸から泳いで逃亡したように向島との間の狭隘な尾道水道は海運には最適地であるし、背後の山から見る夕暮れの海と船舶は、世界のどこにもないような濃密な港町を感じさせる。



そして、一方で美術学校で商業デザインを(主にイラスト)学んだ彼は、海運会社に入社して船の絵を描き続けたかったそうだが、不幸にしてそういう職は海運会社には存在しない。そもそも海運会社の年始のカレンダーだって最新鋭の船の写真が使われたり、世界の港の美女の写真とかが多い。目的と手段がずれていたわけだ。

ということで、彼はサントリーに入社して宣伝部に所属し広告関係の仕事に就くのだが、幸運にして、そこで開高健や山口瞳と知り合い、トリスおじさん「アンクルトリス」を作り出した。そして、本業の傍ら(かたわら)、船や海や港の絵を描き続けていたわけだが、そしていつの間に、そちらも本業になったわけだ。

新年になると干支にちなんだ展覧会が毎年開かれるのだが、その前段として12月は、海運関係のイラスト展が開かれている。



船と海というありふれた素材を使う場合、うっかりすると幼稚園児、小学生の絵のようになってしまうのだが、その原因は海と空の色だ。本来、海の色も空の色も塩水と空気なのだから無色であり、様々なまわりの情景や人間の錯覚によって青っぽくみえるわけだ。どんな色だっていいはずだ。そう考えると、海の絵というのは奥が深いともいえる。波の表現もそうで、一つ一つの異なる波を描き分けられるようになれば、誰でも印象派の画家になれるわけだ。もっとも葛飾北斎ですら10年波を描き続けて、名作、富嶽八景「神奈川沖浪裏」に至ったそうなので、万人にはお勧めできないが。

終盤の鬼手(熊谷達人著)

2019-12-21 00:00:32 | しょうぎ
以前、読んだ将棋本を中古で再収集している。鬼手の本というのは一手で相手を打ち負かすような手で、時々実戦で食らうことがある。



ちなみに、数ページ読んだ限りでは一瞬でわかる問題もあれば、永久に解けないだろう手もある。問題には難易度が書かれていて、(20分で高段者)とか表示される。高段者とは何段のことなのだろう。初段や二段は高段者とは言わないだろうが、かといって低段者とか中段者という表現はない。少し解き始めて感じたのだが、将棋の華は「鬼手」と「トン死」なのだろうと確信したのだが、異論も多いかもしれない。

そういえば、「トン死」の本はないような気もする。


さて、12月7日出題作の解答。





合駒選択、桂の二段活用がテーマである。

動く将棋盤は、こちら。Flash版。

GIF画像。


今週の問題。



実は、8種駒使用。

あまり難しくなくて、恐縮。

判ったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

トンカツ三種盛、木札付き DO NOT EAT

2019-12-20 00:00:32 | あじ
先週行った千葉県のゴルフ場の昼食。トンカツ三種盛。ヒレとロースには木札が付いている。もっとも、名前を知りたいのは、大葉で豚肉を包んで揚げている中央のカツだ。豚薄切り肉の大葉包みカツとでもいうのだろうか。

katsu


さらに、札を食べないように書き添えてある。

*この肉札はたべられません
DO NOT EAT

外国人の方が札を読むと、どう理解するのだろう。

ゴルフのコースはトリッキーで風格は並みなのだが、コース整備よりはむしろ料理に拘り(こだわり)がある。そして場所は房総豚の本場だ。よくいくのは千葉と神奈川西部だが、神奈川の方も相模豚の産地だ。つまり、ゴルフをするたびに豚を食べていることになる。

ここで、豚とゴルフを結びつける何らかのネタがあると嬉しいが、思いつかない。「豚 ゴルフ」と検索すると、ほぼすべてがお昼の食材としての豚肉のこと。一件だけ、ゴルフ用の手袋と豚皮という関係が見つかった。牛皮より軽いのが特徴ということ。

話はまとまりがなくなったが、当日は千葉でゴルフの後、場所を横浜に代えて忘年会。三元豚のしゃぶしゃぶとなる。つまり、房総豚+相模豚。少し体形が丸くなったかな。

五輪チケット、2次でも当選

2019-12-19 00:00:00 | スポーツ
五輪チケット、一次抽選では3競技当選と今一歩だったのと、会期後半集中型ということもあり、会期前半中心に二次抽選に臨んだところ2競技当選した。何日目の、どの競技に行くということを明らかにすると、空き巣に入られるそうなので、書かないことにする。

当面は、夏の暑さに負けない体力作りをしなければならないが、サウナの回数券でも買えばいいのかな・・

不思議に思ったのは、今回当たった競技は、第一希望の裏にある第二希望ということ。つまり第二希望の競技は定員に満たなかったということになる。なんとなく『第二希望』とか『カスケード方式』とかの細かな申し込み方法を調べない人が多いのだろうと感じた。あとは一次抽選にはずれて、すっかり陰鬱になって、五輪期間中は旅行に行こうとかヤケになった人とか。

日本では思うとおりにならないと、すぐに嫌になって諦める人が増えているというのは、選挙の投票率を見てうすうす感じていたのだが、戦争になったらすぐに負けるのだろうか。といって早く負けた方がいい時に粘り抜いてすべてを失うよりはいいのかもしれないし。それよりも日本のリーダーというのは誰なのだろう。上級国民?日本会議?宗教法人?新聞社社主?

ところで聖火リレーにも申し込んでおけばよかったかな。何キロも走るのかと思っていたのだが、・・。聖火リレー参加権というのは、転売(購入)可能なのかな。チケットではないが、

「海洋プラスチック問題を考える」セミナーへ

2019-12-18 00:00:55 | 市民A
先週、東京大手町で開かれた「海洋プラスチック問題を考える」というセミナーに行った。いわゆる海洋を浮遊するプラスチックごみが、一定の時間が経つとマイクロプラスチックという微細な粒子となり魚介類に蓄積し、いずれ回りまわって人間の体に蓄積されるのではないかという問題だ。

主催は経団連で、政府ではないのだが、一方で、科学的に解明されていないことが多いわけだ。

まず、単純に海にプラスチックスが流出するプロセスも解明されているとはいえない。大規模災害で陸上にあったものが津波などで海に持っていかれるということはあるだろう。プラスチックゴミについては多くを回収している国もあるが、全部回収しているわけではないし、米国のように陸地が広大な国の場合、そのまま穴に埋めたものが海に流出するのも自然じゃない(そもそもそのまま土に埋めるのは困った問題だが)。海にあるゴミをすべて回収すれば原因はわかるだろうが、回収できるものはほんの僅かで、傾向を知ることも難しい。

さらに、例えばペットボトルのようなものが海の中で細かな破片になることはわかっているが微細粒子になるプロセスはわかっていないし、そうなのかどうかも不明。

さらにマイクロプラスチックが人間を含めた動物に影響を与えているのかも不明だ。いずれ海底に大量に溜まって、数億年後には原油になるのかもしれない。

しかも、環境庁の平成28年度の調査では、日本の10か所の定点調査では、海洋ごみの42%が漁網とかロープといった漁業用だった。2番目が15%のブイ。その他漁具が3%。一般のプラゴミが27%、ボトルが13%。つまり6割は漁業用のわけで、海洋ゴミに関して言えばプラの回収問題とは別のところに原因がありそうだ。日本古来の職業の方々に責任があるわけだ。

というのも日本は回収率が高いし、海で物を捨てるのは犯罪になっている。もっとも最悪なのはインドネシアらしい。タイには日本からゴミ回収の指導に行っているそうだ。

ということで、セミナーの後半の各企業の方々の講演も海洋問題というよりも、プラの減量とか再利用とか、アンモニア化の問題について。そもそも地球規模の問題で、因果関係がはっきりしない問題を個々の会社が取り組むというのは、かなり違和感があるわけだ。

プラスチックのほとんどの原料は化石燃料であるのだが、燃料にしないでプラスチックにしているわけで、ゴミになってから燃料として使っても、いきなり液体燃料を作って燃料で燃やすよりずっといいはずなので、石炭をガンガン燃やしている国がプラスチックの回収率の高さを訴えるのも、何か違うような気がする。

SHIBUYA SKYから見下ろした風景

2019-12-17 00:00:00 | おさんぽ
遅まきながら、渋谷駅そのもののような渋谷スクランブルスクエアの最上階と屋上から地上を展望する。230m、47階だ。特に屋上はオープンエアで転落防止用のアクリルボードで周囲が囲われているが開放感が高い。同様の趣向は大阪の梅田スカイビルの空中庭園にもある。確か40階位だったか。東京的なSHIBUYA SKYと大阪的な空中庭園。それぞれ個性的で比べようがない。



最初に、国立競技場のこと。紆余曲折の結果、やっと完成して公開されたのだが、上から見ても下から見ても屋根が大きい。当初のプランでは開閉式の屋根が付いていて高額ということだったが、すでに大きな屋根が付いてしまった。全部塞ぐのは、あと少しという感じなのだが、なんとなく中途半端な感じがする。そのうち、屋根を付ける話になるような予感がする。



ハチ公前のスクランブル交差点はよく見えるが、なにしろ距離があって詳しくは見えない。横断している人たちの数が多いのか少ないのか、確証がつかめない。交差点に向かって多くの道が下り坂になっている。しかし、本当に乱雑かつ無秩序にビルが立て込んでいる。そういえば青山通りに近いタワーマンションの30階以上の高層階に住んでいる人に、「即位パレード」のことを聞いたのだが、小さすぎて良く見えなかったと言っていた。



東京タワーとスカイツリー。高さは倍くらい違うのだが、遠近法によって、渋谷から見ると同じような大きさに見える。東京タワーもリフレッシュしたそうだ。色々と心配になる。どちらも経営的にも物理的にも倒れないことを期待するしかない。



そして、渋谷川。近くに渋谷ストリームという複合ビルが完成したため、この川のドブの匂いが話題になっている。水も黒っぽい。実は、渋谷川といって、一つの水源は新宿御苑である。そして、もう一つの水源は明治神宮の奥の方から続く。この西側の水流だが河骨川という物騒な名前が付けられているが、戦前はのどかな小川だったそうで、童謡『春の小川』のモデルだそうだ。

ところが、戦後の高度成長時代に、都内の下水整備が必須になり、窮余の一策として小さな川をそのまま下水にしようということになった。とんでもない話だ。その犠牲になったのが、この渋谷川だ。渋谷から上流になる二つの流れは、どちらも蓋をつけられ暗渠となり下水が流れ込む川となった。こうして一見、東京は近代化した町を装うことになる。暗渠化したのは1964年。そう、東京オリンピックの年である。