なりたい(畠中恵著 しゃばけシリーズ)

2020-11-30 00:00:00 | 書評
『なりたい』は、しゃばけシリーズ第14作。しゃばけシリーズは、江戸を舞台として、人間と妖(あやかし)と半人半妖の病弱な若旦那である一太郎の物語だが、第一作から読んでいると、登場するのが妖ばかりになっているような気がする。



本作は標題の『なりたい』が意味するのが、転身願望。ようするに「生まれ変わるなら何に」という感じだ。

一話目は「妖になりたい」。二話目が「人になりたい」。この中で道祖神の話が出てくる。長年にわたり、道中の安全のために道端で安全祈願をしていても、人間の都合で、住宅街の位置が変わったりして、ヒトのいない道で朽ち果てそうなのだ。悲しくなる。

そう、この第14作は悲しい話が多い。

「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」

生まれ変わった時に、人間になれる保証はないそうだ。

しかし、主人公の一太郎は、生まれ変わったらやはり若旦那になりたいという。理由は人間の数十倍の寿命を持つ、今の取り巻きの妖怪たちと再び会いたいからだそうだ。

もしかしたら、シリーズが行き詰まった場合、主人公をあの世送りにして、再び生き返らせて三太郎と改名してやりなおすのかもしれない、と妄想する。

ワインと温泉(ぶどうの丘)

2020-11-29 00:00:22 | たび
勝沼と言えば、ワインの大産地。そのワインを試飲してから買えるワインカーヴがあり、また温泉があり、宿泊できてレストランまである施設が、甲州市勝沼にある『ぶどうの丘』。本格的に寒くなる前に辿り着いた。

宿泊のチェックインをして、すぐにワインカーヴへ。まず、試飲に使うタートヴァンを1520円で購入する。そして階段を下りていくとワインカーヴのドアが待っている。ある意味、地下で営業している飲み屋のようなものかもしれない。



棚には端から端まで勝沼産のワインが並ぶ。赤、白、ロゼ、新酒と分けられ、甘口から辛口まで分類される。

ただ、ワインを次々に少量ずつ飲むので、マスクは外すことになるだろう。そして、システムを勘違いしている人もいて、一本の試飲用のワインを、ほとんど一人で飲み切ろうとしている青年客がいたが、だいぶ顔が赤くなっていたので、危険を感じ、誰も声を掛けようとはしない。逆上されて、ビンで殴られでもしたら、痛すぎる。頭が割れて血と赤ワインでドロドロになる。そんな横綱がいたことを思い出す。



そして、四本買ったが画像を残す前に一本が消えた。



次は、温泉。ぶどうの丘と言うだけに、平地からは少し高い場所にある。そのため、絶景なのだ。名付けて『天空の湯』となっていた。Phが9.5と、かなりのアルカリ性。効用はさまざま書かれていたが、中に「リハビリに有効な浮力効果」と書かれていたが、温泉の中には本当に体が浮き上がるようなものもある。



画像はパンフから拝借。建物から出ると遠くの山岳地と眼下の街が対照的である。


ところで、翌朝、敷地内を散策すると、全国いたるところにある『恋人の聖地』になっていた。認定した方は、桂由美さん。ウェディングドレスのサービスはないようだ。字が細かいのでプレートを読む気力が湧かなかったが、ここに二人で来ると、このあと結婚して桂由美デザインのドレスを着ることになるのだろう。



しかし、ここまできてワインを飲んで、各部屋でも入れる温泉につかって一泊以上するわけで、今さら聖地といわれても、少し的が外れているような気がするし、当人たちからすれば、余計なお世話だ、ということかもしれない。(設備的には単なる普通のホテルだし)

4四銀右引不成か4三銀右行不成か

2020-11-28 00:00:49 | しょうぎ
棋譜をこども将棋教室で教える上で、もっとも文字の多いのを考えていたら、4四銀右引不成とか7文字までいけると思いついた。画数から言うと右と左は同じ5画。引と行では行の方が2画多い。しかし、先手で言うと四段目に行不成はつかえない。三段目に行だと四段目に引くのと同じだ。後手番も考えてもそれぐらいだろう。筋は4筋5筋7筋なら2画だ。



これを書いていて気付いたが、アラビア数字は最大二画だが漢数字は「四」という五画や「五」という四画があり、なかなか難しいが、十や百、千といった便利な文字がある。


さて、11月14日出題作の解答。





質駒化と入玉引っぱり出し手順の合成になる。

動く将棋盤は、こちら。(flash版、edgeは不可)

gif版はこちら。
1128g



今週の問題。



4四銀右引不成を使った問題を作りたかったが、とてもすぐには無理だ。課題にはちょうどいいかもしれない。

こちらは入玉させてから捕まえる問題で、13手詰。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

なじめない「ほうとう」

2020-11-27 10:00:20 | あじ
山梨を代表する食べ物が『ほうとう』。麺の形状は名古屋名物のきしめんと似ているが、硬さがまるで違う。がっちりと厚地でツルツル飲み込むようなものではない。

ところが、・・

実は、あまり好きじゃない。きしめんもあまり好きではないが、それ以上ほうとうは好きじゃない。もっとも、会食の前に「何か嫌いなものありませんか」と聞かれても、「ほうとう」とか「きしめん」とか答えることはない。会食でそういうものを食べるはずないと思っているからだ。



そして、山梨に行った時に、「本場では、他の地方とは全く異なる味なのではないか」と思い立ち、人生最後のトライということで有名ほうとう店に行く。驚くことに離れた席ではスーツ姿の人たちがテーブルを囲んで「ほうとう」を食べていた。山梨ではビジネスランチとして「ほうとう」を食べる様だ。



メニューは、ベーシックな『かぼちゃほうとう』の他、「豚肉ほうとう」に始まり、「猪肉ほうとう」や「熊肉ほうとう」や「すっぽんほうとう」などもあって、一応、多彩と言える。ベーシックな『かぼちゃほうとう』を注文し、しばし待つと、洗面器のような大きさの「かぼちゃほうとう」が到着したが、なぜかカボチャの姿が見えない。



きっとカボチャをすりおろしてスープに溶かし込んだのだろう、と思い小さな取り椀に少しずつ太い麺を移しで、フーフー言いながら食べていると、底の方に沈んでいた大きなカボチャが現れた。海面すれすれの水面下で軽率船長の船を座礁させるべく狙っている暗礁のような感じだ。太い麺を食べるのに難儀をしていたのに、カボチャが発掘されたことで、完食困難の危機に陥る。

味の方は、結局は今まで舌が覚えていた味との差は、ほとんどないと思う。

武田神社か躑躅ヶ崎館か

2020-11-26 00:00:20 | The 城
山梨県(甲斐国)といえば、誰しも武田信玄を思い起こす。上杉謙信との川中島の戦いが名高いが、甲斐は周りに今川、北条、上杉と同規模の武将に囲まれていて、自然とパワーバランスが空白な信州に出ていきたくなるが、かたや上杉も同じ。

信虎・信玄・勝頼の武田三代の本拠地が躑躅ヶ崎館だが、今は武田神社になっている。山梨の城と言えば、専門書の県別ベスト3に必ず入るのが、この躑躅ヶ崎館と未完の城である新府城(韮崎)。そして徳川家と強い関係性を持っていた甲府城。このうち新府城は跡地が自然に戻りゆく途中にあり、国破れて山河ありの図らしい。



勝頼は歴史の中では、多くは信玄のバカ息子という位置におかれるが、父が奪えなかった川中島を制圧している。そもそも日本の歴史は、恣意的に何度も曲げられているので、自分で調べて検証することが必要。



武田神社の裏手の方には山があり、城と一体となった防御網だったが、織田側は甲府市内でデマを飛ばして家臣のなかからの離反者を待ったわけだ。



そして神社のはじには太宰治が愛した桜の木がある。なぜ太宰が甲府に住んだのかはわからないが、そういえば『富嶽百景』という著作があった。甲府から見る富士山は静岡側からの姿と異なる。さらに太陽は静岡側の南側に当り、山梨側から見ると影の部分になるため、山肌の陰影は鮮やかだ。

FOR YOU(Manami Morita:JAZZ)

2020-11-25 00:00:55 | 音楽(クラシック音楽他)
聴いてないCD、読んでない本、観ていないDVDなど少しずつ片付けようかなと思い立ち、Manami Moritaさん(あるいは森田真奈美さん)のCD『FOR YOU』を聴く。彼女で有名なのは『Colors』で、そのジャケットやCDそのもののカラフルなデザインも話題になった。



『Colors』では多彩な曲作りに感心したのだが、『FOR YOU』は、流れるようなメロディアスなピアノがアルバムを貫いているので、『FOR YOU』を経て、『Colors』に至ったのだろうと思ったのだが、発表されたのは『Colors』が2009年で『FOR YOU』は2010年ということで逆だった。



統一から拡散、拡散から統一を繰り返すのが芸術家の人生のようなのだし、そもそもジャズプレーヤーの本分はステージでセッションすることで、売り上げ高(つまり収入)ではないはずなので、黙って曲を聴いて体や指先をブルブルさせていればいいのだろう。

冒頭に書いた、CD、本、DVDのうち他の作業を行いながら重複してできるのは音楽を聴くことだけであるのだし。

おふろ甲子園優勝の湯

2020-11-24 00:00:47 | たび
山梨にGoToしたのだが、目的は『美術館』『温泉』『ワイン』。考えてみれば、人間の気持ちを豊かにするための要素の半分ぐらいのアイテムだ。ただ、1泊2日で行動できる範囲には限界があり、美術館はキース・へリング美術館のみだった。温泉については、そもそも「はしご湯」するようなものでもないし、それでも予定より一つ落とした。



ということで、石和と甲府の中間にあり、「第四回おふろ甲子園」で優勝した『源泉湯 燈屋』に行く。あかりや、と読む。

「おふろ甲子園」は全国の銭湯やクアハウス、湯処、健康ランドなどの浴場施設がエントリーして、覆面調査員が予選段階から潜入して15店が準決勝、さらに5店が決勝を争い、優勝を争う。さらに業者同志の懇親を深めたり勉強会を開いて経営の合理化に務めているそうだ。第一回が2012年、第二回の2013年以降、隔年で開催されていて、2017年の第四回大会で全国優勝している。この年はさらに準優勝5店のうち2店が山梨県勢という圧勝だったようだ。



訪れたのが平日の昼下がりということで、やや閑散としていた。石和温泉郷から離れているため単に入浴するだけではGoToのメリットを受けないので、空いていただけかもしれない。

温泉は『和こしの湯』(にこしのゆ)と言われ、源泉かけ流し温泉だが、47.5度と熱いため加水しているとのこと。箱根湖尻の温泉などでも温泉が熱すぎるので冷やすための冷泉を見つけるのが大変という。持てる者の悩みの一種か。



山梨県の地底には日本を支えたり揺さぶったりする4種のプレートが重なって存在しているとのことで、当店の壁書きによれば、石和の湯なんかただのお湯で、効能物質が豊富なのは、当店の湯である旨、第三者風に書かれている。確かに肌がぬるぬるになる。一方、街中にあるので、露天風呂であっても高い壁があり、視界は限定される。浴室にカメラ持ちこめないので、パンフの画像で想像あれ。つまり富士山は望めない。



お休み処の食事で、もっとも華やかなのは、名古屋名物の『台湾そば』。中央線に乗って何回か居眠りと乗り換えをすれば、名古屋に着く。時間的には新宿→東京→新幹線の方が早いが、リニアが開通すれば最も名古屋が近くなるのが山梨県であることに気が付く。

GoToトラベルはなぜ暴発したか

2020-11-23 00:00:08 | 市民A
欧州のコロナ再燃は、夏休みに旅行奨励策をとったことが原因とされている。米国は大統領選と言われる。どちらも期間限定イベントなのに拡大が収まらない。今さら都市封鎖してもうまくいくのだろうか。

一方、Gotoトラベルは大盛況の上、期間はまだまだ続くはずだった。何しろ実質50%引き。本来はホテルや旅館代金が対象だったのに、ホテル側は宿泊費と料理をパッケージにして料理代金も半額にしてしまう。さらに旅行業者は往復の交通費(電車や飛行機や観光バスなど)も全部まとめてパッケージにしてしまって、全部半額になってしまった。

行っているジムで声の大きなオバサンたちの話が耳に入ったのだが、毎週トラベルという人もいるようだ。

たまたま地方都市に所用があって、有効期間がのびのびになり、まもなく期限がくる航空会社の株主優待券を使って、もう一泊、足を伸ばそうかと考えていて、調べてみると、パッケージツアーにしてしまうと飛行機+宿泊だけで半額以下。優待券はゴミ箱行きとなる。

で、地方都市(岡山)の状況は、首都圏からの人間を「ばいきん扱い」している感じだ。といって、感染防止意識は首都圏より低いと感じた。顎マスク、鼻出しマスク、アクリル板のない飲食店やバスの窓開けなし。よく地方都市から首都圏に遊びに来て、ウイルスを手土産に帰ると言われるが、ウイルス共存に慣れていないのだろう。

さらに地域クーポンの電子クーポンの使える店は極めて少ない。そもそも電子クーポンを使う時にpaypayのようにQRコードを読めばいいのだが、不良アプリのせいで多くの人のスマホではQRコードが読めず、QRコードの下に小さな文字で数字がたくさん並ぶコードがあって、それを打ち込むことになるのだが、そういう対応法は公式にはどこにも書かれていないので、店頭で大混乱になっている。

一方、一泊伸ばして小豆島(香川県)に行くと、観光地らしくどの店も丁寧だ。平日なのに島内観光バスは満席で2台目を出すという状況だ。

そして、GoToの負の側面である感染拡大だが、そもそも旅行に行く人が多すぎるように思える。なぜ11月にGoToが暴発したのか考えてみる。

よく言われるのは
1. 11月は旅行に最適な時期。
2. 予約を取り消すと、キャンセル料が発生する。
3. GoToの財源に限りがあって、予算が尽きたら終了ということで、われ先になる。
4. 外国人客がいないのでいい。(実際には聞いたことのないコトバを話すアジア系のグループがいた。先日ビジネス用に解禁した国から観光に来たのかも)

思うに、それらは少しずつ正しいのだろうが、もっと国民は賢いのではないだろうか。

最近、久しぶりに民放テレビに髪の長くなった岡田教授が登場。ウイルス学の大家であり、予言者のように未来を言い当てている人だ。しばらくテレビお休みだったが、ついに再登場だ。彼女が春先に言っていたことを思い出せば、「夏になって一旦、感染者は減少するが、11月なったら必ず流行が始まるので、それまでの間に各種の準備をしておかなければならない」ということだった。多くの視聴者は覚えているだろう。

つまり、11月なって再流行が始まり、あっという間にGoToは終わってしまうだろう。つまり、すぐ行かないと行けなくなる、ということを国民は考えているのではないだろうか。事実、そういうようになりかけている。

実際、この状況を見ると、GoToの効果は絶大過ぎるわけで、発動すれば効果が大きいことはわかったわけだ。したがって、当面は零細事業者には無利息貸し付けを行って、ワクチン接種が始まってから、ワクチン接種者を対象にGoTo再開すれば良いように思える。

中村キース・へリング美術館で秋を感じる

2020-11-22 00:00:35 | 美術館・博物館・工芸品
前々から行きたかった中村キース・へリング美術館に行く。

甲府方面のGoToから少し足を伸ばせば当美術館のある小淵沢まで一息と思っていたのだが、そうとも言えなかった。横浜青葉ICから東名に入り、海老名ジャンクションで圏央道、八王子から中央道で2時間弱で小淵沢と思っていたら、圏央道も中央道も片側二車線のところで制限速度の80キロより下で走る人と130キロで走る人が混在して、なんとも油断がならない。反則ポイントが溜まりつつある状況からして爆走するわけにはいかないが、坂道が多くコントロールが難しい。途中、立ち寄った釈迦堂PAのところに縄文土器の美術館があって入ろうかと思ったが、この先の時間も押しているので帰路に寄ろうかと思ったが、結局行かなかった。

同じように韮崎の大村美術館も次回回し、山梨県美も看板のミレーの「種蒔き」がやっとの思いで米国から帰還したということだが、これも次回回し。


中村キース・へリング美術館というと、何も知らない人は、ナカムラ・K・へリングという外国人がいたのかと勘違いされるかもしれないが、中村というのは現代美術家(コンテンポラリー・ポップ・アーティスト)キース・へリングの作品コレクターである中村和男さんのこと。有名な薬の開発者として有名で、製薬会社から独立して創薬関係に携わり、得た利益の還元として2007年に美術館を開館した。(ちなみに大村美術館もノーベル賞の大村さんの社会貢献事業)


さて、キース・へリング氏だが生没は(1958-1990)31歳でAIDS関連症で亡くなっている。1980年代に街角壁画家としてニューヨークに忽然と現れる。当時の米国は、全体として凋落の兆しが表れていて、町には暴力があふれていたそうだ。(なんとなくこれからの米国?)ただ、多くのアーティストが登場したのもこの時代。


彼の作品を見ていると、とても幸せいっぱいで、暗い社会など見えないのだが、よくみていると、そうでもないような感じがすることがある。


館内はノーフラッシュで撮影自由なので、こうして展示物の画像を後でも楽しめる。一応、それぞれの作品には題名があるが、あまり覚えていない。



日本にも度々きている親日家で新宿の雑然さや京都のポップな街並みを楽しんでいたそうだ。作品に反映されたのかどうかは、どうにも判別できない。


屋上や庭園にも作品が溢れている。外に出れば紅葉、空気は南アルプスからの冷気を含み、心地よく過ごせる。東京から山梨に移住する人が多い理由も少しずつわかり始める。ただし、館内は手指消毒とマスク着用のこと。

「居飛車穴熊必勝法」では必敗かも

2020-11-21 00:00:36 | しょうぎ
将棋教室でもそろそろ難しい定跡を教えようかいうことで久しぶりに定跡書を読む。佐藤天彦前名人による『居飛車穴熊必勝法』。

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内容的には、居飛車穴熊に対して振飛車側がどう攻略するかというような内容のようにも感じる。ある意味で、どうしたら安全に穴に潜れるかという内容に感じた。ほとんどの場合、穴に潜る途中で居飛車側が粉砕される。しかも本書では居飛車は先手側なので後手ならさらに危険だ。避難所に向かう途中に難にあう被災者とか、防空壕の入り口に辿り着けなかった帝国人民のようなことになる。

とはいえ、AIは飛車を振らないということは、AIのように間違えずに指せれば居飛車有利で、一般人間のように間違えることがあるなら振飛車有利ということなのだろう。


さて、11月7日出題作の解答。

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香の単打、限定合、捨駒、限定開き王手。軽量感を出すのに苦労した作。

動く将棋盤は、こちら。(flash版、edgeは不可)

gif版はこちら。
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今週の問題。

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質量感は上記と同じかな。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

「特急ひのとり」そして名古屋めし

2020-11-20 00:00:22 | あじ
南紀の旅もついに終わり。一目散に首都圏に戻るわけだ。まず津から近鉄特急「ひのとり」に乗る。そして名古屋からは新幹線。

津は三重の県庁所在地である。一方で、全国で最も名前の短い市である。

まず、漢字一字の市は、旭、柏、蕨、忍、平、泉、堺、呉、萩、光、関、燕と合わせて13市だ。

しかし、読みが一文字というのは津だけだ。ローマ字だと、TSUと三文字だがこれも全国最小である。

一方で全国最長の読み方は、大網白里市(おおあみしらさと)だそうだ。



「ひのとり」は今年の3月にひっそりと走り出した最新車両で、売りは、リクライニングを倒しても後席の邪魔にならないということ。椅子を倒すと座席が前に押し出されるわけで、前の足回りが狭くなるということ。津から名古屋まで45分だが、料金は特急料金込みで1940円。近鉄の普通1時間10分程度で1020円。JRだと同じぐらいの時間で1290円。特急は少し割高だが、コンセプトは大阪市南側から名古屋への時間で、新幹線と争っているということ。

私鉄の特急では京成の「スカイライナー」などの速度優先型とこの「ひのとり」のようなラグジュアリ型と二種類あるように思える。車両が新しいだけに乗り心地は良い。

そして名古屋で弁当を買う。いかにも名古屋めしの詰め合わせのような『なごや満載』。



「名古屋コーチンの鶏飯」
「天むす」
「あんかけパスタ」
「みそかつ」
「エビフライ」

「あんかけパスタ」だが、従来は「あんかけスパゲティ」と言っていたのが、「スパゲッティ」というのが死語になったから「パスタ」ということになったと考えればいいのだろうか。もともとスパゲッティじゃなかったし。



そして5種類の名古屋飯だが、いずれも控えめだ。右下の1/4の枠内には名古屋とは関係ない煮物とか練物が入っているが、実は練物も隠れた名産なのだ。

個人的にはこれを「壱の重」として「弐の重」として『ひつまぶし』『手羽先』『トンテキ』『味噌カツ』を詰め、吸物として『味噌煮込みうどん』、デザートは『ういろう』と『尾張銘菓ゆかり』にしてもらった方が良かったかな。

ペンス副大統領は何を考えるか

2020-11-19 00:00:26 | 市民A
副大統領を8年間、大過なく過ごせば次の大統領候補の最有力候補になるというのが、普通の考え方で、4年前に副大統領になった時のペンス氏はそう考えたのだろう。そもそも副大統領は大統領のスペアというのが最大の仕事なのだから。とはいえ、実態はそうではなくゴア氏もそうだったが8年も副大統領だった顔に国民が飽きてしまっているということもある。

ともあれ、バイデン政権になっても次回の選挙でうまく立ち回れば大統領の目は大ありだろうと考えるだろう。実際、選挙後の(トランプ大統領側の)勝利宣言の時も、壇上で奥歯に物がはさまったような態度に感じた。ここでピエロになるわけにはいかないということだろう。

ところが、あろうことか4年後もトランプ氏が再度立候補しようという意欲があるらしい。権力とはそういうもので、先日やめた日本の元総理も同じことを考えているのかもしれない。

ペンス氏にとって、それは最もいけない展開のわけだ。トランプ党になった共和党を一旦白紙に戻していって、その再生共和党のリーダーになりたいわけだ。

一方、トランプ氏には、100件くらいの訴訟案件が待っているともいわれるし、脱税疑惑に白黒付けられると、白でも黒でも困るわけだ。次の選挙は4年後なので、訴訟のすべてから逃れることは難しい。残り2か月の大統領期間に自分の恩赦を決めないといけないわけだ。

言われている方法は3つ。

① バイデン氏に頼む。
② 自分が大統領として、自分の過去の様々な事件の容疑を恩赦する。
③ 大統領を辞任して、ペンス新大統領に恩赦してもらう。

まず①は無理だ。対価がない。バイデン氏にとっては、得るものは何もない。
②は可能かもしれないが、自分を無罪にするというのは法律の基本からはずれている。ローマ皇帝じゃない。③も難しい。2か月だけの大統領となれば、将来の米国史のトリビアになるだろうが、恩赦は引き受けないだろう。というのも恩赦とは過去の犯罪や疑惑に対して行うもので、まさか未来の行為は恩赦できないだろう。4年間、何も問題を起こさないとは信用できないだろうし、何か起こせば、恩赦した人間の評判は失墜してしまう。

したがって消去法的に②の自分に対して恩赦をするという方法になるのだろう。

しかし、2ヶ月でもっと危ないことを始めようとしたらどうだろう。例えば、イランや北朝へのミサイル攻撃とか(イラン核疑惑に対してミサイル攻撃を検討するのに、既に持っていると大騒ぎする北朝を攻撃しないとは矛盾もいいところだが)。

しかし、今戦争を始めるのは暴挙だろう。国防省長官も解任したままだ。

暴挙が戦争だけとは限らないが、ムチャを始めた時に、それを止める方法を副大統領は持っている。国務長官の半分以上の連名で「私が大統領になります」といって議会に承認を求める方法だ。大統領にはカゲで恩赦をちらつかせておけばいい。逆に大統領になれば掌を返して、すぐに刑務所に送るかもしれない。ペンス氏にとっての次の暑い大統領選は既に始まっているのだ。

杳子・妻隠(古井由吉著・小説)

2020-11-18 00:00:21 | 書評
大作家である古井由吉氏が未完の遺作となった『われもまたて天に』を残して亡くなったのが今年の2月のこと。その代表作の一つであり、文壇デビュー作であり、芥川賞受賞作の『杳子(ようこ)』と、同時期に発表になった『妻隠(つまごみ)』。どちらが受賞作でもおかしくないと言われたはず。



以前、読んだ時、難解さと何か構造的な文体で読み進むのに難渋した記憶が残っていたのだが、今回は、読み始めるまでに時間がかかったが、10ページほど読んだ後は、作者の心の流れに乗ることができてつかえることもなく進んだ。杳子は心の不調を抱える女性とその心についてゆけない主人公Sの風変わりな恋愛小説とおおまかなカテゴリーを決めて読めばいいのだろう(一応、メンタルヘルスマネジメント1種の資格を持っているので、病名の推理なんかしてみたが、そういう観点で読む人はいないだろうが。)

そう、難しいことはたくさんあって、例えば作品の題名。『杳子』だが、洋子だって陽子だっていいはずだ。普通の「ようこ」では精神不調者らしくないといっても「杳」の意味は靴だ。「杳として」とは痕跡もなく消えたことを表現する言葉だが、杳子は消えるわけでもない。

『妻隠』だって、「つまごみ」と読むのだが、妻が押し入れの中に隠れるようなこともない。

とはいえ、代表作のいくつかを少し読んでみようかなと思案中。

花の窟神社の御神体は

2020-11-17 00:00:38 | たび
もしも日本神話のすべてが事実だったとすると、日本の国土、さらに多くの神様たちもある夫妻が産んだことになる。イザナギとイザナミだ。神の中の神である天照大御神も夫妻の子だ。しかし、ある時にイザナミが産んだのは火の神であるカグツチ。

火の神なので産道を通る時に夫婦の大事な場所に大やけどを負わせることになる。子宮の中にいる時に火傷しなかったのだから外に出る時に酸素に触れて火が付いたことになる。カグツチの正体は何だったのだろうか。

神話では火傷の治療の効果もなくイザナミは死んでしまう。日本国にはもっと多くの神が必要だったと嘆いたイザナギは彼女の墓から地底に入り、地上に戻ってくるように懇願するが、地底の神の了承を得る前にイザナミの腐りかけた姿をみたため、すべての企画が大崩れになる。

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古事記ではイザナミの墓は島根県にあることになっていて、日本書紀では、この熊野灘に面する花の窟(いわや)ということになる、なお、妻が亡くなった原因の火の神カグツチは推定父親のイザナギに殺された。イザナミの墓は巨岩の前にあり、少し離れた場所にカグツチの墓もある。

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ということで、この花の窟神社は日本で最も古い神社と言えなくもない。ただ、明治になるまでは、ここは墓地という扱いだったという説もある。というのも当神社には人工的なご神体は存在しない。背後の巨岩がご神体ということだそうだ。


ところで、神話から離れて、この巨岩を客観的に眺めると、岩というよりも石ころの形に似ている。ゴツゴツ感が少ない。といっても古代人がどこからか運んできたというような代物ではない。目の前が海であるのだから何らかの巨大な力があって大波が発生し、ここに石が漂着したのだろう。途方もない話だ。

かのこちゃんとマドレーヌ夫人(万城目学著 小説)

2020-11-16 00:00:10 | 書評
万城目学の小説は2冊読んでいて、勝手にイメージを作っていたので、この小説には驚いた。動物小説だ。広い意味ではシートン動物記のように、人間と動物にそれぞれのストーリーがあって、出会いや別れがあって、読んでいる人がウルウルしたりボロボロしたりする趣向だ。

もっとも、万城目氏がシートン動物記を読んだことがあるかどうかは知らない。シートンには山猫とかコヨーテとか登場するが、本書に登場するのはペットの猫と犬の話。現代的かつ日本的だ。



主人公は、人間側が「かのこちゃん」。友達が「すずちゃん」。「すずちゃん」は、後に外国に転校する。ペット側の主人公は猫のマドレーヌ夫人。なぜ「夫人」なのかというと夫が老犬の「玄三郎」。おっとりしてよい犬だ。猫友達は「和三盆」に「ミケランジェロ」に「キャンディ」。猫は人の言葉はわかるが、犬の言葉はわからないことになっているが、マドレーヌ夫人は夫が犬なので犬のことばがわかる。

そして、本作は「かのこちゃん」の視点で書かれていると言えるのだが、実は真の主人公は、「マドレーヌ夫人」。彼女は、どこからともなく現れてきて大雨の日に「玄三郎」の犬小屋で雨宿りをしてからずっと夫婦を続け、14歳で他界した「玄三郎」の葬儀が終わると、どこかに去っていくわけだ。去り際があざやかだ。


読者の心に緊張感や嫌悪感がまったく涌かないように書かれていて、心が休まること間違いなし。調べると直木賞候補作になったらしく、少し驚いている。「ペット小説大賞」受賞なら大いにわかるのだが、直木賞選考委員の中に、人間の姿に化身している猫又族や犬神族が混じっているに違いないだろう。