赤色彗星俱楽部(2018年 映画)

2023-02-28 00:00:23 | 映画・演劇・Video
第39回PFF(ピア・フィルム・フェスティバル)の二冠。高校の天文部で起きた奇跡を武井佑吏監督が描く。青春映画と言えばそれまでなのだが、バランスがいい。本当は深く重いテーマである異性の友人の突然の事故死と、それでももう一度会って話をしたい天文部員の男子高校生の気持ちが底流に流れている。映画の終わりの方で気が付く。

赤色彗星が地球の近くを通るときに、時間の逆転が起きるという学説を信じ、ご禁制の夜中の学校の屋上で自家製の彗星を作ってみる。

都会でも田舎でもない日本の普通の学校が舞台になる。俳優たちが熱っぽいのがとてもいい。脇役である年配の教師が生徒の半分が居眠りしている授業で名言を連発したりする。音楽もいい。


実は、小学校の上級生の時に望遠鏡を組立てたり、夜の空を見るのが好きだった。中学生の時には5人で校庭で天体観測(といっても月しか見えないが)という名目で集まって、ついでに夜の校舎に忍び込んだことがあった。北西の一角に幽霊が出るといわれていた。数日後に「誰かが夜中に校舎に侵入したらしいということが」判明したが、一人としてシッポを捕まれなかった。

学校を卒業するまで、友人が亡くなるという経験がなかったのだが、あれば何か違う職業を選んだかもしれないと、最近思っている。いまさらだけど。

すべて忘れてしまうから(燃え殻著 エッセイ)

2023-02-27 00:00:10 | 書評
燃え殻氏の特徴は、軽妙な会話ということらしく、それが、最近(『湯布院奇行』かな)文体が変わったようだという話もあり、実は変わる前も後も読んでいなかったので、手身近に図書館の電子書籍で初期(といっても2年半前)の一冊を借りたら、小説ではなくエッセイだった。(ジャンル分けが細かくできない検索方式なので)

『すべて忘れてしまうから』

といっても3人待ちだった本を読まずに返すわけにはいかない。読み進むと、何十もの過去のエピソードが手ごろな長さ(10ページ弱)にまとまっていて、それぞれ控え目に面白い。


エッセイを最近は読んでいなかったが、伊丹十三エッセイのように持論を押し付けるようなのもいいが、年を重ねると、ちょっと重い。次々に異論が浮かんでしまうのだ。

一方、本書は軽快だ。自己主張が薄い。「盛り」が少ないからだろうか。どこにでもいるような弱気の人という感じだ。

網の壊れた社会を泳いでいる感じのエッセイかな。ただ、ほぼリアルな話なら、書いたらまずいような話もあるのだが、行方も知れない人のことは、まあいいかなということかな。


今、中国では社会の網の目を細かくして全人民を主席のアバターにしようとしているが、逆に日本は網が壊れてしまって、「どこにもつながってない人」が増加し、闇バイト地獄に落ち込んでしまう。著者の意見も聞いてみたいところだ。

また、横浜の旧市街の感じもなかなかいい。桜木町、関内、黄金町のトライアングル地帯。一皮剥けば、魔窟だし。


5冊は読まないといけないという感じだ。

東海道かわさき宿交流館

2023-02-26 00:00:43 | 美術館・博物館・工芸品
川崎は江戸時代、宿場町だった。というか、宿場町でしかなかった。といっても江戸から出ると、品川の次。もう一つ二つ足を延ばした旅人も多かっただろう。大行列で移動する大名の参勤交代の時などは大名御用達の「佐藤本陣」と「田中本陣」があった。



そして江戸から出るためには六郷川(多摩川)を渡らなければならないが、何度も橋が流され、結局建て替えられることなく渡し船を使うことが多かった。しかし、将軍が渡るような場合は渡し船を数十隻集め、横向きに舷側を合わせて、上に板をのせて、簡易の浮橋を使ったそうだ。



最初は幕府に献上された「象」。吉宗の頃。無事に江戸までたどり着いている。そして、明治になってもすぐには架橋されず、明治天皇の渡河の際にも同様の浮橋が使われている。

会館内には、当時の宿場の周辺の地図に合わせてジオラマが作られていて、当時の東海道と現在の道筋がまったく同じであることが強調される。



ところで、川崎駅周辺だが、この交流館の他、浮世絵美術館、チネチッタ、水族館、コンサートホールなどが次々に完成して、文化都市風なのだが、一皮むけば日本有数の風俗街であり、競馬場や競輪場もある。これからどちら方向に変わるのだろうか。

将棋AIワールド内では先手勝率が上昇

2023-02-25 00:00:10 | しょうぎ
藤井五冠(現在)が後手番で3連敗したことが話題になっていた。4連敗はしなかったが。

単に偶然のできごとだったかもしれないが、将棋世界誌2022年3月号の「AI将棋入門・最終回」にも、人間同士ではなくコンピューター同士の対戦では、先手勝率が7割という話が書かれていた。それが「先手必勝ゲーム」だからなのかどうかについてはまだわからないということになっている。もともとプロ将棋では5%程度の差はあるのだが70:30ともなると、他のボードゲームのようにルールを変えなければならないが、人間同士では微差なのだから単なるハンディ方式の囲碁や、2局セットのチェスや象棋方式では進行が遅れるだけかもしれない。名人戦第一局の1とか2とか。

また、ルールもなかなか難しい。囲碁のように石の数を1目2目と微調整できる方法は将棋では難しい。香落ちルールもあるが、香落ち定跡など見たくもないだろう。駒落ちというのは囲碁では置き碁ということだろう。「待った一回あり」とか「先手は開始50手までは王手をかけられない」とか「一回だけ歩が下がっていい」とか斬新なアイディアはあるが、そうなると、すべての定跡が崩壊するだろう。

「後手は入玉したら勝ち」とかよさそうな気もする。もう少しハンディを小さくするなら後手玉が九段目(あるいは八段目)まで達すると勝ち」とかがいいかもしれない。穴熊戦法は激減し天守閣美濃とか増えるかもしれない(双玉詰将棋や入玉詰将棋は壊滅だが)。


さて、2月11日出題作の解答。








今週の出題。(10~15手)



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

重い手土産

2023-02-24 00:00:23 | あじ
知人から岡山旅行のお土産を頂いた。紙の包装を開くと、手裏剣のような形になった。手裏剣は上から投げるべき武器だが、バックハンドで横向きに投げると滑空していく。3回練習するとうまくいく。



で、包まれている銘菓は、『大手饅頭』。伊部屋製造。

「伊部」は「いんべ」と読む。備前焼の別名も「いんべやき」である。全国に大手まんじゅうというような銘菓はある。城下町にはそれぞれ大手門があるので、その近くの和菓子店が名乗ったのだろう。



岡山の伊部屋もHPを見ると、藩主の池田家に寵愛されたそうだが、創業は1837年(天保8年)と江戸時代の末期。天保8年と言えば日本史の大きな節目の「大塩平八郎の乱」が大坂で起きている。実際に当時の大坂市中では大火が起きていて、維新の初手という人もいる。私もそう思っている。池田藩の所蔵品が公開された時に見たのだが、徳川大坂城の詳細な地図(内部や周辺の水路)が含まれていて、「いざ倒幕!」の時に備えていたことが感じられた。

ということで、殿が饅頭食ってる場合かな、と思うが、頭脳を酷使すると糖分が欠乏するので、饅頭で頭脳を明晰にして策略をめぐらせていたのかもしれない。池田藩は戊辰戦争の時は、江戸ではなく今の神奈川県の川崎市あたりの警備をしていて、農民や庄屋から武器や金品を巻き上げていたというブラック伝承もある。

さて、菓子の話だが、以前、岡山の中小企業の経営をしていた時に、取引先のほとんどが東京都内であったこともあり、手土産をもって上京する機会が多かった。ところがこの手土産だが「重い」のだ。

岡山の三大手土産といえば、

大手饅頭・・伊部屋(岡山市)


吉備団子・・廣榮堂(岡山市)




むらすずめ・・橘香堂(倉敷市)



ということで、どれも重い。

四大手土産となると、藤戸饅頭(倉敷市)が加わるが、これはもっと重たい。

造船所で火災

2023-02-23 00:00:19 | 災害
三菱重工長崎造船所で自衛隊の艦艇の塗装中に爆発が起こり、作業中の方が亡くなった。

実は、昨日のエントリーで沖縄の島を中国の方が購入したことで米軍や自衛隊の情報が漏洩するのではないかという話について、もう一言書きたかったのが、この長崎造船所のこと。

場所は奥行きの細長い長崎港の北岸。地図を見るとオランダのロッテルダム港と似ている。細長く、一番奥には川が流れ込んでいる。つまり長崎造船所の全面は海だが、その先にはすぐに対岸があり大浦天主堂などがあるのだが、その近くにあったのが英国領事館。そこからは長崎造船所が丸見えだった。

そして、海軍呉造船所で建造された戦艦大和に1年遅れで、三菱の長崎造船所で同型の戦艦武蔵が建造された。起工は1938年。そして、この造船所を上から見下ろすような対岸の高台にあったのが、英国の長崎領事館。

何を作っているのかすぐわかってしまう。そうなると武蔵だけでなく大和の構造も知られてしまう。

ということで、最初は白い布の幕を張って目隠しし、その後は間に倉庫を建てている。もちろん隠せば隠すだけ重要な艦艇ということがわかってしまう。

なぜ英国は長崎に領事館があったのだろう。造船所があったからではないだろうか。武蔵がほぼ完成した頃、英国は領事館から立ち去った。

屋那覇島購入でいまさら

2023-02-22 00:00:46 | 市民A
沖縄本島の北側にある屋那覇島の半分を中国人女性が購入したことで一悶着が起きている。話題に追加すれば、辺野古に近いということもある。

沖縄本島の北部は、すでにリゾート地として開発されていて自然環境も変化している。宮古島だって西表島もそうだ。辺野古については自然を守ろうという人たちも特に反対もしていない。屋那覇島に水源がないということがスパイ容疑の元のようだが、そもそも中国の人は、飲料水を買って飲んでいるし、生活用水は海水淡水化で十分なのかもしれない。

報道の中には、土地所有権が複雑ということが指摘されているが、沖縄の地面の所有権は明治時代に日本に組み入れられたところから、複雑さが始まっていて、米国統治をはさんでいて、さらに基地になってしまった土地もある。地元にはそういうことを取り仕切る人がいて、まとめた土地を売買するのも大変なはずだ。問題の土地は、なんらかの原因で既にとりまとめられていたということのようだ。

スパイ問題だが、国内にはスパイがたくさんいるだろうし、外国人の土地所有を禁止しても家やマンションの部屋を借りることまでは禁止できないだろうから。諜報活動はどうにもならないだろう。


話を変えて、中国人が日本の土地やマンションを買う件だが、いくつかのパターンがある。

まず、不動産投資目的。これは簡単な話で、お金を持っていたら何かに投資しようということで、日本人は今、マニラのマンションへの投資が熱っぽいようだが、それは安いから。中国人は日本が安いと思っている。

そして、太陽光発電用の森林買い。郊外の森林をみて、上の方が伐採され、パネルが並んでいて不思議に思うかもしれないが、森林の下の方は保安林になっていて簡単には売買できない。そのため、上の方だけが買われて、太陽光パネルが並び、発電された電気は電力会社が買い上げ、補填額は電力料金に上乗せされる。さらに山の上の方が伐採されるために、土砂が山の下の方や平地まで流出していている。

地元の不動産会社は、後でクレームになるので、中国人に限らず日本人が相手でも太陽光パネル用の取引はしないが、遠隔地の業者は気にしないだろう。

そして太陽光発電ブームは終焉し、最近は水資源用の土地を買い集めている。地下水を集めて中国に輸出するのだろう。チベットの方から都市部には水をタンクに詰めて送っているのだがそのうち枯渇するのだろう。温暖化で降雪量が少なくなるからだろうか。

そして、何より土地が欲しいようだ。共産主義なので個人の土地所有権がない。使用権があるのだが、独裁者の一言で立ち退かなければならない。ソ連がロシアになるときには使用権をもって所有権にしている。

つまり、なんらかの体制が変わると、すべての財産がなくなって、フランス革命の時に貴族がぼろを身にまといポケットに隠した宝石を抱えて英国に逃げ伸びてフランス語教師として薄給で飢えをしのいだというようなことになりかねない。

それで、異国(例えば日本)の縁者に頼んで地面やマンションを確保するということになるようだ。

私も二年前に宅地+旧家+農地+山林という厄介な相続財産(いわゆる負動産)を5年越しで売却したのだが、不動産業者は「太陽光パネルはNo」ということだけの条件だった。売れない土地は全国に大量にあるわけで、外国人が「その土地、買いたいデス」ということにれば、あっという間に商談が成立していくはず。やはり相続税の土地物納を優先的に認めてくれれば国有地が増えるが、それでは固定資産税が取れないということなので政策にはならない。

日本人が金持ちになるということが一番の解決策なのだろう。今の貧民化政策では「買ってくれるうちがまだ花」ということかな。

「幻燈」「かる業武太郎」(快楽亭ブラック著)

2023-02-21 00:00:36 | 書評
ちくま文庫の明治探偵冒険小説集2の『快楽亭ブラック集』。4作のうち2作は先行して読んでいて、残り2作。先の二作を読んだときは巻末の解説を読んでなかったので、講釈本のようだと書いたのだが、実際には口述筆記を使ったそうだ。すごいエネルギーだ。



「幻燈」
ロンドンの銀行頭取が、帰宅中にスリにあったが、とられた財布がそのままで出てくる。しかもホームレスの少年が財布から1ポンドも抜かずに自首。母子で家を失い病気の母に食事を買おうとしたが間に合わず亡くなってしまったということ。そのまま引き取り、教育して銀行員として雇っていたが頭取の令嬢と恋愛関係になり、クビになるも高額な退職金を渡される。ところがその夜、頭取は何者かによって殺害され、リバプールから米国に大金を持って渡航しようとしていた元行員が捕まり、そのまま重罪裁判所で死刑を宣告されそうになるが、頭取の娘の証言でアリバイが成立。問題はその後で、現場の紙に残された血の付いた真犯人の手形をもとに、探偵が提案し、全銀行員が紙に手形を押してゆく。そして部屋を暗くし、犯人の手形と行員たち一人ずつの手形を幻燈のように壁に映し出し比べる。ついに真犯人が見つかる。ギャンブル依存症で追い詰められていたようだ。

「かる業武太郎」
ある研究者と娘の二人家族を襲った悲劇からはじまる。新製品の共同経営者から大金が支払われた。銀行が閉まっていたので家に持ち帰ったところを襲われる。父は殴られ気絶し死亡する。娘は犯人を追いかけたもののサーカスに逃げ込まれ、特定したものの証拠不十分で釈放されてしまう。その後、次々に登場人物があらわれる。オセロゲームのように悪人か善人か判別しないわけで、さらに死者も増える。そして犯人逮捕の決め手になったのは犯人が飼っていた赤犬。

少し気になったのは、強盗殺人とか遺産金殺人の犯人だが、捕まると重罪裁判所へ送られ、たいてい死刑を言い渡され、数日後に絞首刑が執行される。死刑になると、もはや冤罪調査は行われない。19世紀後半の英国ってそうだったのだろうか。

どうも、調べてもよくわからないが、現在でも三権分立でないとか、検察だけではなく警察も起訴できるとか裁判官はガチガチの身分制度に守られているとか。異国籍の人間には冤罪になりやすいようだ。英国滞在中は危ないことはしないに限るし、した場合は脱兎のごとく国外脱出した方がいいだろう。

報われし者のために(モーム原作)

2023-02-20 00:00:33 | 映画・演劇・Video
劇団キンダースペース公演『報われし者のために』を両国にあるシアターχ(カイ)で観る。コロナ以前は年間5回ぐらい観ていたのだが、何となく感染しそうで足を背けていたのだが、そろそろ観に行こうかなと思っていた矢先に友人から連絡があった。モーム研究家で日本モーム研究会に所属している方からだ。

サマセット・モームは「月と6ペンス」とか「人間の絆」といった小説が有名だが、もともとは劇作家。小説を書いたらブレークしたものの、大儲けしたのち、晩年に大衆受けしない劇作を何本か書いている。その一つがこの「報われし者のために」。



モームはフランスで生まれ、フランスで亡くなっているが、人生の前半分は英国で生活し、作品は生涯、英語で書いたので、それにちなんで「アクアスキュータム」のブレザーを着ていったが、友人は「バーバリー」のブレザーだった。似たようなことを考えるということが友人的だ。

大衆受けを狙わない劇作をやろうとする監督の気持ちは図りかねるが、三幕の間、笑いどころを見つけるのが難しい。第一次大戦の後の英国の郊外の町が舞台で、金持ちの事業家の家には父と母、そして戦争で失明した長男、従順な長女、農夫と結婚した次女と活動的な三女が住んでいるが、それぞれ不安定な事情を抱えていながらも、テニスやお茶会、ブリッジなど英国的上流生活を続けているが、それぞれの事情が外部要因によってボロボロになっていく。といっても経済的没落ではなく精神的な離脱、分裂といった方向。

金銭欲、出世欲、名誉、性欲、嫉妬心・・・すべてが崩壊状態となっていき、問題が片付くことなくジ・エンド。

笑う場合じゃないのかもしれないが、金持ちの老夫に捨てられて怒りで大暴れする妻役の女優の演技が、あまりにも演劇の決まり事を超越した乱闘ゲームのように見えて、思わず意味不明に笑ってしまったところと、あとで友人に、劇中で破産した男に対し「英国憲法の条文も知らないでビジネスしたら・・・」という場面があって、英国には成文化した憲法がないのに変だな、原作に書いてあるのかなと確認したのだが、原作にもそうなっているそうだ。そこは笑ってもいいところだったのかもしれない。

ところで、冒頭に挙げた「月と6ペンス」も「人間の絆」も実は読んだことがない。読むべき年ごろには、カミュとか読んでいた。モームとの繋がりと言えば、彼が後半生でコスモポリタンとして世界周遊の地としてシンガポールのラッフルズホテルに長期滞在していた頃に愛飲したとされるシンガポール・スリングを同ホテルのバーで30分ほどかけて飲んだことかな。しかし年表で確認すると、1915年に最初に作られたものの1930年には不人気でメニューから消えていたそうだ。1930年以降にシンガポールに行った彼が飲んだのは何だったのだろうか。

川崎水族館、1週間だけ無料に

2023-02-19 00:00:14 | 美術館・博物館・工芸品
2020年3月に川崎駅徒歩1分のビル内にオープンした川崎水族館。そのうち行こうと思っている間に2022年の3月に破綻し、民事再生法適用で継続営業している。口コミ情報では「水族館でなく、アートスペース」と言われていた。直径数メートルの円形の水槽の中で色とりどりの魚が泳いでいて、室内は暗く人口光線が夜の雰囲気を作っているといった投稿が多い。動物の種類の表示が極めて見にくいというか、そういうことを気にする人は対象とされていなかったようだ。

その後、スマホで動物名が確認できるようになったそうだが、そもそも室内が暗いのでQRコードがどこにあるのかとか・・

入館料は2000円なので、内容的にはやや高めかなというか、それでも破綻したので付加価値を高めて入館者を増やすしかないだろう。

ところが、約1週間、無料キャンペーンになった。理由は館内の工事。1階がヨドバシのビルの9階と10階が水族館(略してカワスイ)だが、9階の一部にあるアマゾンデッキの改良工事中ということで、その他のエリアだけで営業するので1週間無料ということ。

アマゾンデッキの価値がどれだけあるかは不明だがそれ以外が無料というのは嬉しい。入館料と満足度の比率を悩むことはない。

ところが、予約システムで事前予約しないと入れない。予約サイトを開くと時間ごとの空き枠はほとんどが埋まっていて、とある日のラストしかない。

ということで、予約するや直ぐに駆け込んだのだが、当日券(ゼロ円)売り場には人が並んでいて、事実上何人でも入場できる。自分のようにスマホの予約画面を見せて入る人は稀だ。



そして10階は水槽が並んでいて、大小さまざまな魚が泳いでいる。多摩川にも犬猫サイズの魚がたくさん生息しているようだ。



徐々にわかってきたが、この水族館は南米大陸(アマゾン)をイメージしているようだ。ピラニアは大人しい魚と表示されていたがワニや大蛇と比べたらということかな。



そして、9階に行くと小動物が中心になっていて、ガラス越しに猿やオオトカゲなどとともに初めてその動きを見ることができたアルマジロが人気の的だ。



あれだけ頑丈な皮膚だからのろいのかと思ったら素早い。リスとかゴキブリ級の素早さだ。走り回っている。しかも人間にはアルマジロの動きを予想することは困難だ。縦横斜めに瞬時に動く。チェスのクイーンのような動きなので撮影も困難を極めて、ややピンボケ風になる。



そして、わずか数秒で丸い団子のように変身した。その数秒後には元の四本足に戻った。まったく芸達者だ。



そして工事中のアマゾンデッキだが、そのエリアの中ではナマケモノとかカピバラ他が放し飼いになっていて、そのデッキの中に人間が入れるようになるようだ。大丈夫かな。ナマケモノはかなりの握力らしい。もっとも動物の方こそ人間が怖いということかもしれない。

将棋盤で戦う

2023-02-18 00:00:51 | しょうぎ
4月から大人の将棋教室を始めようと準備している。実際には大人も子供も将棋のルールは同じなので問題はないのだが、とかく大人は問題を起しやすい。一つは男性と女性の問題。時々、性犯罪者のような態度の男がいるらしい。

現在はこどもだけなので男女一緒だが、時に手に負えない子もいる。大人でもいろいろだ。コロナ対策のアクリル板をそのまま使うと男女の対戦も問題がないかなとか思案中。

もう一つの懸念は、将棋ではたまにあるが、ケンカになること。「待った」だけではなく、優勢な時に、さっさと仕留めないで、全部の駒を取ろうと失礼なことをする輩がいる。

それと、横からの助言。

ネット上で調べていたら、2020年の12月の終わりに名古屋で事件があった。

2021年1月2日名古屋テレビ
将棋の勝ち負けをめぐって警察が出動する事態に発展。結果、両者ともに逮捕されました。12月26日午後、名古屋市南区のマンションから「住人同士がもめている。一人は出血している」と警察に通報がありました。警察官が駆け付けると、マンションの1室で70代の男と60代の男がともに顔をけがしているのを見つけました。

別のメディアの情報で補完すると、
一人ではなく、両者ともに流血していた。
凶器は将棋盤で、互いに殴り合った。
ということ。

この「将棋盤」のところだが、互いに殴るというのは2面あったのかな。二人で指すなら1面でいい。奪い取って反撃したか。

日向カヤ柾目7寸盤とかではなく卓上の板盤だったのだろう。しかし板の盤ではなぐっても流血しないだろうから、やはり7寸盤の角に頭を打ち付けたりしたのだろうか。



新教室は布とか紙の盤にしようかなと考慮は続く。


さて、2月4日出題作の解答。








今週の問題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

黒霧島販売休止発表に慌てすぎた

2023-02-17 00:00:14 | あじ
昨年の12月に霧島酒造が発表した「黒霧島販売休止」の発表だが、この2月中の出荷で終わりとなっていて、慌てて1800mlの紙パックを買ったのだが、禁酒国で密輸酒を飲むようにチビチビと啜っていたのだが、ついに底から数センチになってしまった。



ところが、今のところ買えなくなったわけでもない。どうなっているのか。12月に発表された内容を読み直してみると、原因は「サツマイモ基腐病」で収穫量が減ってきたからとなっている。

問題は削減内容で、黒霧島は全11商品のうち3商品。白霧島は全10商品のうち3商品を販売休止にするとなっている。黒霧については25%の商品と20%の商品は1800mlの紙パックと900mlの紙パックが販売休止。



今飲んでいるのは25%の1800mlの紙パックなので、販売休止のはずだ。

紙パックをよく見ると25%の1800ml。しかし、よく見ると、「黒霧島EX」となっている。つまり普通の黒霧島と別商品で上位商品だった。販売継続商品だったようだ。


なんとなく、「質より量」から「量より質」への転換のような気がする。

さらに今週から「KIRISHIMA No.8」という新商品が発売されたようだ。普通はNo.1が一番のはずだから八等賞ということだろうか。どうもサツマイモの品種名のようだ。

「流れの暁」「車中の毒針」(快楽亭ブラック著)

2023-02-16 00:00:12 | 書評
ちくま文庫の「快楽亭ブラック集」を読んでいる。今や知る人も少ないが、れっきとしたオーストラリア人で、明治元年、6歳の時に来日し、なぜか講談師として活躍。もちろん江戸弁で講談を語る。後に落語界に転進。

彼の小説というか講談本4冊をまとめたものを読みだしたのだが、なにしろ長い。現代小説とは異なり、ページが真っ黒。文字が詰まっていてページに白いところがない。490ページもある。



ということで、とりあえず2作を読む。ジャンルは探偵冒険小説となっている。特徴は小説の舞台はロンドンであったりパリであったりするが、登場人物の名前は、土屋だったり沢辺だったり日本名。後の時代の翻案小説は海外の小説を場所も人間も日本に直しているが、彼の場合はパリやロンドンの街に日本名のフランス人がいたりする。

まず、「流れの暁」。フランス革命の時にパリからロンドンに逃亡した貴族。ぼろを身にまとい変装して海を渡り、細々とフランス語講師として薄給に耐えていたが、地元の貧乏な女性と結婚し小さな幸せを育んでいたのだが、そこに届いた電報で「ナポレオン」のおかげで貴族が復権したことを知り、英国の妻を見捨てて、パリに戻り過去がなかったことにしようとする。森鴎外の「舞姫」みたいな話だ。一方、英国の残された妻はその後、双子を産むのだが育児困難ということで妻の母がテムズ川にドボンと投げてしまうが、運よく川で魚を釣っていた漁師に助けられ、その後、教育を受け金融機関に勤めることになるが、ここから不運の嵐が登場人物たちに襲い掛かるわけだ。結構、後味が悪い。

次に、「車中の針」。毒針のこと。遺産相続をめぐって金持ちの娘が狙われる。乗合馬車の中で、猛毒を針で一刺しされ、殺されてしまう。それを素人探偵が調べ始める。そして事件の構造が遺産狙いということがわかってくるのだが、殺された女性に妹がいることがわかってくる。このあたりで犯人はわかっているのだが、彼は捕まるのか、あるいは次の犠牲者が出るのかということになってくる。

結構、おもしろい。というか、このブラック氏のこと、もう少し知りたい。

尊敬する人

2023-02-15 00:00:09 | 市民A
朝日新聞土曜版「be」の「サザエさんをさがして」コーナーに1963年3月21日朝刊の掲載画があり、おとうさんが家庭内で尊敬されているという趣旨で、それを切り口とし、昨今の家庭で父親が尊敬されているかどうかというテーマだ。公表されている調査結果をもとに社会学者の分析まで書かれている。85歳の学者に聞く新聞記者も情けない限りだ。



2022年9月にLINEリサーチによる高校生対象のスマホWeb調査(1000人)によると、尊敬する人の、女子の1位は母親、2位歌手・音楽アーティスト、3位ともだち、父親は7位。
男子は、1位ともだち、2位スポーツ選手、3位歌手・音楽アーティスト、母親は6位で父親は7位。

おそらく、スマホWeb調査ということで本音が出たのだろう。口頭や、紙に書く調査だと無難に答えるのが普通なので、むしろ太古の昔から、父親や母親は1位ではなかったのかもしれない。

この結果だが、歌手・音楽アーティストとかスポーツ選手というのは、一般論ではなく特定の成功した人物を尊敬しているということだろう。無名のアーティストや普通のスポーツ選手は単に普通の人間に過ぎないわけだ。

ともだちを尊敬する高校生が非常に多いというのは、まったく意外だ。ともだちは友人でありライバルであるというのが普通で、ともだちを偉人のように考える感覚がどうもわからない。1位とか3位ということはお互いに尊敬しあっているということだろうか。疑問ばかりだ。若年性平和ボケか。

ところで、現在では就職や入学の時の面接で「尊敬する人を聞く」のは思想信条を聞くことになり、行われていないそうだ。問題は聞く行為ではなく、聞いた結果を試験結果に反映させることなのだが、危ない橋は渡らないということだろう。

もはや数十年前になるが大学入試の時に、二次試験で面接があり、必ず質問されるのが「尊敬する人」らしいと情報があり、数日前に高校の担任教師に対応策を電話で聞いたのだが、要領を得ない。そもそも入試に関して担任と折り合っていなかった。その大学は自分の中ではすべり止め用だったのだが、担任は、「受験しようという大学は君の成績では難し過ぎる」という意見だったので、「とにかく内申書だけは書いてくださいよ」と下手に出ていた。とはいえ、面接のある学校を受験する生徒が一人もいないはずもないのに・・と思いながらも、自分で考えるしかないということになる。コロナに感染しても発熱外来にたどりつかず自力回復コースに進んだ先月の私と同じだ。

まず考えたのは、その学校の創設者。有名私学には創立者がいて、構内に複数の銅像や胸像や建学の精神の碑がある。フクちゃんとかウメちゃんとかクマちゃんとか。

ただ、その学校の教職員なら、少なくても私よりもずっと創設者のことを知っているだろうから、ワナにかかるようなものだ。質問一発で敗退するはずだ。そもそも二次試験というのは、一部の馬鹿を振り落とすためのものだ。

ということで、行き着くところが父親。試験官が父親のことを知っているわけないので、父親像については自由創作できるわけだ。結局、二次試験対策に苦労したのに、行かなかった。

実際の両親については特に尊敬したわけでもなく反面教師に近かった。小中学校の頃、父親について尊敬したのは夏休みの工作の宿題を念入りに作ってくれることだった。父親の趣味だった。母親について尊敬したのは夏休みの習字や絵画の宿題を念入りに作ってくれることで、母親の趣味だった。何枚か優秀賞の賞状が残っている(自分は、脚本とか小説とか書いていたが、いつも教師に盗作疑惑をかけられ、憤慨していた)。

くじらのまち(2012年 映画)

2023-02-14 00:00:10 | 映画・演劇・Video
PIA FILM FESTIVAL2012のグランプリ作品。脚本、監督、編集のすべてが立教大学生だった鶴岡慧子氏の仕事だった。記録を見ると初めての作品のようだ。

地方都市にある高校の美術部の部室で一人絵を描き続ける朝彦は水泳部女子のまちがお気に入りだが、なかなか恋愛関係には至らない感じだ。一方、運動部のマネージャーほたるは朝彦がお気に入りで、一方的にコクってしまうが、朝彦の反応はイマイチ。

まちには朝彦関係よりもっと重大な問題があって、兄が6年前に家を出てから所在が不明。しかし兄の気配が感じられるフルーツギフトが家に届く。送付元は東京都。

ということで呑気でなにかと感情の薄い朝彦はほたるとまちと3人で東京へ。

ということで、ストーリー的には。①男1、女2の恋愛不等辺三角形関係、②失踪した兄の足跡を探すミステリーの二つが、同時進行するわけだ。

この2本立てストーリーはその後の鶴岡作品にも引き継がれているらしい。


なお、作品名にも使われる「くじら」だが、意味は計りかねるが、本作の中に三つのキーポイントがある。

最初にプールでの朝彦とまちの会話の中で、カリフォルニアに鯨を見に行こうというまちのセリフがあった。

そしてシロナガスクジラの原寸模型が登場。たぶん上野の博物館ではないだろうか。上野行きの電車で上京していたし。

三つ目は兄探しのために通船に乗るシーンがあるのだが、乗り場近くに「東京海洋大学」の看板が見えた。水産大学と商船大学が合併した大学だが、水産大学は捕鯨には深くかかわっていて、構内に鯨の骨格標本も展示している。

実はカリフォルニアまで行かなくても日本で鯨を見ることができる場所はある。迷い鯨ということではない。日本近海にもクジラはいるわけだ。

映画から離れて恐縮だが、新しい鯨の種が見つかったことはあまり知られていない。「ライスクジラ」という種で、メキシコ湾で細々と生き延びているが51頭しかいないそうだ。全長12m。51頭といえば学校のクラス並みだ。世界中で人間が一クラスしかいなかったら、という感じかな。