Honda ウエルカムプラザ青山

2023-12-31 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
青山通りを散歩していて、いつも前を通るだけのホンダのビルに入ってみた。もうすぐ、ビルの建て替えがあるので、青山通りで最も見栄えがいいビルがなくなる前に一階を見ておこうかなという気持ちだった。1985年に建てられてビルで2025年春から解体が始まり2030年に完成するはず。もちろん、その時に単独の会社であればだろうが。



1985年のビルは当初の設計ではガラス張りの外観だったそうだが、創業者が地震の時に歩道にガラスが飛び散るのは危ないと鶴の一声を発声し、各階にベランダが設置されたマンションのような建物になったそうだ。現在ではガラスと建物が密着しない構造が開発され、都内にはガラス張りの建物が増えている。たぶんそうなるのではないだろうか。



展示されていたのは、NSXという希少なスポーツカーとN-BOXという軽自動車。儲かる車と売れているクルマということだろうか。そしてHONDAのルーツとも言える二輪車のDax125。2022年に復活したモデルのようだ。タイ国製。レジャーバイクというらしい。



展示からいうと、Hondaはスペシャリティのメーカーに向かっているような感じもある。もっとも国内では軽自動車シェア1位がコケたので、千載一遇のチャンスということでもあるわけだ。

公認パンフレットに穴が

2023-12-30 00:00:00 | しょうぎ
将棋連盟の普及指導員の中の「棋道指導員」という資格を頂いていて、ホームグラウンドなしで、いくつかのカルチャーや小中学校や大会の審判長に出向いていて、それなりなのだが、超初心者(入門者)に対して教える小道具として将棋連盟が作っている将棋パンフレットがある。



公認指導員でないもぐりの人が使えないようなので、公開しないが、表面は「駒の並べ方」と「駒の動き方」になっていて、裏面には基本ルールとして「駒を成る」と「駒を取る・打つ」があり、さらに難しいルールとして「千日手」と「持将棋」が解説され、さらに反則として「二歩」、「行きどころのない駒」「打ち歩詰め」となっている。

実際に多い反則は「王手に気付かず取られてしまう=王手放置」だが、王様を取られてしまえば、対局は終わるので知らなくても実害はない。

問題は、千日手のところ。「連続王手の千日手は反則」という特殊ルールがある。大会でこのルールで勝ってこともある。しかしパンフレットではこの反則は書かれていない。ルールが変ったのだろうか。調べてもやはり反則らしい。



実は、年度末に近く、将棋から足抜けする子もいるので、このルールを教えてみた。実はあるところで指導対局している時に、連続王手千日手が発生したので、それを例に説明。



ところが、その後の一斉対局の中で、別の連続王手千日手が発生。自玉が必至のため詰ませるしかないわけで、反則に迷い込んでしまった。よくあるのかもしれない。


12月16日出題作の解答。







本日の出題。



龍年らしく、登り竜問題(正確には「上り、竜」)。

解ったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

なお、1月1日以降は、解答は出題後1~2週間後に出題日の問題の下に掲示いたします。



キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年 映画)

2023-12-29 00:00:12 | 映画・演劇・Video
スピルバーグ監督による犯罪映画だ。フランク・アバグネイルという有名な詐欺師の自伝がもとになっている。

少年時代から、信用詐欺、小切手詐欺、身分詐称、脱走などを繰り返し、パンナムの操縦士、ドクター、などになりすますなどやりたい放題。コックピットの中では操縦可能な状態だったらしい。

映画では、運が良くて捕まらなかったようになっているが、実際には運が悪くて捕まりそうになっていたようだ。要するに、ウソがばれそうになると、トンズラするわけだが、そのギリギリ感がすばらしい。

映画ではフランクをレオナルド・ディカプリオ、追いかけるFBI捜査官をトム・ハンクスが演じる。二人の俳優を比べると、トム・ハンクスの方が正統な格好良さがあって、ディカプリオの方がヤンチャ的なのだろうが、スクリーンの中ではディカプリオの方がスマートで、トム・ハンクスはいつも失敗をしているダメ男になっている。

実際にはそもそも一人の個人捜査官が捕まえられるような男ではなかった。

世界中で犯罪を繰り返し、フランスで逮捕された後、いくつもの国で有罪になり米国へ送還された旅客機からは着陸の時にトイレの壁から荷物室を通って滑走路から脱走。結局、禁固刑となるが、小切手などの偽造技術を買われ、FBIの職員になり偽造書類の捜査官となる。

実際のフランクは、その後、犯罪防止のためのアドバイザー会社を興している。

さすがに、アメリカは「敗者復活可能な国」だ。たぶん犯罪歴の中に「殺人」とか「麻薬」がなかったからだろう。日本でも再チャレンジのため職業訓練校が必要と言う提言があるのだが、「ニセ札偽造技術」とか「合い鍵作成技術」とか「私人逮捕トレーニング」とか・・

ペロー童話集(シャルル・ペロー著)

2023-12-28 12:00:43 | 書評
17世紀後半にフランスで活躍した文学者のシャルル・ペローが伝承されている童話をまとめ直した中で有名作を集めている。子供向けには書かれていない結末が多い。



1. 眠れる森の美女
後に姫君になる少女は、生まれた時から将来百年の眠りにつき、王子が起しに来ることになっている。ところが、王子はやってきたのだが、百年前の王権は滅び、新しい王の元も国になっている。王子は優しいが、王の妻、つまり姑は人食い族出身で、王子が留守の時に王子の妻とこどもを食べようとするわけだ。

2. 赤ずきんちゃん
グリム童話では、狼に食べられてしまった赤ずきんちゃんは、ハサミで狼のお腹を切り裂いて救出されるのだが、ペロー版では、救出されることがない。おばあさんも赤ずきんちゃんも狼の栄養分となってしまう。他人に騙され大失敗しても、誰も助けに来ないという教訓だ。

3. 青ひげ
これも、ホラーだ。うっかり秘密の部屋をあけたら死体の山。それで青ひげの正体がわかっても、時遅し。犠牲者がさらに増える。怖い話であるが、何のための教訓なのかもわからない。ペローの童話には救いがないことが多いし、異常に人食い族が多発する。

4. 長靴をはいたねこ
これは、平和な童話だ。物語の始めには登場人物の紹介があり、筋書き通りになっていき、八方美人な話として終了。

5. サンドリヨン
サンドリヨン=シンデレラだ。基本構造は普通でカボチャの馬車やネズミの召使。シンデレラの姉たちは、さほどひどい目には合わない。ペローの当時でも欧州では有名な話だったそうで、ガラスの靴ではなく、リスの皮の靴に変わる話もあるそうだが、どう考えてもガラスの靴の方がロマンティックなのは間違いない。リスを殺して皮を剥ぐ?

その他にもちょっと怖い話が多数。少し思ったのだが、人食い人種が結構登場する。欧州であることから、古来伝わる寓話の中の人食い族はネアンデルタール人ではないかと思ったりする。

来年は、童話も読んでみようかと思ってみる。

キャットウーマン(2004年 映画)

2023-12-27 00:00:20 | 映画・演劇・Video
キャットウーマンは基本的にバットマンシリーズの脇役陣として、ジョーカーとかペンギン、リドラー、トゥーフェイスといった敵対グループと味方側のロビンの中間にいて、協力したり、敵になったりと気まぐれな位置にいる。猫というキャラにふさわしいのかもしれない。

ところが、2004年作の『キャットウーマン』はまったく異なっている。

バットマンは登場しないわけだ。その代わり、バットマン的立場になるのが、キャットウーマン(演:ハル・ベリー)ということ。

危険な化粧品を売り続ける会社の秘密を知った彼女は社長の指示で工場の廃液とともに海に流されて亡くなってしまうのだが、かねてから彼女を古代エジプトの時代から続く超人猫女にしようと画策していた猫神の力でキャットウーマンとして蘇る。

あとは、バットマンと同じように大暴れするのだが、化粧品会社の社長側も、社長夫人(シャロン・ストーン)が社長を殺して社長の椅子に座る。悪人の上を行く大悪人だ。二人の女同士の格闘といっても猫女の方が強い。人間の大きさの猫と言うと、チーター以上虎以下ということでピューマサイズかな。

バットマンと違うのは、町や車を破壊しないことかな。予算の関係もあるだろう。

主演のハル・ベリーはこの映画で、栄えあるゴールデンラジー賞の主演女優賞を受賞。3年前のアカデミー賞と二冠を受賞したことになる。

JR上野駅公園口(柳美里著 小説)

2023-12-26 00:00:25 | 書評
「JR上野駅公園口」は2014年、柳美里の渾身の作品だろうか。

視点を、上野公園のホームレス男性に置く。ある意味、親の代からのファミリーヒストリー。貧困と不幸とが彼に降りかかってくる。それも生きるために限界的生活を続けているのに、少し嬉しいことがあっても、その百倍ぐらいの悲しみが襲ってくる。東北で生まれ、鹿島(茨城)という決して豊かではない場所に住み、親も子も妻もそして孫さえも消えていく。



そして表のストーリーとは別に天皇家のファミリーヒストリーとリンクがある。天皇家の慶事の時は自身に凶事が降りかかる。それでも天皇の御用車両があれば嬉しそうに手を振ってしまう。

著者は長い間「日本」という国について作品で問い質し続けてきたが、この作品では、書き手としても、主人公としても感情を抑え込んで、先へ先へと筆を進める。生き続ければ、いいことが起こるはずだという気持ちを捨ててはいないのだが、上梓されてから既に9年。多くの日本人も日本国の未来に不安を感じてきたわけだ(遅すぎるが)。

富山湾を寿司で味わうと

2023-12-25 00:00:00 | あじ
富山湾は海底が深いということで、さまざまな魚が漁獲されているそうだ。有名なのが、白エビとかホタルイカとかブリとかカニとか。



ということで、ガイドブック等の情報で、富山駅の地下のような場所にある『回る富山湾 すし玉』へ。回るということは、以前は回転すしだったのかな。タッチパネルで注文する方式に変わっている。



で、にぎり11貫セットを注文する。おそらく、左から中トロ、イカ、甘えび、ブリ、タコ、アジ、タイ、紅ズワイガニ、?、ホタルイカ、白エビというところだ。

白エビはいつも揚げたのを食べているので、新鮮だ。ブリも旨い。



そして追加したのは、ノドグロ・アナゴ他。ノドグロはアブルと表面に浮きだした油分が香ばしい。ノドグロは高級魚だが、サイズが小さなものは地元では格安で売られていて、小さくても大きくても味はあまり変わらないからお徳用ということのようだ。



そして、売店でマス寿司を買って、旅は終わる。

富山市ガラス美術館はガラスの館

2023-12-24 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
ガラス美術館は、全国各地にあるが、富山市ガラス美術館の特徴の一つは、建物である。同じ建物内に図書館も同居しているが、大部分を美術館が占めている。



外装の特徴だが、表面がガラス張りなのだが、多くのパーツや窓になっている。以前、AGL社(旧旭硝子)に銀座のガラス張りにビルの見学会に連れて行ってもらった折に受けた説明では、最近のガラス張りビルの特徴としては地震対策として建物本体と外装のガラスは別構造になっていて、上の階から下の階まで縦につながっていて吊るしているとの話だった。富山県美術館の方はそういう構造に見えたが、ガラス美術館の方は一つ一つの窓が独立している。地震がないことにしているのかな。あるいは、ガラス造りの建物らしく、総ての建材が木っ端みじんの破片になるようになっているのかもしれない。夢の世界だ。



さらに、館内が壮大だ。6階まで吹き抜けで高所恐怖症の人は症状を克服するのに適当な高さかもしれない。


富山がガラス工芸で有名なのは、もともとは薬瓶を作っていたからだそうだ。それがもとで戦後の復興期に富山市がガラス産業を興したそうだ。先に書いたが、富山の薬業は二代藩主の時の産業振興によってであるので、細く糸が繋がっているわけだ。

瓶を活用したガラス産業で有名なのは、沖縄のガラス製品だが、それは戦後、日本に返還された後、県内に大量にゴロゴロしていた資源が、アメリカ人が残していったコカ・コーラの空瓶だったことによる事案と似ているが、少し違う。


日本のガラス工芸といえば人間国宝の藤田喬平に極り、本館にも多く収蔵されているようだが、なぜか氏の作品を目にすることがなかった。出張中だったのかもしれない。



常設展(グラス・アート・ガーデン)はイタリアのアーティストの方の作品。こちらもムラーノ島に工房があるような記載があった。



富山の旅も、もう少し。

富山県の棋士

2023-12-23 00:00:38 | しょうぎ
富山県は人口の比で言うと将棋棋士を多く輩出している。年齢順だと、
故山本武雄、中田章道、田村康介、千葉涼子、村田顕弘、服部慎一郎

そして、注目は、野原未蘭女流。実質的師匠は金沢在住の鈴木英春氏のようだ。

なにしろ、「入玉宣言法」をプロ棋界で初めて使ったわけだ。2022年7月18日。

入玉宣言法は2013年にプロ棋界に導入されたのだが、なにしろルールが複雑(条件がいくつもある)で、宣言する方は「勝ち」、あるいは「持将棋成立」を宣言するのだが、そこでルールと確認した上、もし条件が一つでも未達なら「負け」ということになる。

対戦相手は竹部さゆり女流。213手目で宣言した。

実は伏線があって、2018年の野原さんのデビュー戦で対戦相手の中井女流と相入玉となったものの点数が未達状態で、中井女流が宣言するのではないかと考えていたそうだ。実際には宣言を待たずに投了している。その時の記録係が竹部女流だったそうで、二人ともその後、ルールを確認していたそうだ。

先日の王座戦でも、終盤で入玉枚数勝負に出た藤井七冠(当時)に対し、駒数不足の王座(当時)が投了しないで粘っていて、中継視聴中の方々の中には「七冠の宣言ミスを待っているのではないか」という疑惑が漂っていたのだが、入玉寸前に詰まされてしまい、疑惑の真偽は藪の中になってしまった。インタビュアーが聞けばいいのにと思った。

どうも「宣言法」というのは、切腹を申し付けられたのに、ぐずぐずしている人間を槍で突き刺すような感じがある。


さて、12月9日出題作の解答。








今週の問題。



富山県にちなんで、とやま問題を作ろうとしたが、雰囲気だけかな。

解ったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

ギャルリ・ミレーは美術館だった

2023-12-22 00:00:30 | 美術館・博物館・工芸品
富山市はなぜか美術館が多い。富山県全体で100万人位の人口だそうで、しかも美術館の入館料が安い。数百円というところだ。



ギャルリ・ミレーとは何だろうかと思って歩いていたら、ガラス越しに画家ミレーの絵画が見える。よく見ると外から見えるところにあるのは複製画のようで、本物のミレーを見るには入館する必要がある。

ミレーの名を冠してはいるが、ミレー美術館ではない。ミレーも含まれるバルビゾン派の絵画をコレクトしているようだ。印象派の一つ前の時代だ。バルビゾン派ではないが同時代のクールベも収集対象になっている。写実主義に光を取り込み主に農村の風景を描いた。

つまり技法的には印象派へと確実につながっている。



絵画のほぼすべてが「北陸銀行所蔵」となっていて、それでこの美術館が北陸銀行が買い貯めた絵画の展示室になっているということがわかる。

そもそも銀行は資産を安定運用すべきなのに絵画を集めているということに、若干の疑念は感じられる。

というのもいざ経営危機となった時に資産売却で資金をしのごうということだが、同じカテゴリー(バルビゾン派とか)の絵画ばかり売り出しても共食いの安値になってしまうからだ。

若い女子が富山脱走中

2023-12-21 00:00:16 | たび
富山のテレビで聞いたのだが、人口減少の中でも特に若い女子の県外への流失が多いそうだ。手近なところでは隣の石川県の金沢市。そして東京。

原因としては、富山県は工場の誘致が盛んだった結果、若い女性の好む就職先がないということが一因だそうだ。工場勤務ということ。

別の原因だが、アンケートの結果では、「遊ぶところがない」という理由が多いそうだ。確かに美術館や博物館ばかりでは飽きてしまう。

こちらの原因は、日本全国、多くの場所で起こっているのだろう。関東や大阪周辺なら友達と日帰りで遊びに行けばいいだろうが往復新幹線は高いし。市内にホストクラブでも誘致した方がいいのかな。

富山ブラックには驚く

2023-12-20 00:00:09 | あじ
富山のソウルフードのベスト7というのがあるらしい。

1 富山ブラック
2 氷見牛
3 氷見うどん
4 バイ飯
5 大門そうめん
6 富山やくぜん
7 タラ汁

第4位のバイ飯はバイ貝を使った炊き込みご飯。

そして、最も謎めいているのが「富山ブラック」というラーメン風。

「西町大喜本店」昭和22年開業の富山ブラックの元祖。濃口醤油味の中に濃厚なうまみがあると有名で、食べ続けるとクセになると言われている。店舗はガラス美術館の隣だ。



ということで、探しに行くと、あまりにも特徴的ですぐわかる。店舗からしてソウルフル。

店舗は若干のテーブルはあるが細長の店内の両側がカウンターという造りになっている。客席数を最大限にしようというのだろう。お昼を少し過ぎた時間だったが、満席で少し待った。

看板メニューを頼むが、既に多くの客が丼に取り組んでいる。二つ隣の席からは、「醤油の継ぎ足しお願いします」との声が。

どうもみかけは黒いが、さらに塩辛くしようというのだろう。ということは、あまり塩辛くないのだろうと想像。辛いのは、塩方向も唐辛子方向もあまり得意じゃない。



ということで、目の前に富山ブラック登場。

忙しいのだろうかネギの刻み方がラフだが、これもソウルフルか。

それでスープを一口飲んでみると、これが塩辛い。塩味にも激辛という表現を使いたい。というか、醤油そのもののような味だ。さっき継ぎ足し注文した方は、旨そうに麵を啜っている。麺はラーメンと言うかうどん的方向だが、本当のところはわからない。予め調べた能書きでは醤油味の中にうま味があるということだが、軟弱な舌で立ち向かおうとしたのがいけなかった。一口で言えば、門前払いかな。顔のゆがみを修正してから外の空気を吸う。

もっとも、東京のインド大使館のそばで最初に本場のカレーを食べた時も、意識を失いそうになったのだから、何回か試せば病みつきになるのかもしれない。

江戸城腹痛事件と富山の薬売り

2023-12-19 00:00:49 | たび
富山は薬売りで有名だった。昭和の時代でも全国の家庭を回って置き薬を販売していた。各家庭に置いてある薬の減った分だけ販売することになっていた。少し前のビジネスホテルの冷蔵庫のようなもので、飲んだ分だけ払うわけだ。年に一度回ってきて、おまけに紙風船を置いていく。



一年後に訪ねた時に、引っ越しているかもしれないし、家そのものがないかもしれない。ロス率も含んだ単価だったのだろう。



その起源は17世紀後半、富山藩二代藩主の前田正甫(まさとし)の時代。富山藩は越中にあるのだが、藩主の住む富山城は、当時は加賀になっていた。そのため、城を越中にするため、加賀と越中で換地を行ったそうだ。しかし、その結果、良田が加賀の方が多くなり富山は貧しくなる。ということで、産業振興として始めたのが売薬業だったそうだ。

そして、富山の薬が全国区になったのは、ある事件からだった。

江戸城腹痛事件。



時は元禄3年(1690年)12月15日。参勤交代で江戸城大広間で綱吉将軍に歳暮のあいさつへ行った後、ある部屋(大名控室)で陸奥三春藩(福島)藩主の秋田輝季が腹を押さえて苦しんでいた。そこに駆け寄ったのが前田正甫。腰の薬篭の中から『反魂丹』の丸薬を取り出し、一服飲ませると、しばらくして苦しみが去っていった。



それを目撃した多くの大名が丸薬の名を尋ねると、『越中反魂丹』とのこと。そして全国に富山の薬の情報が拡がったそうだ。反魂丹というのは魂が反ってくるという意味で、死んだ人間も生き返る薬という意味だそうだ。11年後に同じく江戸城内で浅野内匠頭の癇癪玉が破裂した。切腹してから飲む薬はない。



富山市内で反魂丹の製造販売をしている池田屋安兵衛商店では、丸薬の製造を公開している。

なお、購入した反魂丹飴だが、舐めてみると悪くはない味だ。死んでから舐めるより、すぐに舐めた方がいいだろう。



富山地鉄と富山城址

2023-12-18 00:00:56 | The 城
富山市内の交通に大きく寄与しているのが「地鉄」。今回の富山市内の観光でも地鉄フリー乗車券を購入して使い倒した。

ところが地鉄といえば、中国では地下鉄のこと。先日、都内で中国からの観光客に道を聞かれたときも、都内の地鉄路線図で案内した(というか、案内できなかった)。



富山の地鉄は富山地方鉄道株式会社といって、鉄道、市電、バス(含空港バス)ははを運行している。今回、鉄道は使わなかったが、市内電車とバスは6回乗車した。多くの都市が市電の塗装を全面広告に使っているは、残念ながら、収益向上になるからだろう。看板が動くわけだから効果は絶大だろう。その中でも有名なのが、県警が広告を出していて、いわゆる『パト電車』と呼ばれている。



といっても、パトカーではなく、スピード違反車を追いかけたり、銀行強盗の容疑者の護送に使ったりはしない。最近では無実の人でもパトカーに押し込んで、1日がかりで自供に追い込もうとした警察があるようだが。普通の人はパトカーには近づかない。市民を威圧しているような感もあるのだが、来たのに乗らないのも怪しいので乗車した。


ということで、富山城のこと。

富山城前史は、佐々成政が中心になる。盟友の徳川家康とともに豊臣秀吉を南北挟撃しようと企むが、老狸の家康は応じない。しかも冬の間に命がけで雪の立山を超えて家康に面会に行って帰ってみると、愛妾の小百合が美少年と不倫をしていたと讒言を耳にする。短気な成政は信じ込み、二人を惨殺してしまう。9か月後に秀吉軍に包囲され成政は頭を剃って出家するも、数年後に自刃したが、その後も富山城には亡霊がでているようだ。

現在の模擬天守閣は犬山城に模して昭和29年に建てられている。



富山城後史。富山は一般に越中の国と言われる。となりの石川県は加賀の国と能登の国。富山藩は金沢の前田家から分離して富山城に居を構えたのだが、当初、城のある場所は、加賀の国の中だった。それはまずいので、城のある場所(つまり富山市街)周辺などを越中藩にすると同時に、同じぐらいの越中の土地を加賀と交換したそうだ。つまり換地。

ところが、越中がもらった土地は加賀に渡した土地よりも生産性が低い(地味が悪い)ということになり、それが石川県より貧乏な原因と、「富山側」は言っているようだ。ある意味、親会社と子会社という関係と同じか。その生産性の低さから全国での売薬業を創意したということになっている。

富山県美術館自体がアート

2023-12-17 00:00:10 | 美術館・博物館・工芸品
前々から行きたかったものの、チャンスがなく、最近は富山ガラス美術館の人気の前に影が薄くなっていた富山県美術館に行った。多くの文化施設が駅の南側に位置するが、県美は北側、と言っても日本海にはかなり遠い。地鉄市内電車に乗るか、環水公園からの運河にボートも運行している。このボートも魅力的で、パナマ運河のように、途中で水面の高低差を調整する場所があるらしい。パナマ運河に行くのはなかなか大変だが一つの方法は、この運河で妥協する方法。もう一つはパナマ、スエズの両運河を通過する世界一周クルーズ船(航海日数100日間)を利用すること。

知人は、この100日コースに行きたいと奥様に相談したところ、「帰ってこなくていい」といわれたらしい。

話を戻すと、富山のクルーズ船は乗船時間は1時間弱だが、あいにく運休日だった。ということで、環水公園のそばにある富山県美術館に向かう。その日は市内をあちこち巡るので、最初に地鉄フリー乗車券を650円で購入。結局6回使ったのだが、最初は県美術館まで。



外観はスマートだ。ガラス張りで外光を取り込んでいる。ガラス会社の人に以前教えてもらったのだが、ガラス壁面は建物に埋め込まれているのではなく、カーテンのように上から吊るす方法が開発されて一気に普及したそうだ。4階までガラスが縦に吊るされていて、地震の時は建物と別に動くはず。



まず、行くべきは屋上。絶景だ。南側には立山連峰が見える。また眼下には運河や河川、北側には遠く海も見える。



さらに、遊具のようなアートが並ぶ。きのこだけは解るが、他は何かよくわからない。



そして、館内には申し訳程度に普通の美術館にあるようなシャガールとかモネの絵画が展示されているが、ほとんどが20世紀後半に起源を持つ現代美術。もっと新しいのは映像表現だが、それは見えなかった。





とかく現代美術は難解と思われるが、ここでは現代美術に容易に近づけるような工夫が多い。本来は狂暴な白熊君だが、かわいいといいたいが、やはりちょっと目つきが怖い感じがする。北極の氷がなくなる前に、なんとかしてほしいと切実に訴えているように見える。

全体としては「クール」というのが適切だろう。