徳島ラーメン

2019-05-31 00:00:27 | あじ
高松から四国に入り、板東まではJR高徳線、その先はバスを何本か乗り継いで、結局、徳島空港から株主優待チケットを利用して羽田に向かう。徳島空港はみたところJALの牙城なのだが、私はANAの株主なので、数少ない便を選ぶ。

そして空港のことで書くべきは、この空港の名前。徳島空港ではなく、徳島阿波おどり空港になっている。全国には鬼太郎空港とかコウノトリ空港とかおそろしい名前の空港があるが、こちらはコミカル系だろうか。ただ、良くないと思う。阿波踊りの時はたくさんの観光客がこの空港に来るのだから空港の宣伝しなくてもいい。むしろ、その他のシーズンの徳島の魅力が表現できるネーミングがいい。あるいは、シーズン毎に変えたらどうだろう。今回は行かなかったが徳島市以南の海岸は、きわめて魅力的な自然の造形を見せてくれるらしい。板東の森だってすばらしかった。

そして、徳島に行ったら食べようと思っていたのが徳島ラーメン。空港にラーメン店があるのは調べていた。実は、徳島空港での名物は「肉吸い」と「ラーメン」であることがわかったが、両方食べるような健啖家ではない(無論、「取材料」をいただけるなら3店でも4店でも大丈夫だが)。今回はラーメンということで、宝ラーメンという店舗で「徳島宝ラーメン」をいただく。



これが、相当濃厚なスープである。面は細麺だが麺の固ゆでで、麺の角が感じられる。もっとも好みの固さである。大変うまいが、毎日食べるわけにはいかない。たぶん頸動脈が固くなるだろうか。1か月に1杯だけならいいだろう。あるいは「頸動脈がコチコチになっても月に一度は食べたほうがいいラーメン」というべきか。

この味を早く忘れないと、何度も徳島に足を運びそうである。(実は大阪方面からバスで淡路島経由で来る方法が一般的らしい)

シャイニング(1980年 映画)

2019-05-30 00:00:13 | 映画・演劇・Video
ホラー映画の名作として有名だ。原作者はスティーヴン・キング。監督はスタンリー・キューブリック。主演はジャック・ニコルソンとなれば役者は勢揃いということで、完璧なホラー映画ということになるのだが、実際には不可解なことがいくつかある。



原作者は映画が完成後、猛烈に作品に難癖をつけ始める。よくある話だが、「原作と異なる」という話になる。冬場に雪に密閉された場所にあるホテルの管理を行う一家に、過去にこの場所で起きた管理人一家殺人事件の霊が襲い掛かるという話だが、原作では霊を操るのは建物そのものであるのに対し、映画では惨劇をおこすのは輪廻転生する「怪人」ということになる(ような気がする)。

原作を読んでいないので、はっきりしないが、「シャイニング」というのは、直接言葉を使わなくても意思を伝えあえる能力を持った人たちのグループを指すことになっている。いわゆるテレパシーの使い手。その一人が、少年ダニー。彼の機転で、本事件での犠牲者が4ではなく2になった。もう一人がコック長のハロラン。ダニーの危機を感じ取り、雪上車で雪に封鎖されたホテルに向かう。

ところが、ハロランはホテルでダニーを探しているうちに、すぐに殺されてしまう。囚われたニューヨーク市長を救出しようとバットマンが駆けつけて、最初に殺されるようなものだ。

そしてホラー度だが、それほどは怖くない。怖い映画はなるべくみないが、「シックス・センス」「セヴン」は格別怖い。トマス・ハリス原作シリーズはほぼ見たがこれも怖い。「ツイン・ピークス」も全部見たが怖い。しあわせな家庭とか人生とかのシーンがあると、「きっと、これから破滅に向かうのだろう」とすぐに思ってしまい怖い。

そして、ついに2020年のはじめに「シャイニング」の続編が公開されるらしい。英語のタイトルは「Doctor Sleep」らしい。主人公は大人になったダニー少年。題名から想像すると前作で凍死したはずのニコルソンが長い眠りから覚めて、ホテル専属の医者になって・・かな。

リトル・リトル・クトゥルー(東雅夫編 神話)

2019-05-29 00:00:54 | 書評
「リトル・リトル・クトゥルー」は800字以下で書かれた短い神話のことで、もともと米国でコミックとして神話をアマチュアから集めて優秀作を発表したのと同じ。その時にクトゥルー神話という名前で知られるようになった。そして日本では超短編クトゥルー神話として募集され250余編から111作が選ばれた。ちなみに800字の刻みだが、弊「ショート・ショート・エッセイ」は1000字前後で書かれていて、それくらいの分量。(きょうのブログは500字強)



言っては何だが、面白くないものもある。企画倒れのような空振り作品もある。

そもそも、米国には神話はないはず。あるとしたら先住民の貴重な昔話だが、白人の横暴の犠牲者になる。クトゥルー神話は、どちらかというとどこかにオチのある話でなければならない。

水槽の中で、カツオ節他の食材を利用して新しい生物を作って、少し大きくしてから生きたまま味見をする人が書かれていた。それなりの味らしい。それならと、材料に少しお金をかけるともっと旨い食品に変わるのではないかと、考え付くわけだ。やってみたい。

ドイツ村に住民は?

2019-05-28 00:00:17 | たび
鳴門市ドイツ館は、板東俘虜収容所を記念して建てられたものだが、収容所のあった場所とは2キロほど離れている。何故、違う場所に建てたのかは不明。収容所の場所に建てると、歴史上なかったものを史跡の上に建築するということになるからだろうか。



収容所はベルサイユ条約のあと、捕虜がいなくなり、その後、帝国陸軍が利用することになり、さらに敗戦後は米軍が駐屯したようだ。その後、建物は壊される。土地の所有者は国だったか県だったかだろう。現在、収容所の跡地の半分くらいは時代がかった公団住宅が並んでいる。



そして、ドイツ村となっているが、本当の村ではない。なぜなら住民がゼロ人だからだ。記念碑があり、給水塔の遺構が残るが、収容所、陸軍、米軍の歴史の中で改造された遺構でもある。

そして、次の目的地には地元のバスで移動する予定なのだが、ドイツ村のバス停には、事前にネット上で調べていた発車時刻より20分早く着いてしまった。そこから5分ほど歩くと、映画「バルトの楽園」関連のロケで使われた建物が運び込まれ、収容所の遺構を使った観光地になっていたのだが数年前に営業不振で閉鎖になっている「バルトの館」があるのだが、疲れ果てていたので、パスをしたら数分でバスが来た。要するに、事前に調べたバス会社の時刻表が数日前に代わっているわけだ。ロケ現場の廃墟なんか調べに行ってバスに乗り遅れたら、もはやその日のスケジュールは全滅したはずだ。



ところで、第一次大戦で敗れたドイツは、高額の補償金を払うことになり、国力は激減。欧州最貧国となってしまう。その結果、ヒトラーが登場したわけだが、第二次大戦のドイツを再び作らないように、終戦後、日本をアジア最貧国にしようとは思わなかったのだろう。

そう思えば、第一次大戦後のドイツの運命は日本の戦後につながっているともいえるわけだ。ドイツに深謝しなければ・・

板東俘虜収容所跡(現鳴門市ドイツ館)へ

2019-05-27 00:00:53 | 美術館・博物館・工芸品
板東に行くことの最大の目的地は、このドイツ兵の捕虜収容所跡だった。以前、『カール・ユーハイムの奇跡の人生』を探っていて、ドイツが租借していた中国の青島から、彼が第一次大戦のドイツ人捕虜として日本に連行され、広島県の似島収容所に収容され、ベルサイユ条約後、日本に留まり東京、横浜そして関東大震災の結果、神戸にバウムクーヘンの店舗を開店し、順風も続く中、今度は第二次大戦が始まり、玉音放送の数時間前に亡くなったというようなことを調べていた。

青島で一介の菓子職人が、戦争捕虜になるというのも不運としかいえない。なにしろ、ドイツは成年男子を民間人でも予備兵と位置付けていたため、実質的な民間人を捕虜にしたわけだ。それもアジアの東端で何の抵抗力もなく大軍に包囲されたわけだ。

実は、現代のドイツ人の中にも、この第一次大戦の時の日本の行動に立腹している者も大勢いるそうだが、さらに日清戦争のあと、清から日本が奪った遼東半島を返せ!と恐喝したのが「ドイツ・フランス・ロシア」の三国(いわゆる三国干渉)。その恩を清に売って、代わりに強奪したのが青島市といえなくもない。

捕虜収容所は当初は12か所だったのだが、大型施設6か所にまとめることになり、その一つが板東だった。



大麻比古神社の駐車場からまず細い橋で川を渡り、平坦な道を20分ほど歩くと捕虜収容所跡にできたドイツ館のはずだが、人も車もいないので、聞くわけにもいかずナビを頼りに歩くのだが、途中、サルが出没。目を合わせては狂暴になるので、そっと通り過ぎなければならないのだが、最初から目を合わせてしまった。みるからに怖そうだ。



そして、到着。



この板東の俘虜収容所だが、もう一つ有名なのが、『第九演奏会』。さすがドイツ人ということで、音楽部を作って、手製の楽器で演奏会を開催していた。そして、ついに最高峰であるベートーベンの第九交響曲合唱付きを演奏したわけだ。日本で最初の第九であり、アジアでの最初ともいわれている。



実は、『バルトの楽園』という映画となって、公開されたのだが、収容所長だった松江豊寿陸軍中佐を演じたのが、松平健。顔の形が似ているので役が回ってきたのだろう。映画の中では元会津藩士たちが明治維新で青森の東側の斗南藩に送られ、その子孫が長州閥の陸軍の中で差別される話とリンクする。

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ドイツ館の中も、ドイツ兵捕虜の生活と第九関係と二種類の展示が中心である。1000人を収容するため、長屋方式の建物(バラッケ)が8棟並んでいたようだ。このバラッケは第二次大戦の時は陸軍設備だったが終戦後は大陸からの引揚者用の住宅に使われていたこともあり、有名人としては元名投手でタレントの板東英二さんがいる。板東に板東がいることになるが、実は板東には板東さんが多いのだ。

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現在、一棟が復元され、道の駅に使われている。ビールとおつまみを買おうかと思ったが、先を急ぐことにする。なお、中国最大のビール会社である青島ビールだが、ドイツ人が青島でビールを作り始め、その後、日本が引き継ぎ(というか接収)、現在は中国の会社になっている。

全国民でオ・モ・テ・ナ・シ(いや、シ・タ・ゴ・コ・ロ)

2019-05-26 00:00:17 | 市民A
トランプ大統領が来日している。5月26日には、茂原カントリーで青木功氏を通訳に変則16ホールのゴルフ、その後、国技館で大相撲観戦+米国大統領杯の授与、夜は六本木交差点近くの田舎家東店で炉端焼き。翌27日には宮中晩さん会。それと空母の見学。

不思議なことに、大きな声で「来日反対!」というような声は聞こえない。近々あるらしいアイルランド訪問では、首相は反対運動を妨げないと言っているそうで、まったく方向が違う。

あえて言うと、立民党の辻元国対委員長が、「総理はツアー・ガイドですか。」と言っているようだが、実際にツアー・ガイドなのは自明だし、誰かが少しぐらいキツイことでも言わないと、全国民がトランプの味方のようで嘘っぽいわけで、辻元氏の発言は、全国民がオモテナシの裏側に下心をもっていることを隠ぺいするための発言のようにもとれる。

要するに戦後ずっと続けていた「アメリカの利用」の延長線上にあるのだろう。冷静に考えれば日本の政党を左から右まで並べても、その範囲の90%ぐらいは(米国の)民主党の政策の幅の中のようだし、現代の共和党が大好きという人が多いとも思えない。

自民党以外の政権だとしても、結局は抱きつき戦略になるような気がする。米国と手を切って日本だけで超強力な武装をして大陸や半島の国家と対峙するのは大変だし、米国だって困るだろう。かつて米国領地で米国と戦った国は2ヵ国。日本とメキシコだが、メキシコの場合は、メキシコの領土を米国が武力で奪ったわけで、戦争が始まった時、南西部はメキシコの土地だった。


で、順番にゴルフから。茂原カントリーに20年前1998年に行ったことがある。記録を見ると98。パーが4、ボギー5、後はダボとトリ。今回の16ホールというのは、2ホールをヘリの発着用に使うそうだが、18ホール回らないのは、どちらがゴルフが巧いかというようなことにならないための配慮だろうか。最大の問題は、前日、起こった震度5の地震だが、ゴルフ場というのは地震の時に最も安全とも言われる。もちろん地割れが起きてゴルフボールと一緒に割れ目に落ちなければだが。屈強なSPも閉じた割れ目をこじあけることは困難だろう。

次は、大相撲。早々と日本人(朝乃山)の平幕優勝が決まり、ジョージア人(栃ノ心)の大関復帰が決まり、メーンテーマがなくなってしまった。この二人の力士の直接対戦の時、審判員の不可解な対応が「わざと、日本人力士を優勝させようとした」と批判されている。審判員も国際問題に巻き込まれる時代だ。

そして、米国要人を相撲で接待するという前例がある。1854年である。前年に恐喝外交をした米国東インド艦隊司令長官マシュー・ペリーが米国代表として日米和親条約に調印。横浜の開港資料館の場所だ。そしてその翌日のパーティの余興として30人の力士が出場して、米国兵と力比べをしたそうだ。なお、米国が持ってきたお土産は蒸気機関車の模型。今回は、司令長官ではなく大統領ということで160年経って、だいぶ対等に近づいたものだ。

そして炉端焼き。炉端焼きというのは、テーブルに向かい合って座らないところに意味がある。まさにツアーガイドには最適な料理だ。しかし、そもそも日本からほとんど死滅した炉端焼き文化を日本文化のように言うのも、どうかとは思う。

メニューは高級で、たとえば大統領が好きそうなものを列挙すると、「お通し」:沢蟹(1080円)、厚揚げ(810円)。「野菜」:松茸(あれば7040円)、ジャガイモ(756円)、アスパラ(972円)、オクラ(950円)。「魚介」:のどぐろ(10800円)、車海老(4356円)、タラバ(4104円)、ホタテ(2160円)。「肉」:牛串(1本2750円×3本)、鳥(1本1134円×1本)といったところか。いくつかは米国製を入れるだろう。松茸とかジャガイモとか。〆て、42412円。(上記チョイスは、すべて私の好み。)飲酒はしないらしいので、コーラでのどを潤すはず。酒を飲むと、暴れだして、「ここは、アメリカだ。大統領は捕まらないぞ、女は?」と言うかもしれない。

そして天皇晩餐会。どうみても天皇の政治利用だが、思えば、さきの天皇も父親の不始末のお詫び行脚を続けたわけで、その行為こそ政治利用と言えなくもないし、憲法の中で「天皇の象徴性」のところこそ、漠としてわかりにくい。

そして空母「かが」。日本が中型空母を増産し始めたことを他国はどうみるのだろう。あまり自慢しない方がいいと思う。防御力の中には「秘密性」「予測困難性」も含まれる。

将棋観戦記コレクション(後藤元気編)

2019-05-25 00:00:29 | しょうぎ
プロ将棋を新聞等で読者に伝えるために観戦記があり、その観戦記を書くのが観戦記者だ。昨今はabemaTVでタイトル戦や藤井聡太七段の対局などが流され、男女プロ棋士が解説するということになっているが、藤井聡太七段の指し手は予想外のことが多く、指されてから意味を考えるというような展開が多く、さまになってない。



私もこども教室で棋譜の解説をするときに大盤の横で前を向いたまま手を読みながら解説するが、事前にソフトで分析してからしゃべっているだけなので、ようするに口パク歌手というかエアバンドというかだ。実際に後ろ向きで、さらに上下逆になっている後手の手を読むのは難しい。解説者に同情の余地はある。

そうなると、やはり観戦記ということになるが、最も鋭く書くのは同業者の棋士のような気がするが、対局者への配慮とかはあるだろう。最近は文学者で将棋に明るい人が少なくなったようだが以前は、坂口安吾や山口瞳のようにのめり込んだ人たちもいた。山口瞳氏はプロ10人との飛車落ち10番勝負を『血涙十番勝負』として刊行したが、むしろ観戦記ではなく自戦記と呼ぶべきだろう。

本著の編集は自らも観戦記者の後藤元気氏。自分で書いた観戦記をコレクションには入れなかった。謙虚なのだろうか。小倉百人一首の編者の藤原定家は自作を100番中97番に入れている。

辛いことを書くと、本書は文庫本なのに定価が1600円+税と極めて高い。それなのに、誤植が多く、なかには棋譜と図面と記事がずれていて、意味が分からない箇所もある。

記事に行き詰まったら本書からネタ取りできそうな気もするが、本日は、ここまで。


さて、5月11日出題作の解答。





問題は5四とが不要駒だったこと。制作中は5一の竜を6一に置いたり、生飛車にしたりしていて、5四とが必要なケースもあったのだが、最終的には要らなくなった。スマホを組み立てる都合、最終的に不要になる部品も一時的に必要で、最後は埋込まれたままにされることもあるが、「スパイ部品」と認定されることがある。あるいはそれを装ったスパイ部品かもしれないが、「5四と」は人畜無害なので。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

筋違い角が活躍。金は補助的に使うこと。

わかったと思われた方は、コメント欄に、最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。


鳴門の鯛めし

2019-05-24 00:00:40 | しょうぎ
淡路島と本州(明石)の間の海峡が明石海峡、淡路島と四国(鳴門)の間が鳴門海峡だ。明石海峡で有名なのが「蛸(たこ)」だとすると、鳴門海峡の名物は鯛(たい)である。潮流が刻々と変化し、鳴門海峡を航行禁止にしている船会社もある。船は通らなくても力強く泳ぐ魚もあり、その代表が鯛であり、鳴門の鯛は身が引き締まっていていると言われる。



ということで、鳴門のあるミュージアムに行ったとき、海を少しだけ見ながら食事をしたのだが、鯛めしを食べる。まあ、いたってシンプルで、鯛の身は引き締まっているのだが、鯛めしにするなら引き締まってなくてもいいかもしれないと逆説的に思ってしまった。

刺身(あるいは活き造り)を食べるべきだったか。しかし、それではあまりに常識的すぎるような気もする。固めの鯛を噛みしめながら、海中を泳ぐ鯛や蛸のことをイメージしてみた。

ワサビがついているが、お茶漬けにはしない方がいい。メシの方にも濃厚なタレがしみ込んでいる。そういえば、板東や鳴門は醤油の産地でもあった。

長い石灯篭の先には

2019-05-23 00:00:36 | たび
先週、板東にあるお遍路スタートの寺院である霊山寺まで書いたのだが、その後、お遍路を始めたのか、あるいはサッサと高徳線に乗って徳島にラーメンを食べにいったのか明示しなかった。実は、霊山寺からさらに奥の方に歩き始めた。

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しばらくすると、突然、大鳥居があらわれる。突然に大鳥居が現れるのは、普通は新しい宗教団体のことが多いが、この鳥居は由緒正しい。

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さらに視界から見えなくなるまで石灯篭が左右に並ぶ。これは見事である。何か、本数に意味があるのかもしれない。詳しく知らないし、数えながら歩くほど、物事に集中できるタイプの人間ではない。一、二、三・・・十が限界だ。

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そして、その先に小さな橋があって神社が現れる。仏教じゃないので川を渡るときに小銭をもっていく必要はないが、参拝にはいくばくかのお金は必要だ。よくみると「サルに注意」と書かれている。

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大麻比古神社といって、阿波の国、一の宮である。境内には樹齢千年の大楠がそびえている。本殿の周りや奥に広がる森林がパワースポットである。確かカメラを向けると、本来参拝客に与えるべきパワーがカメラに吸い取られるので、写さない方がいいとされている。

神社の名前の大麻は「たいま」ではなく「おおあさ」と読む。日本古来の繊維といえば綿ではなく麻だった。いまでこそ麻の方が高いが、麻は夏用で冬は寒い。東北地方の本格的な開拓が江戸時代になるまで遅れたのは、この衣類問題だそうだ。国内で綿が広く栽培されるまで、国民は寒さに耐えていた。

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そして、この千年をはるかに超える歴史を持つ神社に、少し変わった遺跡がある。一つは、眼鏡橋、もう一つが独逸橋(ドイツ橋)。眼鏡橋は形状からそう呼ばれるが独逸橋はこの橋を架けたのがドイツ人であったからだ。

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ドイツ人が九つの橋を神社の境内に架け、うち二つはそのまま残っていて、このパワースポットを、いずれ聞きつけてやってくるドイツ人観光客を待っているわけだ。

金谷上人行状記(自伝 藤森成吉現代語訳)

2019-05-22 00:00:53 | 書評
東洋文庫である。箱入りで、時に難解な内容で手も足も出ないような書物もある。時間をかけて読むことになるだろうと覚悟していたのだが、実は原文ではなく現代語訳である。

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といっても、著者の横井金谷(きんこく)は江戸後期の僧であり、現代語に訳され、同時に注釈も充実して初版が1965年である。50年以上前ではあるが、現代語訳は十分に通じる。読み始めると一気に読めるのは、この自伝は荒唐無稽の金谷の半生というものが、主に旅(というか逃亡)と遊芸に関係するもので、読者の刺激を満たす内容だからだ。

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例えば東海道中膝栗毛とかドンキホーテとか同種の書物は数多くあるのだが、本書の特徴は、内容がほぼ事実であることと、自分で書いたということ。多芸多才の金谷だからこそ、全国各地で歓迎されて歩き回れたのだろう。思えば江戸の後期でも、まだ封建制度は厳密に残っていて彼のような優秀な頭脳は使い道もなく、博打や色事といった悪所通いにのめりこんだりしたのだろうか。

本書の最大の謎は、人生70余の金谷が本書を書いたのが40代中ごろと推測されているのだが、残りの人生のことはよくわかっていない。ある日を境に急に大人しくなるということもないと思うのだが、「その後の金谷」がないのが、少し残念である。

深夜食堂(めしや・2014年 映画)

2019-05-21 00:00:24 | 映画・演劇・Video
オリジナルは漫画。ドラマにもなっている。

小林薫演じるマスターがいい味を出している。頼まれればできる料理は作るし、頼まない客には、おすすめ上手だ。そのカウンターに日ごと色々なお客がやってくる。あらすじの書き方がよくわからないのでホームページをそのまま引用すると、

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マスターの作る味と居心地の良さを求めて、夜な夜なにぎわうめしや。ある日、誰かが店に置き忘れた骨壺をめぐってマスターは思案顔。詮索好きな常連たちは骨壺をネタに、いつもの与太話に花を咲かせている。そんなめしやに、久しぶりに顔を出したたまこ。愛人を亡くしたばかりで新しいパトロンを物色中だったが、隣にいた年下の男と肌が合い…。
無銭飲食をしたことを機に、マスターの手伝いを兼ねて住み込みで働くことになったみちる。いつのまにかめしやに馴染むが、どこか事情を抱えたままで…。福島の被災地から来た謙三は夜な夜なめしやに現れては、常連のあけみに会いたいと騒いでは店の客と一悶着…。

いくつかの事件が起きないと、ストーリーにならない。いや、脚本によっては「武士の献立」のような、武士社会の歪の中の個人の戦いを作り上げることができるかもしれないが、本映画はそんな無粋なことにはならない。貧乏を題材にした部分は多部未華子演じる食い逃げ。震災を題材にした部分や、愛人の急死で遺産をもらい損ねた話。そして、極めつけは冒頭で客の誰かが置いていった骨壺。

この骨壺の謎は、映画がラストに向かう中、何一つ進展しないままになるのだが、突如、田中裕子によく似た女性が現れる(本人だが)。そして、骨は甲子園球児だった夫の物だと言い出したわけだ(本人の夫は気難しい歌手)。そして骨と一緒に甲子園の土を入れたと言う。実は、墓を動かす場合、土葬していた時代の骨は、残っていないため、代わりに土を壺に入れる場合があるが、甲子園の土はやめた方がいいと思う。過去に球場で亡くなった人がいたら、その方の霊も引き受けてしまうからだ。

ところで、深夜食堂は「めし」のちょうちんをぶらさげているが、この「めし」で思い出したのは、はるか数十年前の学生時分に就職活動をしていて、大阪のなんば駅の近くにある、農耕器具メーカーの役員面接に行ったこと。

もともと東京本社で面接終わっていたのだが、親切な東京の人事課の方から「うちは、関西の二大学閥の会社でないと苦労するから」と言われていた。二つとは、京都と大阪にある国立大学のこと。そして内定辞退の決定打となったのが、なんば駅から本社ビルに向かう途中にあった飲食店が、「めし提灯」だったわけだ。辞退しなければ、池袋の「上級国民」の顔を見ることができたのだろう。

ところで、田中好子さんだが、20歳代から活躍して、徐々に老け役が増えているように思える。彼女の役の変化を思うと、自分の加齢をも考えることになるわけだ。

みかん(類)の花を初めてみる

2019-05-20 00:00:11 | 市民A
2年前に植木鉢で育てていた柑橘類が、あまりにも育たないので地面に下ろしてみた。

ところが、2年目に、南岸低気圧だったか台風だったか南関東を通過するときに、大量の塩水をバラまいてくれた。千葉県のある市では、市内の枯葉が焼却炉を痛めたという話もあった。狭い私の庭でも、オリーブの半分が枯れて、伐採して残った枝から新しい葉はいまのところ生えてこない。植え替えた柑橘類は、若葉が出てきて、そこに虫があつまったため、野菜用の農薬を吹きかけたが、作業中に一輪の花が咲いていることに気付く。

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「ミカンの花が咲いている」という歌があったような気がするが、花を見たのは初めてだ。黄色かオレンジ色の花が咲くものと勝手に誤解していた。ずいぶん頼りない花に見える。

問題は「柑橘類」と書いたものの、正確には何ができるのか知らないことだ。

大きくなって、みかん以外のフルーツになったらどうしよう。猫を買ったら大きくなったら豚になったような話が近くの国であったような気がする。一輪だけなので、今年は結論は出ないと思う。

備前刀展(静嘉堂文庫美術館)

2019-05-19 00:00:30 | 美術館・博物館・工芸品
二子玉川にある静嘉堂文庫美術館で『備前刀』展があり、同時に曜変天目が公開されるということで二度目の再会のために長い坂道を上る。一帯が三菱の岩崎家の所有であったものを、現在は美術館にしている。




有名な曜変天目は日本に三つしかないといわれるが、その中でも美しさは随一とされ、鑑定すれば3憶円ともいわれる。

今回はメーン展示ではないため会場の入り口におかれ、光線の具合か、それほど綺麗に見えなかった。前回もそうだが、地震の時の転倒防止用と思うが碗の上に釣り糸を×の形に重ねて展示するのはなんとかならないだろうか。

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備前刀については、以前、岡山の長船備前刀美術館で詳しく勉強したのだが、中国山地を源流とする吉井川がたくさんの砂鉄を下流に運んでいて、そこから製鉄が始まりさらに韃靼人が技術を持ち込んだたたら製法により実用的に優れた(つまり人斬り用)刀が量産されたということ。

最近の話題では、上越市が上杉謙信の愛用の備前刀『山鳥毛(国宝)』を所有者から買いたいと交渉したものの、上越市の予算が3憶2000万円に対し、所有者および瀬戸内市の鑑定が5憶円以上ということで不調になった。

それにしても岩崎家はなぜ備前刀を集めたのだろうか。

そして、お目当てのもう一つは、美術館前庭での『静嘉堂ガーデン』。ベンチに座り、ビールを飲んで音楽に耳を傾けることができる。岡山県のおつまみセットが売られている。なんとなく世田谷人みたいな豊かな気持ちになれる時間である。あくまでもベンチに座っているだけなのだが。

盤駒の手入れについて

2019-05-18 00:00:33 | しょうぎ
最近、盤駒にこだわる人が減ったような気がしていたのだが、先日、知人から相談を受けた。盤駒の手入れの件。聞けば、榧の柾目四寸盤を使っていたが、戸建てから都内のタワーマンションに引っ越したため、和室がなくなったため、小さな机と、榧の二寸盤を購入したとのこと。駒は、盛り上げなんか買えないので彫埋で竹風作とのこと。

二寸盤とテーブルを買うよりも四寸盤を乗せる低い机を探す方がよかったのではないかという余計なことをしゃべってしまったので。きっと低い机も買うだろうと予想している。

本当は、足つきの四寸盤を、横にスライスして卓上二寸盤二面にして、一枚を私に進呈してほしいと思ったが、口に出した瞬間に友人ではなくなるだろう。

また、駒台は島桑、駒箱は黒柿というようなことも言いたかったが、もうすぐ年金生活者のはずなので、言わないでおいた。

手入れについての質問は、駒の磨き方と、盤のマス目の再生について。磨くには、椿油がいいかどうかということだが、好みの問題もあるが、つけないで乾拭きに徹した方がいいと思う。指の皮脂を落とすという効果はあるが、そもそも指す前に手を洗うべきだ。今年も将棋ペンクラブの大会が近づいているが、昨年の大会では、駒袋に入った持込み駒(マイ駒)を使う方との対戦があり、対戦前に手を洗いにいったら、ずいぶん感激されて、負けてもらったことがある。

汚れが落ちない場合、紙やすりなど使ってはダメで、牛乳を布に湿らせて拭くと落ちることがある。牛乳の粒子は非常に細かく、研磨性もあるそうだ。

マス目については用具店(碁盤店)に頼めば表面を削って線を引き直してもらえるが、漫然と頼むと厚さが1センチほど削られたりするので、事前によく打ち合わせをしてから頼むことをアドバイスした。


さて、5月4日出題作の解答。

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初型図からは予想もできない方に進むことになる。詰め上がりの図が尋常じゃない。なお4八歩は余詰め対策。

動く将棋盤は、こちら



今週の問題。

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なんとなく香歩問題。本家の「銀合、歩が四枚」の図と同手数で詰む。

追加問題。本問、昨年末に出題したものと同一図でしたので、同程度の問題を、追加します。申し訳ない。

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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

お子様ランチではなく、・・・

2019-05-17 00:00:36 | あじ
最近、あるレストランで目を疑うような、メニューを発見した。

そこは、こども連れが多い場所ではあるのだが、そういう場合、『お子様ランチ』というメニューがあって、幼児用の小さな料理が何種類かプレートに載せられて、日本人の愛国心をこどもの頃から育もうと余計なお世話で、日の丸の旗がチキンライスかハンバーグにぐさっと刺さっている。もちろん小学校になったら卒業だ。

そして、最近は、こういうメニューがある。


“おとな様ランチ”

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全部が子供用のメニューで、一つだけ大人用のメニューがあるということではないわけだ。普通のレストランメニューがある上に、お子様ランチと、おとな様ランチがある。

さばの味噌煮と、かにグラタン。ライスには、日の丸が。

老人ホームの食事のような感じだ。本当は、老人様ランチということだろうか。