株主優待桐谷さんの失言

2019-08-31 00:00:26 | しょうぎ
8月初にマネックス証券主催で芝のプリンスホテルで開かれた講演会に羽生さんの後に登場したのが。桐谷広人さん。将棋棋士七段でもある。といっても将棋の腕前は羽生さんとはまるで違って、25年間の通産勝率は4割0分3厘。あと6敗していたら勝率4割を割るところだった。有名だったのは将棋の定跡や、将棋界のあらゆる対局の棋譜を覚えていると思われていたこと。「コンピューター桐谷」と言われていたことは、前座の羽生さんが明かしていた。ちなみに講演会の腕前は、圧倒的に桐谷七段の勝勢である。



その桐谷さんが株で儲けていたのは、東京証券協和会というところで将棋師範をしていた縁だったそうだ。色々な情報に基づき、株式資産額が3億円まで膨らんだそうだ。ところが、その後、暴落。5000万円まで下がり、手元には現金がなくなり、株価が下がっても送られ続ける株主優待の数々の金券だけが頼りの生活になっていたそうだ。

とはいえピーク時は400銘柄も持っていたそうで、全部下がったとはいえ分散されていたため、数多くの優待券を手にすることができたそうだ。

実際、気前のいい会社もあって、最低単位の投資で数パーセントの利回りを得られることができるわけで、年齢を重ねた今は、主に配当と優待で十分生活できるとのこと。もちろん、この手の講演会がしょっちゅうあるらしい。

ということで、講演のほぼ終了直前に、巨大失言が爆発。

「株主優待を得るためには、まず、最低単位でも株を買う必要が必要。ぜひ、『楽天証券』で株を購入して、優待生活を送りましょう。」

あろうことか、ライバルのネット証券の名前を(実は2回も)言ってしまったわけだ。

舞台のソデから指摘されて、言い訳に使った理由というのは、「午前中に横浜で楽天証券の講演会に出演していて、つい混同してしまった」ということ。


ところで、桐谷さんは、日本経済の問題について、山本太郎党首と同意見だとして、大企業や大金持ちの所得税の減税分が消費税の増税額と同じになっていると主張し、アベノミクスの失敗分を日銀が株式市場に現金を突っ込んで株価を支えて、それで「株価が高い」というのは間違っていると指摘。

山本太郎氏は消費税の減税あるいは廃止と直接税の累進度を上げることを主張していて、米国民主党の急進派オコシオ・コルテス議員も同じような主張をしている。

この段落は、個人的意見なのだが、たとえば大会社の社長の所得税を増税すれば、社長は自分の給料を上げることで対応するはずで、そうなれば社員の給料も上げることになるはずで、使い途のない内部留保より大分マシだろうと思える。消費税にしても、減税した方がいいのか増税した方がいいのか両説があるのなら、例えば1、2年間、税率を5%に半減して効果測定をしてもいいのではないかと思う。


さて、8月17日出題作の解答。

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実はキズがいくつかある。まず、3手目は不成でもいい。10手目の合駒に飛車を選ぶと2手超駒余りとなる。同手数でも詰む。14手目も△2二玉だと変化同手数となる。いずれもギリギリだ。

動く将棋盤は、こちら

テスト運用中として
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今週の問題。

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筋に迷い込むと美しく詰む、と錯覚する。美しくもなく釈然としない終局図が現れる。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見を記していただければ、正誤判定します。
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姿を消したアルゼンチンアリ、推定理由は

2019-08-30 00:00:05 | 市民A
弊ブログ8月23日『アリ、発見』 に記載した通り、1週間ほど前、自宅洗面台の上に、体長2ミリのごく小さなアリを発見。写真撮影後、拡大してみると、体系、サイズ、色、動きについて外来生物であるアルゼンチンアリと同一と判断せざるを得なかった。



横浜市のHPでは5月の段階で、沿岸部で発見されたとなっていて、その後見つかったら通報してくれとも何とも書かれていない。自宅は横浜の最北部に近く、最も海に近い鶴見区まででも15キロある。海岸と、当家の間にアリがいないわけはないだろうから、もはや上陸阻止は困難ということだろう。冬になっても絶滅することはないだろう。一つの巣に女王アリが複数いるという多産系の昆虫ということだ。

しかも調べると、普通の日本のアリと異なり、きちんとした地下の巣ではなく、植木鉢の底とかコンクリの割れ目とか、撒き石の下にも巣を作るそうで、家の周りをぐるりと回ったが、そもそも2ミリで茶褐色のアリ自体屋外で目視することができない。

となると、発見現場に戻って、「どこから来てどこにいくのか」「何のためにここにいるのか」ということを調べることにした。人間のルーツ探しみたいだ。

ところが、アリは洗面台の上を不規則に走り回っているだけ、どうも不思議だ。つぶしても、次々と現れる。アリの駆除用の薬というのもあって、アリの脚に薬が付くと、巣に戻った頃に効き始めて、全滅させることができるらしいが、あくまでも既存のアリの話だし、頭に入れるだけにする。

では、なぜここにいるのか。実は、3種類の可能性を疑っていた。一つ目はフィリピン産の果物入りの石鹸。二つ目は夕食後に使う電動歯ブラシ用の研磨剤(清掃剤)抜きの歯磨きチューブ。三つ目は朝食昼食後に使う生薬入りの塩歯磨きのチューブ。二つ目も三つ目もサンスター製で、成分として、二つ目には香料(ベルガモットタイプ)、三つ目は単に香料と書かれている。

実験は簡単で、一つずつ遮断していく方法。まず三つ目の生薬入り歯磨きチューブをジップ付きの袋に入れてみたが、変化なし。アリうようよである。次に二つ目の電動歯ブラシ用のチューブを隔離。劇的に減った。数匹残っているがどうもブラシに残香があるらしく、ブラシをよく洗ったらアリも消えた。つまりこのベルガモット系の香料がもっとも怪しいわけだ。もちろん二つの歯磨きはまったく異なるものなので、成分の違いは香料だけではないだろうが、実際にアリがいなくなると、調べるすべもないので、どこかで誰かがやってもらうしかないが、アルゼンチンアリと戦うためには有効な情報だと思う。



それと、洗面台の上で不規則に動き回るのも、例えば砂糖の粉のような目的物があるわけではなく、フェロモンのような空中物質に引き寄せられているだけで目的の固形物はないのでハチ公前交差点のようになるのだろう。

ここで防御的発想なら、違う歯磨きチューブに代えればいいということだが、実は電動歯磨き用の研磨剤の入っていない製品は、非常に種類が少ない。ドラッグストアでも2種類くらいしか売られていない。探すしかない。

攻撃的発想なら、チューブからひねり出して、その周りに殺虫剤を置いて巣に持ち帰ってもらおうとするのだろう。ただ、一つの巣をつぶしたところで、多勢に無勢は明らか。アリの巣退治一つすると5000円もらえるとなれば考えるが、期待ゼロだろう。市の職員はこれからしばらくは、アリとではなく、「カジノ反対」の抗議電話と戦うことになり忙しくなるのだろう。これも上陸したら、絶滅困難ということになる。
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郵便料金

2019-08-29 00:00:06 | マーケティング
先日観た映画(DVD)『ファーゴ』は1996年の映画で、ある大量殺人事件も小さなキッカケから始まるという筋書きで、最後は妊娠中の女性警察署長が推定容疑者にピストルを浴びせて解決するのだが、この女性警察署長の夫が画家なのである。たいして有名ではない画家なのだが、殺人事件が解決した後の夫婦の会話の中で、自分が書いた絵が3セント切手の図柄に採用されたと妻に語り始める。

画家によれば、「3セント切手では悲しい。29セント切手でないと、誰も切手を見てくれない」ということになるが、妻は「郵便料金が上がれば少額切手が約に立つから」と慰めるシーンがある。

ということは、米国の郵便料金は29セントで、値上げされると32セントになるということだろうか。日本でも10月から郵便料金が値上げになる(はがき:62円→63円、手紙:82円→84円)。こうなると買い置きのハガキや切手に少額切手を貼って対応する必要があるので、1円、2円の切手が必要になる。



ということで、日、米、中の郵便料金を調べてみる。

まず、米国:代表的な1オンス(約28グラム)以下の封書が33セント(約35円)である。1996年に29セントが現代では4セント上がっただけである。画家の描いた3セント切手はあまり役に立っていないようだ。

次に、日本:25グラム以下の封書が82円で10月からは84円。割高だ。

そして、中国は、20グラム以内で1.2元(=15円)だそうだ。ずいぶん安い。

では、この郵便料金だが、なぜこんなに国によって違うのだろうか。たぶん、人件費と物流費が異なり、扱い量も大小の差があり、その結果なのだろう。日本国内の物流費は極めて高い。

ところで、二国間の郵便料金だが、万国郵便条約というのがあって先進国からの料金が高く途上国からの料金が安くなっているのだが、トランプ大統領が条約からの離脱をちらつかせている。要するにネットで買い物をしたあと送料がかかるのだが国内業者からよりも中国からの送料の方が安い、と言うことらしい。しかし、よく考えると、郵便料金を値上げするというのは一見では送る方の負担が多そうだが、そもそも送る方にも受け取る方にも目的があるのでどちらも困るということになるはずだ。
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激痛!and 八頭身

2019-08-28 00:00:35 | 市民A
ゴルフに行くため、前日にゴルフバッグを車に積み込む。かなり高低差のあるところに車を置いているからだ。そして、早朝に出発するため、着替えなどをスポーツバッグに入れて、早めに就寝したのだが。

朝、2時ごろに目が覚める。ゴルフに興奮して眠れないのではない。

左手に激痛!

左手の小指の下のあたりが痛みの中心。嫌な感じだ。湿布を貼って朝を待つが一向によくならない。むしろ、しびれがあって、動かすだけで痛い。クルマの運転はできないし、そもそも左手の小指の下というのは、ボールを打った時の衝撃が大きいところ。左手でクラブを握れないのだから、どうすることもできず、あちこちに電話を掛けて中止連絡。

ということで、朝9時には、整形外科医の待合室にいたのだが、診察の時に、痛い場所を探すためにそこを押されて激痛で声が出てしまう。数十年前に大学受験期間中に肋骨にヒビが入った時よりも痛い。おそらく腱鞘炎だろうとは思いながら骨折だったら嫌だと思っていた。



そして、X線撮影の結果、骨折はないとのこと。腱鞘炎なのか、腱そのものの炎症なのか、あるいはその他の炎症なのかはっきりしなくても、結局、湿布と痛み止めの服薬で数日様子をみて再診ということになる。

ゴルフバッグを車から下ろして階段を上るのはなかなか片手で行うのは難しい。せめてもの幸いは道具を掃除したり、ウェアを洗濯する手間がかからなかったこと。ゴルフ代・ガソリン代が浮いたことなど。

ところで、自分の掌は平均より厚く大きいのだが、指が短く見える上に、指が不ぞろいで曲がっている。いわば下級国民の手なのだが、X線で撮影された手の骨の画像は、なかなかスタイリッシュな感じがした。高村某作の彫刻の様だ。骨は美しいが、肉が付くと醜い手に見えるということだろう。


まったく面白くない話を書いているので、読者サービスとして、美しい骨格の代表として言われる「八頭身美人(美男子)」のこと。頭の上下の長さと、身長の比率が1:8であるのが美しく感じられる要素らしい。

といっても自分が何頭身なのか調べるのは難しい。頭の大きさを測るのは意外に難しい。首からはずして机の上に置くわけにはいかない(物理的には可能)。

骨格の記事を調べているうちに、何頭身かが簡単に測れる方法を見つけた。要するに頭の長さを測るのではなく、あごから下を測って、身長から差し引いて頭の長さとするわけだ。

具体的には、あご下身長をはかるためには壁や柱に向かい合って立つ。身長測定の逆だ。そして顎の下の位置をマークして、そこから下を巻き尺等で測ればいい。身長÷(身長-あご下長さ)という式である。日本人の平均は7.2位だそうだ。

ということで、自己測定したのだが、答えは7.0から9.0の間にあるのだが秘密にしておく。

腱鞘炎のため、右手一本指打法で書き続けると、右指の腱鞘炎にもなりそうなので、おしまい。
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ファーゴ(1996年 映画)

2019-08-27 00:00:13 | 映画・演劇・Video
コメディ映画(喜劇)に分類されるそうだが、その意味は、なかなかわからない映画である。

ノースダコタ州の都市ファーゴで起こる大量殺人事件を描いている。




映画の冒頭で、「This is a true story.」と1センテンスが現れ、字幕に「これは実話である」と書かれている。カポーティの『冷血』のようなものかと思わせる。

ストーリーをごく簡単にかいつまんで述べると、

1. 自動車販売店の営業部長の男は個人的な借金に追われている。
2. ところが、妻の父親は大金持ちであるが、この営業部長を小者と思っている。
3. 妻の父親から金を出してもらうため、娘(つまり営業部長の妻)を狂言誘拐しようと思いつき、二人の実行犯を探し出して依頼する。
4. ところが、誘拐したところまではうまくいくが、隠れ家に運ぶ途中でパトカーに遭遇し、警官1名をピストルで殺害。原因は新車にナンバーをつけ忘れたから。その現場を目撃した男性2名も口封じのために射殺する。
5. ここに登場するのが妊娠中の女性警察署長で、自動車販売店関係者に捜査の手を伸ばし始める。
6. 一方、実行犯は、狂言誘拐どころではなくなったため、身代金を増額して逃走しようと考える。
7. 妻の父親は、大金をかばんに詰めて娘の救出に向かうが、殺害され、逆に金を奪われてしまうし、実行犯は逃走中に駐車場係員を射殺。(この段階で犠牲者5)
8. このあたりで女性署長はついに営業部長の男を指名手配する。
9. さらに署長は隠れ家を見つけ、ピストルを構えて単身突入すると、一人の実行犯がもう一人を射殺したあと、死体を粉砕していたわけだ。さらに人質の女性も死亡していた。ということで、犯罪者(営業部長+実行犯1名)は捕まり、まずは檻の中に入れられ、7人の犠牲者は墓の中に入れられる。

こういう、ちょっとした軽犯罪のつもりが、どんどん深みにはまっていくというのはよくある話なのだが、なぜコメディなのかというのは簡単な話で、冒頭の「実話」というのがウソだからだ。ウソというより、コメディの一部ということだそうだ。

小さな問題を取り繕うとしているうちに、徐々に大きな問題が発生していき最後は大破綻というのは、例えばサッカーの試合の失点などにはよくある。バックパスの失敗を外に蹴りだせばいいものを無理なパスを重ねてさらに危険な状況に追い込まれ失点してしまい、ワールドカップの本戦に出場できなくなるとか。

日韓問題もそういうことに向かっているように思えるが、たぶん喜劇ではなく悲劇のような気がする。

すっかり書き忘れたのだが、冒頭の「実話宣言」だが、まったくの作り話。ということで喜劇ということだそうだ。
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ライロニア国物語(レシェク・コワコフスキ-著 寓話集)

2019-08-26 00:00:00 | 書評
コワコフスキという怖そうな名前の作家を知らなかったのだが国書刊行会から出版されている『ライロニア国物語』という寓話集を読んでみた。



ポーランド出身の作家・哲学者ということで、スーザン・ソンタグや村上春樹やアーサー・ミラー、ジョイス・キャロル・オーツといったもう少しでノーベル文学賞を取りそうだった人の多くが受賞している「エルサレム賞」という文学賞を受賞している。ちなみに「セールスマンの死」で有名なアーサー・ミラーは2003年に同賞を受賞し2年後に亡くなっている。コワコフスキも2007年に受賞し、2年後に亡くなった。村上春樹は2009年に受賞し、10年経っても健在だ。スーザン・ソンタグは2001年に受賞し3年後に亡くなった。ジョイス・キャロル・オーツは2019年に受賞し、まだ81歳だ。

コワコフスキはポーランドという第二次大戦で痛い目にあった国の出身で、18歳で終戦を迎える。戦後のポーランドという微妙な国で、独裁政治と戦う市民の側の政治的論理付けを行うことで、東欧の民主化の推進力となっていた。実は、日本語に翻訳されているのは、この1995年に上梓された寓話集と1967年の「責任と歴史-知識人とマルクス主義」の二冊だけ。二冊目を出版したあと、ワルシャワ大学を辞職してオックスフォード大学で教えることになる。マルキシズム批判でも書いて追放されたのかもしれない。

本書は、「お伽話」を装っているが、あきらかに独裁国への皮肉に満ちている。簡単にいうと、ライロニアというどこか近くにあるはずながらはっきりとした場所がわからない独裁国の話で、大きくいうと有名なアンデルセンの「裸の王様」のような社会風刺的な話が13話並ぶのだが。どうも、これらの作品の背後に隠れる思想的バックボーンは、「市民主義」と「反独裁主義」だけではなく、ギリシア神話の時代から欧州の底流を流れる「道化主義」をうっすらと感じるわけだ。

ところで、国書刊行会、見かけのよいしっかりした本を作ることで有名だ。いつかお世話になりたいと思っているのだが・・
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半蔵門ミュージアムに行く

2019-08-25 00:00:31 | 美術館・博物館・工芸品
2018年4月にオープンした『半蔵門ミュージアム』へ行った。半蔵門駅徒歩ゼロ分。戦後に誕生した宗教法人が所有する仏教美術品を主として展示している。



常設展示の中には、運慶作と言われる大日如来座像(重文)が含まれる。この像のためのミュージアムと言ってさえいいかもしれない。

2008年にニューヨークの入札(クリスティーズ)で教団がおよそ14億円と言われる金額で入手し、しばらく国立博物館で展示されていたものが、やっと新築の自宅に入居したようなものだろうか。日本国内では高額で購入できる美術館がないため、主に宗教法人が収集を進めているようだが、後発であったため、思い切ったともいわれる。

運慶作と確定している同様の形式の国宝(円成寺)と比べて金箔の多くが残っていることもあり、像の前にしばらく立っていたが、開祖とはことなり、私の上には何も降りてこなかった。



特集展示として、棟方志功の木版画(仏教関係)や、芹沢銈介の型絵染の「釈迦十大弟子」が並んでいた。両氏とも倉敷市の大原美術館に特別ルームがあったが、芹沢銈介について大原美術館には仏教的作品はなかったように記憶している(曖昧だが)。少し意外だった。

念のため、信徒でなくても入場無料。大日如来坐像の前で何かが体内に降臨した人の今後の人生は自己責任で決めてほしい。
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将棋の神は残酷なのか否か

2019-08-24 00:00:24 | しょうぎ
自身のうつ病経歴を、『うつ病九段』として出版した棋士が先崎学九段。同時代の天才棋士と言えば元女流名人の林葉直子さんかもしれない。同門である。その天才九段が、盤上以外の過密な仕事をこなしているうちに、うつ病になり入院を余儀なくされ、退院後も本人談では七手詰の詰将棋が解けず泣きたくなったとされる(七手詰でも超難解作はあるが)。

私は「メンタルヘルスマネジメント一種合格者」でもあるので、客観的に言うと、うつ病の既往歴がある人は15%程度いて、治療中の人は3%位いるということなので、「うつ病はよく罹る病気であり、たいてい治る」という結論を知っている。

なんらかのストレスがあると免疫力が下がり、体力に自信のない人は「神経内科」に行き、体力に自信がある人は「精神科」にいくことが多い。そのままにしておくとガンに罹りやすい状態である。特に、遺伝的要因はないし、人によってストレスは異なるし、さらに患者数に対して専門医が少ないため、一人当たり診察時間が短く、ストレスの真因がつかみにくい。

ともあれ、最近は棋戦に復帰しているのだが、落とし穴があった。8月12日に行われた叡王戦九段戦予選の島朗九段との対局。184手目に二歩を打って負けた。こういうのは、実にいけないわけだ。



この将棋、一風変わった図になっている。60手目の段階で、先手陣地の一番奥の5九にと金、と金をまもるために後手は5八に歩を打った。まだ中盤の段階で、盤の中央にこんな形が現れるのを見たことはない。しかし、この二枚を無理に取ろうとすると大損害になるため、なかなか形が崩れない。まさに天才先崎の面目躍如たるところだ。



そして100手進んだ160手目、ここで先崎九段が△6六竜と竜を捨てると以下▲同玉△5五金で15手詰。と金と歩が生きて快勝となるはずだったが、△6六角打と常識的な手で決めきれず、混戦になり、最終局面となる。



そして、▲6四角の王手に対して、△5三歩と禁断の二歩を打ち反則負け。

調べてみると、どこに逃げても何を合駒しても詰まされるようだ。▲6四角でなくても▲3一角でも詰んでいる。つまり、元々負けている上、反則までしてしまったということ。

うつ病体質の方は、こういう場合「詰みを逃した上、二歩を打って負けた。二歩の原因は100手以上前に5八に歩を打ったからだ」と思うわけだ。

病気にならない人の考え方は、「何を指しても詰んでいて負けなのに、二歩までして、本来二敗のところ、一敗ですんだ。たまたま、詰みを見逃してしまったが、本当は自分が勝っていた」ということ。

もしかしたら昨今の日韓問題のこじれも、こういう国民性的認知の差があるのかもしれない。

さて、8月10日出題作の解答。





初手に▲3二角成と捨てるが、取ってくれない。3手目の▲3四飛は△同玉と取ってくれる。△5五玉と逃げると、▲5四飛 △6五玉 ▲5七飛と空中すかし詰めがある。この段階で2四銀が邪魔駒になっているが、▲3五銀と捨てても取ってくれない。最後の5手は馬がビュンビュンビュンと鷹狩りのように飛び回る。発見できるかどうかは感覚の問題。

動く将棋盤はこちら

テスト的に作ってみました。




今週の問題。



一応、普通感覚の問題だが、やはり鷹狩り風に追いかける(注:鷹狩りとは、鷹を捕まえるのではなく、鷹を使って弱小動物をイジメるゲームのこと)。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数を記していただければ、正誤判定します。

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アリ、発見。

2019-08-23 00:00:02 | 市民A
アシナガバチの駆除が終わったと思ったら、アリが出た。洗面所の白い洗面台の上に数匹、うごめいている点があった。きわめて小さい。体長2ミリ、幅は1ミリ弱。動きが速い。よく見ると10匹近くいる。なぜ、そこにいるのか。



この場合、考えるべき点は、「アリなのか白蟻なのかヒアリなのか」つまり蟻の種類。なぜ、ここにアリがいるのか。巣はどこにあるのか。以上3点だろう。

ということで、しばらくアリを泳がせて観察したが、よくわからない。どこからきてどこに行くのかも不明。一応、目的物の候補だが、フィリピンの友人からもらったパパイア入りの石鹸。S社製の電動歯ブラシ用の歯磨きのチューブ(含有物の中に香料(ベルガモット系と書かれている)。同じくS社の塩入り歯磨きチューブ(含有物の中に香料とある)。この中にハチを引き寄せるフェロモンがあるのかもしれない。ゴルフに行くときに整髪料を使っていると頭の周りに虫が飛び回って困ることがあるが同様なのかな。



そして、あまりにも小さいので肉眼で蜂の種類を調べることができないため、一眼レフで接写して拡大してみた。どうもハチの巣とか蛇の文様とか、こういう方向に大活躍しているのだが。


どうも、想像もしていなかった生物のようだ。

画像の特徴としては、「触覚が長い」、「尻尾の部分が尖っている」、「黒ではなく茶褐色」「体長2ミリ」という点で、各種のアリと比較すると、この種しかいないことになる。



アルゼンチンアリ

世界に広がりつつある特定外来生物である。

横浜市のホームページでは今年春の段階で横浜市沿岸部で確認されたことになっている。

海からはかなり遠くなのだが、これだけ激しく動けるのだから、数日で到達するのかもしれない。



実は、人間を直接噛んだりはしないようだ。しかし、朝起きたら大量発生で、体の周りがアリだらけになったりすることがあるそうだ。

そのために、神経症になる人が多いようだ。

目の前のアりをつぶしても役に立たないだろう。巣をさがすことと何に群がろうとしているのか探すこと。どちらも困難な感じがある。

ところで、アリは生物学的分類だと、ハチ目、フタシアリ亜科ということだそうだ。ハチの中でもスズメバチに近いようで、ミツバチとスズメバチの関係よりも近いそうだ。手ごわいことが予想される。
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夏まつりにプロレス。ここ、メヒコか?

2019-08-22 00:00:47 | 市民A
隣町の夏まつり。どうも居住している地域の祭りは堅苦しい。そもそも自治会運営でK〇党とK〇党という組織運営命の人たちが活躍していた時代があって、最近になって正常化に向かっているようだが、いずれにしてもなにごとも堅苦しいわけで、隣町の花火大会とか、別の隣町の夏まつりの方がフランクだ。

そして、夏も終わりに近づいて、秋の豊作を祈るべき時期、つまりもっとも夏まつりに適した直近に開かれたのが、隣町の広場プロレス。

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そもそもプロレスというのは米国と日本とメキシコでは市民権があるが、他の国ではどうなのだろう。広場のプロレスとなると、もう日本かメキシコか。(米国では、元プロレス団体の会長が商務長官になりそうというプロレス的な話もあった)

そういえば、数十年前に在籍した会社に新日本プロレスの有力者の兄弟がいて、タダ券を4枚もらって、二人で見に行き、余った二枚を入場前にダフ屋に一枚1000円で売っていた。当然ながら後で隣の席に座る二人は、そのダフ屋からチケットを購入したわけだが、こちらは知っていて、相手は知らないわけだ。

しかし、プロレスというのも、基本はショーになっていて、試合中に痛めつけられた方が、最後の一瞬の返し技で勝つということになるのが普通。数十年前の常識はそうだった。

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今回も基本の技やルールは変わっていない。レフェリーが見ていないファウルは、やり放題だ。ビデオ判定も未来永劫行われないだろう。野球、サッカー、相撲・・・多くのスポーツでは審判の判断が訂正されることがあるが、そういう意味だとプロレスでは判定が覆ることが絶対にない、というのが競技が長く存続している理由なのだろう。

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第一試合は、体の大きな選手のパンツの後ろには、何と「POLICE」と書かれている。そして元警察官であったということを売り物にしている。品のないことにパンツの前部には警察手帳の金色の紋章が張り付けられている。ニセ警官かもしれない。

両選手の力量には大きな差があって、圧倒的にPOLICE選手が攻め立てて相手選手を担いだり投げ捨てたり肘打ちを食らわしたり。ボディスラムの回数は数知れず。

こういうシナリオの場合、どこかで自然に見える潮目があって、弱い方が逆転勝ちするのだが、そうはいかずリング中央でPOLICE氏の逆エビ固めが決まり、ギブアップ勝ちになる。これではイジメの構造そのものだ。最近の若年層には、こういう弱肉強食主義が受けるのだろう。勝った選手に対するブーイングはなし、大きな拍手を浴びていた。
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復筆したトマス・ハリス

2019-08-21 00:00:23 | 書評
新潮文庫からトマス・ハリス(79歳)著『カリ・モーラ』が刊行される。13年ぶりの新作。

過去45年にわたり、一連の不気味な小説で読者を震え上がらせてきた。さらに、それらはことごとく映画化され、累計5000万人の彼の読者の何倍かの数の人間に恐怖と「ハンニバル・レクスター」という小説史上に名を刻む悪漢を記憶させた。

彼に運悪く狙われたものは、恐怖の限りを味わわされた末、皮を剥がれたり、脳みそを生きたまま食われたりするわけだ。いわゆる「猟奇」をはるかに通り越している。

さらにデビュー作『ブラック・サンデー』以降、公式のインタビューはいっさい受付けず、周囲の人たちしか彼の実像を知らなかったことから、さぞ気持ちの悪い生活を毎日続けているのだろうと思っている人も多いだろう。朝昼晩の食事には動物の生き血がかかせないとか・・



ところが新潮社の書評誌『波』には、新作『カリ・モーラ』の刊行記念のインタビューが公開されている。本作のクライマックス・シーンの舞台はマイアミ。インタビューはマイアミで行われた。場所は、動物保護センター。傷ついた動物たちが運ばれる場所を、彼はよく訪れるそうだ。

インタビューを読むと、どうも質問は、新作にハンニバル・レクターが登場しないのはなぜか、ということにこだわっているようだ。というのも、今回は麻薬王の話だそうだ。さらに地下金庫に眠るはずの金塊争奪戦があるようだ。ただ、臓器密売業者も登場するので、何らかの臓器狩りに話があるかもしれない(たぶん、心臓だろうと予感)。カリ・モーラは邸宅管理人の名前で、善意の人物。麻薬と金塊と臓器をめぐる戦いの中で、彼の運命がどうなるかということらしい。



怖くてしょうがない著者だが、結果として彼の小説は全部読んでいるわけで、どうなるのかな・・

なお、インタビューに今まで応じなかったのは、インタビューしなくても本が売れていたからということらしい
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レンタネコ(2011年 映画)

2019-08-20 00:00:25 | 映画・演劇・Video
基本的に猫好き用の映画である。世間では猫派、犬派とよくわけるが、こどもの頃にどちらかの(あるいは両方の)動物に痛い思いをさせられた経験がある人は、どうしても警戒してしまい、動物にその警戒心を感づかれてしまい、近寄ると、ウ~~~と不機嫌な威嚇を受けるということになるのではないだろうか。

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さて、本映画、脚本も荻上直子監督の手になる。『かもめ食堂』ではフィンランドでレストランを経営する日本人のなんとなく気怠い感性を撮ったのだが、『レンタネコ』でもゆるい空気が漂っている。

登場人物は数人いるのだが、基本的には猫のレンタルをしているサヨコ(演:市川実日子)という女性の独り舞台のようなもの。おそらく35歳位ではないだろうか。探している結婚相手はプラスマイナス15歳。2年前に祖母が亡くなってから、旧家に寄ってくる心優しい猫たちをリヤカーに載せて、河原を歩きながら猫を借りてくれる心寂しい人間を探す。いわば、出張猫カフェのようなもの。

映画の中で、猫のレンタルの要望を受けるのが4件。1件目は、おばあちゃま。一人暮らしが寂しいというので、自分が亡くなるまでの期間、猫を貸してほしいということになる。ところが、しばらくして、おばあちゃんの息子から、猫を返したいと言われる。家には息子だけがいる。おばあちゃんが亡くなったという直接的事実は映画に登場しないが、8割方おばあちゃんの他界と同時に期間契約が終了したと想像できるのだが、2割位は息子が親を殺したのではないだろうかと疑うこともできる。

2件目は、単身赴任6年の中年男。やっと元の家族(妻と娘)のもとに帰れるというのに喜んでいない。もはや、実家には彼の居場所がないようだ。寂しいので実家に帰宅するまでの数日間、猫を貸したら、このままずっと飼いたいと言い出した。実家がどこにあるのか明かされないが、そういう人でなしの妻子が多いのは、京都とか名古屋ではないだろうか。

3件目はレンタカー屋の一人店長の女性。毎日、つまらない仕事でうんざりしていた。一緒にドーナツを食べて猫を貸し、車を借りる。数日後、電話があり、ハワイに行くので猫を一端返すと言われる。猫が店長を元気にしたわけだ。

4件目は中学の同級生の男。突如現れ、猫を借りたいと言い出すが、中学時代からの嘘つきには貸さないことになる。そして、彼がいなくなってから警察がきて、彼が追われていることを知る。中学の時の回想の中で、彼女が当時から祖母と暮らしていたことが明らかにされる。映画の本題ではないが、家族が祖母だけだったことの理由は明かされないままとなる。そういえば、旧家の庭には、いくつかの小さな墓標が立っていて、中学同級生の男に、その墓標は死んだ猫のもので〇〇〇、△△△、×××と次々に猫の名前を語っていくのだが、その中に猫というよりも人間用のような名前が含まれていたことに気付いた。父母が生きていることになっていて年金を・・・?

よくある話だが。
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煽り運転防御用に注目されているグッズ

2019-08-19 00:00:23 | 市民A
指名手配中の容疑者Mだが、学歴や大学卒業後に日本で一番平均年収の高い(2000万円)理工系会社(激務で有名で「30代で家が立ち、40代で墓が立つ」とも揶揄される)に勤めていたと言われ、相当なIQを持っているらしく、捕まえるのが困難かと思ったら、意外にあっさり。今後、どういう方向に世論が向かうのか不明だ。

ところで、「煽り運転をするような暴漢から身を守るためには」というテーマで各界の専門家がアドバイスを述べていて、多くは、「かかわらない」「人の多いところに逃げる」「ドラレコやスマホで撮影する」「窓を開けない」というような原則で、それでうまくいくとも限らない。緊急時に車から脱出するためにガラスを割る器具だってあるし、木工作業用のくぎ抜きで叩けばガラスは割れるはず。被害者が痛い目に合わないと警察も動かないし、それもずいぶん後でだ。

そもそもアメリカではピストルを持っている人も多いのだから、暴漢だって車を止めて歩いて近づくということにはならないだろう。といっても、日本ではそうはいかない。しかも仮にピストルを隠し持つことができても、遠くからパンパンしてもあたらない。かなり接近して撃たなければ当たらない。スタンガンも接近した状態でないとショックを与えられない。

ということで、にわかに注目を浴びているのが、蜂の駆除用の噴射型殺虫剤。ネット上で散見される。実は数週間前にアシナガバチの巣を退治するのに使った。蜂退治には2通りのタイプがあって、噴射型の殺虫剤は、巣を退治するためにエアゾール式に液が一か所を目指して激しく噴き出していく。一方、屋外で蜂の大群などに襲われた場合には防御用として、自分の周りの空中に噴射して難を逃げる。ミサイルに例えると前者が攻撃型ミサイルで、後者は迎撃型ミサイル。基本的には暴漢に対しては攻撃型殺虫剤でないと効果がない。ハチじゃないし。



自分がアシナガバチ用に使ったのは1000円程度の商品でバズーカ砲の形だ。“バズーカ方式で巣ごと全滅”となっている。理想的には3~4mに近づいて噴射するようになっているが、11mほどは効果があるそうだ。水をホースから飛ばすように殺虫剤を含む溶液が最大45秒間噴き出す。これを暴漢に目掛けて吹きかければいい。かなり抑止効果はありそうだ。的を外すことは、まずない。



しかし、実戦的に言えば、欠点はある。

たとえば、45秒でも撃退できなかった場合はどうするかとか、吹き出し口に恐怖感がないため威嚇力が少ないとか。

そして最大の欠陥は、「人間にはあまり効かない」ということ。そもそも蜂の体重は0.1g~1.0g位なのだから、ピレスロイド系の殺虫剤では人間が死ぬほどの量には程遠いわけだ。また溶剤の方は「ケロシン」と書かれている。なぜ英語なのかよくわからないが、日本語でいうと「灯油」。灯油を吹きかけられたくはないが、それだけで死ぬわけでもない。

一方で、灯油を液体混じりの霧状にして吹きかけるだけでなく、それに火が付くと火炎放射器そのものになる。ガソリンではないのですぐに爆発することはないと思われる(保証できないが)。指がやけどする可能性はあるが、この蜂退治とチャッカマンを併用するとかなりの危険装置になるはずだ。右手にバズーカ型スプレイ、左手にチャッカマン。ちなみに液剤の噴射範囲は11mとなっていて、自衛隊の携帯型火炎放射器の有効範囲は20mとされるので、その半分ぐらいの威力と思われる。

しかし、もちろん実験結果を見たわけではないので、効果と後始末と事後連絡先について想像することは難しい。火炎放射器が実際の戦場ではあまり効果を上げることが少なかったのは、燃料がなくなった後は、兵士は逃げ出すしかなかったことと、背中のタンクに着火して噴射する前に自爆することがあったからだそうだ。むしろ、山中で熊に襲われた時の最後の手段としての方が効果的かもしれないが、その結果山火事になっても責任は一切取れないので、念のため。

ところで、自分的には、数万円を支払って、車の前後にドライブレコーダーを取り付けた。もっとも取り付けた結果、違反行為の証拠が残るということにもなったわけだ。

なお、本日の記述の真意については、私家製の火炎放射器を使うことを勧めているのではなく、蜂駆除用のスプレイはあまり効果がないという主旨なので、錯覚されないように強く確認しておく。
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鹿島清兵衛物語(明治に生きた「写真大尽」)展

2019-08-18 00:00:12 | 美術館・博物館・工芸品
六本木のFUJIFILM SQUAREで開催中(~8/31)の『鹿島清兵衛物語』という写真展を観た。明治時代の日本写真会を支えた一人であるという功績者である一面、酒問屋「鹿嶋屋」の清兵衛という八代受け継いだ名跡を大散財で傷つけたという負の一面があり、大変におもしろい人物で、森鴎外などが小説の主人公として記述したり、反対にネガティブな一面を中心に見ると、とんでもない大馬鹿者のように書かれたりしている。



調べれば調べるほどわからなくなり、さらに昭和中期に彼の住まい跡から埋蔵金が発掘されるという謎が謎を呼ぶ事件も起きている。

ということで、深く調べるのも大変なわけだ。何が正しいのかよくわからないので、勝手に解釈してみる。

そもそも清兵衛は1866年、大坂の酒問屋「鹿嶋」当主清右衛門の次男として生まれた。「鹿嶋」には東京(江戸)に鹿嶋家の分店「鹿嶋本店」があり、跡取り娘である乃婦がいた。4歳で江戸に送られた清兵衛は八代目を名乗り、婿養子として鹿嶋本店を任されることになる。東京の仕事は「下り酒」と呼ばれ、大坂の「鹿嶋」で伏見、灘で作られた酒を消費地である東京に送り、販売することで、相当の利益があったようだ。



ここからが、この写真展と結びつくような写真大尽の話になるのだが倉庫の中に先代(つまり妻の父)の残した写真機を見つけたわけだ。そして、20代に写真の世界にかかわっていく。海外から写真機や照明器具などを集めてくる。一方、そのころ乃婦との間に4人のこどもが生まれていた。そして自宅近くに玄鹿館という巨大な写真館を建てる。スタジオである。また実弟の清三郎を英国に送り、写真技術を勉強させる。

ここまでは、今でもCSRの一環で、ある話だろう。ところが、当初は日本各地の失われそうな風景を記録するという立派な被写体を探していたわけだ。老朽化していた広島の厳島神社の海中鳥居の写真も今に残っている。ところが、いつの頃か被写体が女性に変わっていく。とくに、新橋芸妓「ぽん太」をビールの宣伝用ポスターで撮影してから、急に親しくなっていったようだ。本展覧会でも「ぽん太」とその妹分「おゑん」の写真が多く出品されている。

結局、ぽん太(本名、恵津)は八代目清兵衛が身請けすることになり、後に清兵衛が鹿嶋家から離縁されると後妻ということになる。二人の間にはこどもが12人も生まれる。現代なら表彰状かもしれないが、当時は誰もそんなことは思わなかったはずだ。おゑんの方は清兵衛の弟である清三郎の妾ということになった。

そして、鹿嶋家から離れた清兵衛は玄鹿館を閉鎖し、別の場所に「春木館」を建てるが、事業は失敗。さらに演劇の舞台照明の仕事も始めるが、照明作業中のマグネシウム爆発で右親指を失う。写真館を閉めるしかない。唯一、若いときに覚えた横笛の腕前を生かし、能の舞台での笛方の仕事を始めることになる。そしてなんとなく最後は寂しい人生を58歳で終える。

一方、本店に残った乃婦は、別れた亭主が外で作った大量のこどもたちに、支援金を送っていたそうだ。

という話で終わればよかったのだが、清兵衛が亡くなって(1924年)から39年後の1963年、鹿嶋家の跡地が開発されビル工事が始まると、地中より小判が大量に出てきた。写真現像液用のガラス容器に入っていたことから八代目清兵衛のものと思われた。当時の価格で6000万円。現在価値は10億円。一応、鹿嶋家のものと認められ子孫たちに配分されたそうだが、決め手となったのは、清三郎が残したガリ版刷りの資料「古金の発見」ということで、こどもの頃に、家の床下に埋めてある小判を掘り返して数を数えたという記載があったそうだ。

しかし、清兵衛の時代は明治であり、既に小判は流通していない。清兵衛は離縁され困窮するのだが、小判のことは忘れていたのだろうか。

なお、清兵衛は乃婦と結婚したわけだが、その時には乃婦には実弟が生まれていたそうで、本来はその弟たちが跡を継げばよかったのだが、既定路線として清兵衛が跡を継いだそうだ。弟の一人は、金融業を始め、相当の利をなしたようで、その後、曲がりくねった道をたどった結果、現在は埼玉県で鹿島屋(株)としてガソリンスタンド十数店を経営している。

八代目鹿島清兵衛の人生、資産を道楽と女につぎ込んだ大馬鹿者とみるか、私財を投げ打ち日本に写真文化を打ち立てた功績者とみるか。ネガとみるかポジとみるか。まさに写真家にふさわしい人生だ。
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羽生善治氏登壇イベントに行く

2019-08-17 00:00:20 | しょうぎ
8月第一週に行われたマネックス証券の20周年特別イベントを聞きに芝のプリンスホテルへ行く。その前日には東急将棋まつりに出演されていたようで、将棋の勉強とか大丈夫だろうか。また、最近の報道で、足首の慢性ねんざが伝えられていて、登壇の時の様子をうかがっていたら、わずかに歩き方に違和感が見えた。

わたしも慢性ねんざなのだが将棋とは何の関係もない理由だが、足首の問題が股関節や骨盤、脊柱のまがりなどの原因になりやすいので、時々カイロプラクティスに行っている。たぶん、もっとも負担が大きいのが正座、次に安座。急に走ることもよくないが、それは走らなければいい。座ることは仕事だから都合が悪い。



しかし、かなり多くの聴衆が集まったもので、講演者の顔はよくみえない。撮影自由だが、格安スマホのカメラ機能の限界を超えている。

講演の題目は「先読む頭脳を投資に活かす!」というのだが、すこしずれているような気がした。まず、先読む頭脳というのは将棋に必要といわれるが、羽生氏によれば、次の手を考えるには三通りあって、「直観」「精読」「大局観」ということで若いころは「精読」を中心にしても、年が経つと「直観」「大局観」に頼るということだそうだ。

緊張についてだが、緊張がまったくないようでは将棋には勝てないが、良い緊張感が必要とのこと。むしろ緊張している自分に気付くことが重要だそうだ。

AIについてだが、人間は「怖い」という感覚があるので、なるべく危ない変化からは遠ざかろうとするが、AIの読みにはそういう感覚がないそうだ。(私は、人間の思考は効率的に使うことを目的としているため、なるべく読みを簡略化しようとするので読み抜けが多いのだと思っている)

そして、羽生氏の次に講演した「株主優待券のキリタニさん」が「羽生氏は株を買っていない」という事実を明らかにしてしまったのだが、その時にはすでに本人は会場にはいない時間であったのだ。


さて、8月3日出題作の解答。





初手の金打ち、7手目の角打ち、8手目の桂合いなどが難しい。最後は遠打。

動く将棋盤はこちら


今週の問題。



単純ながら、いくつか主張あり。いくぶん非限定的なところがある。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。
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