藤堂高虎家訓200箇条(8)

2006-04-30 07:27:52 | 藤堂高虎家訓200箇条

この71条から80条あたりは、旅の心得シリーズが続く。高虎は家康の策士、知恵袋であったという説(通説ではない)もあるのだが、これらの細かな話は、その説を納得させるものだ。

ところが、なぜか第79条に妙な家訓が混じっている。この79条から高虎の性格をどう考えればいいか、また悩ましい。


第71条 族にて一里二里遠く共川を越へし冬杯川を前に不可置朝川を越せは下々一日かじける物也朝も一里二里夜をこめて可立泊りへ早く可着との事也下々くつろぐ物なり

旅行中、一里(約4キロ)・二里遠くても、川を越えること。冬など川を前に置いてはいけない。朝、川を越えれば、下々の者は一日中、凍えるものである。朝も一里二里は日の出前に立つべきで、宿泊地に早く付けば、下々の者もくつろげるからである。

現代のサマータイム論でも、朝早くから働いて夕方は個人のフリータイムにすべきだ、という意見と、サービス業では早朝から夜まで働かなければならないという反論と分かれるところである。高虎は、夕方のフリータイム論者のようだ。日の出前から日没後まで行軍を続けて、宿泊費を浮かそうという魂胆ではないようだ。


第72条 泊りを立時一人跡に残し座敷其外を見廻り可出かならす道具わするる事あり

宿泊地を立つ時には、一人を後に残して、座敷やその他を見回ってから出ること。必ず道具を忘れていることがある。

なんと、実践的な教訓なのだろうと感心してしまう。高虎は武将として大勢の将兵を引きつれて大行軍する場合もあれば、少人数で城造りのアドバイザーで出張することもあり、また単独行動もあったようだ。ツアーコンダクターだ。


第73条 急旅の時ハ自身もみだき銭を小さいふに弐三百も入腰に可有下々不附時喰物又ハ馬次に可入馬を替時馬牽来る馬士の前にて最前の馬士に早く精出し侯とて乱き銭を能程酒手に致し候へとて遣すへし替りたる馬土精を出す物なりかやうの儀手立に成へし

急な旅の時は、自分でも小銭を財布に2、300文入れ、腰に下げるべきだ。下々のお付きがいなくても食べ物や馬を替えるときいるからである。馬引きがきたら、前の馬子に早く精を出してくれたからと小銭を与え酒代にしなさいと言って渡しなさい。替わった馬子は精を出すものだ。このようなことは手管である。

これまた、なんと気が利いた話なのかと思ってしまう。小銭を持って、お忍びで出歩くということだ。城下町の町衆も気が気じゃない。赤坂のラーメン屋にボサボサ白髪頭のねずみ男が現れたと思ったら、首相だったようなものだ。(彼はポケットに賽銭用の小銭をいれているらしい。)
前の馬子にチップをはずむと、それを見ていた後の馬子が張り切るというのは「見せ金の手口」の一種である。


第74条 夜中にありく時挑灯我より先へ持すへからす先キ見へぬなり我と同しことく並ひ持すへし先キよく見ゆるものなり

夜中に歩くとき提灯を自分より先に持たすべからず。先が見えない。自分と同じように並び持たせなさい。よく見えるものだ。

もっとよく見るためには、自分で提灯を持つことだが、そうすると闇討ちされやすいのだろう。


第75条 不用心成所と聞時ハ夜寝時宵に寝たる所をかへ刀脇指の下緒と下緒を結合せ枕の下にゆひ目を置大小両脇にわけて置急成時大か小か取上れハニ腰共に取道理也尤丸寝之事

不用心な所と聞いた時は夜寝るときは、宵に寝た所とは場所を変え、刀と脇差の下緒(さげお)と下緒を結び合わせ、枕の下に結び目を置き、大小を両脇に分けておき、急な時には、大か小をとりあげれば二つとも取れる道理だ。もっとも、着たまま寝ること。

藤堂高虎のような巨体(6尺二寸:186センチ)の寝込みを襲おうという猛者がいたかどうかは知れないが、準備のいい話だ。「丸寝のこと」とは丸くなって寝ることではなく、着たまま寝ることだそうだ。


第76条 不用心なる道中を通る時錐を拵可持色々徳多しきりの拵やう心持有なり

不用心な道中を通る時、錐(きり)をこしらえ、持つべし。色々徳が多い。錐のこしらえ方に心持がある。

この条はよくわからない。錐(きり)の意味が違うのだろうか???


第77条 追駈者の時走りなから刀ぬけざる物なり口伝三尺迄ハ不立留はしりなからぬくむさと人に不可伝

人を追いかける時、走りながら刀を抜けないものである。口伝だが、三尺(90センチ)までなら走りながら刀を抜くことができるという。他人に教えてはいけない。

他人に教えてはいけない、そうだ。大小だけでなく三尺刀という3本目が必要なのだろうか。重すぎる。

 

第78条 刀の下緒長きを可附假初にも短を不可附

刀の下緒(さげお)は長いのを付けるべきだ。かりそめにも短いのはいけない。

刀の下緒というのは鞘がはずれて回収できなくならないように鞘と袴を結んでおく紐のことだが、短すぎると格闘するときに鞘がじゃまになるわけだ。サーフボードが流れていかないように足に結んでおくリーシュコードのような話だ。あれも短すぎると奴隷船みたいになる。


第79条 仕者の時前に言葉不可懸刀打付る時一度に詞可掛

人を仕留めるときには、前に言葉をかけてはいけない。刀を打ち付けるときに一度にことばをかけるべし。

おそろしい教訓が登場。
正々堂々と、斬る前に名前を名乗ったり、相手に「妻子に言い残すことは、ありや」とか、もたもたしていてはいけない、ということだ。相手の首に刀が食込む寸前に「言い残しはないね」と早口で言えばいい、ということだ。スーパーマンも007も犯罪者グループがもたもたしている間に、形勢が逆転する。サッカーや将棋でも同じだ。


第80条 旅道具かりそめの物にても可成程手軽くちいさき様に可致泊にて道具取ちらし不可置一所にかた付可置

旅道具はかりそめの物でもなるべく手軽に小さくするようにするべきだ。道具をとりちらかしてはいけない。一ヶ所に置き、片付けておくべきだ。

旅行マニュアルのシリーズ物。帰りの飛行機に間に合うように、スーツケースの荷造りは前夜のうちに。


さらに続く。

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日本将棋連盟からの手紙

2006-04-29 00:01:23 | しょうぎ
平成18年4月27日付けの日本将棋連盟理事会からの「名人戦問題の経緯について」という書簡が届く。実は、将棋連盟の末端の方の組織を預かっている(預かっているのに、こちらが会費を払うという不理尽なものだが)。そのため、下々の者にまで知らしめようということなのだろう。まず、引用する。

 名人戦問題の経緯について

拝啓 陽春の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は将棋の普及活動に多大なるご配慮を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、すでにご承知の事と存じますが、名人戦問題では皆様方には大変ご心配をお掛けしている事をお詫び申し上げます。
 毎日新聞社と日本将棋連盟が交わしています名人戦契約書には、「第六十六期(平成19年4月以降)についても両者において同様の契約を継続する。ただし、著しい状況の変化などで変更の提案がある場合は両者協議の上、実施する」となっています。
 そのため、日本将棋連盟では「契約変更の提案」を契約更新の一年前である今年、平成18年3月末日までに毎日新聞社へ一時中止の申し入れをしたわけです。
 ここでいう「契約解消」という文言は、あくまで第六十五期までと同様の契約を解消したいという意味です。理事会としましては、新たなる契約に向けて毎日新聞社とはこれからも交渉を重ねていきたいと考えております。
 また、理事会がどのように決定しましても最終決定は5月26日におこなわれる棋士総会で決まります。手順を踏み、毎日新聞社には敬意を払いながら交渉を続けてまいります。
 一部週刊誌等では、意図的とも思われる悪意の報道がなされており、誠に残念な気持ちでおりますが、将棋連盟の広報活動の遅れや不手際等が重なった事により、あらぬ誤解を招いてしまったのではないかと深く反省しております。
 名人戦につきましては、現理事会の米長は8期、中原は18期、森下は1期とそれぞれ名人戦を舞台に心血を注いで勝負をして参りました。私どもは名人戦においては格別の尊厳と思い入れを持っております。
 しかし、将棋連盟の運営者の立場として厳しい財政下で日々苦慮しております今、ここに名人戦の価値を更に高く評価してくださる新たな提案者が現れますと、運営者としては心を動かさざるを得ませんでした。
 無論、現在の主催者であります毎日新聞社とは、これからも丁重に話し合いを重ね、まとまる様な条件を出していただける事を願っております。
 いずれにしましても、皆様方には多大なご心配とご迷惑をお掛けしました事を再度、お詫び申し上げます。また、今後とも将棋普及へのご尽力を賜りますようお巌い申し上げます。 敬具

 平成18年4月27日 社団法人 日本将棋連盟理事会


言いたいポイントは、
1.契約の有効期限、解約条件を明らかにした。そして、毎日新聞に対し、「契約変更の提案」を行った。
2.意図的な悪意報道は残念だ。
3.財政的に厳しいので、高額スポンサーが現れて、心を動かされた。
ということなのだろう。

そして1については、この問題が始まった時から、多くの方が違和感を感じていた。

3月末に発火したこの問題は、将棋連盟から毎日新聞に対して、第66期(2007年度)以降の契約について、「白紙化する。」という通知を行なったもので、連盟によれば、契約上、1年前通知をしなければ、3年間の自動延長になってしまうので通知をしたもの、との説明である。一方、毎日側は、今まで大きな瑕疵なく継続していたのだから、多額の契約金を朝日が提示したからと言って、契約解除の理由にはあたらない、としている。さらに、今までの恩義を忘れたのか?と感情論を煽っている。また、毎日側から見ると、将棋連盟の向こう側に隠れている朝日新聞社に対して、「ジャーナリスト宣言までして、高い倫理観と法令遵守と掲げたばかりなのに、おかしいじゃないか」と痛いところを突いている。

そして、今回のレターだが、やはり腑に落ちない。想像されるに、契約書自体が玉虫色なのだろうか。

普通、「著しい状況の変化」という用語は不可抗力条項に登場する。1年前通知との関係はどうなっているのだろう。また「・・・・両者協議の上、実施する」というのは、何を実施するのかよくわからない。

さらに踏み込んだ開示が求められるところだ。


次に、週刊誌等での連盟批判の部分は米長会長自身が、HP内に、連盟案反対を煽る人間として、以前将棋連盟職員で「将棋世界」誌編集長だった作家大崎善生氏を名指しで批判している。「年間1億円の赤字の責任は、大崎氏が編集長だった機関紙が売れなくなったからだ、黙れ!」というような内容で、こちらもまた頭に血が上った状態なのかもしれない。

そして、財政的に困窮というのは、具体的には連盟職員の退職金引当金が1億5000万円不足しているということだそうだ、


そして、私の個人的な意見としては、「朝日の方がいい」と思っている。

1.まず、契約金。たくさん払うということは、単純に価値を重く見ているということになる。ただし、発行部数が少ない毎日にとっては、費用対効果を新聞発行部数あたりで計算すると苦しい(しかし大した話ではない)。また、毎日は現在、名人戦の同時動画を有料配信(500円/月)しているが、他紙は無料である。毎日の主張で言うと、「サービスではなく、ビジネス」ということらしい(他紙は自社内ネットだが毎日はMSNという外部ネットということが関係しているかもしれない)。

2.次に、発展性、ファンの拡大という視点で見ると、発行部数と国際性という点で朝日は毎日を大きく凌駕する。特に、今後課題となる同じ漢字文明の中国大陸での受けは、朝日の方が上だろう(それが問題ということもあるのだが、話は将棋に限る)。

3.そして、毎日は名人戦のことばかり主張するが、もう一つの歴史の長い「王将戦」を不当に過小評価していたのも事実。中原副会長が会見の中で明らかにした棋戦ごとの契約金(本当に開示して良かったのだろうか?)を見ると、
 竜王戦(読売) 3億4150万円  (前身の九段戦は昭和25年開始)
 名人戦(毎日) 3億3400万円  (昭和12年開始)
 棋聖戦(産経) 1億4650万円  (昭和37年開始)
 王位戦(東京等)1億2380万円  (昭和35年開始)
 王座戦(日経) 1億0960万円  (昭和28年開始)
 棋王戦(共同) 1億0351万円  (昭和49年開始)
 王将戦(毎日・スポニチ)7800万円(昭和25年開始)

 朝日オープン 1億3480万円   (昭和57年開始)


ところで、朝日のことを激しく非難する毎日だが、必要なのは、名人戦そのものではなく、購読者の拡大そのものであろうと思うし、一時、多く見かけた朝の出勤時の「電車内だけの毎日派」も最近見なくなったのは、コシの弱い新聞紙を使い、指がインクで汚れたからだろう。安上がりで済ませようと考えるなら、現在、報知新聞がスポンサーになっている「女流名人戦」あたりを引き抜いたらどうなのだろうか。どうせ新聞に記載するのは男性棋士でも女性棋士でも10人分くらいなのだから、他紙の裏を行ってもいいのではないだろうか。

しかし、かくして関係者は冷静を欠く展開に陥り、毎日側は、「場合によっては王将戦の存続問題」までちらつかせているのだが、やはりブンヤの喧嘩はずいぶん品がないものだ、と思ってしまうわけだ。しばし、はたで鑑賞する一手なのかもしれない。  
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シンプル詰将棋(&前回の解答)

2006-04-29 00:00:43 | しょうぎ
37054cad.bmpいつも、妙な形の詰将棋で恐縮。今回は、易しい問題の番。これだけ単純だと、同一作もあると思う。ただし、若干のキズ(余詰?)があって、厳密には不完全作と判定されるかもしれない。

実は、易しい問題と言うのは、作るのが難しい。というのも、簡単な問題ができても、作者は解答を知っている関係上、より易しく感じてしまい、もうちょっと難しく直してしまうからだ。そしてだいなしにする。「竜頭蛇尾」どころでなく、「蛇頭竜胴蛇尾」。竜胴の頭にもしっぽにも余計な細工をしてしまう。

わかった方は、コメント欄に「手数と最終手」を記していただければ、判定。


37054cad.bmpところで、前回の詰将棋。これもバラっとした感じで、捨駒一回なのに冗長気味。案外、左脳型の理論派向けだったかもしれない。1手目と11手目の香車の打ち場所は三段目でも四段目でもOK。

37054cad.bmp最近、将棋ソフトを利用しながら妙な詰将棋を作るコツがわかってきたのでケッタイなものをボチボチと発表予定。  
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2006-04-28 07:26:14 | PHOTO
2ad273a6.jpg東京湾アクアライン、「海ほたる」からの夜景。東京タワーらしい方向を。

ところで、このアクアライン、悪口を書けば1ダースは書けるのだろうが、長さは14キロ。建設費は1兆4000億円というところから、1キロ1000億円と言われる。つまり1メートル1億円。幅は片道2車線、上下4車線なので30メートル位か。つまり1メートルは30平米≒10坪。1坪=1000万円ということで、まあ、大都市の一等地並というところ。クルマで走ると約10分で対岸に行ける。しかし、最初は下りで、途中から上りになるのだが、海底では気が付きにくく、自然にスピードが低下し、自然渋滞を起こしやすい。現在は、ほとんど通行量がないので渋滞問題は発生していないが、いずれにしてもゴルファー専用道路と化している。

2ad273a6.jpgそして、最近、類似の話が登場。首都高外環状線のこと。現在の環状線ではなく、主に一般道の環八の場所に設置し、都内の渋滞緩和に役立たせようというもの。既に、東側と北部は完成(あるいはメドが立っている)。残る関越から中央道、東名までのルート(杉並、世田谷という高級住宅地)が未定になっていた。地図で見ると、アクアラインと同じように15キロ位だ。

しかし、結局、地下方式で決着したようだ。高級住宅地で立ち退き料を払ったら、アクアラインどころの金額ではない。また高級住宅街を立ち退いても、行くところがないだろう。反対に、立退き料を期待していた向きには残念ということとなった。そして、練馬から地底に潜って、途中、中央道との接続部で一回外へ出て、再度地下に潜って東名との接続点で地上に浮上するらしい。(第二東名というのはどこへ行ったのだろうか?)

そして、おそらく片道3車線のこの環状道路は、東名高速へ接続したあと、多摩川沿い(あるいは多摩川の上)を走り、どうもアクアラインにまでつながるような気配である。ただし、その大計画が完成する頃に、まだ地球上にガソリンが存在しているかどうかは、想定不能ということなのである。  
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春名幹男氏講演会に行く

2006-04-27 06:25:00 | 市民A
858ececa.jpg先週、月刊誌「フォーサイト(新潮社)」の読者を対象とした講演会があった。講師は、共同通信特別編集委員の春名幹男氏。1946年生まれなので、今年60才。2004年日本記者クラブ賞。国際ジャーナリストとして諜報活動に詳しいとのこと。フォーサイト誌の中でも人気コラムニストである。講演会場は銀座ヤマハホール。

ところで、一般に、雑誌とその読者層のことを考えてみる。もし、ある分野のことに関して雑誌を読んだときに、その雑誌の内容がまったく理解できなかったらどうだろう(理解度0%)。入門書のつもりが難解専門書だったような場合だ。たぶん、その雑誌の次の号を読もうとは思わないだろう。もっと易しい雑誌を選ぶだろう。また逆に、読んだ内容が100%完全に理解できたらどうだろう。やはり次の号は読まないだろう。全部知っている知識について読む人もいない。おそらく、50%くらいは知っているが50%程度の新しい話が書かれているというようなものが好まれるのではないだろうか。つまり、雑誌のレベルと読者のレベルはリンクしているということだろう。

そういう意味でフォーサイト読者に対しての講演会なのだから、フォーサイトの記事を少し越えるようなレベルであるべきなのだろうが、聞いた内容は、ほぼ同レベル、あるいはそれ以下であったのではないだろうか。あまり、体系的に語られたのではなく、原稿なしの雑談風だったのも一因だったのかもしれない。ということで、その講演を紹介したのではちょっと面白くないかもしれないがご容赦を。


さて、最初の話題は、「日本人スパイの必要性」である。ご存知のように、日本には本格的なスパイはいない。公安警察というのはあるが、実際は「陰険な調査」が主たる公務で、別に海外で、「破壊活動」とか「暗殺」とか「クーデター計画」とか「各種違法行為」を任務にしているわけでもない。また、諜報工作を始めれば、海外の諜報組織からは逆に攻撃されたり、カウンタースパイに誘われたりするのだが、とても対応できそうもない。外国では領事館、大使館の電信官というのは普通、スパイ専用の部署と言われ、元国鉄マンが外務省にトラバーユして上海で「つつもたせ」に引っかかって、自爆することなど考えられないそうだ。

それなのに、日本では唐突にスパイ必要論が登場するそうだ。防衛庁や外務省からは英国M16をモデルとした組織作りが提案されたが、まあ、実現のメドはないそうだ。日本の場合はどうしても戦前の憲兵、特高が残した「負の精神遺産」が強烈で、もはや本格的スパイ養成はやめた方がいいというご意見だ。

さらに米国がイラク戦争で失敗した原因の一つは、情報機関が伝えた誤報にあるのだが、米国には16もの情報機関と10万人を超える人間、推定430億ドルを超える年間予算があるのに、あの程度のズサンな状態であるそうで、「情報を集めることより、情報を分析することの方が重要」ということだ。


二つ目の話題は、資源問題。中国側が尖閣諸島にこだわるのは1968年のECAFEレポートで東シナ海の尖閣諸島付近にガス田・油田が確認されたこと以来だそうだ。そして、どうも中国の経済水域内では、大した量がないらしい、ということで、未調査の日本側の埋蔵量に目をつけたのだろうということらしい。「隣の芝生は青く見える」ということだ。日本はまだ試掘していないので、誰もその有望性を語ることはできないわけだ。同じように、イラク、アゼルバイジャン、カザフスタンあたりの米国にとっての重要性はエネルギー問題に尽きるそうである。


三つ目のテーマはイラン問題を中心とした米軍の展開について。あまり時間をかけた話ではないが、春名氏の読みでは、米国は、イランを攻撃するだろうということだ。すでに準備は始まっていて、あとは大統領選との時間の問題ということらしい。何しろ、イランについての情報を米国はあまり持っていないので、情報収集を急いでいる段階との事だ。となれば、残る枢軸国(アクシス オブ エビル)は1つとなる。

今や、米国国防省は、上の方はMBAばかりになっているそうだ。(パウエル氏もMBAだったそうだ)。ラムズフェルド戦略は、国防費の人件費部分を抑えるためのリストラ手法であり、沖縄を中心とした米軍再編問題も、彼が効率化を打ち出した経費削減案に起因するそうである。一方、日本の認識は、まるで公共事業のような考え方だろうといわれていた。

講演会は、かくのごとく常識的に終わり、多くの聴衆の期待していた「スパイの行う非合法活動の紹介」はまるで、一つもなかったのだが、食傷状態の方々が帰り際に、一階のヤマハ銀座店DVDコーナーで「007 製作40周年記念限定BOX」41,790円也を購入して帰ったかどうかは定かではないのだ。  
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夜になると気持ちよくなるものは?

2006-04-26 13:06:12 | 市民A
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両親のうち一人の退院が間近になると、また忙しくなってきた。まあ、詳細は省略するが、いざとなってからばたばたしてもうまく行かない。色んな人とのアポも不定期で、結局、大急ぎの日が続いていて、結局、クルマで夜の道を飛ばすことになる。自宅も目的地も高速の入口(出口)に近いため、東京を超え往復250KMの距離を何度も往復する。高速代金とガソリン代の請求はまだこないが、たぶん小さな運送会社並に高額だろう。

そして深夜の首都高を走ると、これが快適なのだ。渋滞なし。元々ロータリー式の首都高環状線は、たぶん東京オリンピックの頃は十分機能していたのだろう。それは単にクルマが少なかったせいだ。

そして、昼の環状線の渋滞とは一体なんだろう、と首都高環状線の概念図を書いてみた。実際にはこの外に湾岸線があり、未完の環状が部分的にある。

要するに、円形の環から外側に横浜(首都高神奈川線へ接続)方面が1号線。大田区から一般道に降りて少し走り、先に第三京浜のある2号線。東名高速につながる3号線。中央道方面が4号線。関越が5号線。6号線(常磐道へ接続)と7号線(京葉道路へ接続)が同一ラインで混雑するため、環状線内にバイパスがある。また東北道へはいくつかの方法がある。

そして首都高の先につながる高速道路は、ほとんどが片側3車線である。それが都心に近づくと、まず2車線となる。渋滞。そして環状線は片側2車線の右回りと左回り計4車線。ここに元々3車線の高速道路からのクルマが全部集まるのだから、超渋滞になる。早い話が、設計上の問題というか設計者に未来を見る力がなかったからだろう。

実は、深夜はこの環状線方式はきわめてすばらしいものに思える。発展途上国で電気の供給に問題がある国では、交差点管理の基本としてロータリー方式が多用される。信号機が不要。要するに、現代の東京では環状道路が片側2車線では細すぎるということだろう。

何か名案はないか?ということで、奇抜なプランを考えてみた。

要するに、完全ロータリー方式を活かして、環状線を一方向回り(時計回り)にして、片側4車線にしてしまえばいい、ということだ(もちろん入出路の改造は必要)。

ただし、結果についての責任は一切終えないので、その際はよろしく・・ 
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ドンナ話をDON’Aで聞いたか

2006-04-25 07:49:53 | 市民A
400d9082.jpg最近、一人でやっつける仕事があり、一人ランチが多い。偏食はないが、どちらかと言うとパスタは好きな方だ。ペンネやスパゲティには、秘伝のレシピを持っているが、開示しない。秘伝は家訓に書いておく。

ところで、昼にスパゲティを食べようと思っても、結構面倒だ。というのもイタリア料理店は4人テーブルのところが多く、一人では遠慮してしまう。また、基本的に麺を食べるのがヘタクソで、麺の種類に限らず、ソースやスープやカレーうどんのツユを撒き散らしてしまう。中年に到達し、やっと自分のネクタイとシャツを汚す回数は激減したが、覚えたコツは、ツユを後方ではなく前方に飛ばすことなので、向かいの席の人にも気を配らなければならない。そういう一人スパゲティ愛好者に人気なのが、新橋駅に近いビルに入っている「スパゲティ屋:DON’A」である。二人テーブルとカウンター席が多く、席を指定してくれるのでありがたい。パスタにコーヒーとサラダをつけて1000円以下。

そして、トマトソースとツナを中心としたオーダーをして、待つ間に携帯で自分のブログのチェックをしていると、隣の二人席に大柄な男二人が座る。一人は映画監督の崔洋一氏に似た怖そうな丸刈りヒゲ男。もう一人は、若い子分らしくペコペコしている。大きな声で話をはじめる。つい聞き耳を立ててしまうのだが、怖そうな話なので、携帯を指でいじりながら、カムフラージュする。

偽崔:いつもの友達、どーした!
子分:この辺じゃ、やばいんで錦糸町のホテルに潜ってます
偽崔:そんなところにいたら見つかるんじゃねえの
子分:パチンコやってるから大丈夫っすよ

偽崔:オマエ、いつもいい加減だから、たいして取れねえんだよ
子分:学歴がないんで、難しい話は苦手なんです
偽崔:気合だ!学問なんていらねえぞ
子分:四字熟語とか勉強してます
偽崔:関係ねーよ
子分:いつも断られてばかりで・・・
偽崔:いつも、2万、3万で妥協するからいかん。最低5万だ!

このあたりで、スパゲティ登場。要するに取立屋がブラブラしている人間を使ってあちこち回しているわけだ。友達というのも、その一人だろう。

子分:スープ・スパゲティって初めてっす。zzzzzz
偽崔:mmmmm mmmmm mmmmm

子分:うまいっすね。zzzzzz
偽崔:ggggg ggggg ggggg

子分:最低5万っすね。zzzzzz
偽崔:wwwww wwwww wwwww

子分:午後は頑張りますから。zzzzzz
偽崔:uuuuu uuuuu uuuuu


崔監督の怒りが爆発し、スープスパゲティの皿が飛び散って、小惨事の連帯保証人にされないように静かに食べ、コーヒーをグイッと一飲みし、退散する。トマトソースが隣のテーブルまで飛び散らないように、慎重の上に慎重を重ねたのは言うまでもない。やれば、うまく食える。

残念ながら、味は覚えていない。  
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特別展「大名」国立公文書館(~4月27日)(2/2)

2006-04-24 07:29:02 | 美術館・博物館・工芸品
昨日分では、藩の史書を中心とした書籍類について書いたが、そういった文書類だけでなく、現代の東京に残る江戸時代の大名の名残が紹介されている。

しかし、残念ながら、大名の江戸屋敷については、ほとんどが消失しているらしい(断定できないが)。明治維新、大震災、空襲などによるのだろう。今回写真で紹介されていたのは、屋敷の門構えが6件。書院が1、庭園が1である。庭園というカテゴリーなら、他にも何箇所かあるような気もするが。

カテゴリー・・「門」6件
加賀藩 昨日の名君シリーズでも書いた前田家の門は、現代の東京大学赤門である。6件のうち、ただここだけが、元の場所のままで、移設されていない。つまり、キツネが井戸に落ち、落命して足軽5名の死罪が申し付けられたのは、本郷であったわけだ。丹念に展示を見ていると、こういうことがわかる。余計な補足だが、この赤門は絶倫将軍徳川家斉の40人の妻妾が産んだ55人(お手付きはもっといる)の男女の中の35番目位の溶姫が前田家に嫁ぐ時の将軍からのプレゼントだったはずだ。しかし、妙なものが残ったものだ。

鳥取藩 国立博物館内(上野)に移設
徳島藩 世田谷区の下馬の西澄寺に移設
岡山藩 大田区下丸子の蓮光院に移設
彦根藩 世田谷区豪徳寺に移設 彦根城へ行くと、井伊家の豪華絢爛の歴史がわかる。彦根城天守閣も本物。
姫路藩 文京区向丘の西教寺に移設

カテゴリー・・「書院」1件
佐倉藩 世田谷区豪徳寺に豪徳寺書院をなす。豪徳寺は大名物を集めているようだ。門と書院。行ってみるか・・

カテゴリー・・「庭園」1件
大和郡山藩 文京区本駒込の六義園。ただし、なんとなくだが目白の細川邸などは、このカテゴリに入るのではないだろうか。


次の話題は、各大名の花押(かおう)。10名ほどの大名の花押が展示されていた。この花押、現代ではめったにお目にかからないが、閣議における閣僚の署名に使われている。たまたま、この公文書館の設立にかかわる閣議決定の文書も展示されていて、各大臣が1.5センチ大の花押で署名を並べている。江戸時代は大名の発する公式文書には、もっと大きな5センチ角ほどの花押が使われている。現代で言えば「本契約書は署名押印の上、各1通を保有する」といった場合の署名と押印が同時に行われるような優れものである。

しかし、前々から不思議に思っていたのは、花押のような文様をいつも同じ筆跡で書けるのだろうか?ということである。文字であれば筆跡ということになるのだが、あれだけ大きなものは筆で書くのも大変だろうということだ。そのことについて、解説されていた。型紙をおいて、墨を塗るそうだ。ようするに手ぬぐいの染めとか年賀状の製作と同じようなレベルの話だ。ナゾが一つ解けた。

と思ったのもつかのま、しばらくするとまた別の疑問がわいてきた。

花押の書体には各種あるものの、たとえば、「おおた」の「お」のような文字とか漢字の「日」といった形の文字の場合、黒塗りの文字の中に白抜きの空間が必要になる。型紙を作って墨を塗る作戦では対応できない。もしかすると、型紙ではなく、もっと立体的な大げさな道具があったのだろうか。白塗りの部分を後ろからサポートするようなアイロンくらいの大きさの型があったのだろうか。こういう問題こそ、現物があれば「百聞は一見にしかず」ということになる。

で、なぜ、こんなことに異常な興味があるのかということだが、例の「竹島問題」である。現在、どういうわけか韓国側が徹底的に嫌がっている「問題の国際裁判所送り」が将来決まった場合、外交文書の真贋や途中での書換えが行われたかどうか、あるいは当事者はそれに気が付いたかどうかというようなことも論点の一つになりそうだからである。が、妙なことを書くわけにもいかないので、興味と根性のある方は各自調べていただきたい。  
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特別展「大名」国立公文書館(~4月27日)(1/2)

2006-04-23 08:00:20 | 美術館・博物館・工芸品
b7228af4.jpg東京千代田区竹橋の国立公文書館で行われている特別展「大名」に行く。

実は、この公文書館の隣にあるのが近代美術館で、現在、藤田嗣治展が行われている。そこは長蛇の列。そしてそこに行くと別館の工芸館が無料で入場できる。この公文書館はその近代美術館と工芸館の間にあり、さらに入場料が無料ということから、ついでに入る方が多いようだ。失礼ながら、ついでに入るとちょっとつまらないかもしれない。

私自身はブログを2年間書いていて、この公文書館にも数度訪れていて、ちょっと楽しみ方が深い。もちろん展示された多くの資料のうち、「ああ、これは、あの話だ。実はこういうことだったのか、なるほど・・」とかわかるのは数箇所だが、それでも十分に楽しい。

人文科学は縦割りの世界で、色々な説を読んでいて、こういう展示会のようなリアルな物体を見ると、つながりがプロよりも有機的に見えてくることもある。


まず、大名と言う言葉は江戸幕府が1万石以上所領を与えた領主に対して使う言葉だそうだ。そして理由は不明だが幕府は各藩に対して、家の歴史書を書くように督促する。そして、各藩は、主に源氏と平氏に分かれたいささか怪しい家系図を作ることになる。そして、藩史を書き、幕府に提出する。今回は、それらの藩の記録が残った図書を中心に展示している。

ところが、今回公開された藩は、主に松平とか阿部とか堀田といった譜代・親藩大名が主である。政府の資料と言えば、薩長連合を基盤とした反幕府諸藩のものかと言えば、そうではないのは、この公文書館の資料の前身が「紅葉山文庫」という江戸幕府の図書館であったからだ。外様大名はあまり、藩史作成には積極的には賛成していなかったのだろう。もちろん藤堂高虎も登場しない。

そして、各藩が自分の藩のことをまとめたものなので、成功談ばかりが記される。その中から加賀前田藩の名君、前田利常の逸話が紹介されている。

時は、五大将軍綱吉。例の生類憐みの令の時代に、前田藩江戸屋敷の井戸にキツネが落ちてしまった。必死の救助活動にかかわらず、井戸から引き上げたキツネは結局落命してしまう。そしてその件を幕府に報告したところ、驚いた沙汰が連絡される。「足軽5名に死罪」ということ。誰でもいいから足軽5名の首をもってこいということ。これに対して前田利常は、あの手この手で画策するが、将軍の許しが出ない。結局、独断で、足軽に罰をもとめない、として要求を拒絶したそうだ。


さらに逸話ではないが、徳川家の藩史である大三川志の中に、家康が二代将軍秀忠の妻に子供の育て方について諭した件が書かれている。要旨は「こどもを甘やかすと、とんでもないことになる。こどもの頃は窮屈に感じるくらいしつければいい」というようなことなのだが、実はこの秀忠の妻というのは、あの「お市の方」の娘の一人である「お江(ごう)」のことである。秀忠にはたった一人の妻しかいない(バツ1の妻は6歳年上だった)。

そしてこどもは女5人、男2人(別に前夫との間に一人)。男のうち一人が三代将軍家光。たぶん、家康はこの家光の教育のことをお江に語ったのだろうが、いかにも秀忠がお江に頭が上がらなかったかということを示している。(実際には、秀忠は、生涯1度?のお手付きをしてしまうのだが、その結果生まれたのが保科正之である。)

さらにお江の娘の一人は和子(かずこ)というのだが、後年、宮廷に入り、濁点を嫌う風習から「まさこ」と呼び方を変え、結局「まさこ」の娘は女性天皇(明正天皇)となるわけだ。そして、家光はきゅうくつなしつけを受けた反動から、男色道にはげみ、後年、女性にめざめてからは、好色道を突っ走る。教育の失敗例となる(文部科学省必見のこと)。

ついでに書き加えると、実際に家光を育てたのは、お江ではなく「おつぼね様」の語源となった春日局である。

(2/2)へつづく。  
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藤堂高虎家訓200箇条(7)

2006-04-22 08:33:35 | 藤堂高虎家訓200箇条

藤堂高虎遺訓集も全200条の中盤(61条-70条)にさしかかっている。

武士としての有様が中心だった前半に比べ、日常的な話題が増えてくる。ある意味で、口うるさいオヤジのモデルともいえるし、自分のオヤジではないことを感謝すべきか・・


第61条 大酒すべからす無是非座敷にて大酒いたす共深く諸事に可慎人のうへにても酔の紛に言事ありとも互につのらさる内に挨拶して退出すべし

大酒を飲むべからず。どうしても座敷で大酒を飲む場合でも、諸事に慎むべきである。寄った勢いで口論するとしても、お互いに論をつのらせる前に挨拶して退出すべきである。

まったく、そのとおり。今も昔もだ。ところで高虎は酒飲みだったのだろうか?たぶん、あまり飲まなかったのではないだろうか。あまりにも冷静なご意見だ。(大酒はダメだが、小酒ならいいようだ。たぶん中酒でもいいのだろう・・)


第62条 惣別傍輩つき合の時物事を大耳に可聞軽口たてあしくあやまり多かるべし

すべて同業との付き合いの時、物事はおおまかに聞くこと。軽口を言うのは悪い。誤りが多いものだ。

談合業者の密談のような話か・・。密談の席で軽口をたたくと本気にされたりする。というのは冗談として、朝鮮出兵の時など、本拠地の福岡名護屋城で全国の大名同士が集まって私的な懇親を深めていたはずだ。まあ、他人の悪口の聞き方についての心得というものなのだろう。


第63条 侍たる者ハ刀脇指可嗜拵ハ見苦しくともねたば成共よくあハせ可指刃なとひけさびくさりたる大小は其人の心見かぎるものなり

侍たるものは、刀脇差に嗜みを持つべきだ。あつらえが見苦しくても、鈍い刃であっても、よく研いで指すべきだ。刃などがくもり、錆び腐った大小は、その人の心持を見限るものである。

刀をきちんと研いでおけば外観が粗末でも構わないと言っている。刀剣を売り飛ばし、中身が竹光などとんでもないわけだ。切腹を言い渡されても、竹光で腹を切るのは、格別痛そうだ。


第64条 冬なり共薄着を好へし厚着を好めばくせになり俄にうす着の時かじける物也不断火にあたりつくへからす但病人老人ハ格別なり

冬であっても薄着を好むべし。厚着を好めば癖になり、にわかに薄着になった時、かじかむものである。普段から火にあたらないようにする。ただし、病人と老人は別である。

ウォームビズの起源は、高虎にあり。ただし、言い出しっぺの大臣が無理をして、肺炎になって入院しても失笑されるからご注意を・・老人は格別なりだから


第65条 火事抔に出る共心得有べし火事に斗心を付度々行当る儀もあり子細ハ我家に火を掛切出る事有左様の時思ひ不寄手負死人有之能心を可附

火事などで外に出るときにも心得がある。火事に心を取られると、しばしば行詰ることがある。つまり自分の家の火を消さずに出ることがある。そういう時、思いもよらず手負いや死人が出る。よく気をつけるべきだ。

まことにありがちな話ではある。が、「念入りなご忠告、ありがとうさま」ということか。近所に来たパトカーの様子を見に行って、その隙に空き巣に入られたようなものだ。


第66条 旅立に船渡の乗合馬次にて心を可付泊泊にて火事抔の時出る道筋可見及なり又不用心なる宿と思はは可心掛有明置べし

旅行の時、船渡しの乗合や馬次に気をつけるべきだ。宿泊地ごとに火事などの時、逃げる道筋を見届けておくこと。また不用心な宿だと思ったら心がけて行灯を置いておくこと。

この家訓を読んでおけば、多くのホテル火災での犠牲者はずっと少なくなっただろう。これから出張には懐中電灯持参のこと。若干、気になるのは、船や馬に乗るときに注意すべきというのは、事故に注意すべきなのか、スリに注意すべきなのか、あるいは乗務員に注意すべきなのかよくわからない。ツアーのガイドさんもできる。(生涯の彼の移動距離は大変なものなのだ)


第67条 不断食物ゑよう好みすべからすくせに成也急成時節難成常に善悪を不嫌麁菜給つくへし急成時の嗜なり

普段から食物のぜいたくや好き嫌いをしない。癖になる。急な事態に対応できない。常に善悪を言わず、粗菜を食べるべき。急な時の嗜みである。

偏食問題は今も昔もだ。学校給食の時に直さないと、将来、老人ホームに入った時に苦労する。


第68条 不断少の事に薬好み并持薬気附の類何も不可好

普段、少々の事で薬を好み、持ち薬や気付けの類も好んではいけない。

胃腸薬やビタミン、鎮痛剤、睡眠誘導薬、強精剤など愛好している人は現代では多い。渇!


第69条 人に少の物にても必無心不可申心根知るなり可慎

少しのことでも、絶対に他人に無心をしてはいけない。心根が知られてしまうから慎むべきだ。

この条の特徴は、「必無心不可」と「必」という字が入っていることだ。絶対に無心はいけない。ということだ。ただし、借金は無心ではないからいいのだろう。

第70条 身代恰好に応し不入物も可嗜不及書付也

収入や格好に応じて不要のものでも嗜むべきだ。書き付けるには及ばないが。

書き付けるに及ばないというのは、具体的な事案のことだろう。銀行員のゴルフクラブとか、ブランドネクタイとか社長専用車とか現代でも色々あるが、人間は、身代格好を超えて「豪華絢爛主義」に陥りやすいものだ。そうなるとカネに詰り、「無心」に走り、胃が痛くなり、「胃腸薬を持ち歩く」ことになる。

続く。

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IKEAへ行けや?電車でGO!

2006-04-21 07:34:57 | マーケティング
8702a517.jpg最近、京葉線に乗ったら、IKEA電車が走っていた。黄色地と紺文字のスウェーデンカラーは、京葉線のベースカラーのレッドと合わないがしかたがない。電車の中には、地味な車内広告が何枚か・・。

というのは、4月24日に京葉線の南船橋駅前にIKEAの日本1号店がオープン。その後、横浜港北地区、神戸ポートアイランドと続く予定。大店法との関係は、弊ブログ2006年1月13日”大型店の出店規制は、誰のため?で書いたので触れないが、ちょっとした懸念をいくつか書いてみる。

まず、家具店で気になるのは駐車場問題。家具というのは、なかなか見て直ぐに買うというものでもない。色々な条件があって、検討を重ねて買うのが普通ではないだろうか。となれば、「とりあえず見るだけの人」に対して、いかに無料駐車場を用意できるかというところがポイントだろう。ところが、無料駐車場があると、悪用する人がいるのも事実。
その点で気になるのが、IKEAの隣にある施設。「船橋オートレース場」・・・

 ある家庭では、こんな会話が、
  父:きょうは、IKEAに行くから・・
  母:オケラになる前に、150円のゴミ箱買ってきてね。
  子:オヤジ、3万以上つかうなよな、
  犬:ワン ワン ワン


次に問題となるのが、以前の家具の処分。たいがいが既にある家具を処分するところから始まるのだが、その廃棄費用が高く、途方にくれる。IKEAは何かしてくれるのだろうか?

 横浜では、30センチ以内の廃棄物は一般ゴミなので、ずいぶんノコギリがうまくなった。(柔らかいものは切ったことはないけどね)


そして、根源的な問題はIKEAの顧客層だ。イケアスタイルを標榜する、IKEAの世界戦略の中で、既に米国・中国では多くの大型店舗を立ち上げているのだが、IKEA製品を買うべく「中の上」といった顧客層は、日本では急に縮小しているのではないだろうか。
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冗談?東京駅の味噌煮込みうどん

2006-04-20 18:38:06 | マーケティング
be09af8d.jpg東京駅八重洲口地下街はわかりにくい。普通、こういう場所の商店街は1本の通路の両側に並ぶのだが、八重洲口地下街は通路がタテヨコに通っているため、将棋盤の升目のように店舗が配置されている。地下にあるわけだが、天井が開いていたらシンガポールのニュートンサーカスのような感じかもしれない。少し前にここを歩いたときに、名古屋名物「味噌煮込みうどん」の店があるのを見ていたので、たまたまお昼の時間に東京駅にいたこともあり、試食をしようとするが、再発見するのに手間取った。少し有楽町に近いほうだ。その名は「玉丁本店(HP)」。

ところで、名古屋に出張すると、よく行く店が、有名な「山本屋本店」。新幹線を出て、北側のエスカ地下街にある。そこで食べるだけでなく、おみやげで持って帰ったりする。シコシコモチモチの生麺とあくまでも塩辛いミソ味とカツオだし、鶏肉とねぎ、油揚げ、そして卵。まあ、たいていの人はここで最初に食べると驚く。そして病みつきになる。無理に午後一の仕事を名古屋で作り、出張に行くことになる。ビジネス用語で「ベンチマーク」というのがある。味噌煮込みうどんの様々なエレメンツのベンチマークになるのが、山本屋である。あの味は忘れられないので簡単に比較できる。

そして、玉丁本店で「(普通の)味噌煮込みうどん」を注文すると、最初に漬物盛り合わせが登場する。白菜、たくわん、キウリなどだ。そして、女性店員から「白菜漬けを、煮え立ったミソのスープにつけて食べるとおいしいですよ」ってアドバイスあり。つまりうどんが登場する前に漬物セットを食べつくしてはいけないということだ。そこで、紙製のエプロンを首からぶらさげる。期待が高まっていく。若干の不安を感じる理由は、三大特徴として、「特製麺」・「カツオだし」と併記された「合わせミソ」という部分だ。たぶん赤ミソに白ミソを大量に混ぜたのだろうと推定。山本屋の方が赤味噌比率がはるかに多いように感じる。徹底すればいいのにって思う。(赤坂にある有名な札幌系ラーメン店「一点張り」にも、「合わせラーメン」があるが、ちょっとラーメンの主張があいまいになる。)

そして待つこと10分ほどで登場。何かぎこちない店員が、「熱いので鍋を持たないでください」と言うのだが、それは客に対してより、アルバイト自身が自分に言い聞かせたほうがいいかもしれない言葉だ。一度位は煮えたぎったうどんの鍋に直接触れ、思わず、顧客様の膝の上にぶちまけたことはないのだろうか。そして、鍋のふたを取り皿として食べるようにレッスンあり。そして、先ほどの白菜漬けを鍋に投入してみたが、何も起こらない。煮え立っていないから無理な話だ。白菜の味噌汁になるだけだ。

それから麺を食べ始めると、まず感じたのは、ミソ味が「あいまい」ということ。やはり、合わせミソの比率がマイルドで名古屋らしくない。関東人をバカにしているのかもしれない。そして、麺は太さが不均一なのがわざとらしい。包丁で切っているような感じが出ているが、それも程度があって、あまりに粗末だと学校のウサギの餌みたいに感じる。その他の項目はまあまあだが、いずれも山本屋に勝るとは言いにくい。あえて言えば、付け出しのお新香とお店の雰囲気はいい。店員はオバサンではなくオネエサマ中心。やはり味噌の味が、妥協的というのが・・・

お値段は、プレーンな味噌煮込みが、1,050円だが、ご飯を小1杯頼むと210円というのは、ちょっと高いかな(マーケティング的にも150円が妥当)。

あとで、ネット上で参考意見を調べていると、だいたい同じような意見が多かったのと、なんと、名古屋には存在しない店ということが判明。よく店名とコピーを読むと「名古屋名物 味噌煮込みうどん 玉丁本店 東京本社」まあ、まぎらわしいけど嘘にはなっていない。


ところで、参考に山本屋本店のホームページで通販のページを読んでいたら仰天した。

販売しているのは二種類だが、まず「生・煮込みうどんフレッシュセット」。これは驚かない。1食800円程度で3、4、5人分がセット。味噌と麺のパック。賞味期限2日。

実は、驚愕物は、「味噌煮込みうどん土鍋セット」。セット内容は、「 味噌煮込うどん専用土鍋(たが付き)1ヶ・土鍋ふた1ヶ・レンゲ1ヶ・レンゲ台1ヶ・漆丸盆1ヶ・土鍋の手帖(保証書付)1冊」。締めてハウマッチは16,800円也。四人家族なら67,200円となる。(なごや人は絶対に買わないだろう)

しかし、さすがに割れ物。土鍋と蓋には長期保証がついている。割れた場合には交換してもらえるわけだ。なんと保証期間は、購入時より100年間だそうだ。(裏に焼物メーカーによる再保証がついているのだろうか?)  
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アメリ精神が必要な国

2006-04-19 06:16:48 | 映画・演劇・Video
681d0a31.jpg最近、私的に、ずっと忙しく、早朝から深夜までoff-timeがとれなかったのだが、やりくりして前の土曜は自宅にいた。午前中は、生垣のレッドロビンの剪定や、芝の刈り込みといったガーデニングをし、ブログチェックをし、その他、世界の経済指標を熟考し、昼食に缶ビールを飲みソファーでうつらうつらしようとすると、室内犬が膝の上を占拠しようとする。膝枕で二時間昼寝しようというのだ。まあ、暇なときのいつものパターン。こちらも2時間動けなくなるので慌ててトイレをすませ、DVDをセットする。「アメリ」2001年公開ジャン・ピエール・ジュネ監督、主演オドレイ・トトゥ。

公開された時には感じなかったのだが、ちょっと時間が経ってから見直すと、色々と考えてしまうことが多い。介護保険の手続きの資料など読んでいるからそう思ってしまうのかもしれないが、この映画に登場するすべての人物は多かれ少なかれ心的な欠陥を抱えている。アメリ自身子供の時、学校へ行ってないから他者と心の交流ができないイジワル娘である。

が、ふとしたきっかけで他人に善意をばらまく性格に変身する。

アメリの父親もいつもふさぎこみがち。アメリの勤めるバーの従業員の女性達はことごとく性格的には問題がある。また、ルノアールになることを夢見る、骨がガラスのように折れやすく数十年間外出していない「ガラス男」は重要なキーパースンの画家である。(この「ガラス男」と村上春樹「海辺のカフカ」に登場する「ナカタさん」には共通点が多い。というか少年カフカとアメリに共通点が多いと思う。)

また一方、フランス国内の一部の批判として、実際のパリに大勢いるアフリカ系の移民が一人も映像に移っていない右翼偏向映画といわれるように、古きよきフランスを美しく描きすぎているのかもしれない。もちろん、映画は右寄りであろうが左寄りであろうが、すべて観客が評価するものだから、ちょっと右翼批判は、まとがずれているように思える。映画を批判するのでなく、映画評論家や観客を批判しているようなものだからだ。

さらに、この映画の見えない伏線は「通常のフランス映画」自身の特徴の中にある。色彩は赤と緑が妙に強調され東欧映画のようなちょっと田舎っぽい味を出している(ただのフランス映画ではないことを感じさせている)。そして、この映画は徐々にハッピーエンドの方に近づいていくのであるが、最後まで気を許せないわけだ。フランス映画は、たいてい、最後に暗転するからだ。しかし、さいわいここでも「通常のフランス映画」とは一味違う。(というか素直なエンディングになる)

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そして、色々考えたのは、主に現在のフランスのこと。アフリカ系移民のこどもたちが、クルマを焼き討ちしたかと思えば、雇用安定法に反対する労働者や学生が暴動を起こしているのを、どう理解するかは難しいところであるが、社会に悪意が充満しているのかなあ、と感じる。終身雇用制で採用すると、社員は働かなくなるかもしれないから、解雇権が必要だというのは、悪意と悪意の対決のようなルールだ。一方、解雇権が乱用されれば、労働者の権利が侵害される、というのも逆の意味での悪意を感じる話だ。


今、フランスにとって、もっとも必要なのは、アメリ精神ではないのかな。他人の喜びを見てこちらも嬉しくなる、ということ。(もちろん、ドイツもイタリアも同じような状況なのだろうが)でも、それは難しい。人間はそういう動物ではないからだ。

そしてトルコのEU加盟問題は、そのあたりの問題に白黒つけるきっかけになるのかもしれないと、思うが、眠いので思考停止としておく。  
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カードで気分はメトロ感覚??

2006-04-18 06:24:37 | マーケティング
8a36d85e.jpg両親の入院&手術&介護&見舞い&介護保険申請等で動き回らなければならなかったが、とりあえず開腹手術終了。問題は一つずつ進んでいる。3月末の状況では、あらゆることが同時発生だったが、4月中旬になり、スケジュールは緩急まだら状態になり、時間に余裕がある場合は、地方都市の常として、ローカルバスで移動することもある。

ところで、バスの話だが、昨年あれこれ遊んだ「お城めぐり地方行脚」でも、見知らぬ地でバスを利用することは難しい。理由を羅列すると、

1.目的地にどのバスが行くのか、なかなかわかりにくい。
2.どのバス停で降りるべきかわからない。
3.時刻表がわからず、予定が立たない。
4.バスの乗り方がわからない。(前乗りか後乗りか)
5.運賃支払いシステムがわからない。
などだ。

このうち、1・2は総合掲示版、車内表示など、3はネット情報などで補完するべきだろうが、問題は4・5といった人為的なバス乗車ルールが都市によってバラバラということだ。

私は横浜の住人なのだが、実は横浜のバスはきわめてアバウト方式。たまに足を捻挫した時などに利用するのだが、全区間一律料金で210円。1区間でも50区間でも同じ。首都高速方式(現在)と同じだ。都バスも同様。

したがって、横浜ではバスに乗るのが前乗りで先に210円をはらい、到着地で後ろ降りになる。プリペイド式のバスカードも最初に一回通せば終わり。簡単ではあるが、一律料金でいいのか?という気もする。

一方、地方都市の大部分は区間変動料金制である。つまり鉄道と同じ方式で、乗った駅と降りた駅の距離で運賃が決まる。乗車地では、まだ降車地は決まっていないので後乗りで番号付きの整理券を受取る。慣れてないと整理券を取り忘れるのはいつものことだ。そうすると痛い目に会う。そして、運良く整理券を受取り、運転席の後ろに出ている整理券番号別の運賃表を見ていても、実際の目的地に到着したときに幾らになっているかは、わからない。さらに、どこで、いつ降りなければならないかに注意を払わなければならない。心を許せない状況になる。

そして、あと数駅で目的地ということを、きわめて不親切な車内のバス路線図で確認したあと、小銭を用意する。だいたい妙な金額になる。290円とかだ。そして、次の停留所というところで車内の押しボタンを押すと、料金表が一斉に変わったりする。320円とかになる。あわてて小銭を揃えなおそうとすると、車内にコインを撒き散らしてしまったりして、拾おうとすると、バスが急ブレーキをかけたりして転んでしまって、スーツが真っ黒に汚れたりする。前の方の席はみんなシルバーシートだから後ろの席から一番前の出口まで行かなければならない。まあ、そんなところだ。


ところが、新兵器があった。「バス共通カード」というシステムだ。あらかじめ購入したカードを後ろから乗るときに、書き込み機に入れると乗車履歴が書き込まれる。そして整理番号など気にせずポケットに入れておいて、降車地で、再度カードを読み取り機に入れると、自動的にバス料金が引き落とされる。小銭をばらまく危険がなくなったわけだ。要するに地下鉄や私鉄での「パスネット」とほぼ同様の仕組みである。

なにか、カード一枚で、地方都市が銀座線に変身したような感じがする。しかし、残念ながら絶対的に違うこともある。

それは、降車ボタンを押さなければならないことだ。

さらに、もう一つ大きな違いがあるのだが、それを言ってはおしまいというものかもしれない。

地方バスと銀座線の最大の違いは、「地方バスは、あくまでもバスである。」ということなのである。  
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ついにトリミング

2006-04-17 06:28:56 | The room of Sora
4973e9be.jpg生後5ヶ月にして、ついにトリミング。急な事情が重なり、近くの動物病院&併設ホテル&併設トリミングに預けてしまう。シュナカットされてしまう。別人ならぬ別犬に。


6,500円とはまた・・




4973e9be.jpg最近知ったのだが、シュナウザーを飼うのは、「金持ちに限る」との噂があるらしい。それなら、最初の購入時から他種より数万円高ければ、警戒できたのに・・・。困ったことに、カットして数日経つと、すでに体毛が伸びてきたような気がする。この分だと、毎月1回になるのだろうか?床屋代が人間の数倍もかかってしまう?

ああこわ・・




4973e9be.jpgもう一つ。庭の外構工事も終わり、自由に庭で遊ばせる。ところが、自由になると犬は狼に変身する。

メスと言っても、やはりイヌだ。メス犬は、人間のメスよりも犬のオスの方に似ている。もちろん本気で走られると人間は追いつけない。

捕獲するには、犬も人間も激しい運動になるのだが、どちらも一向にやせない。  
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