スパシーバ2

2013-09-30 00:00:43 | 映画・演劇・Video
itawasa麻布演劇市第192回公演は「演劇集団いたわさ」によるチェーホフ劇。スパシーバは「ありがとう」という意味のロシア語だそうだ。三幕構成で、「しいッ」「たばこの害について」「創立記念祭」。もちろん、チェーホフそのものではなく現代に置き換えて大いに書きかえられているのだが、やはり喜劇って時代を超えるって難しいものだと感じる。

キャストの方々は、それぞれ大熱演なのだけど、やはり歴史を乗り越えていく劇って、悲劇なんじゃないかな。と、思う。しかし、テレビドラマって日本製は、たいがい喜劇なんだよね。明るい未来。

わざわざ麻布の小さな劇場に足を運ぶ演劇ファン(中にはホールの中にもかかわらず野球帽とマスクとサングラスをかけて目立っている有名な俳優や女優さんもいる)の前なのだから、形式やしきたりなんか無視して前衛に走ったっていいじゃないかと思うわけだ。


そして、考えさせられたのが、劇中のコトバで、「200年後の人間が、現代の人間をみたら、なんと楽しみの少ない退屈な人生を送っているものだ、と思うかもしれないが、それでも少しだけでも楽しんでいこう」というようなのがあった。

同感と思うが、なんとなく、「おおたさん、あなたは楽しみ過ぎてんじゃないの」という声もありそうだが、まあ200年先を行っているから、・・


ところで、ちょうど1年前に父親が緊急入院してから、さまざまな困難がロッキー山脈のように続き、さらに東京と倉敷のダブルジョブ方式になって仕事量の困難もアンデス山脈のように続くことになったのだが、ようやく1年で再び劇場に戻ることができた。美術館にも行くし、ノルマの年間100冊読書も到達できそうだし、月に10作の詰将棋作成ももう少しというところだ。後は音楽鑑賞とゴルフとおいしい料理なのだけど、これがやっかいである。何しろ先の予定が定かじゃないので「事前予約」が難しい。しかし、ともかく、やっと自己中心的な人生に近づきつつあるといえるわけだ。

終わりから始まるものがたり‐25の問いと100冊の本

2013-09-29 00:00:42 | 美術館・博物館・工芸品
owarikara日比谷公園内にある日比谷図書文化館で開催中の特別展「終わりから始まるものがたり‐25の問いと100冊の本」(~10/14)へ。

ただの展示会ではない。参加型というか、展示会場には順に25のコーナーがあり、そこにはそれぞれに「おわり」についての質問があって、各自答えていくようになっている。といっても難しく答えられないものばかりなので、各コーナー4冊の本がおかれていて、それを読めば自分なりの考え方がまとまり、自分なりの答えを書けるようになるはず。

といっても、私は1年間に100冊の本を読むことを目標にしているのだから、100冊読むには1年間かかってしまうので間に合わない。

本当に世界のすべての事象に終わりがあるのか、あるいはいつ頃なのか、本当はよくわからない。たとえば、天体としての地球の運命だが、長い間、「太陽が燃え尽きると巨大矮星となり、太陽系の全惑星を飲み込んでしまう」と言われていたのだが、最近の研究では、巨大化する前に太陽は一旦縮小する時期があり、そうなると木星より先の惑星は太陽の引力が弱まるためずっと太陽から離れていき、その後、太陽が巨大化しても飲み込まれない距離になる、と言われるようになったようだ。

ただし、水星と金星は太陽から逃げ切れないものの地球と火星の運命は、よくわからないということだそうだ。地球より火星の方が外にある分、安全と言えるだろうが、最近売り切れた火星行きの片道搭乗券を買うのは早過ぎるだろう。

25の質問を並べてみる。

01 地球の終わりを想像したことがありますか?
02 世界の終わりを想像したことがありますか?
03 あなたにとって世界の終わりとは、なにが終わることなのでしょうか?
04 いちばんこわいものはなんですか?
05 あなたの身をおびやかす危機を予測できるとしたら、知りたいですか?
06 危機がせまっていることを知ったら、残された時間でなにをしますか?
07 どのような最期を望みますか?
08 死んだらすべては終わりでしょうか?
09 あなたにとって永遠なものはなんですか?
10 いつまでも若さをたもちたい?それとも年相応に老いていきたいですか?
11 「生きている」ってなんでしょう?
12 どこまで「わたし」なのでしょう?
13 あなたの考える「みんな」とはだれのことでしょう?
14 あなたの幸せとみんなの幸せは同じでしょうか?
15 あなたに本当に必要なことはなんでしょう?
16 必要でないものはこの世界に存在するでしょうか?
17 変化と多様にみちた世界のなかで、あなたが残したいものはなんですか?
18 人はなぜ進歩しようとするのでしょうか?
19 リスクをもたらす可能性のあるテクノロジーの研究を進めるべきでしょうか?
20 世界は、どこへ向かっているのでしょう?
21 みんなが同じ考えをもったら世界はどうなるでしょう?
   みんながバラバラの考えをもっていたら世界はどうなるのでしょう?
22 100年後の未来へとつなげたいものはなんですか?
23 「終わり」から、あなたが始めるものはなんでしょうか?
24 生きているあいだに絶対やってみたいことはなんですか?
25 あなたはどんな未来をつくりますか?

全部、難問だと思う。

年齢によっても答えは違うだろうし。こういうことばかりを考えている人こそ、新興宗教にはまりやすいのだろうとは思う。

日比谷公園で開かれている「ドイツビール祭り(オクトーバーフェスト)」で一杯飲みながら答えを考えることにしたが、ビールの在庫には「終わりがない」ことがわかったのだが、一杯1000円もしたので、財布のおカネには「終わりがある」ことが、唯一、明らかになったのだ。

練習では、なぜか早指ししか指せない

2013-09-28 00:00:16 | しょうぎ
職団戦を直前に控え、半年間のブランクを一日で埋めることなどできないのだが、最近、小学生の指導将棋で二歩を打ったり、必死にIDを思い出してネット将棋を指すと、相手に王手をかけているのに、逆に王手をかけられて王が逃げてしまうとか、角の効きに飛車が逃げても見逃してもらえるとか、散々だ。相手も同じような状況なのかもしれない。

急遽、将棋仲間に声をかけ、西新橋の囲碁将棋カフェ「樹林」に向かう。

で記念撮影。私は誰でしょう。

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仲間内では、一人は「加藤先生」とよばれていて、一人は「米長先生」と呼ばれているソックリさん。棋風は、ま逆だが。私も自分の写真をみると、髪を切った直後はヅラみたいに見える。いっそのこと、お芝居みたいにちょんまげとかパンクとかカツラを使ってみようかなとか、薄い人が読んだら気を悪くするようなことを書いてしまった。

練習試合の目標を勝敗ではなく、どこまで深く読めるか読みの力を復活させること、と定義していたのだが、どうも数秒しか考えられない。読み始めて数秒で読み終わるのだから困ったものだ。

大会の時は、えんえんと考えるふりをして、秒読みに持ち込んでから、乱戦に引きずり込んで1手数秒で指し続けることに活路を見出す方法しかないようだ。あるいは先手番でも初手を指さずに、相手に先に指させて反則勝ちを狙うか(うまくいったことはないが)。



さて、9月14日出題作の解答。

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▲2二歩 △同飛 ▲同桂成 △同角 ▲3二金 △1二玉 ▲2二金(途中図1) △同玉 ▲3二飛 △2一玉 ▲1二角(途中図2) △同香 ▲2二歩 △1一玉 ▲3一飛成まで15手詰。

途中図1(▲2二金)に対し、△1三玉は、▲2四角 △2二玉 ▲4二飛と離し飛車で詰む。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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狭い所での動き方。トイレの中で着替えをするような感じか。最終手の余詰めがあるが、慣例によれば大目にみてもらえるはずだ。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数を記していただければ正誤判断。

オーロラブラック(ぶどう)

2013-09-27 00:00:50 | あじ
品種名を日本語訳にすると、“黒いオーロラ”になり、想像がつかない。箱入りのお土産用となると2房で4800円もするが、さすが地元岡山で購買すると半額程度となる。できたばかりの品種だと、どうしても産量が少ないため、他都道府県に回す分がないが、産量が増えれば他都道府県に出荷することになり、その時に正式名称が変わることがある。

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そして、このぶどうだが、見かけは「巨峰」だが、味は「マスカット・アレキサンドリア」に近いような気がする。そして、種なし。皮はやや堅いが、一緒に食べてしまえばいい。

ぶどうには色々な種類があるが、最高級の味だ。

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ところで、岡山は果物王国と言われ、特にぶどうは世界最高峰。地元のテレビを観ていると、ぶどう農家の方のインタビューが始まる。

特に最近はマスカットの変種で、「シャインマスカット」とか「桃太郎」というのが多いのだが、私は、マスカット・アレキサンドリアの方が好ましいと思っていた。

しかし、農家の方のインタビューの中で「聞き捨てならない」発言があった。

「本当は新種ばかりにしたいのだが、年配の方からはアレキサンドリアがほしいとの要望があるので・・・」

八月の濡れた砂(映画1971年)

2013-09-26 00:00:14 | 映画・演劇・Video
『八月の濡れた砂』とか『テレサ野田』のことを知っているのは、もうかなりの年代の人なのだろうと思う。もちろん映画通の方であれば、日本映画史を語る中で、落とすことのできないこの映画を観た人もいるだろう。しかし、実際いかなる映画賞にも無縁で、湘南の若者の性の暴走のみをテーマとし、無名の映画人たちが組み立ててしまったわけだ。

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脚本的にいえば、本来の主役である広瀬昌助よりも、もっと光っていたのがテレサ野田。彼女はその後いくつかの映画に出演するも、彼女の本質を引きだす監督に巡り合えなかったのかもしれない。

本作の監督は藤田敏八。しかし不運にも1971年と言えば日活が倒産の危機に瀕し(大映は同年倒産)、ついに、ロマンポルノに活路を見出す前の最後の普通映画が本作だった。藤田監督もデビューしたばかりで、その後しばらくはロマンポルノの監督に転向。

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実際、その後、本作を超えた監督になったのかどうか。

また、主題歌を歌った石川セリも、この主題歌が生涯最高作となったのかもしれない。

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そして、若者たちは銃を持ってヨットに乗りこむ。映画の結末のつけ方が、最高にすばらしい。(前に観たことがあるのに、このすばらしい結末のことなど、まったく覚えてないことが悲しい)

本映画にかかわった人たちにとって、おそらくは忘れることのできない作品なのだろうが、特にテレサにはその思いは強いだろうと思うのだが、彼女は今、どこにいるのだろう。

バレンティン、イチロー、カトー、オー

2013-09-25 00:00:42 | スポーツ
スワローズのバレンティンが王貞治氏の年間ホームラン数を遥かに超えて、さらに上乗せ中であり、しかも三冠王にもきわめて近い状況にある。通常、三冠王になるとMVP選手となるが、所属チームは最下位。本来、論議がおこるはずのないホームラン数という客観的数字にさえガヤガヤとなるのに、もう一つの楽しみがMVPということだろう。

遠くニューヨークの外野席から聞こえてきた、イチローのコメントが話題になっている。

同じチームメートだった選手が活躍するのはすごくうれしいです。
ただ、アメリカであのクラスの選手が日本でそれだけ活躍するということは、少し難しいというか、複雑な部分もありますね。


日本人らしく、批判のコトバの中にも「あいまいさ」をからめて、反論された場合に備えている(その用心深さが某電力会社にも必要だったのだが)。

今頃書くのも変だが、イチローが引退したら、サラリーマンを引退しようかと思っていたのだが、ここ数年、成績降下がはっきりしてきてハラハラしていたのだが、4000本安打の後の記者会見で、5000本は打てる、と予言したのを聞いて、「MLB」を引退した後、日本で続きをやるのだろうと想像していたのだが、バレンティンに対するコメントは、日本の野球の方が格下であるということをはっきり認めているわけで、それなら日本球界には戻らずにもしかしたら、あと1、2年内にバットを置く可能性もあるのだろう。(困)

そして、加藤コミッショナーの突然の辞任。早い話がバレンティンのホームランというのは、結構ギリギリが多いように思える。さらにバレンティン当人も「今年のボールは、よく飛ぶことがわかってきたので、バットを振り回してボールに当てれば飛んでいく、ということがわかっていた」とのことだ。

つまり、もともとボールの作成を上海で行うようにしたため、反発係数に関してのスペックムラが拡大し、飛ばないボールが出ないようにするために、精度を高めるのではなく、すべてのボールがよく飛ぶように基準を改訂してしまったわけだ。メーカー「M」の言いなりだ。

そして次のコミッショナー候補の一人が王貞治氏だそうだが、前コミッショナーのために、自分の記録が破られたと思っているなら、応諾するとは思えないわけだ。ただし、コミッショナーになって、「昨年のホームランは、すべて非公認。」とする手はあるわけだ。

蒼龍(山本一力著)

2013-09-24 00:00:21 | 書評
少し前に、高知へ行った際、しばしの冷をとるために立ち寄った高知県立文学館で、最近の高知出身作家群の中に山本一力がいた。時代小説専門である。直木賞も授賞している。何かまず一冊を読もうと思い、長編では大変かもしれないと短編集「蒼龍」を読み始める。

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かなりの難行だった。


表題の『蒼龍』の他、『のぼりうなぎ』、『節分かれ』、『菜の花かんざし』、『長い串』の五編。

出身地の高知に絡むのは『長い串』。土佐藩江戸詰めの留守居役が藩の不始末の責任で幕府より追いつめられた際、掛川藩の友人に助けられる話だが、この二人をつなぐのが、「おでん」。もともと掛川の地元料理を、土佐に持ち込んだのが山内家。例の奥方の持参金で馬(馬券ではない)を買ったのが出世の第一歩で、最終的に土佐藩主に収まり、その末裔が坂本竜馬のおかげで、維新の時に官軍側に色分けされた。

その掛川藩と土佐藩の友情が一本のおでんの長串でつながっているというような話だ。(料理本じゃないから)

そして、「菜の花かんざし」。身内の非条理な不始末により、一家断絶の危機に立たされた武士と町人上がりの妻が、二人のこどもを藩に差し出して一家全滅を選ぶのか、妻子三人に逃走の道を開くのか、武士の掟と世間の人情をぶつけて、葛藤の末、人情を選ばせている。もっとも、三人に逃走の時間の猶予を与えるために斬り死にする覚悟の夫の運命も、遠方に隠遁する親類の家を目指して逃走を始めた妻子のその後の運命も、小説の中では何ら明らかにされない。(もしかしたら冤罪が晴れたのかもしれない)

短編集の最後にあたる『蒼龍』では、借金を抱えながら人気絵師を目指す極貧の大工夫婦が登場するが、その夫婦こそ「菜の花かんざし」で登場した命からがら逃げのびた武士の兄妹の仮の姿である、とかなっていれば、短編集の中の謎にケリをつけられるが、そんな都合のいいことには、なっていないわけだ。

短編集一冊読むのにも、かなり疲れる作家であることがよくわかった。たぶん、現代を描いた(たとえば村上春樹とか)小説では、小説の中の登場人物にのめりこんでいくことができるのだが、時代劇だと主人公に心にのめりこむことが難行となるからなのだろう。なにしろ封建制度の時代に生きる人の気持ちになれ、と言われても・・

CM女王の争い激化?

2013-09-23 00:00:33 | マーケティング
剛力(a)×上戸(S)×堀北(d)。

2013年上半期のCM女王は1位剛力彩芽、2位上戸彩で堀北真希はランク外。ただし2010年は第2位だったそうだ。

つまり3人の契約している携帯会社が、それぞれ何秒CMを流すかということで、CM女王が変わるらしい。ただ、d社だけは役員が美女好みなので、脈絡なく新人タレントを次々にテレビに露出させるので、結局、堀北さんの秒数が割を食うらしい。

つまり、docomoの経営と同じわけだ。(ツートップとか)

9月20日のiPhoneの新機種発売と同時にd社も参加した3社による乱売だが、よく考えると、新機種と同時にd社が参戦したということは、他2社にとっても、キャンペーンを張る機会を得ることになり、迎撃するチャンスが大きいという皮肉な結果になったのではないだろうか。d社が気が付いているかどうかはわからないが、案外、会社の最終局面になっているのかもしれない。

「ツートップ戦略」とか一体何だったの?ということになるし。

しかも、・・

現在のスマホ、携帯の状況をみると、仮に料金と通信速度に差がないと仮定すると、

1.どちらも持っていない人 → 今後もどちらも持たない。
2.既にiPhoneを持っている人(aかS) → 他社に乗りかえない。
3.既にandroidを持っている人(aかSかd) → 当面他社に乗りかえないだろう。
4.ガラケーを持っている人(aかS)→ 他社に乗りかえない。
5.ガラケーを持っている人(d)→ 他社に乗りかえない。

つまり、他社に乗りかえる理由が乏しくなったということになるわけで、d社のシェアダウンに歯止めがかかるということにはなるのだろうが、それだけのような気がする。


ところで、スマホってオジサン達が酒を飲んでいると、結構役に立つのだよね。だいたい意味不明の雑談になることばかりなのだけど(たとえば食べている刺身の魚が出世魚らしいとか、地域によって呼び名が異なるとか)、その時に30秒以内で解説できるわけだ。もっともそんなことは誰でもできるのだけど、世間は、そういうことに慣れていないのですよね。(この前、新幹線の大型トイレを使った時に、手洗いのような形態の設備があって、『手洗いではありません。オスメイト用』というような表示だったので、その単語を度忘れしていて、スマホで再確認し、納得。)

音声認識もできるのだけど、実際に声を出して使っている人を見たことは1回しかないのだけど、本当はどうなのだろう。自宅では声出しで、みなさん使っているのだろうか。たぶん文盲率が5割を超えるアラビア語エリアでは重宝されているのだろうと勝手に思い込んでいるのだが。

帝国データバンク資料館

2013-09-22 00:00:32 | 美術館・博物館・工芸品
teide2信用調査では日本でもっとも規模が大きい帝国データバンク社の資料館が市ヶ谷の防衛省の向い側にある。本社は青山だが、ここは分館みたいなものだろうか。最上階(9階)が資料館となっている。

常設展示では、「信用調査業」の歴史について触れられていて、人類が交易をはじめた遠い過去から、「為替」という形態で取引相手に「信用」を与えた瞬間から、「債権リスク」が発生し、それについて相手側の破たんリスク率を計測する必要が生じたようだ。

つまり、おカネが回収できない可能性である。AAAとかBB-なんていうのと同じだ。

したがって、江戸時代が終り、日本が商業国に変わった瞬間から信用調査の必要が始まり、東京商工リサーチの前身である商工社はじめ多くの社が参入し、その内、数社が成長していった。その一つが帝国興信社。後に、帝国興信所と社名を変更する。

さらに。国内では後発だった帝国興信所は、支店を海外に拡大していき、主に中国大陸を中心に海外事務所29まで拡張したそうだ。

そして、終戦と同時に海外事務所のすべてを失うと同時に、国内支店も都市の中心街に立地していたため、ほとんどが焼失。文字通りチリと化してしまった。

そして、戦後、帝国興信所は再生し、現在は帝国データバンクと名称を変更。業界1位である。2位(東京商工リサーチ)と合わせると90%を超えるという寡占業界になっている。

731特別展として、百年史編纂行事のために、中国各地を取材した「現地取材15年間の記録」が紹介されていて中国各地の写真が展示されていた。違和感があったのが哈爾濱郊外平房の写真。いわゆる陸軍731部隊である。敗戦と同時に証拠隠滅工作を始めたものの、ついにボイラー室を爆破することはできず、それが70年間保存されている(うっかりすると世界遺産になりかねない)。

では興信所とI中将と何か関係があるのだろうか。まったくわからない。


ところで、戦後の事業内容については、よくわからない点もあるのだが、展示資料中の記載事項に、1973年に個人調査を廃止した、となっている。就職や結婚の時の出自の調査のことだろう。つまり、それをやっていたわけだ。

なお、帝国データバンク社の前名称は帝国興信所だが、それと同名の興信所が現在も実在する。そちらは、もっぱら個人調査とか浮気調査などの探偵業の方向である。

なお10月1日からは、全国の企業博物館からの「お勧めの一品」が展示されるそうだ。期待できそうだが、東京駅構内に並ぶ全国の駅弁みたいなものかもしれない。

ファーストクラスに乗る人が機上で読む本に

2013-09-21 00:00:48 | しょうぎ
雑誌「プレジデント・9/30日号」に、元CAで、人材育成コンサルタントの美月あきこ氏が書いた『ファーストクラスに乗る人が機上で読む本リスト』というコラムがある。
その中で、「将棋」の本を愛読されている方が多かった、と書かれてある。

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何しろ、リストは5カテゴリーなのだが、
1.小説 浅田次郎、池波正太郎、堺屋太一、ロバート・B・パーカー
2.歴史小説 司馬遼太郎
3.将棋 大山康晴 中原誠 その他名人
4.精神医学書 小田晋
5.趣味 釣り関連

なんとなくカテゴリーが妙だ。小説と歴史小説、趣味と将棋、そして精神医学。大丈夫だろうか。

将棋本については、「将棋」は相手の王将の捕獲をめざす、盤上の「静かなる闘争」。相手の出方を読むという意味では、将棋は経営者の方々に親和しており、人気が高いのかもしれません。とのこと。まあ金持ちは常勝のものが好きなのだろう。といっても、運動部系の方の本では知的欲望が満たされないから、名人本はちょうど手ごろなのかもしれない。

そして、ファーストクラスにアップグレードで搭乗した非常連客の場合、ゲームをしたり映画を観たり、ワインを堪能したり、次々と忙しそうにふるまうのに対し、ファーストクラス常連は機内で知識や情報のインプットを行うという差があるそうだ。

私の場合、国内の新幹線移動が多いが、たまにグリーン車に座るのは、飲み過ぎた後、静かな車内で眠るためのみである。普通車の場合は3冊ほど読んでいるのだが、この雑誌を読んで貧しい気持ちになったのも普通車の中なのである。


さて、9月7日出題作の解答。

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▲2二歩成 △同歩 ▲2三銀 △同歩 ▲2一角成 △4二玉 ▲5四桂 △同馬 ▲4三歩 △同馬 ▲3一馬まで11手詰。

実は、打歩詰回避問題になっている。

動く将棋盤は、こちら


今週の出題。

0921m


駒を取ると詰まないかも。実は1九とを廃止し、全体を一つ下げても同様の手になるが、なぜ一つ上に配置したのか。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と手数を記していただければ正誤判断。むしろ、最終手の1手前も重要なような気がする。

「バカッター」というコトバ

2013-09-20 00:00:05 | 市民A
「バカッター」というコトバが僅かに出回っている。ツイッターやフェイスブックや各種SNS、ブログなどで、反社会的行為を一方的に自供。さらに証拠写真付きなので、警察も手がかからないのだが、不思議なことに自供につきものの反省のかけらもなく、そして本人の想像を超えた超手痛いお仕置きを受けることになっている。そういう事件が続発し、さらに減っているようにも見えない。

実行前に一考すれば、あり得ない事件で、そういう事例も多発しているのにどうして?と思うところに、大勢の大人が分析を始めたがる所以がある。

rika


たとえば、精神科医の香山リカ氏はPHP発行の雑誌「THE21・10月号」に『いたずら写真でわざと「炎上」の病理とは』と題したコラムを書いていて、「アルバイト店員は安い時給で高度な技術や効率を要求され、『オレたちを使い捨てるとこうなるぞ』と抗議しているのだが、世間には、もっと強い不満を持った人もいて、彼らが『まとめサイト』を作って大勢の目に曝す。ウサ晴らしが、さらに強烈なウサ晴らしの材料にされる」と書いている。そして、結局バイトの待遇はさらに悪くなるだろうと、いたって冷めたご意見だ。ミズ・クールジャパンだ。

しかし、彼女の理論は、実際に当たっているのだろうが、それだけでは、すぐばれてしまうということに挑戦する無謀ということに関しての説明にはなっていない。

誰の意見だったか、わからなくなってしまったのだが、そういう人たちは、インターネットの構造をまったく理解していないから、こういう幼稚なことをする、といった意見も多く出回っている。つまり、ネット上のインナーサークルみたいなものと認識しているのだろうと推測しているわけだ。全世界の人が知りうる仕組みということが理解されていない。

さらに、彼らはニュースそのものに興味がないこと間違いないから、他の事例で本人が痛い目に会うことすら知らないのだろうと見当は付くわけだ。


つまり、簡単に言うと、「単なるバカ」ということで、さらに現在の日本社会が、そのバカを発見し、教育するシステムが欠如していることなのだろう。

たぶん、香山女史も、もっともらしいことを書いてページを埋めつつも、「バカを治すのは精神科の仕事じゃないわね・・」と思っていたのだろうと、精神科医の内心を分析してみる。

半沢直樹は水戸黄門か

2013-09-19 00:00:07 | 市民A
最近のビジネス雑誌につきものなのが「半沢直樹論」と「バカッター分析」。どちらも、これといった定説化はできていないようだ。まず、半沢直樹の方から。

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視聴率は30%程度とかなり高い。元銀行員(元三菱銀行)の書いた小説を、そのまま脚本化したということで、80%程度が真実ということで、特に銀行員の視聴率が高いそうだ。

友人に銀行員が多いので、聞いてみると、「真実は、もっとエグい」ということだそうで、続編の可能性が高いのだろう。

ただ、「半沢直樹」のどこに感情移入するかという点が、一流、二流、三流の違いだそうだ。

一流のバンカーは、「部下に迎合することなく、背中でついてこさせる半沢に、あるべき上司の姿を感じる」ということだそうだ。

二流のバンカーは、「何のために働いているか」を考えさせられる。入行時の決意とか。
同じく二流的なのが、「2倍返し!が、スカッとする」というタイプ。ずっと、理不尽な会社勤めを続けているため、やり返す半沢をみて痛快度200%になる。

三流のバンカーは、上からの理不尽を部下に押し付けながら出世してきたため、上司(朝の支店長等)の方に感情移入してしまう。

ということだそうだ。


私の目には、どうみても水戸黄門のように見えてならないのだが、本来は、倍返しをすると、相手はさらに倍返しをし、それに倍返しで応えると、さらに倍の反撃が始まり、プラス型スパイラルになってしまうような気がする。

やはり半返しにすべきではないかと思うし、むしろ「恨みではなく恩義の倍返し」をするのが正しいのではないかと思うのだが・・・


それと、半沢世代というのはバブル入社というか、第二次ベビーブーマーというか、団塊世代のように扱いにくいのが多いように感じている。入社する時には、企業側も人員確保優先で、入社試験もほとんどない大甘だった。「ようこそ弊社へおいで下さいまして、ありがとうございます」ということだったので、「歓迎されて入社したのに、なんだこの会社は」とか常々思っていて、そういう人たちがドラマを観てスカッとして「会社に倍返し!」と思いはじめていたとしたら、困るかもだ。

ヘッドハンターの言う「役員になる」共通点

2013-09-18 00:00:07 | MBAの意見
雑誌「プレジデント」は、かなり食えない部分もあるが、たまには面白い記事もある。9月30日号の中にある『ヘッドハンター10人が実感する「役員に昇る人」の小さな共通点』について。

タイトル通り、たった10人の意見だし、「小さな共通点」とは、ずいぶん遠慮がちなタイトルだ。私が編集長だったら『らつ腕ヘッドハンターたちが強調する「役員に共通する」小さな秘密』とかにしてしまう。

yakuin


12項目ある。無論12のすべてで役員ポイントの人はいないだろうが、9個以上は必要か。

1.初対面の人に対して
 「平」 好きなようにふるまう
 「部長」 上下関係で態度を変える
 「役員」 腰が低く、懐が深い

2.お世話になった人に対して
 「平」 困った時だけ連絡する
 「部長」 適宜、お礼メールを送る
 「役員」 丁寧にお礼し、仕事を運んでくる

3.話し方は
 「平」 自分の話したいことを話す
 「部長」 専門用語を羅列する
 「役員」 相手に合わせて言葉を選ぶ

4.上司に意見を聞かれたら
 「平」 上にひたすら合わせる
 「部長」 正論を言う
 「役員」 バランスの取れた正論を言う

5.仕事を選ぶときの優先事項は
 「平」 待遇と福利厚生
 「部長」 肩書と年収
 「役員」 そこで何ができるか

6.二十代の頃の評価は
 「平」 何の実績もない
 「部長」 優秀なマジョリティである
 「役員」 優秀なマイノリティである

7.人間の器が
 「平」 誰が見ても小さい
 「部長」 大きく見せようとする
 「役員」 自然に大きくなっていく

8.海外では
 「平」 海外に興味がない
 「部長」 語学力や相手の肩書を気にする
 「役員」 日本語でも渡り合える

9.食事のときは
 「平」 「食」に興味がない
 「部長」 よく飲み、よく食べる
 「役員」 好き嫌いなくきれいに食べる

10.身だしなみは
  「平」 好きなものを身につける
  「部長」 時計にこだわる
  「役員」 靴やペンにこだわる

11.趣味
  「平」 仕事より趣味が優先
  「部長」 「仕事が趣味」という
  「役員」 一つの趣味を極める

12.SNSでは
  「平」 思ったことを発信する
  「部長」 ほとんど発信しない
  「役員」 戦略的に発信する


12項目で、どうだっただろうか。つまり、役員になるのは簡単ということだろう。もっともプレジデント誌が理想像とする役員というのは、おカネとゴルフと高級クラブしか考えてない俗っぽい社長のようなので、本来目指すものではないような気がする。先日、『エグゼクティブの朝食』という特集で日本マクドナルド会長が「毎朝日本食を食べる」と絶賛していたと思ったら、退陣したら一転して「逃げ場ない外資の苦悩」なんてこきおろしているわけだ。


ところで、個人的には12項目を点検したところ、ペンを購入しないといけないことに気付く。ふだんは四色(黒・黒・赤・青)ボールペンを愛用していたのだが。それでパーフェクトか・・(自分の年収交渉でいつも粘るからダメかな・・)

埋もれた金印第二版(藤間生大著)

2013-09-17 00:00:41 | 歴史
先日、『埋もれた金印』の第一版を読んだのだが、第一版から約20年を経て1970年に再度、同名タイトルの第二版として上梓された岩波新書の一冊である。しかし、本来第二版というのは、第一版に手を加えて出版されるときに使われる表現だが、本書は第一版の修正ではなく、あらたな研究によるまったく違う書物である。

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この第一版が出版されたころの卑弥呼論争というのは、いまでも続いているのだが、邪馬台国があったのが、九州なのか畿内なのかという論争で、奇しくも畿内を主張する京都大学グループと九州を主張する東京大学グループの古代史をめぐる論理なき戦いという醜態に突入していたわけだ。

もちろん、今でも結論は出ないし、いかにもそれらしい北部九州説によれば、いずれ近畿にあらわれる大和朝廷との関係が不明だし、近畿説では、すでに近畿にある国家が九州方面まで支配していたようなことになるが、そもそも日本では内戦が起こっていたらしいので、これまた不自然。

さらに出雲との関係はどこにおけばいいのか、九州でも近畿でもない地域である可能性すらある。

ということから、本書では、倭国の中の邪馬台国ではなく、中国大陸の歴史の中で邪馬台国を考えてみようという考察なのである。

で、卑弥呼が日本に存在していた時に、中国は、ちょうど後漢が崩壊するところだった。帝国の末期。こういう国と付き合うのはかなり大変だ。いわゆる「死に馬に蹴られる」可能性がある。さらに先進国中国との関係を強めていき、そのおこぼれで日本国内での支配力を強めようとしてた卑弥呼にとっても危険があった。

そして、結局、西暦220年に後漢は滅び、韓、魏、蜀といった分裂国家となり、日本と中国の間にさまざまな国家が誕生し、卑弥呼はその中でも魏を交際相手としたわけだ。

たびたび卑弥呼は奴隷を献上し、かわりに「何か」をもらってきている。おそらく軍事物資だったと考えられる。鉄とか。

そしてさらに20年経ち、卑弥呼は亡くなり、国は乱れ、どこに住んでいたかもわからなくなる。

まあ、そういう日本史もいいかなって最近思うようになった。邪馬台国は日本のどこかにあったのは間違いないし、もしかしたらそれらの純日本的国家は、現在千代田区に住んでいる一家とは関係ないのかもしれないなあ、と思うこと位は勝手なのだろう。

「おみやげと鉄道」

2013-09-16 00:00:17 | 美術館・博物館・工芸品
旧新橋停車場(鉄道歴史展示室)で開催中の「おみやげと鉄道展」へ行く。

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まず、日本ってお土産天国のわけだ。ちょっとしたところに行くにも手土産を持っていく。もちろん、TPOによって、その選定はさまざまで、高額の物もあれば、鮮度重視もあれば、軽量のものだったり。数十年前に海外ビジネスにいくためにバッグに高額品を詰め込み、さらに税関対策で職員に渡す小物お土産までもっていったこともあった。

東京発だと、虎屋の羊羹あたりがVIP向けだが欠点は、重いこと。だからといって、今時、草加煎餅じゃ気合ゼロって感じだ。

東京駅などは、手土産と弁当の店が無数にあるし、全国の普通の都市の鉄道駅に行けば、たいてい手土産がある。

ところが、海外にいくと、そういうことにはならない。確かに観光客用の土産店はあるが、そもそもそれは手土産って感じじゃない。

結局、土産って文化は江戸時代の武家社会の「付け届け」に端を発するのだろうか。知れた話だが、武家の家計で最大費目は食費ではなく交際費だったそうだ。贈り物代金で飯が食えなくなることから、「武士は食わねど高楊枝」という標語ができたのかもしれない。

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そして、展示会場で見たのは「赤福」のポスター。以前、売れ残りアンコはがしで有名になったお伊勢土産。ずいぶん昔から手土産になっていたようだ(というか、売り上げのほとんどは手土産なのだろうけど)。

で、展示品を見たり掲載事項を読んだりしているうちに気付いてきたのだが、普通、鉄道に乗って移動してから手土産を使う場合、「地元の物ですから」とかいって持っていくのだが、お土産文化の初期のころは、地元のお土産を持っていくのは失礼という概念があったらしい。「地元品=安い」という前提で、安物を持っていく、ということにあたるとされたらしい。「自宅の庭のミカンの木からもいできました」という感覚だろうか。

倉敷から東京の会社へ持っていく手土産は、「むらすずめ」とか「きび団子」とかではダメで、東京駅で「東京ばなな」とか「アサリの佃煮」とか入手すべきということなのだろう。