明日より休館(横浜美術館)

2021-02-28 00:00:14 | 美術館・博物館・工芸品
横浜美術館は、明日より2年間の休館に入る。改造工事である。丹下健三設計研究所のデザインは、若干古さを感じるが、そもそも普通の美術館は、古い絵画を鑑賞するところだから、時代が変わったからと建物を建て替えたりしない方がいい。今回の改造は、外観というよりも様々な階段をなくしたり、耐震強度を高めるのが主目的ということ。

一階の大空間をそのままにするのか、多少は展示スペースにして空間表現作品とか、デジタルアートとか増やすのかどうか。シンボルタワーの上階のレストランは赤字ということで長く閉鎖されたままだが、どうなるのかな。


「トライアローグ」という横浜、富山、愛知三館共催展と並行して、コレクションをもとにして1910年から1960年の横浜という「ヨコハマ・ポリフォニー」が開催。本日まで。



そもそも、横浜は東京とともに発展した街だが、東京には前身の江戸があるのに、横浜には漁村しかなかった。だから江戸時代から引き継いだものが何もないわけで、横浜の街は純粋に「開国以来の歴史の結果」といえる。

横浜由来の画家というのが育ったのも、パリのモンパルナスの丘のようなものが都内に確立されていれば横浜で絵を描く人は稀だっただろうが、奇跡的に、日本では画家は自宅で絵を描いて、たまに気晴らしで銀座に飲みに行くみたいなのが多かったようだ。


横浜美術史をパターンで言うと、

1. 横浜という国際都市で育った結果、欧州を憧れて留学した画家たち。代表は有島生馬。

2. 横浜美術協会関係者。欧州帰りの画家席巻された画壇に対抗した前衛画家集団。代表は岸田劉生。

3.横浜港からフランスに行ったグループがまとめられていたが、これは番外だろう。横浜と神戸からしか海外に行けなかったのだから。

4.関東大震災からの復興。片岡球子、加山四郎、中島清之。復興展グループ。

5.ニューヨーク組。幼少期に横浜で過ごし、成人後はニューヨークで活躍した。イサム・ノグチと岡田謙三。どちらも森村学園出身者。

6.現代作家。横尾忠則他。「横浜現代美術館開設準備委員会」というのがあって「今日の作家展」を続けていた(中断後、再開)。そこへの出展が一つのステータスになっていた。おそらく神奈川県立美術館という立派な美術館が葉山にあるので、現代美術に特化しようとしていたのだろう。それが県美と同じような市美ができたことは、何かあったのだろう。

7.系譜外。横浜の美術を縦糸ではなく横糸から見ると、多重的になる。
 ①新版画:幕末の錦絵(浮世絵)から始まった鏑木清方、伊藤深水、川瀬巴水。
 ②文明開化の街を描いた川上澄生。
 ③横展写真部ゆかりの写真家。安藤不二夫、奥村泰宏、常盤とよ子、浜口タカシ。
 ④前衛美術、「もの派」のパイオニア:斎藤義重。
 ⑤浜展(昭和21年~)出身者群。
 ⑥真葛焼創始者:宮川香山とご末裔。
 ⑦日本丸をみて帆布にテンペラ技法を確立した林敬二。


ともかく館員の方々、32年間、ご苦労様でした。

順位戦最終局

2021-02-27 00:00:09 | しょうぎ
A級から順に将棋順位戦の最終局が行われる。各クラスの状況をあらためて確認してみると、
A級:降級2人が決まっているので、挑戦者争いが見どころだが、順位争いも重要だ。羽生九段も徐々に順位が下がり、前年度は4勝5敗。今年3勝5敗だと第8位。陥落率が非常に高い場所になる。勝てば中ぐらいになるだろう。

B級1組:鬼の棲家というリーグで、まったくそんな感じだ、昇級一人、降級一人が決定してるが、よくわからない。いつの間に木村九段にも昇級の目がある。来年は強い人が一人入ってくるので、上を狙う人は順位一枚が重要。山崎八段昇級決定だが、山崎・松尾両氏が牢名主と言われて長かった。ところで、どうしてこのクラスだけ対局数が多いのだろう・・

B級2組:混戦の3位争い。計算してみると、勝ち星順位10番目で5勝4敗の谷川九段にも64分の1で昇級確率がある。1.6%である。「1.6%なんて、ゼロと同じ」と考える人に限って、発病後の致死率1%の新型コロナに怯える。

C級1,2組:B級2組もそうだが、昇級枠や高級点枠が増えたために、最終局が血みどろ化したような気がする。

さて、2月13日出題作の解答。







当初図では変同が見つかったため、5三歩を追加。変動駒余りだが、駒を余らせる手順も難しい。

本日の問題。



わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。(星2つ問題かな)

路線バスの旅で観梅

2021-02-26 00:00:34 | おさんぽ
東横線の大倉山駅(横浜市)の語源は戦前の大倉財閥の所有していた山にある。大倉山駅の西側の山。線路沿いに坂道があって、登っていくと梅で有名な大倉山公園がある。大倉財閥は神戸にも同様の山があって神戸市地下鉄の駅名も大倉山と東横線と同じだ。ホテルオークラや札幌のスキージャンプ台にも名を残している。

そして横浜の大倉山公園は観梅で有名だ。時期はよしということで出かける気になった。実は30年前には大倉山に住んでいた。その頃に行った以来だ。最近の大倉山で有名なのは、賛否両論のシンデレラ男寸前の「圭君」。梅とは線路を挟んで逆側だ。

ところで、自宅は横浜市で、そう遠くはないが、駐車場はなく、鉄道で行くには接続がうまくない。東横線と田園都市線の共通の駅は、東京の渋谷だ。方向違いだ。渋谷とは逆方向に進むと二つの線路はどんどん離れていく。東京を起点とした放射線状だからこうなる。ということで市営バスに目を着ける。どうやら小刻みに3路線を乗り換えていくと短時間で到着する。しかも1日乗車券というのを使うといいようだ。まさに路線バスの旅だ。

テレ東の番組だと、スマホを使わないことと、バスに乗るときにサイコロを振って出た数の停留所で降りなければならないが、そう暇でもないので、スマホを利用し、サイコロは振らないことにする。

ということで乗り換えに不安を覚えながら大倉山駅に到着。さっそく駅横の坂道を上るのだが、息が苦しい。膝が痛い。ため息がでる。歳月を感じる(が、現実は厳しい)。



山の上に到達すると、今度は下りだ。予想よりも多数の観梅客がいるが、今年は地べたにビニールシートを敷いての酒盛りは禁止なのだ。つまり、公園の中を歩きまわることになる。



梅は赤と白の二色と思っていたが、ロゼもあるようだ。というか大倉山ではロゼが多いような気がする。そして公園の一番奥には枝垂れ梅があった。



全体に古木が多いように思った。



ところで、神奈川の梅と言えば、小田原市曽我地区の梅林が有名だ。先週末は見物客が大挙訪れて顰蹙だったそうだが、嫌な思い出がある。数十年前に営業の仕事をしていて先輩社員と営業車で小田原に無駄足に終わった仕事で行った帰りに、「梅を見に行こう」ということになり梅林の中の農道を走ると、どんどん道が細くなってUターンもできず、長い距離をバックする最悪なことになった。しかも脱輪。



幸い、道路から高さ10センチほど車輪の一つが落ちただけなので、とりあえず板でも探してきて持ち上げようということで、板を探し始めるが、簡単には見つからない。昭和20年代ではないわけだ。そうしているうちに、近くにある墓地に、名前のようなものが書かれた長い木の板が何本も地面に刺さっていることに視線が向かってしまう。そして先輩と二人で相談。人間、二人いると、冷静に考えることができるわけだ。

74,203円

2021-02-25 00:00:13 | 市民A
高級官僚と放送業者の会食が話題になっている。主に二点。一つは、見返りがあったのか。もう一つは一人74,203円の会食費。見返り問題は難しいので、74,203円の方について。

テレビでは、「ワインの飲み過ぎ説」や「高額贈り物を店に買ってもらって食事代に乗せたのでは」とか、元官僚や政治記者が推測を語っていたが、細かな話に詳しいのは、受けたり払ったりの体験から言っているのだろう。

私も以前、役所担当していたので、とんでもない官僚のことは知っているが、それでもその単価は高いな、と最初は思っていた。ハイヤー代などの店の立替え分が入っているのかな?と思った。あるいはホストクラブとかショーパブとか。

この下の段落は、朝日新聞社が「フランス料理」と報じたために追加したのだが、フランス料理でステーキと海鮮はおかしいと感じていた通り、本人は国会で「日本料理店」と説明していたので、やはりなあ・・鉄板の周りにコの字に横並びで座るスタイルなので、ワインをたくさん飲むようなスタイルではないだろう。単にメニューの一番上を選んだだけだろう。

この段落の下の3段落は、当初情報による推測で、その後、虎ノ門のホテルのフランス料理店と報道あり。以下に書いた店は日本料理なので矛盾しています。虎ノ門のホテルといえば、虎ノ門ヒルズ内の「アンダーズ東京」内にグリルレストランがありますが、公表されているメニューには、そんなに高い料理はなく、ステーキとエビ×2とサイドメニューを足しても35,000円ぐらいなので、ワインを2、3本飲んだのかも。霞が関から地下鉄1駅でホテル。

しかし、明細が明らかになってきて、「ああそうか」と思ったのは、虎ノ門のステーキ・海鮮料理店ということ。その予想される店のメニューを見ると、神戸ビーフとアワビの入ったディナーコースのプライスは48,000円となっている。ワインも下のランクで8000円程度だろうから一人12,000円程度だろうか。合わせれば60,000円。サービス料20%とすると72,000円で、ほぼ計算が合う。個室利用料は一人一部屋じゃないので入っていないだろう。

予測した店の名前を書き忘れたが、ホテルオークラ内の「さざんか」ではないだろうか。鉄板焼きだ。ホテル改築前にはよく利用していたが、改築後単価が2倍近くに上がった。ただし、ホスト側のメニューには単価が書かれていたが、ゲスト側のメニューには単価は書かれていなかったはず。したがって48,000円もするとは思わなかったということができるわけだ。

同業他社が接待していたかどうかは当該社はわからないため、どうしても奢り負けするわけにはいかないので、最も高額なメニューを選ぶはずだ。さらに、高額の理由の一つは、「アワビ」。アワビのオイル焼きというのは、大変な珍味だが、生のアワビそのものの原価は1万円以上するかもしれない。

少し気になるのは、接待した会社の方だが、放任なのだろうか。税務はどうしているのだろう。おそらくある程度の予算枠はあっても「役所用は上限なし」ということではないだろうか。交際費を投資とみれば、役所に対する投資はコスパが非常に高いわけだ。もし、交際費の全体額で管理するというなら、他の接待先の単価を落とせばいいわけだ。ステーキ店もモンシェルトントン(瀬里奈系)に変え、アワビではなくホタテにしたり。

実際、公表された中では5000円くらいのランチ数回で処分されそうな方もいるようで、7万円に最も怒っているのは「5000円や10000円クラス」とランク付けされた格下公務員ではないだろうか。

鳩の関係

2021-02-24 00:00:23 | 市民A
自宅の前の電線に、雨にもかかわらず鳩が二匹並んでいた。鳩の生態には詳しくないが、春なのでつがいなのだろうか。種類はキジバトだろう。いわゆるドバトではないようだ。このあたりは二種類が共生している。

実は一か月ほど前に鳩に関してマイナーな事件があった。やはり二羽で飛来した鳩がいて、当家の樹木の枯れ枝を加え、道路の先の別の家の垣根の中に巣をつくりはじめたのだが、しばらくして途中放棄でいなくなった。どうもこのあたりを縄張りにしている陽気なカラス(犬の鳴き声や人の声をまねて、笑わせてくれる)がいるのだが、他の鳥の巣を狙っているような様子もあったのだが、鳩の方で気が付いたようで、巣作りは別の場所に変更したようだった。

どうも、今回の二羽は、まだお見合い中のようだ。低能な相手を選ぶと、小鳩だけじゃなく親鳩もカラスの餌食になるので、慎重なのだろう。鳩の寿命は10~20年ということで、鳩の1年は人間の5年分くらいだろうか。

そして、この二羽だが実に3時間も電線に留まっていた。長すぎるお見合いだったのだろうか。


hato1
最初の一時間は二羽の関係は親密だった。くっついて離れない。(寒かったからかもしれない)



hato2
次の一時間、何があったのかわからないが少し距離ができた。



hato3
さらに、ソッポを向き始めた。何が起きたのだろうか。



hato4

冷却期間か。



hato5
ついに羽根の中に頭を入れてしまった。


実はこの後も同程度の距離をとって一時間ほどは雨の中、電線に留まっていた。そして、いつの間に鳩はいなくなり、結末を見損なってしまった。ミステリードラマではないので、再放送はない。

文豪ストレイドッグスDEAD APPLE(2018年 アニメ映画)

2021-02-23 00:00:10 | 映画・演劇・Video
作家中島敦のことを調べてみると、非常によくある平凡な人間的な人生だったことに、逆に親近感を持ったのだが、アニメ『文豪ストレイドッグス』シリーズの中では最重要人物になっている。有名作家の実名で登場した人物が、横浜を舞台とした奇怪な事件に絡みあっていく。もとはと言えば、鶴見川で自殺しようとした太宰治を中島敦が救助したのだが、実際の鶴見川は河口こそ大河だが、マイハウスの近くではせいぜい水深50センチ(洪水の時は濁流になるのだが)。

実際の中島敦は横浜元町にある女学校の国語教師を長く勤め、その後、パラオにあった南洋庁で現地人に日本語を教えることになったが、持病の喘息により日本に戻る(パラオは南洋と言っても、そんなに暑くはなく喘息の快癒にはつながらなかった。

それで、アニメでは様々な作家が登場するが、作家は異能力者という設定になっている。本物の上級国民だ。その異能力者が自殺する事件が多発する。特に横浜で。異能力者を邪魔者と考えるグループがいるわけだ。横浜の街に濃い霧がかかると、異能力者が自殺を始める。この霧を司る男が澁澤龍彦。私は愛読者だが、相当な悪者にされた。その子分が太宰治。実在の太宰は異能があったわけでなく大の努力家で習作は柳行李2本分あったそうで、他の作家の才能を恨んでいた可能性はある。

下界と切り離された霧の中で異能力者は自分自身と自分の中の異能との闘いを続け、その結果自殺願望に至るということらしい。

劇中、キレのある表現が多数登場するが、そもそも作家はそういうのが得意だ。

その地震、被害あり

2021-02-22 00:00:03 | 災害
13日夜の福島県沖地震、横浜は震度4で、地震直後に室内を確認したが自作詰将棋の15手詰の紙ファイルが落下しただけのように思えていたのだが、実はこの揺れによるダメージが発生していた。

6日後の朝、洗面台を使っていたら、妙な断続音が鳴り始めた。少し前には屋外のヤモリの鳴き声が聞こえたこともあったので、そういうものかと思っていたのだが、もっとすぐそば、足元の方から聞こえてくる。洗面台の下の両開きのドアを開けると、・・・・水浸しだった。顔に石鹸が残っているのに、慌てて水栓をしめようとするが、硬くて閉まらない。

こういう時に、力任せはいけない。水栓が壊れて大惨事になる。慎重に左右に回して固着をほどいてやっと熱湯の漏水をストップ。

床下から上がってくる温水側の水道管と洗面台の温水混合栓の間の細い管に穴が開いている。構造的には金属の管の外側に樹脂系の被膜で覆われているのだが、この飛膜が内側から噴き出したように外側にめくれている。おそらく地震の横揺れで管にひびが入り、一週間の間に徐々にひびが拡大し、ついに被膜が破れて破裂したのだろう。

こういう時に頼んではいけないのは、しょっちゅうポストに投函される磁石の業者。ということでネットで普通の業者を探すにしても、良い業者か悪い業者か見分けがつかない。あたりをつけて電話してきてもらうと、まず経年を聞かれ、「20年」というと業者の目が急に輝いたように思えた。調べること3分程度で、「配管とシャワー付きの蛇口は分離できないので、一式交換ですね。すでに修理部品もないし。7万7千円です。」と宣告され、目の前が暗くなる。

しかし、20年も使って、鏡も一部破損し、色焼けもしていて、プラスティック部分には細かなひびが入っていて、そろそろ買い替えかなと情報収集中だったことを思い出す。全部で工賃込みで15万から25万の間だろうと思っていたのに、蛇口と配管に7万もかけるわけにはいかないわけだ。ということで、工事をお断りすると、「5万5千円でいいです」と軟化。まあ五十歩百歩だ。点検調査費3,300円ということになり、今度は設備業者探しをしなければならない。

ところで、ひびが少しずつ拡大して、ついに破裂した今回の状況だが、何か巨大地震のメカニズムと似ている。少しずつ前震が続いて、その後に本震が来る。防災用品も買い替えが必要かな。ヘルメットは30年前のものだし。

トライアローグ(横浜・富山・愛知・三美術館共同企画)

2021-02-21 00:00:04 | 美術館・博物館・工芸品
20世紀のほぼ終わりに、日本国内では美術館建設ラッシュがあった。バブルの絶頂期から滑り落ちる時期だったのだが、建設が始まったころには夢にも見なかっただろう。この三館以外にも世田谷美術館や東京都現代美術館とか、20世紀美術を収集した美術館が完成した。

そして20年。

横浜美術館は来月から2年間にわたる大工事が始まる。美術品の一部は世界大巡業に出るのだろう。何となく感じるのは、五輪終了後からカジノ開業までの隙間に工事を予定したのだろうか。すべてがくるってきた。カジノ候補地立候補の必要要件に国際会議場とか大美術館とか求められることになって、事実上、東京・横浜・大阪になるしかない。それでも他の地方が横槍を入れようとすれば、観覧車とか水族館とかホテルの数とか次々にガラスの天井が作られるだろう。

ごたくはこれくらいにして、展覧会だが、さすがに三館が競い合って収集したお宝だけに物量で圧倒される。

3つのパートは時代別になっている。

1900年~(42点)
ムンク・ピカソ・ブラック・レジェ・デュシャン・マティス・シャガール・ルオー・・・・

特筆すべきは、横浜美術館の至宝であるコンスタンティン・ブランクーシの『空間の鳥』。欧州美術にアフリカを取り入れた。そんなに大きくはないが空間を切り裂くような迫力だ。

特筆すべき二点目はモディリアーニの『カリアティード』(愛知県美術館)。彼の描く女性像の最大の特徴は目の中に黒目を描かないこと。座頭市のようなことになる。ところが、この作品には黒目が描かれている。シャガールの『山羊を抱く男』(富山県美術館)も、よくある普通のシャガールとは異なり、荒々しいタッチで何か急を知らせるような緊迫感がある。



1930年~(40点)
エルンスト・マン・レイ・ミロ・ダリ・ボロック・デルヴォー・・・・

横浜美術館所蔵のルネ・マグリット『王様の美術館』がある。きわめて端正である。このきめの細かさは想像以上に意外だ。

どこかで見たことのある絵画の本物が、「ここにある」といったところだ。



1960年~(41点)
ジャスパー・ジョーンズ・ジム・ダイン・リキテンスタイン・アンディ・ウォーホル・・・
美術は多元化してゆき、キャンバスからどんどんはみ出していった。

本来は登場しなければならないキース・ヘリングは作品ではなく、ウォーホルの作品の中に本人が被写体として登場している。撮影日時は不明だが、もしかしたら「御遺影」かもしれない。


美術評論家ではないが、20世紀の美術は、まず印象派が美の極みを追求。ある意味で、モネとルノアールという横綱を筆頭になんとなく番付表みたいになって、世界中の美術館を埋め尽くす。

そのあと第一次世界大戦で欧州が銃弾と血と国家感、民族間の不信の渦となり、芸術家は必死にもがき苦しみ、多様化していく(音楽などもそうだが)。そして第二次大戦のあとは多元化という方向で拡散しているということだろうか。アーティストや評論家、収集家たちには多元化の先に何かが見えているのだろうか。

火の粉はどこまで飛ぶのか

2021-02-20 00:00:24 | しょうぎ
総務省という「名前では本質がわからない」中央省庁の高官が二人ほど消えそうになっているが、接待した企業の社員はその企業の関連会社の役員ということだが関連会社の名前は、「囲碁将棋チャンネル」という放送会社。囲碁と将棋の専門放送チャネルということだが、グループ内で、もっと重要な関連会社は「スターチャンネル」。そちらではないので、そう偉くないのかもしれないが、お父上は地元将棋界ではかなりの有名人らしい。

しかし、ジャーナリズムの追及は「囲碁」方面に向かっているようなので、将棋界には火の粉は降らないような感じである。もっとも、最近は囲碁も将棋もわからない大人が多いので、記者の中には「将棋ゲームは囲碁の中の一形態」と勘違いしている者もいるかもしれない。


さて、2月6日出題作の解答。








今週の問題。



盤を広く使ってみたが、さして難しくはならない。広い盤で手数が長いのは嫌われるので、そんなに長くはない。

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

スピード(1994年 映画)

2021-02-19 00:00:32 | 映画・演劇・Video
sp何度も観る映画というのがいくつかあって、その中の一つ。今回は『スピード2』を観ようと思って、「1」から観なおす。
キアヌ・リーヴス、サンドラ・ブロックという二大スターはこの映画から生まれたといってもいい。SWATの一員のキアヌ・リーブスと爆破魔デニス・ホッパーとの闘いは、高層ビルのエレベーターから始まる。次は高速バスに仕掛けられた爆発物との闘い。傷ついた運転手に変わってサンドラ・ブロックがハンドルを握る。スピード違反常習者役だ。

映画のタイトルは『スピード』だが、本当は『スピード違反』なのかもしれない。そして最後の戦いは地下鉄。ボロ地下鉄で、暴走して地上に現れる。(ビルのエレベーターもボロだし、高速バスも高速道路もボロだ)

多くのアクション映画は、町の破壊度が1000億円ぐらいになるのだが、本作はあくまでも現場にいるキアヌとサンドラと遠隔で爆弾を操る爆弾魔という知能ゲームであり、町の破壊活動は被害額100億円規模に過ぎないだろう。

何かを解決すると、すぐに違う問題が現れる、それが片付くと次の問題が始まったり。東京五輪と同じだ。

そもそも透明化は無理な話

2021-02-18 00:00:59 | 市民A
五輪組織委員会会長の選び直しの選考委員会が2回開かれ、橋本聖子五輪大臣に一本化したと報じられたものの、橋本氏自身は固辞を続けている状態のようだ。

「選考過程の透明性が問題」との意見があるのだが、そもそも無理な構造だと思う。

というのも、選挙のように、立候補者(=なりたい人)が複数いて、その中の誰を選ぼうかという議論であればわかるが、立候補者がいるわけでもないし、個人資格のなりたくない人たちを羅列して、選ぼうというのだから公開できるわけもない。会社の人事とは違うわけだ。

今度は猿芝居の匂いがある。本命候補に合理的風にたどり着くまでの演出で、ひとまず橋本氏に空砲を撃ったのではないだろうか。

元はと言えば、余裕のなくギリギリ状態の会議の中で、場違いなオヤジギャグみたいなのを飛ばした会長がいけないに決まっているわけだ。

公式映画監督の河瀨直美さんも大忙しだ。なにしろ分かりにくい事件を解きほぐさないと映画にならないが真相がわかるのだろうか。

それと、五輪を中止した方がいいという国内世論があるようだが、それはよした方がいい。第一回アテネ大会に始まり、今までの間に自分から約束を破って辞退した歴史は1回しかない。1940年の東京大会だ。中国での戦局が長期化し、米国との緊張が高まり、戦費に予算を回すために立候補を取りやめた。約束を平気で破る国の仲間には入らない方がいい。

さらに無観客試合にするとチケット代900億円がなくなるという話もあるが、そもそもGoToの予算は2020年と21年の合計では2.7兆円。900億円の30倍である。

春っぽい三点盛り

2021-02-17 00:00:10 | あじ
春っぽいサラダを考える。昨年末に北海道から届いた「ふるさと納税返礼品」の『生ハム切落とし』と小豆島でGoToトラベル地域振興券で買った『新オリーブ』とスーパーで買った長崎県産イチゴの『恋みのり』。緑・白・赤のイタリアカラー。



緑白赤のイタリア国旗だが、刻みパセリ、チーズ、トマトソースを表すものと思っていたが、調べてみると奥が深い。

そもそもフランスの国旗、青・白・赤とよく似ていると思っていたが、そのはずでナポレオンが決めたそうだ。北イタリアにあった小さな共和国を懐柔して、国旗のおすそ分けをしたそうだ。つまり、最初はフランス式の、自由・平等・博愛だったはずだ。

その後、イタリアは内戦を続け、イタリア王国として統一国家になったのは1861年。基本的に国旗は緑白赤の三色に少しアレンジしたものが使われる。さすがにフランス国旗の意味を転用することはやめ、「国土・雪(正義)・血(愛国)」と変わった。要するにマフィアだ。

食材についてだが、『生ハム』か『ハム』というのは日本では非加熱か加熱かの差を言うらしい。前から気になっていたことでやっとわかったのだが、スペインに旅行した時にバルセロナ駅の隣のカフェテラスでの朝食ビュッフェのハムが美味で、3回も食べに行ってしまったのだが、味や触感は生ハムなのだが「ハム」となっていて疑問をいだいていたのだが、スペインでは基本的に生ハムを食べることになっているので、ハムといえば生ハムのことだったようだ。

そして返礼品の生ハム切り落としだが肉厚だ。「カルディ」の生ハム切り落としは、薄くスライスされたまま固まってしまっているので食べにくいにもほどがあるが、返礼品の生ハムは厚切りである。そういえばスペインのハムも厚切りだった。

輸入品のオリーブの瓶詰めは大粒で、あまりオリーブの味がしないのだが、小豆島産のオリーブは小粒だが、本当に美味しい。輸入品とはまったく別なる食べ物の味だ。多くの人が並んで大量に買っていたのも理由がわかる。少し舌触りもある。毎年、足を小豆島に向けさせようという陰謀すら感じる。

長崎イチゴ。長崎のイチゴの代表は「ゆめのか」であり「さちのか」ということだったが、新たに「恋みのり」という品種が作られるようになったそうだ。カットするとわかるが、果肉は真っ白だ。「とちおとめ」や「あまおう」は果肉の部分にも赤い色素が侵食しているが、「恋みのり」の果肉は純白で、食感に粘りがある。また、酸味が強いのが特徴といえる。甘いばかりが良いとはいえないとこだわり派向けかもしれない。

日本名城伝(海音寺潮五郎著)

2021-02-16 00:00:25 | 書評
tyogo「人に歴史あり」という言葉は、どんな無名人でもその人なりの大河ドラマがあるという意味だが、「城に歴史あり」というと、これは本物の歴史そのものなのだが、実際に城が整備されたのは戦国時代の末期から江戸時代の初頭の50年ほどの間で、特に江戸初期の城については、本格的な戦いは数少なく、実際には各藩ごと歴史といったところで、それもほとんど太平の世だったわけで、むしろ、お家騒動とか女性の絡んだ事件とかそういうものが多い。

また著者の海音寺潮五郎氏は歴史家ではなく、歴史小説家なのだから、小説の題材になるような事件を中心にこの本を書かれていて、素人はこういうようなものが好きだ。

とりあげた城は、熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭の12城だ。奇しくも現存天守閣の数も12だが、本書に取り上げられた中で現存12城に入っているのは姫路城だけだ。

特に岐阜城の描写がすさまじい。斎藤道三にはじまり信長をはじめ十代の城主が次々と不幸に飲み込まれていく様はそら恐ろしい。江戸時代に入ると、さっそく廃城となった。

そういえば、数年前に復興天守閣に行ったことがあった。

YOKOHAMA AIR CABIN 発車迫る

2021-02-15 00:00:47 | 市民A
みなとみらい地区のランドマークタワー方面に用があって、桜木町駅から料金無料の動く歩道に乗って、海の方を見ていると、超巨大な横浜市役所の左手に、見慣れぬものがあった。すぐに思い出したが、ロープウェーだ。日本初常設都市型ロープウェイとして建設中だったものが、完成して、すでに箱が設置されていた。



今春、営業開始と書かれている。正式には4月22日(木)だ。通称は公募の結果『YOKOHAMA AIR CABIN』となった。「空飛ぶ船室」。



実際は全長630メートル。高さ40m。結構、高いところを往復する。桜木町駅からワールドポーターズ駅まで。途中駅なし。所要時間は5分。歩けば約10分なので、5分短縮できる。

料金を調べてビックリしたのだが、片道1000円(小人500円)。8人乗りだそうだ。630mで1000円ということはタクシーより高い。タクシーは4人乗っても割り増しにはならないが、ロープウェイに4人で乗ると、4000円。帰りも使うと8000円だ。

もちろん、そのうちカジノ地区まで延伸になるのだろう。すべてがカジノのために動いている市長のお遊びだろうか。無観客ロープウェーにならなければいいのだが。しかし、外国人観光客が果たしてカジノに集まるのだろうか。むしろ、パチンコ、パチスロ店の方がおもしろいと言って市内のパチンコ店に向かうのではないだろうか。

「写真とプリント」展

2021-02-14 00:00:21 | 美術館・博物館・工芸品
本日までの展示を書くのも気が引けるが、予想以上に勉強になったのが、横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中の「写真とプリント」展。

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横浜は、実質的には日本の写真の発祥地に近い(厳密な話は難しいが)。ペリー提督の強引な来日以来、欧米の写真家たちが日本の実情を記録に残し、また在留外国人も多かったため写真館も開かれている。

それらの関係もあって市内にはさまざまな記録や作品があり、横浜市が収集をした記念の品々が頻繁に公開される。

特に田園都市線あざみ野駅に近い市民ギャラリーでは、毎年のように写真技術の展示があって、今年は、20世紀後半に進歩したカラー写真について、充実していた。

今回展示された様々なカラー写真技術だが、

1. オートクローム(1907~1930年代・フランスで考案)
 ガラス板に赤、緑、青の染料で着色したデンプンを塗布して三色分解のスクリーンを作る。複製の作成不能。

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2. ハーフトーン(1880~1960年代・ドイツで考案)
 基本技術はモノクロ時代からのものでドットの大きさで濃淡を表現する方法だが1930年頃に登場した「三色分解カメラ」によってカラー写真に応用されることになる。このカメラは三色用の別々のネガを作るため被写体の像を何枚かの鏡で三つに分配し、それぞれの色素別のフィルターで三原色別のネガを作り、合成して使用する。ハーフトーン法に限らず、20世紀後半まで使われていた。

3. 発色現像方式印画(1942~現代・コダック社)
 三層の感光乳剤を使ったネガフィルムを作り、そのネガから印画する。コダック社の商品名から「タイプCプリント」といわれる。

4. 銀色素漂白方式印画(1963~2000年代・チバガイギー社)
 カラー・ポジフィルム。ネガフィルムではなく、ポジフィルムから印画する方法で、強い色彩が特徴。。

5. ダイ・トランスファー・プリント(1946~1990年代・コダック社)
 三色分解フィルムを使い、さらに三色別の濃淡を反映させて重ねてカラー画像を得る。鮮やかな色調と細かな表現が特徴で写真家向け。

6. 拡散転写方式印画(1947~現在・ポラロイド社)
 いわゆるポラロイド写真。特殊な写真乳剤を塗布したネガシートに、ネガ画像を焼き付け、瞬時にポジ画像を得る方式。

特に感動したのは、主にドイツ人が考案したといわれる三色分解カメラ。同時に三枚のネガを得るというのは、難しい発想だが、それを何枚もの鏡で行うというのがすばらしい。


ところで現在は、デジカメ(スマホ含む)全盛で、フィルムに焼くことは少数派だ。画素数は1000万を超えるものばかり。基本的に画素数はドット数で点の集合体である。実際には物の像というのは連続的な影であり点の集合体ではない(光は粒子であるという説もあるが、現代ではそう考える科学者は少ない)。

一方、人間の視神経というのは100万本の神経細胞の束なので、脳には100万画素で情報が送られるのだが、実は網膜上の受容体は1億3000万個もある。つまり網膜上で大脳に送られる情報量は130分の1に絞っていることになる。つまり、たとえば1300万画素の画像を見ても10万画素の情報だけが大脳に送られているということになる。100万本の視神経をフルに満足させるなら1億3000万画素がとりあえずの上限なのかもしれない。