毎年、100冊以上の本を読んでいたのだが、今年は大苦戦。6月末までの半年で30冊。9月末で52冊。10月に16冊、11月に18冊、そして12月30日にようやく12月の14冊目。これでやっと100冊。本当は、数日前に達成するはずだったが、集計に使っているEXCELの100行目は、最初の1行を「項目」に使っているため、99冊目であることに気付き、あわてて、99冊目を映画監督の書いた軽い失敗作の新書にして、今年の春、4月から少しずつ読み進んでいた本を100冊目として、やっと読了。
「星新一・1001話をつくった人」。著者は、当代きっての伝記ライター、最相葉月。
なぜ、8ヶ月もかけて572ページを読んだのか。あるいは、読むことをこばむものがあったのか。
一つは、星新一は、作られた作品とまったく違う重い人生を抱えていたから。そして、この伝記(あるいはドキュメンタリー)は、彼の最晩年、つまり闘病生活の末、帰らぬ人となった、その時点からの筆で始まるということも読めなくなっていた原因でもある。思えば、作家という職業、誰も定年などないのであって、休筆と言う名の作家終結宣言を行うか、あるいは壮絶に果てるか。まあ、そんなところから、突如として、星新一=星親一の実業家としての前半生に筆は戻る。
星親一の父親、星一は星製薬の創業者である。最相は膨大な資料の中からこの星製薬の正体を追う。いわゆるモルヒネ生産を独占的に行っていた会社であるが、このモルヒネは、ケシ→阿片→モルヒネ→ヘロインという精製工程の中の一つの姿であり、産業としてはケシ畑の栽培から始まる。明治以降、星製薬が行った事業が、それぞれの段階で、現在、どうなっているか、おそらく、本書に書かれていない部分が多いように思える。
星新一には父親の周辺を調べ書いた「人民は弱し、官吏は強し」があるが、さらに別の事実があるということを新一は後日知ったそうだ。
そして、星製薬の破綻。その後の星親一が、傾いた会社の中で運命に翻弄されるさまが描かれている。そして、追い出されるように社長を辞任。ひょいとしたことから、現実逃避的にショートショートというSFのエッセンスだけのような作風に至る。頭の固い出版社からは、枚数あたりの原稿料しか貰えず、名声の割りに大いに苦労したらしい。
800編を過ぎたあたりから、アイディアは枯れ、体力は消耗し、気力だけで書き進み、とうとう1001作に到達。
不器用を絵に描いたような人生ということだろうか。
また、新一の母方の祖母は森鴎外の妹である。森一族には文学者が多い。本の詳しい内容は、書店に行って本体価格2300円を払うか、近々文庫された折に、上下刊合計1500円程度で購入されるかどちらかでお願いしたい。
そして、同じショート・ショートでも、おおた葉一郎の「しょーと・しょーと・えっせい」は、既に1400編を超えているのだが、もちろん、書けばいいということではないのは言うまでもない。「天声人語」を打ち破るのが目標ということなのだが、その道は極めて遠く、険しい。
そして、現在、自宅在庫本になっているのは5冊。超難解な詰将棋が3冊。そして、創作者のためのレトリックや表現法の本が2冊。分野は異なるが、いずれも、限られた読者層に対し「余人を近づけず」というようなタイプの本だ。年末年始の9連休で、ついに着手しようかと思っている。
「星新一・1001話をつくった人」。著者は、当代きっての伝記ライター、最相葉月。
なぜ、8ヶ月もかけて572ページを読んだのか。あるいは、読むことをこばむものがあったのか。
一つは、星新一は、作られた作品とまったく違う重い人生を抱えていたから。そして、この伝記(あるいはドキュメンタリー)は、彼の最晩年、つまり闘病生活の末、帰らぬ人となった、その時点からの筆で始まるということも読めなくなっていた原因でもある。思えば、作家という職業、誰も定年などないのであって、休筆と言う名の作家終結宣言を行うか、あるいは壮絶に果てるか。まあ、そんなところから、突如として、星新一=星親一の実業家としての前半生に筆は戻る。
星親一の父親、星一は星製薬の創業者である。最相は膨大な資料の中からこの星製薬の正体を追う。いわゆるモルヒネ生産を独占的に行っていた会社であるが、このモルヒネは、ケシ→阿片→モルヒネ→ヘロインという精製工程の中の一つの姿であり、産業としてはケシ畑の栽培から始まる。明治以降、星製薬が行った事業が、それぞれの段階で、現在、どうなっているか、おそらく、本書に書かれていない部分が多いように思える。
星新一には父親の周辺を調べ書いた「人民は弱し、官吏は強し」があるが、さらに別の事実があるということを新一は後日知ったそうだ。
そして、星製薬の破綻。その後の星親一が、傾いた会社の中で運命に翻弄されるさまが描かれている。そして、追い出されるように社長を辞任。ひょいとしたことから、現実逃避的にショートショートというSFのエッセンスだけのような作風に至る。頭の固い出版社からは、枚数あたりの原稿料しか貰えず、名声の割りに大いに苦労したらしい。
800編を過ぎたあたりから、アイディアは枯れ、体力は消耗し、気力だけで書き進み、とうとう1001作に到達。
不器用を絵に描いたような人生ということだろうか。
また、新一の母方の祖母は森鴎外の妹である。森一族には文学者が多い。本の詳しい内容は、書店に行って本体価格2300円を払うか、近々文庫された折に、上下刊合計1500円程度で購入されるかどちらかでお願いしたい。
そして、同じショート・ショートでも、おおた葉一郎の「しょーと・しょーと・えっせい」は、既に1400編を超えているのだが、もちろん、書けばいいということではないのは言うまでもない。「天声人語」を打ち破るのが目標ということなのだが、その道は極めて遠く、険しい。
そして、現在、自宅在庫本になっているのは5冊。超難解な詰将棋が3冊。そして、創作者のためのレトリックや表現法の本が2冊。分野は異なるが、いずれも、限られた読者層に対し「余人を近づけず」というようなタイプの本だ。年末年始の9連休で、ついに着手しようかと思っている。