ベスト・オブ・世界遺産(~3月31日)

2010-02-28 00:00:41 | 美術館・博物館・工芸品
isan0横浜の日本大通り駅の上にある横浜情報文化センターに、新聞博物館とともに「放送ライブラリー」というエリアがある。詳しくは知らないが、主にテレビ局が出資していて、様々な放送された番組をここにいけば見ることができる。とはいっても、バンクーバー五輪のフィギュアスケートを見落としたので見に行こうというのが対応可能なのかは知らない。

近くに用があったので、覘いたのだが、TBSテレビで放送している「THE世界遺産」の特集と、各地のベストショットをパネルで紹介していた。

isan1ただ、世界遺産というのも、さまざまな異なる観点で認定されるのだから、そのベストテンなど作る意味があるのだろうか、と思ってしまうのだが、それはそれとして、世界には色々なところがある。

とはいえ、その多くは僻地にあり、簡単に行くことができない。

だから、テレビで見たり、DVDを買ってくることになる。個人的には、そんなに見に行きたいわけでもない。個人の価値観の差もある。

大別すると、世界遺産は、自然の生み出す美しさとか貴重さという種類と、人類が過去に作った壮大な構築物という種類にわけられる。日本やアメリカは、どちらかというと自然派だ。白神山系や紀伊山地、廃墟としての沖縄のグスクや石見銀山のような過去の遺産。

isan2しかし、エジプトのピラミッドはじめ、マチュ・ペチュのインカ遺跡、モン・サン・ミシェルなどは、人類の歴史そのものだ。

まあ、横浜なんかも、そういう場所なのだろう。当日も、『消防救急発祥の地』という石碑を見つけた。


もっとも、ここ数年、世界遺産ビジネスが盛んなのだが、どうも団塊世代がターゲットになっているそうだ。たぶん、・・

薄型テレビを買う→きれいなDVD(世界遺産)を買う→実際に旅行に出る。といったところなのだろ。

isan3しかし、前述したが、日本の世界遺産は、かなり自然主義だ。年金生活になってから行くと目的地まで、その残った脚力で到達できるかどうか、である。

実戦型詰将棋について

2010-02-27 00:00:26 | しょうぎ
本来は、元女流強豪棋士が棋界に復帰しようとしたものの、“とおせんぼ”を食らって、棋界有力者が静かに怒りの杯を傾けているという噂の真偽とか、今後の展開予想とか書けばいいのかもしれないが、よく知らないのでやめておく。

jissen5詰将棋の本。

パワーアップ詰将棋5手詰(高橋道雄著)。

あまり短手数の詰将棋は作っていないので、最近よく取り組みはじめた。別に、近い将来に詰将棋本を出版する準備じゃない。

短手数はよく同一作とか類似作になるので、あまりやりたくないし、短手数で独創作を作るのは、かなり難しい。まあ参考までにということ。

本のテーマは、

「実戦!」臨場感たっぷりの構成で、大会前のトレーニングや詰みの訓練に最適。オール5手詰め202問。

ということらしい。

が、202題の半分は朝の通勤で解いて、残り半分は夕方の帰宅中に電車の中で解けてしまった。実際には、ほとんど見ただけで考えることがなかった。

というのも、たぶん、それが実戦形ということなのだろうか。

個人的に思っているのだが、「実戦型詰将棋」というのをいくら解いても、将棋は強くならないような気がする。将棋の基本が読みだとすると、実戦型でない詰将棋の方が、先入観なしで読まなければならないので、身に付くような気がする。

逆に言えば、実戦形で詰みがある場合、その場面に到達するかなり前から、「その形に詰みあり」ということを数秒の思考で見ておかなければならないのだろうから、そもそも実戦5手詰めに苦労するような人は、“初段にはなれない”、と断言できるのかもしれない。


さて、2月13日出題作の解答。



少し解説がややこしくなるので、途中図ごとに区切りをつけてみる。

まず、初型から、
▲3三馬 △同香 ▲2一金 △同玉(途中図1)。

初見で持駒不足が感じられ、馬を3三に捨てて、6一の金を拾う筋とまでは見える。そして、▲3三馬に対して2二への合駒を読むわけだが、銀以外の合いなら、▲2一金 △同玉 ▲6一飛成まで。2手目が△2二銀合ならば、、▲2一金 △同玉 ▲6一飛成 △3一合 ▲同角成 △同銀に▲1一馬と突っ込んで詰む。

ここで、なんとなく、▲2一金 △同玉 ▲6一飛成という筋が頭に残ることになる。

3手目に▲2一金を打たないで▲6一飛成は、△2一金打で詰まない。しかし、早くも持駒がなくなる。そして、問題の5手目になる。



▲6一飛不成! △2二玉 ▲3一角成 △2三玉 ▲4一馬(途中図2)。

突然の「不成」。実は、この段階では、なぜ「不成」なのか明らかにならない。理由は後述となる。簡単に言うと、一度成った駒は、「不成」に戻れないから。この構想は、遠く江戸時代に遡るわけだ。そして、このまま行くと、持駒不足となるので、ここで▲4一馬と小技を繰り出す。

△3二歩 ▲同馬 △同玉 ▲6二飛不成(途中図3)。

合駒請求。歩合以外は早詰。ここに歩が打てるように作者(私)は初型の3二に歩ではなく香を配置している。馬と一枚の歩を交換したあと、狙いの一手である▲6二飛不成が実現する。

もし、飛車が成ったら・・



玉型に妙手がある。△5二歩(失敗図1)。いわゆる捨合い。この手でどうしても打ち歩詰めに追い込まれる。仮に生飛車のままなら、この△5二歩も▲同飛不成という応手で解決する。

だから、この玉方の△5二歩が見えないと、5手目に遡って▲6一飛成で23手詰になるはず。もちろん不正解である。

あとは、どんどん進む。

△4三玉 ▲5三歩成 △同玉 ▲6三歩成 △4三玉 ▲5二飛成 △3四玉 ▲3五歩 △2三玉(途中図4)。

途中の△4三玉でいきなり▲2三玉と逃げると、本筋と同様のコースを辿り、変化1図のように早詰めになる。



玉を右に追い出し、最後の収束に入る。

▲1四金 △同玉 ▲1二竜 △1三合 ▲2六桂まで27手詰。

動く将棋盤は、こちら



sankozu今週の問題は、本日のお題のような実戦形にしてみた。

まず、参考図として、有名な形。



言うまでもなく、

▲2二桂成 △同玉 ▲1三角 △2一玉 ▲1二銀 △同玉 ▲3一角成までの7手詰め。実戦形の一つのパターンである。

作者(私)が作ると、そこに主張が入るのだが、いくらなんでも一題じゃ軽すぎると思うので、二題並べてみた。



わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。

房総のあじ(でもなかった)

2010-02-26 00:00:07 | あじ
rakkyo1「玉黄金らっきょう」という食品がある。

簡単に言うと、らっきょうの漬物である。それだけの話ではある。

先週、千葉県でゴルフを楽しんだあと、同伴プレーヤーの一人がクラブハウスの中の売店で購入され、プレゼントしてもらった。といっても、その購入財源は数十分前まで私のサイフの中に眠っていて、何らかの原因で、所有権が移転したわけだが。

もっとも、普通では大量にこういう商品を買うこともないので、たまにはいいかなと思いながら、最初の一粒を食べると、これが異次元のあじだった。

まず、歯先で、シャキッと小気味良い音で噛み切れる。さらに、噛むと、シャキッ、シャキッ、と細かな破片になる。よくカレーのつまみで売っているらっきょうだと、皮の硬さが不均一で、噛み切れなかったり、中身がするっと抜けたりする。そういうことはまったくない。

rakkyo2甘くもなく塩辛くもなく、ちょうどいい。1、2、3、4、5、・・と、どんどんつまんでしまう。

あまり食べ過ぎると腹をこわすに決まっているので、きょうはこれだけ、と決めてからさらに1個を食べてしまう。

こういうありふれた野菜の食材も千葉県は旨いなあ、さすがに野菜王国だ、と勘違いする。

そして、このエントリーを書くために、この玉黄金らっきょうのHPを開いてみる。コミヤ味工という歴史のある会社だった。

沿革を読むと、創業は、亨保年間。安房郡豊津村西の浜で雑穀・雑貨販売業を始め、その後、味噌・糀の製造及び酒類販売等を手掛ける。昭和5年、館山海軍航空隊開設と同時に漬物製造を開始し、海軍指定御用商人として、漬物・味噌・うどん等の納入を行う。昭和20年以降、房州特産の生姜を原料とした製品(主に紅生姜漬)の製造に努め、昭和28年頃より、楽京・沢庵・福神漬の製造も加え、漬物専業メーカーとなった、とされる。玉黄金らっきょうは昭和41年から発売を開始したようだ。

海軍ご用達だったそうだ。海軍の食事と言えば「カレー」というのが定番だから、福神漬やらっきょうがよく納入されたのかもしれない。というよりも、カレーにそれらが付け合せになったのは、この会社のおかげなのだろうか。まったく調べる素材が手元にないので、そちら方面への思考は中断しておく。

また、別のページには、この製品の製造過程が紹介されていたが、らっきょうは茨城県産とのこと。素材にこだわったら茨城になったのかどうかは不明だ。

もともとは千葉県産の野菜素材で漬物を作っていたのには違いないだろう。工場のある館山は千葉県の南端で、他県とはかなり離れている。


ここで、千葉県の野菜の話。語源はわからないが、JA千葉みらいの直営店に「しょいかーご」という農産物直売所がある。通りがかりに寄ってみたことがあるのだが、新鮮な野菜があふれている。千葉は野菜王国なのだ。(案外、千葉県産らっきょうも育ちが良すぎて、前歯で噛み切れないのかもしれない。)

ただ、千葉だけにしかない貴重な野菜というようなものはまったくなくて、どこにでもある普通の野菜や、今まで日本にはなかった新品種とか、そういうスタンスである。

要するに、「儲かる野菜作り」ということだろう。


ところが、千葉県の農家の中にも、稀に野菜作りに長けていない人もいるわけだ。普通は、農業を辞め、土地を手放し、会社や市役所に勤めたりするのだが、中には何らかの理由で農業を続けようと、形や色のまばらな野菜類を、段ボールにつめて、全国の支援者の元に宅配便で販売する人もいるわけだ。

支援者の立場としては、その人が、現在耕作中の騒音のうるさい場所から、もっと広い代替地に移って、飛行機がスムーズに離発着できるようになると、「もう野菜は買わないからね」ということになるらしいわけだ。まあ、あらゆるところで日本には疲労が蓄積されているようである。

ショパンの謎(2)幻想即興曲

2010-02-25 00:00:50 | 音楽(クラシック音楽他)
先週のショパンの謎(1)前奏曲集についで、二回シリーズの二回目。

今度は幻想即興曲について。ショパンの作品の中でも人気はベスト10には入るだろう。とにかく冒頭の高揚感。ロマンティックで息苦しくそして繰り返し繰り返しメロディは続いていく。


しかし、作曲家自身、この曲が好きではなかったらしい。

生前、発表もされなかったし、遺言の中で、この曲の楽譜を燃やすように、わざわざ指示していた。

つまり、遺言執行人が、忠実に仕事をしていたら、この曲は地上から永久に消滅していたはずだ。

ますは、遺言執行人に乾杯! あるいは座布団2枚。

では、なぜショパンは、この楽曲を破棄したかったのか。

chopin1さっそく、ルヴィンスタインの演奏を聴いてみる。ちょっとあっさり弾いていた。やはり、もっと若い演奏家の方がよかっただろうか。

まあ、演奏はともかく謎解き。

よく言われるのは、「他の曲に似ているから」という理由。似ているとされるのは、ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』第三楽章。こちらは、全体の感じではなく、ある一部分のパートが一瞬似ているということらしい。(私には、よくわからない)

次に、ショパンと同時代の作曲家であるモシュレスの即興曲89番という説。大まかな作りが似ているそうだ。それに互いに親交があったらしい。ただし、モシュレス版は長調だがショパンが書いたのは短調。新築住宅で間取りが似ているといっても方や和風の畳みで方や洋室みたいな差だろうか。それに有名じゃない。

さらに、曲の類似という観点で言うと、幻想即興曲にはショパンの大胆な実験が含まれている。「リズム」。基本的には同じ拍の中で、右手は4等分された音を弾き、左手は3等分された音を弾く。4と3だから、割り切れない。この微妙な不一致が男女の心の揺れとか割り切れないリズムを作る。割り切れないまま両手が突き進んでいくわけだ。

だから、死後「剽窃者」と言われないように考えたのかもしれないという説も、やや頷けない。

しかも、そういう問題があるならば、遺言なんか書いている暇があれば、チョコチョコと書き直せばいいだけだろう。元々、自分の書いた作品を自分で直すのだから、何の問題もないし、彼の能力から考えれば、いとも簡単だろう。


おそらく、もっとショパンの内面的な問題に起因しているのだろう。

たとえば、
1.自分にとって大切な思い出のある曲で、後世の他人が好き勝手な解釈で弾かれては困る
2.何か不吉なところがある曲で、弾くたびに不幸があるので、廃棄したかった。
3.当初はいい曲だと思ったが、自分の作品群の中では規格外だ
4.世界最高の曲だと思っていて、某日本企業の社長が名画を棺桶に入れようとしたのと同じ動機。つまり、今後、誰にも聴かせないため。
5.単に、天国に一曲持って行きたかった。生前のご乱行をとがめられて、地獄行きにならないように、天国地獄仕分け人への手土産だった。

もっとも、こういうのは、わかることのない謎なので、何でも書けるわけだ。

私の解釈では、
「焼却」といったところで、この名曲が焼却されるわけもないだろう。その場合、「焼却されそうになった名曲」ということで、人気が高まり、さらには『ショパン』という名前を末長く音楽史に残すことになるだろう、と彼自身が考えたのではないだろうか。

タイガー会見の不自然さ

2010-02-24 00:00:17 | スポーツ
tiger2わざわざオリンピック開催中を狙って、治療中というか謹慎中のタイガー・ウッズが会見を行った。YouTube などで中継も行ったようだが、評判はイマイチだったようだ。というか、一体、何のために今、中途半端な会見を行ったのだろうか。

会見の全文は、タイガーの公式ホームページに掲載されている。日本語版は、こちらに英日対比であるようだが(ちょっと荒っぽい訳だが)、彼が何を言いたいのか、よくわからない。

単に、「反省してま~す」というのと同類のような感じがする。

tiger1妻であるElinさんの名前が何度もでてきて、妻がクラブで叩いたのではないとか言っていたが、そういう小さなウソが、会見の真偽性を損なうことになっている。(確かに、12人と不倫行為を持っても、米国では捕まらないが、ゴルフクラブで人を襲うと、暴行罪とか殺人未遂といった重罪になる)

そして、会見全体の中では、ほとんど目立たないように書かれている「薬物使用の噂の否定」の部分。

かなり気になる。この僅かな数行が、この会見の主旨だったのではないかと思えなくもない。

が、私は個人的にはクロだと感じている。そして、そうであれば、彼のメチャメチャな行動や人並み外れたプレーにはかなり合理的な説明がつく。

その前に、会見での発言の部分。

Some people have made up things that never happened. They said I used performance-enhancing drugs. This is completely and utterly false.

何だかはっきりしない。三つのセンテンスが、現在完了型、過去形、現在型と時制が微妙に違うからすっきりしないのだろうか。あるいは、単に嘘っぽいからだろうか。


仮にステロイド系を使っていたとすると、

1.異常性欲
2.体力増強
3.頭髪の薄さ
4.むくみ

などが見られるのだが、そういう感じが匂わないだろうか。

たとえば、いつもトーナメントの最終日の日曜にタイガーチャージといって、バーディを量産して優勝を決めているのではないだろうか。いつも日曜日に周期的に体力が増強されるのだろうか。

そして、タイガーがフリーな時間を得るのは、その日曜日の夜からである。

彼の飛距離は驚異的だが、その反面、膝をはじめあちこちの間接を痛め、よくスイングフォームを変えている。ふつうは体の一部が壊れるほどは力を入れないはずだ。

記者会見の彼の顔や体は、少し細くすっきりしていたのではないだろうか。むくみや不自然な筋肉の張りがなくなってきているのではないだろうか。

となると、現在、治療中というのは単に体が安定を取り戻すための時間ということなのだろうか。

すべての謎は、何ヶ月か先に、彼が復帰したトーナメントの、最初のドライバーショットの飛距離が明らかにするのではないだろうか。

悪魔の館

2010-02-23 00:00:24 | 市民A
yamamoto奈良県にある雄山会、山本病院の事件は、病院の破産によってすべてがあいまいなまま集結しそうである。

が、・・

色々な情報からいえば、この病院ほど「悪魔の館」ということばに近いものはないように思える。

まず、逮捕事件。

業務上過失致死容疑事件の概要

2006年6月、52歳元理事長らが入院中の51歳男性に肝腫瘍の摘出手術を実施。肝臓手術にも関わらず、輸血用血液を用意せず、医師2人、看護師2人の計4人で行われた。手術中に肝静脈を傷つけ大量出血し、男性は心肺停止状態に。赤十字血液センターから急遽血液を取り寄せ男性に輸血。人工呼吸や心臓マッサージも施されたが、手術開始から約4時間半後、男性の死亡が確認された。

2010年2月6日、奈良県警捜査1課などは、不十分な態勢下での手術を避ける注意義務を怠り男性を死なせたなどとして、業務上過失致死容疑で、52歳元理事長と54歳元主治医の両容疑者を逮捕した。


一見、どこにでもあるような、ずさんな治療という感じである。

そして、破産した。

雄山会、破産へ=診療報酬不正受給の「山本病院」運営-帝国データ

帝国データバンクによると、奈良県大和郡山市にある「山本病院」を運営する医療法人雄山会(同市長安寺町、山本文夫理事長)が28日、奈良地裁に自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。負債は約7億1800万円。

山本病院は1999年7月に開業し、2007年4月に法人化。今年7月、心臓カテーテル手術をしたと偽り、診療報酬を不正受給したとして、奈良県警が山本理事長ら3人を詐欺容疑で逮捕。社会的信用を失墜し、入院患者の転院手続きが終了した7月中旬、病院を閉鎖していた。[時事通信社]


しかし、隠された事実が多すぎるのだと思う。

まず、この病院は、俗にいう「行路病院」もしくは「行旅病院」だった。

聞き慣れないことばかもしれない。心筋梗塞とか脳梗塞などに見舞われ、路上で行き倒れになったホームレスや日雇労働者の救急搬送先である。

それで、何が問題かということ。

搬送される患者のほとんどは、生活保護の対象者である。あるいは、身元がはっきりしなくても「急迫保護」という制度で、手続きを後回しにして生活保護が適用される。

そうなると、患者の自己負担がゼロになるわけだ。

しかも、彼ら患者の多くは、それまでの生活の過酷さから、たいてい何らかの慢性疾患に侵されている。

そのため、温かい居住空間としての病院へ、無料で入院できる代わりに、山本病院の言うがままの治療を続けることになる。たとえば心臓カテーテルは月20件とか院内でノルマを課していたらしい。もちろん治療や手術が必要ではなかった患者の多くが、ここで開腹手術をうけているらしい。

もちろん、患者のモラルハザードや病院の経営が悪化している状況、貧困層の拡大など、背景の解釈は色々とあるのだろう。

だからと言って、病気でもない患者の体に、「がん」と偽って、メスやカテーテルを入れたり、すでに手遅れの患者に無駄と思える治療を繰り返すことが許されるのだろうか。

山本氏はなんのために医者になったのだろうか。単に金の亡者だったのだろうか。なんとなく、もっと暗い闇の部分を感じてしまうのだ。

タイレノール事件のようにやらなかったトヨタの“なぜ?”

2010-02-22 00:00:04 | 市民A
プリウス問題と縦長アクセルペダル問題を混同して論じるのは、少しおかしく少し正しいのかもしれないが、アクセル問題はまだよくわからないので、少しおいておく。

最近、トヨタの対応について、ジョンソン&ジョンソン社のタイレノール事件を引き合いにすることが多くなったが、「トヨタはタイレノール事件を参考にすべきだ」というような低次元の怒りの記事を書くつもりはなく、「なぜ、トヨタはタイレノール事件のようにできないのか」という観点で考えてみた。

その前に、タイレノール事件のおさらいからだが、wikipediaから引用してみた。

1982年タイレノール殺人事件

1982年9月29日、シカゴ近郊のイリノイ州エルクグローブ村の12歳の少女が「タイレノール Extra Strength (カプセル)」を服用したところ混入されていたシアン化合物によって死亡。以後計5瓶のタイレノールによって計7名の死者を出した。この他に毒物が混入された3瓶が回収された。事件は未解決で、この後シカゴ周辺では1986年エキセドリン殺人事件のような多くの模倣事件が発生した。

この事件でジョンソン・エンド・ジョンソンは「タイレノールにシアン化合物混入の疑いがある」とされた時点で迅速に消費者に対し、125,000回に及ぶTV放映、専用フリーダイヤルの設置、新聞の一面広告などの手段で回収と注意を呼びかけた(1982年10月5日タイレノール全製品のリコールを発表)。およそ3100万本の瓶を回収するにあたり約1億USドルの損失が発生。事件発生後、毒物の混入を防ぐため「3重シールパッケージ」を開発し発売。この徹底した対応策により1982年12月(事件後2ヶ月)には、事件前の売上の80%まで回復した。

ジョンソン&ジョンソンには「消費者の命を守る」ことを謳ったわれらの信条 (Our Credo) という経営哲学があり、社内に徹底されていた。緊急時のマニュアルが存在しなかったにもかかわらず迅速な対応ができたのはこのためである。



この事件は危機管理における対応策の定石として認識されている。
J&J社のHPには、タイレノールものがたりとして、詳しく書かれている。

しかし、この事件は、日本でも一流企業の部長クラスであれば、大半は知っている話である。今、米国でエクセレントカンパニーの代表と言えば、このJ&J社が挙げられるそうだ(私もこの会社の「ワン・デイ・アキュビュー」を長く使用している)。

そして、J&J社が、その地位を確固としたものにしたのが、このタイレノールに対する毒入り事件を解決したことによるとされている。

全国にマスコミ総動員でタイレノールの使用中止を呼びかけ、毒物の第三者による注入が困難なパッケージに変えていく。(1986年にも第二次タイレノール事件がおこる。)

(書いていて気付いたのが、タイレノール事件は1982年と1986年。日本のグリコ・森永事件は1984年と1985年。何か関係があるのだろうか。)

自動車の場合、ブレーキシステムに一瞬のトラブルがあるといっても、全車を回収するわけにはいかないだろうし、おそらくは、豊田章郎社長が出てきて、「ブレーキのシステム上の問題があって、一瞬利かなくなることがある。大急ぎでシステム変更をするが、変更が間に合わない場合、一瞬ブレーキが利かない場合でもブレーキを強く踏めば止まります」というようなことを言えばよかった。

だが、そんなことは、誰にだってわかることだ。技術担当の役員がでてきて、「ブレーキは感覚の問題で、設計ミスじゃない」というようなことを言っている場合じゃないだろう。

では、なぜ。

いくつかの要素を考えてみた。



まず、トヨタ自体が「自分たちが世界一のエクセレントカンパニーである」と思っていて、社員研修なんかやっていないのかもしれない。

しかし、J&J社の事例を知らなくても、こんな変な話にはならなかったはずだ。

思うに、社内に深刻な対立が発生しているのではないだろうか。


つまり、社長への情報量が少ない、とか、いくつかの派閥があって、多くの役員の意見がまとまらない、とかだ。

車の設計というのも、多くの相矛盾する要素を満たすために、いくつかのグループの妥協のもとに成り立っている。その調整の中で次のアイディアを得られるわけだ。

そういう調整機能が狂っているのではないだろうか。

そういえば、唐突に社長が豊田家の同族になったのも、少し早過ぎる感じだ。

社内抗争が燃え上がっているのではないだろうか。

ルノワール―伝統と革新

2010-02-21 00:00:13 | 美術館・博物館・工芸品
renoir1国立新美術館で開催中(~4月5日)のルノワール展に行く。副題が「伝統と革新」になっている。

ルノワールは特に日本での人気は絶大なものがある。もちろん世界の美術の歴史の中でも10本の指に入る画家である。神と人間の中間のような存在に対して、好き勝手書いて分析しようなどとおこがましい極みなのだが、単なる雑感から。

副題の「伝統と革新」だが、順が逆なのかもしれない。革新から伝統へ。彼は、常に絵画において努力を続けていた。最近のX線解析でわかってきたらしいのだが、特に女性を描く時など、最初は細身に描いても、徐々に肉付きを良く描き直しているそうだ。

renoir2本当に、一発で完成するのは晩年のことで。それまでの多くの作品は、描いては塗り直しということを繰り返していたそうである。時間をかけて、屋外で水浴びをする肉付きの良い裸婦像などみていると、大自然の中で、自然や宿命といった人間を超越するものと、宇宙の時間からすれば、ほんの一瞬でも対峙する一人の人間という存在を描いていることに不意に気付いた。だから細身の人物では駄目なのであって、太めの肉感が必要だったのだろう。

今回の出展数は85点とそこそこであるが、天下の国立美術館としては、少し名画が不足していたのかもしれない。その中では、ボストン美術館からきた『ブージヴァルのダンス』が有名だろうか。この絵は、細部にわたって開放感がみなぎっていて、踊る男性の帽子と靴の色と女性の身につけている腰のベルトが同じ黄色であることと、無造作の床に転がって描かれている花弁(アネモネ?)が、その後の不吉を予言しているようだ。

renoir3こういった木漏れ日の中のモンマルトルでのダンスを一面に描いた名画が、ご存知『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』で、印象派の最高傑作の一つとされる。オルセー美術館のお宝である。











ここで、展覧会の話から離れて、この『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』の話だが、日本人のコレクターだった大昭和製紙社長だった斎藤了英氏が78万ドルで買ったことで有名になった。同じくゴッホの『ガシェット医師』を75万ドルで買って、この二枚の絵について、「私が死んだらこの二枚を棺桶に入れて燃やしてほしい」と言ったとされ、世界の大顰蹙を買った。実際にその時がきた時には、銀行ローンの担保になっていたので燃やすことが困難だったはずだ。

では、その78万ドルの絵がオルセー美術館に買い取られたのか、というと違うのである。

『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』は二枚あるそうだ。大と小。

renoir4ルノワールはダンスを踊っているところを、まずその現場で描きとって、アトリエで大きなキャンバスに描き直したそうである。その小さな方を斎藤は購入し、オルセーは大きい方を所有している。だから、同じ絵が大小で存在するという奇妙な状態である。

斎藤氏がそれを知っていたのかはわからない。

後に、斎藤家は、相続税をめぐり、評価額について国と争いが起きている。

教室の手伝い

2010-02-20 00:00:21 | しょうぎ
先週、某所で行われた親子教室に手伝いに行く。労働時間2時間。プロ棋士三人も登場ということだが、まあ迷惑もかかるかもしれないので、氏名不詳ということにしておく。

oyako1実は、個人的にも数年にわたって神奈川県の方で子供教室に友情出演しているので、超初心者とか幼稚園児や低学年の子の扱いは慣れている。

指定場所に到着してびっくりしたのが、狭さ。私のホームグラウンドの方が4倍から5倍といったところだ。三人のプロ棋士と手伝い3名で25人ほどを教えるのだが、私の教室では2人で30人を教えている。

駒の並べ方、動かし方からの子が多くて、そういう子供たちを一括して私がこなし、少し指せる子はプロが指導対局するということになったが、なんとなくアンバランスな感じだった。やはり、将棋を指すプロに、将棋を教えるプロに変身しろ、というのは難しいのではないかと思ったわけだ。

要するに、10歳以下のこどもというのは、とても扱いにくいわけ。たくさんいても性格は一人ひとりがバラバラだし、何しろ初対面だからコミュニケーションが難しいわけだ。

しかもコブ(親)付きである。経験上、親がそばにいない時と、親がそばにいる場合とでは、こどもの性格は急変する(どう変わるかは子供によってまちまち)。しかも、親そのものが、熱くなってしまい、対局や指導を受けているこどもに直接口を出したりする。モンスター的なのもいる。

思うに、将棋のルールを教えるには1時間ほどで足りるのだが、親が将棋を指せるなら、それくらい自宅で教えたほうがいいと思うわけだ(親が指せないならしかたないが)。せっかく教室に来ても、時間がもったいない。講師は、プロじゃない私だって、もっと高級なことを教えられるわけだから。

oyako3さらに、親には色々とアドバイスを与えるのだが、もっとも重要なアドバイスは、将棋教室以外、家庭内でも対局を行うこと。ピアノ教室と同じで、教室だけでは上手くならない。

それと、気がついたのだが、駒の並べ方がわからないのに、動かし方を知っている子が多いのだが、たぶんゲーム機の影響なのだろう。盤と駒を買ってあげなければ、何ともならない。将棋ソフトだけじゃ将棋を指したことにならないじゃないだろうか。お稽古事には投資が必要だ。ヴァイオリンとかバレーシューズと同じだ。

ところで、こういうプロ棋士がらみの企画にヘルプで入る場合、悩ましいのが服装。普段の自分の教室ではジーンズ(高級ジーンズだが)なのだが、プロ棋士は、だいたいスーツで登場する。ブレザーの場合もある。彼らを立てなければならないから、気を使う。プロみたいな風体で、「おおた先生は何段ですか?」などと聞かれ、うっかりアマの段位など答えると、女流棋士の五倍も強いことになってしまうからだ。

ということで、ブレザーの棋士がいる場合も勘案し、「ブレザー+ネクタイ」で、髪形も目立たないようにボリューム感を減らしておく。場の雰囲気によって、ネクタイをはずして髪型も少しボサボサに治せば、アマチュア顔に調整できる。


ただ、こういうところで、プロが駒落ち指導をするのは、一見、将棋普及活動に役立っているようだが、継続的に教室を開いている立場から言えば、少し「?」ではないかと思うこともある。

まあ、将棋連盟の方針なのだろうが、プロ棋士があちこちに散発的に姿を現して駒落ち指導をしているのだろうが、先日も「元名人に勝った」という新入りの子が現れて、散々言いふらした結果、教室では、全然勝てずに一回限りでいなくなった。

プロは、駒落ち指導でも、負けないほうがいいと思うわけだ。後で、周りに厄介を起こすわけだ。


さて、2月6日出題分の解答。



▲3四角成 △2五桂 ▲1七歩 △1五玉 ▲1六銀 △1四玉(途中図1) ▲2五銀 △1三玉▲2四銀 △1四玉 ▲1五銀 △同玉 ▲1六歩 △1四玉 ▲1五歩 △同玉 ▲2七銀(途中図2) △1九角成 ▲1六銀 △1四玉 ▲1五歩 △1三玉 ▲2五桂まで23手詰。



2手目に前進できる駒で合駒すると、その駒で詰まされる。途中、打ち歩詰めになるところで、その前進できる駒で詰まされるわけだ。ということで桂合強制。この桂を取ってから使うまでに、長い長い道のりがあるわけだ。

狭い場所を上がったり下がったりして、結局外には逃げられない


動く将棋盤は、こちら




今週の問題。

やや易しい。それよりも、2月13日出題作への解答者が少ないというのが、大変気になっている。

問題としては易しいのだが、一つだけ間違いやすいところがある。

わかったと思われた方は、コメント欄に、最終手と手数と酷評をいただければ正誤判断。

本当は、最終手の1手前が問題なのだけど。

黒カツカレー

2010-02-19 00:00:31 | あじ
黒い食材というのは数が少ない。手近なのは、ナスとかイカ墨、さらに海苔、コーヒー、チョコレート。

特にイカ墨スパゲティを食べるときは自分のシャツやネクタイに墨が飛び散らないように、慎重に食べなければならない。墨が飛びそうな場合は、向かいの席に座っている人の方に飛ぶように食べればいい。

そんな陰険なことを考えなくてもいいのが、カレーである。カレーうどんのつゆは飛び散りやすいが、カレーライスでは飛び散らない。

blackcurryということで、登場したのが黒カレーにカツ付きである。黒カツカレーというそうだ。

新橋駅の名物、『汽車ポッポ』のすぐ前にある立ち呑み屋『ごひいきに』のランチである。

黒カツカレーという名称では、カツが黒いのかカレーが黒いのかはっきりしないのだが、注文してしばらくして出てくるのは、黒いカレーである。

で、すさまじい味がするのかと思えば、全然刺激的ではない。黒いルーにひき肉が入っている。イカ墨の味はまったくしない。またナスの味も全くしない。海苔ということもない。コーヒーの味もチョコレートの香りもしない。

では、この黒いのは、何の色素なのだろうか。

いくら考えても浮かばない。

もしかしたら、・・・

キャビアかもしれない。

680円である。

4.0島マイナスχで(下)

2010-02-18 00:00:02 | 市民A
さてここで、ロシアにとっての領土、特に北方四島の意味を考えてみる。

領土というのは様々な意味があるので、便宜的に「経済、財政的意味」「政治的意味」「軍事的意味」というように分類してみる。もちろん、それらは関連しているわけで分離できないのだが、一応分野別にしないと整理もできない。

1.経済・財政的意味

国家にとって領土の持つ、経済的価値は何かというと、一つは徴税権である。領土の中で行われる経済活動や、そこに住む住民から、好きなように税金収入を取ることができる。とはいえ、いまやロシアも資本主義国なので、日本と大きくシステムが異なるわけでもない。所得税、法人税、消費税、そして土地・建物の資産税といったところだろう。

あきらかに漁業や商業そして鉱物資源などがあり、経済活動が行われているのだから、そこからの税金収入はロシアの国家財源になっている。資産税については詳しくないが、島の多くは国有地ではないかと思われるので、私有地部分だけが財源になっているのだろうか。

択捉の火山の噴煙の中には「レニウム」という希少金属が含まれているらしいが、この金属の価値はいまだに不明である。


2.政治的意味

ロシアは大陸国家であり、数えきれないほどの国と国境を接していて、実際、戦後多くの衝突を起こしている。ソ連邦の時代には、表面化していなかった旧連邦内の国境線問題を抱えている。中国とは「半々」というような手法で国境問題を解決したが、その二国は古くから領土問題を解決してきた歴史があるが、日露間の交渉は、前に書いたように、どうもぐちゃぐちゃしている。

また、日本は島国であり、他国と国境線を共有するというのに慣れていない。同じようなのがイギリスで、アイルランド島の北部に小さな領有地があるが、いつももめごとを抱えている。あの大国がである。

仮に3.5島論とかいって、択捉島のどこかに線を引いて、国境警備隊を対峙させようというのは、ほとんどの日本人にとって自信がないだろう。「最初の銃弾はどちらだったか」という盧溝橋事件を思い出す。


次に、住民の問題である。戦前には千島列島には日本人(一部朝鮮半島出身者)が住んでいた。戦後、日本人は本土に強制的に送還された。朝鮮出身者の多くは樺太に移り、これは別の問題となっている。果たして、千島が戻った場合、現在住んでいるロシア人住民の居住権、私有財産権はどうなるのか。元々私が住んでいた場所だから出て行ってくれとか言うのだろうか。常識的には難しいだろう。


3.軍事的意味

いまやロシアにとっての「軍」の意味って何だろうという根源的な問題はあるのだが、「米軍の核の傘」のようなもので、極東から太平洋西部での活動というのはロシア全体の国防上、ある程度の規模が必要と考えられている。特に、原子力潜水艦による核兵器の自由展開である。さらに、対米戦略を考えれば、日本に返還後、千島列島に米軍が沖縄のような巨大基地を作ろうということになれば、ちょっとヤバい。

また、通常時はともかく核搭載の原潜というのは、秘密裏に展開しなければならない。潜水したまま移動する必要がある。ここに、ロシアの北方領土問題に関する大きなトゲがあるわけだ。

現在、潜水艦がウラジオストック方面から北太平洋へ通過するためには、国後島と択捉島の間の「国後水道」という細い海峡を通っているそうだ。しかも、直進して通過できるわけではなく、水深を見ながら左右に蛇行して走るそうである。では、択捉の北側、ウルップ島との間の「択捉水道」はと言えば、さらに航行が難しいということだそうだ。

仮に、4島、あるいは3.5島の返還のようなプランを書いた場合、国後水道は日本領海内ということになる。あるいは3島だけというこになれば、両国の領海は中間線となり、国後水道の中に引かれることになる。そんなところを核兵器搭載の潜水艦がきちんと航行できるとは、とうてい思えないし、非核三原則の一つである「領海内に持ち込ませない」というのは、現実的に困難である。

さらに、現在、択捉島には小規模のロシア軍基地があり、軍用機が配置されている。



4.0島マイナスχ案とは

上に書いたように、ロシアにとっての四島完全返還というのは、イデオロギー的な問題よりも、四島がなくなった場合、いくつかの具体的な大問題が伴うわけだ。

そういうように考えると、上に書いた諸問題に対する、解決策というよりも個別譲歩案をパッケージにして交渉にあたった方が現実的なのではないだろうか。

1.領土の範囲は四島である。

2.島内のロシア人住民には日本国籍を与えるが、二重国籍を認める。

3.同じく、ロシア人住民の所有する財産は完全に保証する。

4.旧住民で居住を希望する者には、現在の島内のロシア国有地を代替地とする。

5.ロシアの失う税収については、今後の島内の観光開発、資源開発に「ロシア企業あるいはロシア政府」の参入枠をつくることで利益還元をはかる。

6.漁業については、共同出資会社を設立。

7.ロシア軍基地については、平和条約締結後、現状の規模の範囲で日本が貸与する。ただし、米軍に対するような費用負担は行わない。

8.核兵器の領海内通過については、黙認するか、「密約」を結んでおく。アメリカとも密約を結んだのだから、ロシアと密約を結んで悪いわけでもないだろう。

”国後水道、択捉水道、あるいは津軽海峡の通過については、特にその船舶の搭載物体については詮索しないことにする。”とか書いて、二通作成の上、交換し、そのうち一通を鳩山会館の金庫にしまっておけばいい。

kunashiriここまでが私案なのだが、これじゃ譲り過ぎというのであれば、その他ロシア領のどこかに、日本側の観光資源開発枠を設定するというような、非領土型手法によるバランスを求めればいいのではないだろうか。

4.0島マイナスχで(上)

2010-02-17 00:00:32 | 市民A
北方領土問題が、さっぱりだ。ロシア側は、かつてロシアに有利な提案を持ち出した「鳩山一郎氏の孫」に期待したようだが、結局は「ユニークな方法」といういつもの話になり、さらに日本の批判をして、元のラインまで後退。

無理からぬと思うのは、日本側はこの5年で5人目の総理である。会うたびに相手の顔が変わるのだから、一人ずつに一歩だけ譲歩していても、5年で5歩も譲歩しなければならなくなる。だから、途中で、リセットにしなければならなくなる。

また、ロシア国民にとっての一般論とは異なる”漁業マフィア”と言われる人たちのロビー活動は激しい。ロシアにとり、こんな東の端といっても、実は、まともに漁業ができるエリアがほとんどない国なので、この地区の漁業は、かなり重要であり、結果として、漁業利益は大きな利権となる。

ところで、本題に入る前に、日ロ交渉の歴史的経緯を簡略に考える。


1.日魯通好条約 1855年(安政元年)下田にて
  日魯間の国境を北千島と南千島の間に決める。択捉とウルップの間が国境になる。合わせて、樺太については日魯どちらのものともせず、混住地区とする。

  *注:江戸末期には千島列島および樺太南部にはアイヌが居住していて、幕府は国後はがっちりと確保していたのに対し、択捉島の守備には不備も多く、再三ロシアの攻撃を受け撤退したりしていた。が、ロシアが恒久的に支配することもなかった。


2.樺太千島交換条約 1875年(明治8年)サンクトペテルブルグにて
混住地区とされた樺太の日本の権利をロシアに委譲し、逆に北千島を日本領とした。

  *注:この条約で、日ロ間の国境線が確定した。混住の樺太というのは、言わば樺太の半分=南樺太のようなものなので、千島列島は北から南まで日本、樺太はロシアとはっきりとさせた。


3.日露講和条約 1905年(明治38年)ポーツマスにて
  南樺太(北緯50度以南)を日本領にする。

  *注:日露戦争の結果である。


4.カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言
  1943年10月カイロ宣言、1945年2月ヤルタ(秘密)協定、そして1945年7月ポツダム宣言と続く流れの中で、米ソは樺太・千島のソ連帰属を秘密協定(ヤルタ)。日本が受諾したポツダム宣言は、領土問題はカイロ宣言に基づくとされ、カイロ宣言では千島問題は明記されていない。ヤルタ協定は秘密協定で、当事者の日本の知らない内容である。

  ソ連は、ヤルタ協定に基づき千島・樺太に侵攻した。

  このカイロ宣言での日本の領土規定は重要なので、原文と訳を置く。

"It is their purpose that Japan shall be stripped of all the islands in the Pacific which are she seized or occupies since the beginning of the first world war in 1914, and that all the territories that Japan has stolen from the Chinese, such as Manchuria, Formosa, and Pescadores, shall be restored to the Republic of China.

"Japan will also be expelled from all other territories which she has taken by violence and greed.

右の同盟国の目的は、日本国から、1914年の第一次世界戦争の開始以後において日本国が奪取し又は占領した太平洋における一切の島嶼を剥奪すること、並びに満州、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取した一切の地域を中華民国に返還することにある。

日本国はまた、暴力及び貪欲により日本国が略取した他の一切の地域から駆逐されなければならない。


  *1914年以降の条項においては、南樺太、千島ともこれにあたらないのは明確である。ただし、次の条項の「暴力により・・」の中に南樺太はあたるのかもしれないが、少なくとも千島列島についてはあたらないと考えられる。


5.サンフランシスコ講和条約 1951年9月
  日本と連合国48ヶ国との終戦及び平和条約。この中で、日本は千島列島、南樺太の主権を放棄した。

  *注 この条約にソ連が調印していれば、おそらく国後・択捉問題はその段階で幕引きとなっただろうと想像される。冷戦による中国問題でソ連が調印をしなかったため、その後、現在に至るまで二国間には講和条約が締結されていない。


その後、日ロ間の長い交渉の末、「北方領土問題」が二国間の未解決の問題であるという認識には至っている。

現在のところ議論されている主な解決案は、

A.二島返還で決着・・・主にロシアの提案

B.二島返還後、平和条約そして残る二島の交渉継続・・・鈴木宗男案

C.三島返還

D.面積半分案・・・麻生案。3島と択捉島の一部に国境線を引く

E.四島一括返還・・日本側世論の中心

F.北千島を含む全千島の返還・・ある政党。樺太千島交換条約に基づく。

G.Fに加え、南樺太の返還も要求・・カイロ宣言の解釈による。

H.各案の変形として、返還後の領土について日米安保対象外地域にする。

I.同じく、ロシア側の失う利益の補填問題

などがある。


bouei交渉の元になる法的根拠としては、

「樺太・千島交換条約」「ポーツマス条約」「ポツダム宣言受諾(カイロ宣言の領土条項)」などが主流だが、過去の条約類のあいまいな表現について百人百様の解釈があり、結果として、議論の素材としては出尽くしていると思われる。

このように各種の案があるのに、なぜ国民の多くが、四島返還こそが決着案、と考えているのかは、本当はよくわからない。現実的には、戦後すぐの時代には、軟弱外交で二島決着案が大勢だったこともあり、せめて四島論でないと、いうことだろうか。個人的には千島列島全体の返還論なのだが、それでは平和的に解決することは困難、ということだろうか。

ちなみに択捉島よりも小さな都道府県は7つもある。東京都や神奈川県だって択捉より小さい。
(続く)

岡田武史監督に必要なもの

2010-02-16 00:00:48 | スポーツ
サッカー日本代表が、自民党末期みたいになってしまった。メルトダウンである。

サッカー協会の犬飼会長も監督交替を考え始めたようだが、Wカップまで4ヶ月ではなかなか難しいかもしれない。ロシア監督で出場を逃したフース・ヒディンク氏はまだ失業中なのだろうか。

ところで、多くのサッカーファンが漠然と疑問をもっているのが、岡田監督の選手選びである。たとえば、なぜJの得点王の前田遼一が選ばれないのか。身長不足の中、平山を多用しないのか。カターニャの森本やCSKAモスクワの本田には用はないのだろうか。

さらに、一般論として、ゴールキーパーとバックス二人を除き、残り8人はそろって小柄選手ばかりではないだろうか。

ということで、バック二人を除いて、現在、選考線上の選手たちの身長を調べてみた。

 大久保嘉人 170センチ
 佐藤寿人  170センチ
 長友佑郎  170センチ
 駒野友一  172センチ
 玉田圭司  173センチ
 岡崎慎司  173センチ
 小笠原満男 173センチ
 中村憲剛  175センチ
 松井大輔  175センチ
 内田篤人  176センチ
 遠藤保仁  177センチ
 中村俊輔  178センチ
 長谷部誠  179センチ
 森本貴幸  180センチ
 稲本潤一  181センチ
 本田圭佑  182センチ
 前田遼一  183センチ
 平山相太  190センチ

ところで、元日本代表DF岡田武史の身長は・・

175センチなのである。つまり・・・

自分より5センチ以上背の高い選手に見下ろされるのが、嫌なのだ。

となると、何が必要か。

agezoko通販でも売っているわけだ。

上げ底ブーツ用のインソールである。軽く5センチは背が高くなる。ブーツの中に入れればいい。スーツでは裾下げが必要だから、得意のジャージでいい。

しかし、彼の身長が180センチになっても、190センチの選手には出番がないかもしれない。

その場合は背の高い外国人監督を探した方がいいかもしれない。

不景気.COM

2010-02-15 00:00:00 | MBAの意見
fukeikiカカクドットコムは有名な価格比較サイトで、葬儀まで取り扱っているようだが、上場までしているビジネスモデルである。しかし、同じドットコムでも不吉なものを見つけた。

 不景気.com

ある倒産しそうな会社を調べているうちに、行き当たった。

一体、誰がどういう目的で運営しているのかよくわからないが、かなり細かい。

まず、不景気ニュースを9項目に分類。

不景気ニュース、株・企業、国内倒産、海外倒産、国内リストラ、海外リストラ、買収合併、雇用問題、景気対策。

中には、不景気とは言い切れないものもあるようだが、買収・合併などは、その後にリストラという話になるのだからやはり不景気関係なのかもしれない。

例えば3月14日版を開くと、

閉店ものでいえば、パリ三越、ジョンレノン・ミュージアム河原町ビブレ。

倒産ものは無数で、新しいところでは、動画サイトのVeoh 、山加電業、キタジマ食品(中国産タケノコを福岡産に偽装したため)、神保町の国際書房。変わったところでは英国スキー連盟、米英西で小さな航空会社が一つずつ。タイガーウッズの近眼をレーシック手術で治したTLCヴィジョン(弱り目に祟り目か)・・・

リストラものでは、五洋建設200人、豊和工業250人、CSK545人、ヤマハ発動機800名、バンダイナムコ630名・・海外でいえば、製薬会社アストラゼネカ10,400人、ウォルマート系サムズクラブ11,200人、フォード40,000人、英国ロイズ10,000人とか。

読んでみると、一つずつの記事は、不景気に至った原因などを手短にまとめていて、ビジネス上の経営のミスを放置すると、こういう結果になるという、きわめて有用な内容ではあるのだが・・

ただ、読めば読むほどに、気持ちが暗くなっていくのだ。

明るい気持ちに戻るため、民事再生法を申請したゴルフコースを探して、安く回ろうかな・・

開会式

2010-02-14 00:00:01 | スポーツ
冬季オリンピックが始まる。カナダ、バンクーバー。

開会式での最大の興味は、スノーボード国母選手が、あのつまらないデザインのユニフォームでどこまでパフォーマンスできるか、という一点だったが、バンクーバー空港で、いち早く腰パンを先行公開してしまったため、あえなく開会式出席停止処分になった。処分の早さだけは相撲協会に見習ってほしいな。(後で日本選手団の記録映画ができるなら、エピソードONEだろう)

そして、本番。

ol1いきなり先住民族の登場となる。かなり長い時間が彼らの持時間になる。要するに、カナダに移民として入ってきた白人が、先住民族を追っ払っていい思いをしていることを、心からお詫びをして、一方、先住民族の子孫たちが、先祖が苛められた代償として、今や手厚い生活保護を受けていることに心から感謝するということを確認しあうわけだ。

もちろん、百年以上前に先祖伝来の土地と生活と文化を踏みにじられた当人たちの耳には届くはずもない。

この、迫害の歴史にはキリスト教の中でも特にカナダで活動をしていたメソジスト派が関わっていて、無理やり先住民族のこどもたちを寄宿舎に押し込んで、白人資本主義に組み込むことが善であると教えていた。最近、自己批判したようだ。

メソジスト派は日本にも大挙押し寄せていたのだが、カナダのような成果をあげることはできなかった。青山や六本木などに、いくつかの有名大学を作ったものの、信仰など全然感じられない女子学生であふれている。

こんな言い方もなんだが、アメリカ大陸の先住民族は、遠く人類発生地のケニアから、中央アジア、モンゴル、シベリア経由でアラスカから新大陸に到達。しかし、カナダにいる人は、そこに住んでいた人たちをアメリカ方面に押し出し、アメリカへ到達した人はそこにいる人たちをメキシコに追いやり、・・・・南アメリカのはじにいた人だって、そこでも居住地争いがあった結果、そこに住んでいたのだろうから、まあ、長い人類の歴史を考えれば、完全な被害者民族はかなり少ないのではないだろうか。

ol2そして、入場行進を見ていて、思わず納得したのは、あるチームのユニフォーム。

なんと、半ズボン。いわゆるバミューダパンツ。

どの国かと言えば、もちろん「バミューダ」である。バミューダパンツだけで、国家のアイデンティティが表現できるとは素晴らしいではないか。(選手やコーチは、恥ずかしくて嫌だろうけど)

ところで、一目で「日本」とわかる衣装は何かといえば、まあ下駄と浴衣ではないだろうか。もちろん開会式の雪道を下駄と浴衣で歩くと不都合はあるだろう。すべって転ぶと下半身があらわになってしまう。

あの米軍ペリー提督も日本上陸作戦中の日記で、「日本人が夜寝るときに着る浴衣は、すぐ前がはだけ、下半身が裸になってしまう。だから日本人の夫婦は子どもをたくさん産むのだ」という意味の的確な分析を行っている。

ol3そして、五輪の時にはいつも日本(JAPAN)の隣組になるのがジャマイカ(JAMAICA)。今回は選手2人の参加だそうだ。とはいえ、開会式には旗手だけ1名。

ところで、ジャマイカと言えばもちろん陸上短距離では世界最高峰。数限りなく素質の高い選手がいる。

なぜ、ジャマイカ人は足が早いかというと、遺伝的なものらしい。そして、欧州とアフリカとアメリカ大陸を三角形でつなぐ、ある種類の貿易によるそうだ。

奴隷貿易。

もともと、奴隷貿易に目をつけたのはポルトガルだったのだが、ポルトガルとスペインが世界の覇者をかけて争った結果、何らかの妥協が行われ、世界覇者はスペインであるが、奴隷貿易だけはポルトガルが行うということで手打ちが行われた。そのため、アフリカで調達した奴隷の新大陸への輸送はポルトガル人たちが行っていた。

しかし、そのスペイン=ポルトガルの二国間協定に割り込んだのが紳士の国イギリス。奴隷狩りという大量捕獲法を編み出し、独自ルートでアメリカ大陸各地への販路を増やしていく。そして、アフリカ西海岸各地からの奴隷船の集荷基地になっていたのがジャマイカだったそうである。

集めた奴隷が一時プールされ、アメリカ各地へ船で輸送されるわけだが、この中で、特に足が速い野人のような奴隷が逃げ出したわけだ。そして山中に潜んで生活していた。そしてついにリンカーンの登場になり、需要が減少し、供給も減少。その後、足の速い人たちは、山から下りてきたそうだ。

何となく気になる、バミューダとジャマイカの選手なのだ。