東京メトロ『東大前』駅で起きた殺人未遂事件のこと。
被害者は男子学生となっているが、東京大学の学生なのだろうか。加害者は41歳の男。一応、日本のトップと自認する大学の名が付いた駅で、「教育の矛盾を世間に訴えるため」と言っているが、一分の理ということだろうか。後付けかもしれない。
そこで、思ったのが『東大前』という駅名。自分の学歴について恨みがある場合、騒ぐとすればここが候補になる。しかも、『東大前』ではなく、『東京大学前』でなければならないだろう。「東大」は世間に流布しているが通称に過ぎない。少し、威張った感じが漂う。
東京メトロと都営地下鉄の駅で同種の「威張った感じ=狙われるかもしれない駅名」を探すと、三つ見つけた。
1. 三越前駅
一昔前なら、デパート・オブ・デパート。KO大学卒業生を多く集めた高級陣容を誇ったが、全国展開から後退。それに、店内には誰でも入れるし、たぶん一万円札一枚で買える商品もあるだろう。恨みを持つ可能性は(元社員を除けば)低いだろう。
2. 都庁前駅
金満東京都の中心地だが、この建物も誰でも入れる。もっとも都庁職員になるのは簡単ではないが、ただの中・高級サラリーマンとも言える。都議会議員の方が問題かもしれないが、議員がいるのは権力の象徴のような高層ビルではなく、その前庭のような場所だ。観光名所として都庁を訪れる人は多いだろうからこのままでもいいだろう。
3.国会議事堂前
議会制民主主義である以上、日本の最高権威の場所だが、そもそも国会議事堂の前ではない。少し離れた南側で、本当の正門前は桜田門駅の方だ。丸の内線・千代田線ができた時にはなかった銀座線の『溜池山王』駅とはつながっているので、騒動が飽きる前に統一してしまっていいだろう。
ところで東大前の方に戻るが、東大の正門はいわゆる赤門。江戸時代の加賀藩邸の頃に多子で有名な徳川家斉の娘が嫁入りした時の持参品として徳川家が建造した。最寄駅は『本郷三丁目』。
本郷と言えば東大と都民は覚えている。南北線の『東大前』駅は、赤門からはずっと北の方に上がり、言問通りをはさんだ農学部のさらに北だ。
農学部も重要な学問ではあり、古くは渋谷のハチ公の主人の上野英三郎博士が有名だ。(当時は渋谷駅から駒場キャンパスまで通勤していた)。日本にたぶん三体ある(内二体が上野博士とのペア)ハチ公像の一つがあり、見学するには、この駅が極めて近い。
いっそのこと『ハチ公前』駅に改名したらどうだろう。