『静物(桃とウィスキー)』

2018-10-21 00:00:41 | 市民A
あのパウロ・セザンヌ(Paulo Sezanne)の前期の作品である有名な『静物(桃とウィスキー)』を入手した知人が、少し前に現物をこっそり見せてくれた。特別価格らしい。○○,○○○,○○○円。個人間取引であり、将来、相続税の対象になる可能性もあり、ここには書けない。17歳頃の作品だ。画家は未成年のうちから酒を飲んでいたのだろうか。

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印象派の影響を受けていた頃で、美術史上、重要な作品である。桃もボトルも右手前から光を享受している。酒と果実。この画家のアンニュイな後半生を予言しているように思える。晩年には、果実はもっと簡単に(手抜きといっては大画家に失礼だが)輪郭の周りに黒い影をつけて表現するようになる。黒い影を太く書くのがジョルジュ・ルオーだが、ルオーはやり過ぎだ。フランス的じゃない。

画家は、この絵画のほとんどを、筆ではなく、ペインティング・ナイフで描いたことも有名な話だ。ペインティング・ナイフ技法は、後に自画像を含む人物像を描くときに多用することになる。

絵画は、現在は知人の取引銀行の大型金庫に保管しているそうだ。どうしても見たいとか、買いたいという方は、ご一報下され。
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山田道美将棋著作集第一巻は難解

2018-10-20 00:00:20 | しょうぎ
昭和55年の初版である。大修館書店からの出版。辞書や教科書を主に出版している。最近の話題は、2016年に英語の教科書を採用した高校に、付録として英語の問題集を無償提供したことで文科省に怒られて、社長が就任したばかりの教科書協会の会長職を辞任している。会長就任で嫌な思いをした人がいたのだろうか。

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将棋の本をどういう経緯で出版していたのかわからないが、本書は活版印刷ではないだろうか。

内容は80%が四間飛車について書かれて、20%がタテ歩取り戦法。四間飛車は実戦例を中心にまとめられていて、要するに打倒大山名人という目的に、研究していたことをまとめている。特に、最近引退した加藤一二三八段(当時)の愛用する棒銀戦法と5七銀左戦法に多くのページを費やしている。

ある意味、加藤氏がずっと棒銀を指し続け、山田氏は棒銀をやめた(含みにした)のだが、冒頭の一章が「本筋と芋筋」という題名で、加藤氏の棒銀は本筋で、私の棒銀は芋筋という内容の記述があるので、そう思っていたのかもしれない。(大山・山田戦を見ると、山田氏側からの攻撃開始がいつも一手遅いように思える。加藤流の方が一手早く攻めているように見えるのだが、結果として盤面が流血で滅茶滅茶になるわけで、そういうのが嫌だったのだろうか。)


さて、10月6日出題作の解答。

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すぐに解答が見えないと、手こずったかもしれない。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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ヒントは、玉を追い詰めないこと。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見を記していただければ正誤判定します。
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区役所食堂「アミアン」に

2018-10-19 00:00:17 | あじ
横浜の都筑区役所に食堂があるということは、区役所ビルの同じ階の会議室に「不在者投票」に行った時に知っていたのだが、どうも民間人でも利用できるらしいということで研究していたのだが、なかなか詳細がわからなかった。『区役所食堂』ではなく『レストラン・アミアン』だったからだ。

ということで、正々堂々と利用することにしたのだが、ランチタイムをはずしていったので、利用者はまばらだった。区役所の職員全員が来たら入れないことは明白だが、そんなことはないのだろう。周辺にはレストランもコンビニも無数にある場所だし。

食券を買ってから、列に並んで、あとはセルフということなのだが、食券は自販機だろうと先入感があり、機械の前で選ぼうかと思っていたが、食券は思いもかけず従業員による手売りであった。あわてて、外に出てメニューを確認してからリスタートになる。

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大別すると、「ランチ」というセットメニューと、単品の天丼、カツ丼、カレー、蕎麦というように分かれる(というか普通の話だが)。ランチは520円で丼は700円弱。丼はコメの量が多すぎるので、日替わりAランチにすると、チキンカツ定食。

値段のせいだが、チキンは少し小さい、時間のせいかもしれないが、ご飯が、少しパサパサとしていて、丼類と兼用かな、と思われた。

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眺望はいいのだが、何しろ6階なので、それほど遠くは見えないが、4人掛けのテーブル席の他に窓に向かってカウンターが並んでいるので、職員も上司と向かい合わずにゆっくりと景色をみて、スマホで本日の株価チェックなどするのだろうか。

思うに、午後の喫茶時間や夜の簡易居酒屋機能も追加して、その収益でランチ品質のグレードアップしてもらえないかと思うのだが、民業圧迫でもあるし、そもそも赤字になるのかな。


横浜には、区が18もあるので、区役所は18か所あるはずだ。すべてに食堂があるわけではないだろうが、近々いくつかの区役所の近くにいくので、覚えていたら寄ってみようかな、と思うだけかもしれないが。
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シルバーさんのいわれ

2018-10-18 00:00:33 | 市民A
自宅からかなり離れた岡山県の都市近郊の田舎に宅地建物他の不動産がある。先祖が住んでいた場所で、大きな家があり、売却依頼しているのだが、もちろん簡単には売れない。地震が起きにくい県というのが売りなのだが、県の西部では洪水があった。

そして、草刈りを自分ですることは不可能なので、地元のシルバー人材センターに依頼している。まあ、プロではないので仕事ぶりはそこそこなのだが、地元では『シルバーさん』と呼ばれているようだ。

ところで、この「シルバー」ということばの語源だが、諸説あり、ネットで調べると玉石混交というネット情報の常に行き着くのだが、大別すると4種類。

A. 髪の色がシルバー
B. シルバー周遊券
C. シルバーシート
D. 銀婚式

まず、Aの髪の色説だが、実際には、シルバーの髪というのは存在しない。あくまでも白と黒なのだ。ある比率で混在していると、遠くから見るとシルバーというかグレーというかに見えるというだけだ。幸か不幸か長生きすると、真っ白になる。ただ、最近聞かないがロマンスグレーというコトバがあったはず。ちょっとずれているような気がする。

次にBのシルバー周遊券だが、発売されたのが1981年で、当初から「フルムーン」と愛称がつけられていた。どうもマーケティング・ターゲット(獲物)は銀婚式を迎える頃の夫婦ということで、銀=シルバーということになったようだ。現在では「一般フルムーン」と「シルバーフルムーン」に別れているようで、「一般」の方は、夫妻の合計年齢が88歳で、さらにどちらかが70歳以上の場合、さらに「シルバー」にもなる。70歳と18歳でもOKだ。ちなみに、捜査は進んでいるものの結論に至らない「紀州のドンファン事件」だが、77歳と22歳ということで、「一般」でもあり「シルバー」でもあったわけだ。

そしてCのシルバーシートだが、調べていると、わが国での老人の待遇について象徴的な発想が底辺にあったのだ。

まず、話は1964年。第二回東京五輪(第一回は1940年の予定で、都合により中止)の直前に大急ぎで完成した東海道新幹線だが、ゼロ系と呼ばれる(現在は700系まで進化)、特徴は鼻(及び尻尾)が短い。

一方、国鉄にシルバーシートが登場したのは1973年のことなのだが、当時の国鉄は問題山積で破綻寸前。実は、ゼロ系新幹線のシートの布が修理用在庫として大量に倉庫に積まれていた。放漫経営である。実際には、そのシートだが、グレーとも見えるしシルバーとも見える。新幹線グリーン車の座席がゴールド系だったので、光り輝いてはいないがグレーではなくシルバーと読んでいたわけだ。ということで、1973年の敬老の日にスタートした老人用のシートは、長期在庫品があてがわれたわけだ。すばらしい扱いである。

結果、シルバーシートと名前が付けられたのだが、今はシルバー色でない方が多い。高齢者の比率が人口の2割や3割になるからだ。優先順位の一位は妊婦さん、二位は外国人、三位は酔っ払いといったところだろうか。

そして、Dの銀婚式。結婚後25年の夫婦のお祝いだが、もともとフルムーンのターゲットだったこともあるのだが、結婚しない(あるいは止めた)人も多いし、そもそも30で結婚しても55歳では、何がめでたいのかも不明だ。語源としては弱い。

ということで、比較してみると、Cの「国鉄の在庫品」というのが語源に近いのだろうと推測できるわけだ。もっともシルバーの上の世代だが、言葉はゴールドやプラチナがあるのだが、プラチナ世代と言うと、おカネの乏しい年配者には向かないような気もするし、ゴールドというとオールドに聞こえるというマイナスがある。グランドパーソンとか、そんなところだろうか。そもそも海外ではそういう言い換えをするのだろうか?
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武器商人の甥?

2018-10-17 00:00:36 | 市民A
行方不明になったジャーナリストの苗字に聞き覚えがあると思って調べてみると、「地球上でもっとも有名だった武器商人」の甥のようだ。

当初、アップした時は「甥」ではなく、誤って「孫」と書いたのだが、商人の父とジャーナリストの祖父が同一人物(王族と親しい)らしい。

叔父さんの方が活躍した時代は、武器の多くは、米ソ仏が輸出していたのだが、武器商人の仕事は大きく二つ。

一つは、新規売込みの紹介。もっとも先進国同士では、商人は出てこない。各種兵器会社が各国の軍と直接取引する。先進国でない国は、さまざまなコネや紹介者、仲介者が介在する。

もう一つは、中古兵器売買。何しろ戦争をしているのは正規軍ではないことが多い。正規軍、反政府軍、テロリスト等が武器を必要としているのだが、突然、政権が交代すると、正規軍が反政府軍に変わったりする。一方、国家レベルで新しい武器を沢山買うと、古い武器は不要になるので、これを換金して新しい武器代の一部に充てようとするわけだ。

中古車屋の原理だ。中古車屋がないと、新車の販売が落ち込むのと同じだ。そういう意味では兵器産業は一族に大いにお世話になったはずだ。

奇妙なのは、米国大統領はジャーナリストが行方不明になったことに、拳をあげたものの、「武器輸出を辞めると中露が売り込む」と根拠のない話をして、手打を図ろうというのだが、もともとS国の状況は米国的にとっても大問題。米国産原油を他国に輸出してまでS産原油輸入を続けて対価として武器を輸出しようというギリギリのバランス感覚は脆い。

しかし、体制が行き詰まった時にはエネルギー問題上、大混乱が起こることが予想されるのだが、先送りにすればするほど、問題は巨大化し、その時の米国大統領が各種板挟みで気の毒なことになるだろうとは思うが、・・・

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『B』印

2018-10-16 00:00:34 | スポーツ
「B」というのは、そんなにいい文字ではないのだろう。といってもB級品というのはA級ではないがC級やD級ではないわけだ。

で、きょうの話は、ゴルフのマーカー。小道具もいいとこだ。ゴルフで最終的にグリーンにボールが乗って、ホールに向かってパターでコツンと(あるいはパチンと)ボールを打つのだが、ボールの汚れを拭き直したり、一緒にラウンドしているプレーヤーの邪魔にならないように、ボールの代わりに一時的なマークとして置くもの(ゴルフをしなくても一度でもテレビで見れば、用途はわかるだろうが)。

以前は、小さなコインを使えばよかったのだが、一円玉では風が吹いて飛んでいくし、あまりにも目立たないので、自分のボールの位置すら見失うことがある。日本のコインは小さいのだ。といって慶長大判とか使うわけにはいかない。大きすぎる上に、金貨だし。マーカーはよくなくなることがある。

ということで、マグネットのついたマーカーでも紛失することが多い。要するに大振りなのだ。帽子が飛ぶほど振って、帽子はなくならなくてもマーカーが飛んで行ってしまう場合がある。(帽子が谷底に落ちたのでマーカーも一緒に無くなったというか取りに行けなかったこともある)

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ということで、今回、500円強で買ったのが、「イニシアルマーカー」。それも『B』である。

名前からすれば、『O』か『Y』だが、どちらの文字も形が締まらないわけだ。ということで、『B』にした。実は、バーディのBのつもりだったのだが、後日考えてみると、ボギーのBでもあるし、普通に「BAD」という名詞の頭文字だ。Bを選んだのは失敗だったのだがそれを乗り越えなくてはいけない。

ところで、元々、イニシアルで『B』の人はそういない(日本では)。苗字なら馬場とか別所とかあるが、名前の方は少ない。以前「武一」という人がいてブイチと読んでいたが、本当は違っていたのかもしれない。そういえばベッキーというタレントがいて、本名は「別所絹子」であるという都市伝説があったが、本人が「本名は、レベッカ英里レイボーン」と明かしている。Bではないのはわかったが、名前はレベッカなのか英里なのか混乱する。

ところで、最近は大型のマーカーを使う人が増えているのだが、高齢化社会だからだろうか。よく見えるし。ただし、邪魔だ。ボールが当たると確実にボールの行き先が変わる。

少し前にはコインを使っていたが、今更よく調べると台湾の十圓硬貨だった。36円位だ。いかにもアナログだ。コインの肖像は誰なのだろう。孫文か蒋介石なのだろうか。

ということで、次のコンペでは「B」マークを使用予定だが、思えばブービーの「B」でもあった。
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プラナリア(山本文緒著 小説)

2018-10-15 00:00:24 | 書評
彼女の得意な短編集である。合わせて、直木賞受賞作。

彼女の小説を次々に読もうというような元気にはならないように、なんとなく重い小説を書く。少女小説から一般小説に転進したようだが、この重さがわかるとしたら、登場人物(男も女も)が、いかにも軽い人間のようで、深くややこしいところを持つことが多いということだろうか。

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この短編集でもなんとなく塞ぎ込んだ女性が登場することが多いのだが、彼女自体が直木賞の3年後にうつ病に見舞われ、回復までに数年かかっている。

実は、私は『メンタルヘルス検定一種(二種も三種もだが)』合格者で、「うつ病」に関しては、比較的詳しいのだが(「非常に詳しいので、相談に応じます」と書くと、医師法違反で禁固刑を食らう可能性があるので、そうは書かない)、メンタルヘルス不調(その中心はうつ病だが)で病院に行ったことのある人は15%もいるそうで、現時点で治療が必要な人は少なくても3%はいるそうだ。ということで、治る人が多いのだが、治る過程の個々人の気持ちについては、誰も教えてくれないのでよくわからないのだ。

治りかけてきたところで書いた「体験記」もあるようなので、次はそれを読んでみようかなとも思うし、家庭とか家族(それらは、場合によっては、崩壊したり失われたりした空虚な構造として出現したりするのだが)ばかり書かないで、筆力はあるのだから、冒険とか挑戦とかそういう方向に転出したらどうなのだろうかと思う。
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黒楽(その2)

2018-10-14 00:00:59 | 美術館・博物館・工芸品
桐の箱には入っているのだが、清水焼と書かれている。楽といえば京都、京都といえば清水焼と言うことなのだろうか。清水焼というのは地名を指す言葉のはず。

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楽焼というのはむしろ手法の方なので、分類学上複雑な話になる。

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もっとも、清水焼による楽焼の「写し」というのは、かなり通常に作られているようだ。特に、樂家三代の道入(通称のんこう)の「のんこう七種」は人気だそうで、この陶器と比べてみたのだが、デザインが異なっている。

側面には「枯葉の図」が焼き込まれている。いや「枯葉」とは断言できないのであって、「身欠き鰊」にも似ているし、かつて水田に多く生息していた「ゲンゴロウ」のようにも見える。ただ、手でこねて成形したようには見えないのだが、それが一番重要な点だ。

スターバックスもプラゴミ追放運動を始めるのだろうし、茶碗各種をもっていって、コーヒーを注いでもらおうかな。

茶碗にこだわる緑茶カフェというのもいいかもしれない。
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瀬戸際竜王、第一局逆転勝ち

2018-10-13 00:00:08 | しょうぎ
タイトル100期か27年ぶりの無冠か、とイジメのような報道をされている羽生竜王の防衛戦の第一局が渋谷のホテルで開催。いきなり余談だが、ロビー階にあるホテル内で最も安いレストラン「かるめら」のデザートは芸術的だ。

99期で27年ということは、1年平均3.67個のタイトルを持っていたことになる。タイトル七つの過半数である。それがゼロになった時にはどうするのだろう。書きたくないが『**』という漢字二文字を思い起こしてしまう。タイトルを失えばただの九段である。今、段位別に一番多いのは九段なのだ。九段乱発だからだ。今更、九段とかプライドが許さないだろう。

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ただ、簡単には引退できないわけだ。何しろトーナメントやリーグ戦で勝ち残っている棋戦は途中で辞められないので、今後、全部負けても1年近くは対局を続けることになる。さらに再びいくつかのタイトルを獲得したりすると、そのタイトルを失うまで何年も引退できないことになる。といってわざと負けるわけにはいかないし、対局数が絞られれば、その分、さらに強くなる可能性もある。力士でいえば休場の合間に出場して優勝する白鵬のようなものかもしれない。

それに、あまり早く辞めすぎると、通算勝数で再び谷川浩司氏に追い抜かれてしまうかもしれないわけだ。

第一局はかなりの不利に押し込まれたが、相手の手順前後に付け込み逆転勝ち。感想戦の席には、かつて羽生竜王から竜王位を奪い取った渡辺前竜王もいるように見える。立会人の島九段から羽生竜王が竜王位を奪ったのが27年前の初タイトルだったわけだ。記念棋士を集めたわけだ。


さて、9月29日出題作の解答。

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初手は、この一手しかないが、玄関のドアをノックするような感じだ。桂と香を手にして盤面整理にかかるのだが21手の香打は遠くから打つと後に桂を打つ1四に捨て合いされて詰まない。

動く将棋盤は、こちら

なお、17手目の▲2二歩から22手目の△2二玉までは迂回手順になっていて、これを修正したのが以下の図である。途中で歩合強要で歩を取るため手順前後が解消する。長くならないように、玄関ノックの2手を省略した。

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動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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ヒントは横歩き対決。ダンスというか、『送り足払い』という私好みの姑息な技がある。

判った!と思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。
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自転車泥棒

2018-10-12 00:00:47 | 市民A
『自転車泥棒』というイタリア映画があった。貧しい庶民の通勤手段の自転車が盗まれ、途方に暮れた父親を励まし、息子が自転車を見つけるような筋だった気がする。また、今、読んでいる山本文緒の『プラナリア』という短編小説集の中の「どこかではないここ」という作品の中には、夫がリストラされ給料が半額になったため妻がバイトに行くのだが通勤用のママチャリを盗まれ、途方に暮れる場面が書かれ、息子が自分のマウンテンバイクを母親にいやいや渡すという美談に進展する。まあ、最近は、盗まれた自転車はオークションサイトで探せ!ということらしい。


大阪富田林署から逃走した容疑者の逃走劇は、ついに58日で終結した。元々の容疑が強制性交とか強盗致傷といったしょうもない罪なので、映画化は難しいような気もするが、『万引き家族』なんて映画もあるのだから、名監督なら何とかなるかもしれない。

おそらく、少し前にあった愛媛の脱走囚の場合、島の空家の屋根裏に潜んだり、雨の夜に瀬戸内海を泳いだりと、いわば影の中を泳ぎまわったりしていたので、先入観があったのだろうか。大阪南部に封印したとか言っていたのはなんだったのだろう。

明らかになった逃走ルートは、何度も同じ場所を行ったり来たりしているし、高知県では警察官から職質も受けているようだ。要するに、他県の県警は冷ややかなのだろう。捕まえたのも民間の万引きGメンの女性だそうだ。女性ならGウーマン(Gウイメン?)

途中同行者の男は利用されたのだろうが、こちらも頗る変で、車を山中に置き去りにして放置自転車を借用して乗っていた(占有離脱物横領)ようだ。厳密に言うと、最初の所有者が自転車を放棄するのも犯罪だろう。

捕まった時に容疑者が持っていた大量のサイクリング用の道具類だが、あちこちの道の駅で、他人の自転車からくすねたものらしい。なぜ盗まれたという被害届がなかったのか。

ここからは推測だが、容疑者はツーリングしている人たちの自転車を見て、「自分の自転車」を使っている人と、「他人から無断で借りている」人を見分けていたのではないだろうか。簡単に言うと自転車泥棒が狙われていたのではないだろうか。そもそも警察に届けられないわけだ。

途中から容疑者は、日本一周の旅に興味を持ち始め大胆になっていくのだが、もしかしたら四国の中だけでお遍路さんとして何周も一人でグルグル回り続けるという選択があったかもしれない。賽銭泥棒も兼務すればいい。たぶん捕まらないだろう。2周目で絶対に飽きるだろう。

しかし、日本一周と打ち出したものの、この「日本一周自転車の旅」には最大の計画ミスがあることを私は知っている。

阪神地区から出て四国を回った後、中国路を進んでいたのだが、このままいくと、九州を回って、日本海側を北上していくのだろう。そして、福井、石川、富山、新潟と進んでいくと、ついに季節は真冬の雪景色になっていくわけだ。
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