滑走路に侵入したこと

2024-01-04 00:00:00 | 災害
原因はよくわからないがJAL機と海保機の滑走路上での衝突だが、時刻的には既に視認性が下がっていたはずでJAL機は自動着陸モードだったと思う。最近の機体は軽量化のために樹脂の表面にアルミ合金をかぶせたような板を使うので、火が付いたら消えない。大型機の燃料は成分が灯油と同じケロシン型のジェット燃料だが、もしかして海保機はガソリンが燃料だったのかもしれない。テレビ画像では衝突の瞬間に火が出ているように見える。

ところで、滑走路への侵入だが、

実は何十年か前になるが、アブダビ空港に着陸した後、タラップを使って機外に下りて、二連バスでターミナルに向かっているときに、急に鋭角的にハンドルが切られ、立っていた人たちがバタバタと倒れることがあった。

乗客が呆然としていると、すぐ横にジャンボ機が着陸してきた。10秒はなかったような気がする。その前後も結構危険なことの多かった出張だった。

輪島、珠洲 2020年3月

2024-01-03 00:00:00 | 災害
金沢、富山から戻ってきてしばらくして大地震。嫌な感じだ。金沢、高岡、富山と被害は出ているが、なんといっても能登半島の輪島、珠洲の被害が大きい。

実は、2020年の3月16日に二市を訪れている。



その時も3日前に震度5の地震が起きていて、さらに当日は海が荒れていて輪島朝市ではほとんどが休業していて。それでも朝市通りの長さに驚いた。画像は、全体の半分程度の長さで、そこから先は行かずに、引き返した。地域全焼というのでは町の再興すら懸念される。



珠洲市は能登半島の先端で、珠洲焼、酒造(宗玄酒造と櫻田酒造)、製塩業、観光が有名。「宗玄」をふるさと納税の返礼でいただいたこともある。観光の中心は珠洲岬にある青の洞門。そして、岬の岸壁から10mほど空中に突き出された展望台から海岸を見下ろすと、いくつもの小屋が建ち並んでいる。「ランプの宿」というリゾート施設で露天風呂も立派だそうだ。ただ「津波が来たら絶望的かな」と感じたのだが、どうなっただろうか。

能登半島は海岸沿いに道路があり、後背地は森林なので、逃げることが難しい。さらに、気がかりは雨が多いこと。地元の格言に「弁当忘れても傘忘れるな」というのがあり、地盤が緩くなれば崖崩れにも注意が必要。

暴れるハブラシ

2023-06-15 00:00:05 | 災害
昨日はトイレの故障の話。引き続き、電動(超音波)歯ブラシの故障の話。こちらは20年も使ったわけじゃなく1年か2年か。ただ、1日1回だけ使い、残り2回は手磨きにしている。というのも電動は歯を痛めやすい。元々30秒に一回は自動的に止まり使用者に磨きすぎないようになっている。ピュオーレという研磨剤の入っていない泡式の洗剤を使っている。

たまたま、専用の充電器で充電した日なのだが、洗面所で騒音が鳴り響く。駆けつけると立てて置いている電動歯ブラシが横倒しになって暴れだしていた。スイッチを押さないのに自動運転を開始していた。



あわててスイッチを切り、不審ながら元の場所に立てる。そして30分後に、また暴れだした。

当日は、あと一回、夜分に鳴り響くが、その都度止めるので、放置した場合、止まるのか、蓄電されている電気がなくなるまで動くのかわからないし、長く動き続ければ、発熱するだろうし、電池から火災が起きることもあるかもしれない。

ゴミの中にバッテリーを捨てて処理場で火災が発生することもあるようだし、歯ブラシ本体には電池が回収対象であるマークがついている。

しかし、なにより、フェールセーフという設計思想があるはずで、壊れた時には、暴走しないで止まるような設計をするはず。ただ、ユーザーが考えてもしょうがないので、とりあえず電気が切れるまでは使って、普段は暴れたらすぐにスイッチを切れるように、常時持ち歩くことにしたのだが・・

翌日は東京方面に買い出しに行くので、ブラシ部分をとりはずした歯ブラシをリュックの中に入れていたのだが・・・

最も暴れられたら困る場所。つまり電車の中で異音を発し始めた。しかも急行電車ですぐに駅に着かない。

リュックを外し、中に手を入れて探し出したのだが、ブラシのついていない歯ブラシなんかを持ち歩いているのを見られると、ヘンタイ扱いされそうだ。

急に泣き出した乳児は許せても、正体不明のバイブレーターを手に持つ男を許す人は少ないだろう。

汗が噴き出すがなんとかリュック内でスイッチを止めることができて、次の駅で降りて、ヘンタイ目撃者一同とはお別れする。

当日はもう一回動き出し、深夜の2時と4時にさらに暴れだす。

そして、数日後、平穏が戻ってきたのだが、その時にはスイッチそのものが壊れてしまい、電気が残っているのかもわからない。予定通り回収ボックスの場所を探すことにする。

造船所で火災

2023-02-23 00:00:19 | 災害
三菱重工長崎造船所で自衛隊の艦艇の塗装中に爆発が起こり、作業中の方が亡くなった。

実は、昨日のエントリーで沖縄の島を中国の方が購入したことで米軍や自衛隊の情報が漏洩するのではないかという話について、もう一言書きたかったのが、この長崎造船所のこと。

場所は奥行きの細長い長崎港の北岸。地図を見るとオランダのロッテルダム港と似ている。細長く、一番奥には川が流れ込んでいる。つまり長崎造船所の全面は海だが、その先にはすぐに対岸があり大浦天主堂などがあるのだが、その近くにあったのが英国領事館。そこからは長崎造船所が丸見えだった。

そして、海軍呉造船所で建造された戦艦大和に1年遅れで、三菱の長崎造船所で同型の戦艦武蔵が建造された。起工は1938年。そして、この造船所を上から見下ろすような対岸の高台にあったのが、英国の長崎領事館。

何を作っているのかすぐわかってしまう。そうなると武蔵だけでなく大和の構造も知られてしまう。

ということで、最初は白い布の幕を張って目隠しし、その後は間に倉庫を建てている。もちろん隠せば隠すだけ重要な艦艇ということがわかってしまう。

なぜ英国は長崎に領事館があったのだろう。造船所があったからではないだろうか。武蔵がほぼ完成した頃、英国は領事館から立ち去った。

57歳の女性を穴に落としても事件じゃない?

2022-12-01 00:00:21 | 災害
TBSがバラエティ番組でクイズ不正解者を穴に落とす企画で、松本伊代(57)さんを腰椎圧迫骨折(全治3ヶ月)に追いやった事件。11月24日に発生。

穴の深さが2.7mという説と1.5mという報道があったが、他の回の時の映像を見ると、人間の背よりずっと深い。というか1.5mだったら首から上は床の上にあることになる(それの方がシュールだけど)。



TBSの説明だと、今まで2回やっているので安全と考えたということだが、説明になっていない。今までは安全確認していなかったのだろうか。落ちた時の状況はわからないが、四角なウレタンブロックでは、足の小さな女性の場合、すき間に足が入ってしまうかもしれないし、体重によって量を変えているようにも見えない。ウレタンブロックをネットや布で覆っておけば、足が沈んで衝撃が大きくなることはなかったはず。

床が開く方式のようだが、左右の開きに差があると横向き落ちとか逆さ落ちもあるし、そもそも企画に知性をまったく感じない。そもそも間違えると、再起不能なんて「現代日本のダメなところ」そのものだ。

そして、ウレタンがないとケガをするから穴の中にウレタンを入れたのだろうが、それでもケガをしたということは、業務上過失致傷罪にあたると思うがどうなのだろう。十分に犯罪的だ。


本件は、被害者も穴に落ちることを認識していたが、バラエティの中には、突然に落とし穴に落とす場合もあるが、そもそも落とし穴を作って人が落ちるのを待つこと自体、十分に犯罪だろう。

あり得ない再沈没で・・

2022-05-25 00:00:29 | 災害
KAZU1号の水深120mからの引き揚げ作業が失敗した。水深20mまで引き揚げたあと、波の穏やかな日に台船に乗せるのかと思っていたら、横方向に長距離を引っ張っていく途中に落下。今度は180mになった。港まで横移動しても、最後は台船に乗せなければ陸に上がらないように思うので、最初に台船に乗せるべきだったと思われる。

ともかく、これで良かったと思う人がいて、一人は遊覧船会社の社長。もともと業務上過失致死の刑事責任を問うのが難しいのに、さらに有罪が難しい状況になる。

流れを整理すると、海の上の事故(または事件)なので、捜査は海上保安官になる。そして容疑を固めて、検察に書類を送る。対象は個人であって法人ではないので、亡くなった船長と運航管理をしていた社長のどちらか、あるいは両者。検察は証拠や過去の沈没事例に基づき起訴か不起訴かを判断する。そして裁判になり地裁、高裁、最高裁と続く。

一方、海上保安庁は海難審判所で海難審判を行い、船長の責任を追及する。この場合、不服がある場合は高裁に進むことになる。海上保安官も海難審判所も国交省の傘下で行政組織ということで最終的には司法組織に委ねられる。

民事訴訟の対象は個人及び法人なので、ここで遊覧船会社も対象になり、船客保険とP&I保険が適用になる。もっと深く考えれば、国家の不作為ということも遠因になる。


それで、最初に戻って沈没の直接原因は何かということ。事故の要因は沢山あっても、最後にこれがあれば事故にならなかった、という事案が直接原因となる。

そうなると、強風で転覆したのなら強風でも出航したことに問題があるのだが、そうでないことはわかっている。船底に穴があるなら座礁ということになる。その場合は操船ミスを冒した船長の責任だ。

さらに船体検査の時に、船尾側に1.5トン分の砂袋をバラストとして積載していたにも関わらず、船長は砂袋を陸揚げ(除去)している。砂袋の大きさはわからないが、何回にも分けて運び出している。本来ならパーマネントバラストといって1.5トン分のコンクリの塊を乗せるので、重くて運びだせない。砂袋を降ろしたために船尾が軽くなり舵が聞かなかったり、プロペラが水中から出てしまい、操船不能になったのかもしれない。もっとも地元では「潜水艦」と呼ばれていたとも言われ、1.5トン重くした場合、逆に危険だったのかもしれない。つまり浮かんでいるだけなら合法でも航行は難しかったのかもしれない。

ところで、国交省の責任という声はチラホラしか聞こえてこない、あえて遊覧船会社がさまざまな違反をしたと発表しているが、報道の通り、検査制度や認可制度はひどいものだ。真相が明らかにならなければ責任の所在も見えてこないわけで、うやむやになることも考えられる。

KAZU1号続報について

2022-05-05 00:00:33 | 災害
その後、保険関係の情報を社長が口外したので、一部加筆除筆しました。

何回かKAZU1号のことを書いたので、いくつかの続報を見て感じたことなど書いてみる。

まず、社長のA氏が「一人1億円払っても少し残る」という具体的な数字を言ったこと。非常識な感じがある。非常識というのは、一つは全員死亡と宣言したようなものだから。一つは、一人1億円といっても、年配の方もいるわけで、まったく無責任な数字であること。


前回書いたのだが、乗船客の死傷に対する損害賠償に対応するのが船客傷害賠償保険。一人当たり上限が1億円だったのだろう(保険約款みたわけではないが)。P&I保険の適用範囲は乗客以外の死傷者(船員)への賠償金、捜索・救助費用、航路の下に沈み海保等から航海の危険があるので撤去を命じられた場合の引揚げ費用となる。つまり船内探索費用(約9億円)は対象外。捜査上、救助用の必要ということで船内を調べているので海保が負担するのだろう。おそらく引揚げた場合の費用も海保の負担ということになるのだろう。それで沈没原因が特定できるかは別問題。

刑事事件になるかどうかは逮捕とは次元がことなり、通常は海上保安官が捜査して検察に送検。起訴、不起訴が決まる。不起訴の場合は被害者または遺族が直接検察に告訴するのだが、検察官が海難捜査するのは難しいと思える。事故の場合、基本的に事故に至った背景とか遠因のようなものはあまり重要視されず、あくまでも事故に至った最終原因を重要視する。

船長からの電話は、船が30度前のめりになったということで、船首に海水が入ったのだろうが、岩礁に乗り上げた理由が、海図がなかったからか、エンジンが止まったからか、単に荒天だったのか、船が自壊したのか。A氏がいうようにクジラか。

毎年、船体にひび割れが発生してオフシーズンに修理していたが、今年はひび割れをそのままにしたという話が出てきた。FRP素材ということで、身近にあるFRP素材というのは、ほとんどの家庭にあるバスタブだから。37年海で使ったバスタブのひびということ。

別途、海難審判の方は海難審判庁が国交省の下部組織であることから、本件は(国交省には責任がなく)すべて旅客船の会社と船長が悪い、ということになりそうで、せいぜい会社お取りつぶし。高裁に控訴するかどうかは損得勘定になるだろう。

保険金では示談にならないと民事訴訟もありうる。民事は刑事と異なるが刑事の結果が影響するのは確か(刑事事件は人が対象で、民事では法人や国も対象に含まれる)で、責任の所在がはっきりしないと長期化することもあるが、わからないことが残る可能性がある。


次に安全管理規程だが、事業を開始するときに国交省(北海道運輸局)に各社ごとに安全管理規程を届け出ることになっている。国交省のHPにも「ひながた」があり、そこに船名とか人名とか、運休するときの風速などを書き込むことになっている。おそらく前社長の時代に提出したのだろう。国交省のHPのなかにQ&Aがあり、安全管理規程が守られていない場合はどうするかというQに対しては「改善するように指導する」ということになっている。つまり指導義務は国交省ということになる。

ある党の元党首が、国が安全基準を作って守らせるべきと上から目線の発言をしているようだが、実は基準はすでにある。具体的にはISMという国際基準で、これにほぼ準じた基準がある。有名なのは日本海事協会(NK)の認証制度で国際基準である。もう一つがNKは厳しすぎるというか困難という業者のための日本国(Japan Government)の認証によるISMである。つまりグレード的にはISM(NK)、ISM(JG)、無認証の三段階。

実際には旅客船ではなく貨物船だと多くの船がISMを取得し運用している。毎年監査が入るので大きな手抜かりはできない。なぜ貨物船がISMを取得するかというと、顧客が法人だからだ。ISMを取れない会社は使わないということになる。一方、旅客船の場合、顧客は海運のことなど全く知らない個人客のわけで、選択の決め手は価格とサービスということになる。仮にHISとかJTBといった大手旅行会社が自社ツアーに使う場合、ISM必須ということにすれば徐々に認証制度が生かせるような気がする。

そういう取得できない会社を何とかするために「安全管理規程」の提出ということに落ち着いているわけだ。

そもそも国交省というのは、国民(ユーザー)の側に立つという面と、無数の運送業者の健全経営を支援する側という、やや相反したポジションにあるわけだ。

知床で起こるかもしれないジレンマ

2022-05-02 00:00:30 | 災害
その後の報道で、乗船客への保険金を観光船会社の社長が公表したので、一部修正します。

「KAZU 1」が水深120mの地点で発見され、現在は開いた状態の後部ドアから遠隔カメラを入れて内部の確認をしている状況だそうだ。内部の状況が定かでない状況で、早くも引揚げの話が出ているが、まだ、早いと思う。

まだ、早いとは思うが船内に被害者の方が残っていないことが確認できた場合、引揚げるかどうかということになる。船の所有者は観光船会社のはず(それを確認したというニュースはないのだが、登記簿は開示されているので、そうなのだろう)。そうすると、引揚げ費用は観光船会社の負担となる。

そうなると、皆が心配になるのは今回の大事故の法的責任の行方と観光船会社の負担能力ということになる。

もちろん報道を見る限り、通信手段もなく、周囲の忠告も無視し、救命ボートもなく、瀬戸内海から中古船を買い(さらに若干の改造をして)、船長は天気予報も無視して出航したわけだが、「安全だと思っていたから」出航したわけで、そこに故意はないわけで、経営者、船長としての能力に問題があったということ。今までのところ、法令に違反している明らかな事象が出ていないように思える。

また、どういう順で事故が発生したかの因果関係が見えないと立件も難しい。暴風で流され岩礁に衝突したのか、水面すれすれの暗礁に気付かず乗り上げてしまったのか、エンジンの故障なのか、去年から入れたままの燃料が寒さで固まってしまったのかとか。

GPSプロッターが故障という報道があったが、海図があったのかということは大きいと言える。GPSプロッターであれば海図(暗礁の場所がわかる)と位置情報とが同時にわかるのだが、修理中(修理して使うような高額ではないが)としたら、紙の海図でもなければ、水面下の暗礁の場所がわからないまま乏しい経験で操船したことになる。(といってもそれが最終原因と言うのも難しい)

ということで、実際に観光船の会社、社長、船長に責任があるということにどうやって辿り着けるかということ。手順とすれば、海上保安官が調査を行い、検察に送検し、起訴、不起訴が決まり、起訴なら司法手続きに移る。並行して海難審判庁で海難審判が行われ、裁決が言い渡される。海難審判庁は国交省の管轄で裁判所ではないので、不服があれば高等裁判所、最高裁という司法の場に移る。民事訴訟は別途行われる。船主責任制限法というのがあって、船主の賠償額には上限が認められているが、人的損失に関しての賠償には制限額はない。

参考例:関西空港連絡橋に台風の暴風により平行に衝突してタンカーが橋桁を損傷した件では、検察は船主・船長とも不起訴、海難審判では船長の1か月資格停止。高裁で取消控訴中。民事訴訟では賠償責任の有無と並行して船主責任制限法により修理代約50億円に対し、最大でも3億3千万円に制限と地裁判決があり関空側が控訴中と方向違いの巨大裁判になっている。



それで保険関係だが、船舶には損害賠償に対して船主責任保険(P&I保険)に加入している。さらに、P&I保険の対象外である乗船客の死傷に対する船客傷害賠償補償保険を掛けている。観光船会社の社長は「大きな保険に入っていて良かった」と当初話していたそうで、その後、一人1億円上限であることを口外している。口に出すとは「とんでも人間」であることがさらにわかる。一方、P&I保険の額は明らかになっていないが、実際に費用負担義務があるかどうか不明ではあるが1~2億円程度の船舶引揚げ費用の負担は難しいとされている。2名の船員への補償の部分はどうなのだろう。2種類の保険は別のものなので、片方に余裕があるからといって回せるわけではない(重複取りもできない)。

P&I保険が、何の費用に対して支払われるかは、わかりやすい損保ジャパン社のHPから借用すると、

主な補償内容


船主責任保険で保険金をお支払いする損害には以下のものがあります。

 1. 人の死傷または疾病に対する賠償責任(乗船客を除く)
 2. 港湾設備、海産物などの財物に与えた損害に対する賠償責任
 3. 沈没し全損となった場合の船骸および残骸撤去費用
 (ただし、港則法、港湾法または海上交通安全法等の法律によって船舶や積荷等の残骸の撤去を命じられた場合にかぎります。)
 4. 人命救助費、遺骸捜索費、弔祭費など
 5. 油などの汚濁物質を流出させたことによる海洋汚染に対する賠償責任・費用については別途割増保険料をいただいたうえでお引き受けすることができます。

ということになる。

この中の1.3.4.が問題になる。

1の人的損失に対する補償は、被害者の年齢や現在の収入などで算定されるはず(交通事故同様)。乗船客以外ということは船員ということで労災や会社の弔慰金で不足する分。

3の引揚費用だが、「港則法、港湾法、海上交通安全法等の法律によって引揚げ」というのは、沈没した船があると他の船が危険の場合、撤去を公的機関が命令した場合ということになる。自主的に引き上げたら保険は適用されない。(本事故の場合、命令が出るかどうか。)

4.人命救助や捜索費というのは、海保や海自は無償と思われるが、今回の場合は不明で報道もないが、一般的には、数多くの漁船の出動は、救助協力金のような有償のことがある。
また、船内に被害者の方が残されていて、船体を引揚げないと救助できないということになれば適用になる可能性はある。
(海難事故でタグボート会社が出動する場合、タグボート会社は保険会社に照会してP&I保険の金額を確認してから出動すると言われるので、今回もP&I保険の金額は地元では知れているのではないだろうか。)

船体を引揚げる場合は大きな費用が発生するわけで、サルベージ会社が決まるとすれば、逆に言えば全体がP&I保険金額の内数と推測されるが、作業手順不明で金額不明の状態では、すぐには進まないような気がする。引揚げ費用が多大になり、その他の救助費用が払えないようなことになると困るわけだ。といって沈んだ船体を国交省が1円で買い取り、予算を付けて引揚げるというのも理解が難しい。


また、今後、知床半島に行く観光客が激減したとしても、それに伴う補償は期待できないだろう。

屋形船かと思っていたら

2022-04-28 00:00:50 | 災害
「KAZU1」の画像が出回っていて、多くの人は右舷側船首部に見える放物線状の筋に注目し、「亀裂」だ「汚れだ」という論争をしているのだが、一目、船の形が変だという点が目についていた。見た感じ、海面下が小さいというか底が薄いというか。

業界用語で「たらい船」という形で、波の静かな東京湾とか瀬戸内海で運航する船のような感じで屋形船かとも思った。もう一つは、船室が大きいこと。横風の影響を受けやすい。つまり堪航性が低い船ということ。

典型的な例が、セウォル号だ。日本で使っていたフェリーを韓国の会社が輸入し(これにもトリックがあるはずだが)、船室を大きくして、結局バランスを失い沈没した。

関西空港の橋げたを壊したタンカーも、事故の時に散々叩かれたが、事実上、無罪に近い処分となったが、あの船は東京湾専用船だったものを外洋の影響を受けやすい大阪湾に移動させていたことは誰も指摘していなかった。

さらにペンキで塗り固めたような船体から、高齢を疑わせるものだったが、どうも1985年製で37歳、現在が3回目のオーナーで、2016年頃に瀬戸内海の定期船から中古購入したもののようだ。通常償却年数は11年かな、20年で手放す人が多い。37歳とは・・

それで「19トンの船なので救命ボートがない」という文脈は、読み替えると「救命ボートを省くには20トン未満にすればいい」ということになるわけだ。ここでいうトンは計算が難しいが、大雑把に言うと船の重さのようなもの。20トンルールにするからギリギリの19トンにして、さらに鉄製ではなくFRP製にし、喫水線の上の船室を大きくした場合、普通なら下を大きくすべきものを総重量が増えないように、逆に小さくしてしまう。

ところで、社長会見だが、「危なければ船長判断で引き返すことになっていた」というのは海事弁護士の入れ知恵のように思えてならない。そもそも海の上に出たら全部船長判断になるわけで、会社の指示を無視することは当然の権利で認められている。言うまでもないことなのだ。

船首部分が浸水というのが、最初に起こったとすると、例の亀裂が避けて水が入り、船首が下がると、構造的に船尾が上がり、舵もスクリューも海面より上になって、操船不能になったとも考えられる。あるいは先にエンジンが不調で止まって漂流し、岩礁に流され前部の船底が破れた可能性もある。冬に入ってから半年以上稼働しなかった船のエンジンを突然に回しても、さまざまな経年トラブルが起こることがある。万に一ぐらいだが、燃料が低気温で固まっても同じようなことになる。

それと、船員不足が深刻なご時世なのに長崎で働いていた船長がなぜ知床半島にいるのか、何か理由があるのだと思う。船員の給料は一般に固定給と乗船給との合計が一般的なので、憶測だが、そういう理由があったのかもしれない。

乗船客を貨物と考えていたのか

2022-04-26 00:00:23 | 災害
「KAZU1号」沈没事件の詳細を調べて、こんな海運業者がいるのかと驚いた。自分も約10年間海運会社にいて、現在の日本の内航海運の安全基準については、ルールを作る側だったが、そもそもルールの精神に同意しないで「事故が起きなければお咎めはない」という考え方の人には困っていた。

まず、一目、船体が小さい。さらには横風を受けやすい箱型の船室とか水面下が非常に小さくバランスが悪いように見える。それとともに救命ボートが必要とされる20トンをギリギリ下回る19トンとなっている。船の重量を軽くするために、FRP樹脂の船体で鉄板はできるだけ薄くしたりする。基準を作ったために、こういうことになる。

東京湾ではないのだから救命胴衣だけでは誰も助けられない。



たまたま事故の翌日、ある旅行会社から旅行のパンフが送られてきた。1ページ目が北海道旅行で2ページ目には知床半島の先端までのクルージングが組み込まれている。パンフ上の旅客船は少し大きい。

そもそも漁船が出港見合わせなのに、走れるはずはない。

昨年、座礁したあとの傷が残っていたとも言われるが、社長は知らないと言っているが、FRPとは浴槽のような素材なので、岩礁に乗り上げれば傷がつかないはずはない。

ただし、事故の原因は、座礁して浸水が始まり傾いたということだけではなく、エンジンが故障して操船不能になり木の葉のように波に浮かんでしまい、岩礁に打ち付けられて船体が損傷した結果、浸水したとも考えられ、そちらの方が考えやすい。

乗組員は船長と甲板員の二人なので、いわゆる機関員がいないので修理できなかったのかもしれない。

万に一つの生還方法は、逆に岩礁の上に自分から乗り上げて岩の上に意図的に座礁する方法があるが、エンジンが止まっていれば何もできない。

しかも知床岬の先はロシアが占拠しているのに、海保が警戒していないということだろう。別の意味で大不安だ。

また、船の切符を買う前に、乗ることになる船舶を見た方がいい。遠目では綺麗に見えても壊れた装備をペンキの厚塗りでごまかしている場合もあるので、真剣に確認した方がいい。

そもそも座礁する例はきわめて少ない。同じ船、同じ船長というのも奇妙な感じだ。一部報道ではGPSと水深や暗礁が書かれた海図を連動させるプロッターが今月27日に取り付け予定だったとも聞く。操船ミスが原因であれば役に立つはずだった。

富嶽一景

2022-01-17 00:00:49 | 災害
千葉県中部のゴルフ場で、プレー終了後駐車場に行くと、西方に絶景が眺められた。茜色の空に遠く富士山をのぞむ。マジックアワーの直前。



江戸時代の後期になって富士山は庶民に親しみを持たれるようになったが、最後の爆発があったのが1707年のこと。宝永地震の49日後に大爆発。江戸の近くまで大被害を与えている。その後、おとなしくなり信仰の対象にもなっている。

しかし、平時は終わり、もはや、いつ爆発してもおかしくない臨界状態のようで、単独爆発でなくとも東海地震、東南海地震、南海地震など巨大地震がおこれば、まちがいなく連動するのだろう。

美しい姿を眺められるのも今のうちということだろうか。

ところで、直近の爆発が起きた1707年だが、「おおた家」が本家から分かれた初代の「藤吉さん」が生まれた年なのだ。

いわば、現在の富士山とともに生まれた家ともいえる。そして、次なる爆発とともに・・(いや、考えるのは止めようか)

「安心安全」という言葉の危険

2021-06-07 00:00:17 | 災害
よく聞く言葉で「安心安全」と同意語のように重ねて使われる。最近では「安心安全な五輪」とか。

もともとは工場などで使われていたような気がして、初めて聞いた時には違和感があったが、そういう感じがしないのだろうか。

というのも、そもそも「安全」であるから「安心」なのであって、重要なのは「安全」ということ。

ことばの上では「安全でなくても安心」していることがある。根拠なき安心。安全かどうかは人の心の問題なので、甘い言葉に騙される人は、このタイプだ。「あの人が言うなら間違いない」「○○党の先生がいうことなら安心だ」「Wikipediaで調べたから正しい」・・・

つまり「安全」を担保するには、「安心しないこと」が重要なのだ。ホテルに泊まったら、非常口を確認する、という当たり前のことも、「安心」していたら忘れてしまう。

つまり、安心することは、安全でないことが起きる原因でもあるわけだ。

「安全ではないかもしれない」と「安心しないこと」がもっとも安全といえる。

来島海峡西側での船舶衝突沈没事故

2021-06-01 00:00:11 | 災害
5月27日23:55に来島海峡西側でケミカルタンカーと貨物船(RORO船)が衝突し、20分後に転覆。その後28日02:45分に沈没した。貨物船の乗員12名のうち3名が行方不明になる。船体は60m下の海底に船底を上にして沈んでいるようで、その後、潜水士による捜索によって船内から1名のご遺体が発見され、捜索は続けられている。船内に空気溜まりがあれば、まだ生還は可能だろう。

事故の直接原因は後述するとして、まず両船のこと。ケミカルタンカーは『ULSAN PIONEER』日本流に言うと3000キロ積みの石油化学品タンカー。2016年の韓国での建造。事実上の船主は韓国の会社(本船のクルーは韓国8人、ミャンマー5人)だが、運航会社は日本の船会社だ。2015年から2016年にかけてほぼ同じタンカーが4隻建造されている。タンクがステンレスなので、石油化学製品だけではなく、今回のように酢酸なども輸送する。日本、韓国、中国、台湾など近海航路用で最大速度は12ノットと力不足気味。全長は90m。今回の航海は、長江の奥、南京市の手前の鎮江から上海を通り東シナ海で関門海峡から瀬戸内海に入り、大阪へ向かっていた。

貨物船は『白虎』。船主は日本企業で、運航会社はプリンス海運。プリンス自動車(現日産自動車)の時から自動車、自動車部品の輸送を行っていて、本船は自動車部品を輸送していたが、通常は車両約800台を輸送。RORO船といって、自動車をクレーンで吊るすのではなく、フェリーのように車を自走させて積み込む。一部報道でフェリーとあるが間違い。驚くことに2020年6月に就航している。つまり1年経っていない最新鋭船で全長も170mとケミカル船の約二倍である。最大速度は21ノットとかなり速い。神戸から苅田(福岡)へ向かっていた。

FNNより
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そして、問題の衝突だが、日本で最も危険な航路ともいえる(危険なところは他にも色々あるが)来島(くるしま)海峡だが、潮流によって航路が変わるし、さらに基本的に瀬戸内海なのだから東と西に向かうべき航路のはずが、島の配置によって南北方向にS字にカーブで通過するわけだ。当日深夜はスーパームーンの翌日でもあり、天気は晴なので月光で視認することは両船とも可能だっただろう。少なくても来島海峡で居眠りはないだろうし、乗員数から言っても海峡通過時は2~3名は当直に立っていたはずだ。

来島海峡は簡単に言うと二つの航路がある。左側の航路と右側の航路である。基本的には船は右側通行なのだが逆流側が西(南)側を通過することになっていて、事故当時は年に数回の潮流の速さ(10ノット)だった。

つまり、事故当時は来島海峡内は左側通行であり、入口と出口で左側通行から右側通行に変えなければならず、クロスしてしまうわけだ。事故は貨物船の左後側にタンカーが突っ込んだわけで、居眠りではないとすれば、相手船の速度を見誤ったことになる。貨物船のスピードが遅かったのか、タンカーのスピードが速かったかということ。潮のせいで、両方とも相手の速度を見誤ったうえ、自分の速度も間違えたということだろう。

来島海峡にはライブカメラもあれば、交通安全センターが24時間監視してが、船舶に指示を出したのだろうか。

朝日新聞より
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そして行方不明者の中の船長。佐藤保さん(山形県鶴岡市)となっている。鶴岡の佐藤姓というのは一族の多くが船員になっていることで有名だ。以前、海運会社にいたことがあるが、3名も鶴岡出身の佐藤姓の船員がいた。船員一族なのだろう。そうなるとシーマンシップ精神という古典的概念に行きつく。つまり船長の責任である。船長の頭の中には船員救助しかなかったのだろう。

なお、タンカーの場合、口には出さない不文律のようなものがあるとも聞いたことがある。衝突が避けられない場合は、船首をぶつけるということ。腹にぶつかられると大爆発・大炎上の危険があるからなのだが、今回の場合はそういうことではないと思える。

スエズ運河を独り占め

2021-03-29 00:00:30 | 災害
3月23日にスエズ運河で座礁した『エバーギブン』はいまだ離礁できず、船長400メートルの船体が運河の両岸に船首と船尾を乗せたままになっている。

現場の写真から想像するに岩礁ではなく、砂とか土という感じなので、とりあえず浸水にはなっていない。座礁と言わず座洲ということが多い。が、本来、船の重さは水の浮力で受け止めるものなので、現在の状況は20万トンを船首と船尾の船底で支えているわけで、徐々に船底がゆがんだり、船の中間部分から折れたりしかねない。

また小型のブルで砂を掘っているようだが、うまくやらないと船がこけて横倒しの大惨事になるかもしれない。まずいことに荷物を降ろすにしても、そもそもコンテナヤードには特殊な積み下ろしの設備があるが、砂漠には何もないし、地面が平らでないと重ねておくのは危険だ。水深数千メートルの太平洋の中央だったら、荷物は海に投棄することを考えるだろうが運河に沈めたらそれをまた引き揚げなければならない。

船の渋滞だが、そもそもスエズ運河は鉄道の単線と同じように、往復すれ違いではなく、主に中間にある湖を待機場所に使い上りと下りを交互に運航している。このため、約300隻が、運河の南(紅海)と中間の湖と北(地中海)に分かれて存在している。運河の中にいた船は自力またはタグボートで、その三か所に移動しているようなのだが、南側は海賊がたくさんいる場所で、これも困るだろう。

それで、原因とか被害額とか責任とかの話だが、今までにニュースに登場していない人たちもいるので整理する。

積み荷の所有者・・要するに荷主。コンテナ船の場合、コンテナの中身の所有者はたくさんいるはず。中国の港に荷物を持っていき、まずオランダの港まで行き、それぞれのコンテナはまた別の場所に運ばれる。無数の荷主をたばねるのが、カーゴブローカーで、荷主と運航会社の間にいるが、所有権には関係ない。

運航会社・・台湾の長栄海運。通称はエバーグリーン。世界屈指の運航会社だ。輸送に関する一時的な責任はこの会社にあるといえる(というか、当面の被害は荷物の所有者で、その運送契約は基本的にはエバーグリーンと結んでいるはず)。

船体所有会社・・いわゆる船主。今回の場合は正栄汽船。四国の地方銀行などから巨額な借金をして船体を建造し、船員の配乗や船の設備管理の全部または一部を船舶管理会社に委託する。船員を乗せた船を、定額(一か月あたり何億何千万円といった額)で運航会社に貸し出す。モーリシャスで座礁した船は、船主が多くの所有船の中で1隻だけ自社運航していたと言われる。基本的に船員は外国人で、労働条件の管理とか無理なので、船舶管理会社に丸投げすることが多い。今回の船舶管理会社は、Bernhard Shoulte Shipmanagement社というらしい。なお、通常、船ごとにパナマ法人の会社をつくり便宜置籍船とする。基本的には、営業利益を出すと法人税を払う必要があるため、次々に船を作って、償却費で利益を消す手法が使われる。

船舶管理会社・・船舶管理会社といっても、「独立系」「運航会社系」「船主系」とさまざまだが、大手の運航会社がイエスと言わないような会社は排除されるはず。今回の管理会社については情報がない。

水先案内人・・スエズ運河や日本の瀬戸内海、東京湾などは、現地の水先案内人が乗船する。スエズの場合は大勢で乗り込むようだ。問題は、技能が劣る水先案内人もいて、下手な操船をして事故があっても、船長の責任になる。大問題のルールだが何ともならない。


不可抗力宣言・・間違いなく船長は、事態のどこかで悪天候による不可抗力宣言をしているはず。わたしたちの責任ではないということ。


砂嵐による大風で流されたと説明されているが、確かにコンテナ船は横風に弱そうだが、船には前後に進む船尾のスクリュー(プロペラ)と舵(かじ)の他にバウスラスターといって胴体の左右を貫通するパイプ状のトンネルがあり、左右に小さいプロペラがついていて、これを使うことによって船の向きを左右に調整できる。想像なのだが、現地の水先案内人が、これをつかわず舵だけで方向を変えようとして手に負えなくなったのではないだろうか。

ポイントは、予期できない不可抗力として、免責という可能性。一義的には船主責任となって、それは船舶管理会社の責任として争わる可能性。また、損害の算定方法は国によって大きく異なる。実害方式か遺失利益方式かによって大きく異なる。

また、この船の事故による間接的影響で、足止めされた300隻も明らかに被害があるが、この被害額算定方法も諸説あるだろう。世界の多くの海事専門弁護士が、仕事が増えて大喜びしているだろうと推定できる。

その地震、被害あり

2021-02-22 00:00:03 | 災害
13日夜の福島県沖地震、横浜は震度4で、地震直後に室内を確認したが自作詰将棋の15手詰の紙ファイルが落下しただけのように思えていたのだが、実はこの揺れによるダメージが発生していた。

6日後の朝、洗面台を使っていたら、妙な断続音が鳴り始めた。少し前には屋外のヤモリの鳴き声が聞こえたこともあったので、そういうものかと思っていたのだが、もっとすぐそば、足元の方から聞こえてくる。洗面台の下の両開きのドアを開けると、・・・・水浸しだった。顔に石鹸が残っているのに、慌てて水栓をしめようとするが、硬くて閉まらない。

こういう時に、力任せはいけない。水栓が壊れて大惨事になる。慎重に左右に回して固着をほどいてやっと熱湯の漏水をストップ。

床下から上がってくる温水側の水道管と洗面台の温水混合栓の間の細い管に穴が開いている。構造的には金属の管の外側に樹脂系の被膜で覆われているのだが、この飛膜が内側から噴き出したように外側にめくれている。おそらく地震の横揺れで管にひびが入り、一週間の間に徐々にひびが拡大し、ついに被膜が破れて破裂したのだろう。

こういう時に頼んではいけないのは、しょっちゅうポストに投函される磁石の業者。ということでネットで普通の業者を探すにしても、良い業者か悪い業者か見分けがつかない。あたりをつけて電話してきてもらうと、まず経年を聞かれ、「20年」というと業者の目が急に輝いたように思えた。調べること3分程度で、「配管とシャワー付きの蛇口は分離できないので、一式交換ですね。すでに修理部品もないし。7万7千円です。」と宣告され、目の前が暗くなる。

しかし、20年も使って、鏡も一部破損し、色焼けもしていて、プラスティック部分には細かなひびが入っていて、そろそろ買い替えかなと情報収集中だったことを思い出す。全部で工賃込みで15万から25万の間だろうと思っていたのに、蛇口と配管に7万もかけるわけにはいかないわけだ。ということで、工事をお断りすると、「5万5千円でいいです」と軟化。まあ五十歩百歩だ。点検調査費3,300円ということになり、今度は設備業者探しをしなければならない。

ところで、ひびが少しずつ拡大して、ついに破裂した今回の状況だが、何か巨大地震のメカニズムと似ている。少しずつ前震が続いて、その後に本震が来る。防災用品も買い替えが必要かな。ヘルメットは30年前のものだし。