6421万対1500万って?

2004-10-31 14:52:12 | 愛・地球博
a44c80d5.jpgあと150日弱で愛知万博が始まる。2005年3月25日から9月25日までの185日間。愛知県名古屋東部丘陵、長久手町、瀬戸市、豊田市にまたがるエリアで行われる。森林の一部を伐採してしまうのだが、会期終了後はまたもとの森林に戻すそうである。未だに推進論、反対論、懐疑論などが入り交じり、何といっていいのかよくわからないが、何となく期日になると始まるのだろう。イメージキャラクターは随分地味なのだが、キッコロとモリゾーという黄緑色と緑色の森の精である。一度切った森を元に戻すということで、うかつにも、キッコロではなくキッコリ(木を切る方)とモリゾー(木を植える方)と思っていたのだが、よく見るとキッコロが正解である。

そして、この万博に合わせて、2月17日に開港となるのが、中部国際空港だ。関西空港と同様に知多半島沖に埋め立て空港として完成。また、関西空港と同様に海上にナローパスを作り電車が走ることになる。中部国際空港連絡鉄道だ。1月29日開業。名鉄に連絡して新名古屋駅まで特急がつながる。距離は僅か4.3キロ。新名古屋駅の複雑なシステムで乗り間違いがないか心配だ。
この空港ができたからといって海外旅行者が増えることもないだろうからオールジャパンでの景気刺激としては極めて極めて限定的だろう。

ここで、多くの人が疑問をもつのは、万博会場も現名古屋空港(国際空港)も名古屋の北側にあり、万博客にとっては、新空港は逆に遠くなるだけではないかということ。この辺の事情を中京人に聞いたところ、空港も万博も名古屋の北であれば、誰も名古屋におカネを落とさないではないかとのこと。なるほど。万博が北なら空港は南ということなのか。そして名古屋で一泊し、コメダ珈琲店のモーニングサービスをトライしてから万博会場行きのバスに乗る。夕食は味噌カツ定食となる。

しかし、万博は期間限定だが、空港は永久物だ。どういう計算なのだろうかと疑問が残る。部分的な回答は聞いたことがある。「小牧空港は自衛隊と共用なので、増便に限度がある。」「トヨタ社員が海外出張する時に、名古屋-東京の新幹線代がいらなくなる。」とか・・
しかし安いものではないはずだ。と思って事業計画を調べると、空港建設費は総額、7,680億円。空港連絡鉄道は、4.3キロでも708億円だ。
一方、万博の方の計画は、事業費が1,350億円、運営費が550億円、合計1,900億円。空港の方がずっと高い。
まあ、空港は永久物なので計算は難しいが、半年間の会期の万博の方の予想損益計画を見ると面白い。

まず、事業費1,350億円の出所だが、450億円ずつ3分割していて、「国」「地方自治体」「公営競技収入」となっている。さらに運営費の550億円のうち、390億円は入場料収入、160億円は参加料とかの雑収入である。簡単にいうと、総経費の47%分は税金からの出資、24%は各種ギャンブルのテラ銭、8%がショバ代、21%が入場料収入となる。

しかし、これは計画である。支出については、まず変わらないだろう。予算いっぱい使い切るのは間違いない。そこで問題は収入なのである。予想入場者数が発表になっている。「1500万人」だそうである。この数字で予想入場者収入を割ると一人当たり2600円になる。しかし、発表されている大人料金は4,600円、12歳以下のこども料金は1,500円。大人と子供の比率をいくらでみたのだろうか。
賢明な読者はこの方程式が思いつくだろう。
4600A+1500(1-A)=2600 答え、A=0.353 
つまり大人35人対子供65人の比率だ。おかしい。結局、無料チケットとか団体格安チケットが出回っているような計算だ。私も横浜博の時は3回ぐらいタダ券で行った。まあ、良心的に考えてあげると1500万人という目標に自信がないのかもしれない。のりしろを入場料収入でサバ読みしているのかもしれない。

愛・地球博というのが愛称だそうだが、どうも地味博になりそうな予感がする。参加国は127カ国だそうである。実はその一つアメリカは国としては参加せず、各企業が自主参加するということである。そういう意味だと126カ国。それにしても1500万人とは少なすぎるような気もする。あのマイナーだった横浜博でも1300万人。大阪の花博は2300万人だった。そして1970年の暑い夏、大阪万博会場を訪れた人数は、私の家族も含め、なんと6421万8770人であったのである。

その頃、日本人は熱かったのだ。

ところで、「万博」が新空港建設のための「理由ではなく口実」であったとするなら、森を伐採しない方法があったのだ。それは完成した空港埋立地の上に、空港ではなく万博会場を設置し、小牧をそのまま国際空港で使用する。そうすれば名古屋市にもドルは落ちる。そして万博終了後に建物を取り壊してしまえばエクスポ空港が完成したはずだ。森は無傷のはずだった。手遅れ過ぎる意見だが。

最後に一言。入場料収入が予定の390億円超えた場合、山分けしないで優先的に補助金の返納をお願いしたいものだ。で、逆に穴があいたらどうなるのって?
おみゃーさん、そんなもん、にゃーごや人が全部払うんだわさ、って。 

週末に読んだ手紙(2)

2004-10-30 15:02:18 | MBAの意見
f78c0ba4.jpg週末にまとめて読む「緊急ではないが難しそうな金融機関から届いているDM」の第2弾は、投資信託で有名なフィデリティ(Fidelity)からである。

用件は2件で、その1としては「フィデリティ証券会社」から「フィデリティ証券株式会社」への営業譲渡の件、その2は新システム導入による新サービス開始の連絡である。このうち2の新システムについては、詳しく書かれていないのだが、簡単な記載を読む限り、私にはメリットはなさそうである。

それで問題は1の「フィデリティ証券会社」と「フィデリティ証券株式会社」の差は何かということになる。レターでは、「今年12月3日に営業譲渡を行い、旧会社は解散する予定」と書かれており、すべて今まで通りで、顧客側には影響がないので、11月8日までに異議を申し出ない場合、自動的に営業譲渡になる、という内容である。

よくわからないので、フィデリティにメールで問合せを行ったところ、カスタマーサービスの方から、問題の糸口のようなことが返ってきた。それによると、現行のフィデリティ証券は、「外国法人」であり、「外国証券業者に関する法律第3条」の規定で業務を行っているが、新会社のフィデりティ証券株式会社は「日本法人」として、「証券取引法第28条の2」の規定に基づき証券業を実施するとのことである。

ということまでわかった段階で、今度は各法律にあたらなければならない。こういうことこそネット社会は早い。
しかし、実は外国証券業者に関する法律と証券取引法を読み比べても、なかなかその差はわからない。要するに、「外国会社の日本支店は日本法人と同一にみなす」ということが基本方針なので、どちらでもいいことになっていて、実際多くの外国証券会社は外国法人の日本支店という形になっている。

で、それでは考察も行詰り、これで終わってしまうのだが、様々な角度で考えているうちに、「外国証券会社」の問題でなく「外国会社」の問題なのではないかというように思うようになった。証券に限らずにということ。その線で調べていると、現在、検討が続いている法務省の法制審議会会社法部会で外国会社に関するちょっと激しい議論が行われていることがわかってきた。要するに、外国会社が日本法人を合併してしまう問題を中心にした議論であるが、既存の日本法人が、外国(例えば米国デラウエア州)で会社を登記し、日本支店を作り、その日本支店と合併することにより、米国会社になるというようなことが議論になっている。そのため、どうも部会の方向は、外国会社という制度を廃止して、日本法人でないと法人格を認めないような方向の話しになっているように思うが、実際の議事録を見ると、まだ議論としては、とてもまとまっているようには思えない。

しかし、逆に日本の株式会社制度が、事業の内容にかかわらず最小資本金1000万円というハードルを作っているため、起業家の中には、デラウェア、ハワイ、香港といった0から数ドルの資本金ですむ海外法人を設立し、日本支店として営業しようという行為も実際に多数存在する。わたしも既に調査済みなのだが。そういう行為が認められなくなるのは、また新たな問題を生み出すことになる。もし外国会社を認めないなら、最低資本金制度の撤廃とパッケージにする必要があるのではないか。

おそらく、フィデリティは、そういう問題をもあるし、「日本法人」であることを売りにして、「投資信託」の大攻勢に出るのだろう。私見であるが、今年の12月のボーナスシーズンあたりから、投資未熟長者をねらった内外金融会社からの大攻勢が始まるのだろうが、株価があまり芳しいとも思えないため、魅力的な利回りを出すために、ずいぶん危険な毒キノコのような商品が取り揃えられそうな予感がする。  

ヨコハマに「コメダ!?!?」

2004-10-29 15:03:57 | マーケティング
ee92f1ee.jpg東急江田駅の北側の空地に大型の駐車場付きの郊外型レストランチェーンのような建物が建設されたのは1年以上前だったか。しかし、巨大な看板には「コメダ珈琲店」とある。前をクルマで通過するたびに、なんだろう???と思うのだが大脳の短期記憶回路の上を通り過ぎるだけだったのだ。
が、近隣に住む友人の名古屋出身者から、「コメダ行った?えっまだ」と言われ、「コメダ?えーとどこかで見たことあったな・・・そうか、あそこか」というようなシチュエーションが複数の知人との間で何回かあったわけだ。
そうか名古屋ルーツだったか・・・と身構えてしまうのである。

もちろん、仕事でずいぶん名古屋方面に行った事もあり、名古屋駅地下街で「△本屋の味噌煮込みうどん」を食べたり、きしめんや、味噌カツ、ひつまぶしなどはトライしたことがあるのだが、残念ながら「コメダ珈琲店」は知らなかった。
だいたい、住宅街の中に、大きな駐車場付きの喫茶店というのが関東的ではない。さすが自動車の町からだ。そして、関東の喫茶店は、今、カフェによる大攻勢の前に壊滅への道を歩んでいる途中のようにしか見えない。その中で、一体・・・

で、謎を解き明かすために、コメダ珈琲店横浜江田店に入ることにした。
なぜか、駐車場はいっぱい?? しょうがなく、近くのユニクロの駐車場へ入れる。結局そちらでも買物することになり、高いコーヒーになったというか、高いユニクロの買物になったというか・・

まず、メニューが何種類かあって、てこずった。ちょうど12時頃なので、目の前を大皿に乗った「えびふれえ」が山盛りのキャベツと一緒にあちこちの家族連れの席に運ばれていく。(・・・とんかつ屋か???)今、キャベツは1玉500円だというのにである。結局、普通の珈琲とおすすめケーキの「シロノアール」を頼んだのだが、事件であった・・・

珈琲の味は、どちらかというと苦味系である。都会派には、スタバ系ではなくタリーズ系と言った方がいいかな。380円。しかし「シロノアール」は巨大であった。パイの上にソフトクリームが乗っかったような大きさだ。ソフトは柔らかいが、土台のパイは硬い。大き過ぎる。焼きたての上に冷たいソフトが乗っているので、段々とけていく。最後はお皿の上が「雪解け水でぐちゃぐちゃになった未舗装の駐車場」のようになってしまった。シロノアールって何語だったのだろう?もう一つコーヒーのオマケはビニールの袋入りの豆付きである。豆は食べずにジーンズのポケットに入れてしまったのだが、その後、洗濯機の中で袋のまま粉砕されてしまい、ゴミになるかスズメの餌にするかしかない。申し訳ない。

複数のメニューを読んでいると、モーニングセットがあった。驚くことに珈琲代金そのもので卵とトーストが付くようだ。東京方面では、料金がコーヒー代に100円くらいアップする代償として卵、トースト付きが一般的だ。同じ料金なら、みんなモーニングを注文することになりそうだがどうなのだろうとその時思ったのだが、後で元名古屋人に聞いたら「当然、みんなモーニング食べて、豆と水でお昼までコメダにいて、お昼になったらキシメン食べにいくんだ!」とのこと。一部信じきれない気持ちは残る。

店内に目を配ると、席数は約100だ。内装は全面的に木組みに見える。豪勢だ。が、一部の梁にひび割れが見える。中越地震の後なので、梁のひび割れは気懸りだ。じっと木目を見ていると、薄板を貼っているだけであることがわかった。中身は鉄骨だろう。安心だ。

リピーターになるかどうかは、まだ未定である。エビフライを食べたくなったら優先順位の一番に登録しておく。実は、味噌カツソースだけでも売っていれば買いに行くのだが。

一人か二人ならカフェで、三人以上ならコメダでシロノアールなのかな?そういえばシロノアールは6つに切り分けられていたし・・・

インターネットで調べてみると、コメダはなんと名古屋周辺に200店以上ある。人口1万人に対して1店舗という比率である。ただし、その比率で横浜市内に300店も展開しようというのは時期尚早とだけ書いておく。今のところ、名古屋出身者の口コミからの来店効果であるのだから。人口10万人に対して1店舗位が妥当な戦略的目標ではないだろうか。  

公務員の給料は国債で払えって?

2004-10-28 15:05:11 | 市民A
8f88e468.jpg新宿のタイムズスクエアの一角にある紀伊国屋ホールで、木村剛氏の講演を聴く。
10月21日に創刊した月刊誌、フィナンシャルジャパンの創刊記念講演である。演題は、「新しいお札の登場とおカネの発想法 財産形成はこうする!」。

一つの目的は、プライベートの集まりで、この手の話しをすることがあるので、自分の説明方法とどう違うのかというテクニカルな興味。そしてもう一つの目的は、講演の場合、いろいろな余談とか挟み込むのだが、どんな話しが出てくるかという興味である。

一説に、新円登場と同時に旧札の使用禁止を断行して、タンス預金を流通させようという噂があるのだが、木村氏は「カネ自体は日本にあふれていて、通貨供給量的にいえばバブル期よりもずっと余っている」という指摘をし、また物理的にも旧札使用禁止は不可能とのこと。つまり演題の一つ「新札登場」は一言で終わりである。
本題の「おカネもうけの秘訣」の方は、「資本主義を信じる以上、株式投資が有効で、かつ短期ではなく長期がよく、分散投資に限る。65歳までに1億円貯めないと老後の生活は計算できない。住宅購入は慎重にとか、1,000万円持っていない人は投資の前に貯蓄である。」というような内容で、一般的にあっさりさらっと公式的という感じである。具体的には雑誌に書いてあるということか。

会場は前の方の招待席がほぼ満席で、後ろの方の自由席が7割の入りのようだ。
日本人の一人一人の富裕度を身なりやしぐさで想像することは難しいのだが、靴と手帳から判断すると招待席に座っている人たちより、自由席にいる人たちの方が富裕度が上のように見える。あとは、もっとずっと若い新入社員のようなタイプ。
もちろん、月刊誌の創刊記念なので、競合する他の月刊誌を軽く一蹴し、元有名大学教授で手鏡で経済の深層を覗いたエコノミストを揶揄することも忘れなかった。

最後は、よく聞く話であるが、個人金融資産1400兆円の話しをして、日米の財政赤字、貿易収支、為替レートと続いた後、個人向け国債についての「おばあさんの意見」として、「国が直接、国民に国債を売るようになったらおしまいだ」という話しで締めたのだが、藤原紀香のポスターにあるキャッチコピー「国債って、いいかも」の最後の「かも」って「かも」のこと?って思えてしまうそうである。
そして、公務員こそ国債を買うべきであり、公務員には給料のかわりに国債で支給せよという意見があることまで紹介されたのである。
(おおた意見:郵政民営化反対論の中には、国債を郵便局が買っている実態から、国債が売れ残るという意見があるようだが、とんでもない逆説である。第二次大戦の時は、戦時国債を乱発したわけだが、それは郵便貯金を財源として郵便局が買い込んだわけである。戦争費用は投資ではなく消費であるわけだから、たとえ戦争で勝っていたとしても、郵便貯金は破綻していたはずだ。郵便貯金が国債にスリ変わる比率が高くなると、国債と郵便貯金が同時に破綻する危険が増大する)

そして気になる余談部門であるが、霞ヶ関関係では「小泉-竹中-木村」というラインのはずなのだが、なぜか小泉批判が多いように聞こえた。年金の破綻、道路公団民営化の失敗を断言した上、最近の小泉首相は「政策に興味がない」と証言していた。
(おおた意見:「チーム小泉」という形で政策丸投げという方法はアメリカでも見られるので、あまり批判はできないが、キャプテンの気力が落ちてくると沈没する。あるいはクルーが逃げ出す。)

木村氏は、覚えておいてほしいこととして「霞ヶ関の人間が考えることは霞ヶ関のことだけ」ということをあげたのだが、まあそういうことなのだろう。「役人による役人のための役人の国家」なのか・・

ところで、講演とは無関係の話だが、原宿駅前のコクド本社を夜間撮影してから、新宿南口のホールまで明治通りを歩いてみたのだが、折りからの雨もあり、ひどい道だった。都営地下鉄13号線の工事で車道は仮設路面だし、舗道のアスファルトは波打ち、水溜りだらけで細く、傘を差したままではすれ違いや追い抜きも大変だ。自転車もやってくる。13号線は東横線の渋谷から乗り入れ山手線に並行に池袋の方までいって東武の方へ乗り入れる予定と記憶するが、山手線と並行して、もっと高く、もっと不便な地下鉄を作っても利用者は少ないのではないだろうか、と心配してしまう。  

日本シリーズの終了を待っていた人物たち

2004-10-27 15:09:17 | スポーツ
c9d8a234.jpg日本シリーズは、西武ライオンズがプレシーズンマッチをすべてフルセットまで戦い、優勝した。全15戦を9勝6敗。現在のアメリカの方式なら最長19試合だが、日本ではとうぶんこの15試合の記録は破られないのではないか。
しかし、なぜか、「今一感」が残るのは、パリーグ2位のチームであるということが一点なのだが、もう一点はライオンズの親会社が100%コクドであるということからくるのだろう。あまりクリアな気持ちになれない。最近の西武鉄道株式の騒動を知る前は、西武鉄道が出資している球団と思っていたのだが(近鉄、阪急、阪神等と同様に)、西武鉄道とは兄弟会社ということになる。

それで、事件は約1億株の西武鉄道株を架空口座の個人株主が所有していたことになっていて、実質的にはコクドが所有していたため、西武鉄道の浮動株比率が20%を割り込んでいることが判明。急遽、1億株分(実際には7000から8000株)を取引先企業に売却していたということ。結果、報道がなされて以降、株価は下落を続け、ほぼ半額になっている。そのため60社ともいわれる肩代わり企業のうち既に数社は、買取り請求(もちろん、元の値段でだろうが)を始めている。

今後の問題は、西武鉄道の上場が維持されるかどうかだが、もはや難しそうである。堤氏自身、その気がなさそうである。そうなると60社以外の個人株主などはどうなるのかというと、よくわからない。実際に自由に売買できなくなる株に評価をつけることは難しい。上場廃止後、株主全部からコクドが株を買い取る方式は考えられる(下落前の1100円程度で)。しかし、そうなると西武鉄道は完全な個人出資会社のようになってしまう。

次の問題は、実質的にコクドと一体とみて、親会社コクドの連結決算はどういうことになるかであるが、早い話、さっぱりわからない。非公開だからだ。一応、新聞などの資料を読むと、コクド自体の資本金は1億円、自己資本43億円。グループ全体の借入金1兆円。営業収支は5年連続赤字、西武鉄道の時価総額は2,200億円なので、その8割ホールドとすると1,800億円。記事の数字がすべてならダイエーと同類ではないか。環八井荻の立体交差工事が遅れていたことを思い出してしまう。結局、国土交通省が求めている経営内容の開示という点についていえば、開示すべきはコクドであり、西武ではないのであろう。

話しがそれで終わるのかどうかはコクドの現在の体力による、既にコクド側に経営危機が発生していて、ホテル、ゴルフ場などの資産を売却しなければならないのか、球団のような付加価値の高いものまで売却が必要なのか、あるいは、もっと壊滅的な状態で鉄道事業全体を売却しなければならないかはよくわからない。報道上も多様である。鉄道事業の売買の場合、東武や東急といった同業者が考えられるが、エリアが異なるために相乗効果は限定的であると考えられる。コクド本社は原宿駅近くにあるが、小さなビルである。1階にライオンズの写真やグッズが展示されていなければ気付かないような建物である。バブル期には、堤氏は世界最高の長者と報道されたのだが、この古いビルを離れることはなかったようだ。何か思い入れがあるのだろうか。

さて以前、球団の有名投手の交通違反の際、冬季オリンピックのメダリストを身代わりにしようとしたことがあったが、今回も西武鉄道の白柳元常務がすでに責任をとって辞職している。前回の身代わり人物は「黒」という字がついていたが、今回は「白」かなどと思ってしまう。しかし、前回の身代わり作戦は、発覚してしまい失敗だった。

日本シリーズ第7戦は、前半に大差がつき、優勝の確率は残りイニングが少なくなるにつれ高まっていったのだが、西武の勝利を待って行動しなければいけない人たちがいるわけだ。たとえば、パーティー会場の関係者やデパートの優勝セールの関係者などだ。ところで、その他にも、まず一人、書き上げた原稿を何度も頭の中に入れている男がいる。日本シリーズ終了後に記者会見をすると予告していた東京六大学リーグのピッチャーで三又交際が発覚した男である。彼のおかげで3人の高齢オーナーがリタイアすることになったわけだが、「野球を続けたい」といきなり表明されると、ちょっと違和感がある。この違和感の原因は「大学4年にもなって、謝りかたもうまくないし、軽い気持ちで受取ったので許してほしいといわれても、1年くらいボランティアでもしたらどうだ」って言いたくなる。少なくても社会人として、「運動部だから」とか「野球バカだから」というようなことばでは通じない。大して反省無くプロになっても、そのうち事件を起こしそうである。

そして、実はライオンズの優勝の瞬間をじっと営業車の中のラジオで聞いている小集団がいたはずである。しかも、場所はナゴヤドームとは、大きく離れた所沢市の西武鉄道本社の近くである。小集団といっても、おたがいに面識はなく、ただの取引業者たちである。9回裏が終わると、直ちに、お祝いの小品を届けに走ったはずだ。さいわいなことに、台風で1試合が流れたために、日曜日をつぶすことは免れたのだが。  

週末に読んだ手紙(1)

2004-10-26 15:11:42 | MBAの意見
adf9d466.jpg週末には、溜まった雑誌や本を読んだり、アウトレットショップに買い物に行ったりすることと同時に次々に届くDMの山に目を通さなければならない。が、たいていは、まず斜めに読んで、「不要なもの」、「重要らしいが緊急でないもの」、「緊急なもの」といった分類で再配分される。不要といっても結局は、住所という個人データがあるので、宛名シールをはがしてシュレッダーにかけている。また横浜は来春からゴミの分別収集なので、DMもそのまま捨てることはできなくなる。(ゴミ収集問題はいずれ)

で、そういうようにDMを再配分していくと、「重要らしいけれど緊急でないもの」という分類がどんどん溜まっていく。特に、金融機関からのDMは、書いてある内容が複雑でよくわからないため、滞りがちだ。結局、貴重な週末の時間にゆっくり解読することになる。それで、DMの中にシティバンクからの手紙があった。

個人金融本部のお客様へ、という書き出しのレターは、先日、証券取引等監視委員会の報告を受けた金融庁が、きびしい行政処分を決めたことの報告とお詫びの内容だが、残念ながらあまりお詫びの気持ちは伝わらないように思える。レターは事実関係を述べた上、「金融庁から指摘を受けたことを契機として、経営管理、内部管理態勢を含む業務全般を徹底して見直し、必要な処置を講じて参ります。」となっているのだが、よく考えてみれば、今回指摘を受けたさまざまな事件が起きたのは、相当以前であるのだが、いまだに何もしていなかったわけだし、スケジュールとしての改善目標時期も不明である。またもっとも知りたいのは、われわれ「普通の個人」と違法行為の対象となった「金融資産1億円、総資産5億円の富裕層」の間にどんなサービスの差があったのかについてはまったくふれていない。

私のシティの口座の資産は、ほとんどがささやかなファンドであるのだが、いざネット上でファンドを買おうとすると大変な苦労が必要だ。といっても悲しくなるくらいに少額の話しなのだが。まず、ネット上で投資適性チェックが待ち構える。投資する金額は重要なおカネなのか、はした金なのかについて答える。次に変動リスクに対しての質問だが、何割下がったら足切りするかということなのだが。それらの質問に普通に答えているとまずファンドは買えない。途方も無い金持ちで変動リスクもまったく気にしないで、いくら損をしても構わないというようにでも答えると、やっとネットでファンドを買うことができる。数日後、目論見書が届いてから購入することができる。結局、たいていの人はネット上で買うことをあきらめて、結局コールセンターの社員を通してファンドの申し込みをするので、結果どういうことになるのかよくわからない。裏を返せば、高給社員を雇う以上、アドバイス販売という人間系のシステムに引き込まなければならないのだろうと憶測する。

こういう人間系のシステムで付加価値を上げる手法は流通業では多くみられる。たとえば、三越、大塚家具などがそうだ。最近急速に普及しているセルフ型のガソリンスタンドでも、店内清算方式が圧倒的に多いのは、店外清算では洗車や車検を勧めるセールストークの機会が失われてしまうからなのだが、逆に「入れ逃げ」という犯罪行為が多発してジレンマに陥っているらしい。

ところで、私はファンド以外にドル預金をいくら持っているかというと、僅か2セント(2円)だけである。入出金の際の端数だ。1億円の富裕層の方には申し訳ない。ファンドと合わせて30万円以上残高がないと毎月の口座管理料がかかってしまう。

また、気付いたのはシティバンクの手紙は、国内からではなく豪州からの航空メールである。そこで郵送費を調べたところ、豪州と日本の間の運賃は、90円である。結局10円の差。諸般の事情により、豪州でアジア地区の業務をまとめたほうがいいということだろう。ただし、データの輸送には細心の注意が必要で輸送途中にシンガポールで無くしてしまったりするのはごめんであるが。

先週、米国のシティバンクの本家より「(日本での不始末について)責任を取って3人の幹部が退職した」という発表があったのだが、ペイオフ解禁直前直後の日本市場での1400兆円の個人資産の争奪戦に早くも一歩出遅れたということで、さぞかしガックリしているのだろう。  

柏崎市との通話

2004-10-26 15:10:44 | 市民A
25日の午後、柏崎の知人と電話で話す。マスコミにはあまり登場しないが、相当の被害とのこと、夜間は自宅では危険なので、集団生活とのこと。道路には陥没が多数。ほくほく線はレールが浮いている状態とのこと。

(おおた:地図でみると小千谷市から右上が長岡で左上が柏崎で距離は同じくらいなので長岡市と同程度の被害ではないか?)  

二つの災害(二人の首相)

2004-10-25 15:14:43 | 市民A
93c11000.jpg二つの災害があった。一つは中越地震である。小千谷市を中心として最大M6.8、震度6強という地震が数回発生し、いまだに大きな余震が続いている。そしてもう一つは東京ディズニーシーの停電である。この二つの事故は、もちろん因果関係はない。(もしかすると、原因と結果の関係ではなく、結果と結果という関係の可能性は若干あるかもしれない)まず、東京ディズニーシーの停電を考えてみる。

東京地方は10月20日夜から21日未明にかけて戦後最大という台風23号の被害を受けている。今年は台風の当たり年で日本全国にわたり、複数回の上陸や通過の洗礼を受けている。
実は、人的被害が出ていないため、報道の表側に現れていないのだが、度重なる台風で、各地の工場で水害被害が発生している。工場内に、大雨が流れ込んだり、高潮で海水が浸入したり、あるいは工場用水としてとりいれている河川からの溢水で、各設備や装置の電圧を調整したりする工場内の変電所が水没したりしている。その結果、ショートし、工場内が停電し生産活動に影響が出ている。損害保険会社の支店や営業所でも、現場へ向ける社員が不足してしまい、各社とも本社の管理部門で査定経験のある社員を事故現場へ臨時動員しているようだ。また、その結果、今年は高額な保険金支払いが予想され利益の大幅な圧縮がささやかれている。

東京ディズニーシーの事故原因はまだ公表されていない(あるいは、地震のため、もう報道されなかったのかもしれないが)のだが、台風による何らかの浸水が変電室にあったのか、あるいはネズミ被害ではないかと憶測している。アトラクションでも停電したり、正常だったりということは、複数系統で電力を供給していたのだろう。

さて、原因はともあれ、停電した直後、ゆっくりとアトラクションが停止したと報道されているのをみると、設備を止めるためのプログラムが作動し、機械停止させるまでの少量の電気を自家発電ではなく、バッテリーのような形で持っているのではないかと思うが、企業秘密だろう。そして、ただちに社員が誘導して場外に避難させたところを見ると、日頃、相当訓練しているのだろうということがわかる。また、入場券の扱いにしても、払い戻し、再来園券、隣のディズニーランドへの入場振替券の発行というような三択が即座に発表されることなど、リスクマネジメントに力を入れていることがわかる。よくディズニーのサービスを研究し、一席ぶつ学者がいるが、こういう普段見えないところの力を見抜かなければならない。

本家のアメリカでは経営陣のゴタゴタ続きであるが、こういうしっかりしたサービスが維持されているなら、ブランドに問題はない。逆に、本家から遠く離れた日本でブランドを汚したのはシティバンクだ。

一方、中越地震は、ヘリからの映像で惨状が映されているが、被害の大部分は地面の液状化と地滑りによっておきているように見える。まさに台風による大雨の影響である。直接の倒壊家屋は、従来工法の木造家屋で老朽化したものに発生しているように見える。新幹線の脱線は、よく転覆しなかったものと思うが、秒単位のブレーキの速さが幸いしたのと、後は幸運があったというほかない。ブレーキは車輪を止めるだけであり、車輪の脱輪が初期に始まっていれば危なかった。もちろん対向車両やトンネルといった問題もなかった。しかし今回の地震はM6.8であるが、来るべき東海地震はM8.0からM8.5と想定されている。しかも東海道は運行間隔が短い。

夜になると、気温も下がるし、実際安全なところがどこにあるかも難しい。神戸の時は、自動車の中でエンジンをかけ続け、暖をとったりしたのだが、あと2、3日はなんとかサバイバルすることを現場レベルで考えるしかない。災害の時の優先順序があり、3日間から4日間は、行方不明者の捜索に全力をあげることが何よりも優先だ。あとは、最低線のライフラインの確保であり、復旧はその後だ。そして、液状化現象で崩れた土地は、修復までには相当長期間が必要だ。

首相が、東京映画祭にいて、1時間のロスタイムがあったことは、まったくけしからない話だ。自分が総理大臣になったのも、森首相がハワイ沖の高校生研修船遭難の際、ゴルフを数ホール続けたことが発端であったことを忘れてしまっている。今度は、「途中で退席するのが失礼だから」と言っているようだし、森首相も似たような言い訳をしていたが、日本の総理大臣が、緊急事態の際「失礼なこと」をしたからって咎める人など誰もいないことがわからないなんて、何と自信のない公務員なのだろうか。

本人が事故現場に行って陣頭指揮を振るうべきという意見の方も大勢いらっしゃるようだが、「その任に当たる才はない」と思うので、やめたほうがいいだろう。

不謹慎な話で大変心苦しいのだが、被害が些少だった9月初の紀伊半島沖地震の際も、地震後数日は、不動産投資証券(J-REIT)が連想売りで下落してしまったのだが、なぜか今回の地震の前日の22日に、手持ちのREITを全部売却していたのだ。もちろん西武鉄道株と違い、インサイダー取引の疑いはまったくない。  

古色蒼然とした大観記念館

2004-10-24 15:16:50 | 美術館・博物館・工芸品
fb93f895.jpg先日(8月22日)、24歳で夭折した詩人立原道造が生存していれば90と書いたのだが、実は90歳まで長寿を誇った芸術家が横山大観である。

実は、この大観の木造二階建ての自宅はそのまま上野池之端に美術館として残っている。一方、夭折の詩人立原道造の鉄筋コンクリート4階建ての記念館は300メートルも離れていない。新潟では大きな地震が続いているが、そういう地震が東京であれば、大観の美術館はまず倒壊してしまうだろう。それほど古色蒼然としたところが、上野である。

横山大観はもっぱら俵屋宗達、尾形光琳らと同様に紹介されることが多く、江戸後期の琳派の一人と勘違いしそうであるが明治元年の生まれである。

江戸時代の琳派と浮世絵の美術史的違いを論じるほどの知識はないが、かたや版画である浮世絵の大衆性にくらべ、金、銀、赤、緑といった原色を基調とする琳派の高級感。どちらも、海外へ紹介され、同時代の欧州の画家たちに与えた影響は多大である。

江戸の大衆性が、量産できる浮世絵という形式をめざしたのに対し、京風は肉筆だったのだろうか。大観の時代は、日本の洋画のはしりの時代なのだろうが、彼は、日本画の中に洋画の形式を取り込むという新しさがあった。

年齢を重ねるにつけ、琳派の枠の中に、内外の多くの絵画的技巧を詰め込んでいったように思える。50歳以降の作品はきわめて派手で美しい。

長距離ランナー的芸術家として有名なのは同じく長寿のピカソであるが、横山大観も画風を進化させながら発展している。数年間のうちに燃え盛り、挑戦的な作品を人類の前に投げ出したまま、不遇のまま夭折していくタイプの芸術家も多いが、技を重ねながら進歩や変貌を続ける芸術家の魅力も大きいといえる。  

王監督がお好き?

2004-10-23 15:18:20 | スポーツ
891a8c18.jpg最近、あちこちで企業抗争が起きている。
1.UFJの所属権を巡る東京三菱対三井住友
2.西武鉄道株の下落を巡る、コクド対17社
3.ゆうパック料金を巡る、郵政公社対ヤマト運輸
4.明治大学投手を巡る、巨、神、横の栄養費攻勢
5.仙台新球団を巡る、ライブドア対楽天

そして、野球関連で、またも対立構造があらわれてきた。
6.ダイエーホークスを巡るソフトバンク対有線BN。
1から5については、それぞれの問題にそれぞれの奇妙な事情があり、問題の深層構造がまだ見えにくい状況で、いくつかの仮説をもう少し調べてから稿を改めようと思っているのだが、現在、私の感じている方向性を開示すると、
1.住友-三菱抗争は、この先、ペイオフに近づくと地銀の引抜き、TOBへと発展しそうな感じだ。
2.西武鉄道株を押売りされた会社が、元の値段で引き取れと言い始めたが、個人投資家はどうなるのだろう。その他にも低次元の疑惑が多数噴出しそうだ。「疑惑のデパート」と言いたいのだが別の経営の西武百貨店に悪いので、「疑惑の満塁ホームラン」と言っておこう。松坂の交通違反の時に黒岩が身代り出頭したような会社なので、今回も「私がおツトメ行ってきます!」という社員がいるのだろうか?
3.ゆうパック裁判は、官営サービスの評価が論点であるとともに、裁判所と公取委の縄張りが絡む。
4.明治大学の投手は「投げる集金マシン」だ。一人で3オーナー2社長の首を飛ばしたわけだ。球界若返りの救援ピッチャーというか、将来は政治家か?
5.ライブドア対楽天は、ライブドア社長が9回裏まで頑張るのか、コールド負け宣言するのか?最後まで頑張って、楽天=第二巨人であることを証明してもらいたい。

で、本題は人気殺到のダイエーホークスの件。この問題の特徴はまだホークスそのものが売却されることが決まっていないことである。さらに産業再生機構の買取価格査定がされていない点だ。切り売りされる各事業の評価額が低いと、結局UFJ等の債権放棄額が増大してしまい、またしても、どうどうめぐりになる可能性もある。

また100億円で購入しようとしたロッテに対しホークスは200億円を要求したという報道もあるので、ホークスを買おうとするメンバーにロッテも入るのかどうか問題だ。もちろんそうなると、またしても1チーム減ってしまう。

孫社長のインタビューの中で、ホークスの赤字は年間20億くらいということが出ていた。近鉄、オリックスの赤字が36億位と聞いていたので、その差は入場人員の差かもしれない。そして、巨人戦が14試合あるセリーグはテレビ放映料が20億くらい入ってくるので、チャラになるということ。もちろん巨人は全試合(70試合)が巨人戦なので選手に高給払っても、もうかることになる。

近鉄の赤字は36億でも、選手の給料は20億くらいのはずだ。だから給料を半額にしてもまだまだ黒字にはならない。大阪ドームを使わなくてもまだまだ足りない。

だから、やはり、一回1億数千万円のテレビ放映権がないとどうしても黒字にならない。楽天みたいに、高額給料方式ではかなり大損害になると思える。

一方、ロッテの論理は、千葉ロッテでは大赤字と思われるので、ホークスに乗り換えれば、赤字幅は大幅に改善されるはずだ。だから唯一経済的動機があるわけだ。

次に、ソフトバンクや有線、ロッテなどが、なぜ福岡にこだわるのかということなのだが、「福岡が日本一国際都市だから」と思う。福岡空港から地下鉄で数駅で中心街なのだが、地下鉄の表示が4ヶ国語だ。日英中韓。日本では他では見ない。確かシンガポールの地下鉄は4ヶ国語で、駅と駅の間の車内放送を各国語で流し続けていたように記憶する。なにしろ、日本で一番、元気な街のように、街並みにアジアの活気を感じる(実は福岡ほどでなくても仙台もちょっぴり元気を感じる)。

次に、いくら球団が高額であっても、チーム数が12に限定的な場合、再度売却して回収することができる。しかし、サッカーのようにクラス別リーグ(例:1部リーグ8チーム、以下2部リーグ)にしてしまうと、降級したときのチーム価値の下落を考えれば、安心して投資できない。


球場とホテルは福岡市からちょっと西の西新にあるのだが、ホテルを建てたのはまったく無用だったように思える。九州やアジア各地から野球ファンを集めるつもりだったようだが、あのホテルに泊まると、簡単には繁華街に行けない。

同一地区内には福岡タワーと福岡市博物館があるのだが、建物の配置が今一だ。海岸のドームの場所に博物館があって、地下鉄に近い博物館の場所にドームがあった方がずっといいはずだ。また福岡タワーに登っても、ドームとホテルがじゃまで、景観はよろしくない。

この博物館、超がつくほど素晴らしい展示だ。なにしろ古代日本史史上もっとも重要と言える「金印」の本物が、厳重警備といえども、すぐ目の前に展示されている。想像していたイメージよりもずっと金色だ。以前にも触れた、国立歴史民俗博物館よりもずっと満足感が得られる。福岡ドームの写真はなかったのだが、夕暮れの市博物館の写真を見つけた。

しかしセリーグの6球団にくらべパリーグの6(たぶん)球団の配置は列島縦断型になり、移動コストも高くなりそうだ。なぜかパリーグとセリーグでアンバランスだ

押売り現る!

2004-10-22 15:22:16 | 市民A
370436ff.jpg10月18日の拙ブログで触れたのだが、愚息の引越した多摩ニュータウン隣接地のアパートでの話しである。最初の来訪者があらわれた。何と「NHK」。早過ぎるぞ・・・。まだお茶も飲んでいない。テレビ付きインターフォーンで見ると60才前後の男性のように見える。
「テレビはありませんから!」一撃で終わった。テレビチューナーはあるのだが・・・
以前、勤めていた会社の支店が、NHKの集金支店と同じフロアだったこともあり、かなり習性は知っている。完全に集金する必要はなく、支店で設定した目標額を達成すると、入口のドアを締め切ってパーティーを始める。今月は終わりだって。それと、集金額も彼らの目標だが、回収率も重要だ。テレビが無い世帯は目標外なので、ノルマに加算されない。
とはいえ、油断禁物である。

たまたま、NHKの時は引越し当日で私がいたのだが、翌日になって新聞拡張団の団員がきたそうだ。こちらはシツコイ。ノルマがきつい。というか、団員は個人営業者だ。年金や健保とかの問題が発生しないようになっている。従って、住所の確認などあいまいなのだろう。インターフォンの音量調整が終わる前にきたので、音が鳴り響く、何度も何度もシツコク。1時間にわたる攻防戦の末、とりあえず3ヶ月契約と引き換えに皺だらけのビール券3枚がポストから押し込まれたそうだ。しかしこちらもさるもの、契約は3年後からの3ヶ月間である。新聞の種類はどこでもいいと言ったところ「チョーニチ」新聞となったそうである。

で一件落着にはならないのである。こんどは新聞販売店が確認に来た。「本当に3年後にここにいるのか」と。「先のことは、よくわからない」ととぼけてしまったそうだ。どういうことかと言うと拡張団が持ってきた3年後の3ヶ月契約を買い取るかどうか、検討しているわけである。いくらで買うかというと数ヵ月分の新聞代のはずだ。部数を増やして広告代で稼ぐと言う構造だからだ。

その販売店が買い取らなければ、拡張団は違う販売店に持っていくわけだ。「ドク売り」新聞とか。しかし、新たな販売店からの確認はこないようだし、ビール券の返却要求もないし、後は2年後の引越しという不可抗力を待つだけなのかもしれない。

どうも、新規契約には販売店自体が足で回るケースと、この拡張団という組織が獲得するケースと、稀に顧客から直接、申し込むケースがあるそうだが、拡張団が新規契約の50%を越えると販売店の経営が苦しくなるらしい。要するに、獲得経費はかかるし、さらに次の3ヶ月の契約はまたもやり直しだからである。

新聞の販売をめぐる問題では、さらに秘密があるようだ。噂ではあるが、新聞社の発行部数と読者数がかなり食い違っている販売店があるらしい。販売店の公称部数は、折込広告の収入に直結するから、なかなか減った数字を明かさない。その結果、新聞社の印刷工場から販売店に送られる新聞が、束のまま古紙会社に送られているということがあるらしい。一方で資源の無駄使いだが、さらに折込広告依頼企業からすれば、とんでもない話しになる。また、その事実に気付いた「ある特定の傾向の強い」方々からいじめられている販売店もあるという噂もある。もちろん広告収入と部数の問題は、販売店レベルだけではないのだが。しかし、この手の噂を明かそうとしても、広告依頼側には証明する方法がない。その他の関係者にとっては見つからない方がいい話だし・・・結局、記事に対する、顧客の評価は部数によって判断されるべきだが、流通の途中段階でうやむやになってしまう。
ところで、今、新聞とネットの関係が微妙だ。本当はいい勝負ではないかとも思っている。かたや、届けられる情報。かたや取りに行く情報という差がある。新聞社の中でも日経はNETに熱心だ。新聞紙面とはだいぶ違うつくりだし、記事も多彩で豊富だ。一方、他の新聞社は新聞記事をリライトしているだけのようである。新聞の目次みたいなものだ。その差は、新聞の流通構造にあるとみている。

新聞発行にかかる実費と流通段階の経費の合計と新聞料金はほぼ等しく、新聞の広告収入から、新聞の記事を作成するための経費(人件費や事務所費も含め)を引くと、若干の利益が残るという構造らしい。つまり、紙による新聞を作らずに、全部ネット上で配布すれば、新聞代は無料でいいことになる。

しかし、何人かの出版人に聞いたところ、新聞を拡げ、あちこちながめるのは、「趣味の世界」だそうである。「あっちの記事を見たり、こっちの記事を見たりは新聞形式だからきままにできる」ということらしい。
また全部ネットになると広告が集まるかどうかの問題がありそうである。もちろん販売店も拡張団も不要となるのだが、販売店の建物を、新聞社が建てて、貸していたり、経営者に融資したりしているので、今さら足抜けできず、どうにもならないというのが実態かもしれない。そういう部分に投資をしていない日経が自由にNET化を考えているのと方向が対照的だ。あとは、記事の質が劣化でもすれば、新聞の価値はなくなってしまう。ペンは剣より強いかもしれないが、ペンは読者の財布よりは弱いのである。

新聞には半分以下しか真実は書かれていない。というとセンセーショナルに聞こえてしまうかもしれないが本当なのだ。広告の紙面に占める面積は5割を超えているのが現実だ。

携帯電話って電話?

2004-10-21 15:24:26 | 市民A
先日、東京東部のコンサートホールに行ったのだが、演奏前の携帯電話に対する注意が、結構おそろしい。
「携帯電話のすべての機能を停止してください」って。なにか生命維持装置をはずせというような語感である。
このような携帯の規制には色々のパターンがある。
「携帯電話は、マナーモードにした上、電源をお切りください」
「持っている携帯電話を取り出して、電源を切った上、隣の方に確認してください」
というところもあった。

電波遮断装置のついているホールや映画館で、なぜここまでこだわるかというと、もはや「携帯電話は電話ではない」からである。素朴な機能では「時計」機能。夏の暑い時に腕時計は嫌だ。秒単位まで求めないなら携帯でも十分。コンサートホールで最も警戒しているのが「アラーム機能」だろう。単に朝の目覚ましにとどまらず、電車や長距離バスで乗りすごさないようにとか、時間をはかる必要は人様々だ。私は、スパゲティのゆで時間につかったことがある。

冴えなかったのがMP3機能かもしれない。ゲームをやっている人は多いが、テトリスのような簡単なのが多そうである。パソコン端末そのもののようだが、そういう使われ方も人気がない。逆にデジカメ機能や電子決済、GPSといった方向に進んでいる。MP3(あるいはウォークマン)やゲーム機、パソコン端末などは、既に十分に小型化されていて、さらにいまさら携帯でもない、ということなのだろう。しかし、既にテレビ電話にまで辿り着いてしまうと、電話としては、もうこれでいいやと言う感じではないだろうか。これ以上はプライバシーの問題に行き着くだろう。例えば、指先を写せば指紋照合できるとか。嘘発見器付きの電話とか・・・

ちょっと変わった話としては、2002年に片岡洋子さんという方が親指小説なるものを出版している。「ホテ暮」という単行本になっている。何で書こうが読者には関係ないのだがスゴイ。デンマークからはテレビで取材がきたそうだ。さすがにIT大国日本である。日本語を携帯で扱うと、猛烈に親指を使うことになるが、腱鞘炎にならないかと心配である。

いまや、薄型大型テレビと同様、日本産業の牽引産業であるが、これもNTTの分割民営化の結果NTTドコモが発足されたことによるのだろう。なにしろ就職人気企業で人材の宝庫だったはずだ。国有産業のままならi-Modeは生まれなかっただろう。ただし民営化したのは1985年なので、国営企業の時に採用した社員の力によるのか、民営化後の社員の力によるものかは不明だ。(依然として、数十年前、電話工事と電話交換機のために大量に採用した人員はNTTグループの中に潜んだままだ。電話債権を没収したり、過去に大量にばらまいたテレフォンカードを時効扱いにして利益に計上しなければ本体事業がもうかる訳はない。)
民営化してJRのサービスや、携帯電話が進化したからといって、高速道路や郵便局を民営化して効果がすぐあらわれるわけでなく、ずっと先の話だろう。
次はテレビ付き携帯のようだが、案外当らないのではないだろうか。テレビ側に見たい番組がないのだから。着メロと異なり、自分で選べる選択肢が少ない。

視点を変えると、個人的に気懸りなのは、パケット料金とチャットのスピード感がもたらす携帯用の新文法である。なるべく文字数を減らすため、省略を多様。あて先なし、あいさつなし、改行なし、敬語なし。ローティーンが覚える「パケット文法」だ。そのうちブログ界にも出没するだろう。こればかりは読みたくないのだが、「オヤジブログ」と言われないように少しは真似しなければいけないだろうか。あるいはパケ・ホーダイ料金が下がってきて、中間的な文体に落ち着くのかもしれない。 

10月18日夜、日本でもっともフランスな場所

2004-10-20 15:25:46 | 音楽(クラシック音楽他)
605ade17.jpg45才のピアニスト、ロジェ・ムラロがフランスから来日。錦糸町の”すみだトリフォニーホール”で独奏会を開く。それもラヴェルである。さらにラヴェルのピアノ独奏曲を一曲残らず、すべてである。CDの全集のようなものだ。

ラヴェルはまったく前衛的な”水の戯れ”や”夜のガスパール”のような作品もあるし、古典形式を踏まえた”クープランの墓”のような作品もあり、その中間のせめぎあいの中で美しい心象的な情景を描いている。光と海と夜のさざなみが基調となる。しかし、ラヴェルの音楽を古典からの系統としてみることは難しい。ドビュシーより、まさにフランスの自由と風を感じるだけだ。そしてラヴェルを解釈できるピアニストもフランスの情景の中からあらわれるしかないのかもしれない。

今が盛りののムラロであるが、ジダンが登場したかのような長身である。そして何かところどころにラヴェルらしからぬ”つっかかり感”を挑戦的にならないように自然に入れていく。私には、ステージのかたわらの影の中によみがえるラヴェルの魂に対して、ムラロが解釈と問合わせをしながら演奏しているように感じていた。彼自身、中空に視線を何度も走らせるのである。

感じたことだが、若い頃は、パワフルなムラロのこと、もっとおさえこむように強引に弾いたのだろうが、今はラヴェルで楽しんでいるのだろう。しかし、聴く方からすれば、これが老境に近づいていくと、もっとラヴェルと調和していまい、「安心できる反面、面白くない」方向になるような気がする。生演奏を聴くなら、今のムラロの不安定さが醍醐味だ。音楽に結論はないと言い添えておこう。
ホールには若干の空席も残り残念だが、ラヴェルを聴き、休憩時間にシャンパンを味わうようなタイプはむしろ美術館の方に行くのかもしれない。最近の美術展と同様に、ものすごく聴衆は若い。そして女性が多く、華やかだ。

今年は、オペラシティでもラヴェルを聴いたし、ラヴェル全集も聴いてみたし、こだわったつもりである。ホールとしてはトリフォニーよりオペラシティの明るさの方がラヴェルっぽいと思うが、大した差ではないだろう。バルトーク、シベリウス、ラヴェルというように結構エッジ的なところにきているのだが、来年に向け、また新たに考えてみようかと・・・

ところで、ホールの中はすっかりフランス気分だが、外に出れば、そこは「錦糸町」である。なるべく街の景色を見ないように、足早に地下鉄のホームへ向かったのである。

レッドアロー号の暴走

2004-10-19 15:27:18 | MBAの意見
先週14日に、西武鉄道の株主偽装事件が発覚した際に、とり急ぎ、断片的な報道から推測し、「西武鉄道が監理ポストへ」という短いブログをまとめていた。

要点は、
1.非上場会社であるコクド社の子会社であったことで、上場資格を失格した。
2.個人所有株がコクド社と一体であることが判明したが、その個人とは「特定の人」ではないか?
3.発覚直前から株価が下がっていたが、インサイダー取引のおそれがないか?
という3点であった。

結果としては、
1についてはまだ報道されていないが事実である。さらに浮動株が20%以下であったことが判明。

2については、1億株分1,200人の個人株主は社員や元社員の名義であるが、実際は単にコクドそのものが株主であったことになる。配当金はまとめてコクドへ送金しており、西武鉄道側は十分に名義借り株主であることを認識していたことになる。だいたい1億株に年初の株価1,500円を掛けて、1,200人で割ると一人1億2500万円の資産になる。そんな資産を持った社員株主が1200人もいると思うのだろうか。

3については、まさかと思っていたが、コクドそのものが市場で放出していたことが明らかになった。浮動株比率を引下げるために名義借り分を売切ろうとしたのだろうが、当然、需給悪化になるので株価は下がる。さらに発覚後は一気に下がり始めている。1500円以上の株価が発覚寸前には1000円に下がり、現在は700円程度である。

さらに、おまけがついたのは、辞任した堤義明氏が、記者会見の中で、「詳しい経理知識がなかった」、とか「西武鉄道が上場している意味がわからない」と会見の席で驚愕の発表をしたことである。

以上に従い、種々考察してみたい。


まず、、西武鉄道が上場を続けるためには、コクドが上場申請しなければならないが、実質オーナーの堤氏にその気がまったくないことから、無理であろう。要するに、西武鉄道と言う会社には株主によるガバナビリティは効かないことになる。つまり上場廃止となる。

名義貸しの問題は悩ましい。実は、多くの不人気上場会社でこの手の問題がある。株主数の不足とかで実質株主がいないので、関連会社の社員まで動員して、名義を借りて株主にあてていることは多いだろう。また社内に持株会とか作り、天引きしているような例も多い。そしてなかなか途中リタイヤできない(私の知人で山一證券の社員がいたのだが、持株会から引き出すことができる数少ない理由である「住宅の購入」に合わせて全額解約した直後に紙屑となったため、株価減損の被害だけは免れた男性がいる)。しかしあまり名義貸しを禁止すると、今度は強制的に実株主にしようとする動きが起こるかもしれないが、結局、そういう株は流動性がなく、株主のガバナビリティの効かない株であることは間違いない。固定株という範疇に含めるべきだろう。

一方、個人の側としては、そういうものに付きあわないようにするためには、「あらかじめ、押し付けられそうな株を、会社と無縁な証券会社でほんの少しだけ持っておく」というのが賢明だ。すでに個人株主リストに書き込まれていれば、株主数の増加効果はないから、会社から狙われにくい。

発表前の売り抜けの行為は、意図はどうあれ、結果として一般株主に大損害を与えたことになる。発覚をおそれて、売却しようとした段階で、もはやどうしようもなかったのだが、株式売却行為が新たな経済的被害者を出したことになり罪は重い。米国で話題の、マーサ・スチュアートの20倍位、罪は重い可能性がある。しかし、誰が罪を負うのかよくわからないが。

1500円程度で、現在の株主から公開買付をして、損害を補填した上、上場廃止をするのが筋だが、もはやどんどん日数は経過し、株価は下がり続けている。

次はオーナーの問題。
会計ルールを知らないとか、上場の意味がわからないというようなことを、会見の席でしゃべることから解釈すると、
・見識がない。
・社内で反対者を粛清し続けた結果、相談者がいなくなった。
・コクドを筆頭にした「みなし連結決算」が重要だが、存在しない可能性がある(実態を認識していない)。

コクドの手持ちの土地資産の評価がどうなっているかは知らないが、長野オリンピックに躍起になった最大の目的は長野まで西武の特急「レッドアロー」を走らせることであり、既に土地は取得済だったという噂もあった。結局JRが既存用地の上に高速電車を走らせてしまった。コクドの資産の目減りは免れないだろう。ただし、鉄道会社は日銭で回る。定期券は前払いだ。元々、キャッシュフロー経営なので、資産の目減りにあまり気をつかわないところがある。しかし、バランスシートが悪化することは一株の価値が下がることを意味している。

このブログ作るにあたって、私鉄各社の運賃を比較してみた。
西武のメイン区間である池袋-所沢は25?で330円だ。同じ池袋から東武線で25?はふじみ野で350円、JRは大宮で380円。
新宿発は京王若葉台が330円、小田急鶴川330円。
渋谷発は、東急長津田が300円、東急東横線横浜が260円と格安。
一方、大阪に行くと、梅田発25?は阪急御影270円、JRは380円、阪神住吉が290円となっている。
一方、なぜか近鉄はぐっと高い。やはり、同一ターミナルでは競合関係が存在するようだ。
しかし、実際の経営内容は運賃の差どころではないのは、ダイエーとイトーヨーカ堂の関係と同じである。

西武ライオンズの問題は、もう少し先になるだろうが、ライオンズの存続よりも西武電車の存続の方が優先度が上なのは間違いない。また、ライオンズはダイエーほど高く売れないと思うし・・・
ちょうど来シーズンが始まる頃にゴタゴタが始まるような気がする。

川崎でモナコグランプリ

2004-10-18 15:28:19 | 市民A
e06a871d.jpg横浜市北部の港北ニュータウンに住んでいるが、八王子の学校にこどもが通学していて、都合によりアパートを借りることとなった。ステーションワゴン2往復で引越しをした。久しぶりの秋晴れ。雲がきれいだ。

距離は地図上の直線距離では15キロくらいだが、もちろんまっすぐな道はない。まがりくねった細い道だ。これがきょうのテーマ。

実は、横浜から目的地まで行く道はいくつかあるが、どこも混んでいる。比較的走れる道だと、自宅の都筑区から青葉区を通り、川崎市に入り麻生区を通過して、稲城市、多摩市を通り八王子市に到着する。別の道でも、途中まで同じで川崎市内を通らないといけない。これが問題なのである。

川崎の道の悪さの話になると、必ず言われるのが、「革新のはき違え」という言葉である。両サイドに東京と横浜があり、車があふれている。東京との境には多摩川があって、何本かの大きな橋でつながっているため、橋を超えて川崎に入った最初の交差点がどこも大渋滞である。川崎市内の道は、道幅が広くても交差点に右折車線がないことが多く、突然、前のクルマが右折しようとすると大混乱になる。左側にも不法駐車が多い。運転する方は右往左往になる。さらに海側の川崎区から内陸の麻生区まで7つの区が縦につながっているので、川崎市を通らないわけにはいかない。江戸時代からの道をそのままアスファルトで塗り固めただけで、道の両側が市街化調整区域になっていて、どうにもならない。何もしないのが革新であり、自然保護だと考えたのかもしれないが、甘すぎた。環境保護は「待ち」の姿勢では悪化するだけであり、「攻め」の姿勢が必要なのは、某独裁型都知事が証明している。

隣の横浜市は新しいものが大好きなビジネスマンが集まり人口は300万人を超えてしまい、セールスマンのような市長を選んでしまった。積極拡大路線だ。これから日産も本社を移転する。クルマはどんどんあふれるし、横浜と川崎の隣接する道路は横浜側だけが拡張し車線を増やしていく。結局川崎市内はつねに渋滞し、排気ガスは排出されるし、片側1車線で、道路の修繕もままならず、でこぼこ道にすぐ水溜りができ、歩行者に泥水をかけながら運転することになる。たぶん、道が悪ければクルマがこないだろうと思ったのかもしれないが、そんなはずはない。川崎を通らないと横浜から東京へは行けない。緊急自動車だって、走る場所はない。しかも、神奈川県人はたいてい、道路の前が空いていると、可能な限り速く走ろうとする(夜の第三京浜なんて壮観だ。はじからはじまで10分くらいのところを1分でも速く行こうとするのでF1レースの最初の1周目のような状態だ)。何もしない革新といえば、がけ崩れが多発していた時期があったが、最近聞かないのは、崩れきってしまったのか、私有地の山が全部開発されて平らになってしまったからか不明だ。水道料金だけは安い。

狭い狭い道を右左にハンドル切りながら走っていると、500mlペットボトルの「伊賀忍ちゃ」も飲めない。信号渋滞になると1センチずつ飲むことができる。アインシュタインの脳内ニューロンのように曲がりくねっている。他に道がないためタンクローリーや大型の路線バスも走り、すれ違ったり追い抜いたりしなければならない。道ばたの水溜りの泥水を跳ね上げながら歩行者や野良猫などかわしていく。AT車のブレーキを右足で踏んだり左足で踏んだりして反対の足で横Gに対抗してふんばる。道路の端のほうは雑草が生えていたり砂利がたまっていたりドブ板かなんだがわからない。タイヤは悲鳴をあげながら小石を跳ね飛ばし、後輪はすぐに横に滑る。

歩行者もたいへんだ。川崎ナンバーや横浜ナンバーが無茶苦茶に走っているのをかわしながら歩かなければならない。ちょうど中間点に桐光学園があるのだが、この学校の卒業生の中村俊輔の華麗なドリブルは、この道を通学していた結果に違いない。
以前、川崎の自動車関連のロードサイドビジネスの仕事をしていたときに気付いたのだが、ホンダ車が非常に多い。1000回くらいハンドルを切らないとならない道では、ホンダ車のようにシャープ過ぎる車がちょうどいいのだろう。ただし1時間が限界だ。みんなアマチュアドライバーなのだ。

一方、横浜に入ると、ボロボ(失礼。ボルボ)が異常に多い。自己主張が強い人が多いのだろう。スーパーの駐車場はボルボだらけだ。しかし、地球の裏側のボルボ本社は違うことを考えているようだ。「バスやトラックといった大型車部門が弱い」と思っていて、三菱ふそう社の値段を12桁電卓ではじいているようだ。しかし、三菱のトラックのマークをボルボに張り替えると、たぶん日本では乗用車の売上の方が激落するような気がする。

道が変わらないことのいい点は、「道」に残った思い出がそこを通ると喚起されることだ。20年前、神奈川県で営業していた時に、集金した小切手を持って大急ぎで支店に帰るため利用していた町田や川崎の路地のような裏道はおおむねそのままだ。沈みかけた夕方の太陽光線の中で当時の辛かったことなど思い出してしまう。ただし、目印だった交差点の運送会社やガソリンスタンドはなくなり、ゴルフ練習場はマンションになっていたりする。動物病院は代替わりで新築されている。それでも細い道はそのままだ。道路際のススキやブタクサの群生も何も変わっていない。