しろいろの街の、その骨の体温の(村田沙耶香著 小説)

2019-02-28 00:00:05 | 書評
東京郊外にあるニュータウンに住む同級生の女子と男子が小学校高学年から中学二年までの期間、淡い恋から大人風の恋に変わっていくまでを丁寧に書いている。女子の方からの視点で書かれていて、ずっと自分のペースで引っ張っていくわけだが、ずいぶん大胆なことをしてしまう。

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実際には、殺人とか爆発とかあるわけでもなく、ただの学校の日常を書いているのだが、中学生といっても一人一人は別の人格であるわけで、ありそうでなさそうな愛憎のぶつかり合いが書かれている。

できうれば自分が中高生の頃に同世代の作家が書いた同様の小説を読めればよかったのだが、そういうわけにはいかなかったし、こういう作家もいなかった。

2012年の刊行で、79年生まれと言うことは32歳の時に書かれたのだろう。携帯電話も登場しないので、90年代の後半、つまり作家の小中学生の時代と重なるわけで、それから20年経ってから、作家によってイメージを再構築された学校や街並みが書かれたのだろう。

本書で描かれたニュータウンはおそらく千葉ニュータウンのイメージなのだろうか。ニュータウンに入居するのは、だいたい同じ時期であることから、数十年後には高齢者の街になっていくことが多いのだが、昔、同級生だった高齢者同士の愛憎劇とか書くことはあるのだろうか。作家は今年40歳のはず。30年後には書くのかもしれないが、幾つかの理由から、自分が読むことはないだろうと予測がつく。
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マネー・ピット(1986年 映画)

2019-02-27 00:00:32 | 映画・演劇・Video
トム・ハンクス主演の映画。完全なるコメディである。ごく簡単にあらすじを語ると、当時のニューヨークは住宅難で簡単には住処を変えられないのに、突然にある同棲カップルが、アパートを追い出されることになり、不動産屋の勧めに乗って、郊外に格安の御屋敷を買うことになる。20万ドルといえば2200万円。安くはないように思えるかもしれないが、庭園付きで土地が8500坪、寝室が9で、新品なら100万ドル(1億1000万円)だから1/5だ。

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ところが、この建物が曲者で、甚だしい老朽物件で、ドアがはずれたり水道が泥水だったり、2階への階段が崩れ落ちたりで、修繕は、とてもトム・ハンクスの手には負えない。なにしろ、彼は弁護士だ。

大工や配管工、塗装工など次々に業者が見積もりを出し、お金がいくらあっても足りない。金食い虫のことをマネー・ピットと言うらしい。

さらに、この緊急事態と言うのに、同棲中の女性に不倫疑惑が・・

ところで、この老朽ハウスだが、モデルとなった邸宅が実際にある。ニューヨーク州ロングビーチにあって、1898年の建物ということで、やはり格安物件を購入してから金食い虫になった。実際にはベッドルームは20以上あるらしい。修繕費は1000万ドル(11億円)ということで、1250万ドルで売りに出していたそうだ。

最後に、住宅がピカピカに修理されると、バトル中だったカップルもゴキゲンになって結婚することになるのだが、確か、家の購入資金も修繕費も全部ローンで賄っていたように思える。レオパレスみたいな話だ。

ところで、拙宅だが、金額面では映画と比べようもないのだが、あちこちに金食い虫が住んでいるようだ。昨年は埋込エアコンを交換し、今年は屋根の緊急修理(将来、屋根張替えが必要)、光ケーブルへの交換工事。さらに電動シャッターは何枚かあるのだが、電動では動きにくくなっている。いやだ、いやだ。
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片道4500kmの旅の果てには

2019-02-26 00:00:20 | 市民A
平壌からハノイまで、鉄路なら4500kmもあるそうだ。それを最高速度60km/hで割ると、75時間。3日と3時間だ。内装に贅を究めたといっても、あの巨体では腰が痛くなるだろう。また日本から『撮り鉄』は中国に行かないのだろうか。スパイ罪にはならないだろう。

機関車はディーゼルエンジンなので軽油またはそれに近い石油製品でエンジンを回しているはず。中国もベトナムもさぞ苦々しい気持ちになっているのだろう。またハノイのホテル代の請求書は誰に渡すのだろう。

一方、米国大統領は支持層にお手柄を見せなければならないが、「終戦宣言」位しか成果は得られないような気もする。終戦と言っても兵力を減らすかどうかは相手の態度次第であるのだから、何も変わらない可能性すらある。これではいかにトランプ信奉者でも見透かすのではないだろうか。

直接民主主義の究極の失敗が米国大統領選と英国のEU離脱の国民投票だったのだろうが、英米流の資本主義によって国民の資産格差が拡大した不満が底辺にあるのだろう。

一方、韓国政府の左傾化によって、米国から見ると韓国と北朝鮮は一体の国のように見え始めているのではないだろうか。

そこで思い起こすと、トランプ大統領が(あるいは過去にクリントン大統領が)、北朝鮮への空爆を計画した時に思いとどまった最大の理由は、韓国への(一部日本への)ミサイル攻撃による損失だったはず。つまり、南=北であると認定してしまえば、ソウルへのミサイル攻撃を気にする必要さえなくなってしまう。

さらに考えれば、奇襲作戦にもっとも良いタイミングは、敵国の首脳部が国外に外遊中の時だ。つまり、今だ。
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琉球国独立/告発状(演劇)

2019-02-25 00:00:13 | 映画・演劇・Video
麻布区民ホールで週末に公演された演劇『琉球国独立/告発状』、劇団は「無条件降伏委員会」。

題目からすると、本土に潜む琉球独立派が秘密組織を作って武器を調達してから沖縄に戻って蜂起するようなイメージなのだが、そんな荒唐無稽では脚本家もお手上げだろう。それでは西南戦争の時の西郷隆盛のような話だ。(横道に逸れるが、日本国内での大規模な陸戦というのは、もっとも現代に近いのが沖縄戦、その前が西南戦争、その前が五稜郭である)

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実は、舞台は大阪らしい。中年の病気持ちの課長代理の男が、クビになった。そのクビ男の内面の心象がこの演劇の中心となるテーマである。つまり実存主義演劇のようなもの。

この男の心の中の世界に、「無能な神」と「アジテーター」と「不気味な悪魔」が現れるわけだ。“昔、沖縄支店に転勤した時に親しかった女性をもう一回追いかけなさい!ただしもう亡くなっているけど”とか“沖縄は江戸時代は住みやすかったけど、今はダメだ。ウソつきの政権と政権に忖度するマスコミと戦いなさい”とか次々と難題で追い詰める。“お前にできることは何もない!”とか、よってたかって心の傷口をこじ開けたり、閉じたり。

つまり、この話は沖縄とはそう深くは関係がないような気がした。

しかし、この劇団、劇団名もユニークではあるし、個性的なキャラの役者さんばかりだ。ホームドラマは無理だろう。期待もしないし。そもそもドラマティックというのは悲劇のどん底を指す言葉だからこれでいいのだろう。とはいえ、白血病とか舌がんをテーマにするのはしばらくはやめた方がいいだろう。
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NIPPON鉄道の夜明け

2019-02-24 00:00:36 | 美術館・博物館・工芸品
汐留にある旧新橋停車場鉄道資料室で開催中(~3月3日)の『NIPPON鉄道の夜明け』を観覧。驚いたことに外国人の方が大勢いて、フランス語の通訳が活躍されていた。幕末から明治の初めの歴史と大いにリンクするこの展覧会を観て、何をするのだろう。これから新しく鉄道を作ろうというフランス語圏の国があるのだろうか。石炭機関車はやめた方がいいと思う。討幕運動もやめた方がいい。

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もともと、この資料室は明治5年の開通の時の建物の意匠を使っているので、本来は正しい展覧会なのだが、その時代は見えない力が色々と働いていたわけだ。今回はそういう国内や海外の力学に踏み込んでいるとは思えないのだが、当初は英国と米国が日本に鉄道システムを売り込んでいて、結局、北海道は全面的に米国式。本州以南は駅舎が米国式で鉄道システムと機関車は英国式、ただし英国の植民地の仕組みを導入している。線路が細いのは植民地仕様だからだ。

もっとも、日本人が最初に鉄道を見たのは、漂流船の乗組員だったジョン(中浜)万次郎であったと思われる。太平洋で難破して米国捕鯨船に救助され、彼はそのまま捕鯨船員として米国東海岸にいたのだから鉄道を使ったと思われる。1840年代である。さらにアメリカ(浜田)彦蔵も同様に難破船の漁船員だったが、キリスト教に改宗した都合上、アメリカ国籍を取得し外国人として日米間を往復。大統領と会った最初の日本人となる。

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そして、彦蔵が未来の大統領となるリンカーンと会った翌年、ペリー提督の二度目の訪日で日米和親条約が締結される。横浜の海岸でのおみやげ交換会にペリーが持ってきたのは蒸気機関車の大型模型。早くもセールスマンが来たわけだ。アメリカに脅かされて戦闘機を買うのと同じだ。意図が見抜けなかった日本は、力士が相撲を取ったりした。金のゴルフクラブをプレゼントするようなものだろうか。

そして、鉄道の黎明は明治5年の鉄道の開通ということに至る。おりしも当時の蒸気機関車が1台だけ現存していて、今回は写真の展示だ。英国製だ。

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なお、明治5年旧暦9月12日(新暦10月14日)に新橋横浜間で鉄道が営業開始されたことから10月14日が鉄道記念の日になっているのだが、私が念入りに調べたところ、実際の商業運転は、明治5年旧暦5月7日朝8時発の横浜発品川行きが最初なのである。品川には8時35分に到着し9時に品川駅を出発し横浜到着は9時35分。さらに第二便は16時に横浜を出発し第一便と同様に品川から横浜に引返してしる。鉄道記念の日というのは、鉄道に天皇が乗った最初の日ということなのだ。

余談だが、韓国にも鉄道記念日というのがあり、1899年9月18日にソウル-インチョン線が開通したことから9月18日だったのだが、日帝排除運動により他の日に変更になった。ちなみに韓国併合は鉄道開通の11年後、1910年なのである。(あえて言うと、日清戦争の結果、清は朝鮮を属国扱いから手放すことになり、その清からの力の空白を埋めるように日本化が進んでいったということかもしれない)
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既に『語録』が刊行された若年棋士

2019-02-23 00:00:59 | しょうぎ
将棋ペンクラブの会員には、「将棋ペン倶楽部」という雑誌と「将棋ペン倶楽部通信」という少冊子が合わせて年間4回送られてくる。まぎらわしいネーミングだ。

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今回は、「将棋ペン倶楽部通信」が送られてきた。ともすれば、この昭和的冊子だが、記事の内容が、“あの棋界の有名人と個人的にこういう思い出がある”というような場合が多いのだが、自分的には興味をそそられない。というかゴシップみたいな話は書いてはいけないような気もする。

その中で、新鮮と感じたのが、「『藤井聡太語録』を読んで」という記事なのだが、幼児の時からのコトバが色々と書かれているそうだ。しかし、いくらなんでも16歳で『語録』とは、本人も困るだろう。うかつなことは口に出せない。よく出版に同意したものだと感心、というか心配。

もう一つ、気になるもの(広告の中の一行)があるのだが、次回に。


さて、2月9日出題作の解答

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動く将棋盤は、こちら


今週の出題。

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追いかけになってしまった。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。
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レストランにこだわるあるゴルフ場の戦略

2019-02-22 00:00:28 | あじ
ゴルフをするのにふさわしい季節というのは、実は本州にはあまりない。といっても雪か台風の時以外はゴルフ場は開いていることが多い。

まず、1、2月は寒い。雪が積もらなくてもあちこちの道路が凍結したり、厚着で思うように体が動かなかったり、地面がコチコチだったり。

3月4月5月は良さそうなのだが、3月4月は国民病となったスギ花粉、5月はヒノキ花粉が飛び散る。6月は雨だし、7-8月は暑い。9月10月は台風シーズンだし、やっと11月になるとベストシーズンになるが、12月はもはや寒い。

これではゴルフ場はやっていけないため、ハイシーズンに対し冬は安い単価を設定することが多い。

ところが、サービスに対する料金そのものを安くすると、後々、問題がでることが多く、そこがゴルフ場の腕の見せ所となる。

ということで、あるゴルフ場では、そもそもハイシーズンの昼食料金を高く設定しておいて、オフシーズンにはそれを無料にする。そうすると大変大もうけした気になるゴルファーが多いらしい(私はならないが)。

ということで、食事は長い名前の料理にする。

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『豚肉とピーマンの石焼あんかけやきそば』

石焼ビビンバ用の石鍋を熱して、ソバをいれてほぐしてから、チンジャオロースを投入して、あとは根気よく混ぜるだけだ。ソバがおこげのようになって、大変美味しい。ただし、食べ過ぎであるのは確実だ。
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どうして馬は倭国へやって来たのか(講演会)

2019-02-21 00:00:11 | 歴史
建国記念の日の特別企画として、横浜市歴史博物館で開催された『どうして馬は倭国へやって来たのか(講師白石太一郎氏)』を聴いた。会場が一杯で、隣の部屋でライブ中継を見るという形になったため、マイクに入らなかった声は全く聞こえないので、ところどころ意味不明はあったが、おおむね理解できた。1年ほど前に堺市で大仙陵(仁徳陵)をガイドさんの説明で見ていたので、結構リアルにわかったが、現地は現地で別のアングルでも捉えているようだ。

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さて、古代史というものへのアプローチは大きく二つ。一つは文献史的アプローチ。もう一つは考古学的アプローチである。

ただ、文献の数は余りに少なく、出尽くしていると思われる。いわゆる魏志倭人伝に登場する邪馬台国が代表である。実際、邪馬台国論争に明け暮れ古代史が停滞しているのも事実だ。邪馬台国の存在は3世紀の末、西暦280年から300年あたり。その後、国が乱れて台与という女性が登場して再び世が治まるのだが、いつのことなのかよくわからない。漢の倭の那の国王というのが、日本を代表する国家だったのか、一部の王で中国の力を借りて国内統一を狙ったのかもわからないし、結果としてそうはならなかった。

そして、日本書紀と古事記というものがあるが、最初の頃の天皇の存在がはっきりしない。もともと天皇と言っていなかった。大王のわけだ。

そして、馬の話だが、魏志倭人伝には、日本には「牛馬なし」と記載されていたのだが、どうも各地の貝塚のような場所から馬の骨が発見されていて、馬は古くから日本にいたのではないかと言われていたのだが、最近の考古学でフッ素分析を行うと、もっと後世の馬の骨であることがわかってきた。つまり3世紀には魏志倭人伝の通り、日本に馬はいなかったようだ。

そして馬が倭国(日本)に入ってきたのは4世紀とされる。実在が認められる崇神天皇の陵や仁徳天皇といわれる陵の側から馬具が見つかっている。おそらく奈良の南にあった倭国(邪馬台国と思われる)が、1世紀をかけて本拠地を北上させ堺(大阪南部)までたどりついたと思われている。古墳の移動がそういう動きになっている。その間に大王の世襲が続いたのか、あるいは大王同士の権力闘争があったかはわからない。

馬に話を戻すと、朝鮮半島から戦争兵器として伝わったことは明白ということで、子馬製造工場である「牧(すなわち牧場)」は国家事業として全国に作られ、極端にいうと江戸幕府も引き継ぎ、明治政府が引き継ぎ、現在でも続いている場所がある。たとえば成田空港の場所だって、御料牧場にするかという論もあったのだが、まさにそこは4、5世紀からの牧場だったわけだ。

では、なぜ日本に朝鮮半島の戦闘用具である馬の生産地があったのかというと、四世紀の東アジアの事情があった。まず、中国が弱体化して漢民族の国家が南部に押しやられて、北部は前秦、さらに朝鮮半島は、北に高句麗、西に百済、東に新羅、南に伽耶という分裂状態で、特に新羅が高句麗と同盟を組んだため、日本からは遠い方の百済が日本に助けを求めに来て連合を組むことになった。

ということで、百済から多くの人たちが渡来してきて、全国各地に広がっていったようだ。特に牧は渡来人がもっぱら運営していたということらしい。


つまり、馬のことを講演しているようで、実は古代日本の成立と朝鮮半島との関係を語っていることになるわけだ。とはいえ、それでは大和朝廷成立までに記紀に書かれているような内乱というのは4世紀のことなのか、あるいは、まったく違う時代の事なのか、どうも古代史は不思議だ。
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『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009年 映画)』

2019-02-20 00:00:48 | 映画・演劇・Video
フランスと香港の共同映画。監督は香港のジョニー・トー。とにかく、街の中で乱射を続ける映画だ。舞台はマカオ。父と母、そして二人の子供の家庭が3人組に襲撃され、全員が銃弾を浴びるが、奇跡的に母親が生き残る。数日後にフランスからこの母親の父がやってくる。そして復讐に燃え、3人組の殺し屋を雇うことになる。報酬は、フランスにある豪邸と経営しているレストラン。そう、有名シェフなのだ。そして、実は元殺し屋。

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そして、このフランスのおじいさんと殺し屋が孫殺しの犯人を射殺するのだが、実はおじいさんには若い時に脳内に撃ち込まれたままになっている銃弾があって、徐々に記憶が薄れてきてしまって、敵討ちであることすら忘れてしまう。

その結果、復讐に成功するも、味方の殺し屋3人とも、影の大物に殺されてしまう。そしておじいさんは、単身で、この影の大物と撃ち合いをすることになる。早い話、最初から単身で影の大物を突き止めて撃ち殺してしまえば、双方の6人の殺し屋と、流れ弾にあたった一般市民たちが死ぬことはなかったのだが、成り行きだろうか。良かった点は、味方の殺し屋に渡す予定だった豪邸は、受取人死亡のためあいかわらず自分の物のままなのだ。

このフランスのおじいさんに共感しにくいのは、銃の扱いがうますぎることもあるが、あまりビッグネームではないから(ジョニー・アリディ)だからだろう。当初は、主役はアラン・ドロンの予定だったそうだ。そうなれば引退作だったのだろうが、なぜか予定が変わった。セリフが覚えられなくなったのか、あるいはシナリオの文字が小さすぎて読めなかったのだろうか。

マカオに行って一儲けしてこようかと思ったが、怖くて行けそうもない。
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何もかも憂鬱な夜に(中村文則著 小説)

2019-02-19 00:00:37 | 書評
暗黒小説である。全編を通して、希望の光は見えない。差別用語かもしれないが「孤児」が成長して刑務官になる。そして暴力と裏切りの中に身を置いて、もうすぐ死刑の執行を行わなければならないという予感を持つわけだ。先輩所員から、その際に暴れる受刑者と格闘した話を聞かされる。

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友人の自殺。未成年の死刑囚、恋人からの別れの宣告。死刑制度の是非という問題をヒューマニズムの裏返しの、敵討ちの代行者と考えざるを得ない刑務官の心理。本当にホープレスだ。

こういう、絶望的な小説を書くという作家は、書く前に相当量のホープレスな勉強をしてから筆を執るのだろうが、考えれば考えるだけダークサイド側に落ちていきそうなのだが、そういう人間の方が長生きしたりするものだ。

今後、この作家と向き合って読み続けられるかどうか、あまり自信がない。夢の質が悪くなるような気がする。最近、「よく夢をみることができる枕」を手に入れたので、できれば悪夢は避け、楽しいドリームライフを送りたいわけだ。といっても「囚人になぐられる刑務官」の夢と、「囚人を殴る刑務官」の夢があるわけで、殴られる夢を見ると、古傷の激痛が始まったりするわけだ。
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最近の雑感

2019-02-18 00:00:07 | 市民A
わざわざブログに書くほどの深みはない話なのだが、単にスルーというのも、社会事象に無関心と思われそうなので、まとめて手短に。

1. レオパレス
前に岡山の会社で社長していた時に、転勤してくる社員の借り上げ社宅を探すときに、「レオパレスだけはやめてほしい」とか「レオパレスでも我慢します」というように下限値の限界表現に使っていたことを思い出した。

壁や天井の断熱材としてグラスウールとみせかけて発砲ウレタンを使っていたそうで、壁の中は簡単に検査できないが、家と言うのは天井裏は誰でも見ることができるようになっている。もしかして天井の上だけは偽装工作としてグラスウールを入れていたのではないかと推測していたが、天井裏も発砲ウレタンだったそうだ。つまり、バレるのが遅すぎたような気がする。

また、レオパレスのやっている商法には、裏に金融機関がいるはず。金融機関は建物の価値に対して融資するという側面もあるわけで、偽装工事に気付いていたのか、いなかったのか、あるいは金融機関も不正の仲間だったのか。献金先とか大丈夫なのだろうか。

2. がっかり発言でもやめない大臣
こういう人がどういう仕組みで無能を押し隠して大臣までなったのか、検証した方がいい。普通なら、「私がバカでありました。任に耐えないので、辞職いたします。ごめんなさい。ペコ。」というのが普通の感覚だが、一説では二階派に適当な後任がいないので辞めないとも言われるが、今、大臣を辞めたところで、何年かすれば「元大臣」ということには変わりないし、大臣1年勤めないと勲章の格が下がるらしいが、あきらめた方がいい。世界に恥ずかしい。
  
私が言ってもしょうがないが、池江さんは、普通の女子学生に戻れれば、それだけで金メダルだと思う。

3. 細野元大臣は渡り鳥か
いえ、疫病神だと思う。彼のいくところに悪魔が付いてくる。

4. ナオミ・オーサカのコーチ解任
契約上、途中解任なのか期間満了で更新しないのかは不明だが、コーチなしになった。今後、大物コーチと契約するなら私の推測ははずれなのだが、金銭の問題が関係するような気がするのだが、それはコーチとの問題ではなく、もうすぐ大きなおカネが必要なのではないだろうか。

国籍離脱税。いろいろと調べてもよくわからないが、過去五年の所得から推定した財産の相当額を払わなければならないらしい。コーチの取り分が賞金の5%程度が普通らしいが、そんな余裕がないのかもしれない。

もっとも、日本が二重国籍を認めず、日本国籍を取るためには22歳までに米国籍を手放す必要があるという規定であるからなのだが、もう少しだけ待ってもいいかもしれない。可能性は低いが、北方領土問題で何らかの地面が返ってくるとするなら、現在住んでいるロシア国籍の人には日ロ二重国籍を認めるという展開しか考えにくい。ということは日本は二重国籍方針に転換することになる。

とはいっても、領土交渉は暗礁に乗り上げそうである。ロシアはあんなに広い土地を持っていながら島にこだわるのは、領土を使えていないからだ。北方領土を返してくれたら、その10倍のロシアの土地を日ロで有効に開発しましょうというような、相手とのWIN=WIN関係になるようなプランを考えなければ、無理だ。

5. メキシコの壁
人間の乗れるドローンが既に完成している時代に頑丈な壁を作るというアナクロ感が笑える。とはいえ、中国の万里の長城に負けるような壁では満足できないだろうからアルカトラズ島の刑務所の壁みたいなものを作るのだろうか。万里の長城が2000年経った今でも一部残って観光名所になっていることを考えると、1000年後でもコンクリートの一部が残っていることが予測される。たぶん、トランプという名前は、その遺跡に付けられて残るのだろう。

前も書いたような気がするが、壁ではなくトゲのあるサボテン畑を作った方が、エコだろう。

6. 報道されなくなった紀州のドンファン
頭の片隅にあるものの、動きのない和歌山資産家不審死事件だが、大量のビール瓶を回収して覚醒剤の検査をしていたはずだがどうなったのだろう。もちろん、事件の時のビール瓶が他のビール瓶と混ざってしまったという点で、証拠能力には疑問はあるが、それでも捜査の範囲を狭めることにはなるはず。人間関係を調べても、彼が亡くなって悲しむ人がいないということからほぼ関係者全員が動機ありというのでは浮かばれない。

あえて教訓を考えれば、「ビールは瓶ではなく缶で飲め!」だろうか?
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長島有里枝展(横浜市民ギャラリー)

2019-02-17 00:00:58 | 美術館・博物館・工芸品
横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中(~2/24)の長島有里枝展。写真展である。副題が『知らない言葉の花の名前/記憶にない風景/わたしの指には読めない本』と長い。

写真家が写真展を開くのに何の不思議もないのだが、事情は複雑だ。

ここから先は、乏しい資料や、写真展の印象などから、私の個人的な感想。

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まず、写真家が写真媒体にいくばくかの不審を抱いたところから、始まった。写真が芸術であると仮定すると、作る側が何かを表現し、観る側が何かを感じるということになるはずだが、写真というのは、いかにも情報が少ない。単に野原に咲く雑草を写しても感動は極めて低いが、そこに何らかの文字情報を加えると事情が変わる。

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というようなところから、彼女は文字を書き始め、文芸誌「群像」にエッセイを連載することになる。そして2009年に刊行された『背中の記憶』で講談社エッセイ賞を受賞する。四世代にわたる家族の記憶を自伝的に書き綴った物語だ。写真家というよりも文筆家になった。

そして、一旦、文字になった宇宙を、再度、写真として復元しようということになる。

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といっても、その不完全なアートである写真を観て、何を感じることができるか。

長島さんは、作品を理解できる人のことを「解読者」と名付けている。解読者はどこかにいるであろうと述べ、いつかは出会うだろうと予測している。

あいにく、会場にはご本人はいらっしゃらなかったので、すでに「解読者」と出会ってしまったのかもしれないし、「解読者」に出会うことはあきらめたのかもしれない。
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半年以上経って届いた「いつつだより」

2019-02-16 00:00:54 | しょうぎ
日本では、普通、手紙は1~3日で届くのだが、半年以上経って届く場合もある。

中倉彰子プロが代表になっている将棋関連ショップの(株)いつつから私がこども教室の講師をしている地区センターにフリーマガジンが届いたのは昨年の半ばだったらしいが、そのまま放置されていて、今年になって、私の手に渡された。ということで、中倉さんには何も問題はないわけだ。

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神戸に本拠を置いているようで、会社の住所をみると神戸の元町駅の北側で、知人が二人もその近くで会社を興している場所だった。

半年も経っているので、詳しい状況をネットで調べてみると、フリーマガジンの話は見当たらなかったのでやめたのだろうか。グッズ販売は初心者用の駒や布製の盤が商品化されているようだ。こどもは盤にきちんと駒が並ばないこともあるので、木製の板の方がいいと思う。

将棋教室を登録しておくと、いつつ社のHPで広く紹介してもらえるのだが、実際、こどもの数が多過ぎて、これ以上対応困難状態なので、どうしようかと悩んでいる。

HPは英語バージョンもあり、実は将棋の駒や動きに関する英語単語を調べようかと思っていた。外国籍のこども(たぶん)も教室に来るからだ。以前、連盟の冊子で覚えた時は、チェスもどきの変な英単語だったのだが、少しは改善しているようだ。振り駒のことを「shogi pieces toss」というようだ。コイントスみたいなものだが、駒ではなくコインを1枚投げた方が、駒が重なったりしないのでいいかもしれない。しかも投げたコインは勝者の賞金ということにするとさらに励みになるかもしれない。


さて、2月2日出題の詰将棋の解答。

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初形がごちゃごちゃしているのは17手以内にまとめようとしたこともある。○○元年の記念で1の字を作ってみた。8種の駒と双玉。3九玉を金にすると、金が途中から活躍して早詰みになる。3一とは、残念ながら金の代用品。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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駒数は少ないが、角と金と香がないため、玉を捕まえるのが大変だ。狭い場所を逃げ回ってなかなか詰められない。なかなか詰まない五輪大臣のようだ(この記事がアップされる時には合駒を使い尽くして詰んでいるかもしれないが)。

わかったと思われた方はコメント欄に、最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。
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50円自販機

2019-02-15 00:00:21 | あじ
かねて、安いドリンクの自販機があるということは聞いていたが、見たことはなかった。時々、特定施設の中では100円~ということもあるが、だいたいは120円から140円の幅だ。10月からは10円上がるのだろうか。あるいは数量減とか。

ところが、ついに50円自販機を見つけてしまった。場所はとりあえず秘密にしておく。

ということで、早速、一缶を試飲することにする。

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100円玉を投入すると、コーヒー以外も各種ドリンクが並んでいるので、「どれを飲もうかな」と思案しているうちに重大な問題に気付いた。

よく見ると、2台並んだ自販機のうち左側の一部だけで50円コーヒーが買えるわけで、大部分は100円ドリンクである。間違える人も多いだろうと推測できる。間違えても100円で、他の自販機では120~140円なので、それほど罪は重くないように思えるが、これが200円だったら、大問題になるだろう。おとり販売というか、疑似餌商法というか。

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そして、飲む前に缶を調べると、あのUCCコーヒーだった。UCCではなくUUCだと大問題だが、有名メーカーが後押ししていたようだ。しかし、実は通常の缶コーヒーより、小さいわけだ。太さも高さも一回り小さい。

味の方だが、微糖となっていて、甘さが非常に少ない。また、普通、コーヒーはブラックで飲んでいるので微糖でも問題はないのだが、私の味覚でいうと、味が薄いような気がした。砂糖を入れないのをブラックというのだが、といってもコーヒーの味が薄いことはないのだが、気のせいかもしれないが薄口のコーヒーという感じだ。

もっとも缶コーヒーを飲むのは、年間1本か2本なので、自分の舌が缶コーヒーに慣れていないだけかもしれない。
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月刊経団連(雑誌)の意外な記事

2019-02-14 00:00:03 | 市民A
12月号の月刊経団連を月遅れで読んだのだが、

まず枕の話として、政権主導で始めようとして浮遊中の『プレミアムフライデー』のこと。そもそも月末の金曜日なんて一ヶ月で一番忙しい日だ。会社は月末締めのイベントが多い。最終週は忙しいわけだ。さらに金曜日になぜ残業するかというと、週末に出勤したくないからだ。実は『プレミアムフライデー推進協議会』なる組織があるそうだ。その組織が主体となってさる10月19日の金曜日に「プレミアムFUN+WALKフライデーウォーキング」というイベントがあったそうだ。100名が参加し大手町から銀座まで2Kmを練り歩いた。狙いは月末金曜日にとらわれない『マイ・プレミアムフライデー』運動らしい。こぶしを振り上げて気勢を上げて、何と戦うのだろうか?この『マイ・プレミアムフライデー』という新語が、世間で使われることがあるのだろうか。

次に、今月号のメインテーマが-Society 5.0時代への期待/ロジスティックス変革のうねり-。これも政権が推し進めているSociety 5.0の実現の手近な目標である物流費削減について書かれていて、座談会には、国交省、大学教授、流通業(スーパー・コンビニ)、大手海運会社、経団連(司会)というメンバーで、それぞれにロジスティクスの変革に賛意を示しているのだが、司会が取り繕っているだけで、それぞれ違うことを言っているわけだ。対談になっていないような気がする。

要するに、日本中の荷主(製造業だったり消費者だったりする)の情報と物流業者の状況を突き合わせてさらにAIによる予測を組み合わせて無駄なく運用しようということなのだが、こんなことができると思っているのは、役所の人間と大学教授位なのではないだろうか。世界中でこれができるのは北朝鮮しかないだろう。

そもそも、物流費というのは物流業者からすれば売上高で、高ければ高いほどいい。競争があるうちは安ければ安いほど競争相手がつぶれるわけだが、ほぼ行き着いている。一方、荷主にとって運賃は安ければ安いだけいいのだからかみ合わない。

また世界規模でも同様なのだが、日本でも基本的には西日本が生産地域で東日本が消費地域であるために、西から東へ向かうトラック等はだいたいフルカーゴだが、東から西に向かうトラック等に空きが出やすい。企業収益の差は、この西行便の積載率にかかっていて、それが営業力の差であるわけで、みんなで仲良くやりましょうと、話がまとまるわけがないわけだ。

しかも、物流には変動の幅があって、コアの輸送量については、荷主(生産者)が子会社を作って固定費保証で安定的に安く運び、変動する部分をサードパーティの運送業者に押し付けるわけだ。

また、共同化といっても、パレットの一枚、段ボールの箱一個まで所有権があって、パレットがなくなったとか結構大騒ぎをしているわけだ。

AIでロスの防止と言っても、例えばコンビニ弁当(恵方巻)の廃棄問題にしても、「多く仕入れ過ぎて捨てるロス」と「仕入れなくて売れなかった遺失利益ロス」の関係があって、原価が5割以下(粗利が5割以上)である場合は、在庫がないための遺失利益の単価の方が余って捨てる廃棄ロスの単価よりも大きいため、どうしても過剰仕入れになりやすいわけだ。ご家庭の買い物の場合、利益という尺度はないので、単に食材を買い過ぎるとロスになるという関係のわけだ。この粗利率なんて企業の重大秘密(バレているけど)のわけで、日本共通の最適化とか考えられないはずだ。

というまとまりのない話が多いのだが、雑誌の後ろの方に、作家の秋山真志が「ぼくのライフワーク」という1ページを書いていて、現在「鎌倉物語」という本を書いているそうだ。二編あって「鎌倉文士編」と「鎌倉映画編」ということで、「映画編」は小津安二郎、原節子、田中絹代などを中心に書こうと思って、まだだいぶかかりそうなので「文士編」を書いているそうだ。白樺派の里見弴、永井龍男、川端康成、小林秀雄、澁澤龍彦、田村隆一などが登場するらしい。書き終わってから発表してほしいのだがライフワークなので、書き終わらないかもしれない。

実は鎌倉文学館という立派な建物が実在しているのだが、鎌倉文士の第一号的な扱いを受けているのは、上記の各氏ではないのだ。鎌倉の街並、海岸、八幡宮といった日常に大きな憂いを感じていた最初の文士は、源実朝ということになっている。
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