川の底からこんにちは(2010年 映画)

2015-05-12 00:00:12 | 映画・演劇・Video
この映画、「女優・満島ひかり」のための映画である。最近の映画評をみても、彼女が最も演技力のあるアクターであるという声が多い。さらに、特定のカテゴリーに限らず重い役、軽い役、明るい役や暗い役、正しい役や不正な役。なんでもOKだ。

kawazoko


本作は、実家を駆け落ちして東京に出て行って、男にも仕事にも運がなくダメダメになった23才OLが、会社経営をしている父の緊急入院で、急遽帰郷。ひも状態でついてきた子持ち男にも浮気され、川のシジミを集めて販売している会社は赤字続きで、数ヶ月後に破綻が予想される事態だった。

「中の下」。

中の下から再生する復活ストーリーということかもしれないが、その転換点あたりで、満島ひかりが爆発する。前半部では、徐々に徐々に破綻していく陰惨さが基調になっていくのだが、後半では、前半に提示されたいくつかの社会の不条理に対し、解決が用意される。交響曲みたいな作りか。

亡くなった父の遺骨を、遺言によりシジミの栄養のために川に沈める場面で、不倫相手の元から帰ってきた夫(候補)に、骨のかけらを投げつけるシーンがあるが、投げ続けた骨は、かなりの制球力で顔に命中していた。デビュー前に類似行為をしていたのだろうか。

本作の縁で、彼女は石井裕也監督と早くも結婚してしまったのだが、監督が女優を選ぶ段階を通り過ぎ、さらに成長して女優が監督を選ぶ段階になったら、夫役の演技終了だろうか。