ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

縦置きエンジン

2006年05月31日 | エンジンの怪

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このカットではとてもモーターサイクルのエンジンとは見えません。

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反対側からみたらどうでしょう?

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正体はトライアンフ ロケットⅢです。

もっとも初代ロケット3はBSAのブランドであり、トライアンフの3気筒はトライデントでした。命名権は現在のトライアンフ社が所有してあるのでしょうけれど、考えてみると変な話ですね。

縦置きエンジンではBMWのKシリーズが有名でしたが、まるでロケットⅢと入れ替わるように横置きのエンジンになってしまいました。

縦置きエンジンは、やはりBMWのRシリーズやモトグッチなどが採用していますが、強烈なトルクリアクションが「○○○がエクボ」ではなくドチラかというと「エクボが○○○」になってしまうのか、根強いファンがいても中々普遍なモノにはなりません。

ロケットⅢに乗ってみると、意外や意外ケッコウ普通に乗れます。その大きさと重さ、2300ccの巨大なエンジンにしては普通です。

強烈さではカワサキKZ1300が一番だったかな?750クラスのバイクをそのまま2回りほど大きくした車体は重心も高く、当時のプアな性能のタイヤは、スロットルを開けても締めてもキュッと鳴り、不安を増幅させるシロモノでしたね。今乗ってみれば印象も違うかもしれませんが。

こういったバイクの印象は食べ物にも共通するような気がします。誰でも「アソコで食べたアレをもう一度味わいたい」と思うものが幾つかあると思います。強烈に美味いと感じた料理であり、お菓子であったり。

しかし、同じ感動はほとんどの場合再び味わうことはできません。つまり全く同じシチュエーションは有り得ないので。


ガスケット

2006年05月30日 | プライマリードライブ

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以前に同じプライマリーカバーのダービーカバー5スクリューのガスケットを紹介しましたが(2200円のね)、3スクリューのも代替品がリリースされていました。お値段も同じく2200円。

ペーパーガスケットからメタルガスケットへの変遷は、エンジンオイルが鉱物油から合成油に移行しつつある事に対応するためだと理解していたのですが、チョット吃驚。

まあメーカーもショベルに使うためでなく、エボ用にという意味なのでしょうけれど、なんたってココの形状やサイズは’70年から30年も変っていませんから。

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インスペクションホールのガスケットも最新版が使えます。

薄い金属にゴムをコーティングして作られているメタルガスケットは、ペーパーガスケットと較べると沈み込みが遥かに少なく、スクリューやボルトを締めても手ごたえが違います。

ペーパーガスケットは締めていってトルクが掛かり始めても、ガスケットが沈むまでがありますが、メタルガスケットはスグに締まってしまいます。

使用過程上のガスケットの沈みもないので、ソレが原因の緩みも少ないと考えられます。

”合成オイルはガスケットを抜けてしまう”という伝説も気にする必要の無いメタルガスケットにもウイークポイントがあります。

面の悪い部品の間にメタルガスケットを使うとオイル洩れしてしまう事があります。これは沈み込みが少ないというメリットの裏返しで、追従性が悪くなってシールできないのですね。

つまり、何が何でもメタルガスケットという訳には参りません。現状を見極める必要があります。

今また石綿は袋叩きにあっていますが、10年前以上のことですがアスベストフリーが言われ始めて、ガスケットからもアスベストは追放されてしまいました。当時のペーパーガスケットにはアスベストも含まれていて、ヘタリへの抵抗力があり、初期のアスベストフリーのガスケットは惨憺たる性能で、特にK社製のバイクのオイル洩れには閉口させられた暦史があります。


エンジンO/H後の始動

2006年05月29日 | エンジン

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ココのところ作業を続けていた腰上オーバーホールのエンジンが、ようやく掛けられる段階になりました。

以前にもシリンダーなどを紹介した、この'83年FLHは推定走行距離4万kmですけれど、1回ボーリングした形跡はありますが、バルブガイドなどは消耗していなく、大した部品交換もしないで済みました。

とはいえ、ヘッドのブラスト仕上げやシリンダーのペイントなどは手間が掛かる上、仕上がりにも気を使います。

一度手を掛けた以上は最低2万キロは何もなく走ってもらいたいもの(カーボンの堆積でバルブの当りが悪くなる距離)、保証を謳ったりはしませんが、いくらショベルエンジンでもキチンと作業をすれば可能です。

細かい作業の積み重ねの結果ですから、スターターボタンを押すのは例え100回目でもドキドキします。

エンジン始動の成り行きをビデオで撮影しておきましたので、宜しかったらご覧ください。

油圧リフターはドライで組んでいますので、数分はカチャカチャ音がでます。エンリッチナーを効かせすぎると、ファーストアイドルが高すぎてバックファイアします。

注意事項としては

  1. オイルポンプのエア抜き。
  2. スターターモーターは長く回さない。
  3. 異常を感じても、スグ対処しようとして無用にフカさない。
  4. 組み込み時にシリンダー等に塗ったオイルでプラグがカブりやすい事を忘れない。
  5. ビデオでの”3拍子”は「アイドリングを低くしても止まらないか」をテストしたのであって、長い時間低いアイドリングを続けない方が良いでしょう。

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ポンプのエア抜きは

  1. タンク→ポンプのホース
  2. 油圧スイッチ
  3. 写真のスクリーン

ワタシはキックスターターがない車両では、プライマリーカバーが外してある状態で、クランクを手で何回か回してエア抜きします。

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オーバーホール後の始動では、プラグもスグこのように黒くなってしまいます。このままキャブ調整をしようとしてもウマクいきません。


ショベルエンジン 最後期

2006年05月28日 | ハーレーの構造

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ショベルエンジンも最後の2年くらいには、それまでとダイブ変った部分があります。全部同じだと思っているとマゴツキますので、ココでいくつか紹介したいと思います。

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クランクケースとプライマリーハウジングの間のOリングですが、’82年を境にエボエンジンと同じに変更になっています。

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矢印は今まで使っていた古いモノ、一番下が'81年までの細いOリングです。コレを間違えるとオイル洩れが止まりません。逆の間違いはプライマリーハウジングを壊します

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スターターモーターのギアハウジングが、やはり'82年を境に変更になっています。

上の写真が'82年以降のもので、プライマリーハウジングの形状も違いますね。

ギアハウジングが一体のモノから2ピースになり、今までソックリ外せたものが出来なくなりました。

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スターターモーターを外すのには、オイルタンクの固定を全部外して、写真のようにタイラップで吊っておくと良いでしょう。

オイルタンクの上に付いていたオイルフィルターもカートリッジになったので、あのカッコいいキャップが無くなってしまい、タダのホースフィッティングに変りました。

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スターターモーター本体を固定している2本の長いボルトを外します。

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次に矢印の3本のボルトも外します。

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ギアが見えますが、固定されていないのでスグ外す事もできます。

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この2本のボルトがあるお陰でソックリ外せないのですね。強度的には勿論あったほうが良いのですが・・・。

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ギアハウジングを外すと、ようやくプライマリーハウジングも外せる段階になります。

両矢印で示すようにベルトとのクリアランスは、これしかありませんので、短いリアショックにする場合は要注意です。

今日は昨日に続き、雨、雨です。天気予報ではお昼から晴れるというのに、未だ太陽が顔を出す気配はありません。

土日のイベントやミーティングの参加者や主催者には誠に気の毒ですね。まるで梅雨みたいで・・・・。

温暖化の影響で、海水蒸発量が多いのでしょうか?大雪の原因もそうであると言いますからね。

フロンの規制でオゾン層の修復は進んでいるようで、オゾンホールはじきに無くなるようです。膨大な炭酸ガス排出量も一人一人の努力から?


TCエンジン カムベアリング

2006年05月27日 | バルブトレイン

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今回の記事は推測が多くなっています。実験を重ねれば確証を得られますが、”推測”という事でご了承ください。

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今ではホトンド聞かないので既に出尽くしてしまったのでしょうけれど、TCエンジンの出始めに比較的多く見られた、カムベアリングのトラブルというのがありました。

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左側が後カムでローラーベアリングになっています。右側はボールベアリングで、最初は両方ともコレと同じモノだった訳です。

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裏側はこのようになっています。後カム(写真では右側)のカムから短いサイレントチェーンで、前カムを駆動しますが、②の緑矢印のテンショナーで強く押しています。カム山がタペットを押し上げる時には複雑なベクトルが発生しますが、それは置いておくと、③の方向のベクトルが働いていると推測できます。

矢印が示すのはオイル通路です。このカムサポートアッセンブリーはオイルポンプの蓋も兼ねているため、アチコチにオイルをディストリビュートする沢山の通路があります。

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チェーンなどを仮り付けして表側をもう一度見てみると、はバルブスプリングの反力がプッシュロッドとタペットを介してカムに伝わってきます。

緑矢印はチェーンテンショナーの押す力です。チェーンは②の方向に動きます。小さいスプロケットはクランクシャフトと一緒に回転して、大きいカムスプロケットを駆動しますが、このときに③のベクトルを発生すると推測します。

後ろ側(写真では左)のは③と同じ方向なので、のベクトルはカナリ大きくなると推測します。

カムテンショナーは資料によると18kgの強さだそうです。交換の目安は半分に摩滅してからです。走行距離での目安は分かりません。オイル交換の頻度やクオリティ、走行条件で大きく異なると思います。

この方式のカムテンショナーを使う理由はワタシには分かりません。日本製バイクのホトンドはラチェット式のテンショナーを使い、フリクションを減らすようになっています。

以上の推測で、後カムベアリングに大きな負荷が掛かるのが理解できます。対策が施された年式のモデルでも10000km程度走った車両のこの部分を分解した機会の所見では、対策ローラーベアリングでも色が変っていた事を鑑みると、高温になっている痕跡なのでしょう。

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エボ以前では1本のカムで4個のバルブスプリングの反力を受けています。そして手前側の軸受けは簡単なブッシュです。それでも余り多くのトラブルが無かったのは、カムギアがドライブギアに乗っかっているから?

ギアの噛合わせでは反発するベクトルが発生します。その大きさは分かりませんが、少なくともチェーンのような引き込む力はありません。

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バルブスプリングの反力は大きく、この使い古したカムの磨耗具合を観察すると、3本ともおおよそ同じ場所が磨耗しています。内側の2つのカム山はホボ同じタイミングにあり、その反対側付近が大きく磨耗しています。

*この記事は”カムベアリング周辺”の続きとして書こうと思っていたら、エフさんのご質問と丁度かぶりました。でも明確な答が出なくてゴメンなさい。


カムベアリング周辺

2006年05月26日 | クランクケース

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これはショベルヘッドのクランクケースで、矢印の部分にクラックが生じています。

下のクランクシャフトベアリングアウターレースが鋳込まれてるとは言え、肉厚が5mm程度しかないのでは、ある意味当然の結果かもしれません。

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全部が全部クラックが入るわけではありません。これは無事なクランクケースです。

しかし、ベアリングとケースの穴には相当な負荷が掛かっている痕跡が見られます。

限られたスペースに必要なサイズのモノを押し込めるのにはカナリ苦労したのでしょうね。

アウターレース外径とカムベアリング外径は必要最小限の大きさです。カムベアリングのアウターレースの肉厚がもう少し厚ければ荷重の分布も変っていたでしょうけれど、その分ケースの方の肉厚がなくなってしまいます。基本設計から考えると最善とみても良いと思います。ほとんど同じエボエンジンでもそれほど多くのトラブルが発生したわけではありませんから。

しかし、プレッシャーのきついバルブスプリングやハイリフトのカムを使用するとなると、結果は保証できません。

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TCエンジンで大きく変ったのは、その名の由来とおりカムをシリンダー毎に分離して2本にしたところです。

上の写真の赤両矢印が示すように肉厚を大きく取って、ダイブ丈夫そうになっています。

ベアリングも下の写真のようにチョッピリ大きくなっています。

しかし!

ワタシも初めて気が付いたのですが、タペットガイドがない!?

エボエンジンまでは別体のタペットガイドがあり、万が一故障したり磨耗したら交換できます。

しかし、クランクケースの一部を研磨してガイドにするとなると、磨耗したらケース交換ですね。

イヤイヤ大騒ぎする事ではありませんでした。

スポーツスターでは’95年モデルから、別体タペットガイドは廃止されていたんですね。実績がありました。

でも、クランクシャフトベアリングアウターレースが交換できることを考えると、釈然としませんね。

トヨタが世界で一番の生産台数に到達するのはモウジキのようです。

昔は世界の半分の台数を作っていたアメリカのメーカーは、当時自信に溢れていましたから、デッカイエンジンの設計も手馴れたものでした。デカければ常用回転数も抑えられ、ガソリンは大量消費したとしても、ある意味効率が良かったとも言えます。

例え、日本の感覚で整備不良と言われるような状態で、オイル消費量が大きく白煙吐いていたって、1クオート1ドルの安いオイルを継ぎ足していれば、タフなV8エンジンは走り続けていたのでしょう。

鋳鉄ヘッドではバルブガイドも使わず、直接ヘッドにバルブガイド穴が開いたエンジンも多く、それらにステムシールを付けるために考えられたのが、’04以降のスポーツスターのシールなんだそうです。

こういった例や、日本製のツインカム(DOHC)でもタペット穴は直接ヘッドに穴を開けてあるし、ココでとやかく言うのは考えすぎ?

続きます。


大馬鹿ヤロー ②

2006年05月25日 | シリンダー、シリンダーヘッド

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吃驚させてくれました。

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両方ともショベルヘッドのシリンダーです。

緑矢印のほうは正常にオイル戻り穴が開放してあり、赤矢印は丁寧に埋めてあります。

赤矢印シリンダーは、もう何年も前にアメリカ本国より輸入したショベリジに付いていたモノです。

症状はどうだったか忘れましたが、調子がオカシかったのでバラしてみると、ロッカーカバーの中にはオイルが充満していたのです。

それは当然ですね。なにしろオイル戻り穴が途中で封鎖されているのですから。

それでは何故戻り穴を埋めたのだろうかと考えると、パン以前はシリンダー内壁に穴が開放していないので、パンショベ(パンの腰下にショベルの腰上)にでも使っていたのだろうか?

いずれにしても、こんなシリンダーを使ってはマトモなエンジンにはなりません。

実はこの車両の出ドコは分かっていて、イチゴ畑で働くヤローがアルバイト(どっちが?)で日本向け仕様!のショベリジをプロデュースしていたのです。

ナローフレームにスポスタタンク、フラットフェンダーなどなど、一見日本人好みのショベリジは何台くらい輸入されたのか?

エンジンをまともに組みなおした後に納車してから、オーナーが乗っていてミッションロックもしたコノ車両はストロベリー ファクトリー?製のなかでも最悪であったのでしょう。

しかし、こういう程度の車両がロクに手も入れられずユーザーの手に渡れば、ショベルエンジンの評判が下がるのが良く理解できます。

魅せられても慎重になる方が多いのも現状では賢明かもしれません。

ですから、こういった事をする輩に対しては、侮蔑と親愛?の情を込めて”大馬鹿ヤロー”と呼ばせてもらいます。

それで大馬鹿ヤローは海の向こうだけに生息ししているのかと思うと、そうでもなく、日本国内でも数々の証言や私の目撃した事実でも明らかなのですが、それを糾弾しようとすると、叩かれるのはどういう事?


ショベル オイルポンプ ⑤

2006年05月24日 | オイルポンプ

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ポンプボディにギアを組み込んだ状態では、写真のようにボディの端面よりギアのほうが出っ張っています。

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新しいガスケットを乗せるとクリアランスが出来ますね。このガスケットの厚みは0.3mm程度で、ボディの固定ボルトで締め付けられると20~25mmに圧縮されるでしょう。

マニュアルには「ポンプは故障が少なく、油圧が上がらなくなったら交換する。ガスケットは純正品を必ず使用。」程度のことしか書かれていないので、ここの適正なクリアランスは不明です。

ギアは鉄、ボディはアルミ、運転温度は120℃という条件を鑑みると、運転温度ではクリアランスが大きくなるので、冷間で最小限のクリアランスがあれば大丈夫のはずです。ポンプの能力で考えればクリアランスは小さければ小さいほど良いのです。といってなければポンプの回転が重くなり、ギアでボディを削ってしまいます。

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新しいシールを組み込む時は、向きとセット高さに注意します。青矢印より出っ張っているとポンプギアと干渉して回転が重くなります。

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ギアの向きやスピールキーに注意をしてポンプを組み立てます。この時にキーを落として気が付かないと、折角オーバーホールしたポンプも何も仕事ができません。

矢印のプラグもタダのフタですが、ココからオイル洩れもするので確実に締めておきます。

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ココでのワタシのとる方法は、ギアとシャフトのキー溝を合わせておいて、キーを差し込むというものです。

この場合は写真のロックできるピンセットが必須です。

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リテーニングリングを装着するのには、写真のような先が曲がったリングツールが必須ですね。

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リングが溝にキチンと納まったか確認するのには、ピックとか細いドライバーの先で矢印のように動かしてみます。動くようであれば納まっているし、納まってなければ動かないし、無理に動かせば外れてしまう筈です。

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ポンプボデイの指定締め付けトルクは5.1~5.7Nmとなっていますが、ワタシの判断ではチョット緩い。

尤もこのくらいのトルク値では、ネジ山や座面の状態に左右されやすいし、トルクレンチや使い方でも大きく変ってしまいます。

余り言いたくないことですが、この辺りの微妙なところが「経験」しかないのかもしれません。

ガスケットのところで触れましたけれど、ココを締めすぎるとガスケットが潰れてクリアランスが無くなってしまいます。

クリアランスが無くポンプの回転が重くなる程度で済めば未だ良いのですが、ギアがロックすればキーが破損して、シャフトと空回りでは笑えませんね。

ポンプが軽く回るかの判断に不安があれば、ポンプドライブギアをつける前に一度ポンプを仮組みして、シャフトを指先で回してみて確認すれば良いでしょうね。


ダービーカバー シール

2006年05月22日 | プライマリードライブ

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最近ご無沙汰している最新モデルに触る機会があったので、レポートを。

光っているのはクラッチカバー(通称ダービーカバー)とオレンジ色の物体のシールです。

このゴツイ、専用変形Oリングとでも言ったら良いのか、座屈に対しては相当抵抗力がありそうで感心しておりました。アメリカ人なら「Oh!Great!」とか言いそうなシロモノです。

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ところが、カバーを取り付けようとしたら評価は一変です。ご覧のように伸びて大きくなり収まりません。

対策としては

  1. 新品と交換
  2. 接着剤で固定
  3. グリースで固定
  4. シールを冷蔵庫に入れて硬くなるのを待つ

勿論1の新品と交換が普通は正解です。しかし、当ショップは正規販売店ではないので情報がなく、設計変更になったのを現物を見て始めて知ることでした。

それにココは割と最近変わったばかりなので、よもや又変更になるとは夢にも思わなんだ。

これほど経年変化による座屈を考慮したOリング(要は初期性能が長持ちする)は過去にも見たことがないほどなのに、毎回交換とは理解しがたい。省資源の理念にも反しますね。

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何回かの試行錯誤のすえに、見事に収まりました。

方法は完全脱脂で、金属とゴムの摩擦が最大限に発揮する条件を作ることにより、成功しました。

問題点は?

  1. 繰り返し使用は考えていないのか、伸びは計算されているのか?
  2. あるいは伸びない材料は使わないのか?
  3. 突起部分の寸法をもう僅か大きくすれば、溝にしっかり固定されるのではないか?
  4. 溝のキャスティングの形状を変えれば、ヌルッと出てこないのではないか?

いずれにしても片手落ちの気がしますが、まあ、ワタシがQC提言しても改善されるはずがないので、ドウデモイイデスカ。

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バー&シールドのシルシがついた立派なガスケットは先のシールの前身です。

小売価格が2200円!更に追い討ちで最小出荷単位が20枚!

ハーレーダビッドソンのメンテナンスの消耗部品を揃えておくのにも命がけのようですね。

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バー&シールド ガスケットの前は、オレンジ色最新シールの基となった、ゴツゴツ付き異形断面形状シールです。これの小売価格は普通に500円くらいです。

ダービーカバーを止めるスクリューが5本になった1999年(ソフィテル)から、急激にオイル洩れの対策の姿勢が変化したようで、何かナリフリ構わずのようにも見えます。

元々ダービーカバーは、クラッチプレッシャースプリングのセット圧を調整するために、このような大きいサイズが必要とされ、ティンカバー(ブリキ)の時代にはコルクのガスケットで8本のスクリューを使っていました。

それが剛性の高い肉厚のアルミ製ハウジングになってから、3本のスクリュー留めになったのです。もっともこの時代のプライマリーチェーンの潤滑には、エンジンオイルの一部を垂らして回収する方式だったため、オイルが洩れてもそう大した量ではありません。

1984年ころからクラッチが湿式になり、オイルは循環しない専用オイルを使うオイルバス式になってからも、上記のように大した対策が施されずに、1999年ころまでは放置?されていましたね。

ココで考えてみると、オイル洩れの対策が大変なのはダービカバーのサイズが大きいのが一番の理由でしょう。大きければ熱膨張の影響も大きく、かと言って固定スクリューを更に増やしたくないのでしょう。

今のダービーカバーの役割は、クラッチの調整とプライマリーオイルの交換や量の点検しかありません。クラッチスプリングがダイアフラムになった当初は調整も必要でしたが、直にそれも不要になりました。

長々と書きましたが、プライマリーチェーンがオートになってインスペクションホールが廃止になった今、どうして同じサイズのダービーカバーに拘るのかが疑問です。

また無益な考察をしてしまった感がありますが、ネタを供給してくれたシールに感謝?ですね。

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元祖ダービーカバー?


ショベル オイルポンプ ④追記

2006年05月22日 | オイルポンプ

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ココ2,3日は某掲示板の一件でチョット平常心を失ったようで、書き忘れました。

①と②の通路が別系統に分かれています。

前述したように、①はシリンダーヘッドとタペットガイド、②はカムギアカバーとビッグエンドです。

ショベルエンジンに油圧計を付けている方はご存知だと思いますが、特にシングルグレードのオイルの場合には、始動直後の高い油圧と、エンジンがスッカリ温まった時のアイドリング油圧の低さには、閉口するのではないでしょうか。

その理由は、サイズが大きい故(各部品のサイズも大)の熱膨張によるクリアランス変化、TCエンジンでようやく採用されたトロコイドポンプに較べて能力の劣るギア式ポンプ、シングルグレードオイルなどなど。

設計年次のフルさを付け加えると、それがハーレーの魅力の基とも考えられるので、フルさは考えないことにしましょう。

前置きはともかく、系統を分けたのはスッカリ熱くなったオイルでは(特に低回転では)油圧が保てないと承知していたと推理します。

これは実験を重ねれば立証できますが、今回は構造からの推理だけにとどめます。

つまり、油圧がある程度下がると図のような状態になり得ると考えて、①の系統には油圧を供給を続け、②はカットして油圧がこれ以上下がるのを防ごうとする訳です。

①の系統ではハイドロタペットに油圧、タペットガイド、ロッカーアームの潤滑には高い要求が必要とされますので、①のコンロッドビッグエンドより優先しなければなりません。

低い回転数でもロッカーアームの軸受けはブッシュなので、潤滑を切らすわけにいきませんし、タペットも油圧がなくなればすぐ作動がオカシクなります。

ビッグエンドの潤滑は、ここにローラーベアリングを使っているエンジンでは圧送を省略している場合も多いし、ケース内に戻ったオイルでもある程度、雰囲気潤滑も期待できます。

油温の上昇や、熱膨張によるクリアランスの増大による油圧の低下には、こうして対処していますが、暖気運転が終わって油圧が下がってからの長いアイドリング運転はタブン想定していないでしょう。

つまり、時々回転を上げてオイルを送る必要があるということです。スロットル操作はヤサシクです。

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おっと写真の年式の記載が間違っていますね。正しくは’81~’84ですね。

この2種類のオイルポンプの能力が改善されたかは判定できませんが、矢印で示す部分の幅が大きくなっています。これはオイル洩れに関しては前進です。