ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

フライホイールエンドプレー シュミレーターにはご用心

2007年06月19日 | フライホイール

人気blogランキングへ  今日は曇りがちで蒸し暑い。

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今回使用した計測機器やSST、部品です。中央の”輪っか”はベアリングスペーサーです。

しかし、マイクロメーターやダイアルゲージは頻繁に使いますね。

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黒いプラスティックの物体がベアリングシュミレーターで、50ドルぐらいしたと記憶しています。

クランクケースの左側ベアリングのエンドプレーを調整する際に、外側ベアリングのかわりに差し込んで使用するものです。

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というのは、ベアリングはスプロケットシャフトに圧入されるものですから、ベアリングの間のスペーサーを交換するためには、SSTやプレスを使って押し出さなくてはならず、少なからずの労力を費やします。

左側の単体スプロケットシャフトは径を小さくして、ベアリングを自由に抜き差しできるようにしてあります。

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コレは調整の途中で、特製スプロケットシャフトを使いエンドプレーは10/100mmですが・・・・。

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矢印はベアリングシュミレーターで、エンドプレーは・・・・・ゼロです!

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本番は3/100mmのエンドプレーにいたしました。

シュミレーターを使う場合は実際との誤差を把握しておく必要があります。

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T&O フライホイール ⑤

2006年01月30日 | フライホイール
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大分時間が掛かってしまいましたが、純正フライホイールの重さが分りましたのでご報告いたします。わざわざ測っていただいたK氏に感謝です。
やはりヘルスメーターでの計測で、約16.5kgということですから、O&Tのものとほぼ同重量ということです。
フライホイールのマス重量は、例え質量が同じでも径が異なると変わってしまいますが、メーカーの謳い文句もあるし、各部の精度もさほど問題はないので、まあ信用しても良いのではないかと思います。値段も安いし。
しかし、パッケージは強度が問題ですね。お買いになる時にはこの点に気を付けたいものです。

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写真は1月7日更新の記事のフライホイール重量測定のものです。





フライホイールピニオンシャフト

2006年01月13日 | フライホイール
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古いフライホイールからピニオンシャフトに付いていたギアなどを移植します。
分解すると結構な数の部品がついていますね。
オイルポンプドライブギア、カムシャフトドライブギアなどです。
矢印が示すのは、カムシャフトドライブギアが嵌るところで、テーパーになっているのが分ります。

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分解するためには、一番外側のナットを緩めますが、ロックタイトが付いていると緩まないので、ヒートガンで120~130℃まで加熱します。 ヒートガンが無ければバーナーでも良いのですが、その場合は過熱しないように気を付けなければなりません。

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このナットは2面しか無いので、SSTを使わないと、このように変形してしまいます。

このナットのネジは逆ネジになっています。

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ナットの単体とSSTです。

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ナットが外れても難関が待ち受けていますよ。
カムシャフトドライブギアがテーパー勘合になっているので、プーラー等で引っ張らないと抜けません。
写真のプーラーは汎用品です。

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スピールキーを新品にして、各部品を前と同じ順序で組み付けたら、ナットを47~61NM(マニュアル記載値)で締めます。
ワタシは左利きなので、このように左手で引いて(逆ネジ)締めます。右手はしっかり押さえないとソケットレンチが滑りますし、トルクレンチも正しく作動してくれません。















フライホイール組み付け③

2006年01月12日 | フライホイール
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左側のベアリングがキマったので次は右側です。(フウー)

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フライホイールの右シャフトはメーカーはピニオンシャフトと呼んでいます。
元々付いていたフライホイールセットと新しいO&Tの径を測って、ほぼ同一なのを確認します。

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クランクケースのベアリングレースを良く点検します。
本来はボアゲージなどで測って、真円度も確認したほうがベターですが、段つき磨耗などは見られないので「良し」としましょう。
磨耗が酷いと、ホーニングしてオーバーサイズのローラーを使う方法もありますので、安心してくださいね。
ワタシはココで使用限度を超えたモノは、まだ見たことがありませんが。

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ローラーも各部測定して、チェックしておきます。
三方向を測定すれば、真円度も分ります。測定するときはオイルを除去しないと値は変わってしまいます。
このように再使用する場合には、回転方向が変わらないようにしておいたほうが良いでしょう。

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左ベアリング(メーカーの呼び名はスプロケットシャフトメインベアリング)をエンドプレー5/100mmで設定しても、ピニオンシャフトの先端では2~3mmの動きがあります。

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メーカーのマニュアルでは、このように分解前のクリアランス測定方法を示しているので、クランクケースを仮組みして同じ方法で測定しました。
マニュアルではこのクリアランスは4~8/10000インチですから、1~2/100mmというところでしょう。
手の感触?で表現すると、ベアリングの付いたシャフトにケースを被せるときに抵抗を感じず、ケースを仮組みしてピニオンシャフトを揺すっても遊びが感じない程度です。もちろんフライホイールを回転させて、重かったり、引っ掛かってもNGです。
次はクランクケースの組み立てです。











上死点マーク

2006年01月12日 | フライホイール
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順序が逆かもしれませんが、上死点マークを確認しておきます。
コンロッドの位置からマークは前側シリンダーの上死点と分りますね。

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点火時期マークとタイミングライトを使うときのビュアープラグです。
点火時期マークは進角時のものであり、上死点前35°に刻印してあります。
メーカーのマニュアルによると、2000rpmのときに35°に合せるとなっています。
’78までのフライホイールにはリアシリンダーの進角マークもあるはずですが、確認した時点で更新しておきます。

写真のビュアープラグはエボリューションエンジン用のもので、フライホイールの厚さの関係から、このままではショベルには使えません。





フライホイール組み付け②

2006年01月11日 | フライホイール
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昨日、ハンティントンビーチ(L.A.のちょい南)在住のShigeちゃんの上司のN氏と電話で話していたら、なんと気温が30度だそうです。もうそんな気候が1週間も続き、半そでシャツでゴルフと聞き、うらやましい限りでした。
いくら南カルフォルニアでも、1月に30度が続くとはは異常です。日本の大雪が温暖化の影響というよりは分り易いのですけれどネ。
京都議定書を無視したアメリカは、2013年(京都議定書は2012年まで)以降の炭酸ガス排出量の規制な興味があるようです。
やはりアメリカは大きなことにはイニシアティブを握らないと気が済まない?

デトロイトショーのニュースを見るとGMもいよいよハイブリッドを売り出すようですが、反面カマロのようなマッスルカーも復活させて大型車の高収益性も捨てられないでいるようです。カマロはチョッと欲しい気がします。
中国のメーカーは1万ドルを切る超低価格路線ですが、韓国メーカーの二の枚になり、貴重な資源を使いゴミを生産したような事にならなければ良いと思っています。

さて、ハーレーのユーザーの方々は、新車であれば又様々な苦悩、旧車であれば修理代に対する不安をお持ちかもしれませんが、ワタシがフライホイールの組み込み作業などを紹介させていただくのは、一つにはユーザーご自身が「自分でもできるかもしれない」と考える可能性。
もう一つは出来上がってしまうとプロセスは見えないので、キチンと回るエンジンは「こんなに手間が掛かる」ことを知っていただきたいという願望ですね。

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もう一度図をみていただくと、エンドプレーはスナップリングとスペーサーの厚さの関係だと理解できます。

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アウターレースをもっと良く落ち着かせるために、SSTで両側から締め付けます。

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専用のSSTがなかったので、色々なものを組み合わせて使いました。

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もう一度シュミレーターを装着して、測った見ると0.08mmです。
う~ん、チョッと大きいかな?
ベアリングは新品だから0.05mmくらいが適正だと思います。

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スペーサーの厚みは2.74mmですね。

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スペーサーは0.0925から0.1205インチまで0.002ごとに揃っていますので、交換することにより調整できるわけです。
0.002インチは0.05mmですが、さすがにこのくらいの単位になってくるとそれぞれに千分の1の誤差があるとなっていますので、細かく調整したいときには大量の在庫から選ぶ必要もあるかもしれません。

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スペーサーが決まってから、外側のベアリングを圧入します。
大昔はワタシも適当なパイプを使ってベアリングを入れていましたが、現在は写真のようなSSTを使います。

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SSTを使っても結構疲れました。

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シュミレーターでの測定結果を丸ごと信じるわけに行かないので、現物を測ります。
色々とやって5/100mmになりました。

*結果報告をすると、ベアリングシュミレーターの精度には疑問があり、今回のケースでは5/100mmの誤差が生じていました。ベアリングセットは今回のものは0.005mmのエンドプレーが設定してあり問題はなかったのですが、シュミレーターは今回初めて使いましたので、検証しながらの作業となってしまいましたね。
こういった検証は1つのケースだけでは確定できませんので、あと何回かのケースを踏まえて又ご報告いたしましょう。

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圧入したベアリングを抜くのにはプレスで押します。
クランクケースにダメージを与えないように木片を敷いて、シャフトのねじ山を潰さないようにアルミの端材を使います。
この作業はいくら気を使ってもベアリングのローラーに圧力が掛かりますので、必要最小限の回数にしておくべきだと思います。
























フライホイール組み付け

2006年01月09日 | フライホイール
O&Tフライホイールも今までの測定、調整でクランクケースに組み込める段階になりました。
シャフトのベアリングなどは調整しながら組み込む事になります。

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コンロッドのスモールエンドはチェックしなかったので、ピストンピンがスムースに入るか確認しました。

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左側のベアリングはティムケンのセットの新品を使います。
このセットはベアリングとリング、スペーサーがセットになっていて注意書きにも「他の部品と混ぜるな」と書いてあるので
このまま使えるとは思いますが・・・。

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セットの内容です。
ベアリングとアウターレースの組み合わせも間違えないように気をつけます。

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スペーサーとリングの厚みを数箇所を測定して、均一かどうか確認しておきます。
これらの部品は精度を要求されるので「念には念を入れて」という事ですね。

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スナップリングの開口をオイル穴に合わせて取り付けます。
かなり強固なので、飛ばしてケガをしないように気をつけて作業します。

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SSTを使ってアウターレースを圧入します。
SSTがなくても適当なアテガネを使えば可ですが、抜くときはSSTを使ったほうが10倍楽に作業できます。

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ベアリングの圧入のコツは「マッスグに入れる」だけです。
まっすぐに入れれば圧入の硬さが分るので、後のトラブルを防ぐ事ができます。

アウターレースが緩いとエンジンが温まってから異音の発生があり、修正にはスリーブの製作など難しい仕事が待ち受けていますが、生半可な対処では長持ちしない修理になってしまい1年を棒に振った例も知っていますので、早いうちに最善の処置をする事をオススメします。

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ベアリングとレースの組み合わせを崩さないように注意しつつベアリングをフライホイールのシャフトに圧入します。
写真のように助っ人にフライホイールを支えてもらえば、無理な力を掛けずに済みます。

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フライホイールにケースをのせて外側のベアリングを組み込んで、エンドプレーの確認(セットなので調整は不必要のはず)をします。
写真はJIMSのベアリングシュミレーターですが・・・・・。

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セットのスペーサーを入れて・・・・。

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シュミレーターをのせて、ナットを締めて・・・・
「エンドプレーが無い?!」

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このベアリングを図にしてみると、こんな感じです。
クルマの整備士はテーパーベアリングを2個セットにした使い方は、ハブベアリングやFR車のデフのドライブギアのようにプリロードを掛けるのが常識になっていますが、ココやハーレーのハブではクリアランスを設けるのがメーカーの指示になっています。
エンドプレーの数値はマニュアルの記載値です。
追記で静かに乗る方は小さめ、飛ばす人は大きめとなっていました。いずれも基準値の範囲を越えない事ですね。

エンドプレーの不適切の場合
大きすぎ   異音、振動過大
小さすぎ   異音、過熱(油温上昇)

続きます。


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T&O フライホイール ④

2006年01月07日 | フライホイール
旧知の小金丸さんのHPにお邪魔していたら、T&Oのフライホイールに関する質問が来ていました。
問題はストロークの件で、Ⅴツインのカタログの記載では41/2インチストロークになっているではないですか!!
それで、ストロークを実測してみました。
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ストロークの計測といっても測りづらいので、シャフトの向こう側からクランクピンの中心まで70mm。

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シャフトの径が31.8mmだから。
(70-31.8/2)×2=108.2mm
80エンジンのデータは4.25インチですから 25.4×4.25=107.95
多少違いますが、”70mm”が怪しいので同じとしておきましょう。

という事はカタログの記載がミスということになるでしょう。嗚呼!


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T&O フライホイール ③

2006年01月07日 | フライホイール
S11_1
アライメントは図のように4箇所をフライホイールを回転させて測定しました。

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一番高いところの中心にマーキングして、測定値を書き込んでおきました。
0.08mm狂っていました。
チョッと大きいですね。

S12
アライメントの狂いは大きく分けると図のように4種類だと思われます。
4箇所を測ることにより、どのような狂い方であるかを知る事ができます。実際には4種類のほかに複合されたものもあります。

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今回のケースは④の狂い方ですから、広がっているほうが高くなるので、クランプで締めてみます。

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低いほうは幅が狭くなっているので、バールで広げてやっても良いわけです。
フライホイールスタンドが旋盤なので、ハンマーを使うと壊れそうですからハンマーは使いません。

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一番低いところに目盛りを0にあわせておいて高いところが0.03mmですから上々ですね。
ワタシはクランク芯出しの名人というレベルではないのですが、それなりの道具があれば誰でもこの程度は可能でしょう。
こういった事はどこかをいじると他の場所にも必ず影響があるので、もう一度4箇所を測定して問題がなければ完了です。

重量バランスに関しては、芯だしの十倍くらい時間と手間が掛かるので、リーズナブルな価格のパーツを使うコンセプトに反しますから次の機会にいたしましょう。


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T&O フライホイール ②

2006年01月07日 | フライホイール
S90
左がT&Oで、右は元々入っていた純正加工フライホイール。
ご丁寧にコンロッドまでポリッシュされて、大幅に軽量化されています。

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T&Oのほうは16.5kg弱
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軽量フライホイール!は14.5kgと2kg弱軽くなっていました。

S98
”軽量フライホイール”にはこんな打痕が

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フライホイールの芯を出すのには、バールを使ったりハンマーで叩いたりしますが、ハンマーの場合には銅のものを使ったり、写真のような柔らかい金属(アルミなど)のアテガネを使わないと、比較的柔らかいフライホイールは簡単に凹んでしまいます。

ハーレーも耐久消費財の一つですから、購入した持ち主は法に触れない限り「如何様な改造」でもする権利?があります。
現在売られている新車は20年経ってみないと分りませんが、ショベル以前の古いハーレーが生産台数のかなりの高い割合で生き残り、実用に供されているのは事実であります。これは他のクルマやバイクでは決してみられない現象で、ある面絵画や生活美術品などに共通する魅力があるのでしょう。
絵画と言えば、ある製紙会社の会長さんがゴッホの絵を何十億円かで手に入れ「死んだら一緒に焼いてくれ」と言い、世間の大顰蹙を買ったことがありましたね。ワタシもこれには同感で、歴史的な価値があるものはたとえ大金を払っても、一時的に占有する権利だけのことで、将来ずっと価値が残るように保管する義務も併せて持つべきだと思います。
世界遺産の認定が進んでいるのも、こういった気運の高まりなんでしょうね。
こういったことをハーレーに結びつけるのは大袈裟であり、また無理もあるのでしょうけれど、中島誠之助氏ふうに言うと「いいものですから、これからも大切に使ってやってください。」

アメリカ国内でも、オリジナル度の高いナックルなどはコレクターアイテムになっていて、現地で買っても3万ドルとかしますし、エボリューションモデルの中古も結構高く日本の中古車価格とそう変わりません。そういう観点でみるとショベルが一番安く手に入り、大分少なくなってしまったけれど1万くらいで走りそうなモノは手に入ります(日本人が買い漁ったので高くなった説も有力?)。
しかし、そういったなかにはスワップミートで安く手に入れた年式違いのパーツを組み込んで調子が悪くて手に負えなくなって売りに出されたものや、カルフォルニアのイチゴ農夫がサイドビジネスに、エンジンは掛かるけど乗り続けられないようなソロモノを日本向けに生産?しているものも未だ有ります。
万が一そういったハーレーを手に入れてしまっても、そう悲観するものではないのがハーレーのよい所で、社外の優良な補修部品が揃っています。もちろん玉石混合でもあるので判定も難しいですからワタシも検証を続けなければなりません。
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アチコチを測定して誤差を確認しておきます。

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Vツインの部品は遥々カンサスシティーからやってきますが、梱包が脆弱で発砲スチロールは容量が足りずに壊れていました。その点S&Sの梱包はしっかりしていましたね。

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そんな訳で、フライホイールの狂いも入念にチェックします。
調整は後に続きます。



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