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ライダースクラブ今月号(9月号)に掲載されているWAKANのアラン・カスカートのレポートを読んでいたら、ヨーロッパのユーロ3規制が来年から始まるとありました。
ユーロ3の実施時期はワタシが以前から検索したり調べていたのですが、中々見つかりませんでした。
日本の平成18年規制が輸入車にも適応されるのは平成20年9月からですので、ヨーロッパの方が先に規制が発表になっただけに、ほぼ同じ内容の規制が1年早いということになりますが、こうして考えてみると、ハーレーダビッドソンの2007年モデルが一斉に変ったことは当然と言わざるを得ません。
排ガス規制値(11年規制→18年規制)
平均値
CO 13.0→2.0 HC 2.0→0.3 Nox 0.3→0.15
上限値
20.0→2.7 2.93→0.4 0.51→0.2
使用過程車アイドリング CO 4.5%→3% HC 2000ppm→1000ppm
乗用車 現行規制 CO 1.15 HC 0.05 Nox 0.05 単位はg/km
*ここの平均値は形式指定車で求められる数値、上限値は平行輸入車などの規制値(現在のハーレーダビッドドソンもココに含まれる)
現行の11年規制から18年規制になり数値的にも厳しいのは当然ですが、もっと大きいのは測定方法がコールドスタートになったことです。
乗用車の規制値もついでに記載しておきましたが、2輪車の次の規制値はコレと18年規制との中間くらいに?
*コールドスタート 文字通りに暖機運転無しで計測が始まる。現行の測定方法は2回分のモードパターンが暖機運転にあてられる。特にリーンバーン(希薄燃焼)方式では暖気が済むまでチョーク(エンリッチナー)を効かせる必要があり(触媒も機能する温度になるまで)それだけ厳しい条件である。
*測定方法
実験室温度の25℃に一晩放置したあと、2輪車モードといって市街地走行を想定したパターンを繰り返しダイナモ上を走行して、排出した全部の排気ガスを分析し1kmあたりの排出成分量を算出する.
日本の規制値はユーロ3を基にしたものですけれど、最近のニュースでは世界統一基準を採用する方向です。音量を含めた後付マフラーの形式指定制度の組み入れは、こうした背景も見逃せません。
ハーレーダビッドソンの全モデルのキャブレーションがヒューエルインジェクションに移行したのは、排ガス測定方法がコールドスタートになったのが要因なのはいうまでもありません。規制値自体が厳しくなっていますが、エンジンと触媒が運転温度に達する前はCOとHCの排出が多く、出来るだけ早く運転温度に達する設定が必要。
空冷エンジンの危機は?
空冷エンジンの存続危機はとりあえず気にしなくて済みました。「マフラーの容量」シリーズで燃焼室の形状の進歩について解説いたしましたけれど、もう一度排ガス規制をクリアするための事情やらをおさらいしましょう。
- 現在の排ガス低減技術は希薄燃焼と3元触媒
- 希薄燃焼をウマク行うには吸気行程でのスワール生成が必須
- 理想の縦型スワールにはペントルーフ型燃焼室の4バルブ
- ハーレーの燃焼室は2バルブながら縦スワールの生成も?(不完全としても)
- 現行基準のような高いレベルでないならスポーツスターなどのように、触媒無し・キャブでもOK
- しかし排ガス低減の点火マッピングに無理があるようで、ドライバビリティが悪くなる事も。
- コールドスタート導入で、暖気前の排出量をカバーするためにも暖気後の排出量低減の必要。
- 暖気前の補正空燃比のコントロールにもインジェクションが必要。
- 温度が上がりやすいリーンバーンでは、冷却性能と暖気を早めたい要求を両立させるコントロールは空冷では無理がある。
- オーバーヒートは様々な害をもたらし、エンジンの寿命にも影響するばかりではなく、ノッキングしやすい状況になり走行を阻害してしまいます。
TCエンジンではシリンダーベースガスケットを廃止しましたが、これは冷却性能をカバーするためで、ヒートダムとなるガスケットを無くしてクランクケース全体も熱容量の一部とした他、ワタシが考えるにトランスミッションケースもクランクケースと広い面積で接する構造にし、少しでも冷えるようになっております。ミッションケースの下にあるオイルタンクも底部分にフィンでも付ければとも思いますが。
そう考えると、リンクルペイントも表面積を稼ぐ手段かも。
そういえば2007年モデルにはチョット不思議なデータも発表されています。マイル/ガロンは燃費のことですが、’06モデルのFLHTCUiが市街地で39マイル/ガロンなのに対して、’07は32.5と大きく落ち込んでいます。
32.5マイル/ガロンは約13.7km/Lに相当しますので、日本の混雑した道路では10km/Lに満たないかもしれませんね。
日本では幸か不幸か、まだ本格的な夏が到来していないので、06’ダイナが高温多湿の日本の夏の洗礼を受けていませんからオーバーヒートの報告を聞きませんけれど、どうなるか心配です。
皆様ご承知のように88から96にスケールアップして、それぞれの事情を抱えながら興味深々であると思います。この変更が乗り味にどのように影響するかはワタシも興味はありますが、燃費の落ち込みはガソリンを冷却に何処かで使っているのでしょうね。
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