ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

油圧の分配③

2007年08月16日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ 8日連続猛暑日。隣の熊谷市では40.9℃!

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エンジンを掛けた直後では、オイルが硬いのでファーストアイドル(チョークが効いて高いアイドル回転)では両方のゲージは高い値を示します。40℃の気温ではゲージが振り切るまでにはなりませんでした。

画像のゲージはピンボケになってしまいましたが、2つを一緒に撮影すると被写界深度が大きいのでご容赦を。

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油温が上昇すると徐々に油圧は下がり、2つのゲージはほぼ同じ値になります。

通常の走行では、値がもう少し下がるにしても望ましい状態です。

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エンジンが完全に暖まると避けられない状況になります。

つまり低い回転のポンプギアからは大した油圧を発生できないので、リリーフバルブは閉じてしまい②の通路には油圧は送られずに、①の通路を優先してしまいます。

もっとも普通はチョット回転を上げれば②のゲージも上がりますから、そう大事には至らないはずです。ただ②のゲージで油圧を確認した事例は他に見当たりませんから・・・・。

油圧は流量と各部のクリアランス、オイルの粘度による結果に過ぎませんから、メーカーでは油圧だけではなく流量も計測しているはずです。

例えクランクの支持がコロベアリングで、プレーンメタルベアリングのように油圧のなくなることが即エンジンの故障になるわけではありませんが、長い間低いアイドリングをさせることがビッグエンドの故障の原因になることは都市伝説ではありません。中々気づかないだけだと思います。

都市伝説といえば”リリーフバルブを強くすれば油圧が上がる”のは”そうして欲しい”低い回転では効力がないこともお分かりだと思います。

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油圧の分配②

2007年08月15日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ 7日連続猛暑日。いつまで続くのだろう?

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この図を描くのが億劫で、 ”油圧の分配”の続きを中々更新できませんでした。

シリンダーヘッドの辺りはだいぶ省略してしまいましたが、ご勘弁ください。

オイルポンプギアが回転することにより発生された油圧はチェックバルブボールを押し上げて、まず①の通路を経てオイルスクリーンを経由し、途中で分岐してからリフターブロックとシリンダーヘッドに油圧を供給します。

エンジンの始動直後はオイルも硬く油圧は相当高くなっていますから、リリーフバルブプランジャーを押し上げて③の通路から油圧を逃がし、オイルポンプギアの駆動の負担を減らします。

ワタシは経験したことがありませんが、一説によると夏にエボエンジンモデルにシングル#50オイルを使い、そのまま北海道に行ったりして気温が下がるとギアのキーが破損することがあるとか。

ポンプ内の油圧は温度にも影響されますが回転数にもほぼ比例し、リリーフバルブプランジャーは油圧により常時上下に動いているわけです。

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ピニオンシャフト先端は画像の矢印が示すように、カムギアカバーのブッシュは荷重を支えると同時にビッグエンドへの油圧を供給しています。

ここのクリアランスはやもすると重視されていませんが、マニュアルによると0.0127~0.0635mmというかなり小さな値が設定されています。

というのは、ハーレーダビッドソンではビッグエンドも全体の支持もコロベアリングですから、平メタルのように油圧低下、即焼き付きにはなりませんので、図の①が優先されて②はその次ということになっていますが、ココのクリアランスが大きすぎると油圧は逃げてしまい、ビッグエンドまで届かないことも考えられます。

クルマや多くの4気筒エンジンのようにクランクベアリングは軸受けが平メタルであり、この場合は金属同士が直に接しないように高い油圧が設定されており、分配でも一番に優先されています。

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画像はロッカーアームのバルブ側ですが矢印はオイルの吐出口で、シャフトと軸受けを潤滑し終わったオイルはココから流れ出て、バルブ頂部付近を潤滑(と冷却)します。

続きます。

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油圧の分配

2007年07月21日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ 今日も鬱陶しい天気。   

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上は”ショベルオイルポンプ④”に掲載した画像ですが、コレを見ていただくとチェックバルブやリリーフバルブの働きが分かると思います。

エンジンとオイルが冷えていてポンプの圧力がスゴク高いときには、リリーフバルブが開いての通路から逃がしますが、エンジン温が高くなって油圧が低くなる過程において、の通路の油圧がどうなっているかを検証したいと思います。

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①の通路は黄色矢印のようになっていて、②の通路は赤矢印赤破線の示すような経路をたどります。

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そしてカムギアカバーの中を通り、フライホイールのピニオンシャフトを経由してコンロッドピンを潤滑します。

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リリーフバルブのスプリングを引き伸ばすと油圧が上がると思っている方もいらっしゃるようなので、矢印の”リリーフバルブスプリングアジャスタブルスクリュー”を使ってみました。

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ロッカーシャフトのところのオイルゲージ。

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②の通路には矢印のようなアダプターを取り付けて・・・・。

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ゲージを取り付けました。

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1つの画像に収めたためにチョット分かりづらいかもしれません。両方のケースが同じ場所に潤滑不足による表面剥離を起こしていると思われ、ハーレー特有の低速トルクを楽しむ乗り方をやりすぎたのかは不明ですが、少なくとも日本での道路環境ではそうした乗り方になりやすいのは明らかです。

先日メールで、ご自身のエボFXRがコンロッドベアリング粉砕によるエンジン大破の報告をいただきましたが、表面剥離がその1歩手前なのか2歩手前なのかはワタシにも分かりません。

ただ危ういと思うのは、オイルランプの油圧スイッチが設置せれているのはショベルエンジンではポンプギアの直後、エボエンジンではリフターブロック手前ですから、クランクピンへの供給はリリーフバルブスプリング次第なのです。

続きます。

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オイルポンプのオーバーホールは

2007年07月19日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ  今日も1日どんより曇り空。  

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オイルポンプボディーはガラスビーズでブラストしてキレイに仕上がりましたが、チェックバルブのチェックもします。矢印はガソリンで、ココに溜めておいて反対側に洩れなければ良いのですが・・・。

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”オイルポンプ チェックバルブ”に登場したSSTを使うことになりました。

摺り合せと確認を繰り返すこと10回近くで、何とか満足いく結果になります。こういったことをしているとアッというまに1日が過ぎてしまいます。

しかし、これを怠るとエンジンを掛けない期間が数日で、ブリーザーから大量のオイルが出てきてしまいますから。

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画像ではザラザラに見えますが、ルーペで目視した結果はキレイに当たりが出ています。

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オイルポンプ チェックバルブ

2006年12月05日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ 連続して氷点下の朝でした。

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ドライサンプ式のオイルポンプには、写真のようなチェックボールとスプリングを使ったチェックバルブがあります。オイルタンクがポンプの上に位置する場合では、エンジンを暫らく掛けないでいると、重力でクランクケース内にタンク内のオイルが流れ込んでしまいます。

エンジンを暫らくぶりに始動させると、クランクケースブリーザーからオイルが吹き出してしまう症状があれば、まずこのチェックバルブが疑われます。

チェックバルブの鋼球には見覚えがないですか?

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ポンプはS&S製ですから、純正ポンプとは景色が変わって見えますが、矢印はチェックボールとその上のスプリングが分かると思います。

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チェックボールの当り面を上から覗いて見ました。オートフォーカスのカメラではこういう場合ピントを合わせるのは至難の業です。

この当たり座面が荒れてボールとの密着が悪くなれば、チェックバルブの機能が失われるのは想像できるはずです。

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チェックバルブのチェック(ああヤヤコシイ)はボールとスプリングを組み付けた状態で、写真のようにポンプボディを横にして、通路にガソリンを満たしてみました。

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写真のように白いコーティング紙の上に放置しておくと分かりやすいですね。矢印は洩れてきたガソリンです。

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ココで例の鋼球+真鍮棒SSTの登場です。お分かりでしょうけど鋼球はチェックボールでした。

矢印は"コンパウンド”です。

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コンパウンドはバルブ(吸気バルブとか排気バルブの)摺り合せに使うコンパウンドです。

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これはダイアモンドの粉末入りコンパウンドです。

”コンパウンド”はすっかり”磨き粉入りの練り物”の代名詞になってしまった気がいたしますが、元々はやはり"ポリッシュコンパウンド”だったのでしょうか?辞書で調べてみると、混ぜ物とか複合したとかあります。

そういえばターボコンパウンドエンジンなるものがあり、古くはB-29の最終型に開発されたライトカーチス製R-3350は旅客機(ダグラスDC-7)にも使われたそうですが、過給用のタービンを出力軸にも連結するという余りの複雑さに手を焼いたようです。もっとも複雑さは星型2列18気筒という他の要因もあり、現在のボルボの大型トラックエンジンにも応用され実用化されています。

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こうやって立てたポンプボディに真鍮棒を手でひたすらクルクル回して、ボールの当り座面を摺り合せると完璧になりました。

ところが!こうした作業をしているうちに、また重大な発見がありました。

気になる重大な発見は次回に!

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悪夢の終焉

2006年09月26日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ   予報通りの雨になりました。夏と同じ服装では20℃は寒いですね。

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皆様のご想像通りに、スタッドボルトを抜く際に折ってしまいました。

これは決してこのブログのネタのために折ったのではないことを申します。

でもコレはまだ悪夢の序章に過ぎなかったのです。

言い訳をさせていただきますと、ボルトを抜く際に折るのは締める時に較べれば、それほど恥ずかしいことではありません。(いや、同じようなことかな?)

奥側を抜くのが簡単であったのが敗因の一つですね。

ともかく、こうしたトラブルは落ち着いて対処の方法を考えるのが一番です。頭に血が上ったままナントカしようとすると取り返しのつかないことになります。

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面からボルトの残骸が出ていない場合には、まずスタンダードな方法で手掛かりをつけるためにボルトの中心に穴を開けます。センターポンチを打つのですが、これが後々の成果に大きく影響しますから、慎重に行います。

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こうしたアングルドリルがあると、エンジンを降ろさなくても作業は行えますが、非常にやりにくいのでドリル錐を折るリスクも考えなくてはなりません。

スタッドの径は1/4インチですから約6.5mmで、使用するドリル錐は3mmです。余り細いと穴は開けやすいのですが折れやすいので、この辺りの選択も鍵になります。

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エキストラクターは左に回すと食い込むようになっていて、運が良ければコレで抜き取る事は可能です。

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しかし、エキストラクターも折れちゃったのですね・・・・・・。悪夢の第2章です。

勿論無闇に力技に任せたわけではありません。加熱すること1時間、工業ドライヤーで100℃以上に暖めて、緩み始めてから更に力を入れたらポキッと・・・・。

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エキストラクターも硬いのですが、超硬ドリルでは穴を開けることができます。折れたエキストラクター先端を除くのに、超硬ドリルの出番も考えましたが第3章に突入しそうなので、写真の電動リューターを借りてきました。

手元のペンシルエアリューターではミッションが邪魔で作業しにくいので、苦肉の策です。

リューターで約3時間掛ける事により・・・・・。

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なんとか復活いたしました。こうして細いネジ1本で半日以上費やす事もなきにしもあらずですから、ネジの取り扱いには充分以上の注意を払うべきですね。

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悪夢の始まり・・・・

2006年09月25日 | オイルポンプ

人気blogランキングへ   明日の天気予報は雨だそうですが、今日の夕焼けでは信じられませんね。

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例のナンチャッテローライダーFXEもオイルポンプを付ける段階になり、しまっておいたポンプはS&S製でした。

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しかし、クランクケースは'79年以前のもので、矢印の示すところにリリーフバルブからの通路がありません。

ココは”ショベルオイルポンプ④”で説明しているように、リリーフバルブ上部に流れ込んだオイルが逃げる通路ですから、'80年以降のポンプをレトロフィットする場合には、通路を開けなければなりません。

低すぎる油圧も困ったものですが、油温が低い時には粘度が高いので油圧が高すぎて、リリーフバルブが開かないとポンプシャフトのキーが破損したり、ポンプ付近で余計なリークも起るかもしれません。

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ガスケットをアテガッて通路を開ける場所にマーキングします。

この段階では悪夢は解消していますが、半日以上潰れてしまいました。詳しくは次の更新で・・・。

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この通路を開けるのにはS&Sから治具が出ているようですが、私は治具なしでやってしまいます。

角度を付けて穴を開ける場合は、最初に面に対して直角にドリルの先端を当てて、1mmくらい削ってから徐々に角度を付けていきます。

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最終的にコンナ角度です。

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矢印はドリルの先端です。ドリルの錐を折ると悪夢再びですから成功して良かった!!

人気blogランキングへ  お陰さまでトップ維持ですが、まだまだ安心できません。


ショベル オイルポンプ ⑤

2006年05月24日 | オイルポンプ

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ポンプボディにギアを組み込んだ状態では、写真のようにボディの端面よりギアのほうが出っ張っています。

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新しいガスケットを乗せるとクリアランスが出来ますね。このガスケットの厚みは0.3mm程度で、ボディの固定ボルトで締め付けられると20~25mmに圧縮されるでしょう。

マニュアルには「ポンプは故障が少なく、油圧が上がらなくなったら交換する。ガスケットは純正品を必ず使用。」程度のことしか書かれていないので、ここの適正なクリアランスは不明です。

ギアは鉄、ボディはアルミ、運転温度は120℃という条件を鑑みると、運転温度ではクリアランスが大きくなるので、冷間で最小限のクリアランスがあれば大丈夫のはずです。ポンプの能力で考えればクリアランスは小さければ小さいほど良いのです。といってなければポンプの回転が重くなり、ギアでボディを削ってしまいます。

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新しいシールを組み込む時は、向きとセット高さに注意します。青矢印より出っ張っているとポンプギアと干渉して回転が重くなります。

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ギアの向きやスピールキーに注意をしてポンプを組み立てます。この時にキーを落として気が付かないと、折角オーバーホールしたポンプも何も仕事ができません。

矢印のプラグもタダのフタですが、ココからオイル洩れもするので確実に締めておきます。

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ココでのワタシのとる方法は、ギアとシャフトのキー溝を合わせておいて、キーを差し込むというものです。

この場合は写真のロックできるピンセットが必須です。

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リテーニングリングを装着するのには、写真のような先が曲がったリングツールが必須ですね。

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リングが溝にキチンと納まったか確認するのには、ピックとか細いドライバーの先で矢印のように動かしてみます。動くようであれば納まっているし、納まってなければ動かないし、無理に動かせば外れてしまう筈です。

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ポンプボデイの指定締め付けトルクは5.1~5.7Nmとなっていますが、ワタシの判断ではチョット緩い。

尤もこのくらいのトルク値では、ネジ山や座面の状態に左右されやすいし、トルクレンチや使い方でも大きく変ってしまいます。

余り言いたくないことですが、この辺りの微妙なところが「経験」しかないのかもしれません。

ガスケットのところで触れましたけれど、ココを締めすぎるとガスケットが潰れてクリアランスが無くなってしまいます。

クリアランスが無くポンプの回転が重くなる程度で済めば未だ良いのですが、ギアがロックすればキーが破損して、シャフトと空回りでは笑えませんね。

ポンプが軽く回るかの判断に不安があれば、ポンプドライブギアをつける前に一度ポンプを仮組みして、シャフトを指先で回してみて確認すれば良いでしょうね。


ショベル オイルポンプ ④追記

2006年05月22日 | オイルポンプ

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ココ2,3日は某掲示板の一件でチョット平常心を失ったようで、書き忘れました。

①と②の通路が別系統に分かれています。

前述したように、①はシリンダーヘッドとタペットガイド、②はカムギアカバーとビッグエンドです。

ショベルエンジンに油圧計を付けている方はご存知だと思いますが、特にシングルグレードのオイルの場合には、始動直後の高い油圧と、エンジンがスッカリ温まった時のアイドリング油圧の低さには、閉口するのではないでしょうか。

その理由は、サイズが大きい故(各部品のサイズも大)の熱膨張によるクリアランス変化、TCエンジンでようやく採用されたトロコイドポンプに較べて能力の劣るギア式ポンプ、シングルグレードオイルなどなど。

設計年次のフルさを付け加えると、それがハーレーの魅力の基とも考えられるので、フルさは考えないことにしましょう。

前置きはともかく、系統を分けたのはスッカリ熱くなったオイルでは(特に低回転では)油圧が保てないと承知していたと推理します。

これは実験を重ねれば立証できますが、今回は構造からの推理だけにとどめます。

つまり、油圧がある程度下がると図のような状態になり得ると考えて、①の系統には油圧を供給を続け、②はカットして油圧がこれ以上下がるのを防ごうとする訳です。

①の系統ではハイドロタペットに油圧、タペットガイド、ロッカーアームの潤滑には高い要求が必要とされますので、①のコンロッドビッグエンドより優先しなければなりません。

低い回転数でもロッカーアームの軸受けはブッシュなので、潤滑を切らすわけにいきませんし、タペットも油圧がなくなればすぐ作動がオカシクなります。

ビッグエンドの潤滑は、ここにローラーベアリングを使っているエンジンでは圧送を省略している場合も多いし、ケース内に戻ったオイルでもある程度、雰囲気潤滑も期待できます。

油温の上昇や、熱膨張によるクリアランスの増大による油圧の低下には、こうして対処していますが、暖気運転が終わって油圧が下がってからの長いアイドリング運転はタブン想定していないでしょう。

つまり、時々回転を上げてオイルを送る必要があるということです。スロットル操作はヤサシクです。

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おっと写真の年式の記載が間違っていますね。正しくは’81~’84ですね。

この2種類のオイルポンプの能力が改善されたかは判定できませんが、矢印で示す部分の幅が大きくなっています。これはオイル洩れに関しては前進です。


ショベル オイルポンプ ④

2006年05月21日 | オイルポンプ

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オイルポンプシリーズもいよいよ大詰めです。

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オイルポンプが作動する前は、チェックバルブのボールがスプリングに押されてシートに密着して、通路を塞いでいます。

オイルタンクはポンプより高いところにありますので、特にエンジンを停止した後はオイルの粘度も低く、ポンプギアの間をすり抜けてココまでやってきます。

チェックバルブの機能が悪くなると、オイルがクランクケース内に流れ込んでしまうのは、お分かりでしょうか?

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冷えていたエンジンを始動すると、オイルも冷えているので流動性が悪く、油圧は最大になります。

まずチェックバルブのボールを押し上げて、①の通路からシリンダーヘッド・タペットガイドに油圧を送ります。

次にプランジャーが赤矢印の方向に動き、②の通路からコーンカバーを経由してコンロッドビッグエンドを潤滑します。

①と②に油圧を供給しても、まだ圧力が高いとプランジャーをさらに押し上げるので、⑤の通路が開きオイルポンプカバーのタンクからの通路に放出して、油圧を一定以下に保ちます。

*ここで④の説明もすると、リーリーフバルブの役目をするプランジャーは、ポンプボディ内のシリンダー中を上下にスライドしますが、スプリング側にも流れ込んでしまいます。そしてココに充満すると(充満しなくても)プランジャーの動きを阻害することになるので、通路が必要になるわけです。

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’80年以前のポンプの特徴はコノ大きいキャップですが、矢印で示す通路もあります。

ネジ山が合うからと、他のキャップを絶対に使ってはいけません。

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何故ならば、’81年以降の④の通路が上の図のようになっているので、塞いでしまうとリリーフバルブのプランジャーが動かなくなってしまいます。

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オイルポンプ③で予告した通路④の説明になりますね。

このクランクケースは’83年ですから、④の通路が開いています。出口は3.5mmのキリを差し込んだ青矢印の先になります。

しょべろーさんのご質問に関連していますが、'80年以前のケースには通路があいていないので、S&Sや純正の’81年以降のポンプを組み込もうとすると、ココに穴を追加工しなければなりません。

穴の角度が変なのは赤矢印のカバーボルト穴を避けているからです。

ワタシにとってもハーレーのオイルポンプが理解しづらく、あまり触りたくない時もありました。でも分かってしまえばソレほど難しいモノでもありません。まあこれは何事にも言える事かもしれません。

もう1回だけ続きます。