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これはショベルヘッドのクランクケースで、矢印の部分にクラックが生じています。
下のクランクシャフトベアリングアウターレースが鋳込まれてるとは言え、肉厚が5mm程度しかないのでは、ある意味当然の結果かもしれません。
全部が全部クラックが入るわけではありません。これは無事なクランクケースです。
しかし、ベアリングとケースの穴には相当な負荷が掛かっている痕跡が見られます。
限られたスペースに必要なサイズのモノを押し込めるのにはカナリ苦労したのでしょうね。
アウターレース外径とカムベアリング外径は必要最小限の大きさです。カムベアリングのアウターレースの肉厚がもう少し厚ければ荷重の分布も変っていたでしょうけれど、その分ケースの方の肉厚がなくなってしまいます。基本設計から考えると最善とみても良いと思います。ほとんど同じエボエンジンでもそれほど多くのトラブルが発生したわけではありませんから。
しかし、プレッシャーのきついバルブスプリングやハイリフトのカムを使用するとなると、結果は保証できません。
TCエンジンで大きく変ったのは、その名の由来とおりカムをシリンダー毎に分離して2本にしたところです。
上の写真の赤両矢印が示すように肉厚を大きく取って、ダイブ丈夫そうになっています。
ベアリングも下の写真のようにチョッピリ大きくなっています。
しかし!
ワタシも初めて気が付いたのですが、タペットガイドがない!?
エボエンジンまでは別体のタペットガイドがあり、万が一故障したり磨耗したら交換できます。
しかし、クランクケースの一部を研磨してガイドにするとなると、磨耗したらケース交換ですね。
イヤイヤ大騒ぎする事ではありませんでした。
スポーツスターでは’95年モデルから、別体タペットガイドは廃止されていたんですね。実績がありました。
でも、クランクシャフトベアリングアウターレースが交換できることを考えると、釈然としませんね。
トヨタが世界で一番の生産台数に到達するのはモウジキのようです。
昔は世界の半分の台数を作っていたアメリカのメーカーは、当時自信に溢れていましたから、デッカイエンジンの設計も手馴れたものでした。デカければ常用回転数も抑えられ、ガソリンは大量消費したとしても、ある意味効率が良かったとも言えます。
例え、日本の感覚で整備不良と言われるような状態で、オイル消費量が大きく白煙吐いていたって、1クオート1ドルの安いオイルを継ぎ足していれば、タフなV8エンジンは走り続けていたのでしょう。
鋳鉄ヘッドではバルブガイドも使わず、直接ヘッドにバルブガイド穴が開いたエンジンも多く、それらにステムシールを付けるために考えられたのが、’04以降のスポーツスターのシールなんだそうです。
こういった例や、日本製のツインカム(DOHC)でもタペット穴は直接ヘッドに穴を開けてあるし、ココでとやかく言うのは考えすぎ?
続きます。