ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

フロントマスターシリンダー

2005年09月30日 | メンテナンス
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’79年のフロントブレーキマスターシリンダーです。
リザーバータンクを開けてみるとパッキンがご覧の通りですが、中央の半浸透膜はどうにか形を保っているので、グリコール系のフルードは使われていないようです。P1010132
パッキンも外して、リザーバータンクの中をチェックしてみると、かなり堆積物があります。
この様子だと、シリンダーの中も危ないですね。
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このマスターシリンダーの裏側を見ると意外に複雑になっていますが、レバーのピンを外すだけでそっくり取れます。
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レバーを外せば、このようにピストンと止めているサークリップが見えますので、ピストンを長い棒状のもので押しながらサークリップを外せば、ピストンが出てきます。
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インナーパーツはこのようにヘドロのような堆積物にマミレていました。
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シリンダーの内壁も汚れがこびり付いています。
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シリンダーの内壁を磨くのには、写真のような専用のブラシをボール盤につけて回転させて磨きます。
ブラシの先端は球状になっていて、深い傷を作らないようになっています。
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シリンダーの奥までブラシを差し込んで、浸透潤滑剤などを吹きかけ、シリンダーボディをしっかり押さえてから、ボール盤を回転させます。
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写真は磨いた後です。このようにピカピカになります。
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ピストンを止めるサークリップですが、裏表に注意します。
写真は上側になっているほうに「丸み」が付いています。
こちらが裏になります。
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端面が角ばっているほうが、外側になるように組み立てると外れにくいと言う事です。

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組み立てるときも、ピストンを押しながら、サークリップをセットします。
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サークリップをセットしたら、キチンと溝に入っているか確認します。
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後はレバーを取り付けるだけです。
このマスタシリンダーには2本のレバーの上のほうのメッキパワーレバーが付いていましたが、カッコ悪いので下のほうの純正のものを使います。
*ブレーキ部品は重要保安部品です。上記の写真と記事を参考に作業されてもワタシは責任は負いません。



フレアナットレンチ

2005年09月30日 | 工具の使い方
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’80年ローライダーのフロントブレーキキャリパーのブレーキホースをこれから外すところです。
左は普通のオープンエンドレンチです。
右はフレアナットレンチといいます。
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以前にココをいじった人がズサンな仕事をしたようでナットが変形しています。
フレアナットはかなり締めこまないとブレーキフルードが洩れてしまう割りに、ナットが小さいので変形しやすいのです。
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3/8のオープンエンドレンチ(スパナ)で緩めようとすると、ご覧のようにヒライてしまって緩める事はできません。
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次にフレアナットレンチを使ってみると簡単に緩める事ができました。
もちろん、締めこむときにも使うとナットを痛めることはありません。
こういう工具は使用頻度が少ないのですが、なくてはならないものです。


トルクス

2005年09月29日 | 工具の使い方
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ターミーからトルクスに関してコメントがありましたので検証してみました。
トルクスはTORXで、商標登録してあるようです。通常のソケットヘッド(6角穴)のボルトに比べ、その名前の通りトルクを掛けても壊れにくいのが売りですね。ただ穴の深さが浅いので、力の入れ方によっては「滑らせて」しまうかもしれません。
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左側がT27、右側がT25です。
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マスターシリンダーのクランプに使っているスクリューはT27が合います。
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ところが、このようにT25を合せてもそれほど違和感はないのです。もちろん、このような使い方をしてはいけません。
トルクスはその独特な形状のため、1つ小さいサイズの工具でも使えるような気がしてしまいます。
ワタシはトルクスを使う場合は念のため、上下のサイズを差し込んで確認することもあります。
プラスドライバーなどを使用して、硬く締まったネジを緩める場合と同じで、押す力を、回す力をぐらいの感じで作業すると滑らせずに緩める事ができます。


ブレーキトルクロッド

2005年09月29日 | ブレーキ系
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これはGMAのリアブレーキキットを取り付けた写真ですが、例によってそのままでは付きません。
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フレーム側の取り付け部が、このようにOEMタイプのトルクロッドが付くようになっていました。
キャッスルナットが付く純正のボルト径は1/2ですからかなり大きいです。

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写真はボールエンドタイプのトルクロッドを固定する3/8のボルトです。穴は13mm以上の大きさですからブカブカです。
GMAのキャリパーブラケットはアルミですからOEMのトルクロッドを使って、純正の1/2ボルトで緩く固定するわけには強度の関係で行きません。
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左下のような段付きカラーを作れば、問題解消です。
平ワッシャーなどで誤魔化すと大変です。ワッシャーは座屈してグラグラになってしまい、このように大きな力が掛かるボルトにガタがあると衝撃荷重で折れてしまう危険があります。



ネジのメカニズム

2005年09月28日 | ネジ
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ワタシの職業は一応経営者であるのですが、生涯メカニックだと思っています。
メカニックはどんな事をしているでしょうか。
一番多いのはネジを、締めたり緩めたりしている事です。まるでネジ締めの職人のようです。
皆様はネジを締めるのには、指定トルクを気にしていますか?
実はこれが締結力の管理方法としては一番簡単ですけれど、アテにならないのです。

その理由を検証する前にネジのメカニズムを考えてみましょう。

ネジはご存知のように、雌ネジと雄ネジのそれぞれにラセン状の溝があって、回転させると、その方向に対してほぼ直角の方向に移動していきます。
この回転させることにより発生する力を軸力といいます。
通常のネジは1条ネジですから、1回転で1ピッチ(山と山の距離)の距離しか移動しませんので「摩擦によるロスを考えなければ」軸力は回転力の31.4倍になります。
M6のネジで考えてみると、ピッチ1mm ナットの大きさ(2面サイズ)10mm
作用点をナットの外側の面として、1回転ですから、移動量は2πrで31.4mm
ナットの軸方向の移動量は1mmですから  31.4/1=31.4倍になります。
更に長さ100mmのスパナを使えば628倍になることです。
ネジの使い方は様々ですが、概ね回転力を軸力に変換させて利用しているのです。
基本として例にとると、2枚の板を貫通させたボルトとナットで挟み込んで、軸力を使って2枚の板を圧縮して固定すると言う事です。
ここまではご理解いただけましたか?

弾性

金属には力を加えられると元に戻ろうとする性質があります。それは引っ張られても圧縮されても同じです。
ただし、変形させようとした力に対した変形量は金属の種類によって異なります。これをヤング率といいます。
ネジはほとんど鉄系の材料から作られていますが、炭素の含有量によっても違いますし、異種金属との合金(ステンレス等)によっても変わってきます。
先ほどの例の「2枚の板を貫通させたボルトとナットで挟み込んで、軸力を使って2枚の板を圧縮して固定する」では板は圧縮されますが、ボルトの頭とナットの間の軸部分は引っ張られます。その力によりボルトは変形しますが、その変形はつまり「伸びる」ということですね。
その伸びはあるところまで加えられる力「トルク」にほぼ比例していきます。

弾性域締結法

難しい言葉ですが、これがトルクレンチで通常締め付ける方法です。
ボルトの頭とナットの「板」との接する面を「座面」といいます。
この座面とネジのかみ合っている部分の摩擦が、弾性域締結法では問題になってきます。締め付けトルクが大きくなってくるほど摩擦も大きくなって有効に軸力に反映されません。
トルクが大きくなくても、ネジ山や座面にゴミが付いていたり荒れていたりすると、そこで無駄な力が費やされてしまって充分な軸力が確保されないで、締結力の不足によるトラブルが生じます。
ココが当てにならない理由ですね。

塑性域締結法

またまた難しい言葉ですが、塑性というのは変形したら元に戻らないという意味です。彫塑につかう粘土には弾性などありません。
ハーレーにもエボ以降のエンジンヘッドボルトは塑性域締結法の1種である「回転角法」を用いています。摩擦の影響を受けない範囲のトルクで締めてから90度締めるという締め方です。
エボ以降は変形しやすいシリンダーをサンドイッチにして、具に圧縮されて薄くなってしまうガスケットが2枚あるので、それを見込んだ正確なトルクで締めないと、ヘッドガスケットが飛んでしまうか、シリンダーの変形量が変わってピストンの当たりがおかしくなってしまいます。
弾性の説明である所までトルクに比例すると言いましたが、金属は変形量が大きくなると形を復元しなくなります。これを降伏点といいます。塑性域を進むと極大点があり最後に破断点があります。つまり壊れてしまいます。
つまり、乱暴に言えば「壊れる寸前」まで締めるのです。いや正確にいえば壊れる1歩手前で止めることですね。
「回転角法」のほかに「トルク勾配法」というのがありまして、降伏点を測定して確実に塑性域締結をおこないます。
今やジャイロレンチなどというコンピューター内臓のトルクレンチがあり、これを使えば「トルク勾配法」も簡単に実践できるようです。

座屈

使用済みの平ワッシャーを見るとボルトの頭の形に凹んでいます。
古い話ですが、新幹線のモ-ターを止めるネジが飛んでしまった事故が10年以上前にありました。これは塗装を施したフレームにモーターを載せてボルトで固定していたのですが、締め忘れではなかったようです。
塗装は金属と違って弾性はありません。しかし金属より確実に柔らかい物ですから、新幹線のモーターを固定する強大なトルクで締められた圧力では圧縮されて縮んでしまいます。被締結物の寸法が小さくなってしまいますと、当然ボルトの伸びは小さくなってしまい軸力が低下してしまいます。ワッシャーの凹みと同じ事です。
このように、ボルトやナットが回転して緩まなくてもネジの緩みは生じます。
更に付け加えますと、塗装がされていない鉄板でもマクロ的に見ると細かい凸凹があり、これが振動等で摩滅すると軸力は低下して振動による微細な運動は増加し、磨耗は促進されて同じことが起ります。
つまり、通常の緩み止めであるロックタイトやスプリングワッシャーでは座屈による緩み止めの効果はありません。
塑性域締結法はこれに対しても効果がある場合もありますが、ボルト類は再使用できませんのでコストは高くついてしまいます。一番は増し締めですね。
職人は壊れる1.5歩くらい手前まで締めます。








丸型端子

2005年09月27日 | 電気系
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各種サイズの丸型端子です。
これだけ揃っていると、ほとんどの状況に対処できます。
左側の3種はバッテリーケーブルに使います。
下の3種は被覆付きの圧着端子ですが、ワタシはハンダ付けしにくいのでほとんど使いません。

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先に熱収縮チューブを入れておいて、丸型端子に被覆を剥いた銅線を差し込んで、しっかりつぶし圧着します。


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よく温めておいたコテで、ハンドを良く溶け込むように付けます。
コテの熱でチューブがしないように気を付けて下さい。

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冷めてからチューブを被せて、ヒートガン等でチューブを収縮させます。





被覆銅線

2005年09月27日 | 電気系
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ワタシがワイヤーハーネスを作る銅線は、写真のビーメックスという商品名の耐熱性のあるものを使います。
通常の自動車用の被覆銅線より高価ですが、安心して使えます。
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某メーカーのウインカーに使ってある被覆銅線をライターの炎で炙ってみると、1秒で燃え上がってしまいました。
これは自動車用銅線でもありませんね。
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ビーメックスをライターで炙っても、煤がついてちょっと黒くなるだけで、燃える様子はまったくありません。



インチネジ

2005年09月26日 | ネジ
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インチネジの簡単な説明をいたします。
通常ハーレーに使われているのはユニファイネジと呼ばれるもので、軍用のためにアメリカ、イギリス、オーストラリアの3ヶ国の間の統一規格といわれています。
イギリスではウイットネジも使われていて、ねじ山の角度がユニファイが60度、ウイットが55度と異なりますが、建築用などはサイズによっては混用も許されているようです。
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このネジは5/16-18と言います。
軸径が5/16インチ 約8mm 1インチ当たりにネジ山が18あるということです。
ネジの下にあるのが1インチのスケールです。
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これはインチとミリの換算表です。
ホームセンターで510円で買った300mmのスケールの裏側に書いてありました。
中々便利ですよ。


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上から5/16-24   5/16-18   M8-1.25 の各ネジです。
5/16-24はUNF(細目)でアメリカ人はファインスレッドと呼んでいます。
5/16-18はUNC(並目)でハーレーでも今ほとんど使われているネジです。
M8-1.25はミリネジの標準ですね。1.25とはねじ山の間隔です。
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左はピッチゲージといって、ねじ山に当てて何山か正確に知る事が出来ます。



ネジを緩める②

2005年09月26日 | ネジ
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今日は天気がよく湿度も低いので「1年中こんな天気なら」というような1日でしたので、仕事も進みブログには近付けませんでした。
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アーリーショベルのタイミングカバーを止めているスクリューは、このようにマイナス頭のネジです。
よく見ると欠けています。このままでは普通にマイナスドライバーで緩める事は出来ません。
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普通の工具で緩められないネジをとる方法はいくつかありますが、いずれも結構手間が掛かります。
まず試したのは一番簡単な方法で、古いマイナスドライバー(役に立ちますから捨てないほうが良いです)を当てて回転力を与えてみます。
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当てるドライバーの先の位置と角度がポイントです。
あまり端ですとネジの頭のほうが負けてしまい、中心では回転力が与えられません。
ハンマーに入れる力の加減もちょっとコツが必要ですね。
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無事に外れました。
多分締めるときに欠けてしまったので、あまり強く締められていなかったようです。
この方法でダメであったら、ドリルで穴をあけて逆タップで取るとか、更に難しい作業になってしまいますが、簡単な方法から試すほうが良いと思います。



SSTを作る②

2005年09月25日 | SST
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旧タイプのイグニッションスイッチですが、リングナットはプライヤーでくわえて回したらしくキズだらけです。
手に持っているのは2mm厚のステンレス板から作ったSSTです。これは随分まえに作ったモノですが大切なパーツをキズ付けることなく作業ができます。