言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

『常用漢字コアイメージ辞典』への賛否

2012年02月15日 22時09分01秒 | 日記・エッセイ・コラム

常用漢字コアイメージ辞典 常用漢字コアイメージ辞典
価格:¥ 5,040(税込)
発売日:2011-10-22
 先日の毎日新聞の書評欄で、山崎正和氏が表記の『常用漢字コアイメージ辭典』を取上げてゐた。山崎氏らしいまとめかたで、その本の中心テーマをくつきりと浮び出す書き方は讀んでゐて興奮してくるほどだ。毎日新聞のホームページでも讀めるから、關心があれば一讀をしてみてはいかがだらうか。

                    ☆

 漢字學の泰斗白川靜の「摸寫圖形説」を根本的に否定する加納喜光氏のこの辭書は、漢字を生み出したで支那であつても、無文字時代があつたのであるから、音のイメージによつて文字のまとまりがあるはずだといふ學説によつてゐる。

                    ☆

 この支那にだつて無文字時代はあつたのである、といふ指摘にはびつくりした。なるほどさうだと、目を開かれるやうな思ひになつた。それで、早速本屋に行き、その辭書を見てみた。氣になる漢字をいくつか見たのだが、正直がつかりした。自身の學説に縛られ過ぎではなからうか。何でもかでも「音・イメージ」で捉へるといふのは、漢字の會意性や象形性を無視し過ぎてゐると感じられたからだ。白川靜の學説もあまりに漢字を呪術性に引き寄せ過ぎてきれいすぎる大系であるが、この「音・イメージ」説は、もつと恣意的のやうに感じた。

                    ☆

 山崎氏も專門家ではないと自身を斷つてゐるが、漢字學の專門家からの意見をうかゞひたい。値段は5040圓で、辭書としては妥當なものであるが、私は今囘手にすることをやめた(やつぱり高いですね)。

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