言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

時事評論石川 2020年10月号

2020年10月23日 20時34分46秒 | 告知

今号の紹介です。

 山崎正和が亡くなつて、月刊誌や文藝誌が少なくとも追悼の辞ぐらゐは載せるだらうと思つて今月号の様々な雑誌を見てみたが、どれ一つとして載せてゐない。いづれ『アステイオン』は載せるだらうが、新潮社も文藝春秋も、ましてや読売傘下の中央公論もその死に触れてもゐない。江藤淳の死の時もじつに冷ややかであつたが、それでもここまではない。じつは山崎はそれほどに敬遠されてゐたといふことであらうか。さうであれば、谷沢永一が言つてゐた通りである。その業績とはあまりにもかけ離れたマスコミの扱ひ方には、日本人の陰湿な気質が表れてゐるやうに思ふ。

 強い者には弱く、弱い者には強い。それは伊藤要氏が書いてゐる「記者」の資質そのものである。第四権力たるマスコミは、国民の信託を受けてゐないのに、どうしてあのやうに傲慢でゐられるのか。勘違ひしたその存在は、いづれしつぺ返しが来るだらう。

 どうぞ御關心がありましたら、御購讀ください。  1部200圓、年間では2000圓です。 (いちばん下に、問合はせ先があります。)
                     ●   

取材することと貶めること

 記者のパフォーマンス、もはや政治活動

  新聞記者 伊藤 要

            ●

コラム 北潮

            ●
チベット自由の戦士アマ・アデ女史を偲ぶ

  チベット文化研究所所長 ペマ・ギャルポ
            ●
教育隨想  教科書の採択結果ー文科省は左傾したのか?(勝)

             ●

連合は共産党排除の野党共闘を求めよ

 労働組合の政治的社会的責任

  元中村学園大学教授 青木英実

            ●

「この世が舞台」
 『匈奴列傳』 司馬遷
        早稲田大学元教授 留守晴夫
 
            ●
コラム
  米国の混乱を見ながら(紫)

  ”先取り”風評被害(石壁)

  山崎正和翁の逝去を悼む(星)

  絶望的なり、外務省(白刃)
           

  ● 問ひ合せ 電話076-264-1119  ファックス 076-231-7009

   北国銀行金沢市役所普235247

   発行所 北潮社

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日は雨 教育も雨

2020年10月09日 20時01分05秒 | 受験・学校

 今日の当地は台風が近づいてゐて終日雨。こんな日に名古屋に出張。でもとてもいいお話が聞けた。医学部研究会での話。大学の先生も誠実な医療従事者を求めてゐるといふこと。当たり前を捨てる教育が巷では流行してゐるやうだが、それはきつと人を惹きつけるための方便だらう。すべきことはソクラテス以来変はつてゐない、たぶん。騙されてはなるまいて。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ミッドウェイ』を観る。

2020年10月02日 15時35分29秒 | 映画

 

 

 今年は、観たいと思ふ映画が少ない。コロナ禍のせいもあつて、ジブリ映画ばかりやつてゐた時期もあるし、そもそも映画館に行かうといふ気持ちも起きなかつた。

 そんな中で、この映画はその存在を知つてから観たいとずつと思つてゐた。つい最近公開になつたばかりと思つてゐたが、9月11日から公開されてゐた。あまりの忙しさに足が向かなかつたが、やうやく落ち着いてきて昨晩上映時間を調べたら、ほとんどの映画館で夜の8:00か9:00スタートの一回きりであつた。それだけ人気がないといふことだらう。夜の9:00スタートでは終映時間は11:00を過ぎるのでは次の日の仕事に差し支へる。それより、そんな遅い時間では「あくび」もせずに映画が観られるかどうかも怪しい。夕食後は睡魔に勝てさうにない。

 諦めかけてゐたが、滅多にいかない少し遠い映画館を調べてみたら、朝の9:40スタートとあつた。ただし、こちらも一日一回であるから人気がないのは同じ。しかし、ありがたいことに午前中のスタートの回は1,200円で観られる。明日は、仕事もお休みといふことで本日出かけてきた。

 日本側の映像にはどことなく違和感があつた。描かれる日本人の表情に乏しく、映像は暗く、西洋人が観た日本人のいつもの感じと言へば分かる人には分かるだらうか。しかし、それは決して「反日的」に描かれてゐるものではなかつた。組織の硬直した感じも、それは命令系統の峻厳さとしても描かれてゐて、日本の組織の両義性を浮かび上がらせてゐた。これだから日本は負けたのだらうと私たち日本人には直観的に分かる。

 一方、アメリカ人の映像も英雄を讃へるだけの明朗な雰囲気ではなかつた。真珠湾攻撃を受けて、ひるんで恐怖し士気を失ひかけていく米兵の姿をベトナム戦争以外の映像で観るのは初めてのやうに思へた。命令には服従するが、その前には自分の意思をきちんと上官にも伝へるといふことがたとへ軍隊であつてもマナーであるとの文化の違ひを見せつけられた。実に「個人」が生きてゐるのである。

 ミッドウェイ海戦の詳細を私は知らないから、ことの経緯を映像だけで追ふことは難しかつた。しかし、2時間30分でそれをじつに巧みに作り上げ、大作と呼ぶにふさわしく仕立てたのはすばらしい。

 高揚する気分に自分でも驚きながら、最後まで楽しめた。覚悟がない者の惨めさも思ひ知らされるから、その高揚感は決して爽快なものではないが、かういふ人物たちがゐたといふ歴史の事実には励まされもした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする