言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

時事評論石川 2021年11月号(第811号)

2021年11月27日 08時33分49秒 | 告知

今号の紹介です。

 1面の改革幻想批判は、まさにその通りといふしかない。「改革とは、諸外国の動向を真似て上から無理矢理日本社会に導入しようとすることの謂に他ならなかった」とは至言である。ただ大阪での「維新の会」の躍進と自民の大敗北は、「日本で衰退し続ける地域での『反動』」という解釈には異論がある。むしろ自民の自滅といふのが大阪に片足を踏み入れてゐる者としての実感である。吉村知事の功績に比べる実績が自民の政治家にはない。大阪人は、さういふ実利で判断してゐるだけである。良くも悪くも改革がいかなるイデオロギーに属してゐるかどうかを判断する感性には乏しい。それにしても、改革といふ名の扇動はいい加減にやめてもらひたい。権力闘争の大義名分に使はれてゐるばかりで実質的に成功した改革といふものはあるのだらうか。目指すなら改善、それでいい。

 3面の投資に倫理をといふのも、どこまで信じてよいのか分からないが、改革幻想を打ち破るものとしては期待したい。私が学生時代には経済学部はフリードマンの利潤追求第一主義に毒されてゐたが、いま企業や社会で活躍してゐる人の大半はその信者たちである。さういふ人は競争一辺倒の価値観で、他者の利益をいかに自己に誘導するかばかりに注力する。見てゐて不快になるが、それで一言申し上げると「それは敗北者の感想だ」と一蹴される。こちらにはそれを言ひ返す言葉がなく、ただ「それだけであるはずはない」と独り言つばかりだが、「サスティナブル投資」といふ視点は有効だと感じる。しかし、そのサスティナブルといふ言葉も何だか陳腐化しつつある表現ではある。

 

 どうぞ御關心がありましたら、御購讀ください。  1部200圓、年間では2000圓です。 (いちばん下に、問合はせ先があります。)
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平成の「改革」幻想よさようなら

  岸田政権による盤石なる「普通」の回復を祈る

       甲南大学非常勤講師 山内雁琳

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コラム 北潮(議会制度の成熟と選挙権の拡大―政治学者のミスリード)

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かくして習近平は神になろうとしている

   平成国際大学教授 浅野和生

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教育隨想  教科書で習近平個人崇拝を教へ込む愚(勝)

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投資に倫理は必要か――ブラック・ロックのサステナブル投資を考える

   駒沢大学教授 村山元理

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コラム 眼光
 共産党は「革命政党」だ(慶)
        
 
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コラム
  大状況を語れない(紫)

  未成年犯罪匿名報道の意義を問う(石壁)

  今は垂直移動の時代である(星)

  「同坑異土無し」なのか(梓弓)
           

  ● 問ひ合せ     電   話 076-264-1119 

                               ファックス   076-231-7009

   北国銀行金沢市役所普235247

   発行所 北潮社

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ブックオフに願ふこと

2021年11月21日 10時43分14秒 | 日記

 本を古書店で買ふことが多い。書店まで車で15分かけないと行けない場所に住んでゐる者としては新刊書はもつぱらAmazonだが、近年の出版事情では文庫も新書もすぐに品切れになつてしまふから、いさ読まうとすると古書店を頼ることが多い。

 そこで真つ先に見るのがブックオフのサイトである。検索も楽であるし、安価である。ところで、ブックオフで本を買つてもらつたことが何度かあるが、本の価値が分からないのであらう。出版年度で値段を決めてゐるのではないかと思ふほど買値を叩かれる。それでもそんなものかなと思ふこともあるので、私自身があまり価値を置かない本は送料無料で引き取つてくれるといふ利便性を考慮してブックオフで売ることにしてゐる。

 このことは、逆に言へばこちらが購入者になるときには安価で手に入れられるといふことでもある。したがつて、まづはブックオフで調べて安ければ即購入といふことになる。

 

 しかし、ブックオフには欠点がある。それは本の状態が分からないことだ。値段のつけ方が分からないといふことは本の価値が分からないといふことで、「読めればいいだらう」といふ判断なのだらう。マーカーで線が引かれてゐようが鉛筆やボールペンで書き込みがあらうが、値段に差がない。先日も340頁の本に調べたら33頁にもわたつて線引きやらメモやらが書かれてゐた。こんな状態は本をぺらぺらと捲ればすぐに分かるはず。しかし、そのことは何もサイトには書かれてゐない。そもそもその情報を載せる欄がないのだ。ちなみに、「日本の古本屋」やメルカリやヤフオクの場合には、写真が載つてゐたり、情報が記されてゐたりする。それがあれば購入するかどうかを事前に判断できる。ところが、ブックオフではそれが出来ない。安価であることの欠点がここにあるのだらう。もちろん、それを購入したくなければ返品依頼もできるが、面倒くさいのは事実である。

 「読めればいい」といふのは、書籍が情報化してゐる時代では当然なのかもしれない。しかしモノとしての書籍にとつてはたいへんな瑕疵である。大量の古書を扱ふブックオフには、書籍の状態を載せる手間暇はデメリットでしかないといふ判断があるのだらうが、モノを購入する側としてはやはり残念な事柄である。改善を求めたいが、無理だと諦めてゐる。

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