言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

太郎の造型

2013年01月20日 10時30分46秒 | 日記・エッセイ・コラム

 岡本太郎の小さなおもちゃの第3集が、海洋堂から発売されることになつた。好きだから、早速手にして喜んでゐる。特に、「光る彫刻」と名付けられた照明器具の造型は、白い筒から何本も突起物が出てゐて、あるものは上を向いて曲がり、あるものは下を向いてねじれてゐる。かういふ形状は、太郎の特徴であるが、この形が気に入つてゐる。なぜかと訊かれても答へられない。http://www.youtube.com/watch?v=DxANGfjqwCI

Photo_2

  岡本太郎の藝術は、背伸びである。無理をしてゐる。縄文土器を探りださうが、子どもの無邪気さを発見しようが、どうしようもない、私たちの近代の薄つぺらさを直観で知つてゐたやうに思ふ。その上で、なんとか日本の近代を造型しようともがいてゐるのである。そのもがきが、上のようなねじれになり、絵画に記されたやうな爆発の表現になつたのである。無理をしてしか生きられない、日本人の近代、それを体現した藝術家だから私は岡本太郎が好きである。

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謹賀新年

2013年01月05日 12時03分31秒 | 日記・エッセイ・コラム

平成25年 明けましておめでたうございます

久しぶりに実家のある静岡で元旦を過ごしました。富士山がこれ以上ないほどの美しさで迎へてくれたのがたいへんに嬉しかつたです。高速道路を運転しながら、その絶景ポイントになると急に自動車の速度が落ちるのは少々危険なことでもありますが、それほどに人々の心をとらへるのは富士山の魅力の証でせう。雲一つなく、すそ野までが一望できるのは、久しぶりのやうな気がします(下の写真は、もちろん助手席にゐた家内が撮つたもので、運転手たる私は脇目も振らずに運転してをりました・・・)。

25

両親と正月を過ごし、高校時代の後輩に会ひ、懐かしい場所を訪ね、美味しいものを食べ、と正月の定番の過ごし方を今年は満喫した。

「昨年の三冊」といふのをこれまで元旦に書いて来たが、今年はそれを書く余裕さへない。本もあまり讀まなかつた。残念である。それでも挙げるとすれば、

1 『永遠の零』

2 『海賊と呼ばれた男』(途中)

3 『自由と規律』

1と2とは百田尚樹の小説である。とても清々しかつた。さうした内容に通じてゐるのが、岩波新書に入つてすでに60年以上経つ3の本である。池田潔のイギリス留学時代の経験談である。ノーブレスオブリージュの精神を表すエピソードが随所にあつて、かの帝国が世界をリードしたのは単に軍事力ばかりではないことを示してゐる。4時間もあれば讀めてしまふ。が、その精神は私たちの遠く及ばない、あるいはかつてはあつた(少なくとも1と2とにはあつた)が今はもう失ひかけてゐるものである。

永遠の0 (講談社文庫) 永遠の0 (講談社文庫)
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発売日:2009-07-15

海賊とよばれた男 上 海賊とよばれた男 上
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発売日:2012-07-12

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書) 自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)
価格:¥ 735(税込)
発売日:1963-06

良い一年でありますやうに。

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