○時事評論の最新號の目次を以下に記します。どうぞ御關心がありましたら、御購讀ください。1部200圓、年間では2000圓です。 (いちばん下に、問合はせ先があります。)
●
4月號が発刊された。新年度の最初である。そして私の新年度最初のブログもこの「告知」から始めることになつた。実はこの四月に大阪を離れ、愛知県に移住することになつた。家庭の事情と体の不調とでこの結論を出したのだが、五十歳を目前にしてのこの「激変」に今のところ四苦八苦といふところで、不調は続いたままである。そこにきて最近の気温の変化も激しさも手伝つて、体がその変化について行かないやうな感じである。そして、書斎の本がまだ未整理であるのもなんだか不調を助長してゐるやうだ。あれがどこにあるか、あれはどうなつたか、一向に分からず、頭の中が混乱したり気持ちがイライラしたりといふのも、引越しの常であらうとは重々分かつて覚悟はしてゐたつもりだが、いさ実際に引つ越しをしてみるとしんどさはきつかつた。甘えではあらう。昨日も半日、ある物を捜してゐて結局見つからなかつた。やれやれの一日が暮れた。
○
さて、「時事」であるが、アベノミクスとやらで経済は好調のやうである。バブルの再来を期待する向きもあるし、経済成長とは程遠い「気」の高揚に過ぎないと否定する論調もある。ただいづれにしても、「失はれた近代」を取り戻す気概はなく、戦後レジームからの脱却とやらは、所詮景気の復調といふことなのであらう。安倍首相には全く期待してゐないし、彼がやらうとする教育政策は一貫して間違つてゐるから、それについては期待しないどころではなく、反対である。橋下大阪市長も安倍総理も、どうしてあれほど教育に口を出したがるのか分からない。
拉致問題の解決は、重大事である。しかし、それは安否の確認からまづ求めたい。北の国民の解放と同時になされるべきであらう。日本人を返せといふ主張だけで、ロシア、中国、韓国、アメリカが動くとは思へない。核の問題を契機に、その解決の負担を各国が分かち合ふことを目指し、たとへば金一族の亡命をロシアとアメリカとに求め、その後の経済負担を中国、日本が担当し、韓国がインフラの整備をするといふのはどうだらうか。安倍政権には「大きな政治」を求めたい。
2面の三浦小太郎氏の論考は面白かつた。先にも書いたが、私は安倍氏には期待してゐない。それでも評価する人が多くゐるといふ事実は変はらない。三浦は、「ナチスやスターリンの行つた国内での大量虐殺は、国内では自由や進歩を謳ひ、貴族伝統や栄光ある祖国の歴史を讃へながら、植民地で民衆を奴隷労働として働かし、抵抗する者は虐殺する欧米植民地主義の裏返し」といふ指摘はなるほどと思ふ。遅れた者が、先に行く者を乗り越えるには、さういふ逆手に取るといふことが必要になる。今日の環境問題における南北問題もさういふ構図であらう。ただ、歴史伝統への謙虚さだけで、「今やいかなる国家も、グローバリズムと完全に無縁で存在することはできない」といふ危惧を払拭できるかどうか。文明の背後にある歴史の縦軸に言及してほしかつた。
今月の「この世が舞臺」はアイスキュロスの『ペルシャの人々』である。人間の傲慢を戒め、夜郎自大を批判することがいかに難しいか。特に仕事がうまくいき、何でもことが順調に運んでゐるときに、その人に「わきまへ」の大事を説くことのできる従者はゐない。「現代人の言葉が軽くなつた」とはよく聞かれるセリフであるが、さういふことであらう。
☆ ☆ ☆
特攻と拉致問題
――「救出しない」と言うのが政府の方針なのか――
拓殖大学教授 荒木和博
●
安倍政権の文明史的意義
――戦後の偽善と共に自由と民主主義を乗り越えよ――
評論家 三浦 小太郎
●
教育隨想
4月28日を「主権回復の日」にするなら5月15日も祝ふべきだ (勝)
●
『極東国際軍事裁判審理要録』第1巻を編訳刊行して
國士館大學特別研究員 松本 直歳
『ペルシャの人々』アイスキュロス
圭書房主宰 留守晴夫
●
コラム
連合は解散したらどうか (菊)
「護憲」とは? (石壁)
教へるべきは何か(星)
覇權國は野盗の親玉(騎士)
●
問ひ合せ
電話076-264-1119 ファックス 076-231-7009