言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

時事評論石川 2020年11月号

2020年11月20日 08時32分45秒 | 告知

今号の紹介です。

 アメリカ大統領選は、未だ決着がつかないでゐる。ネット上では情報が錯綜してゐる一方、テレビではバイデン新大統領が既定の事実として報道されてゐる。選挙に違法性があつたのかなかつたのか、フェイクはあるのかないのか、当方には全く分からない。しかし、メディアが伝へる情報はいつでも正しいといふことは幻想であるといふことが、もはや「常識」になりつつある。このことを広く世界中の人が学習してゐるといふ意味では重要な出来事なのであらう。世界は、人智で変はつてきたやうでさうではない。運命と呼べば、うさん臭く思はれるかもしれないが、さういふ人智を越えたものによつて決められてゐると私は思ふ。その意味で「目に見えないものを見る力」こそ、最も大切なものなのだらう。逆説めくが、人間の意思では決めることができないものが生を決定してゐるといふことを知つてゐるのが人間であり、それが最も人間らしいことなのである。

 今月号は、静岡県知事川勝平太氏の発言について論評した。政治家としての資質に欠けたインテリ悪漢の振る舞ひを具体的に論じたものだ。期せずして留守先生の「この世が舞台」でも、「専ら他人を軽蔑し誹謗する『気晴らし』に興じて『空気をよご』すインテリ達の精神的頽廃」を批判してをり、共振してゐる感じがある。ありがたかつた。

 どうぞ御關心がありましたら、御購讀ください。  1部200圓、年間では2000圓です。 (いちばん下に、問合はせ先があります。)
                     ●   

米大統領選と日本学術会議

  福井県立大学教授 島田洋一

            ●

コラム 北潮

            ●
インテリの顔をした悪漢――川勝静岡県知事の発言はどこが問題か

  文藝評論家 前田嘉則
            ●
教育隨想  ナショナルこそがインターナショナルであるー新渡戸稲造は語る(勝)

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反原発 立憲民主党の急進派と黙認派

  政治評論家 伊藤達美

            ●

「この世が舞台」
 『退屈な話』 チェーホフ
        早稲田大学元教授 留守晴夫
 
            ●
コラム
  米韓関係の方向性(紫)

  数字の魔術と詐術(石壁)

  見えないものを見る力(星)

  恐るべし、日本共産党(白刃)
           

  ● 問ひ合せ 電話076-264-1119  ファックス 076-231-7009

   北国銀行金沢市役所普235247

   発行所 北潮社

 

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國語問題協議會に参加して

2020年11月13日 19時22分28秒 | 日記

 久しぶりに先週の土曜日、會の例會に参加した。

 31名の参加で、席はすべて埋まつてゐた。小堀桂一郎先生もいらしてゐた。講演は二つ。浅川哲也氏の『日本語の危機的状況について』と、竹本忠雄氏の『宮本武蔵』である。

 前者は、主に「ら抜き言葉」など認められないといふ保守的な立場の国語観で、当會で話すのは言はば安全地帯での発言で迫力はあるが新鮮味はない。議論を深めるために「かうした規範意識の強い国語観をお持ちの先生はなぜ歴史的仮名遣ひを使はないのか」と尋ねたが、「契沖仮名遣ひは話し言葉の影響を受けて変化してゐるので、仕方ない」とのお答へであつた(註)。「?」がいくつも頭に浮かんだので、もう一回だけ同じ質問をしたが、答へは変はらなかつた。「ら抜き言葉は許さない」と激しく論難してゐる人が、仮名遣ひの改変には「仕方ない」と言ふのでは筋が通らない。しかも、そのことに無頓着であることに正直驚いてしまつた。国語学とは暢気な学問である。

 註 当日ご講演をされた浅川先生より、先生のご発言の要約が間違つてゐるとご指摘を受けました。先生の発言の御趣旨は「契沖仮名遣いは、日本語の発音の変化の影響を受けないという点で優れた仮名遣いである」とのことで、私は先生のご発言を全く逆に聞き取つたわけで、ここに訂正し、先生に深くお詫び申し上げます。この文章だけを載せると、何を訂正したのか分からなくなりますので、上の誤記もそのまま残しておきます。詳しい経緯は、コメント欄をご覧になつてください。

 後者は、竹本先生の新著にまつはるお話である。騎士道と武士道がどう違ふのかといふことから話を始められたが、声が小さすぎてあまりよく聞き取れなかつた。お仕へする王と天皇との性質の差が、その差であるといふことをアンドレ・マルローを引きながらご説明されてゐたやうに思ふ。また、吉川英治の影響で武蔵遅参説が巷間に流布してゐるが、それは間違ひである、と典拠を示して話されてゐた。また、同じやうに世に広まつてゐる自画像も本物ではなく、本物はこれだと絵の写しを持つて来られてゐた。足の指が開き地をつかんでゐる、この姿こそ真実の武蔵像であるとのことだ。竹本先生が何故武蔵を選んだのか、それは天皇への思ひにあるのだらうか、といふ気がした。

 その後、茶話会では一言挨拶をして退出し家路を急いだ。

 とても充実した一日だつた。

 帰りがけに、この度會長になられた谷田貝常夫先生からご著書をいただいた。『国語読解・要約法』である。東大の英文科を出られてゐたからてつきり英語の先生かとその日まで思つてゐたが、国語の教師だつた。非礼をまた犯してしまつた。

 

 

 

 

 

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第105回 國語講演會の開催 11月7日(土)13:00 日本倶楽部

2020年11月05日 08時54分13秒 | 評論・評伝

告知です。

明後日のことです。

 

 國語問題協議會主催の第105回の國語講演會が、有楽町の国際ビルヂング8階「日本倶楽部 大会議室」で開催されます。

時間は、13:00から。講演会の費用は、1,000円。会員でなくとも入れますが、その際には、事前にご連絡をとのことです。

1 講演会  13:00~16:00

       「日本語の危機的状況について――ら抜き言葉・ら入れ言葉・れれる言葉――」

         東京都立大学教授 浅川哲也氏

       「宮本武蔵」

         筑波大学名誉教授 竹本忠雄氏

2 茶話会  16:00~17:00  (費用 1,000円)

 

 非会員の方は、ご連絡を。chair@kokugomondaikyo.net

                                        03-5487-5144(高﨑一郎様)

 久しぶりに行つてみようかと思ひます。

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