初詣に出かけて家に戻つた直後からどうも体が重い気がしてゐたら、翌朝から発熱。以来丸四日間伏せてゐた。正月なので病院は休み。隣の市の救急外来に行くも、「インフルエンザは陰性です」と言はれトンプクだけもらつて帰宅。1時間待たされ、やうやく診察・検査を受けるが結果が出るのにまた1時間。これではインフルエンザでない人も、罹患すると感じた。それに診察も怪しい。頼りない感じであつた。
そして週明け、改めて近所の病院で見てもらふと「陽性です。薬を処方しますのでお飲みください。」とのこと。受付、診断、会計、薬局で薬の受領、都合30分。インフルエンザへの警戒心がとても強かつた。早く診断し、早く帰宅させる。その意志に貫かれてゐる気がした。薬局でも、薬をここで飲め、水を用意するからとまで言はれた。今はタミフルではないやうだ。一回で済む新薬が出たと言ふ。熱は2日で下がると思ひますが水分をしつかり取つて休養することと念を押された。そして、昨日の朝、本当に熱は下がつた。薬の有難みを感じた。
今朝からはベッドを離れて社会復帰の準備をしようと椅子に座つてゐる。ちよつと油断してゐるが、仕事も溜まつてゐるので始めなければと気が気でない。冷え込みもきついのが気になるが、ぼちぼちと始めようと思つてゐる。
それにしても正月早々とんだことになつてしまつた。病院まで送つてもらつた家内にも駐車場でけがを負はせてしまつたし、申し訳ないやら情けないやら。お祓ひが必要なのかもしれない。いやいやさうではなく、これぐらゐで済ませてくださつた大運に感謝した方がよいだらうとも思ふ。
それで今朝の讀賣新聞だ。
年始から始まつた「想う2019」の連載が面白い。今朝は、ロンドン大の政治学者エリック・カウフマン(48)へのインタビュ―だ。欧米で起きてゐるポピュリズムは、縮小する白人社会がその危機意識のはけ口として生まれたものとの分析はその通りである。したがつて、トランプの登場も必然と見るし、左翼リベラリズムが不安におびえる白人のポピュリズムを人種差別主義と一蹴することへの再考を求める姿勢には大賛成だ。かういふ冷静な分析が讀賣新聞の論調となれば、トランプ大統領の行動を彼の個人的な資質からのみ判断する言論の軽薄さが浮き彫りになる。その端的な例が、この記事の直下にあるニューヨーク支局の橋本潤也の「読み解く」である。「トランプ氏はいまだにオバマ氏を敵視し、国際社会に背を向け続けている」などと書いてゐる。ニューヨークにゐて「不安におびえる白人の有権者たち」の声を聴いてゐない新聞記者は、観念でものを見てゐるのだらう。だから、当地の大新聞や日本の軽薄メディアの主張に沿つた意見を書いて「読み解」いたつもりで悦に入つてゐられるのだ。
この紙面構成を仕立てたのは、讀賣新聞編集局整理部の大手柄である。これで橋本の記事は信用できないと内外に示し得たからである。紙面構成は、活字以上に真実を「読み解く」。病み上がりに最高の痛快事であつた。
このまま私のインフルエンザも去つてくれればありがたい。
「引き裂かれたヨーロッパ―― 多数派のアイデンティティ危機」がエリック・カウフマンの論文である。
エリック・カウフマンは、こんなことを言つてゐるやうだ。移民法が成立した今、考へたいことである。
イギリスの政治学者エリック・カウフマンはイスラム教徒でも世俗主義・無神論の思想に近づくほど出生率が落ちていることを統計から示し、逆に原理主義者の人口によるヨーロッパでの増加とその後の圧倒は止められないと指摘している。日本がバブルの時期でも出生率が上がらないで減少していたように、フランスやイギリスでも同様に所得が増えても産児数が増えないことが判明している。出生率減少の背景にはかつては職場の紹介やお見合いで誰もが結婚していた皆婚時代から都市部で既婚者が低かった江戸時代のように都市化で婚姻率自体が下がっていることがある。これは景気の良かったバブル時代でも「結婚しているのが普通」との価値観が減退して婚姻率と共に出生率が下がっていたように、お見合い文化や知人からの異性紹介など復活させて婚姻率自体を高めたり、移民受け入れよりも「三人以上出産後でもきちんと育児している家庭」への税制優遇すべきとの主張の根拠になっている。カウフマンは移民希望者への世俗義務化、受け入れ国の言語習得しない者・母国民族主義者や宗教原理主義者・受け入れ国のルールを守らない者などは国外追放など厳格な制度にしないと軋轢が増すだけとしている。
(引用は、ウィキペディア「合計特殊出生率」より)