言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

時事評論 11月號

2012年11月21日 20時13分53秒 | 告知

○時事評論の最新號の目次を以下に記します。どうぞ御關心がありましたら、御購讀ください。1部200圓、年間では2000圓です。 (いちばん下に、問合はせ先があります。)

                 ●

         11月號が発刊された。

                 ○

  政治家の言葉の輕薄は目に餘る。落選することだけを恐れて、次の選擧のことだけを考へて生きてゐるから、さうなるのである。さういふ事態を前にすれば、一票の格差だとか、議員定數の削減だとかは、瑣末なことである。

    政治家を支へる國民の不在、言葉を蔑ろにした國民の爲體、それを論じる言論こそがいま必要である。

     福田恆存の生誕百周年の記念シンポジウムについて書かせてもらつた。山田太一さんの講演がよかつた。それから福田恆存研究がいよいよ新しい世代に入つてきた、それを印象附けるシンポジウムであつた。私は私の言ひたいことを書かせてもらつた。

        今月の「この世が舞臺」は泉鏡花である。日本に生ながら鏡花を讀まないのは「折角の日本人たる特權を抛棄してゐるやうなものだ」との中島敦の言葉が印象的である。       

              ☆        ☆    ☆

非常識と非論理の言葉ども

      ――尖閣、防衞白書、憲法――

       宮崎大學准教授  吉田好克

● 

横井小楠  日本近代化の立役者

 傳統思想を否定せず、近代化を遂げ得た日本

          早稻田大學教授  古賀勝次郎

教育隨想       

      明治の御代に學ぶ、――尖閣實效支配強化の方途 (勝)

福田恆存生誕百年     眞實の言葉へいざなふ人

                   文藝評論家    前田嘉則

この世が舞臺

     「照葉狂言」   泉鏡花                              

                     圭書房主宰   留守晴夫

コラム

        エコノミストといふ名の賣國奴  (菊)

        「戰前囘歸」カルト (石壁)

        追悼    丸谷才一(星)

        共産主義を嗤へるか(騎士)   

   ●      

  問ひ合せ

電話076-264-1119     ファックス  076-231-7009

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朝日新聞・社説の誤用

2012年11月05日 10時05分30秒 | 日記・エッセイ・コラム

  『論語』にある有名な句は、誤つて解釈されることが多い。それは、泰伯第八の「民はこれを由(よ)らしむべし。これを知らしむべからず」である。

  この解釈は、「人民を従はせることはできるが、その理由を知らせることはできない」である。為政者の困難への孔子の同情がその真意であるが、巷間に流布されてゐる訳は、「人民は従わせるべきで、理由を知らせるべきではない」といふことになつてゐる。そんなことを孔子が語るはずもなからうが、「べし」を「当然」の意味で捉へる「べき」と「当然」のやうに思つてゐるから、さういふことが起きる。

  しかも、あの朝日新聞の社説で同じやうに誤用されてゐたから驚きだ。

  先月の24日の社説である。「日韓文書判決――裁かれた外務省の体質」と題された文章の最後のところである。

      情報がしっかり開示され、国民が行政を適切にチェック

     することで、民主主義は発展する。「よらしむべし。知らし

     むべからず」の国に、未来はない。


  まつたく恥ずかしいことになつた。決め台詞のつもりで、『論語』を引用したのだらうが、無知を告白してしまつたといふことである。そして、今もなほその訂正をしてゐないところをみると「朝日新聞の体質」が分かるといふもの(ちなみに直後に朝日新聞社にこの件を連絡したが、返答がないのでこの文章を書いてゐる)。さういふ新聞社に、「未来はない」。

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