言葉の救はれ・時代と文學

言葉は道具であるなら、もつとそれを使ひこなせるやうに、こちらを磨く必要がある。日常生活の言葉遣ひを吟味し、言葉に学ばう。

夏川草介『本を守ろうとする猫の話』

2024年06月02日 11時56分33秒 | 評論・評伝
 
 夏川草介2冊目。肝心の『神様のカルテ』を読まずに、搦め手からの夏川接近であるかなとも思ふ。
 還暦を過ぎた読書中級者には、あまり引き寄せられるところはなかつた。
 現代文の授業的に、この「還暦を過ぎた読書中級者には、あまり引き寄せられるところはなかつた」を説明してお茶を濁す。
 ①主語は何か。  私である。つまり前田。なので私に「 」はつけない。
 ②要素に分解する。A「還暦を過ぎた」 B「読書中級者」 C「あまり引き寄せられるところはなかつた」と三分割する。
 ③それぞれを具体化する。
  A この主人公は高校生であるが、それとははるかに年齢の異なる年配の人である。
  B これまでにその職業を通じて読書生活を人並み以上には過ごしてきた人である。
  C ここは動詞なので、④「なぜ」を突つ込むところ。「私にはそれなりの読書経験があり、本の力を知り、しかしその力はさうやすやすと読書する人に伝はるはずもなく、そんなことが稀であると知りながら読書を続けることに多少なりとも喜びを感じてをり、さらに読書すべき本とは人によつて異なるものであつて読んだ冊数の多寡が価値につながらないといふことも知つてゐる。何より読書によつて奇蹟が起きることもないではないが、それこそが奇蹟的な僥倖であることを知つてゐる者には、本小説が読書体験をあまりにファンタスティックに描いてをり、のめり込むことができなかつたというふこと」といふ理由を添へる。

 ⑤A+B+C ⇒ ⑥字数を整へる

(解答)主人公より年齢が大分上で本を愛してきた私は、あまりに奇跡的でファンタスティックなこの物語に心酔できなかつたといふこと。(59字)

⑦フムフム

8/10点ぐらゐかな。
 
コメント
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