樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

エトピリカ記念日

2006年08月28日 | 野鳥
9年前の今ごろ、一人で北海道にバードウォッチングツアーに出かけました。車で東京まで出て、東京港からフェリーに乗ってアホウドリなどの海鳥を見ながら、釧路に上陸して道東を巡るという計画。タンチョウ(ツル)やクマゲラ、シマフクロウも目的でしたが、いちばん見たかったのはエトピリカです。

      
     (記念に買ったエトピリカのぬいぐるみ。かわいい鳥でしょ?)

8月下旬では時期が遅いのですが、「ノロマなエトピリカがまだウロウロしているかも知れない」と期待して霧多布に向いました。その日は下見程度でしたが、翌28日は早朝、午前中と2回もポイントに行きました。ところが、北海道特有の霧で視界が悪い。
一度はあきらめて次の探鳥地に向おうとしたのですが、「もう一度だけ」と思って再度チャレンジ。4回目でようやく霧も晴れ、岬の先端からエトピリカのいる島が見えます。
60倍の接眼レンズをセットしてスコープを覗くと、「いる!いる!」。黒い体に赤い嘴の鳥が、岩棚の草に隠れてじっとしています。「やったー!エトピリカを見たぞ」。バードウォッチャーが最も感動する瞬間です。
しっかり目に焼き付けようとしばらく見ていましたが、風が強くなってスコープが揺れるので次の探鳥地の根室に向いました。嬉しくて、鳥仲間に「エトピリカを見たぞ~」と絵葉書を出しました。
ところが、2日後の知床で妙なことに気づきました。私が見たエトピリカはずーっと動きませんでした。見ている時は「おとなしい鳥だな」とか「眠っているのかな」と思っていましたが、よく考えると不自然です。そして、エトピリカの繁殖をサポートするためにデコイを設置しているという話を思い出しました。
そう、私が見たのはデコイのエトピリカだったのです。「あ~あ」。道理で動かないはずだ。鳥仲間に絵葉書で自慢したのが恥ずかしくなりました。

でも、このツアーではタンチョウもクマゲラもオジロワシも見られたし、北海道の風景を堪能できたので大満足。その魅力にとりつかれて、その後も車で1回、仲間と船&飛行機で1回鳥見ツアーに出かけました。私にとって、今日(8月28日)は北海道鳥見記念日なんです。
当時のフィールドノートを見ると、17日間の旅程で走行距離は約5,000キロ。転職の合間の無職期間だからできた贅沢なツアーでした。
もう1回行きたいな~。今度は樹も見るぞ!  (本物のエトピリカはこちら
コメント (6)
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