樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

タマシギとクサシギ

2023年09月28日 | 野鳥
そろそろシーズン終盤ですが、9月に入ってからは2~3日に1回の頻度で干拓地にシギ・チドリ観察に出かけています。
今年は水を張った休耕田が少なく、鳥も少ないですが、ジャンボタニシの食害が激しく、植えた稲が食べられて、その分開水面が広がっています。農家にとっては災難ですが、バードウォッチャーにとってはありがたいことに鳥が見やすくなっています。


ジャンボタニシの食害で稲が少なくなった水田

そんな田んぼの一つで、久しぶりにタマシギ親子に遭遇しました。この鳥は他の鳥と違って、子育ては雄親の担当。しかも、他の鳥とは逆に、雌が派手、雄が地味。雌雄が逆転している珍しい鳥です。バードウォッチャーの間でも雄より雌の方が人気です。
昨年は雌も雄も見られなかったので、私にとっては2年ぶり。雌はまだ見ていないので、3年間ご無沙汰しています。



別の休耕田でクサシギを発見。今年はなぜでかこの鳥に出会うことが多いですが、警戒心が強く、なかなかカメラに収まってくれません。この個体は警戒心が緩いのか、私が道路脇の植え込みに隠れたからか、至近距離で撮影できました。



そろそろ休耕田の水が抜かれる頃で、そうなるとシギ・チドリはいなくなります。それまでに、もう何回か出かけるつもりです。
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ミルクで育てる鳥

2023年09月21日 | 野鳥
庭木のクロガネモチにキジバトが営巣し、子育てしています。しばらく前から、「グルッポ、グルッポ」という声が聞こえたり、庭に降りて巣材や餌を集めている姿がよく見られました。
ハトは鳥の中では珍しく完全な植物食で、他の鳥は虫が大量発生する春~夏に繁殖期を迎え、タンパク質に富む虫を雛に与えます。スズメやホオジロのように、普段は植物食の鳥でも繁殖期には虫を捕獲して雛に給餌します。



一方ハトは、親鳥が食べたもの(木の実などの植物)を体内(喉のあたり)でミルク状に加工し、それを雛に与えて育てます。いわば、鳥でありながら哺乳類でもあるのです。
哺乳瓶をはじめベビー用品を販売する「ピジョン(ハト)」という会社がありますが、その名の由来はここにあります。
虫に頼っていないので、他の鳥のように春~夏に限らず、いつでも子育てできます。さすがに冬は難しいでしょうが、春でも夏でも秋でも繁殖します。今ごろ子育てできるのは、鳥ではハトくらいでしょう。マンションにお住まいの方は、秋にベランダでドバトが繁殖したという経験があるのではないでしょうか。
キジバトが庭で繁殖するのは、2007年以来2回目。愛鳥家としては嬉しいのですが、今週末に庭木の剪定をお願いしているので、どうしようかな~と悩んでいます。
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丹後半島の猛禽

2023年09月14日 | 野鳥
前回に続いて丹後での鳥見のご報告です。
天橋立から丹後半島に向かい、いつも利用する温泉施設で1泊。翌朝、朝食前に近くの経ヶ岬へ行きました。以前からハヤブサの生息地として知られていて、私も20年ほど前に来たことがあります。ただ、今もハヤブサが生息し続けているかどうか不確かなまま、7時頃からカメラを構えて待っていました。
当初は駐車場周辺をウロウロしているイソヒヨドリの幼鳥と成鳥を観察していましたが、突然、灯台の上空に大きな鳥の影が現れました。カラス? トビ? いやハヤブサだ! 



撮影はできなかったものの、2羽が飛ぶ姿も確認。多分、成鳥と幼鳥でしょう。前回「想定外の鳥に出会うことがバードウォッチングの醍醐味」とお伝えしましたが、こうした想定通りの出会いもワクワクします。バードウォッチングの面白みは宝探しに似ていて、宝探しに出かけて想定通りに宝を見つけたときの喜びもこういう感じなのでしょう。この例えでいうと、前回の場合は宝探しに出かけて別の宝を発見した喜びかな。
宿泊施設をチェックアウトした後、もう一つの猛禽を求めて丹後半島の山中へ…。このあたりでは風力発電事業が2件計画されていて、風車のブレードで猛禽が切断される事故が懸念されるので、野鳥の会は事業の中止を求めて自治体や事業者に意見書を提出しています。
その効果があったのかどうか、1件は事業者が撤退しましたが、もう1件の計画は継続中なので、希少な猛禽類の状況を確認しようというのが目的でした。
野草摘みにいそしむ妻を横目に上空を眺めてるいると、カラスにモビング(ちょっかい)された大きな鳥が現れました。ハチクマの幼鳥です。「蜂を食べる熊鷹」が名前の由来で、ちょうど今の時期は南へ帰る渡りの時期。ところが、渡りの方向とは逆に西から東へ飛んで行きます。ということは、この周辺で生まれて育った幼鳥のようです。



予想していた猛禽・クマタカではなかったものの、丹後半島の山中でハチクマが繁殖しているらしいことが確認できました。今回の丹後ツアーでは、阿蘇海でソリハシシギ、経ヶ岬でハヤブサ、丹後半島でハチクマに出会いました。帰り道、満ち足りた気分で、道の駅でいろいろ買い物する妻に付き合っていました。
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想定外の出会い

2023年09月07日 | 野鳥
またまた丹後へ行ってきました。レンタカーを借りて、妻は温泉、私は鳥見の小旅行。コースも宿も毎回ほぼ同じで、高速を降りて、まず宮津で海鮮料理を食べます。私は下の海鮮丼、妻は刺身定食。切り身のボリュームが大きくて、食べ応えがあります。



その後、妻を天橋立で降ろして、私は阿蘇海でシギ・チドリ観察…。ところが、いつものポイントに着くと、満潮で干潟がありません。海辺のシギ・チドリ観察では事前に潮位を確認するのですが、今回は妻の都合で日程を決めたため選択の余地がなかったのです。
しようがなく、場所を変えて、阿蘇海に注ぐ小さな川の河口へ行ってみました。小型のシギがいたので、「イソシギでもいいから撮ろうかな」とカメラを覗くと、何とソリハシシギ! 京都府内では観察できる機会が少ない希少種です。私自身、府外で3回、府内で2回しかお目にかかっていません。
1羽は海の方へ飛去しましたが、残った1羽は川の干潟で採餌したり、上流と下流の間を行ったり来たりするのでじっくり観察できました。こういう想定外の出会いが、バードウォッチングのいちばんの醍醐味です。



ソリハシシギをこんなに近くで、心ゆくまで観察できたのは初めて。双眼鏡で眺めたり、カメラで記録したり、鳥と私だけの時間にじっくり浸ることができました。
ソリハシシギを観察していると、対岸のアジサイの枯れた花にカワセミが止まりました。全体に黒っぽいので幼鳥です。珍しくはないですが、“おまけ”と思ってカメラに収めました。



2時間後、天橋立駅で妻と合流すると、お土産物がいっぱい入った重い袋が私を待っていました。そして、次の目的地・京丹後市へ向かいました。
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