樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

巨樹

2008年10月31日 | 伝説の樹
書店の樹木コーナーに行くと、棚の約4分の1を巨樹関連の本が占めています。ネット上にも巨樹に関するサイトが山のようにあります。世の中にはそれだけ巨樹ファンが多いということでしょう。
巨樹が定義されたのは最近のことで、1988年に環境庁(当時)が「全国巨樹・巨木調査」を行う際に、「地上1.3mの位置で幹の周囲3m以上の樹木」と定めました。「胸高周囲」と言います。その後2000年にもフォローアップ調査が行われ、日本全国で68,000本の巨樹・巨木が記録されています。

             
       (下谷の大カツラ。物差しになっているのは同行の仲間)

私がいつも行く栃の森に、京都府で3番目に大きい(太い)巨樹があります。樹種はカツラ。先日訪れた際、コースを少し外れて同行の仲間といっしょにその大カツラを見に行きました。
案内看板によると、2007年4月の測定で直径3.4mですから、周囲は10m。樹高は38.4m。驚いたことに、まだ成長し続けているようで、看板の数字が書き替えられていました。

       
      (前の数字が削り取られて新しい数字が書き込まれています)

樹齢は示してありませんが、私の推測で800~1000年というところでしょうか。あまりにも長く、大きく成長したので、枝の又などにコシアブラやカエデ、アズキナシなど別の樹が生えています。
私は巨樹マニアではありませんが、このクラスの巨木の前に立つと、やはり畏敬の思いが湧いてきます。「よくぞここまで生きてきましたね~」と声をかけたくなります。

       
             (大カツラの樹皮。風格があります)

近くにもう1本カツラの巨木があり、それが第4位。特に京都府にカツラが多いというわけではありません。京都府の巨樹を樹種で分けると、スギ(148本)、ケヤキ(102本)、クスノキ(69本)、エノキ(56本)、スダジイ(48本)がベスト5。ちなみに、京都府の巨樹第1位はトチノキ、第2位はスギです。
カツラは彦生えが出て株立ちになるので太さの勝負には有利で、全国的にはカツラの巨木は多いはずです。ちなみに、わが家の庭のカツラを計ったら周囲78cm。ついでに自分の腹囲を測ったら、メタボぎりぎりセーフの82cmでした(ウェストじゃないですよっ)。ダイエット成功!
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木の子

2008年10月29日 | 木と飲食
10月第2週に予定していた栃の森ツアーには急な仕事で参加できなかったのですが、先週末、約4ヵ月ぶりに大好きな森に入ってきました。
当日はあいにくの雨。鳥もあまり期待できないし、紅葉にも少し早かったものの、キノコがたくさん出ていました。私はキノコの知識はゼロですが、同行のキノコ博士に名前や食べられるか否かを教えてもらいながら歩きました。

       
         (紅葉はまだ2割程度。赤く染まったハウチワカエデ)

マツ茸、シイ茸、エノキ茸など木の名前が付いているし、「木の子」と言うくらいだから樹木に生えるものと思い込んでいましたが、土から生えてくるキノコもあるんですね。今までもこの森で土から顔を出しているキノコを何度も見ていましたが、恥ずかしながら木の根から生えていると思っていました。

       
              (土から生えるキノコ、その名もツチグリ)
       
       (卵の殻から首を出しているようなスッポンタケも土のキノコ)

珍しく、ナメコがたくさん出ていました。ナメコは当地の名物で、いろんな加工食品が販売されています。キシメジというキノコも顔を出していました。葉っぱの下に隠れていて発見しにくいキノコだそうですが、林道の斜面にあったので見つけちゃいました。

       
               (ミズナラに生えているナメコ)
       
              (キシメジ。これも食べられるそうです)

変な形のキノコもあります。カニの爪みたいな形のサンコタケ。三鈷(さんこ)という仏具に由来するそうです。その場では嗅ぎませんでしたが、強い臭いがあるとか。一方、いい匂いのキノコもありました。画像はないですが、ブナハリタケという白いキノコは化粧品のようないい匂いがしました。

       
               (カニの爪みたいなサンコタケ)

樹木もそうですが、キノコもよく似た種類があって同定が難しいようです。博士にも分らないキノコがいくつかありました。同定できたのは34種類。
一方、本来の目的である鳥は28種類。バード&ツリーウォッチングを忘れて、マッシュルームウォッチングを楽しんだ1日でした。
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まな板

2008年10月27日 | 木と飲食
先日寄ってきた大阪の「森林の市」でまな板を2枚買いました。1枚はホオノキ製の普通サイズ、もう1枚はヒノキ製の果物用。どちらも端材にカンナをかけただけのシンプルなもので、2枚で1000円でした。

       
                   (ホオノキのまな板)

みなさんの台所にあるまな板は、おそらくヒノキかサワラでしょう。最近はプラスチックも増えてきましたが、日本では昔からヒノキやサワラをまな板に使っていて、特に高級懐石料理店や寿司屋さんは尾州檜(びしゅうひのき)、つまり木曾ヒノキを使っているとか。
ところが、鰻屋さんはホオノキのまな板を使うそうです。上の写真もそうですが、緑色がかっているので、鰻をさばくときに血の赤がよく目立つというのがその理由。もう一つは、関西では「目打ち」と言って千枚通しのような金具で鰻をまな板に固定するため、金具を抜いた後に自然に穴が埋まるホオノキがいいとのこと。柔らかくて、弾力性があるということでしょう。

       
           (果物用のヒノキのまな板。いい匂いがします)

そのほか、和菓子屋さんは干菓子を打ちつけられるように硬いサクラのまな板、お餅屋さんはヤナギやトチノキのまな板を使うそうです。中華料理のまな板はイチョウ。日本のような板状ではなく、輪切りにしたものを使っています。
私の実家は小料理屋で、現在は兄が継いでいますが、何故かプラスチック製のまな板を使っています。私も幼い頃から店の調理場で見ていたせいか料理が得意です。和食が中心ですが、妻によくリクエストされるのはクリームシチュー。もちろんインスタントじゃなく、ホワイトソースから作ります。まな板が新しくなったので、新メニューに挑戦しようかな。
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病気と樹

2008年10月24日 | 木と医薬
O.ヘンリーの短編小説『最後の一葉』は、病室から見えるツタの葉に生きる勇気をもらって、瀕死の女性が回復するというストーリー。以前、当ブログでもご紹介しました。その話を科学的に実証するようなデータが『サイエンス』誌に発表されたことがあります。

       
      (近くの大病院の植え込み。サクラ、ナンキンハゼ、クスノキなど)

アメリカのある病院で、胆のう摘出手術を受けた患者を、窓から庭の樹木が見える病室と、建物の壁しか見えない病室に分けて比較したところ、前者の患者の退院までの日数が平均7.9日であったのに対し、後者は8.7日。わずかな差のようですが、統計学的には有意な数字だそうです。
また、術後の痛み止めや精神安定剤の使用量にも差が出たとのこと。調査した研究者は、「単調な壁よりも緑色の自然な景色が手術後の不安を鎮めるのではないか」と話しているそうです。

       
             (この病院にはバラ園も設けてあります)

私も足の骨折で4ヶ月入院したことがありますが、その病室からは隣のビルしか見えませんでした。病気とケガでは効果が違うかも知れませんが、樹木が見えていたらもっと早く退院できたかも…。
みなさんも、もし入院するようなことになったら、樹木の見える病室を希望した方がいいですよ。
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おじいさんの木

2008年10月22日 | 伝説の樹
大阪府には天然記念物や市町村の保護木に指定された巨木や名木が約1000本あるそうです。
そうした指定に漏れた樹木の中から、珍しい木や地域で大切にされている木が選ばれ、「おじいさんの木」として保護されています。運営しているのは、樹木医や園芸関係者のNPO団体「おおさか緑と樹木の診断協会」。
老木という意味で「おじいさんの木」と名づけたようです。「巨樹」や「巨木」よりも親しみが湧く名前で、言葉を仕事にしている私もいいネーミングだと思いますが、ある市に協力要請したところ「男女共同参画社会の中では、男性だけの名称では困る」と断られたそうです。
それも一理あるので、「おじいさんの木・おばさんの木」とすべきかも知れませんね。

       

その「おじいさんの木」第1号は、箕面小学校のカキノキ。1909年に学校がこの場所に移転した時にはすでにあったらしいので、樹齢は100年以上ということになります。当時は校庭の端でしたが、拡張工事によって次第に運動場の中に位置するようになったそうです。
残念ながら渋柿ですが、授業の一環として柿を収穫し、干し柿にして生徒のおやつにしているとか。私も干し柿が大好きなので、うらやましいです。私が訪れた10日ほど前はまだ熟していませんでしたが、たくさんの実が成っていました。

       

侵入事件を防ぐため、校門の横にはガードマンの詰め所がありました。許可を得て校庭で撮影していると、生徒がカメラに向かってピースサインを出しながら下校していきます(笑)。「おじいさんの木」の下を天真爛漫な子どもたちがワイワイ言いながら歩いていく…、こころ和む風景でした。
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森林(もり)の市

2008年10月20日 | 木の材
10月8日は「木の日」。しかも、林野庁が10月を国産材の使用を促進する「木づかい運動」の強化月間に定めています。そのため、今月は木のイベントが多いです。
先日ご紹介した丹波のほか、先週は大阪市にある近畿中国森林管理局で「森林(もり)の市」が開催されたので、仕事の帰りにちょっと寄ってきました。木材関係の団体や企業が木を使った製品を展示するほか、絵画コンクール、けん玉ショー、クラフト体験コーナーなどがありました。

       

展示コーナーで興味深かったのは、オフィス用の家具や用品に国産材を使おうという提案。特にライオン事務機が力を入れており、間伐材を使ったオフィス家具を展示していました。写真のデスクやロッカーをはじめ会議用テーブル、ダストボックスなどの既製品をそろえています。また、オフィス空間全体を木で仕上げた納入実績もあるようです。

       

材はスギやヒノキですが、そのままでは柔らかくてオフィスには向かないので、65%まで圧縮加工し、硬い板に仕上げて使っているそうです。これまで、ビジネス空間にはあまり使われてこなかった木材ですが、今後はこんなウッディなオフィスが増えるのかも知れません。

              

滋賀県の木材会社は、木を使ったテープカッターや名刺ケースなどのオフィス用品を出品していました。これなら、私の仕事机にも置けそうです。

       

ほかにもいろんな催しがあったのですが、行ったのが閉店間近だったのでほとんど見られませんでした。小さなまな板だけ買って帰ってきました。
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木のビル

2008年10月17日 | 木造建築
京都市のど真ん中、四条烏丸(からすま)の一等地に9階建ての木のビルが建っています。
と言っても構造は鉄骨造りですが、外壁に木材を使い、「下見板張り」と呼ばれる京町家風の外観に仕上げています。外壁のみならず、エレベーターホールや廊下、室内のサッシなどにも木をふんだんに使っているようです。1階は店舗、2階~9階はオフィスフロアという構成で、建築面積は106.7坪。

             
             (茶色に見える部分はすべて木)

設計者は京都大学の大学院で環境マネージメントを学んでいるそうで、「我々は環境マネージメントとしての設計に取り組んでいます」と明言しています。デザインとして木を取り入れるだけでなく、外壁の木材が約8トンの二酸化炭素を固定することまで計算。また、エアコンの負担を軽減するよう、自然換気を促す大きな吹き抜けが設けられています。
しかも、外壁や内装に使っているのはスギの間伐材。おそらく、北山杉の間伐材でしょう。建築許可の関係でしょうが、外壁の木材には不燃加工を施しているとか。

       
           (アップにすると「下見板張り」が分かります)

この設計者は京都の木のビルのほか、沖縄では屋根に芝生を敷いてエアコンを不要にしたデイサービス施設も設計しています。
今後、ビルやマンション、公共施設などでこういう建築物が増えるのを期待したいですね。
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木の根橋

2008年10月15日 | 伝説の樹
丹波シリーズ、その3。前回ご紹介した「丹波年輪の里」の帰り、柏原(かいばら)という町で兵庫県指定の文化財「木の根橋」を見てきました。
旧町舎の横に奥村川という幅6mの小さな川が流れていて、対岸にケヤキの巨木が立っています。その根が橋のように川をまたいでいるのです。

       
              (背景に見えるのは木造の旧町舎)

ケヤキは樹高22m、幹の周囲6m。川には小さな橋が架かっていて車も通りますが、橋に沿うように太い根が張り出し、町舎の敷地まで伸びて再び土に潜っています。おそらく、川が生まれる前にケヤキが育ち、後から川や橋ができたのでしょう。

       
            (木の根が川をまたいで橋になっています)

推定の樹齢は1000年ということですが、樹勢は衰えることなく、私が訪れた時もたくさんの葉を茂らせて大きな木陰をつくっていました。幹には注連縄が張ってあります。

       
                (川から見たケヤキの根)

木の根橋といえば、クボタのテレビCMにインドの木の根橋が登場します。こちらは、ゴムの木の根を編んだもので、上下2段の橋を住民が実際に渡っています。
どういう経緯でこういうものが生まれるのか不明ですが、世の中には不思議なものがたくさんありますね。
クボタのテレビCMに出てくる木の根橋はこちら
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木のおもちゃ大賞

2008年10月10日 | 木と子ども
前回ご紹介した「丹波年輪の里」へは、フェスティバルのためだけに行ったのではありません。ここが木をテーマにした施設であり、「木のおもちゃ大賞」の発表会が同時開催されていたからです。
もともと丹波は林業が盛んだったためか、木工クラフトなど木とふれあう場所として20年前に開設されました。フェスティバルの会場となったイベント広場のほか、木に関する展示室、研修室、工作室、それにレストランもあります。

       
                 (ヨーロッパ風の「木の館」)
       
        (工作室ではバードカービング教室が開催されていました)
       
              (板や端材の販売コーナーもあります)

この施設では毎年「丹波の森ウッドクラフト展」が開催されてきました。ご存知のように、丹波では国内最大級の恐竜の化石が発見されたため、昨年は「恐竜」がテーマでしたが、今回からは「木のおもちゃ」に対象を絞って全国の木工作家から作品を募集。その発表会がフェスティバルと同時に開催されたのです。

       

今回のテーマは「転がる」。グランプリは「クルコロ」と名づけられた作品(上の写真)。木の助走台をあっちにクルクルこっちにコロコロしながら転がり落ちるおもちゃです。幼児なら喜んで遊ぶでしょう。材はブナとバーチ(カバ)。

       
       

そのほか、動物の形をしたキャタピラーのような作品(準グランプリ)や、コマが上り坂を駆け上がっていく不思議な作品もありました。

       

木に関する本を集めた図書コーナーもあって、私なら1日中遊んでいられるような場所でした。
なお、12日~13日は久しぶりに栃の森に出かけるので、次回はお休みします。
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アート・クラフト・フェスティバル

2008年10月08日 | 木と作家
木工品や陶磁器、布、革、ガラスなどクラフト品の作家が一堂に集まるフェスティバルがあったので、土曜日に行ってきました。
場所は兵庫県丹波市にある「丹波年輪の里」。家から90kmも離れていますが、ガソリン代も少し安くなったし(笑)、気持ちのいいドライブ日和だったので出かけました。いつものウンチクはやめて、きょうは写真中心でご紹介します。

       
       
            (家具や食器、玩具など木工品が最も多い)
       
         (木のしゃもじやスプーンだけ展示販売している作家)

広い敷地に、思い思いのテントを張って自慢の作品を展示しています。その数、70~80。ほとんどが関西ですが、広島や岐阜、長野の作家もいました。作品展示のテントの横に宿泊用のテントを張っている人もいて、ここでキャンプしながら参加しているようです。

       
       (大きな木の人形。この作家はテントで宿泊しているようです)
       
             (木のピンボールで遊ぶ子供たち)
       
           (その場で動物の木型をくり抜いてプレゼント)

芝生の丘には、流木や木の根でつくった椅子やオブジェが置いてあります。これらも作品。

       
       

お昼には丹波ならではの黒豆入りラーメンをいただきました。ゴボウも入っています。

       

ついでながら、きょうは「木の日」。十と八を組み合わせると「木」になるから…。日本の記念日って解字とか語呂合わせとか、言葉遊びが多いです。
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