樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木が奏でる音楽

2014年06月09日 | 木と楽器
木と音楽の関係は主に楽器ですが、木の年輪をそのまま音楽にするプレーヤーが開発されて話題になっています。
木の幹をレコードのように薄くスライスし、年輪を特殊なカメラで読み込んで、そのデータをピアノの音に変換するという装置。開発したのはドイツのアーティスト。
百聞は一見&一聴に如かず。下の動画をご覧ください。



年輪の濃淡や太さによって音が変わるそうです。動画を見ていると、節の部分がカメラの位置にくると大きな音がします。
この曲をはじめトウヒ、タモ、ナラ、カエデ、ハンノキ、クルミ、ブナの7種類の年輪が奏でる音楽が『Year』というアルバムにまとめられています。音源はこちらからダウンロードできます(有料)。
これだけではありません。世の中には同じような発想をする人がいるもので、スライスした木にレーザーカッターで溝を刻み、それを旧来の針式プレーヤーで再生している人もいます。
その動画をご覧ください。流れるのは、レディオヘッドの「Idioteque」という曲。



ノイズがありますが、一応音楽として聞こえます。技術的なことはよく分かりませんが、音のデジタル波形ファイルをPDFに変換し、そのデータをレーザーカッターで木に刻むそうです。
音楽としては、最初の年輪ミュージックの方が楽しめそうですね。
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カホン

2013年11月25日 | 木と楽器
久しぶりに楽器の話です。以前から、「カホン」という楽器が気になっていました。木の箱に穴をあけただけの打楽器で、最近演奏する人が増えているようです。
楽器屋さんでは見たことありますが、実際に演奏されているのは見たことありません。ところが、先日大阪のある公園で数人のグループが練習していました。



写真のように、箱の上に座って手で叩くだけのシンプルな楽器です。見た目よりもいい音で、遠くまで響きます。
私も打楽器が大好きで、小さい頃はお祭りの太鼓を、高校ではバンドでドラムを叩いていましたし、大人になってからもラテン系のロックを聴いたりしていました。
練習の演奏を聞いているだけでウキウキしてきます。断って写真を撮っていると、彼らがパンフレットをくれました。
それによると、発祥はペルーで、「カホン(Cajon)」とはスペイン語で「箱」とか「小さなタンス」の意味。
ペルーに連れて来られたアフリカ人たちが太鼓を叩いて踊っていたところ、反乱を恐れたスペイン人が太鼓を禁止したため、船の積み荷の箱を叩き始めたのが始まり。その後、フラメンコのギタリストであるパコ・デ・ルシアが、ペルーを訪れた際に出会って持ち帰ったことから欧米に広まったとのこと。



帰宅後にさらに調べると、予想通り木の種類によって音が違うようです。特に打面の板材によって音質が変わるそうです。
例えば、バーチ(カバ)は音に丸みがあり、よく振動するので独特の残響音。メイプル(カエデ)は高音域で、音の立ち上がりがパワフル。オーク(ナラ)は図太い音。
カバやナラが楽器に使われることは少ないでしょうが、カエデはバイオリンの裏板にも使われます。また、ギターやバイオリンの表板に使われるスプルース(トウヒ)もカホンに使われるそうで、やはり楽器に向いた木は絞られてきます。音響特性など音との相性がいいんでしょうね。
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木が奏でる音楽

2012年02月23日 | 木と楽器

先日、NHKEテレで興味深い番組を放送していました。タイトルは「フォレストシンフォニー 森の生命の交響曲」。樹木が発する微弱な生体電位を音楽に変換するという坂本龍一の試みを紹介する番組です。

宮崎県の森ではコナラ、ツバキ、ヤブニッケイの3種類の樹木の電位を収集していました。幹に器具を取り付け、生体電位の変化を1100コマの速度で24時間記録。それを人間の可聴域の周波数に変換してから、ある音階に変換すると、不思議なことに音楽になるのです。

 

 

うちのコナラも生体電位を発しているのかな?

 

「木は光をエネルギーに換える天才。その周期性を音楽にしてみたい」というのがこの試みを始めた動機だそうです。

当ブログでも取り上げたことがありますが、坂本さんは以前から樹木に関心を持ち、NPO法人「More Trees」を設立して森林保全活動を展開しています。また、林業の町・岩手県住田町に地元産木材を使った被災者用住宅を建てるため、その資金集めに奔走しています。

 

 

庭のツバキも音楽を奏でるのかな?

 

番組では、ニューヨーク郊外の森でも樹木の電位を収集し、陸前高田市の「奇跡の一本松」からも記録をとっていました。最後の方で、その「奇跡の一本松」の電位を変換した音楽を流しながら、“教授”がエレクトリックピアノで伴奏をつけていました。

音楽を言葉で表現するのは難しいですが、前衛的なクラシックというか現代音楽というか、これまでに聞いたことがない種類の音楽でした。不快な音楽ではなく、むしろ「もっと聴いていたい」と思える音楽です。

YMOが登場した頃、私はテクノポップとは真逆の人間臭い音楽に入れ込んでいたので全く興味がなく、音楽家としての坂本龍一にも関心はなかったのですが、この番組を観て少し見方が変わりました。

 

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建築物ウクレレ化保存計画

2011年09月29日 | 木と楽器

以前、高知県に面白い人がいて400種類もの木でスプーンを作ったことをご紹介しましたが、大阪にも負けず劣らず面白い人がいます。

解体される家をウクレレにして残すという活動をしているアーティスト、伊達伸明さん。先日、その伊達さんとギターデュオ・ゴンチチの片割れであるチチ松村さんのトーク&コンサートが大阪で開かれたので行ってきました。

 

 

左が伊達さん、右がチチ松村さん

 

伊達さんは京都市立芸大で木工を学んでいたときに楽器づくりに目覚め、卒業後は建築物そのものを楽器にすることに挑戦。その後、バブルの頃に古い建物が次々に解体されるのを目にして、楽器にして残せないかと考え、ウクレレを作ることを思いついたそうです。

たとえば次のウクレレは、2002年の大阪・中座の火災で類焼したバー「路」のウクレレ。表板はカウンターの天板、ネックはカウンターに取り付けてあったバー、ヘッドはインテリアの丸い刳り物を使っています。

 

 

ヘッド

 

作品に触れないので写真はないですが、裏板はカウンターの腰板で、お客さんの荷物をぶら下げる金属のホックがそのままついています。指板だけは別誂えのコクタン。

次は、新世界厚生会館のウクレレ。終戦後は引き上げ兵の一時宿泊所、その後は簡易宿泊所や民宿として使われてきた建物の正面玄関の扉で作ってあります。

 

 

 

表板は扉の蹴込板、側板とネックは扉の枠木、ヘッドは表札。写真はないですが、裏板は扉の窓ガラスで、ご丁寧に中には当時のカーテンも張ってありました。

ステージでは伊達さんが各ウクレレの経緯を説明しながら、チチ松村さんがそれを演奏するというスタイル。どれも音がちゃんと出ていました。このウクレレは裏板のガラスのせいか、ギターでいうドブロみたいな響きでした。

次の派手な1本は通天閣歌謡劇場のもの。リニューアルされる際に廃棄された建材やディスプレイを使っています。

 

 

 

表板はステージの上の壁紙と「通天閣歌謡劇場」の切文字の「天」、側板はステージの腰板、裏板は柱を剥いだ木材。出演者の看板札で作ったヘッドには、ステージの飾り物もついています。

いや~、世の中には面白い人がいるもんですね。

すでに60本以上のウクレレが完成していて、個人の家を解体する場合も1件約20万円でウクレレにして残してくれるそうです。

希望者は伊達さんのサイト「建築物ウクレレ化保存計画」までどうぞ。

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森の木琴

2011年04月25日 | 木と楽器

ドコモとシャープとオリンパスが共同で、間伐材を使った携帯電話TOUCH WOODを開発しました。そのCM(というかプロモーションビデオ)として「森の木琴」というムービーを制作しYou Tubeに転載したところ、世界中から賞賛されて360万回以上のアクセスになっています。まずはご覧ください。 


 

 

この木琴は全長44メートル、鍵盤の数は413個あるそうです。演奏されているのはバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」という曲。撮影は福岡県の森で行われたとか。

製品のボディは高知県四万十のヒノキの間伐材をオリンパスが開発した技術で圧縮成形して作られています。以前このブログで岐阜大学の教授が考案した高圧水蒸気による木材の圧縮成形を紹介しましたが、それをオリンパスが確立させたのではないでしょうか。

本物の木を使うので1個ずつ木目や色が違います。同じものを作って大量販売するという従来の発想とは違うため、シャープの開発者は社内で大反対されたそうです。実際、大量生産が難しいので15,000台に限定し、しかも数回に分けて販売されています。

坂本龍一氏が率いる環境団体More Treesもこのプロジェクトに参加しています。当ブログでは以前、この団体について「No More Trees」というタイトルで「木はもう植えるな、伐って使え」と突っ込みを入れたことがありましたが、ようやく植えるだけでなく伐る運動も始めたようです。

企業がやることなので100%は信用できませんが、この携帯電話の特設サイトには、「日本の森を、救え。」というメッセージがあったり、高知県の林業家や設計者の動画が掲載されていてなかなか興味深いです。

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古代のクラプトン

2011年01月24日 | 木と楽器

3世紀頃の日本を綴った『魏志倭人伝』に、人が死ぬと、嘆き悲しむ喪主の周りで歌舞飲酒すると書いてあるそうです。当時の葬式では歌ったり踊ったりしたわけです。 

そのためには音楽が必要で、それを奏でた楽器の一つが琴だろうと推測されています。各地の古墳からさまざまな琴が発掘されているからです。 

滋賀県守山市でもヒノキやスギで作った琴が5台出土しました。守山市立埋蔵文化センターに行った際、現物は見られませんでしたが、ワークショップで再現したものを見せてもらいました。

 

 

ヒノキで復元した古代の琴

 

現在私たちが知っている琴は中国にルーツがあり、正確には「筝」と書きますし、材質もキリです。一方、古墳から出土する日本の琴は上のような熊手のような形で、材質もほとんどがスギ、ヒノキ、モミなど針葉樹。中国原産のキリはこの時代にはまだ日本へ移入されていなかったはずです。

アコースティックギターやバイオリンの表板に使われるのもマツやヒノキの仲間ですから、弦楽器と針葉樹は相性がいいのかも知れません。

古墳からは琴だけでなく、演奏者の埴輪も出土しています。その一つが下の写真。確かに両手で琴を弾いています。

 

                  

ここから先は私の推測ですが、こういう埴輪があるということは、専門の琴奏者がいたということでしょう。プロあるいはセミプロのプレーヤーがいて、葬式があれば招かれて、嘆き悲しむ喪主の横で琴を鳴らし、参列者が踊る伴奏をしていたはずです。

今で言えば、そして私の好みで言えば、エリック・クラプトンみたいなミュージシャンが葬式で演奏してくれるわけです。いいですね~。

 

 

私のクラプトン・コレクション、CDと書籍

 

ジャズにのめり込んでいた頃、妻に「僕が死んだら、葬式でこの曲を流して欲しい」と頼んでいた曲があります。キャノンボール・アダレイの『アラバマに星は落ちて』。

今頼むとすれば、クラプトンの『River of Tears』かな? どちらも葬式にふさわしい暗い曲  しっとりしたバラードです。

みなさんには、自分の葬式で流して欲しい曲はありますか?

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ハープ

2010年10月07日 | 木と楽器
宇治市の隣・宇治田原町に在住するハープ奏者のコンサートが京都市内で開かれたので行ってきました。よくテレビで夢心地になるシーンに使われるあの神秘的な音は、やっぱり木が生み出すんだろうな~と以前から関心があったのです。
あまり一般的な楽器ではないので、さすがのヤマハも製造していませんが、意外にもハープの専門メーカーが日本にあります。福井県の永平寺の近くにある青山ハープは、専用のホールを保有し、東京と大阪に営業所を持つほどの会社です。
そのホームページによると、本体の木材はウォールナット(クルミ)またはメープル(カエデ)。ウォールナットは柔らかい音、メープルは硬い音に仕上がるそうです。


ロビーコンサートでのハープ(弦を張った下側の部分が共鳴箱)

本体はクルミ材かカエデ材と分りましたが、サウンドボックス(共鳴箱)の材質は違うはずです。青山のサイトには説明がないのでいろいろ調べると、高級品のサウンドボックスには低音域部分にスプルース(トウヒ)、高音域部分はマホガニーが使われているようです。
低い音を共鳴させるには柔らかい針葉樹が、高い音を共鳴させるには硬い広葉樹がいいということなのでしょう。
バイオリンも表板はトウヒ、裏板や側板はカエデ、ピアノも共鳴板はトウヒ、ボディはカエデです。この2種は弦楽器には欠かせない木材なんですね。音響特性に優れているということでしょう。
下の写真は今年の2月に訪れた大阪音楽大学の博物館で撮影したもの。18世紀後半にフランスで製作されたハープです。材質は不明ですが、多分サウンドボックスはヨーロッパトウヒでしょう。



アイルランドのある大学には、15世紀の吟遊詩人が使っていたハープが展示してあって、本体はオーク(ナラ)、サウンドボックスはヤナギ(ポプラ)、弦は真鍮だそうです。
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木の根の楽器

2010年04月08日 | 木と楽器
関西に音楽の単科大学がひとつだけあります。その大阪音楽大学の博物館に行ってきました。
世界各国から収集された多数の民族楽器が所狭しと並んでいて、ピアノなど場所をとる鍵盤楽器だけでも30台くらいあります。私の興味はもちろん「木の楽器」。
特に気になっていたのは、スイスのアルプホルン。木管楽器としては最大ではないでしょうか。


(1978年製作のアルプホルン)

興味があったのは、根曲がりの木をくり抜いて作るという点。アルプスの急斜面に生える木は、垂直に伸びようとして根元で曲がります。その曲がったところをラッパに使うのです。
その発想がスゴイな~と以前から感心していました。樹種はバイオリンやピアノにも使われるヨーロッパトウヒ。
でも、1本の木をくり抜いて作ったのは1930年代までで、現在は手元、中央、先端を別々に作って接合するそうです。展示品をよく見ると、ラッパ部分は板が貼り合わせてあって、ちょっとガッカリ。


(ラッパ部分は板の接合)

その半面、新しい時代との融合も進んでいて、アルプホルンのジャズバンドとかソウルやロックを演奏するプロの奏者もいるそうです。どんな音楽なんだろう? 想像できません。
博物館にはもう一つ木の根を使った楽器がありました。ミャンマーのサウン・ガウ、いわゆる「ビルマの竪琴」。



小説や映画でお馴染みですが、説明パネルによると「アジアに現存する唯一のハープ」とのこと。象の鼻みたいに曲がった棹はアカシアの1種シャーという木の根、船のような共鳴箱はパダウという木をくり抜いて作ってあるそうです。
このほか、おもしろい楽器、珍しい楽器、見たこともない楽器がいろいろありました。楽器の好きな人にはたまらない場所ですよ。
大阪音楽大学「音楽博物館」のサイトはこちら
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コントラバス

2009年12月10日 | 木と楽器
日本最大の楽器メーカー・ヤマハはバイオリンとビオラとチェロは製作していますが、コントラバスは作っていません。そのトップメーカーは、意外にも宇治市にあります。
以前から製造現場を見学したいと思っていたところ、仕事場にお邪魔しなくても見られる機会ができました。ヒガシ弦楽器製作所の代表者・東澄雄さんが宇治市の技能功労者として表彰され、その会場で実演されるというので見に行ってきました。



大きなコントラバスの裏板を足で抱え、小さな鉋で削っておられる姿はいかにも職人。部分によって4~5ミリから8~9ミリの厚さに削り分けるそうです。
ベニヤ合板による30万円くらいのものから、100万円以上の本格的なものまで、6人の職人さんで月に30台~40台生産されるとか。


(100万円クラスの本格派)

木材マニアとしては材質が気になるところで、バイオリンと同じく、表板はドイツトウヒ(スプルース)、裏板と側板はイタヤカエデ、指板はコクタンだろうと予想していました。しかし、東さんに尋ねると、表板はアラスカ産のスプルースとのこと。ヨーロッパにはコントラバスに使えるだけの大きなスプルースがないそうです。


(表板はアラスカ産スプルース)

裏板や側板、ネックは普通のカエデ。イタヤカエデは硬過ぎるそうで、何カエデかまでは分かりませんが、日本産のカエデということですから北海道あたりに自生する大径木のカエデでしょう。指板のコクタンはバイオリンと同じ。
よく似た楽器なのに、大きさが違うために使用する木材も微妙に異なることが新たな発見でした。


(東さんの道具)

実際に弾いて音を披露された息子さんに素朴な疑問をぶつけたところ、クラシックで使うコントラバスとジャズで使うウッドベースは全く同じとのこと。一方は弓で、一方は指で弾くので、プレーヤーの調整方法は違うそうです。


(バイオリンのルーツ、ビオラダガンバも製造されています)

当日、技能功労者として表彰されたのは17人。宇治ですから製茶はもちろん、左官、造園、大工、理美容など職種もさまざま。その中でも 楽器製造というのは珍しい職種です。
ヒガシ弦楽器製作所のwebサイトはこちら
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なんちゃってレスポール

2009年02月06日 | 木と楽器
今は手放して残っていませんが、以前はアコースティックギターを2本とエレキギターを1本持っていました。エレキギターはレスポール・モデルのコピー版。オリジナルはアメリカのギタリスト、レス・ポールがギブソン社と共同開発した人気モデルで、現在も多くのプロミュージシャンが使っています。
その“なんちゃってレスポール”を友だちに譲ったところ、彼はその後エレキギターにはまり、遂にファミリーバンドを結成してコンサートを開くまでになりました。もともと大学の交響楽団でバイオリンを弾く傍ら、ジャズバンドでドラムを叩いてた奴なので音楽万能なんでしょう。
彼の事務所にはそのレスポールが置いてあるので、久しぶりに対面して写真を撮ってきました。ピックガードは取り外し、ピックアップ(マイク)も1台取り替えたようです。

                   
              (元・私のなんちゃってレスポール)

このギターの生みの親レス・ポールは現在93歳ですが、驚いたことに、補聴器をつけながらいまだに現役プレーヤーとしてニューヨークのクラブで演奏しています。
また、ミュージシャンとして唯一人「発明の殿堂」に入っています。ソリッド(空洞ではない)タイプのエレキギターの考案者であると同時に、多重録音の開発者として音楽業界に貢献したからです。
先日、そのドキュメント映画『レス・ポールの伝説』が上映されたので観てきました。映画では、最初は鉄道のレールに弦を張ってソリッドギターを作った話が出てきます。別のインタビューでは、「レールは重くて演奏しにくいから木を使うことにした。初めは軽い木を使ったが、反響して音が悪いので最も密度の高いメープル(カエデ)を使った」と語っています。

       
     (なんちゃってレスポールのボディも表板はメープル。杢目はなし)

現在のスタンダードモデルも表板はメープルで、裏板はマホガニー。表板15mm、裏板45mmの厚みが最もいい音になるそうです。この15mmのメープル材は当時の製材の規格外だったので、ギブソン社は材料の確保に手こずったとか。
また、メープル材にはさまざまな杢目が出るため、その模様によって希少価値が生まれ、現在ではビンテージものに数千万円の値段が付いています。

       
          (なんちゃってレスポールの指板はローズウッド)

元・私のなんちゃってレスポールも表板はメープル、裏板はマホガニー。もちろん、樹種は同じでも品質は月とスッポンでしょうが…。オリジナルは指板もマホガニーですが、なんちゃってはローズウッド。
もともと下手の横好きで弾いていた程度なので手放しましたが、聴く方は相変わらずエレキギターの音楽が好きです。でも、好みの音はGibsonのレスポールからFenderのストラトキャスターに変わりました。
映画『レス・ポールの伝説』の公式サイトはこちら
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