樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

イケメンカズラ

2014年12月29日 | 木と美容
みなさんは整髪料に何を使っていますか? 私は現在はワックスを使っていますが、その前はムースでした。
男の整髪料にも流行り廃りがあって、ワックスやムースのほかにもウォーター、ミスト、オイル、リキッド、クリーム、グリース、ジェル、スプレー、ポマードなど10種類以上あります。
昔はどうだったかというと、サネカズラという樹木から作った整髪料を使っていたようです。


府立植物園で撮ったサネカズラの実

「サネ」は「実」のことで、「美しい実をつけるカズラ(ツル性植物)」という意味だそうです。別名「ビナンカズラ(美男蔓)」、現代風に言えば「イケメンカズラ」。
この木の樹皮から採取した粘液を昔の武士などが整髪に使ったことから、この名前で呼ばれるようになりました。粘液ということは、今でいう「ヘアージェル」でしょうか。整髪のほか、絹の糊づけや製紙にも使ったそうです。
私は年々髪が少なくなって、整髪料が要らなくなりつつあります。そうなれば、シャンプーも要らないし、散髪屋さんに行く必要もなくなるわけですね。寂しい気もしますが、いっそその方がサッパリしていいかな(笑)。
自虐ネタになりましたが、今年の更新はこれで最後です。1年間ご愛読いただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
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Shampoo Nut Tree

2012年10月29日 | 木と美容
知人からメールで次の画像が送られてきました。「この木の実は何でしょう?」という同定依頼です。



ミッキーマウスのような特徴的な形ですが、すぐには分かりませんでした。もう1枚の画像には葉っぱが写っており「羽状複葉でした」と書いてあったので、図鑑で調べてムクロジと判明しました。



その途中、ムクロジの英名がSoap Nut Tree(石鹸の実がなる樹)であると分かり、興味が湧いて調べてみたところ、昔はこの実から石鹸を作っていたようです。
さらに調べると、現在もムクロジの実から作った洗剤がネット販売されていました。200gの粉のボトル入りが1,500円と洗剤としては高価ですが、合成洗剤が苦手な妻のために注文しました。


ムクロジの実100%の洗剤「エコ洗い」

実際に食器洗い用のスポンジにつけてみると結構泡立ちます。油汚れも普通に落ちます。



しかし、匂いが…。ドブ臭いというか、鼻の鈍感な私でも「ちょっとな~」と思うほどで、敏感な妻は即「却下」。残念ながら、わが家の役には立ちませんでした。
さらに調べると、ムクロジエキスが入ったシャンプーもいろいろ発売されています。偶然ですが、妻が先日買ったシャンプーもそのタイプ。こちらは「今まで使ったシャンプーの中で一番」とのこと。


ムクロジのほかツバキなどのエキスが入ったシャンプー

Soap Nut Tree改めShampoo Nut Treeと命名すべきかも知れませんね~。
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木のコスメ

2009年08月24日 | 木と美容
女優の真矢みきがTVCMで「茶のしずく」という美顔石鹸を勧めています。美顔や美肌には全く興味ないですが、お茶由来という点に引っ掛かりました。お茶も木ですし、お茶の本場・宇治の住民としても気になります。
「茶のしずく」は福岡県のメーカーが鹿児島県産の茶葉を使って生産しているようですが、宇治にも同じような商品を作っている会社があります。商品名は「抹茶石鹸」。緑茶にはカテキンやビタミンC、アミノ酸などの成分が含まれていて、美肌・保湿・UVカット・肌の若返り効果があるとか。

       
             (「抹茶石鹸」。泡立て用のネット付き)

ネット通販が主で店売りはしていませんが、地元のスーパーに販売コーナーがあるのでミニサイズを買って妻に試してもらいました。「泡が細かくて、洗顔した後肌がしっとりする」とのこと。私も試しましたが、泡がクリーミーです。

       

このメーカーは石鹸だけでなく、抹茶エキス入りのスキンケアクリーム「宇治の花」や、緑茶のカテキンを使った化粧水なども作っています。

       
            (抹茶エキス入りクリーム「宇治の花」)

お茶に限らず樹木由来のコスメティックはけっこうあります。資生堂は椿油を使った女性用シャンプーを大ヒットさせましたし、男性用にはヒノキの香りがするオードトワレを発売していす。
また、女性ならご存知でしょうが、「ヒノキ肌粧品」というブランドもあります。ヒノキ科の樹木から採取したヒノキチオールという成分を使って、18種類ものコスメティックをラインナップしています。
さらに最近は、シラカバの樹液を使ったスキンケア商品も発売されています。飲料としてのシラカバ樹液は飲んだことありますが、美肌効果もあるそうです。
そう言えば、昔「桃の花」というスキンクリームがあって、私も子供の頃使いました。現在も販売されていますが、ネーミングのみで桃の成分が入っているわけではないようです。
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十三

2007年09月03日 | 木と美容
前回から記念日がらみになっていますが、明日9月4日の「櫛の日」にちなんで櫛のお話を。
京都には「十三屋」という屋号の櫛屋さんが2軒あります。「とみや」ではなく「じゅうさんや」と読みます。1軒は四条通り、もう1軒は清水寺の近くにあります。東京にも同じ名前の櫛屋さんがあるそうです。3軒とも全く別の経営ですが、昔から櫛のことを「十三」と読んだので、同じ屋号になったのでしょう。
櫛がなぜ「十三」かと言うと、「くし=九・四」ですが「苦・死」を連想するので、わざわざ九と四を足して「十三」に読み変えるからです。九と四を避けておきながら、9月4日を「櫛の日」にするのは矛盾すると思いますが、いずれにしても「語呂合わせは日本の文化」です。

      
        (四条通りの櫛屋「十三や」。創業は明治8年)

万葉集に次の歌があります。
   君なくば  なぞ身装はむ  櫛笥(くしげ=櫛箱)なる 
     つげの小櫛を  取らむとも思わず
「あなたがいなければお洒落をしてもしょうがないので、櫛箱にあるツゲの櫛を持とうとも思わない」。播磨の乙女という女性が、都に帰る男性に贈った別れの歌です。
この歌にもあるように、櫛と言えばツゲ。しかも、三宅島の南にある御蔵島(みくらじま)で産出するツゲが最高とされています。御蔵島のツゲは将棋の駒の最高級材としても知られています。
材質が緻密で固く歯が折れにくい、静電気が発生しないので髪を傷めない、使うほどに艶が出るなどの理由でツゲが重用されるようです。

      
        (ツゲの葉は小さく、対生。別種のイヌツゲは互生)

しかし、もっと昔の櫛はツゲではなかったようで、縄文前期の遺跡から出土した日本最古の櫛はツバキ製で、漆が塗ってあるそうです。
実は、京都の同じ四条通りには「二十三や」という櫛屋さんもあります。店の説明によると、梳櫛(すきぐし)のことを昔は唐櫛(とうぐし)と呼んだので、10+9+4=23 で「二十三や」。昔の日本人は言葉遊びが大好きだったようです。
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カネボウの逆襲

2007年05月18日 | 木と美容
以前、カネボウ化粧品が中国の桂花(日本で言うキンモクセイ)の香りにダイエット効果があることを発見したという報道がありました。
詳しく調べてみると、大阪大学大学院との共同研究で、桂花の香りが中枢神経にある物質の発生を抑え、結果的に飲食量が減るという研究でした。桂花の香りのあるグループとないグループに分けて実験したところ、前者は摂食量、飲水量、体重ともに減少し、気分が向上し、リラックス効果があることも分かったそうです。

      
      (日本のキンモクセイと中国の桂花は香りが違う?)

さらに、この研究の過程で、中国の桂花と日本のキンモクセイでは香りが異なり、桂花はフローラル系の柔らかい香り、キンモクセイは強い甘さを感じさせる鋭い香りだったそうです。私はキンモクセイ=桂花と思っていたので、ダイエット効果よりもこっちの発見の方が興味深かったです。
さらに、カネボウ化粧品はホオノキから抽出したエキスにメラニンの生成を抑える効果があることも発見しました。今年の夏には、この成分を配合した美白化粧品を商品化するそうです。偶然でしょうが、同じ会社が立て続けに樹木から美容効果のある成分を発見したのです。

      
      (ちょうど1年前の記事に使ったホオノキの写真)

カネボウグループは粉飾決算が発端で現在は再建中ですが、カネボウ化粧品は頑張っているようです。女性のみなさん、この夏カネボウ化粧品から発売されるホオノキエキスの美白化粧品に注目してくださいね。
タイトルを「カネボウの逆襲」としたのは、昨年の6月に「資生堂の逆襲」と題して椿のシャンプーを取り上げたからです。
なお、当ブログは1周年を迎えました。始めた頃は「1年も続くかな?」と思っておりましたが、みなさまのお陰でまだまだ続きそうです。これからもよろしくお願いします。
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資生堂の逆襲

2006年06月21日 | 木と美容
資生堂がTSUBAKIというブランドの高級シャンプーを発売しました。
アジアの美しさをテーマに、韓国の有名女優を使ってシェアを拡大した花王のASIANCEに対抗して、日本の美しさをテーマに、日本の有名女優6人を使って巻き返しを図ったようです。

         

このシャンプーに使われているのが椿油。
「日本人だからこそ表現できる髪の美しさをひきだすために、はるか昔から、美髪成分として大切にされてきた椿オイルを、21世紀の成分へと進化させて配合」。パンフレットにはそう書いてあります。
私も広告文案家なので、仕事ではいつもこういう文章を書いているのですが、うまいこと書くでしょう? 古いイメージの椿油が、新しい美容成分に思えてくる。

      
      今年3月に撮影したわが家のツバキ。

パンフレットが言うように、椿油は遠い昔から日本人のヘアケアに使われてきました。『和漢三才図会』という江戸時代の百科事典は、「刀剣に塗れば錆(さび)を生ぜず、漆器を拭けば艶を出し、髪に塗れば艶美」と書いています。
この椿油の名産地である伊豆大島は、面積の約1割がツバキの純林になっているそうです。その椿林で働く女性を歌ったのが、都はるみの「アンコ椿は恋の花」です。

椿油は髪用だけでなく食用油としても最高で、香りがよくサッパリしているとか。また、木材も昔から使われていて、5,500年前の遺跡からツバキで作った櫛(くし)が出土しています。縄文時代から、ツバキは日本の女性の髪と切っても切れない関係にあったようです。

      
庭には毎年ツバキの実がたくさん落ちます。種(左)を絞れば椿油が採れるはず。

資生堂には『花椿』というPR誌がありますから、昔からツバキとは縁が深いのでしょう。50億円もの広告予算を使ってTSUBAKIを売り出した結果、それまで10%程度で第4位だった資生堂のシャンプーのシェアは30%以上に伸びて第1位になったそうです。椿のパワーはすごい! いや50億円のパワーかな?
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