樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

3年連続

2023年04月27日 | 樹木
今年もわが家でイソヒヨドリが繁殖しています。これで3年連続。多分、同じペアが気に入ってくれて継続的に子育てしているのだと思います。
イソヒヨドリは名前のとおり、以前は海岸の磯に生息していましたが、私が鳥を見始めた30年ほど前から内陸部にも生息域を拡大し始めました。それでも京都府南部で観察することはまれで、宇治市では天ケ瀬ダムまで行かないと見られませんでした。多分、コンクリートのダムが海辺の磯の環境に似ているので居ついたのでしょう。
ところが、現在は住宅地でも普通に見られるようになり、春になるとあちこちでさえずりが聞こえます。わが家をはじめ、最寄りの駅まで10分歩く道すがらでも2~3個体います。



毎日ではないですが、2階の寝室の窓を開けると、目の前の電線やお向かいの屋根、テレビアンテナなどに止まっています。4月中旬以降は雌の姿が見られないので、抱卵中なのだと思います。
おどかさないようになるべくシャッターは開け閉めしないようにしていますが、ここ2~3日は冷え込みが強いので、防寒のために夜閉めて朝開けています。あまり気にしていないようで、驚いて雌が飛び出すこともありません。
昨年は雛や若鳥を目撃したので、無事繁殖したようですが、今年はどうなるでしょう。しばらく、朝の観察が続きそうです。
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水俣病と野鳥

2023年04月20日 | 野鳥
娯楽映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』で知られるジョニー・デップが、それとは真逆のシリアスな、しかも日本を舞台にした『MINAMATA‐ミナマタ‐』に主演して話題になりました。水俣病の現実を撮影して世界に知らしめた写真家ユージン・スミスを演じた上に、製作も買って出たのです。私も大阪まで観にいきました。ちなみに、音楽は先日亡くなった坂本龍一。



映画には描かれていませんでしたが、有機水銀に汚染された魚を食べて発症したのは人間や猫だけでなく、鳥も同様でした。水俣市立水俣病資料館のホームページには、「海辺にいるカモメやカラスなどの鳥が汚染された魚を食べて、空からバタバタと落ちて死んでいったこともあった」と書いてあります。
また、アビ科の鳥について書かれた本『アビ鳥と人の文化誌』は「水俣の旅から‐公害にたおれる人とアビたち」という章を設けて、アビ科の鳥シロエリオオハムの被害について記述しています。


シロエリオオハム(アメドリ)夏羽(Public Domain)

そして、ユージン・スミスが撮った水俣の写真の中で最も有名な「入浴する智子と母」で、発症した娘を抱いて風呂に入った上村良子さんにも取材し、「たくさんおったアメドリ(シロエリオオハム)たちが、水俣病発生を境におらんごつなりよったですもんね。あの頃死んだ鳥をいっぱい浜辺で見た。アメドリも小魚をいつもはみよったが、あれたちも死んだんじゃろうと思いよりました」という話を引き出しています。
水俣病の被害者はもちろん住民ですが、同じ魚を食べて傷ついたり死んだりした鳥がいたことを忘れてはいけないと思って記事にしました。
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変な鳥

2023年04月13日 | 野鳥
世界には変な鳥がいます。例えば、オオグンカンドリは海鳥のくせに水が苦手。多くの時間を太平洋やインド洋の洋上を飛んで過ごしますが、羽に脂分が少なく撥水性がないので水に浮くことも泳ぐこともできません。海に落ちると溺死するそうです。
餌はどうやって獲るのでしょう? 水面すれすれを飛んで波間を飛ぶトビウオやイカなどを捕食するほか、海岸や島で子ガメ、海鳥の卵やヒナを捕獲するとのこと。また、トウゾクカモメのように他の海鳥を襲い、獲物を吐き出させて奪い取ります。下の写真は、左下のカツオドリを追い回して餌を奪おうとする4羽のオオグンカンドリ。


Public Domain

最近、「動かない鳥」として日本の動物園でも人気者になっているハシビロコウ。科学系バラエティー番組『所さんの目がテン!』が、ある動物園で9時半~4時半まで7時間フラミンゴとハシビロコウの動きを計測したところ、フラミンゴの不動時間58分30秒に対して、ハシビロコウは5時間58分だったそうです。


画像:pixabay

動かない理由は、大好物の肺魚の生態。肺でも呼吸する魚なので、息を吐くと水面に泡が浮かびます。しかも、なわばり意識が強くてほとんど移動しないため、息継ぎのために泡と同じ水面に浮き上がってくる確率が高いので、ハシビロコウは何時間も待っているわけです。
おいしいものを食べるために何時間もお店の前に並んでいる人間と似ていますね。
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シジュウカラ再訪

2023年04月06日 | 野鳥
昨年7月に以下の動画を掲載しました。スズメやシジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ヒヨドリ、イソヒヨドリなどの幼鳥が自宅周辺をウロウロしているので、何を食べるのか知りたくて、冬に使っている餌箱にヒマワリの種を入れてしばらく観察するためでしたが、結局利用したのはシジュウカラだけでした。



人工的な給餌は基本的には冬に限定すべきなので、その後は給餌せず、冬になってから再びヒマワリの種を追加しましたが、結局鳥はやって来ず、種も減りませんでした。
ところが、3月末にシジュウカラが2羽やって来て、餌箱から種を取って食べていました。急いで2階へカメラを取りに上がって、そのまま2階から撮影したのが以下の動画。



ヒマワリの種の外側の殻をつついて中味を食べています。昨年の7月にやってきた幼鳥が春になって餌のある場所を思い出して再訪してくれたのかもしれません。7月時点では体色が緑がかっていましたが、もうすっかり成鳥になってたくましくなっています。
動画の中にはスズメの声や、最後の方にはウグイスのさえずりも入っています。すっかり春ですね。
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