樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

素っ裸でバードウォッチング

2022年08月25日 | 野鳥
先日、府民割を利用して丹後へ1泊旅行に出かけました。いつもどおり、妻を温泉に預けて、私は野鳥観察。1日目は、「時期的にシギがいるかも…」との淡い期待を抱いて京丹後市間人(たいざ)の城島へ。
すると、期待どおり岩の上に鳥影があります。双眼鏡で確認すると、何とチュウシャクシギ! 期待以上の鳥です。こういう出会いがあるから、バードウォッチングはやめられない。
京都府南部、つまり内陸部での記録はほとんどなく、どちらかといえば海岸で遭遇することが多いシギです。光を考慮していろいろな角度から撮影していると、カニを捕食して沖へ飛び去りました。



「他にもいるはず」と思って岩を丹念に探すと、今度はキアシシギを発見。これは想定内でした。鴨川に毎年やってくるようですが、私自身は地元のシギ渡来地では見たことがないです。



2日目は天橋立の野田川河口へ行きましたが、満潮で干潟がなく、鳥影が全くありません。帰路、妻のリクエストで福知山温泉へ。大きな施設で、屋外に露天風呂や檜風呂、庭園などがあり、木製デッキには竹の枕が置いてあって裸で寝っ転がっている人もいます。私は長湯しないタイプで、妻との待ち合わせまで1時間以上あるので、「鳥でも見るか」とくデッキに寝っ転がって裏山や空を眺めていました。
30年以上のバードウォッチャー人生の中で、素っ裸で野鳥観察するのは初めて。もちろん双眼鏡がないので、確認できたのはメジロ、ヒヨドリ、ツバメ、トビ2羽のみ。それでも、開放感を味わいながら、それなりに楽しめました。
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野鳥番組の功績

2022年08月18日 | 野鳥
バードウォッチャーならNHKの『ダーウィンが来た!』や『さわやか自然百景』、NHK-BSの『ワイルドライフ』の鳥の放送をご覧になっているはずです。これらの野鳥番組は、鳥に関する私たちの知見を豊かにするだけでなく、鳥類学の進歩にも貢献しています。
例えば、「仏法僧」と鳴くのはブッポウソウ(下の動画)ではなくコノハズクであることが明らかになったのは、1935年のNHKのラジオ放送がきっかけ。名古屋放送局がブッポウソウの声の生放送を行ったところ、その声につられて、ある人が飼育していたコノハズクが鳴きだしたので、「仏法僧」はコノハズクの声であることが判明。日本鳥学会は「仏法僧=ブッポウソウ」が誤りであったことを認めました。



また、昨年9月に放送された『ワイルドライフ』は、小鳥の言語を研究している鈴木俊貴博士に4年間密着取材し、シジュウカラの親鳥が幼鳥(下の動画)にヘビを意味する言葉「ジャージャー」を教えるシーンや、それをゴジュウカラやヒガラ、メジロの幼鳥も学んでいるシーンを放送しました。
鈴木博士も「種内での言葉の学習もほとんど明らかになっていませんし、種を超えて言葉を学習することが分かったのは初めてです」と語っていました。このことは、カラ類の混群の中でシジュウカラが「ジャージャー」と警戒すればヒガラやメジロなどにもその意味(ヘビがいる)が伝わることを示しており、混群を形成する理由の解明にもつながる大発見だったようです。



もちろん、NHKが撮影しなくても博士自身が撮影することも可能ですが、研究者のカメラではなく放送用の高性能なカメラとマイクを複数台使って、しかも撮影のプロが撮ったからこそ貴重なシーンが記録できたはずです。
番組の中で「これは面白い! 初めてです」と興奮していた鈴木博士は、今後は鳥の言葉の教育過程を研究するそうです。
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ツバメの群舞

2022年08月11日 | 野鳥
7月下旬から8月上旬にかけて、宇治川の近くの河川敷で「ツバメのねぐら入り」が見られるので、20年以上観察会を担当しています。「ねぐら入り」と言ってもバードウォッチングの初心者や一般の方にはイメージできないので、私は「ツバメの群舞観察会」とか「ツバメの乱舞観察会」と表現しています。
今年も8月7日に実施する予定でしたが、コロナの感染が再拡大したために急きょ中止にしました。これで3年連続中止。しょうがないので、先日、単独で観察してきました。



なぜ、ここに数万羽のツバメが集まるのかは分かっていません。広大なヨシ原なので集団で寝るのに都合がいいのでしょうが、なぜ集団になる必要があるのか不明です。
おそらく、京都府南部に生息するツバメがすべてここに集まってくるのでしょう。子育てが終わった親鳥や単独で採餌できるまで成鳥した若鳥が次々にやってきて、体力が蓄積できると南へ旅立っていくようです。
四国や九州のヨシ原、さらには沖縄のサトウキビ畑などで休憩しながら、東南アジアまで渡っていくのです。ということは、東日本や北日本で繁殖を終えたツバメも、休憩のためにここに交じっているかもしれません。
初めて観察会に参加された方は必ず「スゴ~イ!」と驚かれます。何十年も見続けている私は、数の多さだけでなく、そういう生態を想像しながら見ているので、いまでも感動します。
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鳥の名前の歌手

2022年08月04日 | 野鳥
鳥の「さえずり」は英語で「song」ですし、日本語でも「鳥が歌う」などと表現するように、「鳥=歌」というイメージが強いためか、鳥の名前を芸名にする歌手がいます。
日本で最も有名な鳥の名前の歌手は、美空ひばりでしょう。戦後の1945(昭和20)年、加藤和枝(本名)が8歳のとき、母親が付けた美空和枝の芸名で初舞台を踏み、その後ひばりに改名しますが、誰がいつ命名したかは定かではありません。美しい空をバックにいつまでもさえずり続けるヒバリをイメージしての命名でしょう。


12歳の頃の美空ひばり

同じく歌謡界にはこまどり姉妹という双子の歌手がいます。デビュー当時は浅草姉妹という芸名でしたが、美空ひばりを意識して「鳥の名前にしてほしい」と事務所に願い出て改名されたとのこと。コマドリが日本三鳴鳥であることを知ってかどうか不明ですが、うぐいす姉妹とかおおるり姉妹よりも収まりがいいようです。
ダークダックスという男性四重唱団が2016年まで活動していました。Duckが意味するアヒルやカモは「ゲェー、ゲェー」と汚い声ですが、謙遜してその名前を付け、なおかつ学生時代から4人とも夏は湘南海岸で泳ぎ、冬はスキーで日焼けしていたので、黒いアヒルという名前にしたそうです。
海外にも鳥の名前の歌手がいます。俳優でもあり、代表曲『誰かが誰かを愛してる』で知られるディーン・マーティンのMartinはツバメ。英語でツバメはSwallowですが、ショウドウツバメ(Sand Martin)やイワツバメ(House Martin)など尾羽の短いツバメはMartinと呼ばれます。
ツバメのさえずりは美しいわけではないので、歌声を意識した芸名ではないようですが、イタリア系の本名ではなくこの名前で芸能活動を始めました。


Dean Martin

『バラ色の人生』『愛の賛歌』などのシャンソンで知られるフランスの歌手、エディット・ピアフのPiafはパリジャンの俗語でスズメ。本名はエディット・ジョヴァンナ・ガションですが、身長が142cmと小さかったので、歌っていたナイトクラブのオーナーが「小さな雀(La Môme Piaf)」という愛称で呼び、それ以降エディット・ピアフという芸名になったそうです。


Édith Piaf

※写真はすべてPublic Domain
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