樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ミソサザイの声が大きい訳

2016年07月28日 | 野鳥
栃の森では樹木だけでなく、もちろん鳥も観察してきました。本来の目的は野鳥生息調査ですから…。
20年以上前にこの森で初めて見て興奮したアカショウビンも、残念ながら姿は見られなかったものの、声は何カ所かで聞こえました。相変わらず、オオルリとミソサザイはいたるところでさえずっています。
せせらぎの横で、緑を背景にしてさえずるミソサザイに遭遇しました。しかも、私との距離は約5m。この森で何度もミシサザイを撮りましたが、ビジュアル的にはベストショットとなりました。



日本でいちばん小さい鳥ですが、声は大きい。そのミソサザイの声に関して、面白い情報を得ました。ある学者が次のように書いています。
「沢の個体は、山の個体と比べて大きな声でさえずり、最低周波数が高く、音要素の周波数変調が少ないことが分かった。沢の近くでは沢音がさえずりの邪魔をするので、それに負けないよう、大きな声でさえずり、沢音の周波数帯と被らないよう、最低周波数が高くなっていると考えられる。
一方、山の個体のさえずりは、沢音が邪魔しないので、それほど大きな声でさえずる必要がなく、音要素の周波数変調が多いさえずりを持つことができると考えられたが、エゾハルゼミの声が騒がしい青木ヶ原では、山の個体であっても、音圧が高い傾向にあった。これは、エゾハルゼミの声が沢音と同じように、ミソサザイにとっての“騒音”として作用したため、大きな声でさえずっていると考えられた」。
栃の森ではミソサザイは沢沿いにいます。しかも、今の時期はハルゼミも鳴いています。ということは、ここのミソサザイは沢音にもセミの声にも負けない大きな声でさえずっているということになります。納得!
コースの折り返し点では、クマタカが出現。同行のホークウォッチャーによると、雌が旋回しているので繁殖中ではないかとのことです。



この場所ではこれまでにも何度かクマタカに遭遇しています。今回も思わぬご褒美となりました。
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結実の森

2016年07月21日 | 木と鳥・動物
7月9日~10日、栃の森に行ってきました。6月は参加できなかったので2カ月ぶり。
林内では、花の種類は少なかったものの、同行の仲間が珍しいキノコ(冬虫夏草)やランを次々に発見するので、見どころの多い森歩きとなりました。
樹木は結実の季節。4月~5月に花を咲かせて虫を呼び寄せ、受粉して、子孫を増やすために実を膨らませています。今回は、花が終わって結実したばかりの樹に注目して歩いてきました。
まずは、ヤマボウシ。名前の由来になった、山法師がかぶる頭巾のような白い総苞片(そうほうへん)が落ち、本当の花だけが残って結実しています。ちいさなキノコが伸びているようで可愛いですね。



ヤマボウシの実は秋になると赤~赤紫に変化します。何度か口にしたことがありますが、種がジャリジャリするものの、マンゴーのような食感で、ほのかに甘いです。
次はサワフタギ。5月には白い綿のような花が満開でしたが、2カ月後には黄緑色の実になっていました。秋になると、「ルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)」と呼ばれるような鮮やかな紫色に変化します。



次の実は、ミズキ。この樹も、5月には綿のような小さな白い花をいっぱい付けていましたが、ご覧のように黄緑色の実に変化しています。秋になると、実は黒く、果軸は赤く変色します。その2色効果で鳥を呼び寄せる、という学者もいます。



ナナカマドも黄緑色の実を鈴なりにつけていました。この樹も花は白ですが、実は秋になると真っ赤になります。



こうやって並べてみると、花は白→結実は黄緑色までは共通していますが、秋の実の色は赤や紫、黒と多彩です。何故だろう? 
白い花が多いのは昆虫を集める効果でしょうが、実の色が多様なのは、呼び寄せる鳥を選別するためでしょうか?
以前、木の実の色と鳥の関連を調べましたが、そういうことは書いてなかったな~。誰か、実の色と鳥の種類の相関関係について研究していないのかな。
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冬鳥のさえずり

2016年07月14日 | 野鳥
前回ご紹介した八ケ岳ツアーでは、関西でなかなか聞くことができない鳥のさえずりを楽しむことができました。
その一つが、ビンズイ。こちらでは冬になると京都御苑にやってきて、地面を歩きながら草の実を食べている姿をよく見ます。春になると北へ帰るので、さえずりを聞くことはまずありません。「御苑でも渡去前にさえずることがある」と仲間は言いますが、私はその時期に行ったことがありません。
20年ほど前の夏、単独で行った北海道ツアーで一声二声聞いたことがあるのと、15年前に同じ3人で富士山麓へ出かけた際に聞いた記憶があるだけです。
北海道や信州のバーダーにとっては珍しくないシーンですが、関西のバーダーとしては冬鳥がさえずる特筆すべきシーンです。



関西ではビンズイは地面にいる鳥で、樹のてっぺんにいる姿を見たことがありません。同じ鳥なのに、場所によってイメージが全く違いうのも面白いです。
もう一つのさえずる冬鳥は、アオジ。この鳥も関西では冬になるとあちこちに出没するので珍しくないのですが、春には北へ渡ります。さえずりを聞くチャンスもほとんどありません。
北海道ではよくさえずっていたので、「ツッチョン、ツィーチョチョ」と鳴くことも覚えました。そのアオジのさえずりを久しぶりにじっくり聞けたのでワクワクしました。



このアオジのすぐ横で、クロツグミもさえずっていました。こちらは関西でも夏鳥ですが、きれいな声で鳴くシーンが撮れたので、おまけで掲載します。クロツグミが鳴く間にアオジのさえずりも入っています。



このクロツグミが面白い採餌シーンを見せてくれたので、おまけのおまけで掲載します。

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八ケ岳鳥見ツアー

2016年07月07日 | 野鳥
7月2日~4日の3日間、いつもの仲間3人で鳥見ツアーに行ってきました。今回は八ケ岳山麓。
3日早朝、宿泊したペンション近くのポイントへ行くと、まだ薄暗い中リスが舗道でウロウロしています。最初にカメラに収まったのは鳥ではなく、このリスでした。しばらくするとキツネも登場。バードウオッチングならぬアニマルウオッチングとなりました。



ペンションのオーナーも愛鳥家で、日本野鳥の会のカレンダーに写真が採用されるほどのフォトグラファー。周辺のポイントをよくご存知なので、事前のリサーチはほとんどせず、オーナーに教えていただいた探鳥地を回ってきました。
しかも、ペンションのベランダにシラカバの木が立てかけてあって、そこにアカゲラがよく来るとのこと。早朝の探鳥で上記のリスや久しぶりのコルリを楽しんだ後、ペンションで朝食を食べていると、シナリオどおりアカゲラがやってきました。



椅子に座っておいしい料理をいただきながら、3mほどの至近距離でアカゲラを観察するという贅沢なひとときが過ごせました。
3日目もオーナーに教えていただいた探鳥地へ。あまり期待していなかったものの、予想以上に鳥影が濃く、じっくり堪能できました。そのハイライトは日を改めてご紹介しますが、私にとってうれしかったのはコサメビタキ。
この鳥は小さい上によく動くので動画には収めにくく、なかなか撮れません。今回、久しぶりに撮影できました。



今回のツアーで観察できた鳥は50種類。天気にも恵まれ、思わぬ出会いもあって、大いに満足できる探鳥行でした。


お世話になったペンション「あるびおん」
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