軍艦島が注目されていますが、同じ長崎のグラバー邸も登録されるようです。選定理由は、日本最古の木造洋風建築。

グラバー邸(画像はパブリック・ドメイン)
この家の主、トーマス・グラバーは武器商人として幕末の日本にやってきて、造船や炭鉱などの産業を通じて日本の近代化に貢献したほか、国産ビール(現在のキリンビール)の育ての親とも言われています。
故郷のスコットランドにもグラバー邸(実家)が残っていて、「スコティッシュ・サムライ」という碑が掲げてあるようです。
グラバーはなぜか、日本からサワグルミの幼木を2本スコットランドに持ち帰って植えています。そのうちの1本は現在、巨木に育っているとか。
サワグルミは実は採れませんが、幹が真っ直ぐに伸びて、下から見上げると頼もしい樹形です。それが気に入ってグラバーはわざわざ故郷に持ち帰ったのではないでしょうか。

それはともかく、日本最古の木造洋風建築がなぜ世界文化遺産として認定されるのか、私には理解できません。グラバー邸以外にも、今回の23の史跡の中には「この程度で世界文化遺産?」と首をかしげるものがあります。
実は、わが家の近くにもそんな世界文化遺産があります。宇治上神社です。日本最古の神社建築ですが、小さな本殿と拝殿だけのせせこましい田舎の神社ですよ。地元の住民でありながら、「これが世界文化遺産?」と気恥ずかしくなります(笑)。

宇治上神社の本殿。国宝は分かりますが、これで世界文化遺産?
○○最古の木造洋風建築とか○○最古の宗教施設なんて、世界各国どこにでもあるはず。「日本文化遺産」なら分かりますが、「世界文化遺産」とは口幅ったい。
これだけ世界文化遺産が乱発されると、値打ちがなくなって、そのうち誰も見向きしなくなるのではないでしょうか。