樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

今年のニュース

2013年12月30日 | その他
今年も残り40時間。テレビに習って、私自身の1年を10大ニュース風に振り返ります。
第1位は、少し前にご紹介したように、このブログが縁で「メダカの学校」の講師として野鳥と樹木の楽しみ方をお話したこと。仲間が3人駆けつけてくれたこともうれしかった。
しかも、参加者の一人から昨日、「(講演の)翌日、植物園横の鴨川でバード&ツリーウォッチングをしました。(略)今年の私の10大ニュースのトップは、散歩がより楽しくなったことです」と講師冥利につきるコメントをいただきました。
第2位は、野鳥の会のホームページをリニューアルしたり、会員専用サイト開設のために役員に復帰したこと。今も京都支部を活性化するべく、いろいろ活動しています。
第3位は、撮影モデルになったこと。以前から某医療機器メーカーの仕事をしていますが、2カ月ほど前「コピーの仕事ではなく、モデルをやってほしい」という依頼がありました。
聞けば「高齢者用トレーニングマシンの動画を撮るので」とのこと。ありがたいオファーでしたが、「そんな年になったか」と複雑な心境でした。
もう一つ複雑なのは、コピーの仕事よりギャラが良かったこと。コピーライター辞めて、高齢者モデルに転身しようかな(笑)。
第4位は、新たに7種類の野鳥と出会えたこと。先日、久しぶりにリストを整理したら、国内で見た鳥が287種、仕事で渡米した際に見た鳥が28種。いつの間にか300種を越えていました。


今年初めて出会えたクイナとウズラシギ

悪いニュースもありました。第1位は、警察のお世話になったこと。
ある日、パスケースをチェックすると、免許証と健康保険証と図書館カードがありません。前日の行動を思い出すと、大阪でJRに乗った際にスリに遭ったようです。必要なものだけ抜き取って、パスケースをポケットに戻したのでしょう。
恐いのは、免許証や健康保険証で勝手にお金を借りられること。すぐに宇治警察署に出向きました。取調室で2人の刑事に囲まれて調書を作成し、被害届を出しました。
金融関係の信用情報会社に私名義での借入ストップを申請するために、その足で市役所へ行って住民票などをそろえ、大阪の1社に向かいました。東京の2社には書留で郵送しました。
これで一安心と思った翌日、仕事のファイルから、免許証と健康保険証と図書館カードが出てきました。アチャー! 再び警察に出向き、平身低頭で被害届を撤回しました。
バッドニュースの第2位は、いろんな物が壊れたこと。まず、夏に給湯器が壊れてシャワーが使えなくなりました。その後、浄化槽のモーターが故障。さらに、トイレのシャワー便座まで壊れました。
家を新築して15年、製品の寿命でしょうか。普通に買い換えると高額なので、いずれもネットで安いところを見つけてリニューアル。便座は四苦八苦しながら自分で取り付けました。
来年はこんなバッドニュースを書かなくてもいい年になりますように…。
みなさま、今年も1年間ご愛読いただき、ありがとうございました。よいお年を!
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木守柿

2013年12月26日 | 木と鳥・動物
今年は数人の知人から好物の柿をいただいたので、たくさん食べられました。加えて、渋柿を少しだけ買って干し柿にも挑戦中。お正月が楽しみです。


だいぶいい色になってきました

柿の実もほとんど収穫が終わりましたが、昔から、全部は採らないで2~3個残しておくという風習があります。これを「木守柿(きもりがき)」と呼ぶそうです。
「来年もたくさん実が成りますように」という願いを込めると同時に、冬になって雪で餌が採れなくなった鳥のために残しておくという意味があるとか。
この時期、その木守柿を食べる鳥の姿がよく見られます。



木の実を人間が独占するのではなく、他の動物のために残しておくという発想には温かいものを感じます。
鳥と木の関係から推測すれば、柿の実と一緒に食べた種を別の場所で排泄し、そこからまた新しい柿の木が生える。木の実を残すことによって、鳥を守り、柿という木も守る。そういう自然の摂理を、昔の人は「木守柿」という言葉で表現したのではないでしょうか。
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河原で生きる命

2013年12月23日 | 木と鳥・動物
前回、国交省の職員と一緒に河川を巡視したことをお伝えしました。宇治川にも4つの伐採予定地があり、その中の一つは私がよく歩いたり、鳥を見に行くエリアでした。
「木はもちろん藪の中に生息している野鳥が多いので、できるだけ残してほしい」と国交省に要望しましたが、実際に河原の樹木や藪にはどんな鳥がいるのか、私が伐採予定地周辺でここ数年の間に撮り貯めた動画をピックアップしてみました。
登場するのはアオジ、モズ、ジョウビタキ、ツグミ、カシラダカ、ベニマシコです。



このほか、ホオジロ、カワラヒワ、ウグイス、イソヒヨドリなどの小鳥がいます。キジのような大型の鳥も藪の中にひそんでいます。水辺にはカワセミもいます。夏にはセッカやオオヨシキリもやってきます。
こうやって思いつくままあげても15~20種の野鳥が河原で生きています。草本や昆虫の知識はありませんが、河原は生物多様性に富んだ環境です。都市部に残された貴重な自然をできるだけ広く残してほしいです。
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川の木と鳥

2013年12月19日 | 木と鳥・動物
1カ月ほど前、野鳥の会と国交省が合同で京都の河川を巡視しました。目的は、洪水対策として河川に繁茂する樹木を伐採する際、できるかぎり野鳥などの生物多様性を維持するため、どの程度残すべきかを検討すること。
もともと9月下旬に予定されていましたが、9月16日の台風18号で京都府内に大きな被害が発生し、特に桂川流域は嵐山をはじめ大規模な水害に遭ったため2カ月延期されました。
桂川で4地点、宇治川で4地点、木津川で2地点の伐採予定地をマイクロバスで巡視し、国交省の説明を聞きました。
桂川には洪水の爪痕があちこちに残っていました。写真は橋の上から撮った中州の樹木。下流に向ってなぎ倒されています。



国交省も、以前は3面コンクリートの機能一点張りの河川改修をしていましたが、最近は自然環境に配慮せざるを得なくなったようで、環境保護団体の声を聞く姿勢を示してくれています。
流域住民からは地方議会の議員や国会議員を通じて、「樹木を全部伐採してほしい」という圧力がかかっているようです。
国交省としては、流量確保のためには皆伐が望ましいものの、生物多様性確保のために少し残したいというスタンス。一方、私たちは野鳥の営巣や繁殖、採餌、隠れ場所としてできるだけ多くの樹木を残してほしいというスタンスです。


皆伐するとこういう殺風景なことになります

私は「樹木だけでなく藪も残すべき」と主張しました。ホオジロ、アオジ、ウグイス、ベニマシコなど、河川では樹よりも藪を利用する鳥が多いからです。
流域住民にすれば「生物多様性より洪水対策」でしょうが、国交省の技術者は「ある程度樹木を残しても必要な流量は確保できる」と言っています。流れに沿って縦半分を残すとか、伐採エリアと非伐採エリアを交互にすること(つまり虎刈り)は可能とのこと。
来年、国交省から具体的なデータを提出してもらい、再度意見交換を行うことになりました。
宇治川では私がいつも鳥を見ながら歩いているあたりも伐採予定地になっていました。できるだけ多くの樹木と藪が残るように意見を述べるつもりです。
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初めてのバードウォッチング

2013年12月16日 | 野鳥
土曜日、「初めてのバードウォッチング」と名づけた探鳥会を実施しました。まだ体験したことがない方や初心者を対象に、京都の岡崎エリアを疎水沿いに歩きながらカモをじっくり観察しようという企画です。
ここでは初めてなので、1週間前に案内役3名で下見しました。どのあたりで観察するか、トイレはどこにあるか、危険な場所はどこかなどをチェックして当日の予定を組みました。
一般の方々にたくさん来ていただきたいので、事前に関西の新聞社や放送局にパブリシティリリースを配布したところ、京都新聞とリビング新聞が情報を掲載してくれました。
その効果で通常の倍の50名ほどの参加者になりそうなので、親しい会員に応援を呼びかけたら3名が加わってくれました。
ところが、当日集まったのは予想の3分の1の16名。担当者としては拍子抜けでした。最低気温0℃という今期いちばんの冷え込みのせいでしょうか。
しかも、ちょうど集合時刻前後に車両事故のため地下鉄のダイヤが乱れるというトラブルも重なり、私自身も15分遅刻しました。


最初の観察ポイント「琵琶湖疏水記念館」でカモを観察

岡崎エリアは平安神宮、美術館2館、図書館、文化ホール、展示場、動物園、運動場などが位置する京都の文化ゾーン。京都市民にとってはアクセスも良く、出かけやすい場所です。
その周囲を流れる琵琶湖疎水に沿って、ゆっくり歩きながら水面に浮かぶマガモやヨシガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロなどを観察しました。参加人数は少なかったものの、地元のテレビ局KBSが取材に来てくれ、夕方のニュースで放送してくれました。
アンケートを見ると、「バードウォッチングは今回が初めて」という方が6名いらっしゃいました。「全くの初めてでしたが、すんなりとなじめて、楽しかったです」といううれしいコメントもありました。
終了後は別の場所で開催されている「京都環境フェスティバル」に出向き、野鳥の会やさまざまな環境保護団体のブースを見学してきました。


支部のブースでは巣箱作りとフィギュア作りをやっていました
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RIVERHAWK

2013年12月12日 | 野鳥
ベッドでアメフトを見ながら眠るというのが私の冬の生活パターン。今シーズンは鳥の名前のチームがイマイチですが、シアトル・シーホークスだけは11勝2敗と絶好調。
このSEAHAWKはミサゴのこと。正式な英名は米軍のヘリコプターで有名になったOSPREYですが、タカの中では珍しく魚食性なのでアメリカでは通称「海の鷹」と呼ばれているようです。


シーホークスのマーク

魚さえ獲れれば海でも川でもいいわけで、海のない宇治にもミサゴはいます。先日も宇治川へ野鳥観察に出かけたら現れました。内陸部ではRIVERHAWKと呼ぶべきタカです。
上空を何度も旋回し、ホバリングして狙いを定め、水面にダイビングして魚を捕まえます。下の動画では1回目は失敗したものの、2回目には大きな鯉をゲットしました。



今シーズンはこのタカがめっぽう強く、NFC(プロ野球で言えばセリーグ)で唯一11勝2敗。3ゲームを残してすでにプレイオフ進出を決めています。
私が長年応援しているチーム(パッカーズ)は今季絶望。もう一つの応援チーム(セインツ)は好調ですが、このシーホークスにはボロ負けでした。
宇治川には小型のハヤブサ、チョウゲンボウも現れます。アメフトにはFALCONSというチームもありますが、プレイオフ確実と思われていたのに3勝10敗と低迷しています。



SEAHAWKSは過去1度だけスーパーボウルに進出したものの、惜しくも敗退しました。でも、上のRIVERHAWKが2回目で獲物をゲットしたように、次回の挑戦ではロンバルディ・トロフィーを獲得するかも知れません。
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メダカの学校

2013年12月09日 | その他
一昨日の土曜日、約30人の聴衆の前で「冬の野鳥と樹木の楽しみ方」というテーマで1時間ほど話をしてきました。子ども相手に鳥の話をしたことはありますが、大人対象の勉強会は初めて。きっかけは当ブログです。
1カ月ほど前、京都の真如堂というお寺の塔頭・吉祥院のご住職から、コメントとしてそういう問い合わせをいただいたので、メールでやりとりした後、実際にお会いして具体的な話を聞いてきました。
このお寺では18年前から「メダカの学校」という名前で、毎月「写経+勉強会」を催されているとのこと。たまたま私のブログをご覧になって、光栄なことに、自然観察に関する勉強会の講師に選んでいただいたのです。
ご住職自身も樹木に詳しく、前回の記事でご紹介したセイヨウボダイジュを境内に植えたり、インドボダイジュを屋内で育てておられました。
最初は尻込みしていましたが、「誰が生徒か先生か…という気楽な勉強会です。だからメダカの学校なんです」と言われて引き受けることにしました。


ご住職にいただいた当日の画像

プロの講師ならパワーポイントで教材を作るのでしょうが、私は使ったことがないので、全編動画の教材を作りました。
まず、冬の野鳥の楽しみ方として、鴨川や京都御苑、府立植物園で見られるカモや冬鳥を紹介。ツリーウォッチングの方では、女性の参加者が多いと聞いていたので、幸田文さんの「樹皮は木の着物」という視点から、模様別に4種ずつ合計20種の樹木を紹介しました。
話の中味は、当ブログに書いている鳥や木の雑学です。説明に一生懸命で、聴衆の反応を確かめる余裕はなかったのですが、一人でも鳥や木に関心を持ってくだされば本望です。
ブログが縁でこんな経験をさせていただくのは、大変ありがたいことです。私にとっては今年の10大ニュースのトップの出来事でした。
もう一つありがたいことに、鳥仲間が3人駆けつけてくれました。彼らにとって初心者向けの冬鳥の話は、それこそ釈迦に説法。樹木の話も、このブログを読んでくれているので新鮮味はないはずですが、大切な休日を費やし、参加費を払って聴衆に加わってくれました。
苦沙彌様、二重の意味で貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございました。
そして、scopsさん、moriyumeさん、yamboさん、感謝、感謝です。
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3つの菩提樹

2013年12月05日 | 木と宗教
インドを訪問した天皇陛下が、53年前の訪印時に大使館に植えたボダイジュと再会したというニュースが流れました。
「どのボダイジュだろう?」と気になって、画面に一瞬映った葉を識別したところ、シナボダイジュのようでした。インドだからインドボダイジュのはずですが、葉の形がそうではなかったのです。
シナボダイジュは名前の通り中国原産のボダイジュで、日本のお寺にもよく植えられています。釈迦が菩提樹の下で悟りを開いたとされているからです。


近くのお寺にあるシナボダイジュ


シナボダイジュの葉と実

しかし、釈迦が悟りを開いた樹は当然ながらインドボダイジュ。仏教が中国を経由して日本に伝わる過程で、熱帯でしか育たないインドボダイジュ(クワ科)の代用としてシナボダイジュ(シナノキ科)にすり替わったようです。
ややこしいことに、日本で「ボダイジュ」と言うと、もう一つの樹が思い浮かべられます。シューベルトの歌曲『菩提樹』。
こちらはセイヨウボダイジュ(シナノキ科)。ドイツでは最もポピュラーな街路樹で、現地名は「リンデンバウム」。


セイヨウボダイジュ(リンデンバウム)


その葉

天皇陛下が植えられた菩提樹がインドボダイジュなのかシナボダイジュなのか、テレビに映った葉だけでは識別が心もとないので、ネットで調べたところ、ある人のブログに日本大使館でのパーティの模様が掲載されていて、「庭のインド菩提樹…」と書いてありました。


仏教系大学・龍谷大学で見つけたインドボダイジュ

テレビに映った葉は、上の写真のように先端が尾のようになっていなかったので、シナボダイジュと思いましたが、このブロガーの樹木の知識が確かであれば、インドボダイジュということになります。
それに、植樹後53年であんなに大きくなることはシナボダイジュでは考えにくいので、やはりインドボダイジュのようです。

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初冬の森歩き

2013年12月02日 | 樹木
週末、栃の森に行ってきました。11月は母の3回忌のために参加できなかったので、2カ月ぶり。
紅葉は終わって、森の中はもう冬枯れ。ほとんどの落葉樹が裸になっていました。



この森にはもう20年も通っているのに、ツリーウォッチングを始めてかれこれ10年も経つのに、今でも新しい発見があります。と言うよりも、今までボンヤリしていて気づかなかっただけですが、今回はミズナラやブナは落葉が遅いことを知りました。
クヌギやカシワの葉が冬を過ぎても落ちずに、褐色のまま枝にしがみついているのは分かっていましたが、ミズナラもブナも同じなんですね。
林道のコナラも同じでした。つまり、ブナ科の落葉樹はみんな未練がましいということですね(笑)。


枝にしがみつくミズナラの葉


未練がましいブナの葉

林床には落ち葉が積もって、褐色の絨毯の上をカサカサと音を立てながら歩くのですが、中には褐色ではない落ち葉もあります。
ミズキはグレー。他がみな同じ色の服を着ている中で、一人個性を発揮するおしゃれな女の子、みたいな存在感があります。



ハリギリは黒。カエデに似た葉ですが、ほとんど紅葉することなく黒く変色します。



オオバアサガラは緑色のまま落葉していました。



同行の仲間に珍しい粘菌を教えてもらいました。指で抑えると煙のように胞子を飛ばします。キノコにも同じような「ホコリタケ」がありますが、こちらは「マメホコリ」とのこと。面白いですね。



鳥の方はあまり出がよくなかったのですが、調査が終了した後、最後の休憩ポイントで「ワオー!」と叫びたいような小鳥が登場しました。ちょっと遠いですが、イスカがスギのてっぺんに止まったのです。その後も6羽が上空を飛び、赤い色がはっきり見えました。私にとっては16年ぶりの再会です。
そのほかハイタカやキバシリも現れました。最後まで油断できないですね、鳥は。

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