樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

カササギが絶滅?

2023年12月28日 | 野鳥
佐賀県と福岡県に局所的に分布するカササギ。豊臣秀吉が16世紀末に朝鮮に出兵した際、佐賀藩と柳川藩の大名が、「カチ、カチ」という鳴き声を「勝ち」と聞きなし、縁起がいいので日本に持ち帰ったとされています。
佐賀県の地方名「カチガラス」はここに由来し、朝鮮語でも「カチ」と呼ぶそうです。下は、昨年3月に有明海へ行った際に撮影したカササギ。



そのカササギは現在、絶滅の危機に瀕しているそうです。電柱で営巣することが多いので、繁殖終了後に九州電力が巣を撤去するのですが、その数が10年前に比べると半分になったとのこと。日本野鳥の会佐賀県支部の支部長も地元のテレビ局のインタビューに次のように答えています。
「私たちは月に何回か探鳥会をやりますが、私が始めた30年くらい前はカチガラスは必ずいました。今は見ない日が多い。それくらい減っている。私の知識をかき集めた試算では、20年後には1羽もいなくなります」。
原因はカラス。人間の生活が拡大してカラスが増え、カササギが餌の競合に負けるようです。佐賀県支部は保護対策として、特区を設けてカラスを駆除したり、農薬や除草剤を使わないようにすることを提案しています。
カササギは佐賀県の県鳥で、佐賀県鳥栖市をホームタウンにするサッカークラブ「サガン鳥栖」のシンボルマークにも描かれています。その大切な鳥の絶滅は、佐賀県民にとっては何としても避けたいところでしょう。



本年も残り4日となりました。1年間閲覧いただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。それでは、よいお年を…。
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鳥に優しいスポーツ施設

2023年12月21日 | 野鳥
日本では問題になっていませんが、北米ではガラス張りの高層ビルに衝突して死亡する野鳥が社会問題になっています。米国の野鳥保護団体・オーデュボン協会は、毎年約10億羽が犠牲になっていると試算しています。
この問題を解決するため、高層ビルはもちろんスタジアムやアリーナなどスポーツ施設の建設でも衝突防止策を取り入れた設計が行われています。その第1号がバスケットボールチーム「ミルウォーキー・バックス」の本拠地「ファイサーブ・フォーラム」。“世界初の鳥に優しいアリーナ”として2018年8月にオープンしました。


ファイサーブ・フォーラム

その3年前の2015年、地元の野鳥保護団体がミルウォーキー・バックスの社長を訪問。ミルウォーキーは数百種類の渡り鳥のルート上にあること、年間10億羽の鳥が衝突死していること、バックス(鹿)をはじめ多くのスポーツチームが鳥や動物をマスコットにしていることなどを伝え、野生生物や環境に配慮したアリーナを建設するよう要望しました。
それを受けて、アメリカ鳥類保護協会と米国グリーンビルディング評議会が設定した鳥衝突抑止基準に基づいて設計されました。
正面の外観(上の写真)には、鳥が障害物と認識でき、なおかつ方向感覚を失わせる反射光を最小限に抑えた特殊なガラスが使われています。また完成後、3年にわたって鳥の衝突を監視することにも合意しました。
第2号はミネソタ州にあるサッカーチーム「ミネソタ・ユナイテッド」の本拠地「アリアンツ・フィールド」。計画段階でオーデュボン協会とアメリカ鳥類保護協会に相談し、昼間は空を反射し、夜は見えなくなることで鳥が衝突するガラスではなく、特殊な繊維で織った布で全体を覆っています。


アリアンツ・フィールド

現在の日本では、スポーツ施設はもちろん高層ビルの建設でも鳥の衝突死を防止するという発想はないようですが、10年後、20年後に「日本初の鳥に優しいスタジアム」が誕生するかもしれません。

※画像はいずれもGoogle Mapのストリートビューで入手
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カメラ交代

2023年12月14日 | 野鳥
長い間使っていたカメラが使いにくくなってきました。カメラ自体は問題ないのですが、三脚と雲台に不具合が出て来たので、三脚を買い替えようと考えていました。
そうこうするうち、知り合いのバードウォッチャーがいつもきれいな動画を投稿しているので、使用しているカメラの機種を問い合わせたところ、60倍の光学ズームが使えるコンデジとのこと。軽いカメラなら重い三脚も必要ないので、思い切ってカメラを買い替えようといろいろ調べて、中古品を購入しました。
昨日、近くの池へ出かけてテストしてきました。まずは、60倍の光学ズーム。



私は野鳥の動画撮影に特化しているので、このズーム機能は強力な武器になります。もちろん今までのカメラでもズームで撮影していましたが、その約2倍です。
しかも軽いので、歩きながらの撮影が楽。テスト撮影では、動画用の重い三脚ではなく、スコープ用の軽い三脚にセットしましたが、肩に担がなくても手に持って運べます。
下は、池の向こう岸にたむろするオカヨシガモ。距離は100m。今までのカメラでは鳥が小さくて、野鳥動画としては使えませんでした。露出の設定が悪いためか映像がイマイチ美しくないですが、動画としてみなさんにお見せできる大きさで写っています。



鳥の動画撮影を始めたのが12年前。そして、カメラとレンズを水没させて同じ機種に買い替えたのが5年前。カメラとしてはこれが3代目(Nikon)です。手元には、2代目のミラーレス一眼(Panasonic)とスナップ写真用に使っているコンデジ(Sony)と合わせて3台のカメラがあります。スマホも加えると計4台。こんなにたくさんは要らないですが、しばらくは2代目もおいておきます。




PDFテスト

リンクテスト


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自治会でバードウォッチング

2023年12月07日 | 野鳥
私が住んでいる地域は自治会の活動が活発で、夏祭りや秋祭りのほか、10月下旬からは文化祭として演芸フェスタ、作品展、囲碁大会、輪投げ大会、歩こう会、グランドゴルフ大会、スカイクロス大会が毎年開催されます。
そのプログラムの一つとして、今回新たにバードウォッチングを実施しました。以前から要望があったので、私が企画し、町内にいるもう1人の野鳥の会の会員と2人で案内しました。
宇治川のカモを見るつもりで、事前に何度か下見したものの、今年はカモ類の到着が遅くて数が少ないため予定のコースを変更しました。



応募された参加者は20人で、うち5人が子供。京都支部から貸出用双眼鏡20台と子供用の望遠鏡1台を借りました。
最初のポイント、京阪宇治駅の前ではトビ、モズ、ムクドリ、コサギ、カルガモ、コガモなどが見られ、バードウォッチングが初めての参加者は「こんなにたくさんの鳥がいるのか」と驚いていました。



3つめのポイントにはマガモがいて、首の緑色の美しさを堪能していただきました。上空をミサゴが飛んだので、案内役の2人は一生懸命「魚食性のタカです」などと説明しましたが、今日がバードウォッチングデビューの参加者には希少性の実感がなく、ミサゴよりもマガモやアオサギをじっくり観察していました。
来年も多分実施することになると思いますが、ホシハジロやキンクロハジロを見ていただけるように、もう少し遅い時期にしようかな。
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